著者
NORI FRANCO 丸山 耕司 サヘル アシュハブ ランバート ニール ブリオック コンスタンティン ヨハンソン ロバート ツイ ウェイ 石田 夏子
出版者
独立行政法人理化学研究所
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2010-04-01

人工原子としての超伝導量子ビットに関する研究を行い、自然にある原子に対するものと類似した問題を追及しました。巨大人工原子がどのように、光、伝搬路, 電磁的共振器, 機械的共振器等と相互作用するか、という課題を含み、量子光学、原子物理、固体物理、ナノサイエンス、コンピューターサイエンスに及ぶ、分野横断的な理論的研究を行い、その研究成果は物理学のトップレベルのジャーナルに掲載されました。
著者
冨士田 亮子
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

子どもの出産や成長の段階で入手される子ども専用生活財や子供室は、子どもの独立後には主たる目的を失う。家族縮小期の生活財と住空間のあり方に影響の大である子ども専用生活財や子供室は、子ども独立後にはどのように考えていったらよいのかについて1,集合住宅及び戸建て住宅居住者を対象としたアンケート調査、2,戸建て住宅居住者を対象とした聞き取り調査、3,住宅情報誌編集長、及び木材の製材及び加工業者などによる聞き取り調査を行った。1.集合住宅及び戸建て住宅居住者に対するアンケート調査集合住宅では、子ども独立後には、学習机と椅子は処分、オーディオやテレビは子ども自身の住まいに持参、節句人形は収納空間に収納、冷暖房機器、本棚やシングルベッドは他の家族が使用しており、元子供室にそのまま置かれている家具は少ない。子供用生活財は、子ども独立後には現住宅内で家族が活用したいと考えている。一方、子供室は、子ども独立後もそのままにされている。戸建て住宅では、子供用生活財は、元子供室にそのままの状態が多い。2.戸建て住宅居住者への聞き取り調査元子供室は、夫や妻の専用室、また下の子の居室に用いられることもあるが、そのままの状態である。子ども用生活財も使われないまま室内に置かれている。床面を占める家具ばかりでなく、衣類や学用品などについても課題が多い。3.企業への聞き取り調査住宅情報誌編集長からは、子ども独立独立後には、現在の住宅に住み続けるのではなく,住み替えの希望が都市部でみられる。木材の製材及び加工業者からは、木廃材をパーティクルボードにし、これからユニットボックスやサイズオーダーデスクに製品化し、使用後は製造会社に返却でき、それを更に新たなパーティクルボードに蘇らせるリサイクル保証付きの家具が試みられ冠家具そのものとして使用できない場合にも再生の方法があることが明らかになった。
著者
生藤 昌子
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-04-01

カタストロフィーは起きる確率は非常に低いが一度起きると経済的損失は莫大となる。本研究は、そのようなリスクが存在する状況下での政策分析を可能とする理論的枠組みを探ることが目的である。経済学では一般的に、リスクあるいは不確実性のもとでの意思決定について、リスク回避度一定の効用関数と期待効用理論が用いられる。しかし、1970年代に期待効用理論に整合的な確率変数の分布制約について議論され、その後その制約のもとで分析されてきた。それに対して最近のカタストロフィック・リスクのもとでの環境政策の研究において、期待値が発散する(つまり期待値の無くなる)状況を避けるために、損害の確率分布にその裾部を狭めるような仮定を置く分析の有効性について議論されている。本研究は裾野の広い確率分布に対して期待効用分析可能な効用関数の特性に着目した。環境政策に関する本研究の成果として、昨年度にワーキング・ペーパーのかたちで公表した"Expected utility and catastrophic risk in a stochastic economy-climate model"は、さらに改訂を行い"Weitzman Meets Nordhaus : Expected Utility and Catastrophic Riskina Stochastic Economy-Climate Model"として海外の専門誌に投稿中である。同様に昨年度公表した"Burr Utility"は効用関数の特性を詳細に分析している。絶対的リスク回避度は消費に関して減少し、相対的リスク回避度は増加するが有限であるPareto utilityが、どのような確率分布関数に対しても期待効用分析が可能であることが示されている。論文表題を改めた"Paret-Utility"は、査読付きの国際的な学術誌に掲載が予定されている。
著者
熊田 陽子
出版者
お茶の水女子大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

