著者
岩田 みちる 下條 暁司 橋本 竜作 柳生 一自 室橋 春光
出版者
北海道大学大学院教育学研究院附属子ども発達臨床研究センター
雑誌
子ども発達臨床研究 (ISSN:18821707)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.1-4, 2015-03-25

Rey複雑図形検査は近年、学習障害の認知能力を評価する課題として注目されているが、実際の書字との関連性は検討が少ない。そこで本稿では文章の書き写し速度、Rey複雑図形の成績、読み時間との関連性を発達性ディスレクシア児と非ディスレクシア児の間で比較した。その結果、両群ともにRey複雑図形検査の直後再生課題と書き写し課題の文字数に相関の有意傾向が認められた。また、ディスレクシア群でのみ読み時間と書き写し課題に負の相関を認めた。最後に臨床的な示唆と本稿の限界について述べる。
著者
岩田 みちる 柳生 一自 横山 里美 室橋 春光
出版者
北海道大学大学院教育学研究院附属子ども発達臨床研究センター
雑誌
子ども発達臨床研究 (ISSN:18821707)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.57-62, 2015-03-25

発達障害や学習障害のある場合、不登校や対人関係・社会的行動面のトラブルなど二次障害を併発しやすいことが指摘されている。特に読み書きに困難がある場合は周囲から理解されづらく、学校だけでなく家庭でも怠惰やケアレスミスとして叱責の対象になりやすい。本稿では反抗挑戦性障害と注意欠陥・多動性障害を疑われて受診した読み困難児に対する家庭、学校、専門機関と医療の連携による包括的支援を行った事例を紹介する。また、学習障害の見つかりにくさについて医療の観点から記述する。
著者
照屋 太郎
出版者
日本体育・スポーツ哲学会
雑誌
体育・スポーツ哲学研究 (ISSN:09155104)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.83-98, 2010 (Released:2012-12-17)
参考文献数
33

The purpose of this study is to clarify what is the meaning of “the real strength” of a person. This paper is based on the literatures written about the stage of Masters of Budo, and Geido. This stage is called by the name of “Mushin”. · How can we live, not as a creature but as a human being? · What is “the real thing” for a person? · What is “the essential strength” of a person?When we answer these questions from the standpoint of thinking about Mushin, we can say that “the real strength” of a person is “the strength of the person who is trying to live honestly with oneself”. This “oneself” means one's movement of the mind that is the essence of a person. To have “the real strength” of a person means to live honestly with “oneself”.When we think about the dimension in which there is “the real strength” of a person, it seems that the dimension has an axis that tells us “the depth of the spirit”. We can say that to have physical ability, physique, knowledge, skill, or so, is one of the “strength”. When we think about the dimension in which there are those “strength”, it seems that the dimension has no axis of “the depth of the spirit”. So, “the real strength” of a person is different in the dimension in which it exists to those “strength”.There is the Japanese old legend of the sword that is called by the name of “Masamune”. “Masamune” cut only the thing that the sword should cut. The person who has “the real strength” of a person seems like “Masamune”.
著者
佐藤 幹哉 渡部 潤一
出版者
日本惑星科学会
雑誌
日本惑星科学会秋季講演会予稿集 日本惑星科学会2007年秋季講演会予稿集
巻号頁・発行日
pp.4, 2007 (Released:2008-04-28)

2006年、オリオン座流星群の突発出現が観測された。この出現はZHRで50を超え、また極大がおよそ4日間に渡った。母天体である1P/Halley(ハレー彗星)からのダスト・トレイルを計算したところ、-1265年、-1197年、-910年のトレイルが起因していることが判明した。また、これらのダストは、木星と6:1の平均運動共鳴にあることがわかった。
著者
杉山 爲吉
出版者
一般社団法人 資源・素材学会
雑誌
日本鑛業會誌 (ISSN:03694194)
巻号頁・発行日
vol.61, no.717-718, pp.26-40, 1945-02-20 (Released:2011-07-13)

浮鑛油の不足對策として, 筆著は杉根株より得られる杉根油に着目し, 之が研究を試みた。杉根油は杉根株を水蒸氣蒸溜により作りしものにして, 之と同油を硫酸處理せし碗酸塵理油との二者につき, その有する起泡力, 浮鑛力を既に優秀なる浮鑛油として使用され來り, ヤーマーFパイン油並に最近浮鑛油として登場せる, シトロネラ油更にシダーウッド油 (西洋杉油) に對し比較檢討したところ, 前二者共にヤーマーFパイン油に對しては, 起泡力は劣るも浮鑛力に於ては, 杉根硫酸處理油は之を凌ぎ杉根原油は多少劣りたるのみにて, 何れも優秀なる成績を示し, シトロネラ油, シダーウッド油に對しては起泡力も浮鑛力も遙に凌駕した。顧ふに杉は本邦到る處に豊富に産するものにして, その需要を充分に満し得るものといへよう。されば杉根油が如何なる成分より成り, その有する起泡力, 浮鑛力が何の成分に基因するものなるや, 等については更に詳細なる研究に〓つとしても, 浮鑛油不足の現勢下、杉根油の優秀なる浮鑛力の確認は, その及ぼすところ大なるものありと考へ, 拙速なる原稿ではあるが, 玄に不取敢發表した次第である。
著者
原杏 希子 塩見 康博
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
日本都市計画学会関西支部研究発表会講演概要集 (ISSN:1348592X)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.109-112, 2023-07-29 (Released:2023-07-22)
参考文献数
3

