著者
加藤 貴彦 今井 博久 今井 博久 濱砂 良一 中尾 裕之 篠原 久枝 加藤 貴彦
出版者
宮崎大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

研究目的は、ある1つの県内の男女学生における無症候の性器クラミジア感染症の有病率と危険因子を明らかにすること、効果的な予防方法とスクリーニング法を検討することである。早朝初尿を検体として用い、近年開発され感度と特異度に優れたPCR方法により陽性率を検討した。第1段階として3176名(女性:1869名、男性:1307名)の対象者を得た調査を実施。大学および専修職業学校に在籍する無症候の性行為経験を有する18歳以上の男女学生における性器クラミジアの有病率は8.7%(女性:9.9%、男性:6.9%)であった。その後、対象者を増やして最終的に、無症候の男女学生10111名から尿サンプルと無記名自記式の性行動に関する質問票の回答を得た。有病率は、女子学生が9.6%、男子学生が6.7%であった。危険因子は、女子学生と男子学生で共通してあったのは、「これまでの性的パートナー数が4名以上」、「必ずしもコンドームを使用しない」、「過去6ヵ月間に2名以上の性的パートナーがいた」であった。女子学生だけの危険因子は「年齢」、男子学生だけのそれは「喫煙」になった。危険因子を用いたスクリーニングが効果的であることが示唆された。本研究班は、18歳以上の学生を対象にクラミジア感染の実態に関する研究を実施してきた。無症候の感染が概ね1割程度あることが明らかになったが、調査研究を進めて行く過程で18歳未満の若年者にも感染が拡大していることが示唆された。そこで、対象の拡大(年齢の引き下げ)を行い、ある県の男女高校生を対象に無症候のクラミジア感染の感染率を明らかにするための試験的な研究(パイロット研究)を実施した。男子高校生が7.3%、女子高校生が13.9%であった。これまでの全部の結果から考えると、わが国のクラミジア感染はかなり蔓延した状態であることが明らかになり、早急に蔓延防止の対策を立てる必要性が示唆された。
著者
熊谷 奈緒子
出版者
国際大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

この研究はアジア女性基金を戦争責任のディスコースの中で位置づけることで、戦後65年余りを経ても今だに争点となっている戦争責任の性質、果たし方という問題の根底に横たわる要素を明らかにした。その要素とは、保守派、リベラル双方がそれぞれに持つ日本国の概念を基盤とした存在論的安心(ontologicalsecurity)が硬直化しているため、有意義な議論が行われていないということである。具体的には当研究はアジア女性基金による元「慰安婦」への官民共同の道義補償事業への評価を対象とした。アジア女性基金の「官民」共同での「道義的」補償という考えが各派の拠って立つ存在論的安心を脅かすと各派が警戒したため、客観的歴史事実に基づく対話(基金の各派の対話)でさえ困難になり、終にはアジア女性基金の官民共同の道義的補償事業の意義についての国内での合意が不可能になり、それによりアジア女性基金の道義的補償の信頼性に対して一部の元「慰安婦」と彼女らの支援団体が疑念を持ち、補償を拒否するという事態になったことを明らかにした。この研究には2つの学問的貢献がある。第一に、官民共同での道義的補償という国内的にも国際的にも新しい形での補償を提示したアジア女性基金の研究という未だ初期段階にある研究対象を扱い、第二に、戦争責任論争を国際人道規範の内包化過程と位置づけることによって、日本の戦争責任の問題を国際関係の枠組みの中で、具体的にはコンストラクティヴィズムの中における存在論的安心の概念の役割を通じて明らかにした。
著者
川本 純
出版者
京都大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

本研究では、細菌による機能性金属ナノ粒子合成系の開発を目指し、基盤技術となる金属ナノ粒子合成性細菌の獲得を試みた。その結果、中国内モンゴル自治区より採取された Pseudomonas 属細菌が、粒径約 20 nm の銀ナノ粒子を形成することを見いだした。また、南極海水由来の好冷性細菌 Shewanella livingstonensis Ac10 の多様な異化的金属還元能を有することから、本菌株は微生物による金属ナノ粒子合成の宿主となりえると期待された。本研究では、本菌が三価鉄存在下でリン酸選択的チャンネルタンパク質を誘導生産し、可溶性三価鉄の輸送に関与していることを明らかにした。
著者
山中 千恵
出版者
仁愛大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究を通じて日本の戦争体験を描いたマンガやアニメが受容されるとき、作品の評価や作品の読書・視聴体験が、かならずしも各国における戦争の記憶や日本の歴史的問題と直接的にむすびつけられて語られるわけではないということが明らかになった。語りは、受容された国におけるマンガ・アニメ文化の位置づけと、読者の「メディア体験史」との関係から、異なるやり方で歴史意識と接続される。以上の結果から、今後の研究において、個人の記憶と集合的記憶の間にメディア体験それ自体が生み出す記憶という中間領域を想定し、考察を進める必要があることがわかった。
著者
釘原 直樹
出版者
九州工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1995

