著者
澤田 治美 久保 進 和佐 敦子 吉良 文孝 澤田 治 長友 俊一郎 澤田 淳
出版者
関西外国語大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究の成果は以下のようにまとめることができる。①モダリティに関して、「証拠性」に基づいた新しい分析視点を確立した。②英語だけでなく、スウェーデン語、スペイン語、ポルトガル語、フランス語、(古典)日本語など多岐にわたる言語資料を材料とした。③志向性、推意、言語行為論、驚嘆性、コントロ-ルサイクル、ダイクシス、会話分析、因果性、主観性、動機づけ、“modality packaging”、条件性など多様な概念や枠組みを用いて分析がなされた。
著者
長谷川 雅也
出版者
大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究は、宇宙背景放射(CMB)偏光成分の精密測定を通して原始重力波の痕跡をとらえる事を念頭に、現在世界最高レベルの感度を誇るPOLARBEAR-1実験による重力レンズ起源CMB偏光の精密探索と、POLARBEAR-1の性能を6倍に向上させた新しい検出器システム「POLARBEAR-2」の開発を目的に行った。POLARBEAR-1では、世界で初となるCMB偏光データのみを用いた重力レンズ起源の偏光Bモードの観測に成功した。またPOLARBEAR-2の開発では、世界最大級の焦点面検出器アレイの実現のために課題であった、光学系の構築と焦点面周辺の熱負荷の制御に成功し、開発をほぼ完了させている。
著者
坂井 教郎
出版者
独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2004

亜熱帯島嶼条件下にある沖縄農業において経営間の連携を進めていくためには,耕地面積の約半数を占めておりながら,他部門との連携が非常に希薄なさとうきび経営の連携構築が必要である。本研究では,さとうきび作における連携の主体を借地型の大規模経営と想定し,それが零細さとうきび農家や園芸・畜産経営と連携していくための課題や条件について検討する。ここでは大規模さとうきび経営が,作業の受委託を媒介にして零細経営と連携するための条件を明らかにするために,佐敷町のさとうきび農家の収穫方法,収穫規模に関する個別データを用いて,収穫方法別の生産実績の推移,農家の性格の違いを分析し,同地域における収穫委託の特徴と位置づけを明らかにした。結果は次のとおりである。1.零細生産者と中規模以上の生産者では収穫委託の位置づけが異なる。収穫を委託する零細な生産者は全ての収穫を委託する傾向があり,中規模以上の生産者は可能な限り委託を減らし,手刈できない部分のみを委託する。2.収穫を全委託する零細生産者の多くは5年以内でさとうきび作を廃止しており,多くの小規模農家にとって,収穫委託はさとうきび廃止の契機となつている。一方,さとうきびを廃止する生産者は,(収穫委託を経ず)手刈から直接辞める人が大半である。つまり収穫作業の委託とは関係なくさとうきび作を廃止している。このように収穫の受委託の推進によるさとうきび生産者数の維持の効果は限定的である。3.今後,高齢世代のリタイヤによる生産者の急激な減少が予想されるなかで,さとうきびの生産量を確保しなければならない状況にある。このようなかで収穫の作業受委託が前向きな意義を持つのは,収穫量の一部を委託する中規模以上の生産者に対してである。
著者
笹原 和哉
出版者
独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

イタリアの稲作では平均的な農業経営(43ha規模)で費用合計が65円/kgである。圃場を平らにする手段をしろかきからレーザーレベラへ転換したことにより、圃場1筆の拡大が容易であること、第二次世界大戦後の農地解放がなかったことを背景として、大規模化と省力化が進んだ。大規模化以外に種子、肥料、農機具が日本国内より低価格なこと、高密度の直播栽培と管理法の省力化が低コスト化の要因である。なお、現地では高密度播種条件でも倒伏を生じていない。
著者
野崎 久義
出版者
東京大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2009

