著者
横田 一正 劉 渤江
出版者
岡山県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

実空間を歩行するとき、仮想空間の情報を付加することにより、より豊かな体験をすることができる。本研究では、2つの空間の融合モデルを提案し、電子ペーパー等を考慮した携帯機器を使用したプロトタイプシステムを開発し、その有効性を確かめた。
著者
上野 耕平
出版者
鳥取大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本研究の目的は,運動部活動への参加を通じて形成されたライフスキルに対する信念を基に,生徒が時間的展望を獲得できるプログラムを開発し実践することであった。その内本年度は,1)これまでの研究期間内に明らかにしてきた成果をまとめ,国内外に広く公表する,2)諸外国におけるスポーツ活動への参加とライフスキルの獲得に関する先行研究の検討する,ことが活動の中心となった。昨年度は,研究初年度に行った調査研究の結果構築された仮説モデルに基づき,実際に運動部活動場面に介入した実践研究を行った。そこで研究成果については,研究初年度からの成果を体系的にまとめた上で,ヨーロッパスポーツ心理学会及び日本スポーツ心理学会で発表を行った。また,日本スポーツ心理学会では,アスリートを対象としたライフスキル研究に関するシンポジウムに指定討論者として参加し,今後の研究の方向性について言及した。さらに,運動部活動を対象とした実践研究の成果については,研究紀要において紹介した。他方,北米を中心に実施されている,スポーツ活動への参加を通じたライフスキル獲得に関する研究成果についてもまとめた。その結果,1)理論的背景を有する介入実践を伴う実証的研究,2)スポーツ経験の実質的な内容を扱う研究,3)ライフスキルの獲得と関係する心理的側面を変数として扱う研究,が求められていることが明らかになった。本年度までの研究により,運動部活動への参加を通じた時間的展望の獲得は,1)実体験や部活動経験の振り返りを通じたライフスキルに対する信念の形成,2)ライフスキルに対する信念に基づいた運動部活動経験の肯定的解釈,を通じて行われることが明らかにされた。今後はライフスキルの獲得も含め,運動部活動の指導現場で実施可能な方法について,より具体的な事例の提供が求められよう。
著者
川村 邦光 荻野 美穂 杉原 達 冨山 一郎 真鍋 昌賢 落合 恵美子 荻野 美穂 落合 恵美子 才津 祐美子 重信 幸彦 杉原 達
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

日本の家族写真は、当初西洋の影響を受けていたが、独自の展開をしてきたことを明らかにした。家族写真が人生儀礼や年中行事において撮影され続け、民俗的慣行として確立され、民俗資料として有効であることも明らかにした。現在では、特に年賀状に家族写真が載せられて、友人・知人に向けて発信され、家族の共同性を確認する機能を果たしている。本研究は家族写真に関する初めてのまとまった本格的な研究であると考える。
著者
倉橋 正恵
出版者
早稲田大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2003

本年度は、日本国内において早稲田大学演劇博物館、立命館大学アート・リサーチセンター、国外においてはボストン美術館(アメリカ合衆国)、ヴィクトリ&アルバートミュージアム(イギリス)に所蔵されている演劇関係資料の調査に行った。調査対象とした資料は、下記のようである。(1)歌舞伎役者関係資料(2)初代歌川国貞を中心とした、江戸後期浮世絵作品(3)歌舞伎上演年表類(4)幕末期の歌舞伎劇場内部資料これらの資料についてはそれぞれに詳細な所蔵・書誌調査を行い、とりわけ(4)幕末期の歌舞伎劇場内部資料については、「幕末江戸歌舞伎の興行形態と劇場運営」(早稲田大学21世紀COE<演劇の総合的研究と演劇学の確立>国際シンポジウム、於早稲田大学、2005年12月)として研究成果を発表した。また、(1)(2)(3)の資料については、2004年度から継続して研究と展示準備に携わっていた「Kabuki Heroes on the Osaka stage 1780-1830」展(「日英交流 大坂歌舞伎展」、大英博物館・大阪歴史博物館・早稲田大学演劇博物館を巡回)において、その研究成果を示すことができた。
著者
吉田 稔 中川 裕志 寺田 昭
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.122-132, 2010 (Released:2010-01-06)
参考文献数
18
被引用文献数
1

