著者
筧 久美子 成田 靜香 林 香奈 野村 鮎子
出版者
奈良大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

この研究は、女性の視点から中国の古典文学を読み直すことに主眼をおいたものである。具体的には、古典文学の中で「女」がどのように描かれたか、どのような女性像が形成されたかについて、作品を分析した。個別の研究としては、筧久美子が主に清末の評論を、野村鮎子が宋・明・清の寿序や墓志銘を、林香奈は六朝の詩文を、成田静香は唐の詩文を中心にした。なお、研究メンバーが集まって、東京の中国女性史研究会が出版した『論集 中国女性史』について批評を行い、その一部を研究主担者である筧が「書評『中国女性史』」(『女性史学』11号)として公表した。さらに筧は女性の称謂や『列女伝』についても考察をすすめ、「漢語称謂-女性語を中心に」(新村出記念財団報15号)、「『列女伝』という書物」(女性史総合研究会会報No.86)などを発表した。六朝時代を担当した林は、「妬婦」(嫉妬する女)に関する研究をすすめ「『妬婦』考補説-恐妻家の記録-」(『言語文化論叢』6号)を発表している。明・清時代を担当した野村は、女性の寿序についての研究をすすめ、明清時代に女性の寿序という新しい散文の文体が流行することを、当時の「孝」と「家」の思想から分析した。これは、中国から出版された『明清文学とジェンダー』に「明清女性寿序考」というタイトルで収められている。
著者
出原 隆俊
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

明治20年代半ばに、大阪を拠点とする雑誌『葦分船』と『大阪文芸』が、別々にではあるが、森鴎外と論争をしている。これは鴎外が石橋忍月や斎藤緑雨と論争していることに絡んでである。それに対して『早稲田文学』などもからかい気味に発言している。緑雨も『葦分船』との間でやり取りを交わしている。関西対東京という構図が出来そうなのであるが、『葦分船』と『大阪文芸』の間にも鴎外との場合と同じような、いささか口汚い論争が起きているのである。この時期には〈地方文学〉という表現が見られるようになり、中央来壇からは関西もその一つの対象であるが、その関西からも東京以外の地域に対して〈地方文学〉という視点で関心を払っていることが確認される。『大阪文芸新聞』第二号(明治三十一年五月十七日)で、木崎好尚は『国民之友』一号の好尚の「時文一家言」を取り上げて、「文学の東都にのみ集中せるを叙して所謂上方文壇を鼓吹せり」と記したことについて、「一大感謝の意を表」している。しかし、二面には菊池幽芳の「大阪文壇管見(二)」が、「大阪文壇は何故に進歩せざるか」・「大阪文壇に評論なし」・「何ぞ競争なからん 何ぞ刺戟なからん」という小見出しが、その内容を示している。これは、一面トップの藤田天放「大作催促の声」が、大阪に特定するのではなく「久いかな、小説界に大作を催促の声の喧きことや今の世に新作の小説とし云へば、端物に限り、短篇に止まるが如き、」と指摘するのと重ねて考察することが出来よう。『みをつくし』第九号(明治三十二年九月十目)の巻頭に「歴史的観念を論じて大阪の文学に及ぶ」にも同様の趣旨の発言がある。明治20年代半ばの関西文壇を興隆させようという動きが停滞しているとの苦い認識がある。しかも、それは中央の文壇の状況とも無縁の物ではなかった。関西文壇という視点は中央文壇を相対化するのに有効であると確認できる。
著者
Coban Cevayir 川合 覚 吉岡 芳親 審良 静男 堀井 俊宏 石井 健
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

血液脳関門(Blood-Brain Barrier, BBB)の機能障害は脳マラリアの主症状であるが、それがどのように起きているかほとんどわかっていない。私たちは超高磁場MRIおよび多光子顕微鏡を用いて嗅球が器質的および機能的にマラリア原虫によって損傷を受けていることを示した。嗅球を形成する索状微小毛管において、高熱とサイトカインストームに関連した、微小出血による寄生原虫の集積と細胞閉塞等が見られる。嗅覚喪失の早期検知と病原細胞の集積阻害による脳マラリアの初期段階での治療への応用が考えられる。
著者
金井 求
出版者
東京大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2014-04-01

