著者
野崎 智義 洲崎 敏伸 坪井 敏文 守屋 繁春 津久井 久美子 松崎 素道 橘 裕司 石田 健一郎 小保方 潤一 橋本 哲男 金子 修 稲垣 祐司 井上 勲 永井 宏樹 黒田 誠 永宗 喜三郎
出版者
国立感染症研究所
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2011-04-01

真核生物の進化、及び、オルガネラ(細胞内小器官)の進化は、生物学の最も重要な基本命題である。一般に葉緑体・ミトコンドリアなどのオルガネラは細菌の内部共生によって生まれ、真核生物に革新的な代謝機能を与えた。本研究は(1)オルガネラ進化につながる一次・二次共生関係を生物界から広く検出し、共生を可能とする仕組みを理解する、(2)進化過程にある共生・寄生オルガネラの機能と維持機構を解明する、(3)「内部共生体に駆動される真核生物進化」という新しいパラダイムを確立する、(4) オルガネラ移植等の細胞工学手法による試験管内生物進化に必要な技術基盤を確立することを目指し研究を展開し成果を生んだ。
著者
大八木 篤
出版者
岐阜薬科大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2010

ヘパリン結合性上皮成長因子(heparin-binding epidermal growth factor-like growth factor : HB-EGF)はEGFファミリーの主要な増殖因子の一つである。HB-EGFは海馬や大脳皮質、小脳など中枢神経系で高い発現を示すことから、神経細胞のネットワーク回路の構築や高次脳機能への関与が示唆される。そこで、前脳選択的にHB-EGF欠損させたマウスを作製し、中枢神経系の高次脳機能におけるHB-EGFの役割について検討した。これまでの研究で、前脳選択的HB-EGF欠損マウスはプレパルスインヒビションの低下などの諸種の行動変化、脳内モノアミン含量の変化および大脳皮質のスパイン密度の減少を示した。また、HB-EGF欠損マウスはモーリス水迷路試験および受動回避試験における記憶力の低下や海馬CA1野における長期増強(LTP)が低下することが分かった。また、HB-EGF欠損マウスの海馬ではCa2+/カルモジュリン依存性キナーゼII(CaMKII)およびグルタミン酸受容体GluR1のリン酸化が低下していた。一方、HB-EGF欠損マウスは野生型マウスと比べて脳虚血障害の悪化や、脳虚血によって誘発される脳室下帯(SVZ)における神経幹細胞の増殖が低下していた。以上のことから、HB-EGFが中枢神経系において記憶や情動などの高次脳機能に関与することが初めて示された。このことから、統合失調症や他の神経疾患に対してHB-EGFが新たな治療ターゲットとなりうることが示唆された。
著者
島崎 研一郎 徳富 哲 長谷 あきら
出版者
九州大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2005

本特定領域研究では、フォトトロピンやLOV光受容体を研究対象にする生物物理学者、細胞生物学者、植物生理学者など第1線の研究者を一同に会して、光情報受容から様々な生理応答反応へ至る過程を、システマティックに研究してその全体像解明に迫り、この研究分野で世界をリードする事を目的とした。おもに、以下の結果が得られた。1)LOV1ドメインなどの一部の結晶構造を解き、分子全体構造に関しても重要な知見を得た。LOVドメインの光反応はほぼ解明した。さらに、キナーゼの光活性化機構の概略を明らかにした。2)各生理学的応答反応過程に関して、葉緑体光定位運動では、光によるアクチン繊維の再構築が原動力を与え、それに関与する因子が同定されるなど研究の大きな進展が得られた。気孔開口に関しては、photから開口に直接関与する細胞膜H^+-ATPaseへ至る経路の概略が明らかにされた。この研究過程で、アブシジン酸を介した気孔閉口シグナル伝達系とのクロストークが明らかになった。上記光応答反応以外にphotは、葉の太陽追尾運動、葉定位運動、マメ科植物における葉の光誘導性運動、柵状組織の形成、核の運動反応などの光受容体として機能することを発見した。3)新規LOV光受容体オーレオクロムを見つけ、その機能を解析した。以上の成果はPub Medのphototropinをキーワードにした文献検索によれば、2005年初頭より2010年7月までに全世界で総計185報の論文が発表され、この中で本特定領域研究の著者に含まれる論文は61報と、実に3分の1を占めた。班会議を開催し、これまでの成果をまとめた。この5年間の代表的論文を各研究代表者5編以内に限り、冊子体中にまとめた。
著者
西田 康二 藏野 和彦 福室 康介 稲川 太郎
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

