著者
宮嶋 尚哉 棚池 修
出版者
山梨大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

特徴的なナノ構造を有するバクテリアセルロースゲル(ナタデココ)を用いて,金属塩担持バインダレスカーボン電極の合成を試みた。種々の金属イオン(Mo, Mn等)を含む水溶液にナタデココを含浸,乾燥を行い,引き続き窒素雰囲気下で加熱処理を行った。セルロース中の酸素と含浸金属塩が反応することで,それらの金属酸化物がセルロース炭化物中に高分散担持され,さらに,加熱前のセルロースファイバのナノフィブリルがそのまま保持炭素化されることで,ミクロ孔性のバインダレス電極が得られた。担持金属酸化物はレドックス反応の活性種として機能し,ポーラスカーボン由来の電気二重層容量に加えて疑似容量の増加が認められた。
著者
柴田 智広 為井 智也 岡田 洋平 和田 佳郎 小町 守
出版者
九州工業大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

Assist-As-Needed原理に基づいた強化学習エージェントが個人適応的にヒトの運動学習を支援することにより,その運動学習を促進可能であることを科学的に示した.また姿勢異常を呈する疾患を持つ症例のための姿勢評価,フィードバックトレーニングシステムを開発し,めまい平衡系疾患およびパーキンソン病を対象に姿勢リハビリテーションに関する医工連携を進め,後者については,在宅における姿勢リハビリテーションの実施可能性および即時効果を確認した.
著者
桑江 朝比呂
出版者
独立行政法人港湾空港技術研究所
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2008

本研究により,これまでまったく知られていなかった餌が世界で初めて解明された.具体的には,干潟堆積物表面に発達するバイオフィルム(微生物やそれが放出する多糖類粘液で構成された混合物の薄い層)が,小型シギ類の主食となっていることを示した.さらに,この未知の餌の摂食が,より広範な,多くの種にも当てはまる事実であることを示し,どのような要因でバイオフィルムの摂食割合が決定されるのかを解明した.
著者
中牧 弘允 陳 天璽 岩井 洋 澤木 聖子 澤野 雅彦 竹内 恵行 チョ 斗燮 岩井 洋 澤木 聖子 澤野 雅彦 住原 則也 竹内 惠行 曹 斗燮 出口 竜也 晨 晃 日置 弘一郎 廣山 謙介 三井 泉
出版者
国立民族学博物館
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

産業と文化の相関関係を実証的に究明し、その論理の抽出をめざし、(1)環黄海経済圏の産業と都市における文化創造・文化交流、(2)世界遺産をめぐる日中ならびにスペインの産業振興と文化交流、(3)文化活動を機軸とする産業と都市の協働関係の3つの領域に分けて調査をおこなった。近年の創造都市論や創造階級などの議論に見られるような文化を重視する視点から、都市の活性化、文化産業の興隆、世界遺産の積極的活用、地域祭礼の振興などに関する貴重な知見が得られた。
著者
阿久津 英憲
出版者
国立研究開発法人国立成育医療研究センター
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

受精卵は細胞核リプログラミング現象に関して2つの非常に興味深い事象を提示している。これまで受精卵の全能性で重要である遺伝子発現量補正に関わるX染色体の不活化機序に着目し卵子細胞における刷込み型X染色体不活化が卵子細胞核タンパク質の特定の化学的修飾(H3K9me3)により制御されることを見出した。これを受け、X染色体不活化を制御することで全能性獲得に寄与する転写因子を探索し、Pou5f1(Oct4)がこのエピジェネティック リプログラミングに関与することを見出した(本成果は国際誌へ投稿中)。卵子のリプログラミング分子機序から受精卵の全能性機能を解明するキー因子の働きを明らかにできた。
著者
林田 義伸 渡邊 道治 中村 裕文 太田 明子
出版者
都城工業高等専門学校
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

円形のローマとアウグストゥス神殿(1C.B.C.)を構成する石材について、3Dスキャナを用いて実測し、その実測図を作成し、平面及び立面の各部寸法について復元した。また、本神殿はエレクテイオン(5C.B.C.)を殆ど模して建設されたものであるが、各部寸法や施工痕を分析し、エンタブラチュアの割付方や接合部等、当時の手法が用いられていたことを明らかにした。関連研究として、古代ギリシアのトロス等の設計法や、神格化されたローマとアウグストゥス崇拝に関し考察した。
著者
岡本 清美 利根川 孝 野村 清英 中野 博生
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