本研究の目的は、性風俗世界(性風俗産業を中心に成る経済・文化・政治の複合的世界)の適法性をめぐる政治を明らかにしながら、日本の都市的生活様式の核である都市的"性"様式を解明することにある。平成22年度の成果は以下の通りである。第一は、「当事者」概念を使った本研究の方法論に関する検討である。本研究は民族誌的方法を用いた実証研究であり、実証性の確保には、調査研究方法、データの質・量、分析の妥当性などが鍵となる。研究の意義や意味を問う「当事者」議論の蓄積には、同時に実証性への問いが多く含まれる。現象学的な視点から「おんなのこ」(性労働者)と「私」(調査者)の関係を再考し、「当事者か否か」ではなく「(調査の場にいることを)許されるか否か」という点を重視して「当事者」概念を理解した本成果は、様々な実証研究に対する援用が可能である。第二は、本研究の軸となる性風俗世界と法の関係の検討である。詳細な分析の蓄積が薄かった「風営法」の条文を精査し、そのうえで、性風俗営業主体と性労働者が「適法性」を確保すべく行う諸実践を重点的に検討した。性労働者の視点を軸に、客や営業者とのつながりから性風俗世界を捕捉する本成果のアプローチは、(女性)性労働者と客・営業者を対立しあう存在として捉えることの多かった女性学や法学の成果に対して新たな視点をもたらす。第三は、「『おんなのこ』の民族誌」に向けた情報収集及び執筆活動である。東京都市部の性風俗店における参与観察調査の中で、性労働者と関係者を対象に、性労働に限られない様々な経験について情報を収集した。現在執筆中の本成果は、性風俗産業を経済・文化・政治の複合的世界として捉える本研究の根幹を成す。性の問題系から都市の人々の生を理解することは現代日本社会に生きる人々のありかたについて考えることに他ならず、都市研究を始め多くの研究分野に対する成果還元が可能である。
著者
前川 喜久雄 山崎 誠 松本 裕治 傳 康晴 田野村 忠温 砂川 有里子 田中 牧郎 荻野 綱男 奥村 学 斎藤 博昭 柴崎 秀子 新納 浩幸 仁科 喜久子 宇津呂 武仁 関 洋平 小原 京子 木戸 冬子
出版者
大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2006

当初の予定どおりに、5000万語規模の現代日本語書籍均衡コーパスを構築して2011年に公開した。同時に構築途上のコーパスを利用しながら、コーパス日本語学の確立にむけた研究を多方面で推進し、若手研究所の育成にも努めた。現在、約200名規模の研究コミュニティーが成立しており、本領域終了後も定期的にワークショップを開催するなど活発に活動を続けている。
著者
矢ケ崎 典隆 山下 清海 加賀美 雅弘 根田 克彦 山根 拓 石井 久生 浦部 浩之 大石 太郎
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

多民族社会として知られるアメリカ合衆国では、移民集団はいつの時代にも異なる文化を持ち込み、それが蓄積されて基層(古いものが残存するアメリカ)を形成してきた。従来のアメリカ地誌は表層(新しいものを生み出すアメリカ)に注目した。しかし、1970年代以降、アメリカ社会が変化するにつれて、移民の文化を再認識し、保存し、再生し、発信する活動が各地で活発化している。多様な文化の残存、移民博物館、移民文化の観光資源化に焦点を当てることにより、現代のアメリカ地誌をグローバルな枠組みにおいて読み解き直すことができる。アメリカ合衆国はまさに「世界の博物館」である。
著者
老木 成稔
出版者
福井大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2014-04-01

膜蛋白質は膜平面上で制限された拡散運動を行い、同種蛋白質間で集合・離散を行うものがある。しかし膜蛋白質の中でもイオンチャネルは、細胞膜上でごく少数のチャネルで細胞機能を担うものもあり、自己組織化によってチャネル機能の発現にどのような関連があるのか十分に検討されてこなかった。私達は原子間力顕微鏡(AFM)によってチャネル蛋白質の新しい動的秩序構造を発見した。チャネルはゲート開閉構造変化に連動して膜状で可逆的な自己組織化を行うのである。一方、チャネルと膜脂質の相互作用がチャネル蛋白質の新しい構造モチーフ(センサーへリックス)を介して行われており、しかもセンサーへリックスがゲート構造変化を制御することも発見した。この2つの発見から導かれることは、チャネル機能発現においてチャネル蛋白質の構造変化が膜脂質との相互作用を変化させ、チャネルの膜内での孤立状態と自己組織化状態の遷移を引き起こしている、というシナリオである。生体膜と異なり、脂質2重膜に精製したチャネルを再構成するにはチャネルの向きを揃えることが不可欠であるが、これまでに方法が確立していなかった。この方法の確立のために多くの実験を行った。またチャネル集合離散状態によってチャネル機能の差を捉えるためには原子間力顕微鏡で捉えられる事象でなければならず、様々な方法を試みてきた。その中で隣り合うチャネル機能に差があるという結果を得つつある。チャネルが膜とどう相互作用するかという点を明らかにする上で膜リン脂質の組成はきわめて重要である。私達は様々なリン脂質を使ってリポソームを形成し、膜上での集合離散状態を蛍光色素で測定した。その結果、リン脂質の組成だけではなく、膜の相分離・厚さなど膜の物理的特性によって集合離散状態が大きく変化することを明らかにした。これらの実験と並行して、複数の共同研究を開始し、新しい結果を得た。
著者
久保田 正和
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