この研究では、3次元正則局所環(または多項式環)において高さが2のイデアルIをとり、任意の整数nに対してIの記号的n乗を計算する新たな方法を見出すと共に、Iの記号的リース代数のネータ性に関するHunekeの判定法を改良することを目指した。初年度の研究では、複体の*変形を用いて通常のべき乗の自由分解から記号的べき乗の自由分解を導く為の具体的な手順を見出し、翌年度は記号的リース代数のネータ性について新しい判定法を与えた。3年目の研究では、それまでに得られた結果の実用性を具体例に適用することによって確認し、最終年度にはネータ環でない記号的リース代数を持つイデアルのクラスを拡張した。
著者
家本 真実
出版者
摂南大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

アメリカ著作権法では、他人の著作物を許諾を得ずに使用し、新たな著作物を制作しても、フェア・ユース(公正な使用)であるとされれば著作権侵害とならないことを定めている。しかしどのような場合にフェア・ユースだと判断されるのかを先例から見極めることは非常に難しく、実務においてこの法理が役立っているといえるのか、議論になることも多い。そこでこの研究では、著名な芸術家の現代アート作品をめぐっておこなわれた裁判をフェア・ユースが争われる最近の事例の1つとして取り上げて検討し、芸術のコミュニティにおいて他人の作品を使用する際の指針としては不十分であり、さらなる判決の積み重ねが必要であることを明らかにした。
著者
片瀬 拓弥
出版者
学校法人未来学舎
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2010

1.研究目的本研究の関連研究である「判別分析による専修学校の中途退学者の早期予測方法の開発」は,線形回帰分析により中途退学者を予測し,その予測率は26.1%(n=271,申請時からの改定値)となっていた.この予測率向上を目的とし,本研究では,非線形回帰分析可能なニューラルネットによる予測方式を開発する.2.研究方法本研究は,2010年度から市販される専門学校版Q-Uを使用する予定であった.しかし,該当商品販売時期が年度後半に延期されたため,入学当初の調査時には,関連研究同様の高校版Q-Uを用いた.さらに,予測率向上を目指すため,性格検査(5因子検査)も同時期に実施した.それらの回答結果を非線形回帰分析手法であるニューラルネットワークの3層パーセプトロンモデルを用いて分析し,予測率向上を目指した.3.研究成果2010年度において新たに取得した性格検査,学力偏差及び高校版Q-Uのデータから説明変数として,29変数(性別:1変数,学力偏差:2変数,学級所属群:4変数,性格検査:5変数,学級状況:4変数,悩み:13変数)を選択した.そのデータを用いて関連研究と同様の線形回帰分析を実施した結果,予測率は14.4%(n=323)となった.つまり,単に性格検査などの説明変数を分析に増加導入しただけでは,直接の予測率向上には到らないことが判明した.そこで,このデータ群を用い,ニューラルネットによる非線形回帰分析を実施した.具体的には,3層パーセプトロンモデルを採用し,最適な中間層数を決定するため,ブートストラップ法による学習実験を数万回行なった.その結果,ニューラルネットワークが過剰学習を起こさず,最も良い予測率を示すのは,中間層のニューロン数が28個であることが判明した.また,その予測率は70.4%となり関連研究に比して大幅に向上した。さらに,中途退学防止策に関する担任の自由記述アンケートをテキストマイニング分析した結果,学級経営方針が指導型・援助型のタイプ別に退学防止の対処方法が異なることが判明した.今後の課題は,このニューラルネットワークモデルが2011年度以降の新入生に対し,実際にどれだけの的中率を持つのか検証することである.
著者
植木 保昭
出版者
九州大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