This paper proposes a method for implementing real-time synonym search systems. Our final aim is to provide users with an interface with which they can query the system for any length strings and the system returns a list of synonyms of the input string. We propose an efficient algorithm for this operation. The strategy involves indexing documents by suffix arrays and finding adjacent strings of the query by dynamically retrieving its contexts (i.e., strings around the query). The extracted contexts are in turn sent to the suffix arrays to retrieve the strings around the contexts, which are likely to contain the synonyms of the query string.
著者
柳 たかを
出版者
宝塚造形芸術大学
雑誌
Artes : bulletin of Takarazuka University of Art and Design : 宝塚造形芸術大学紀要 (ISSN:09147543)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.53-63, 2007-03-31

「画面中央に真っ暗な列車のトンネル。脚立を肩にした男が青赤黄の絵の具の缶と数本の刷毛を手にトンネルに入っ行く。」男はトンネル(未来)の壁に極彩色の壁画(夢・希望・自由)を描きに行くのです。たぶん暗くても誰も壁画を見ることはできない…。これは1987年、第六回読売国際漫画大賞一位のドーシャン・ペトロービッチ氏(ユーゴスラビア)の作品です。ゴルバチョフ率いるソ連が崩壊したのは数年後の1991年。東欧の人々の自由な社会への思いは強烈に伝わってくる作品といえるでしょう。短編小説一冊分に匹敵するメッセージを読み取れるカートゥーンがあります。マンガ文化全盛の日本ですが、その大部分はコミックスに対するものでありカートゥーンは忘れられています。しかしコミックスも一時の勢いを失いつつあると言われており、ならば今一度カートゥーンの可能性について考えるのも無駄ではないでしょう。
著者
高橋 真理
出版者
北里大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

本研究の目的は、妊娠期女性の夢(睡眠中にみた夢:以下夢)の特徴を定量的に明らかにするとともに、ストレスフルなイベントと関連する不快な夢に対する認知行動療法の有用性を定性的に検討することである。1)妊婦50名、非妊婦12名を対象に、prospectiveに1週間にみた夢想起の特徴(頻度、夢の鮮明度、夢の内容)について検討した。夢をみた平均日数は、4.8日/週であり、妊婦と非妊婦および妊娠時期別での相違はなかった。また、夢の内容は、「妊娠・出産・赤ちゃんに関すること」、「家族とのこと」、「仕事・職場のこと」、「友人のこと」、「TV・アイドルのこと」、「日常の出来事」、「幼い頃、昔のこと」、「奇異な出来事」のカテゴリーに分類された。さらに、「妊娠・出産・赤ちゃんに関する夢」について、妊娠時期別に夢想起の頻度を比較すると、妊娠初期では多い順に7番目のカテゴリーであるのに対し、妊娠中期は3番目、妊娠末期では2番目であり、妊娠の経過とともに、妊娠、出産、赤ちゃんに関する夢想起の頻度が高まることが示された。また、1週間で妊娠・出産・赤ちゃんに関する夢想起の経験をもつ妊婦の割合は、妊娠初期20%、中期57.1%、末期57.1%であり、中期と末期とが初期よりも高率であったが、想起者ひとりひとりの平均夢数の割合では、中期67.9%に対し末期78.6%であり、妊娠中期、末期には妊娠・出産.赤ちゃんに関する夢を想起する妊婦の割合が増え、また、このような妊婦は妊娠経過とともに妊娠・出産・赤ちゃんに関する夢の頻度も増加することが示された。2)「妊娠・出産.赤ちゃんに関する夢」31を内容別に分類した結果、「母乳に関する夢」、「妊娠による身体的変化に関する夢」、「胎児に関する夢」、「出産に関する夢」、「出産後の赤ちゃんのことに関する夢」の5つのサブカテゴリーに分類された。さらに妊娠時期別にサブカテゴリーの頻度を比較すると、妊娠初期は「胎児に関する夢」であったが、妊娠中期は「「母乳に関する夢」、「妊娠による身体的変化に関する夢」、「胎児に関する夢」、「出産に関する夢」、妊娠末期は「出産後の赤ちゃんのことに関する夢」に関する報告がほとんどを占めており、妊娠経過に伴い妊娠・出産・赤ちゃんに関する夢の内容が変化していくことが示された。以上、本報告書では妊娠期女性の夢に関する定量的な特徴を調査研究の結果に基づき記載した。事例による分析は、報告書に成果を纏めて報告する。
著者
稲垣 絹代 白井 裕子 島田 友子 鹿嶌 達哉 井上 清美
出版者
名桜大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