我々は在宅療養中の10名の糖尿病患者を対象に、看護師によるテレビ電話を用いた定期的な交信が、日常生活における患者・家族の食事や運動、服薬等の自己管理をサポートし、血糖コントロールにどのような影響を与えるかを検討した。介入3ヶ月後、10名の平均HbA1c値は、介入前に比べ有意に減少した(p<0.005)。また、介入3か月後の体重も介入前に比べ有意に減少した(p<0.0005)。対照群は外来通院のみ行った患者で、HbA1c 値、体重に変化は見られず、介入群のデータとは対照的であった。看護師による糖尿病患者遠隔指導は平均HbA1c値、体重を変化させ、血糖コントロールの改善に有効であることが分かった。
著者
正保 正惠
出版者
福山市立女子短期大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2003

現在進行している保育の社会化を社会全体で支援する社会を「子育て支援社会」ととらえると、支援の方向性として、(1)施設型保育:a 保育所の量の充実、b 保育所の質の充実(1)=生活空間化(幼保一元化を考えるときに問題となる給食システム、生活の見通しを考えることができ、また保育士の労働環境の改善にもつながる食寝分離、子どもの自己決定能力を高めるためのコーナー保育等) c 保育所の質の問題(2)=保育内容の現代化(女性労働の一般化、国際化、消費社会化など新しい保育ニーズに応えられるような保育内容の充実) (2)家庭型保育:a 保育ママ制度の充実 b ベビーシツター制度の充実、(3)(直接)・子育て支援:a 子育て支援センター等の相談事業等の充実 b 子育て支援組織のネットワーキングに整理することができる。このなかで、保育所の食寝分離については、日本では同じ教室で食事の後布団を敷いて寝るのが一般的であり、現在問題が気づかれ始めている段階である。アメリカでは簡易ベッドが用いられ、デンマークでは、乳児は乳母車・幼児はお昼寝をしないというそれぞれ別の方法ではあるが保育士の過重労働は避けられている。24時間保育については、今後圧倒的に増加していくという状況は考えにくいが、それでもそこに預けられて生活をしていく子どもたちが今よりは増加していくに違いない。そのためにも保育所の「生活空間化」は重要なタームとなるであろう。しかしながら、24時間保育は世界の保育の潮流とは逆行するものである。欧米では女性たちは社会進出を果たしつつも生活者として親として保育をする権利も捨てることなく職業生活についている。また、中間施設として保育ママ制度も活発に機能している。メインストリームとしては保育所の「生活空間」化を重視すべきであるが、補助的な支援のバリエーションを揃える必要がある。
著者
上原 三十三
出版者
愛知教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究では,体育授業における運動感覚能力の向上を目指した,なわとび運動の「連鎖交互回しとび」のデジタル教材を開発した。本教材は,次のように作成された。「連鎖交互回しとび」の多様な運動形態をモルフォロギー的な発生分析によって分類し,体系化した。「連鎖交互回しとび」の基本形態習得における学習つまずき事例を動感分析し,「できる」動感を誘う運動アナロゴンを構想した。本教材を用いて小中高校の体育授業を実践した結果,運動の得意でない生徒たちも,自分と相手の動きに気づき,動感内容を伝え合うなどの積極的な学習活動が認められた。
著者
岩堀 修一 菅谷 純子 小塩 海平 坂本 知昭
出版者
東京農業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

マンゴー果実をエチレン吸着袋で貯蔵すると、貯蔵期間が延長され、袋内の果実は呼吸、エチレン発生ともに抑えられた。果実を20Cと13Cで貯蔵すると、ACC合成酵素、ACC酸化酵素ともにまず遺伝子の発現が上昇し、ついで、酵素活性が増加、その後にエチレン発生が増加した。8C貯蔵で低温障害が認められ、完熟果より緑熟果のほうが早く出現した。緑熟果ではACC合成酵素、ACC酸化酵素ともに遺伝子の発現が著しく高くなった。
著者
加藤 修
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