一次共生植物が単系統であると示した既存のデータの再検討による再解析並びに自由性生活の無色ミドリムシ類PeranemaのESTデータの構築と利用を実施した結果、一次共生植物が単系統と解析されている原因が遺伝子進化速度が高い細胞内寄生虫や繊毛虫等の影響である可能性が示せた。また、色素体二次共生植物のクロララクニオン藻とミドリムシ藻で、それぞれ緑藻の二次共生以前の隠された紅藻の2または3次共生が核ゲノムの解析で明らかになり、二次共生植物の概念も刷新しつつある。
著者
瀧田 浩 藤井 淑禎 渡邉 正彦 石川 巧
出版者
二松学舎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究の具体的な成果として、研究分担者石川巧の著書『高度成長期の文学』(2012年、ひつじ書房)がある。本書にあるように、高度成長期における大衆の欲望は不可逆に変容し、文化もこれに伴い大きく変わった。私たちの研究は、この変容のプロセスを、文学を中心としてサブカルチャーまで領域を広げながらも、その変容を学術的・具体的に検証するものであった。中国の現在の高度成長と比較する視点が加えられ、本研究は他の研究には見られない独自なものとなった。
著者
波平 宜敬 HOSSAIN Md. Anwar HOSSAIN Md. Anwar
出版者
琉球大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2013-04-01

近年,医療用システムとして断層画像診断技術(OCT)が注目されている.OCT技術においての横分解能は,顕微鏡の開口数に依存するため,高開口数が必要とされている.OCTで使われる波長830 nm,1060 nm,1310 nm帯での高開口数用PCFの設計を,有限差分法(FDM)を用いた数値シミュレーションにより行った.本研究では,この数値解析モデルをOCTに応用することを提案している.OCTにおける画像明細度(分解能)は使われる光源とファイバスコープにより決められ,その光源がインコヒーレント,つまりスペクトルの広い光であればあるほど画像明細度(縦分解能)は上がり,そのファイバスコープが高開口数であればあるほど画像鮮明度(横分解能)は上がる.しかし,高開口数ファイバスコープをつくろうとしても,PCFは複雑な構造となり製造が難しいため大きな開口数を得られていないのが現状で,横分解能が不十分は状態であった.本研究では,眼科,消化器科,歯科に使われている波長830 nm,1060 nm,1310 nm帯における,OCTのため製造が容易な構造をもった高開口数ゼロ分散シングルモードPCFを推奨する.シミュレーション結果は推奨するPCF構造がOCTシステムの横分解能を向上させることを示している.なお,数値解析手法として有限差分法を用いた.波長830 nm,1060 nm,1310 nm帯における高開口数分散フラットPCFの数値シミュレーションを行った結果,高開口数を有するPCFであることが確認でき,このPCFをOCTに応用することによってOCTの横分解能を現在の20倍近く向上させることができた.
著者
平松 祐司 増山 寿 鎌田 泰彦 中村 圭一郎
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

糖尿病は年々増加し,わが国の国民病といっても良い状況にある.血糖を下げるインスリンは妊娠,多嚢胞性卵巣症候群,子宮体癌などの産婦人科疾患では,効かなくなるインスリン抵抗性が出現している.今回はこのインスリン抵抗性がこれら疾患にどのように関係しているかを研究し,そのメカニズムを明らかにし,一部の疾患では予防法の開発を目指した.また胎児期の栄養と将来の糖尿病,肥満の発症についても検討した.
著者
古川 敏明 土肥 麻衣子
出版者
大阪大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011

