著者
東海林 克彦
出版者
日本環境変異原学会
雑誌
環境変異原研究 (ISSN:09100865)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.121-124, 2005 (Released:2005-12-26)
参考文献数
7

This article aims to introduce the outline of issue and phenomena of welfare of laboratory animals which is enacted in Law for Welfare and Proper Management of Animals, and to clarify the difference of conception and method between welfare of laboratory animals and experiment using laboratory animals, in anticipation of contributing to its improvement in practice.
著者
柴田 佳久 岡村 正造
出版者
日本大腸肛門病学会
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.64, no.8, pp.516-521, 2011 (Released:2011-08-03)
参考文献数
15
被引用文献数
1

クローン病に併発する悪性疾患の報告は増加している,しかしながら,クローン病に合併する腸管狭窄や瘻管形成のため,癌発生の早期診断は困難である.今回,クローン病の発症から15年を経て直腸癌を併発したと考える症例を経験した.内科的治療が行われていたが,発症後15年で直腸肛門周囲膿瘍を形成すると共に急速に直腸狭窄が進行した.内視鏡的に狭窄拡張術を行ったが効果を認めなかった.高度狭窄にて内視鏡観察が困難なため,colitic cancerを疑い透視下生検を行ったところ,低分化腺癌と診断された.腹会陰式直腸切断術を行い,術後抗癌剤治療を加えたものの早期に再発し予後不良であった.クローン病患者に対するサーベイランスを含む,併発癌に対し治癒可能な早期での発見方法を考えることが必要である.
著者
THOMAS P. Gill
出版者
明治学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

2002年夏、ホームレス自立支援法が成立した。これは初めて日本政府が野宿者問題の存在を明確に認め、具体的な対策に取り組み始めたことを意味する。この研究プロジェクトの目的の一つは、こうした動きを受けて、日本の大都市におけるホームレス事情を調査し、各地のホームレス対策と施設の運営を比較し、さらに当事者レベルでの対策のインパクトを考察することにあった。もう一つの目的は、ホームレス問題に関して日本に比べ長い歴史と経験を有するアメリカとイギリスのホームレス対策を調べて、各国と都市のホームレス対策の共通点・相違点を確認した上で、日本のホームレス対策の特徴を抽出し、問題点を明らかにすることである。本プロジェクトにおいては、日本では東京、横浜、名古屋、大阪等で、アメリカではロサンジェルスとニューヘーブン、イギリスではリバプール、ロンドンとオックスフォードでフィールドワークを行った。結論として言えるのは日本に関しては、まず(1)地方による差異が大きく、「大阪モデル」、「東京モデル」、「横浜モデル」と呼ぶことが出来る、少なくとも三つの対策のパターンが見られることである。同じ「自立支援センター」という名称を用いながらも、各地の施設の滞在期間・入所と退所の条件設定・運営方式・再利用のルールはさまざまで、流行語になった「自立支援」は各都市で独自の解釈をされている。さらに(2)各都市では試行錯誤の過程で対策の内容と実施が常に変化しつつある。ホームレス対策は日本では比較的新しい社会問題であることから、行政の対応は現段階ではまだ確定していないといえよう。海外との比較に関しては、(1)イギリスでは2000年から集中的な対策を行われ、路上生活者の人口を数値的には激減させることに成功したが、その一方、ホームレス支援は一大事業に膨張し、シェルター運営の現場を検証すると根強い問題が多く、必ずしも成功例とは言いがたい。(2)アメリカでも各種の大規模なホームレス支援事業が活発に行われているが、これは行政・NGO・キリスト教等の教会がそれぞれ独自の理念、基準で実施しているもので、新鮮なアプローチも見られるがホームレス人口は相変わらず日本のそれよりずっと大きく、総合対策がないというのは致命的な問題に見える。
著者
上田 洋子
出版者
早稲田大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

ロシアモダニズム期の作家S.D.クルジジャノフスキイによる、芸術における演劇的構造に関する指摘を出発点として、19世紀末から20世紀初頭に誕生した演出家主導型の演劇に関する調査・研究を行った。海外でのアーカイヴ調査を経て演劇の豊穣と他の芸術との相関関係を確認した。論文と学会発表以外に、演劇博物館所蔵の未整理資料調査の結果発見した同時代の貴重な資料等を用い、展示および図録での成果発表を行った(「メイエルホリドの演劇と生涯」展、「ロシア演劇のモダニズムとアヴァンギャルド」展)。
著者
村瀬 菜都子 若林 宏明
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.135-143, 2011 (Released:2011-06-01)
参考文献数
8