量子スピン鎖の相転移点を数値計算データから精密に決める解析方法として我々の開発したレベルスペクトロスコピー法がある.本課題ではこのレベルスペクトルスコピー法を種々のモデルに適用して,新奇相の発見,相図の精密化,などをおこなった.具体的には,異方的S=2スピン鎖については約20年前の提唱があったものの長い間存在が否定されていたintermediate-D相の存在をはじめて確認した.また,相互作用パラメーターに関する論争が長く続いていたアズライトの磁性に関し,論争に決着をつける結果を得た.
著者
渡辺 智恵美
出版者
別府大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

古墳時代の金属製品(刀やよろい、馬具、耳飾りなどの装身具)に残された製作時の痕跡から、それらを製作する技術や道具を調査した。調査方法として顕微鏡観察のほか、X線CTスキャンや三次元計測、材料の成分分析といった自然科学的方法も応用した。その結果、耳飾りの製作工程の復元を通して、使用された道具や方法を解明することができた。また、よろいなどの鉄製品に残された、板を切断した痕跡から、使用された道具の刃先の大きさも推定できた。
著者
藤野 陽子 荻野 洋一郎 鮎川 保則 古谷野 潔
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

本研究は埋入されたインプラント周囲に発現する骨タンパク質をチタンにコーティングすることで、オッセオインテグレーションを促進できるかを検討するものである。本研究期間では、チタンに非コラーゲン性タンパク質であるオステオポンチン(OPN)、オステオカルシン(OCN)をコーティングした場合のコーティング効果と骨芽細胞(マウスセルライン、MC3T3-E1)を培養し、その接着、増殖、分化を検討した。さらに、ラットの脛骨を用いたin vivoモデルでの骨接触率の検討を行ったインプラントに各タンパクのコーティングを行い、免疫組織化学的な手法によってタンパクの吸着を確認した。接着に関しては、OPNでは初期に抑制傾向が認められたものの、その後の接着は促進される傾向にあった。OCNでは初期から促進傾向が認められたが、その後の接着はOPNほどの促進傾向は認められなかった。接着後の増殖では24、72時間後の細胞数をMTT Assayにて計測を行った。また、分化に関しては、ALP染色と細胞から分泌されるOCNの量を測定したが、その差は顕著なものではなかった。ラット脛骨へコーティングインプラントを埋入した動物実験モデルではインプラントを埋入し、2週間後に屠殺し、組織学的検討を行っている。(現在標本作製中)つまり、今回の実験系からは、以下の事項が確認、示唆された。1)OPNとOCNは細胞の初期接着を促進する傾向が認められた。2)接着後の細胞の増殖、分化に関しては、初期接着ほどの効果は認められなかった。これは、OPN、OCNのコーティング効果が弱くなることや、初期接着後のメディウム交換で、コーティングの効果を減弱させること、さらには、接着への影響を極力少なくするために2%FBSを添加したメディウムがその後の増殖や分化(分化の培養系では、10〜15%のFBSを添加したものを通常用いている)を通常のレベルで起こすことが出来なかったことがその一因として考えられた。3)in vivoの実験は現在、標本作製中なため、改めて報告を行う予定である。
著者
山本 泉
出版者
東京慈恵会医科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-28

腎臓におけるCaveolin-1発現の意義について、Caveolin-1遺伝子改変マウスを用いて、各種実験腎炎モデルを検討した。①虚血再灌流、②尿細管結紮、③eNOS阻害剤投与、④抗VEGF抗体投与の各モデルで、ワイルドタイプの腎内微小血管内皮細胞のカベオラおよびCaveolin-1発現量に変化を認めなかった。一方、間質線維化を評価したところ、尿細管結紮モデルおよびeNOS阻害剤投与モデルで、Caveolin-1ノックアウトマウスにおける間質線維化増加を確認した。間質線維化を促進するマクロファージ浸潤は、尿細管結紮モデルにのみ生じ、Caveolin-1ノックアウトマウスにおいて強く認められた。
著者
相良 英輔 山崎 亮 濱田 敏彦 諸岡 了介
出版者
広島経済大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