本研究は野球や相撲のようなプロスポーツや緊急事態における抜きつ抜かれつの競争が集団成員の行動や動機づけに与える効果について検討した。従来、社会的促進に関する研究において、他者の存在は十分学習された容易な課題に関してはパフォーマンスを上昇せしめることが明らかにされてきた。しかしアメリカ大リ-グのワールドシリーズのデータの分析結果はこの知見と反するものであった。優勝がかかった第7試合では第1、2試合に比べて、優勝を期待するホームの観客の前でエラーの数が多くなり、また勝率も低下するhome choke現象が存在することが示された。本研究では日本のプロ野球でもこの様な現象が存在するか否かについて検討した。1951年から1997年までの日本シリーズのデータを分析対象とした。分析の結果、レギュラーシ-ズンとシリーズを通してホームアドバンテージの効果は日本より米国の方が大であることが明らかになった。シリーズの全ての試合で日本のホームチームの勝率が米国より高いのは第5戦のみである。このことは日本の場合はシリーズ全体がhome chokeの傾向があることが示唆された。エラーの発生率も第1,2戦より第7戦の方が多くなる傾向が伺えた。平成8年6月13日に発生したインドネシア・ガル-ダ航空機離陸失敗炎上事故について検討した。乗客260名のうち219名のデータが得られた。調査の結果次のことが明らかになった。1)発災直後の乗客の反応の特徴は動かない「凍結」状態である。2)次が混乱と狼狽の段階である。悲鳴と怒声が飛び交い、一時は非常口に沢山の人が殺到して身動きが出来ない状態になった。3)他者に同調する傾向が見られた。4)荷物や脱出口に対する固着傾向が強くなった。5)乗客の中から「大丈夫だ、落ち着け」等を複数の他者に向かって発言したリーダーが18名(16名が男性)ほど機体後部で集中して発生した。6)乗客間での助け合いや声の掛け合いがあった。特に損壊が激しい機体最後部では一人の男性乗客が5〜6名もの人の脱出の手助けをした。
著者
松隈 浩之
出版者
九州大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本年度は昨年に引き続き調査を行うとともに、調査結果にもとづいたコンテンツ制作を行った。●調査結果調査対象は前年と同様アヌシーアニメーション国際映画祭とし、前年の調査で不足していたマーケットやリクルートといったビジネス面にも比重をおいての調査とした。調査内容はアニメーション表現、手法の動向、各国の取り組み、3DCGの活用状況と今後の可能性を主としており、本研究院が刊行する紀要vol.8に報告資料として採択、掲載されている。結果として、世界のアニメーション業界における3DCGの需要は企業ベースのみならず、学生を含む個人単位でも確実に増加していることが判明した。一方で、日本における3DCGの受入状況は現場の作業環境から消費者の支持獲得に至るまで、浸透しているとは言えず、3DCGとどのように向き合っていくかが課題となっている。以上の点から、今回の3DCGによる新しい表現への取り組みの有用性を確信することができた。●制作日本の伝統的な光源を用いたフル3DCG映像作品を制作するにあたり、ベースとなる舞台を佐賀市三瀬村やまびこ交流館とした。本建造物は江戸時代より続く寄棟づくりによる農家を保存したものであり、障子や畳、漆喰の壁などによる日本の伝統的な光環境を有している。建造物内で撮影によりHDRパノラマ画像を採取し、イメージベースドライティングの技術を用いて3DCG内の光源へと変換、日本的なライティングを施したイメージを作成した。また、作品の題材を架空の妖怪による寸劇とし、ストーリー構成おこなった。日本らしさを有した作品に仕上がったと確信している。今後、同じ手法をベースにより多くの作品を制作し、本課題の有用性をさらに確固たるものへとしていきたい。
著者
伊東 繁
出版者
熊本大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