本研究の目的は危機言語の再活性化運動の成功例として論じられてきたハワイ語研究に相互行為の視座を導入することである。ハワイ語あるいは英語中心に展開する多言語会話を対象にして、会話の参加者が何を成し遂げたか分析した。その結果、分析者の視点からすると、複数の言語の要素を含んでいるように思われる発話行為であっても、会話の参加者は言語要素の切り替えに毎回、意味づけを与えるわけではなかった。つまり、主にハワイ語に帰属する資源を用いて話し続けて英語の要素を織り交ぜることも、その逆も、混淆した言語実践であり、参加者の視点からするとどちらも「ハワイ語する」ことであると結論づけられる。
著者
加藤 孝久 崔 ジュン豪 野坂 正隆 熊谷 知久 田浦 裕生 田中 健太郎 川口 雅弘
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

本研究ではDLC膜中にさまざまな元素を添加することで,DLC膜の構造・物性の制御を行った.また,構造制御により得られたDLC膜の機械的特性,物理的特性,吸着特性を明らかにした.DLC膜の作成は,プラズマCVD法,イオン化蒸着法,プラズマ利用イオン注入・成膜法などさまざまな手法と成膜因子を用いて行った.実験で作成したDLC膜の表面・バルク構造・機械的特性は,分子シミュレーションを用いて得られた結果と定性的によく一致することを示した.
著者
大園 誠一郎 高山 達也 寺谷 工 高岡 直央
出版者
浜松医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

腎細胞癌のバイオマーカーとして脳型脂肪酸結合蛋白質(B-FABP)を同定後、早期診断キット開発の第1段階としてB-FABPに対する特異性の高い抗体を作成し、尿を用いてB-FABPの発現を検討した。次いで、B-FABPの機能解析のため行ったプロモーター解析で、B-FABPの発現にBrn-2、NF1、YY1の関与が示唆された。癌の基本環境である低酸素状態でのB-FABPの機能解明のため、現在メタボローム解析を行っている。この解析結果から、さらなる発展が期待される。
著者
横井 勝彦 奈倉 文二 小野塚 知二 西牟田 祐二 田縞 信雄 松永 友有 倉松 中 永岑 三千輝 千田 武志 鈴木 俊夫 安部 悦生 西川 純子 斎藤 叫 秋富 創 高橋 裕史
出版者
明治大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、イギリス、ドイツ、オーストリア=ハンガリー帝国、アメリカ、日本の兵器産業と軍産関係ならびに武器移転の歴史に注目して、両大戦間期における軍縮破綻の構造を多角的・総合的な視点より解明することを目的としている。特に、武器移転の「送り手」と「受け手」の世界的な全体構造に焦点を当て、帝国史・国際関係史・経済史の総合化(共著刊行)による軍縮問題研究の再構築を試みた。
著者
久松 太郎
出版者
神戸大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

トレンズは、リカードウの諸理論を批判することもあったが、それらを受容し、自らの経済理論を提起していた。しかし彼のリカードウ解釈は、時おりその本来の意味からかけ離れていた。トレンズの言説は、J.S.ミルや20世紀の著名な経済学者たちの注目を集めたため、そのことがひとつの契機となり、誤ったリカードウ解釈が流布してきた可能性がある。とりわけ、国際経済学の教科書で「リカードモデル」として知られる比較優位の原理はリカードウ本人によって提示されたものであるとの誤った解釈の普及には、トレンズが間接的にかかわっていたと考えられる。
著者
江頭 伸昭 堤 国章 山本 将大
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究では、うつおよび糖尿病を考慮して、抗がん薬による末梢神経障害に対して予防および治療薬として有望な候補薬剤の探索を行った。その結果、抗うつ薬であるデュロキセチンや抗糖尿病薬であるエキセナチドが、抗がん薬であるオキサリプラチンによる末梢神経障害を改善することを見出した。さらに、胃潰瘍治療薬であるポラプレジンクが、抗がん薬であるパクリタキセルの抗腫瘍効果に影響せずに、パクリタキセルによる末梢神経障害を抑制することも明らかにした。
著者
山内 秀文
出版者
秋田県立農業短期大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1997

