著者
田北 廣道
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究では、ドイツ化学工業を舞台とした認可闘争において参加主体とゲーム・ルールの双方で1880年代が一大分岐点をなすことを明らかにし、Uekotter(2007)やBayerl(1994)が主張する「環境史の分水嶺としての第二帝政期」や「大工業の序曲」の所説を再確認した。主要な成果は、1)科学技術の素人集団である「地区委員会」が審査窓口となったこと、2)現地状況に代わり科学技術が審査基準となったこと、3)認可闘争は下火に向かったこと、の3点に要約できる。
著者
高橋 雅樹
出版者
静岡大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2003

本年度は、これまでに疑似結晶分子構造を有するアントラセン-ペリレンデンドリマーの光捕集分子機能を応用した「多チャンネル分子センサー」の基礎概念の確立を試みた。具体的には、ペリレンをコアに配し、その両末端に2残基のアントラセンを配したアントラセン-ペリレン連結体を「多チャンネル分子センサー」として構築し、その内部に発現するエネルギー捕集を伴った分子センサー機能の開発について検討を行った。まず、「アントラセン-ペリレン連結体」の基本部分であるアントラセン及びペリレン単体化合物のセンサー機能について検討を行った。各化合物の構造末端にセンサーのスイッチ機能の役割を果たすアミノ基を導入し、pH変化による蛍光発光強度の変化について検討した。その結果、各分子への塩酸を始めとした酸の添加により、アントラセン単体分子では約10倍、ペリレン単体分子では約2倍の発光強度の増加が認められ、アミノ基によるスイッチ機能が利用可能であることを確認した。つぎに、これらの発色団がアミノ基を介し結合した構造を有する「アントラセン-ペリレン連結体」について、pH変化による蛍光発光強度変化について検討を行った。励起波長をアントラセンの吸収領域に合わせ蛍光発光測定を行った場合、pH変化に関わりなく一定強度のペリレン発光を与える一方、励起波長をペリレンの吸収領域に合わせ観測を行った場合、pH変化に応じペリレンの蛍光発光強度が増減しセンサー機能の発現が認められた。以上のことから、「アントラセン-ペリレン連結体」は、測定に用いる励起波長に応じ、センサー機能と非センサー機能の使い分けが可能な「多チャンネル分子センサー」として有用なナノフォトニクス分子素子であることを明らかにした。
著者
池添 貢司
出版者
独立行政法人情報通信研究機構
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

霊長類の左右の眼それぞれに投影される外界の像の間には、ずれ(両眼視差)が生じる。両眼視差は奥行き知覚ための手がかりとなり、多くの視覚関連領野で処理される。本研究課題では、両眼視差情報の情報処理に関わる神経回路を解明するための計測技術として、げっ歯類などの小動物で用いられていた生体内2光子カルシウムイメージング法をサルの視覚野で確立した。この方法を用いてサルの一次視覚野細胞の、応答特性に基づいた空間的な配列を細胞レベルの分解能で明らかにし、論文発表を行った。
著者
野村 竜也 山田 幸恵 鈴木 公啓 神田 崇行
出版者
龍谷大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

対人不安・評価懸念の高い人間がどのような状況で人よりもロボットを好むかについて、心理実験による検証を試みた。本研究の最終目標である人間カウンセラーへの誘導を考慮し、個人の悩み等の自己開示を要求する実験を設定、人相手・ロボット相手による条件間での様々な指標による比較を行った。結果として、対人不安の高い人ほど人前よりもロボットの前で話すほうが緊張が低下する傾向にあることが確認された。これと並行して、ロボットが人よりも好まれる業務場面についての大規模サンプルによる社会調査を行い、対人不安の高い人は多くの場面で人よりもロボットとの対話を望む傾向が確認された。
著者
吉野 孝 林 良彦 山下 直美
出版者
和歌山大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

多言語間コミュニケーションの方法として,機械翻訳を用いる方法と用例対訳を用いる方法がある.本研究では,多言語間コミュニケーションの高信頼化のために,折り返し翻訳の高信頼化に関する研究,多言語用例対訳の高信頼化に関する研究を行った.さらに,上記の研究成果を応用した,医療分野および教育分野を対象とした多言語支援ツールの構築に関する研究を行った.
著者
桝 飛雄真 東屋 功
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究は、有機結晶における結晶多形現象を積極的に利用し、結晶のキラリティー制御を実現することを目的とした。水素結合性部位を有する芳香族スルホンアミド等を合成し、キラルな結晶多形が生じる例を見出した。また嵩高いアダマンタン骨格をコアに持つフェノール性分子とピリジン誘導体を共結晶化し、らせん型連鎖構造の形成を行った。またイミダゾリウム系イオン液体において、冷却時に発現する準安定結晶構造と、その熱的挙動を明らかにした。
著者
佐藤 進 内田 勝 河村 希典
出版者
秋田県産業技術センター
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