当量のホウ素化合物を用いたカルボン酸の求核的活性化を既に見出している。本予備的知見を踏まえ、ホウ素化合物の触媒化と世界初のカルボン酸をドナーとする触媒的不斉アルドール反応の実現に注力した。まず当量反応条件を確立した。ホウ素上の置換基のチューニングにより、電子求引性のリガンドを用いたときに、芳香族、脂肪族双方のアルデヒドに対して有効に機能するカルボン酸アルドール反応を見出した。触媒の電子密度と立体障害、配位飽和度等を最適化し、生成物と触媒の解離を加速することで触媒再生を促進することを試みた。その結果、トリフルオロメチルケトンを基質として用いると、カルボン酸アルドール反応でホウ素触媒の回転が観測された。この基質依存性の原因を探るべく、トリフルオロメチル基を含む2級アルコールと3級アルコールをそれぞれ共存させて反応を行ったところ、3級アルコール存在下では触媒回転が達成できたのに対して、2級アルコール存在下では触媒回転が見られなかった。以上の結果は、アルドール生成物の立体項が触媒回転の有無に重要な役割を果たしていることを示している。この知見をもとに、今後、ホウ素上の置換基を立体的に嵩高くすることにより基質一般性のより高い触媒回転の実現を目指して行く予定である。この研究で開発した方法を用いると、カルボン酸類が化学選択性高く求核的に活性化することができる。カルボン酸は特に医薬等の生物活性化合物に数多く含まれる官能基であり、医薬のlate-stage構造変換に有用な反応が開発できたと考えている。
著者
古川 雅人 原 和雄
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

本研究課題では,旋回失速の初生時における旋回擾乱波の発生形態および伝播挙動に及ぼす翼端漏れ渦の崩壊の効果を調べることにより,擾乱波の発生メカニズムを明らかにして,旋回失速の予知モデルを新たに構築することを目的として,軸流圧縮機動翼列の失速点近傍に対し,動翼列の上・下流の三次元速度ベクトル場の非定常測定を行うとともに,動翼列全周にわたる大規模なRANS非定常流れ解析を実施した.以上の解析から,比較的大きな翼端すき間をもつ場合には,翼端漏れ渦の崩壊に起因した旋回失速の初生が発生するが,翼端すき間の小さい場合には,前縁はく離が支配的な旋回失速の初生形態が発現することが明らかにされた.大きな翼端すき間を有する場合,失速点近傍において,前縁はく離よりも先に翼端漏れ渦のスパイラル形崩壊が動翼列全ピッチで発生し,流量の低下とともに,漏れ渦は崩壊による自励振動を強め,隣接翼圧力面だけでなく,負圧面とも干渉を始め,負圧面境界層のはく離が引き起こされることを示し,そのはく離を伴う漏れ渦と負圧面の干渉は動翼列の回転方向とは逆方向へ伝播し,旋回不安定擾乱を形成すること,それらの干渉の結果,翼負圧面と隣接翼圧力面とに足を持つ大規模なはく離渦構造が形成され,部分スパン形の旋回失速形態へと至る.一方,翼端すき間の小さい場合,失速点近傍においても,翼端漏れ渦は弱く,渦崩壊を示さず,流量の低下とともに,前縁はく離が発生して旋回失速へと至ることを示し,その旋回失速セルは翼負圧面とケーシング面に足を持つ竜巻状のはく離渦に支配されること,そのはく離渦構造は非常に大きなブロッケージ効果を持つため,隣接翼に接近するとともに,隣接翼の迎え角を増大させて前縁はく離を誘起し,隣接翼に新たな竜巻状のはく離渦を発生させる結果,失速セルが周方向に伝播する.
著者
斎藤 雅一
出版者
埼玉大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