野宿生活者の支援団体の協力を得ながら、名古屋、大阪、沖縄で炊き出しの場や入所施設で継続した健康相談活動を行った。野宿生活体験者との信頼関係を築きながら、彼ら自身の意志を尊重した相談活動を行うことにより、彼らの健康意識を高め、健康を維持し、向上しようと考える機会となっていた。研究者たちも、彼らと共に存在することで、支援の在り方を考える機会となり、支援団体の様々な工夫を学ぶ機会となった。
著者
丹羽 隆子 山岸 寛 庄司 邦昭 大津 皓平
出版者
東京海洋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

平成14年と15年の夏に地中海沿岸諸国の実地踏査に出た結果、新知見を多く得ることができた。古代、優れた海洋民族であったフェニキア人の広域に渉る海上活動が、地中海の精神文化や物質文化の交流、伝播に大きな貢献をなしたであろうこと。カルタゴの港湾都市やギリシアのピレウス港などは古くから高度に整備された港湾施設などを要していたこと。また地中海島嶼、レバノン、ギリシア本土の各地やイタリア各地、スペイン東岸の沿岸地域を踏査し、入り組んだ海岸線や入り江のある地中海の地形と環境が古くから自然の良港として、海上活動の発展を促したことなどを確認した。また、発展した海底考古学が発見した古代地中海の木造船建造法が「ほぞとほぞ穴」を使った"shell-first method"だったことの延長上に、ギリシアでは「ヒュポゾーマタ」という艤装品を重要な必須艤装品としていたことも知り、文献学的にも、造船工学的にも研究を進めることができた。「ヒュポゾーマタ」の装着法などを巡り、イタリアのアマルフィの開催された「中世以降の艤装品と航海機器の発展」と題した国際シンポジュームに招かれて講演し、さらに日本航海学会、日本西洋古典学会でも研究発表した。国際シンポジュームではかなり反響がった。Elsi Sapathari, Sailing through Time : the Ship in Greek Artの翻訳、解説、補注の形でそれらをまとめた。出版刊行の予定である。
著者
青山 秀紀 谷口 充展 近藤 一晃 中村 裕一 秋田 純一 戸田 真志 櫻沢 繁
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MI, 医用画像 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.28, pp.121-126, 2010-05-06

本稿では,画像認識と筋電インタフェースを利用した情報提供システムを提案する.このシステムは,頭部に装着したカメラの画像情報から手が触れている物体を,筋電インタフェースによって手指の動作を認識し,その動作の違いによって,その物体の名称や使用方法などの情報の種類を選択して提供する.また,このシステムでは,動作認識の対象を,学習済の全ての動作ではなく,手の付近に存在する物体に行い得る動作に限定することで,認識率の向上を図っている.本稿では,限定された認識対象動作数と認識率の関係について報告する.
著者
土屋 礼子
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