有機系廃棄物であるポリエチレン(PE)とゴミ固形化燃料(RDF)を還元材に用いた酸化鉄(ウスタイト)の還元実験を行ったところ、RDFを用いた方が高還元率を得ることができた。これは、PEは固定炭素を含有していないが、RDFは固定炭素を含有しているため、RDFの熱分解によって試料内部に多くのチャーが残留し、このチャーによりガス改質反応(CO_2+C=2CO、H_2O+C=H_2+CO)が生じ、COが長時間発生し続けることで、還元雰囲気が持続したためであると考えられる。また、有機系廃棄物が熱分解されて生じた炭素がガス改質反応に及ぼす影響について調査することを目的として、炭素結晶性や比表面積が水蒸気-炭素間反応に及ぼす影響について注目して調査を行った。熱分解炭素としてRDF、木材粉(Wood)とCH_4ガスを1100℃で熱分解させたCarbon Black(CB)を用いた。ラマン分光分析の結果(ラマンスペクトルにおけるI_V/I_G値)から、熱処理温度が高い炭素ほどI_V/I_G値が小さくなり、黒鉛化が進行し結晶性が向上していることが分かった。一方、水蒸気による炭素のガス化速度は全ての炭素で熱処理温度が高くなるにつれて小さくなった。ガス化速度とI_V/I_G値、及び比表面積の関係は、両指標ともにガス化速度とおおよそ直線関係が得られた。I_V/I_G値が小さくなると反応性が悪くなるのは、黒鉛化が進行し結晶性が向上すると反応サイトが減少する事と、炭素の脱離が起こりにくくなる事が要因であると考えられる。同様に比表面積が小さくなると反応性が悪くなるのは、反応サイトが減少するためだと考えられ、I_V/I_G値と比表面積にも相関関係があると推察される。
著者
鳥谷部 祐
出版者
東北大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2007

初年度から開発してきた超音波システムが完成し、液体金属の超音波キャビテーションを標的にした原子核実験を実施することが可能となった。液体及び気体Li標的に対して30-70keVの重陽子ビームを照射し、標的中で生起する^6Li(d,α)^4He及びD(d,p)T反応を測定することで、液体及び気体中での核反応率の違いを実測した。実験を行ったあらゆる条件下で超音波による^6Li(d,α)^4He反応の増大は観測されなかった。裸の原子核状態から液体状態へ変化させた時の反応の増大分は重心系のエネルギー差分で543±38eVと決定した。これは絶縁体標的の報告値よりも大きいが、液体LiがLi^<1+>とe^-に電離していることによって生じるデバイ遮蔽を考慮すれば妥当である。固体標的で報告された大きな遮蔽効果は観測されなかった為、大きな反応増大は固体状態に特有であると考えられる。これに対して、特定の条件下では超音波ON状態でD(d,p)T反応が数十%程度増大することが判明した。しかし、反応増大は標的の表面状態に著しく依存し、試行毎のばらつきが非常に大きい。そこで、比較的安定な条件を探索し、その条件下で増大率のエネルギー依存性を測定することで反応機構を推定した。この結果、反応の増大は遮蔽効果ではなく、気泡内の高温が原因であると判明した。表面での気泡の存在割合は約65%であり、気泡内温度は590±54eV(約680万度)である。本研究により、これまで分光によってのみ測定されてきた気泡内温度を世界で初めて原子核反応により決定した。気泡内でLi温度は低く、D温度のみが高いと予測されるが、この温度差と気泡内温度は分子動力学的な数値計算結果と定量的に一致している。本研究結果から、最適な条件が決定できれば、超音波キャビテーションによって核融合反応を生起させることが可能であると示唆される。
著者
渡邊 睦
出版者
鹿児島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

H22(準備段階)~24年度において,可搬型の空中映像撮影システムを構築し,屋内静止環境における画像補正手法を開発した.次に,屋内変動環境に対処できるよう,上記空中映像撮影システム,画像補正方式を改良し,屋内実験室における人物の流動把握実験,大学構内(屋外)における車両などの流動把握実験を実施し,精度評価を実証した. 更に,H24~25年度においては,上空からの広域映像を安定に撮影できるよう,簡易型空中飛行体(AR-Drone)を用いて,ARランドマーク認識に基づく自動巡回.特定人物への上空からの追跡機能を実現し,屋内体育館,大学構内(屋外)における自動制御実験により有効性を確認した.
著者
木村 俊彦
出版者
奥羽大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2001