近年、交通安全施設の整備や維持管理方法を見直すため、必要性の低下した信号機の撤去が検討されている。信号機の中でも、特に一灯点滅式信号機は優先的に全国で撤去が進められている。しかしながら、地域住民にとって交通事故の危険性や運転の不安を与えることにつながるため撤去に対して賛意を示すとは限らない。そこで、適切な合意形成を進めていくためには住民の撤去への賛否要因を明らかにすることが求められる。本研究では、一灯点滅式信号機の撤去に対する住民の賛否意識とその影響要因の把握を試みた。その結果、適切な情報提供や対面で説明会の開催を行うことで撤去への賛成意識を高めることが可能であることを明らかとした。

2 0 0 0 OA 顔と顔貌性

著者
井上 寛雄 清水 高志 米山 優
出版者
日本社会情報学会
雑誌
日本社会情報学会全国大会研究発表論文集 日本社会情報学会 第22回全国大会
巻号頁・発行日
pp.262-265, 2007 (Released:2010-01-22)

構造主義とシステム論という二つの立場は協調しうるだろうか。本発表では斎藤環によるラカン理論とべイトソンの学習理論を「顔」を介して架橋するオートポイエーシス・モデルを検討しながら、その問題点をドゥルーズ=ガタリの「顔貌性」の議論によって照射し、そこから横断的オートポイエーシスの可能性を模索する。
著者
外村 中
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.1-14, 1992-08-10 (Released:2011-07-19)
参考文献数
66
被引用文献数
3 3

『作庭記』にいう枯山水は, はたして, 日本独自のものだろうか。本論は, 日本, 韓国, 並びに, 中国の古代庭園に関する文献や, 考古発掘資料の代表例を比較検討することにより, 『作庭記』にいう枯山水の源流は, 中国の古代庭園に見出し得るのではなかろうかと考える理由を明らかにしたものである。
著者
有山 大地 安藤 大地 串山 久美子
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.61, no.11, pp.1729-1740, 2020-11-15

エレキギターの音作りは一般的にアナログのアンプ,エフェクタなどを用いて行われ,その組合せは膨大な数にのぼり,演奏者やエンジニアが求めている音色を得るために大きな労力を必要とする.たとえば,憧れのギタリストの音色を再現したいという場合,まず同一の機材の入手,加えてステージセッティングの画像などからエフェクタのつまみの位置を推測する必要があり,手動での再現のプロセスは困難なものである.そこで音色再現の問題を解決するため,ユーザが所持している1つのソフトウェアエフェクタのみを用いて,ユーザが目標とする音になるべく近い音作りができることを目標として,エフェクタの複数のパラメータを機械学習により探索する手法の開発を行った.本研究は現在までにギターエフェクトの1つである「歪み系エフェクト」を中心に,開発したシステムによって再現された音色について調査・実験を行い,再現度の評価において一定の成果を得た.また,本研究で開発した手法がエレキギター音色の再現において有効であることを確認した.
著者
佐々木 隆文 佐々木 寿記 胥 鵬 花枝 英樹
出版者
日本ファイナンス学会 MPTフォーラム
雑誌
現代ファイナンス (ISSN:24334464)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.19-48, 2016-03-31 (Released:2018-12-07)
参考文献数
29
被引用文献数
1

本研究では日本企業を対象に流動性保有の動機,目的をアンケートにより調査し,(1)日本企業においても米国を含めた外国企業と同様,予備的動機が余剰資金保有の最も重要な動機となっていること,(2)日本企業における余剰資金保有では,消極的な予備的動機(将来のキャッシュフロー不足への備え)のみでなく,積極的な予備的動機(将来,予想外の投資機会が生じた場合への備え)も同じぐらい重要な動機となっていること,(3)当座貸越の利用やメインバンクへの信頼感がコミットメントライン未設定の要因になっていること,(4)余剰資金保有の背景に直接金融へのアクセスが限定されているとの認識があること,(5)銀行への信頼感は積極的な予備的動機による余剰資金保有のみを代替し,消極的な予備的動機による余剰資金保有を代替しないこと,(6)ガバナンスのあり方が流動性手段の選択に影響を及ぼすなどの知見を得た.
著者
MASARU YOSHIDA MASAMI EZAKI MICHIZANE HASHIMOTO MICHIO YAMASHITA NOBUHARU SHIGEMATSU MASAKUNI OKUHARA MASANOBU KOHSAKA KOKI HORIKOSHI
出版者
JAPAN ANTIBIOTICS RESEARCH ASSOCIATION
雑誌
The Journal of Antibiotics (ISSN:00218820)
巻号頁・発行日
vol.43, no.7, pp.748-754, 1990-07-25 (Released:2006-04-19)
参考文献数
12
被引用文献数
85 99