個人の咀嚼能力に対応できる新規の食品加工技術として、衝撃波による食品加工技術研究を実施した。水中衝撃波による細胞破壊のメカニズムを解明し、衝撃波負荷に対する食品の軟化評価、衝撃波パラメータの計測ならびに評価、衝撃波伝播解析のための数値計算用コード開発、顕微鏡観察による衝撃波痕跡の画像解析を行い、個々人の咀嚼能力に応じた固さを得る食品加工技術の実用化のためのメカニズムを解明した
著者
杉本 妙子 村上 雄太郎
出版者
茨城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究課題では、日本語習得研究として現地調査を行い、ベトナム人が習得しにくい日本語音声、発音と聞き取りの誤用のずれ、格助詞に関わる誤用等について明らかにした。また、現地調査に基づく日越語対照研究では、ベトナム語のdi(行く)・den(着く)・授与動詞choの文法化の解明、日越語の助詞の対照と教育上の問題点の指摘等をした。さらにこれら研究成果をベトナムで継続的に発表することにより、ベトナムの本語教育研究の向上に貢献した。
著者
佐藤 健 市瀬 龍太郎 宮尾 祐介 狩野 芳伸
出版者
国立情報学研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

計画の当初において、手動によってPROLEGにより短答式問題を解けることを確認した。しかし、そこで作った、自然言語文から得られる述語とPROLEGの述語をつなぐ橋渡しルールについては、問題適用範囲が狭く、新しい問題に対応できないことが分かった。そこで、橋渡しルールとは別の手法を検討したが、うまくいかなかったため、自然言語で書かれた短答式問題に対して、述語の質問を行い、その述語の変数に対応する値を答えるという質問応答システムを使うことを考案し、初期的な実験を行った結果、ある程度の値の代入を得られることが分かったが実用性にはまだ検討が必要であることがわかった。
著者
高橋 達也
出版者
長崎大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1999

1993年から1997年まで、マーシャル諸島甲状腺研究(The Marshall Islands Nationwide Thyroid Disease Study)によって、現地で医学的・疫学調査が行われた。具体的には、甲状腺疾患に対する臨床理学的検査、超音波検査、穿刺吸引細胞診、癌が疑われる症例に対する外科手術、及び外科手術標本に対する病理組織学的検討が実施された。また、甲状腺機能検査として、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、甲状腺ホルモン(T3、T4)、及び抗甲状腺自己抗体が測定された。さらに、随時尿のヨード排泄量も測定された。今回、その研究の結果を踏まえて放射線による甲状腺癌発生とヨード欠乏について検討した。ヨード欠乏は、甲状腺結節のリスクであることは広く知られている。そこで、尿中のヨード濃度を研究調査に参加した364人の成人と、69人の子供の随時尿について測定した。また、代表的な食物についてヨード含有量を測定した。マジェロ在住の309人では、正常だったのは25%で、他はすべてヨード欠乏状態だった。特に、3人(1%)は、重度の欠乏状態だった。この中での、甲状腺結節発生頻度を見るとヨード欠乏群は女性で、正常群の3倍の発生率だった。しかし、男性ではこの傾向はなかった。外洋に孤立するリキエップ環礁での成人55人では、正常はわずか5人(9%)で残り90%以上は、ヨード欠乏であった。このうち7人(13%)は、重度欠乏であった。甲状腺結節の発生は、女性では1.2倍であった。本研究によって、今までは予想もされていなかったほど高頻度(30%以上)の中等度-重度ヨード欠乏が認められた。この、マーシャル諸島での食生活上の問題の原因は、不明である。しかし、放射線被曝による甲状腺結節発生を修飾している可能性が大きく、今後の継続した研究が必要である。
著者
小林 和男 古田 俊夫 石井 輝秋
出版者
東京大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1986