新規液晶光学デバイスの実現を目的として、インピーダンス回路網モデルによる液晶分子配向のシミュレーション法を開発し、様々な液晶光学デバイスにおける光学特性のシミュレーション解析を行った。また、サブ波長強誘電体ナノ粒子の分散配置を行い、電極と液晶層間に誘電率やインピーダンスが分布している層を形成した液晶セルを構成した。電極間に電圧を印加した時に液晶層に誘起される実効屈折率分布や光学特性を測定し、プリズムやレンズ効果等を得ると共に、種々の光学デバイスを提案することができた。
著者
二本杉 剛
出版者
大阪大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2007

ヒトの社会行動の源泉を明らかにすることは、社会経済の制度設計において大変重要である。制度にどのようなインセンティブを含めるかにより、制度の効果は大きく異なる。ヒトの社会行動の源泉を知ることができれば、制度の目的に沿ったインセンティブを知ることができる。本研究では経済実験の手法を用いて観察されているいじわる行動と親切行動を中心に社会行動の源泉を明らかにする。いじわる行動とは、自己の利得を少し下げてまでも相手の利得を大きく下げようとする行動であり、親切行動とは、自己の利得を少し下げてまでも相手の利得を大きく上げようとする行動である。今年度は、実験結果を投稿して、現在、改定要求に対して検討しているところである.また、経済セミナー(経済学の雑誌)及び臨床精神医学、こころの科学(神経科学の雑誌)に研究成果をわかりやすくかつ簡略化して掲載した。実験結果は以下の通りである。被験者は親切にされたときには、吻内側前頭皮質の後部領域の活動があった。この脳領域は、モニタリングやコンフリクトに関わることが先行研究からわかっている。我々の実験は、正の互恵関係がある実験デザインであるため、被験者は将来より良い行動ができるように相手の行動をモニタリングしていたことがわかった。また、相手の親切行動に何かしらの奇妙な意図があると捉えていたことがわかった。つまり、親切にされることとは不自然なことであり、理解し難いことであると認識しているということである。
著者
谷本 道哉
出版者
独立行政法人国立健康・栄養研究所
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2006

本研究の目的は、比較的軽負荷強度で行う筋発揮張力維持法(Low-intensity resistance exercise with slow movementand tonic force generation:LST)を用いたレジスタンストレーニングの動脈・血管系に与える影響について調べることであった。以下の横断研究と運動介入から以上の検証を行った。横断研究結果30歳-50歳の男性中年者層の、(1)主にLSTに近い形態でのレジスタンストレーニングを十年以上続けている競技ボディビルダー(BB群)、(2)主に高負荷を用いたレジスタンストレーニングを十年以上続けている競技パワーリフター(PL群)、(3)定期的な運動習慣のない対象群(CON群)の3グループにおける動脈硬化度等の測定を行った。動脈硬化度を示す動脈スティッフネスはBB群、PL群においてCON群よりも有意に高かった。運動介入研究結果定期的な運動習慣・喫煙習慣のない男子大学生を用いて、(1)LST法を用いた全身のレジスタンストレーニングプログラムを行う群(LST群)、(2)高負荷を用いた通常の全身のレジスタンストレーニングプログラムを行う群(HN群)、(3)運動を行わない対象群(CON群)の3群を用いて週2回・3ケ月間の運動介入を行った。LST群においてHN群と同等の有意な筋肥大と筋力増強効果を認めた。動脈硬化度の指標である脈波伝播速度(PWV)はLST群においてのみ有意な低下(硬化度の改善)が認められた。CON群においてはいずれの測定指標においても実験期間前後に有意な変化は見られなかった。以上より、運動介入実験から、LSTでは通常の高負荷を用いたHNと同等の筋肥大・筋力増強を達成しながら、動脈硬化度に望ましくない影響を与えないことが確認された。横断研究において、LST的なトレーニングを主に行うBB群において動脈硬化度が高かったことは、BB群がLST的なトレーニング以外のトレーニングにもこ高負荷重量を用いたトレーニングも行っているためと考えられる。
著者
西田 周平 西川 淳 大塚 攻 澤本 彰三 佐野 雅美 宮本 洋臣 MULYADI RUMENGAN Inneke FM YUSOFF Fatimah MD ROSS Othman BH SRINUI Khwanruan SATAPOOMIN Suree NGUYEN Thi Thu NGUYEN Cho CAMPOS Wilfredo L. METILLO Ephrime
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