物性科学において重要なシロールにおいて発現している軌道相互作用を高度に連結した化合物であるヘテラシラ[6]サーキュレン並びにチオフェンを高度に積層してボウル型構造となるヘキサチア[6]サーキュレンを設計し、理論計算により、研究代表者が以前に合成したトリシラスマネンと比べてかなり低いLUMO準位並びに小さなHOMO-LUMOギャップを有することを明らかにした。つまり、これらの分子は重要な機能性分子の構成単位となることが期待された。そこでその合成を検討したところ、有用な前駆体の合成にも成功した。
著者
三原 法子 冨樫 整 田村 朝子
出版者
山形大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

加齢に伴い、摂食嚥下障害(食物の飲み込み障害)が起こる。現在の医療や福祉施設では、栄養状態や食事の選択は管理栄養士が、摂食嚥下状態は医師や言語聴覚士が、咀嚼機能は歯科医師が、それぞれ判定しています。嚥下食は、その他の判定と合わせることなく提供されている。そのため、栄養・摂食嚥下状態・咀嚼機能を合わせてみることができる新指標が必要となる。我々の研究結果より、学会分類に添った物性値を提案し、咀嚼機能とサルコペニア判定に基づいた要介護高齢者向けの「食形態選択表」を作成した。
著者
今田 由紀子
出版者
気象庁気象研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

近年実用化が進められている季節予報では、アンサンブルメンバー数および解像度の不足から、地形性の大雨などの局所的な極端現象の発生確率を予測することは困難である。本研究では、季節予測のメンバー数を補填し、さらに高解像度の地域気候モデルを用いてダウンスケーリングする疑似季節予測実験を実施し、九州地方の地形性の大雨の発生確率予測に挑戦した。高解像度化により、大雨発生プロセスの地域差をモデルが妥当に再現し、発生確率の予測可能性が向上することが確認できた。また、メンバー数を増やしたことで予測スキルにも改善が見られたが、実用レベルには達しておらず、さらなるモデルの高解像度化が必要であることが示唆された。
著者
鈴木 雅人 松本 章代 北越 大輔 松本 章代
出版者
東京工業高等専門学校
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

一般の手書き文章では,字形に筆者の癖が強く現れ,また文章自体が日本語構文に合致しない場合が多いため,高い認識精度を実現するのが困難であった.本研究では,日本語構文の変遷・誤用に対する対策として,自然言語処理やデータマイニングを用いた,日本語構文解析の自己組織化モデルと,筆者の癖などに対応可能な標準パタン作成のための学習パタンの自己生成に関する研究を行った.その結果,従来の方法に比べて,手書き文章の認識精度を改善することができた.
著者
渡邉 尭 野澤 恵
出版者
茨城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

太陽活動周期の上昇期から極大期に及ぶ1997-1999年に発生したCMEに伴う惑星間空間衝撃波の伝播特性を調べた.主なデータ源は,人工衛星や電波シンチレーション観測によって得られた太陽風データと,「ようこう」やSOHOなどの太陽観測衛星によって得られたコロナ画像である.この研究によって明らかになったことは,CMEの発生・伝播において,コロナ・太陽風における磁気中性面の役割が本質的に重要である,という点である.CMEの形状と磁気中性面との関係については,磁気中性面が惑星間空間衝撃波の伝播に対して,磁気中性面の方向に低速度の部分が形成されたり,惑星間空間衝撃波の広がりを制限することが示されたが,その後の研究により,CMEの一見複雑に見える構造は,コロナ中のsource surface近辺の磁気中性面に沿って,CMEが形成されていることが明らかとなり,磁気中性面はCMEの発生源となると同時に,CMEや惑星間空間衝撃波の伝搬特性を規制する,という複雑な役割を持っていることが分かった.次いで,CMEや惑星間空間衝撃波による高エネルギー粒子加速についても研究を行った.地上レベルでもそのような高エネルギー粒子が観測されるケースでは,フレアが太陽の西半球において発生していることが多いが,これは太陽と地球を結ぶ磁力線が太陽面を出発する経度である,太陽子午線の西60度の近辺に,800km/secを越える高速のCMEや惑星間空間衝撃波が存在することを示唆している.そのため,例えフレアが東半球で発生しても,CMEや惑星間空間衝撃波が十分な拡がりを持っていれば高エネルギー粒子現象が起こりうる.本研究ではこの点についても,実際の観測例によって確認した.また,CMEを発生させる要因は,コロナ磁場に蓄えられた磁場のエネルギーであることは,以前より指摘されている.その蓄積がどのような形で行われているかを見るため,「ようこう」による軟X線コロナ画像により,プロミネンス爆発が数回発生した場所を数太陽回転にわたって追跡したところ,磁場構造の複雑化に伴って,ポテンシャル磁場を仮定して計算した磁場構造に対して,軟X線コロナ・ループがなす角度が次第に大きくなり,プロミネンス爆発(CME発生)のあと,磁場構造が単純化するとともに,この角度も減少し,エネルギー状態に変化が起きた例がいくつか見られた.
著者
伊藤 修 森 信芳 上月 正博
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