この研究では、地域活性化ワークショップを大学の授業として取り入れ、学生に継続的な活動環境を確保することで、主体的に思考する機会と実践経験量を増やすことができた。それにより彼らは自己理解と他者理解、技術能力の向上とともに高い問題意識を持つように変化した。さらに2年目からの商店街との恊働による実践的課題との対峙、多世代間との交流によって、多角的思考力を身につけた。大学と地域の連携のあり方についても、両者にとってリアルな知識・文化・情報の接触領域として、街なかの「スタジオ」を創設し、その運営を継続している。
著者
奥山 輝大
出版者
基礎生物学研究所
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2012-04-01

採用1年目、2年目でメダカの配偶者選択行動の結果、メダカメスは見知ったオスを好んで配偶相手として受け入れることを見出し、その意思決定段階に終神経GnRH3ニューロンが関わることを明らかにしたが、この「個体の記憶に基づく意志決定のシステム」の進化的保存性については未知な部分が多い。そこで、一般化するためMIT利根川研究室においてマウスを用いた個体記憶に関する行動定量システムを独自に考案した。このシステムとオプトジェネティクスの手法を組み合わせて海馬での個体記憶を担う領域を同定した。まず初めに、マウスの個体記憶をアッセイする行動実験系として、社会性識別テスト(social discrimination test)と 侵入者テスト(resident-intruder test)の行動実験系 を立ち上げた。社会性識別テストは、マウスが新規な個体に強く接近することをアッセイするテストであり、 テストチャンバーのなかに新規個体と既知個体を入れたペンシルホルダーを設置すると、マウスは新規個体の周囲を好み、積極的に匂いを嗅ぐ。テストマウスの動きをチャンバーの上から録画した後、行動解析ソフトでマウスの鼻の位置をトラッキングし、鼻が sniffing areaの中にいた時間を自動で検出したところ、確かに有意に新規個体へと接近することを確認した。さらに、緑光刺激依存的に神経興奮を阻害する eArchT3.0タンパクを用いて、個体記憶を担う脳領域の探索を行った。AAVrh8-CamK2:eArchT-EYFP を顕微注入したマウスを用いて、 社会性識別テストと侵入者テストを行った結果、海馬の小領域の神経興奮を阻害したマウスは社会性識別テストと侵入者テストに異常を示した。
著者
益田 隆司 河野 健二 千葉 滋
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1996

本研究の目的は,近年になって注目されている次世代のオブジェクト指向技術である自己反映計算の技術を応用して,新たなソフトウェアの部品化の手法を開発することであった.本研究は,我々の研究グループで既に開発した自己反映計算に基づいた言語処理系OpenC_<++>を研究開発の基盤として利用した.まず,プログラムの部品間の依存関係をあらわすメタ情報を記述しやすくなるよう,OpenC_<++>の改良をおこなった.さらに部品化の対象となるソフトウェアの範囲を広げ,現状の自己反映計算の能力でもうまく部品化できないソフトウエアを部品化するのに必要な基礎技術の開発を行った.そのひとつとして,フランスの国立研究所LAASの研究グループと協力し,ソフトウェアの耐故障性を高める機能を部品化する研究,オペレーティング・システム(OS)のサブシステムを部品化する研究,分散ミドルウェアを部品化する研究を行った.OS機能の部品化では,実行時性能の他に,故障時の安全性が重要であり,実行時性能と安全性とを両立させる手法の開発を行った.また,OpenC_<++>のようにコンパイル時にメタプログラムを解釈実行する方式では,プログラムの実行時にしか行うことのできないソフトウェア部品間の保護を行うのは難しい.そのため,互いに保護を必要とするようなソフトウエア部品では,部品化することによって性能の劣化が起ってしまう.この性能劣化を押さえるため,部品間の保護を実現しながらも部品間の呼び出しによるオーバヘッドを削減できるような,仮想記憶機構を新たに開発を行った.
著者
東中野 多聞
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2001