Streptoverticillium fervens produced a new antibiotic, FR-900848, which has a high specific activity against filamentous fungi. Purified by solvent extraction and column chromatography, the compound appears as colorless crystals. Its structure is C32H43N3O6, which consists of 5'-amino-5'-deoxy-5, 6-dihydrouridine with an unsaturated fatty acid having unprecedented four serial and one isolated cyclopropane rings.
著者
井口 泰
出版者
社会政策学会
雑誌
社会政策 (ISSN:18831850)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.8-28, 2016 (Released:2018-06-11)
参考文献数
41
被引用文献数
1

地球規模の気候変動などグローバルリスクの高まり,地域の経済統合の進展や各国における所得・富の格差の拡大などを背景に,国際的な人の移動は増加傾向をたどる可能性がある。本稿は,これらの情勢を踏まえて,わが国の外国人労働者問題の現状を,社会政策との関連において整理し,将来を展望することを目的とする。 わが国の外国人労働者問題の経緯と制度・政策の改革の現段階を詳細に考察すると,1990年に発足した現在の国の制度的枠組みは,依然として出入国管理政策に偏り,外国人を受入国・社会に統合する政策の多くは,自治体の取り組みに依存する。こうしたなかで,1)アジアでは,急速な少子高齢化と若年人口の移動により,高度人材のみならず,ミドル・スキル職種を中心に低技能職種に至る多様な労働需給ミスマッチが発生している。日本でも,就労する外国人労働者のうち,就労目的で入国した者は3割に達せず,在留する外国人の言語習得や資格取得の支援の必要性が大きい。2)アジアの新興国経済が台頭するなか,次第に先進国から新興国への人材移動が高まってきた。日本でも,今世紀になって外国人人材の流出傾向が強まったが,アジアからの留学生増加が人材流出を補ってきた。3)アジアでは,若年者の地方から大都市への移動が進んでいる。日本では,若年人口の減少する地方都市で,外国人人口比率が高まり,永住権を有する外国人が在留外国人全体のが半数に達し,外国人二世・三世を受入国社会に統合する施策の重要性が高まっている。4)アジアでも,ASEAN共同体の発足に伴い,外国人の人権確保が重要課題として取り上げられた。ところが,日本では外国人差別の禁止などに関する法制度整備の進展は遅い。 難民の増加などで国際移動が高まるなか,わが国の現行政策の枠組みをこのまま維持していては,外国人が安定した就業・生活を享受できず,労働需給ミスマッチを緩和することも難しい。在留する外国人と子どもたちが社会の底辺層を形成するリスクを高めないよう,入管政策と統合政策を二本柱とする包括的な外国人政策への転換が急務である。
著者
山田 拓也
出版者
水文・水資源学会
雑誌
水文・水資源学会誌 (ISSN:09151389)
巻号頁・発行日
vol.32, no.5, pp.255-262, 2019-09-05 (Released:2019-10-08)
参考文献数
1

イラン・イスラム共和国は中東の乾燥地帯及び半乾燥地域に位置している.1968年以降の降水統計を見ると,イラン全国の年平均降水量の過去50年間平均は,約248 mmである.しかしながら,年平均降水量は減少傾向を示しており,年平均降水量の近10年平均は約220 mmと,11 %程度減少している.これに伴い利用可能な水資源量も減少傾向にある.一方人口は増加の一途をたどり,1950年頃には3,000万人を下回っていた人口が2019年現在では約8,000万人を上回っている.加えて,都市化の進展や農業活動の活発化などにより水需要は著しく高まり,年間の水資源量のうち86 %を人間活動で使用しているなど,高度の水ストレス状態となっている.この結果,国内の様々な地域において恒常河川が間欠河川へと変化し,また社会活動における水の不足を補うために地下水位が継続的に低下している.このように,イランにおける水資源の管理に関する問題は,将来的なイランの社会経済活動の安定性や持続可能性に関わる非常に重要な問題となっている.本稿では,このようなイランの水資源管理が抱える課題について述べる.
著者
岡田 里奈 近藤 美左紀 梅田 浩司 古澤 明 天野 格
出版者
特定非営利活動法人 日本火山学会
雑誌
火山 (ISSN:04534360)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.91-98, 2023-06-30 (Released:2023-07-27)
参考文献数
25

The Zenikame-Menagawa tephra (Z-M) has been reported from distal terrestrial settings in the southern Hokkaido, with those erupted from Zenikame volcano, and provides an important stratigraphic marker for paleoenvironmental reconstructions of marine isotope stage 3 (MIS 3). We use both major element (EPMA) and trace element (LA-ICP-MS) analyses on proximal and distal Z-M shards to make the correlations to explosive eruptive events. Proximal stratigraphic succession is divided into deposits of two main eruptive phases with pyroclastic fall (Z-Mpfa) followed by pyroclastic flow (Z-Mpfl). The Z-Mpfl and Z-Mpfl deposits are geochemically distinct and thus their origins can be different. Considering geochemical characteristics of glass shards, the distal Z-M in the Tokachi district, located about 200 km west of the source volcano, can be identified as ash fall deposits associated with the Z-Mpfl eruption.