Wistar-Kyotoラット(WKY)と高血圧自然発症ラット(SHR)において、長期的な運動による大動脈のnitric oxide (NO)合成酵素(NOS)発現増強効果はNADPH oxidase依存性であり、腎のNOS発現増強効果はWKYではNADPH oxidase依存性、SHRではxanthine oxidase依存性であることを明らかにした。食塩感受性高血圧ラットにおいても、長期的な運動は腎保護作用を有することを明らかにし、その作用機序は 血圧とは独立したものであり、運動による酸化ストレスの軽減、NO産生系、腎アラキドン酸代謝の改善が関与している可能性が示唆された。
著者
砂山 幸雄 尾崎 文昭 坂元 ひろ子 村田 雄二郎 高見澤 磨 石井 剛 菅原 慶乃 加治 宏基 佐藤 普美子 晏 〓 佐藤 普美子 晏 〓
出版者
愛知大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究は、市場経済化の急速な進展によって大きく変容を遂げつつある中国について、文化の側面から変化の内容と方向を探求することをめざしたものである。言説分析の方法により、主として1990年代以降の政治、思想、イデオロギー言説、文学作品や文化批評を分析し、従来から存在していた近代と反近代(近代批判)、グローバル化と土着性の対立に加え、近年では近代性内部の諸価値相互の対立が顕著になっていることを明らかにした。また、それが中国政治の展開、社会の変化といかに密接に関連しているかを考察した。
著者
岡田 泰伸
出版者
岡崎国立共同研究機構
雑誌
試験研究(B)
巻号頁・発行日
1992

小腸上皮は吸収組織であると共に分泌組織でもある。糖やアミノ酸などのNa^+依存性の能動的吸収は絨毛上部で、Cl^1の能動的分泌はリーバーキューン腺部で行われるものと広く考えられている。ところが一部にはこの教科書的見解に対する強い疑問も依然として存在し、この「吸収・分泌機能の絨毛内分化」仮説にといての細胞レベルでの直接的検討がますます必要となっている。本研究の目的は、パッチクランプ法の適用によってこれを可能とするための哺乳動物小腸上皮細胞実験システムを得る点にある。まず私たちは、酵素的に単離した小腸上皮細胞enterocyteを用いてこの点の検討を始めたが、刷子縁の消失に見られるような単一細胞への分離による極性の喪失という致命的欠点によってそれを阻まれた。そこで今年度以前は刷子縁膜・基底側壁膜極性を完全に保持したモルモット小腸の絨毛上皮及び腺上皮の単離組織標本を得るための方法を開発した。今年度は、単離絨毛及び単離腺にパッチクランプ法を適用して、それらから各種イオンチャネル電流が記録できることを明らかにした。また絨毛部からはグルコースに応答する電流の存在も観察された。それゆえ、チャネル特性やグルコース応答の小腸「腺-絨毛軸」における勾配についての今後の研究に適用可能であることが明らかになった。今年度は、スライス標本を得るための方法の開発にも成功をみたが、これにおけるギガシールの達成には今までのところ成功せず、これにパッチクランプ法を適用していくためには細胞表面をクリーンにするためのいくつかの工夫などが必要であることがわかった。
著者
杉浦 勉 山本 一彦 堤 定美 姜 有峯
出版者
奈良県立医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