日本海中央部の大和堆の北西麓、北大和堆との間に存在する断層崖の下部に転在する岩石片を海洋科学技術センターの運航する「しんかい2000」によって採取した。乗船した本研究代表者小林の目視観察およびビデオ記録の解析から、これらの岩石は母船「なつしま」の曵航テレビによって確認された近傍の崖から落下したものであることはほゞまちがいない。採取された7個の岩石(合計約5キログラム)のうち、3個は泥岩であって崖の表層をつくる堆積岩の破片である。あとの4個は密度が大きく、安山岩、デイサイト及び安山岩質玄武岩の熔岩で、日本列島のような島弧または大陸起源の岩石であることがわかった。一方、研究船白鳳丸のKH86-2航海(昭和61年4〜5月)において、大和堆東方の大和海盆中央に位置する拓洋第2海山から多量の火山岩がドレッジにより採取された。その岩石学的性質は現在分担者の1人石井と山下(大学院生)により研究中であるが、海洋中の海山に特有のアルカリ玄武岩であって、大和堆山麓の岩石とは明らかな差異がある。白鳳丸のこの航海では男鹿半島北西沖の日本海盆西翼の磁気異常が詳しく測定され磁気異常縞模様とそれを切る僞断層が同定された。また、拓洋第2海山などの上で測られた磁気異常はかなり大きい。これに対し、大和堆の上で見られる磁気異常はその山体の大きさに比すれば著しく小さく、大和堆をつくる岩石が磁化の小さい安山岩、デイサイト、花崗岩などから成ることを示すと考えられる。大和海盆の磁気異常は日本海盆ほど整列していないので、島弧火成活動が海盆底にまで及んでいると思われる。大和堆は現在の島弧活動が起こるには海溝から遠すぎるので、その火成活動は大和海盆拡大以前(おそらく15Ma以前)であったと思われる。
著者
吉田 綾乃
出版者
東北福祉大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究の成果は以下の3点に集約される.1.ワーキングメモリキャパシティが乏しい者がピースミール処理を志向することは不適応に結びつく.2.キャパシティが乏しい者は対人認知においてカテゴリー依存型処理を行いやすい.3.キャパシティが豊富な者は認知資源が確保可能な場合にはピースミール処理を行うことができる.すなわち、ワーキングメモリキャパシティの個人差が対人的な情報処理過程において重要な機能を果たしていることが明らかになった.
著者
賞雅 寛而 石丸 隆 元田 慎一 波津久 達也 古谷 正裕
出版者
東京海洋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本基盤研究では、船舶及び海洋構造物を対象とした防食、特にSUS304ステンレス材料のすきま腐食の防止に必要な放射線誘起表面活性(RISA)のメカニズムの解明、すきま腐食に対する適切な皮膜の基礎開発及び、人工海水中のRISAの効果の確認を行い、以下の結果を得た。1)試験片に小型密封放射線源^<60>Coを密着させ、その裏面から照射されるγ線を利用した実験により、ステンレス鋼の不動態皮膜をより強固にすることで局部腐食の発生を抑制し、RISA防食法が放射線照射施設外においても応用できることがわかった。2)放射化試験片自らが発するγ線を利用した実験により、中・強放射化試験片では安定した不動態皮膜を保ち、厳しい腐食環境下でも耐食性が維持できることがわかった。3)腐食電位の卑化は密封放射線源の有無に対応しており、微弱放射線環境においてもRISA効果によりすきま腐食の抑制効果が得られる。4)SUS304鋼の腐食電位をカソード防食電位まで卑化させずとも、不動態皮膜を保持し、すきま腐食を防止することを確認した。5)放射化試験片自らが発する放射線を利用した実験により、66μGy/h以上の照射積算線量で安定した不動態皮膜を保ち、厳しい腐食環境下でも耐食性が維持できることを確認した。6)試験片の照射積算線量を変化させた場合、その積算線量の増加により防食効果が増大することを確認した。これまで防食亜鉛や防食塗料などの鉄鋼構造物腐食防止法の多くはいずれも海外先進国によって開発されており、船舶・海洋構造物の腐食制御技術は国外技術に依存しているが、この新しい船舶・海洋構造物の腐食制御方法は、エネルギー環境技術として、我が国の技術水準を向上させ世界に貢献する重要な手段になると期待される。
著者
竹沢 尚一郎 関 一敏
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