前年度の研究でFmθと交感神経機能との関連が明らかとなったことから,今年度は睡眠時bruxismと脳波Fmθとの関連を究明するために,ストレス負荷を行った後に睡眠させた場合の睡眠時bruxismとFmθの発現様相を検討した.被験者は健常成人男性3名とした.実験的ストレス負荷には内田クレペリンテストを採用した.生体情報の記録には脳波,筋電図,眼電図,心電図および呼吸を記録した.脳波はA2-Fz部位とA1-C3部位からの単極導出法を行い,Fmθの判定基準は6〜7Hzの正弦波様のθリズムで背景脳波よりも明らかに高い振幅を有し,1秒以上持続するものとした.心拍数の測定項目は心拍数とCVRRとした.眼電図は右側眼窩外側縁からの単極導出法にておこなった.筋電図は左側咬筋浅層部からの双極誘導を行い,bruxismの判定に用いた.bruxismは最大かみしめ時の筋電図原波形を解析ソフトウェアRMSにて実行値に変換し,処理後の波形から各被験者毎の最大咬みしめ時に対して20%以上のものをbruxism,20%未満のものを嚥下と定義した.導出した生体情報はマルチテレメータシステム,PowerLab/8sp(ADInstruments)を介して取り込み,Chart, HRVにて解析した.その結果,実験的なストレス負荷においてはFmθが発現し,睡眠中はFmθは発現しなかった.しかし,睡眠中では全ての被験者においてbruxismの発現が認められた.Bruxism発現時の心拍数,CVRRを発現前後と比較したところ,CVRRでは有意差はなかったが,心拍数では有意に増加した.今後,顎機能異常者に対して同様の実験を行うことにより,bruxismとFmθ,自律神経機能との関連がより明確になるものと思われる.
著者
奥島 美夏 池田 光穂 石川 陽子 鈴木 伸枝 永井 史男 高畑 幸 服部 美奈
出版者
天理大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-11-18

本研究は保健医療人材の国際移動に関する学際共同研究であり、日本・東南アジア間で2008年より開始した経済連携協定(EPA)による外国人看護師・介護福祉士候補の送り出し・受け入れを軸として、送出諸国(インドネシア・ベトナムなど)の保健医療・教育・移住労働を先進モデル国であるフィリピンと比較つつ課題を分析した。送出諸国は、1990年代の中東・英米での受け入れ開放政策や2015年末のASEAN経済統合をうけて人材育成・学歴引き上げを急ぐが、受け入れ諸国との疾病構造や医療・教育制度の相違などから必ずしも即戦力にはならず、ポストコロニアル的紐帯が薄い日本では職場適応・定住化にも困難があるとわかった。
著者
鳥養 映子 三宅 康博 門野 良典 岩崎 雅彦 西田 信彦 秋光 純 杉山 純 永嶺 謙忠 齋藤 直人
出版者
山梨大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2011-04-01

超低速ミュオン顕微鏡は、表面・界面が関与する物理、化学、生命の諸現象の解明から、ミュオン異常磁気能率の精密測定までの広い分野において、研究を飛躍的に発展させる突破口となる。研究期間前半で共通基盤装置を開発し、後半でこれを用いた新たな学術領域の開拓をめざした。加速器施設の事故等による長期ビーム供給停止にもかかわらず、ビーム再開直後の平成28年2月に初の超低速ミュオン発生に成功した。海外実験施設等による予備実験により、磁性、超伝導、半導体、電池材料に加えて、触媒化学や生命科学などこれまで未開拓の分野においても基礎データを蓄積できた。さまざまな分野において、新量子ビームへの期待が高まっている。
著者
大泉 丈史
出版者
東北大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究における骨吸収抑制剤ビスフォスフォネートの抗腫瘍作用に関して,骨吸収抑制作用が最強のzoledronateと窒素非含有ビスフォスフォネートのetidronatの併用投与により,zoledronateの抗腫瘍作用をetidoronateが抑制したことを明らかにした.また,顎骨壊死モデルマウスの作製に関しては,マウス顎骨では作成が困難と考えられた.
著者
吉田 文茂
出版者
高知県日高村立日高中
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2008