オーバーロード(負担過重)によるインプラント周囲骨の吸収は,インプラント治療の臨床において重要な課題となっている.本研究では,即時荷重および遅延荷重モデルにおいて埋入部位の骨密度がインプラント周囲骨のひずみに及ぼす影響を検討し,オーバーロードのリスクを評価した.皮質骨,海綿骨ともに低骨密度のモデルでは最小主ひずみのピーク値は約-6200μεであったが,それ以外の場合は骨の微小損傷の閾値とされる-4000με以下であった.したがって,埋入部位の骨密度を評価することによって,即時荷重時の周囲骨のオーバーロードのリスクを低減できることが示された
著者
佐藤 あやの 西野 邦彦 西野 美都子 (林 美都子) 仁科 勇太 Yu Sidney
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

これまでに、ゴルジンタンパク質群のひとつであるgiantinをノックダウンすると分泌が上がること、ゴルジ体の構造に変化が起こることを示した。本研究課題では、この現象に関わる分子機構を明らかにすることを最終的な目的とし、電子線トモグラフィーなどを用いゴルジ体の構造を詳細に解析した。また、この間、分泌調節に関わる新規小分子を発見したため、新規分子の特徴付けを合わせて行なった。本研究課題の期間は終了したが、引き続き、これらの解析や新規分子のターゲットの探索を行う予定である。
著者
南條 浩輝
出版者
龍谷大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

同じ内容の発話が複数の言語(本課題では日・英で実験)でなされている多言語コンテンツ(ニュースの主・副音声など)に着目し,それらの音声を,情報を互いに補って音声認識する方法を研究した.音声認識時に他言語の発話(のテキスト)との対応度(翻訳モデルスコア)を利用することが必要であるため, (1)翻訳モデル, (2)スコア計算の近似(高速化), (3)英日同時通訳音声における英・日発話中の同一内容部分の自動対応付けについて研究を行った.適した翻訳モデルおよび自動対応付けの有効性と課題を明らかにした.スコア計算の高速化を達成した.
著者
池田 一郎
出版者
筑波大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2009

○研究目的近年、大学では女性研究者・女性医療従事者を中心とした処遇ならびに勤務環境改善のために学内に保育所を設置する例が増加している。その形態のほとんどが認可外保育所の事業所内保育所である。これらの保育所の経営については、開設の事例が整理されている程度で、経営手法などの調査はほとんどされていないのが現状である。本研究では、学内保育所の経営現状を調査・分析することにより、大学にとって効果的な保育所政策を実施するために行うものである。○研究方法全国国公私立大学752校の事務局に向け郵送による質問紙アンケートを実施(回答率49.4%)し、返送されてきたものに対して分析を行った。保育所の開設の有無・希望を基礎として、開設に至れない理由、開設している保育所の内容、経営上問題点、大学の子育て支援策などについて尋ねた。また、国立大学を中心に、大学直営、学童保育を設置、業者委託方式、学内に複数の保育所を設置・運営している大学6大学実地調査をした。○研究成果国公私立大学を見ると国立大学の開設割合が最も大きい、開設できない理由は、経費面の厳しさと学内から声が上がらないという理由が上位だった。開設のきっかけの上位は学内からの声である。大学の保育収入の54%が利用者の保育料で残りのほとんどは補助金である。経費面を見ると、大学からの何らかの経費補填が87%の大学であり、経費の補填額の35%の大学は10,000~40,000千円の補填額である。問題点の上位にも経費の問題が上がっている。保育料収入と補助金収入だけでは運営できる経営構造ではないことが明らかになった。子どもの体調不良に対応する機能を持つ保育所は24%であり、経費がかかる・スペースがないなどの理由により設置できない現状である。保育所設置効果は、育児を理由とする退職者の減少と、勤労意欲の向上、優秀な人材確保が見られた。
著者
新藤 武弘
出版者
跡見学園女子大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1992