本研究は、都市祭礼と山村の祭りの比較研究であり、都市祭礼として福岡市の2つの祭り(博多祇園山笠と博多どんたく港祭り)を、山村の祭りとして宮崎県東臼杵郡椎葉村の祭り(栂尾神楽)を取り上げ、文献調査を通じて個々の祭りの歴史と祭り研究の視点を確立すると同時に、現地調査を実施することでそれぞれの祭りの深い理解をめざした。その結果、いずれのケースとも祭りが地域社会と密接に結びつきながら遂行されてきたこと、とくに地域社会の中にさまざまな対立(年長者/年少者、男性/女性、参加者/観察者・加勢者など)を生み出しながら、それを超えて共同性や共同意識を生みだす働きをしていることが確認された。それぞれの祭りの固有性としては、山村の祭りは生業と密接に結びつきながら発展してきたこと、近代化と過疎化が進行する中でその機能が形骸化するのと対照的に、祭りがはたす成員のアイデンティティ付与の機能が強化されていることが理解された。また、それを観光資源として活用することに対しては、参加者の側に強い抵抗があることが理解された。一方、都市祭礼の方は、過去から現在にいたるまで、農村や周辺の市町村から都市へ人口と資源を吸引させる働きをしていることが確認され、そのために都市祭礼は構成要素間の競争をあおることで、ますます華美・勇壮・盛大になる傾向があることが理解された。都市祭礼と山村の祭りにおけるこれらの機能は、これまであまり研究されていないばかりか、現在進行中のものでもあり、今後の祭り研究の上で有効な視点になると判断される。
著者
川瀬 貴晴 中山 茂樹 岩永 光一 宗方 淳 吉岡 陽介
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

室内環境とそこに在室する人の知的生産性に関して国内外の文献によるデータベースを作成した。また、知的生産性を把握するための主観および客観評価手法の開発として、それぞれの調査手法を対象とする環境要素を様々に組み合わせた実験を実オフィスや実験室および模型を対象として実施し、それぞれの手法の適用性についての知見を得た。
著者
小倉 智史 海老原 志穂 杉山 雅樹 宮坂 清 星 泉 熊谷 瑞恵
出版者
東京外国語大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2022-04-01

本研究課題は、インド・パキスタンに広がるヒマラヤ山脈西部に居住する、チベット系言語を母語とするムスリムの言語・社会・宗教状況を総合的かつ包括的に解明することを目的とする。具体的には、言語学・イスラーム学・人類学分野の研究者による文献調査、および現地でのフィールド調査を共同で行い、ともすればチベット人と言えば仏教、というようなステレオタイプな理解を乗り越えて、新たなチベット学の地平を切り開く。
著者
春田 晴郎
出版者
東海大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

漢字文化圏、楔形文字文化圏、アラム文字文化圏およびその他の文化圏のどのような言語において訓読語詞を用いる訓読み表記が行なわれていたか明らかにし、またこのような様々な訓読み表記をどのような点から分類できるかその基準を示した。表音文字で書かれたアラム語詞を訓読みする中期イラン諸語の例を見ればわかるように、訓読みは決して日本語表記に特有ではなく、文字表記の全歴史を通じてみればかなり広く存在した現象であることが確認できる。
著者
佐々木 大介
出版者
成蹊大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

被験者への聞き取り調査から、日本から派遣された日本人教員を中心に教育が行なわれていたようで、被験者が教わった教員は日本人であったというケースが非常に多かったようである。授業では手話が多用されていたようであり、被験者の手話言語能力には確かなものがあった。その教育においては(書記)日本語の獲得が決して軽んじられていたということではないようである。一方、語彙比較研究に関しては、「同一」と「類似」を合わせた割合が、日台・日韓の各手話言語間で48-55%で、北朝鮮手話・韓国手話間では約56%と高かった。
著者
難波 祐三郎
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

性同一性障害に対する機能的再建手術の一つに異性間の生殖臓器移植が考えられる。精巣移植においては大動脈を犠牲にする従来の方法から、超微小外科を応用した移植法を開発した。同性間精巣移植ではテストステロンの分泌と精子形成を確認した。同性間卵巣移植ではエストロゲンの分泌と妊娠を確認した。異性間精巣移植ではテストステロンの分泌を確認したが celltrafficking は確認できなかった。
著者
石川 千恵
出版者
琉球大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

転写因子NF-κB/AP-1の核内輸送にはインポーチン(IPO)蛋白質が重要である。HTLV-1感染が原因の成人T細胞白血病(ATL)の治療標的としてIPOを検証した。感染T細胞でIPOβ1の発現が亢進し、IPOβ1のノックダウンやIPOβ1阻害剤インポータゾル、IPOα/β1阻害剤イベルメクチンは感染T細胞株の増殖や生存を抑制した。両阻害剤はNF-κB/AP-1の核内移行を遮断し、両転写因子制御下の細胞周期関連蛋白質やアポトーシス阻害蛋白質の発現を抑制した結果、G1期での細胞周期停止とカスパーゼ依存性アポトーシスを誘導した。さらに、ATLマウスモデルでイベルメクチンは抗腫瘍効果を発揮した。