本研究では、大阪の二紙、『大阪毎日新聞』と『大阪朝日新聞』の明治36年(1903)から40年(1907)まで、および東京の二紙『時事新報』と『萬朝報』の明治36年から38年(1905)までの、各年一月の紙面に掲載された広告の数量分析を行った。その結果、総件数の月平均では『時事』が3,751件と最も多く、次いで『大阪朝日』3,203件、『大阪毎日』2,956件、『萬朝報』が2,010件と最も少なく、各紙の広告掲載量および広告収入への依存度の差異が明らかになった。また広告件数の増減では、大阪の二紙は共に、戦前の明治36年に比べて戦後の40年には約1.4倍増加しており、日露戦争期に新聞広告が飛躍的に発展したという通説を裏付けた。広告主旨別件数では、四紙とも商品宣伝の広告が最も大きい割合を占めたが、『萬』では六割以上と高く、『大阪朝日』『大阪毎日』では三割から四割、『時事』では三割程度と差異が見られた。大阪の二紙では商品宣伝に次いで年賀広告と事業広告の割合が高く、組織的かつ定期的な広告活動の比重が大きかったといえる。一方、東京の二紙は対照的に異なり、『時事』では商品宣伝以外では特定の分類への偏りがなく幅広いのに対し、『萬』は商品宣伝への集中度が突出して高かった。広告の大きさでは、五十行以上の大型広告の割合が大阪の二紙で高く、戦後には6-10%に達した。また絵図や写真使用などの視覚的デザインも大阪の二紙の方が使用頻度がほぼ二割以上と東京に比べて高く、特に戦勝広告の華々しさは際だっており、新聞広告の大型化とデザインの発展を牽引したのは大阪の新聞だったといえる。また広告主の地域性では、大阪の二紙では大阪の広告主が五割を、東京の二紙では東京の広告主が六-七割を占め、地域性の高さが明らかになった。なお大阪の二紙で東京の広告主が占める割合は7-12%に対し、東京の二紙で大阪の広告主が占める割合は1-3%と低かった。以上のように、新聞広告における大阪と東京の差異が明確に数量的に現れたのが本研究の成果である。
著者
冨士田 亮子
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

住宅の清掃は、住まいを美しく、清潔に暮らしていくために、必要なばかりでなく、居住者によって日常的に住宅内外の点検や小修理が行われることから、住宅の維持管理上も必要な基本的な作業である。近年、住宅の長寿化が目指されているものの、住宅そのものばかりでなく、住生活も大きく変化し、清掃は行われなくなっている。清掃をはじめとした住宅を維持管理するために、居住者がどの様な手法を用い、現在までどの様に受け継いでいるかを明らかにするため、明治以降に出版された月刊誌の掲載記事を採集し、また、伝統的住宅地における清掃をはじめとした住宅の維持管理の実態と意識を把握し、時代による変化、用具、考え方を明らかにする。あわせて、今後の住宅の維持管理に活かす方法、また、住文化的にも現代生活において引き継いでいったらよいと思われることを明らかにする。(1)月刊誌にみる清掃:対象とした月刊誌は『住宅』と『婦人之友』である。『住宅』では創刊号(1916年)から廃刊(1943年)までの28年間、また、『婦人の友』では、創刊号(1908年)から昭和期(1988)までの81年間である。清掃をはじめとした住宅の維持管理に関する記事を収集し、記述内容の分析を行った。採集した記事は『婦人の友』64件、『住宅』42件ある。その結果、『婦人之友』では、1)掃除の担当は、中流家庭の場合、女中から主婦へ移っていく様子が見える。2)住宅内の清掃場所は居住室で、掃除機が普及する以前ははたく→掃く→水拭きの順に毎日、朝食前に行われていた。住宅を美しく磨き上げることに主眼が置かれている。3)清掃は、時間や労力の管理を重視した視点で書かれ、日常生活を丁寧に営み、美しく清潔に住むことに主眼が置かれている。4)『住宅』は、労賃などの点から女中を雇用する代わりに、掃除機を用いたり、軽減するための合理的な方法を見いだそうとしている。(2)伝統的住宅における家庭清掃:調査対象地域と対象家庭は、重要伝統的建造物群保存地区である岐阜県美濃市、大阪府富田林市、岡山県高梁市吹屋および伝統的生活習慣を色濃く残している京都市中京区の1985から1987年に実施した調査家庭で、計14家庭である。その結果、1)日常の清掃は、日常用いる部屋を中心にして行われて、日常の清掃範囲は縮小の傾向である。用具は、掃除機ばかりでなく、使い慣れて軽い箒、はたき、雑巾が使い続けられている。京都の「かどはき」を除いて、朝食後に、10〜90分かけて行っている。夫婦が協力して行う家庭もみられる。2)家庭内の清掃は、しなければならないものとしており、業者を利用ることは考えられていない。3)調査対象住宅の内装、外装材は無垢材であるため、新築時以降の継続した清掃習慣が材の艶を出し、汚れを取りやすくし、丁寧に住みこなしている様子である。生活習慣の積み重ねの大切さを感じさせられる。
著者
内村 創
巻号頁・発行日
2008-02-04

修士論文