カリフォルニア大学バークレー校美術史学部制作の『明代絵画と絵画作品デ-ダベース』の提供を受け、データの補充に協力、それをもとに明清画に止まらず、宋元に遡る広範な研究を行なった。平成4年10月、上海で開催された四王国際学術研討会で「四王与黄公望」、無錫で開催された倪〓之生平与藝術国際学会で「関干倪〓像」を発表し、平成5年5月、美術史学会全国大会で研究発表「書斎図考-元代文人の理想郷-」を行ない、平成6年12月には同学会東支部会例会で「石涛についての新知見」を発表。メトロポリタン美術館前東洋部長アルフリダ・マーク女史(台湾在住)を招き、所属機関(跡見学園女子大学)と美術史学会支部例会で講演を行なった。これらの研究交流の成果はワープロ版『明清画研究ノート』に掲載し、現在、7号に至っている(添付資料参照)。平成4年春、ネルソン美術館の特別展『薫其昌の世紀』を見学、同東洋部長何恵鑑の論文「薫其昌の藝術における卓越性」、またメトロポリタン美術館東洋部研究員張子寧の「石涛《白描十六尊者》巻と《黄山図》冊」を翻訳、『研究ノート』II,V号に掲載した。平成6年末、北京の中央美術学院・故宮博物院における明清画透析研討会、平成7年3月、上海と湖州で開催された趙孟地〓国際学術研討会に出席、その成果は、現在準備中である。「石涛与《廬山観瀑図》」(『研究ノート』V)は米国美術史家協会年次大会(ニューヨーク大、1994年2月)におけるシンポジウム「石涛《廬山観瀑図》」の関係者に送付したものである。
著者
岩森 光 横山 哲也 中村 仁美 石塚 治 吉田 晶樹 羽生 毅 Tatiana Churikova Boris Gordeychik Asobo Asaah Festus T. Aka 清水 健二 西澤 達治 小澤 恭弘
出版者
国立研究開発法人海洋研究開発機構
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2014-04-01

全地球に分布する主に第四紀に噴火した玄武岩の組成に基づき、地球内部の不均質構造を調べた。これは人体の血液検査に例えることができる。特に、最近提案された「マントルの東西半球構造」に注目し、(1)半球構造の境界付近の詳細研究、(2)地球全体のデータに関する独立成分分析、(3)水を含むマントル対流シミュレーションを行った。その結果、東半球はより親水成分に富み、かつマントル浅部から内核にいたるまで、超大陸の分布に支配される「Top-down hemispherical dynamics」を介して長波長の大構造を有することが示唆された。
著者
永広 昌之 遅澤 壮一 吉田 武義 蟹澤 聰史 越谷 信 川村 寿郎
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

日本列島における異地性地塊の起源を明らかにするために,南部北上古陸を中心にしつつ,東北日本や西南日本の付加体をも含めた地体について,テクトニクス・古生物地理・化成活動などの観点から検討した.南部北上古陸では,オルドビス紀末期〜シルル紀初期に,氷山花崗岩類や正法寺閃緑岩などに代表される,沈み込みに関連する深成火成活動が広範囲にわたってあった.南部北上古陸と西南日本の黒瀬川古陸は,前期古生代以来,同一のテクトニックセッティングの,近接した(同一の?)大陸縁辺域をなしていたと考えられる.南部北上古陸や黒瀬川古陸は,前期石灰紀には古テチスと古太平洋の連結海域にあり,ぺルム紀〜三畳紀には南部北上古陸は華南に近接した低緯度地帯にあったことが,それぞれサンゴおよびアンモノイドの古生物地理データから推定された.飛騨外縁帯の古生物地理や構造発達史は南部北上古陸のそれと大きく異なり,両者は異なった位置やテクトニックセッティングにあった.付加体に伴われる緑色岩類の産状や起源について,変質の影響を見積もった上で,主元素・微量元素組成にもとづき検討した.四万十帯のin situ玄武岩類は,海溝-海溝-海嶺三重点近傍での,海嶺沈み込みにともなう火成活動の産物と考えられる.海嶺が沈み込むと島弧火成活動が中断することに注目すると,in situ玄武岩の活動年代から三重点の移動経路と移動測度が決定できる.このことから,北上・阿武隈帯の白亜紀火成岩類は,115Ma以前に現在の北九州付近で形成されたと推定された.また,北上山地における白亜紀前期の大島造山運動はこの三重点通過にともなう島弧の大規模上昇を示唆している.