本研究で明らかにすることができたのは、下記のことがらである。帝国公道会の地方公道会構想は1910年代半ばに構想されたが、構想実現のための個々の府県への具体的働きかけはなされず、高知県に対しても同様であった。高知県への巡回講演が実現するのは1919年秋のことであり、大江卓の16年ぶりの帰県という形で地方公道会構想の実現の契機が生じたのである。また、高知県においては主だった被差別部落において部落改善が長年すすめられてきたが、取り組みの行詰まりのなか、部落改善に尽力した指導者の多くは県単位での部落改善の取り組みや部落差別撤廃に向けた社会への働きかけを県当局に期待していた。県当局も内務省主催の細民部落改善協議会を受け、県として各地域での部落改善の動向の把握と県の部落改善施策の方針の浸透を図ることが求められており、そのためには各地域の部落改善指導者を巻き込んだ組織の必要性を実感していたのである。このような、大江、部落改善指導者、県当局三者の思惑の一致により、1919年10月の高知県公道会の結成となったのであるが、県当局は県組織の構成について独自のプランを有していたわけではなかったため、帝国公道会の地方公道会構想どおりに高知県公道会が誕生するのである。しかし、ビジョンを有していなかった県当局としては、高知県公道会に独自の活動を期待する予算的裏づけを積極的におこなおうとすることはなく、1921年度からの主事一名の配置にしてもただ単に職員を配置したにとどまる。なお、高知県公道会が帝国公道会の支部として機能することはなく、友好的関係は保持し続けるも、活動そのものが帝国公道会の動向に左右されることはなかった。ただ、水平社との関係で言えば、基本的には帝国公道会同様、高知県公道会も幹部養成講習会を開催するなど、水平社への対抗的位置関係にあったことは間違いなかった。
著者
篠田 知和基 松村 一男 山本 節 吉田 敦彦 渡辺 浩司
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998

平成10年よりフランス側の研究者としてグルノーブルのワルテル、シガノス、ソルボンヌのルクトゥ、アンジェのブルミエ、ブザンソンのエル、パリのポノを加えてた海外共同研究として発足し、平成11年より、制度の変更により、基盤Bとなった。共同研究としては都合4回の国際シンポジウムでの討議と、フランスでの共同調査でその実をあげた。一回目は「荒猟師の東西」と題し、ヨーロッパ中世の「荒猟師伝承」を古代にさかのぼってその起源と変遷を追求し、それと日本の怨霊伝承との接点をさぐった。このうち重要な部分がグルノーブルの研究雑誌IRISに掲載された。二回目はソルボンヌの北欧神話学の泰斗レジス・ボワイエとスイスの神話学者で「神々の母」を発表して注目をあつめているフィリップ・ボルジョ、それにインド・ヨーロッパ神話学のベルナール・セルジャンをまねいて「冥界の母神」として大母神の姿を比較検討した。三回目は「東西の老賢者」とし、ヨーロッパのアーサー王伝承におけるマーリンにみられる魔術師、あるいは世界の陰の演出者としての老人像にスポットをあてた。日本では役の行者、阿倍清明、久米仙人などのほか、サルタヒコに照明があてられた。4回目は母神にだかれた「おさな神」をとりあげ、オリエントの水辺の豊饒の女神と、犠牲神との対について考えた。わがくにではスクナヒコナ、ニニギ、あるいはオオクニヌシに幼児神の相貌が明らかだが、中世の寺院世界では稚児伝承があり、観音の奇瑞にもつらなるとともに、また、罪障と聖性の交錯する神話世界の特性もあきらかにされた。このほかに1日のみのシンポジウムを名古屋で2回、東京で一回行った。またフランスでの研究発表を5回行った
著者
片桐 祥雅 川原 靖弘 高田 哲 川又 敏男
出版者
国立研究開発法人情報通信研究機構
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