本年度の研究成果の一つとして、「昭和十八年九月三十日の御前会議-国策と戦争指導の相剋-(附)オーストラリア国立戦争記念館所蔵、草鹿任一日誌」(『東京大学日本史学研究室紀要』第8号2004年3月)が挙げられる。従来、昭和十八年九月三十日の御前会議で決定した絶対国防圏については、陸軍と海軍の対立で語られることが多かった。そこで、陸海軍内部の上下対立や、中央と現地軍との対立に注目し、絶対国防圏の設定が日本の国家戦略上どのような意味を持っていたのかを明らかにした。それは、軍事的にみれば、ラバウルに地上部隊を投入するのと同時に、ラバウルを放棄するという矛盾に満ちた非情な決定であった。後方の防備を固めるためには、ラバウルで出来るだけ長く「持久」する捨て石部隊が必要であった。一方、政治的にみれば、絶対国防圏の設定によって陸海軍内部に亀裂が生じ、その結果、陸海軍大臣の統帥部長就任と、海軍中堅層の海相更迭運動とが発生した。そして、両者は、東条内閣総辞職の原因となる。オーストラリア国立戦争記念館に所蔵されている南東方面艦隊司令長官兼第十一航空艦隊司令長官草鹿任一中将日誌の一部の活字化も行った。草鹿は、ラバウルを中心とするソロモン方面の海軍作戦の最高責任者であり、現地軍の史料としてきわめて貴重である。本資料は、連合軍が戦後、草鹿より没収したため、国立戦争記念館に残されている。太平洋戦争においては制空権が重要な意味を持ち、その点では小さな島々の持っていた価値はきわめて高かった。これらは、航空機の発進基地となったのである。太平洋戦争は、いわば、飛行場の争奪戦であったといえる。小さな島々の陥落は、軍事的にも政治的にも大きな衝撃を国内政治に与え、国内体制の崩壊速度を加速させていったのである。
著者
泉 克幸
出版者
京都女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

本研究の目的は知的財産法を競争政策との関連で分析・検討するというものである。具体的なテーマとして、①知的財産権ライセンス時における独禁法上の問題、②知的財産の流通、③権利濫用や公序良俗理論と競争政策の関係、という3つを設定した。テーマ①に関しては、著作権の権利処理機関を競争政策の観点から分析した。また、公取委の最近の相談事例を分析した。テーマ②に関しては、電子書籍市場を素材に、著作権法を競争政策の観点から分析した。テーマ③に関しては、標準必須特許の権利行使を制限する手法として、権利濫用理論と競争法違反の両面から検討を行った。現在、本研究の総合的・最終的成果として論文を準備中である。
著者
今井 小の実 寺本 尚美 陳 礼美 大塩 まゆみ アンベッケン エルスマリー 孫 良 サンド アンブリット
出版者
関西学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

日本における”ケア”労働に関するジェンダー公平な政策を展望するために、ジェンダー平等な国と評価されるスウェーデンを指標に研究を進めてきた。具体的には高齢者介護、育児政策に焦点をあて、その現状と課題を現地調査、スウェーデン在住の研究協力者との共同研究により明らかにした。そのうえで、日本の現在の制度・政策との比較を試み、両国の相違をもたらす要因について考察を深めた。その一つとして、スウェーデンのケアに関わる政策、つまり家族政策形成の歴史を検証し、日本との比較を行った。これらの研究は、今後日本がジェンダー平等な政策を展開していく上での貴重な材料となるはずで一定の成果が得られたと考える。
著者
河野 至恩
出版者
上智大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-28

明治期から昭和戦前期における日本近代文学の欧米語への翻訳状況を総合的に分析し、当時日本文学の翻訳出版に関わった翻訳者や出版社などについて調査した。その結果、この時代の日本近代文学の翻訳の大きな動向のひとつとして、日本研究との深い関連があることを示した。例えば、二葉亭四迷『其面影』を英訳(共訳)した グレッグ・シンクレアについて、1930年代にハワイ大学で東洋学研究所の設立に関わるなど、当時の日本研究の展開に深く関わっていることが明らかになった。また、森鴎外の小説『百物語』(1911)における鴎外の「世界文学」意識を、当時の鴎外作品の翻訳状況に照らして明らかにすることができた。
著者
王 軍波
出版者
会津大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

既存のInternet of Things (IoT)・M2Mの研究では、ユーザに近いローカル側では状況認識と管理、タスクの最適化的な分配の手間を省くが、大量データの送受信による混雑、サービスレスポンスの遅延等の問題がある。これらの問題を解決するため、本研究は、(1)ユーザの状況を管理や認識するアルゴリズム、(2)ユーザに近いデバイスを利用し、タスクの最適化的な配分する方法、(3)災害時ユーザやネットワークの状況により通信ネットワークを最適化する方法などを開発しました。開発した技術を利用し、高齢者ケアサービスや災害時効率的に連絡手段として、活用することを期待してます。