(1)近世前期(1600年代)、田部家の居住する吉田町での田部家の経済活動を明らかにすることができた。(2)近世中期、たたら製鉄を幕府が専売制にすることにより、生産者である田部家等の鉄師が苦境に陥ったが、その具体的な実態を明らかにすることができた。(3)19世紀後半(1850年代から1860年代)鉄の需要が拡大し、田部家も大きな利潤を得、資産を拡大していったことを明らかにし、さらに1865年吉田町は大火により町全体が焼失するが、その詳細な史料を見出し、全貌を明らかにすることができた。
著者
藤田 耕之輔 李 克己 伊藤 純樹
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998

環境ストレスによる阻害を軽減した植物生産システムを確立することを目指し、リアルタイムで環境ストレスを評価し、診断する方法について一連の研究を実施している。今回は、栄養ストレスを取り上げ検討した。すなわち、歪みゲージ式変位計により測定した茎・果実の径変化を主体に、これと光合成、転流、水分状態などとの相互関係について調査した。実験は、供試植物として水耕栽培した第1花房果実肥大期のトマト(品種 桃太郎8)を用い、処理としてリン(P)無添加を行い、茎径および果実径、光合成など各種のパラメータについて平行して測定した。その結果、(1)光合成速度は低P処理後12日目に低下したのに対し、(2)茎径は処理後6日目に、果実径では9日目にそれぞれ低下した。一方、窒素(N)ストレスについてもほぼ同様の実験を行った。その結果、Nストレス処理(N欠如)によって、(1)茎径は処理後1日目に影響がみられ、昼間の収縮が小さく、夜間の肥大速度も低く、(2)果実には処理の影響は認められず、(3)葉の光合成速度は処理3日後に低下し、(5)葉の水ポテンシャルは7日目に低下した。以上の結果を総合すると、茎径を歪みゲージ式変位計で計測することによって、他のパラメータより早期にNおよびPストレスの影響を計測しうることが判明した。また、栄養状態がトマトの果実生産へ与える影響は、ソース・シンク関係から次の様に理解される。Pストレスは光合成能(ソース)よりも果実肥大(シンク)をより早期に阻害するのに対して、Nストレスはソース能を阻害するがシンクに対する影響は小さいものと推定される。
著者
根本 清光
出版者
静岡県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

中枢神経系で重要な役割を果たすNMDA型グルタミン酸受容体(NMDAR)の2Cサブユニットの遺伝子(Grin2c)が、肝細胞肥大誘発作用、肝細胞傷害性あるいは肝細胞増殖性肝肥大誘発作用を示す化学物質の投与ラット肝臓で顕著に発現亢進することを見いだし、これら化学物質の作用にNMDARが何らかの役割を果たすものと推定された。しかし、肝細胞株でこのような化学物質によるGrin2c遺伝子の発現亢進を見いだすことができず、他の細胞種から産生される因子など間接的な要因で発現亢進が引き起こる可能性が考えられた。
著者
平地 健吾 高山 茂晴 吉川 謙一 大沢 健夫 辻 元 本多 宣博 山ノ井 克俊 伊師 英之 野口 潤次郎 山口 佳三 満渕 俊樹 奥間 智弘 神本 丈 松村 慎一
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010-04-01

4回の多変数関数論葉山シンポジウムを開催した.複素解析幾何の運営組織の世代交代を目標とし,世話人代表は順に吉川謙一,伊師英之,山ノ井克俊,本多宣博と神本丈が担当した.今後10年の運営組織が整ったと言える.後半では連携研究者に奥間智弘,松村慎一を加え,2度の特異点の幾何に関する国際研究集会および函数論サマーセミナーを開催した.また研究テーマを絞ったワークショップを3度(放物型幾何学,ベルグマン核,解析幾何学)を行い国際交流の活性化を図った.研究期間内に山ノ井克俊および本多宣博が日本数学会幾何学賞,大沢健夫がアメリカ数学会ベルグマン賞,平地健吾がICMの招待講演者になったことは特筆に値する.
著者
山崎 将紀
出版者
神戸大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2006