ストレスによる知的労働生産性低下の防止を狙いに、深部脳活動の減弱が暑熱環境暴露や高負荷印加状態でいかに注意機能を低下させるかについて神経生理学的方法に基づき調べ、頭頸部冷却刺激を中心とする深部脳賦活法を検討した。結果、注意機能維持に深部脳の高い定常的活動度と抑制・賦活パターンを呈する同期的活動が重要であり、頭頸部冷刺激はこの深部脳活動増強に寄与することを明らかにした。さらに、深部脳活動が最大となる条件を心理学的指標との相関において明らかにした。
著者
入江 安子 川口 ちづる
出版者
奈良県立医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

地域の力、コミュニティレジリンスとは人が困難から立ち直るための地域の力を指す。本研究は、 発達障害児と家族を支援するコミュニティレジリエンスを育成し、そのプロセスと促進要因の検討を目的にした。その結果、コミュニティレジリエンスは地域の資源の豊かさだけでなく、発達障害児に直接関わる支援者が多職者と協働しながら形成した支援力を発信し、その新しいネットワークがコミュニティレジリエンスを促進していた。
著者
勝間田 明子
出版者
鈴鹿短期大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2013-08-30

初年度は、10月と3月に渡航し、台中と台南においてインタビュー調査をおこなうと同時に、当時の農村部での生活を知るための一助として『民族台湾』等の当時の雑誌の復刻版を多数購入した。特に、10月の渡航はインタビュー調査のための関係づくりに焦点化したため、3月の本調査の際にはかなりスムーズに話を伺うこともできた。なお、この渡航では合計8名に聞き取り調査を行ったが、実業補習教育の内容に関する話は聞けなかった。翌26年度には、購入した資料等を読み込み、実業補習学校や農民の生活の実態が窺える記述の分析を開始した。また2月にも渡航したが、実業補習学校に関する話は聞けなかった。
著者
菅野 貴皓
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2010

当該年度は,多地点に配置されたロボットアームや力覚提示デバイスを計算機ネットワークで接続し,相互に位置と力の情報をやり取りすることのできるマルチラテラル・テレオペレーションシステムについて,実機を用いた実験システムの構築および前年度に提案した制御手法の検証を行った.前年度は,マルチラテラル制御の定式化を行い,提案手法が安定であることを検証したが,実験に使用した通信遅延およびデバイスの一部にシミュレータを用いており,複数の実機を実際のネットワークで接続した時の制御系の安定性や追従性の検証はなされていなかった.当該年度は,制御ソフトウェアを力覚提示装置Falconに対応させ,前年度用いていたPHANTOMと合わせて3台の実機を用いた実験システムを構築した.構築した実験システムを用いて,遠隔ショッピングで複数人に触覚情報を同時に提示する場面を模擬した被験者実験を行った.実験では,被験者はランダムに提示される対象物を遠隔で触り,その対象物の大きさを回答する.実験の結果,本システムを使用して10mm程度の大きさの違いを判別することが可能であった.前年度に,通信遅れ時間の変動によって発生するマスタ・スレーブ間の位置ドリフトを補償する制御手法を構築したが,提案手法と他の手法との比較は行われていなかった.当該年度は,位置ドリフト補償器の周波数特性を解析することで補償制御を比較する方法を検討し,単純な位置フィードバックでは受動性が損なわれること,提案手法の制御則の一部を省略して通信データを一時的に削減できることを示した.また,実機実験により,従来の単純な位置フィードバック則では位置ドリフトは補償されるものの環境中の物体形状を適切に提示できないことを示した.
著者
小林 雄一郎
出版者
立命館大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2012-04-01

最終年度では、これまでの研究を総括し、今後の研究方向に繋がる分析を行った。まず、異なるトピックで書かれたライティングを対象として、語彙、品詞、統語、談話などに関する言語使用の差を調査した。そして、t検定、決定木、ランダムフォレストなどの結果から、異なるトピックで書かれたライティングでは、言語使用が大きく異なることが明らかにされた。このことは、習熟度の自動判定をする場合に、タスクの影響の有無に注意しなければならないということを示している。また、これまでは「学習者が何をできるか」という点に注目してきたが、今年度はそれに加えて、「学習者が何をできないか」というエラーの情報を分析に加えた。その結果、冠詞、前置詞、動詞の時制などに関するエラーが習熟度と高い相関関係にあることが明らかにされた。