ラクオリア創薬株式会社は,2008年7月の設立当初よりリンクリゾルバを利用してきた。リンクリゾルバ導入により電子資料へのアクセスは飛躍的に効率化されたものの,情報検索ツールの検索結果から複数の論文について所蔵を確認する際には,1件ごとにリンクリゾルバのアイコンのクリックを繰り返す必要があるなどの改善すべき点があることがわかった。さらにアグリゲータ系電子ジャーナルを多く購読している環境では,閲覧禁止期間に該当する割合が高くなり,この問題はより顕著になる。この課題を解決した一括所蔵確認システムを中心に,ラクオリア創薬でのリンクリゾルバを用いて効率化した情報サービスについて報告する。
著者
前之園 幸一郎
巻号頁・発行日
2008-11-23

京都科学哲学コロキアム11月例会(2008年11月23日)における口頭発表の配付資料に、NAGOYA Repositoryへの収録のため、「0.NAGOYA Repository収録に際しての前書き」を付加したもの。
著者
加藤 勉 田中 淳夫
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
日本建築学会論文報告集 (ISSN:03871185)
巻号頁・発行日
no.147, pp.33-41, 72, 1968-05-30
被引用文献数
2

引張接合部には一般にファスナーの種類に関係なく被接合部の変形に起因する所謂テコ作用が働く。この論文はSplit Tee形式高力ボルト引張接合部に生じるテコ作用の実体を純引張試験によって実験的に調べたものである。ここではボルトがTeeウェブの両側に各一列ずつ配された場合のみを取扱う。テコ作用の大きさを支配する因子としてTeeフランジの板厚, Teeウェブ(外力作用位置)とボルトとの距離, ボルト位置からTeeフランジ外端までの距離, の三つに着目した。実験結果の解析によりテコ作用を予知するための実験式が提案される。
著者
坂口 さやか
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2007

本研究の目的は、神聖ローマ皇帝ルドルフ二世の帝国統治理念が、政治的権力としていかなる実効性を持ったのか、帝国理念の表象である芸術作品の解釈および受容の研究により解明することにある。平成20年度は、特に以下の目的に沿って研究を進めた。1.ルドルフの肖像A)即位時のメダイヨンや硬貨、B)トルコ戦争に関する銅版画や彫刻、C)アルチンボルドの《ウェルトゥムヌス》に分類して考察を行った。その結果、A)では新皇帝ルドルフを印象付けるため、B)では皇帝の勝利のイメージにより、帝国やキリスト教世界の平和が保たれることを示すため、C)では自然魔術により地上の黄金時代の魔術的皇帝像を構築するため、ルドルフの肖像が創造され、それらは同時代の文献において皇帝のほぼ思惑通りに受容されていたことが解明された。その成果をもとに、表象文化論学会第3回大会およびオタワ大学でのワークショップでの口頭発表、そして『表象』3号への論文投稿を行った。2.神話画従来の研究でルドルフの神話イメージで最重要とされたウェヌスやミネルウァなどの神話画について考察を深めることとした。まず、各々の作品について図像解釈を行った。そして、そこから導出されたキーワード「愛・叡智・寓意」の相互の関連性および政治権力との結びつきを、ブルーノの著作に基づき論じた。さらに、フィチーノを参照しつつブルーノとの比較を行った。その結果、ブルーノの思想が政治権力を強く志向していると判明した。ブルーノはルドルフを魔術的皇帝と崇めており、またプラハ宮廷の人々とも親交があったため、彼の神話イメージに関する政治思想が、ルドルフや宮廷人たちの思想と同様の方向性を有していた可能性を結論として提示した。その成果をもとに、東京大学で開かれたシンポジウム「イメージの作法」での口頭発表および『表象文化論研究』8号への論文投稿を行った。
著者
森 一彦 西脇 智子
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.69, no.585, pp.71-77, 2004
参考文献数
7
被引用文献数
6 3