10年度はまず、9年度で明らかになった配向の乱れを改善するために、特に気流速度が遅い領域(3、5、10、20m/s)でのその原因について更に詳細に検討した。配向装置にフレーキングミルで作製したI.=48mm、w.=7.2mm、t=0.37mm、含水率15%のスギストランドを流し、高速度ビデオを用いて捉えた映像を画像解析した。目視では比較的良好に見えた20m/sの場合、装置中央付近を走行するフレークの配向度は向上するが、装置端部では壁際と中央部との気流速度の差からフレークにモーメントが作用し、回転する現象が見られた。実大で連続使用できるベルトの速度は最大でも10m/s程度と言われることから、この速度では捕集が困難であると判断できた。装置出口付近で高圧静電場(極板間距離200mm、極板数8枚、電圧30及び40kV)を併用した場合、電圧40kVでは配向の乱れを比較的よく改善できることが明らかになった。この効果は気流速度が遅い時により大きいが、速度が5m/s以下ではフレークが極板に吸引されてしまい、回路の詰まりが見られた。以上から捕集装置は1)気流速度は10m/s程度とし、40kV以上の高圧静電場を併用する、2)遠心力が作用する配向装置カーブ部分までつみ取りベルトを延長し、押さえベルトを設置する、3)押さえベルトの直前、直下に高圧静電場を発生する極板を設置する、とし現在設計に入っている。さらにボード製造装置としての評価のために、同じフレークにイソシアネート樹脂接着剤を塗布し、気流速度10m/s、40kVの高圧静電場を作用させて、比重0.45及び0.7、厚さ9rIlmのOSBの製造を行った。現在の段階では出口での捕集が不完全で配向度が上がらず、配向方向と直交方向のMOE比は1.3-1.6倍であったが、既存OSBより低比重でMOE及びMORの絶対値は遜色なく、スギのボード原料としての適正を確認した。
著者
中川 真一
出版者
独立行政法人理化学研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

網膜の最もマージン側の領域には長期間にわたって多分化能と分裂能を保つ網膜幹細胞が存在しており、それらは分泌性のシグナル分子であるWnt2bによって維持されている。本研究においては、Wntの下流で働いている転写因子に注目し、それらが作るネットワーク構造を解明することを目指した。その結果、Wntによって活性化されるβ-catenin/LEF1複合体がc-mycを含む複数の転写因子群を活性化していること、それらが協調して転写抑制因子であるc-hairy1を活性化していること、c-hairy1はWntの幹細胞維持活性を細胞に伝えるためのノードとして働いている事などを明らかにした。
著者
陣内 雄次
出版者
宇都宮大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究では、S応急仮設住宅(福島県いわき市)の集会所にて、月1回交流イベントを開催し参与観察によりデータ収集した。また、中越地震等過去被災地での現地調査を行った。26年度には子ども参画による復興コミュニティづくりのあり方を探求した。その結果、子ども参画のまちづくりには、大人のサポートが重要であることが分かった。加えて、復興まちづくり関係者が参画するシンポジウム等を開催した。今後の復興まちづくりでは被災地の経済的自立、多様な主体の交流の場の必要性が指摘された。平成27年度は、研究報告書を作成、研究成果のエッセンスをまとめたブックレット『私たちが、復興まちづくりで、できること。』も作成・印刷した。
著者
舩津 賢人 北川 一敬 松原 雅昭
出版者
群馬大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究の目的は、先進的な空間的時間的発光分光計測技術により、高エンタルピー流中のケイ素系超高温耐熱材料周りに生ずる極めて強い発光現象を解明することである。主な研究成果は、次のとおりである。(1)高エンタルピー流中のケイ素系超高温耐熱材料の加熱試験における強い発光現象を複数の波長フィルターと汎用ビデオカメラにより空間的時間的な発光強度分布を取得した。これらの発光強度分布の強度比からケイ素系超高温耐熱材料の温度分布を推定した。(2)高エンタルピー流中のケイ素系超高温耐熱材料の加熱試験における強い発光現象を二波長分光光学系により空間的時間的な発光強度分布を取得した。
著者
川上 昭吾
出版者
蒲郡市生命の海科学館
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2012