全海洋中で最も生物多様性が大きいが、人間活動や気候変動の影響も顕在化しつつある東南アジアの沿岸生態系を対象とし、動物プランクトンの種多様性に関する定量的知見を拡充した。既存試料の分類学的、遺伝学的、生態学的分析と補足的現地調査により、約20種の未知のカイアシ類を発見・記載し、既知種にも遺伝的に分化した隠蔽種が存在することを見いだした。また、既存の試・資料の分析・整理により新たに約16,000件の定量分布データを電子化した。ヤムシ類については、インド太平洋海域における種多様性の分布を明らかにするとともに、環境要因から種多様性(種数、多様度)を推定するためのモデルを作成・公表した。
著者
西尾 信彦
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

データセンターにおいてホストの台数を増やすことでその分だけ性能を向上できるグラウド技術を、クライアントホストのLAN内にホストを増やすだけでプロセッサ性能とメモリ容量を容易に向上できるように拡張することを目標に、近年需要が爆発的に拡大しているWebアプリケーションをターゲットとしてそのタブを傍らのホストの台数に応じていくら増やしてもプロセッサ性能、メモリ性能が低下しないような実行環境をChromeブラウザを拡張することによって実現した。またこのブラウザの拡張機能を用いてWebブラウズの履歴を分析可能にし、Web閲覧時の個人特化された機能の実現にも寄与させた。
著者
北川 貴士
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2003

東部太平洋で漁獲されたクロマグロの腹腔内にアーカイバルタグを装着し、2002から2004年の7-8月に合計300個体を放流し、これまでに再捕・回収された90個体のタグに記録された水温、遊泳深度、腹腔内温度の時系列データを解析した。クロマグロは表層混合層内で夜間は表層,昼間は摂餌のためより深い水深を遊泳しており,照度の昼夜変化に応じて,遊泳深度を日周期的に変化させていた。一方,水温躍層の発達する夏季は,躍層付近での急激な水温変化を避けて一日の大半を表層で過ごし,昼間は照度のなくなる水深まで5分程度の短時間の潜行を繰り返すようになった。夜間,クロマグロの平均遊泳深度と月齢とに有意な相関が認められた。しかし,摂餌はほとんど行なわれなかったことから,月の照度によって遊泳深度を変化させる行動は,捕食者から身を隠すためのものと推察された。またクロマグロは日出時と日没時にも必ず潜行を行ったが,摂餌は見られなかった。彼らの視細胞の明・暗反応の切り替えには多少時間がかかるため,急激な照度変化にさらされると,彼らは一種の盲目状態に陥ることが報告されている。よってこの鉛直移動は,朝夕の照度変化を避け,一定の照度環境を保つための補償行動ではないかと思われる。以上のようにクロマグロは時間的・空間的な照度変化を巧みに利用して,"食うこと"と"食われないこと"を満たしていると考えられた。東部太平洋の鉛直構造や餌分布様式ならびにバイオマスと本種の遊泳行動との関係や生息環境が本種の体温生理に与える影響を調べるため、平成17年3月から9月までアメリカ、スタンフォード大・ホプキンス臨海実験所、バーバラ・ブロック博士の研究室に滞在し、逐次再捕され回収に成功した遊泳水深、環境水温、体温などの時系列データの解析も行った。
著者
坂井 南美
出版者
東京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

最近の研究で、低質量Class 0原始星近傍の化学組成に多様性があることがわかってきた。本研究では、その1つの典型であるWarm Carbon-Chain Chemistry(WCCC)天体に着目し、その起源と、Class I段階への進化について観測的に調べた。主な結果は以下のとおりである。まず、WCCC天体IRAS15398-3359の近傍に炭素鎖分子に恵まれる若い星なしコアLupus-1Aを発見した。もう一つのWCCC天体L1527にも同様の星なしコアTMC-1が存在することを考えると、この結果はWCCCが星形成時の速やかな収縮に起因していることを支持する。第2に、WCCC 天体L1527について、炭素鎖分子の分布をPdBI干渉計によって高空間分解能観測で調べた。その結果、炭素鎖分子の分布は原始星近傍に集中しており、CH_4の蒸発によってWCCCが引き起こされていることが確かめられた。さらに、原始星へ落ち込むガスの中にも炭素鎖分子が存在することがわかった。このことは、炭素鎖分子が原始惑星系円盤にもたらされる可能性を意味する。また、実際に進化の進んだClass I天体で、WCCCの進化形と考えられる天体を探したところ、実際にその候補をL1527の近傍に見出すことができた。本研究により、WCCC天体が原始惑星系円盤に向けてどのように進化するかという問題に対して、重要な知見を得ることができた。
著者
宗岡 寿美
出版者
帯広畜産大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1999