Sitting behavior is changed diversely depending on the setting of bench even if its feature is almost same with others. We observed people with paying attention to sitting behavior each five-minutes interval in the morning (10-11 am), in the afternoon (1-2 pm), and in the evening (4-5 pm) on a weekday and a holiday. We analyzed the relation of sitting direction and behavior. The results of this observation are as follows: 1) The characteristics of sitting behavior have diversities with the user attributes (age-group, gender), term, and physical features. 2) People can utilize the space diversely according to the physical situation (park entrance, plaza). 3) In the case of the benches setting on between the pond and the sidewalk, the sitting directions effect an alternation of the place mood.
著者
中嶋 泉
出版者
一橋大学
雑誌
言語社会
巻号頁・発行日
vol.5, pp.285-303, 2011-03-31
著者
角谷 詩織 無藤 隆
出版者
上越教育大学
雑誌
上越教育大学研究紀要 (ISSN:09158162)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.101-112, 2010-02-28

本研究では、テレビ番組の種類として、特に、日本民間放送連盟から放送モラルについての要請が出された経緯をもつ、ドラマ、お笑いのバラエティ、トーク番組、歌・音楽番組の視聴が、子どもの社会的・心理的不適応を高めるのかについて検討する。首都圏40km圏内から無作為抽出された、第一回調査時の小学5年生1,006名を対象とし、2001年2月〜2004年2月の間、毎年1回の縦断的調査を実施した。テレビ要因の他に、子どものメディア所持、テレビゲーム、スポーツや勉強の得意不得意、担任教師との信頼関係、生活習慣、学校の楽しさといった、子どもの社会的・心理的適応に重要な影響力をもつとされている要因を含めた分析を行った。縦断的因果関係を検討するに当たり、小学5年生から小学6年生、中学1,2年生へ、小学6年生から中学1,2年生、中学1年生から中学2年生への縦断的偏相関係を求めた。分析の結果、長期的に子どもの社会的・心理的不適応を高める要因が見出された。児童期後期におけるドラマ、お笑いのバラエティ、トーク番組、歌・音楽番組の視聴は、特に中学生になってからのルール違反傾向や不安傾向を高める要因として機能する可能性が示唆された。「よく見る番組」の要因は、小学5年生から中学2年生にかけて、社会的・心理的不適応状態に比較的安定した影響力を示したことから、その影響が無視できないものであることが推測された。
著者
相澤 清晴
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.50, no.7, pp.592-597, 2009-07-15
被引用文献数
11

筆者らは,画像だけで食事のログとりを行う食事ログシステムを研究しており,Web化して一般に利用できる食事ログも構築している.楽に継続してログ取得のできる仕組み作りを,食事という限定した応用に対して進めている.衣食住というように,食は生活の最も基本的な要素であり,食事ログから健康,コミュニティさまざまな応用も考えられる.ライフログの現状と展望についても論じたい.
著者
合場 敬子
出版者
明治学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

プロテストに合格すると、一応一人前のレスラーとなる。その時の自分の体について、自覚的にその変化を捉えているレスラーは少なかった。これは、デビューして数年までは、先輩との厳しい上下関係の中で、日々の雑用や練習に追われてしまい、自分の身体やプロレスのことをあまり考える余裕がない状況にあったからと推測できる。自分の身体のあり方に自覚的になっていたのは、デビューの後、キャリアを積む過程においてであった。多くのレスラーは、女らしい身体とレスラーとして目指す身体を対立するものとして捉えていた。レスラーであることを優先して、そのための身体をまず第一に考え、女らしい身体の獲得をあきらめている。しかし、そのあきらめに悲壮感はない。なぜなら、レスラーとしての身体を持ち、プロレスができることの方が彼女たちにとって重要だからである。プロレスでは、相手も自分の技を受けてくれる、自分も相手の技をうけるという信頼関係が必要である。したがって、プロレスの闘いは相手をとにかく打ち倒すことではないので、レスラーは自分を「強い」と意識することが希薄になっている。レスラーのジェンダー・アイデンティティの核はレスラーになる以前から形成されたように思われる。自分の体をレスラーの体に変容させることは、彼女たちのジェンダー・アイデンティティにはそれほど影響を与えていないと思われる。一方、ファンのジェンダー・アイデンティティへのプロレスの影響も、確認できなかった。多くの男性ファンは、女性として魅力ある身体とレスラーの身体を区別して把握している。多くの女性ファンは自分がなりたい身体のイメージを、自分の好きなレスラーの体型とは別に持っている。多くのファンは、リングを降りた選手に、「女らしさ」を見ている。対称的に、プロレスをしている女子レスラーは、ファンの視点の中では、ジェンダーを越えた存在として捉えられている傾向があった。