1研究目的前年度に開発したカリキュラムを小学校と中学校で実践して評価を行うとともに、外国の先進例から示唆を得ることを目的とした。2研究の成果(1)科学館で「顕微鏡の達人」講座を開設した。合計9回実施した内容について、30人全員が「満足」、「いろいろなことを知ることができた」、「おもしろかった」と答えた。講座の内容は、「難しかった」が13人、「どちらとも言えないが」13人で、難しいと思いつつも、いろいろ知ることができ、高い興味関心をもつことができ、満足している。実施者の評価:顕微鏡の操作が確実に上達し、研究も深くすることができており、優秀性を育てることができた・科学館では得意分野を伸ばすことができる。このような活動の意義は高い。(2)学芸員による学校の授業実践蒲郡市内はもとより、近隣の小、中学校で化石や地層に関する理科授業を実施した。子ども達は、学芸員の持つ深い学識に触れ、満足していた。この活動の意義も高い。(3)学校の理科学習への助言田原市立中山小学校5年生の「大地の作り」の授業で、化石はどうしてできるかという発展学習の助言をした。足下の大地の作りが深く理解できた子ども達は感動していた。発展学習によって子どもが理科好きになることが確認できた。(4)研究成果を科学絵本として発行するために(平成25年度中に出版)、写真撮影を行った。(5)先進例の調査イタリア、国立レオナルド・ダ・ビンチ博物館を視察した。イタリアの威信をかけて作られた巨大な博物館であるが、子ども達の学習場所を9ヶ所も用意したり、スタッフが応対するなど受け入れ態勢を整えていた。社会全体で科学を追究するという教育的な環境を高めていくことの意義が大きいことを確認できた。
著者
森脇 久隆 清水 雅仁 高井 光治
出版者
岐阜大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

1. リン酸化型RXRα蛋白発現がマウスES細胞に及ぼす影響:はじめに、doxycycline投与によってリン酸化型RXRαの発現調節が可能なクローニングベクターを作製し、リン酸化型RXRα誘導性ES細胞およびマウスの作製を作成した。リン酸化型RXRα蛋白がRARE, RXRE, PPREプロモーター活性に及ぼす影響について検討したところ、RXRE, PPRE活性の明らかな低下を認めたが、RAREへの影響は認めなかった。次に、マウスES細胞を分化培地で培養し、doxycycline投与の有無による細胞増殖への影響について検討したところ、リン酸化型RXRα蛋白発現群では、非投与群に比べて優位な細胞増殖の増加を認めた。また、リン酸化型RXRα蛋白発現群では、alkalinephosphatase染色に陽性を示す、比較的未分化な形態を保った細胞の出現を認めた。2. リン酸化型RXRα蛋白の肝発癌感受性に関する研究:我々が作成したトランスジェニックマウスを、リン酸化型RXRα mutant発現群(Rxrα/+; Rosa/+)と対照群(Rosa/+)の2群に分け、Diethylnitrosamine(DEN: 25mg/kg、生後15日腹腔内投与)で肝腫瘍を誘発した後、4週齢より0.2% doxycyclineを飲水投与し、月齢6ヶ月にて屠殺を行った。各群の肝腫瘍発生率、腫瘍最大径、総腫瘍数について肉眼的に評価を行ったところ、肝腫瘍は各群とも全例に認められたが、総腫瘍数についてはRxrα/+; Rosa/+群において、Rosa/+群と比べ明らかな増加を認めた。また、腫瘍最大径、肝重量についてもRxrα/+; Rosa/+群での増加を認めた。以上の結果から、リン酸化型RXRα蛋白はDEN誘発肝腫瘍形成の過程において促進的に影響しうる可能性が考えられた。