本年度は調査の最終年度にあたるため,調査事例の少ない十勝地方を対象として,水田地域における農業用水(畑作流域河川)・水田排水および畑作地域における雨と雪の水質成分について調査した。また,釧路・根室地方における酪農流域河川の土地利用と水質環境についての経年調査をもとに,北海道東部の畑作・酪農流域河川の水質水文的評価に供した。なお,本研究では,主として窒素とリンを指標として評価・考察を進めた。まず,水田地域における農業用水(畑作酪農流域)はT-N濃度≒0.41〜3.7mg/L,T-P濃度≒0.11〜0.5mg/L,一方,水田排水はT-N濃度≒0.24〜5.0mg/L,T-P濃度≒0.06〜0.54mg/Lとなり,施肥・代かき直後を除いて,水田は河川水質を汚濁するものではないと考えられる。帯広畜産大学構内における降水中の窒素・リンについてみると,降水量は1170.0mm,T-N濃度=0.55mg/L,T-P濃度=0.021mg/L,pH=5.8であり,降水からの窒素のインプットはT-N=643.5kg/km^2・yである。酪農流域河川の水質濃度は,酪農流域・改修河川の2流域でT-N濃度=1.36mg/L・1.64mg/L,酪農流域・自然河川ではT-N濃度=1.03mg/L,林野流域・自然河川ではT-N濃度=0.29mg/Lとなった。北海道東部における畑作・酪農流域河川の水質環境を保全するとき,汚濁負荷発生源の除去・抑制が優先課題となる。しかし,汚濁負荷発生源が同程度の場合には,自然河川が有する水質浄化機能や河畔域の緩衝帯による汚濁物質の河川への流入抑制効果などを積極的に発揮すべく,土地利用を再構築していくことが必要であろう。
著者
安藤 知子
出版者
上越教育大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2002

昨年度に引き続き、S県S市M中学校における観察調査を実施した。今年度は、隔週ごとに2〜3日のペースで訪問し、二つの観点から軸を設定して焦点化したデータ収集を行った。第一の観点は「地域教育改革」の影響である。S市では今年度から、市内中学校で通学区の弾力化(5月から9月までの間、転校を理由を聞かずに認める)を実施することになった。このため、特に1学年の学級経営計画で転校を想定せざるをえず、教育改革によって子どもに寄り添った教育実践が妨げられているという意識が若干観察された。この制度改革は、保護者が学校を主体的に選択する機会の導入によって、各学校が教育活動の特色を明確にし、保護者や地域住民との深い信頼関係を構築するよう意図するものであったが、現実には教職員の意識を変えるような契機にはなりえていないことがうかがわれた。第二の観点は、組織内部でのコミュニケーションの態様である。M中学校の場合には、多くの活動が計画的合理的に遂行されるというよりは、状況に応じてその場にいるメンバー間で臨機応変に解決される様子がうかがわれた。このことが、学校組織の役割規範を柔軟で解釈の幅のあるものにするため、個々の教員にとっては、〔子ども理解〕と〔学校の組織成員としての役割〕間での葛藤を引き起こさずに済むように機能しているものと考えられた。しかし、このような解釈の幅広さが反面では行動選択の難しさにつながる場合もあり、この点が課題でもあることが明らかになった。これらの研究成果のうち、第一の観点に関連して日本学校教育学会機関誌第19号で報告した。また第二の観点を含めて、教員個々人の意識や学校の組織文化等に着目した研究成果を大塚学校経営研究会等で発表しているが、この点については、今後さらに詳細な分析を進める予定である。
著者
宮崎 育子 浅沼 幹人 中村 一文
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

農薬でミトコンドリアComplex I阻害剤であるロテノンを慢性皮下投与したラットを用いた検討により,ロテノン神経毒性は中枢よりも末梢神経の方が脆弱であること,また中枢神経系と同様に,腸管神経叢周囲にもGFAP陽性アストログリアが存在し,ロテノン神経障害発現に伴って,GFAP陽性アストログリアの活性化が惹起されることを明らかにした.初代培養細胞を用いた検討により,ロテノン神経毒性発現にはアストログリアが関与しており,とくに中枢神経系においては,ロテノン曝露により中脳アストログリアから特異的に分泌される何らかの因子がドパミン神経障害を惹起すること,さらに抗酸化分子メタロチオネインがこのドパミン神経障害を阻止しうる分子であることを見出した.
著者
荒牧 草平
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

教育達成に対する拡大家族(祖父母やオジオバ)の影響について、全国規模の社会調査データを用いて分析を行った。その結果、性別や年代にかかわらず、親の影響をコントロールしても、拡大家族の直接効果が観察された。これらの効果が、日本の伝統的な家族制度を背景とした、拡大家族成員から子どもへの直接的な影響(経済資本や文化資本の伝達)をとらえているという理解は分析結果とは整合しなかった。むしろ、彼らが親の準拠集団となり、子どもに対する親の教育期待形成に影響することを表していると解釈するのが妥当だと考えられた。
著者
永沼 充 横山 章光
出版者
帝京科学大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

動物を模したエンタテインメント用ロボットを遠隔操作することにより、高齢認知症患者のリハビリテーションをメンタルな側面からサポートするシステムを提案し評価した。療法士が操作するシステムではタイムリーなレスポンスにより患者との間に関係性を築くことにより生き物感を醸成し、患者自身が操作するシステムではリハビリに対する患者の自発性を誘発することに狙いがある。いずれも、高齢者施設での試行によりその有効性が示された。
著者
山本 伸次
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2011

昨年度から引き続き、冥王代(40億年以前)の初期地球大陸進化を解読するため、西オーストラリア・ジャックヒルズ地域における礫岩サンプルから大量のジルコン鉱物を分離し、LA-ICP-MSによるジルコンのU-Pb年代分析、およびレーザーラマン・SEM-EDS・EPMAを用いてジルコン中に含まれる微小包有物分析を行った。1000粒を超える包有物同定をおこなっているが、未だマイクロダイヤモンドは検出されていない。ここにきて、本研究の当初の目的であったジルコン中のマイクロダイヤモンド包有物(Menneken et al., 2007)は、これらは作業中のコンタミネーションであったとする論文が2013年12月に出版され、Menneken氏提供のサンプルから確認された(Dobrzhinetskaya et al. 2014)。痛恨の極みであるが、一方で本研究の詳細な包有物同定の結果、冥王代ジルコン中にはこれまで見落とされてきた初生的なアパタイトが残存していることが判明した。アパタイトの微量元素濃度は母岩の化学組成を強く反映する為、ジルコン母岩の推定が可能である。これまでのところ、40億年以上の年代をもつ冥王代ジルコン315粒中に初生アパタイト14粒を見出し、それらのEPMA分析を行った。アパタイトのY203およびSrO濃度は負の相関を示し、それぞれ0.02-0.91wt%, 0.08から検出限界以下(0.04wt%)であった。特に、高いY203濃度(>0.4wt%)かつ低いSrO濃度(〈0,02wt%)をもつアパタイトは珪長質な岩石(sio2 >65 wt%)に限られることから、本研究の結果から、少なくとも42億年までには花崗岩が存在していたことは確実であることが判明した。さらに、ジルコン中の詳細な包有物分析の過程において、衝撃変成作用を被った特徴的な組織(granular-textureおよびplaner deformation features)を有するジルコンが、数は僅かではあるが存在することが判明した。従来、これらは隕石クレーター近傍や遠方のイジェクタ層から多数報告されているが、ジャックヒルズ堆積岩からは未だ報告されていないため、世界初の報告として日本地質学会にて発表した。上記2点の分析を進めることで、冥王代における大陸地殻の成長と破壊の具体的な描像が解読できるものと思われる。これは、当初の申請書記載の研究目的に他ならない。現在、この2点の結果について論文提出の準備を急いでいる。
著者
吉野 諒三 松本 渉 林 文 山岡 和枝 鄭 躍軍 佐々木 正道 林 文 山岡 和枝 佐々木 正道 鄭 躍軍 前田 忠彦 土屋 隆裕
出版者
統計数理研究所
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2006

急変する世界情勢を考慮し、特に日本と他の東アジアやその周辺諸国の人々の価値観、対人的信頼感など人間関係に関する意識、自然観や生命観など、各国の人々の意見を、偏らずに集約する統計的方法にもとづいて面接調査を遂行した。政治体制と国民性との交絡など多様な側面が明らかなってきたが、特に、洋の東西を問わず、「家族の大切さ」の普遍的価値が浮き彫りとなった。我々は、これを「文化の多様体解析」としてまとめあげた。