分げつ期の日本型イネにウンカ類(セジロウンカ,トビイロウンカ)が産卵すると,殺卵活性をもつ安息香酸ベンジルを含む分泌液で細胞間隙が満たされた液浸化が誘導される.その結果,卵が高率で死亡し,ウンカ類の増殖が抑制される.これまでにセジロウンカに対するイネの殺卵遺伝子Ovc(Ovicidal gene)を同定し,イネの染色体6上に位置付け,約40kbの領域に絞り込んでいる.Ovcは殺卵特性の発現に必須であるので,イネの殺卵特性について,将来の遺伝育種ならびにその遺伝的機構の解明のために,Ovcの単離を試みた.1.日本型イネ品種「日本晴」由来の候補遺伝子が組みこまれた形質転換ベクターを作成し,Agrobacterium法により,SL23(「日本晴」を遺伝的背景とし,Ovc領域がインド型イネ品種「Kasalath」(Ovcをもたない)に置換した系統.この系統は殺卵特性を示さない)に導入する形質転換を行い,目的の形質転換植物の殺卵特性を調査した.現在まで相補した形質転換植物は観察されていないが,引き続き実験を進めている。一方,OvcのcDNAと発現解析は現在進行中である.2.日本型品種とインド型品種を用い,Ovc候補領域のDNA多型におけるアソシエーション解析を行い,Ovcの候補となるDNA多型を検出し,候補領域をさらに絞り込むことができた.この情報を元にさらなる形質転換実験ならびにcDNA・発現解析を行う予定である.
著者
小川 景子
出版者
広島大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究はレム睡眠中の急速眼球運動に伴う脳活動と夢内容との対応関係を検討した。その結果、急速眼球運動の数が多いほど夢が印象的になり、運動野の賦活を反映する脳活動は、夢の活動性・奇異性と関連することが示された。さらに、急速眼球運動数は日中の新規運動学習課題の成績と正の相関関係を示した。この結果より、レム睡眠中の急速眼球運動はレム睡眠中の脳活動をより活性化することで、夢の内容をよりありありと鮮明にし、日中の新規学習課題の成績向上にも関与する可能性が示唆された。
著者
乾 博
出版者
大阪府立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

肥満モデルマウス(KK-Ayマウス)に高スクロース食もしくは高フルクトース食を摂取させると、盲腸内の細菌叢に変化が起こり、特にビフィズス菌の減少が見られた。このような変化は高脂肪食でも見られるものであり、フルクトース過剰摂取に起因した脂肪性肝炎の発症に関係していると考えられる。ユーカリ抽出物を摂取させると腸管におけるフルクトース吸収が抑制され、高フルクトース食に起因した脂肪肝が抑制されるが、その活性成分としてテリマグランジンIを見いだした。また、ユーカリ抽出物以外に、バナバ、グァバ、オリーブ抽出物にもフルクトース吸収阻害活性があり、高フルクトース食に起因した脂肪肝の抑制に有効であった。
著者
三方 裕司
出版者
奈良女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

細胞親和性に優れた,特定金属イオンに対する高感度蛍光プローブ分子の開発研究を行った。金属配位部位と蛍光団を兼ね備えた分子をデザイン・合成し,その重金属イオンに対する蛍光プローブとしての機能を細胞外,細胞内で詳細に検討した。また,糖部位の導入による水溶性の向上と化合物の毒性軽減効果も検討した。配位子の精密設計により,亜鉛,カドミウム,水銀イオンに対する選択的蛍光プローブの開発に成功した。本研究成果は,次世代の蛍光センサー分子創製のための重要な指針を提供することにつながると期待される。
著者
伊福 伸介
出版者
鳥取大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

キチンナノファイバーの簡便な調整方法を見出した。カニ殻からタンパク質と炭酸カルシウムを除去した後、酸性条件下においてグラインダーで解繊することにより調製できる。得られるナノファイバーは均一で幅が10~20ナノと極めて細く、高アスペクト比である。この方法はエビ殻にも適用可能である。また、本法はカニ殻に内包されるキチンナノファイバーをありのままの状態で単離できるため、本来の結晶構造や形状が維持されている。また、キチンナノファイバーでアクリル樹脂を補強した複合材料の作成に成功した。この複合フィルムはキチンナノファイバーのサイズ効果により透明である。また、物性に優れるキチンナノファイバーの補強効果により、アクリル樹脂の強度、弾性率を大幅に向上させ、線熱膨張係数を大幅に低下させることができた。
著者
佐藤 直美
出版者
浜松医科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

対象者は、がんの診断や再発の診断に際し、[どこか人ごとでぴんと来ない]ながらも、[やらざるを得ない]という感覚で、外来化学療法を開始していた。そして[やるからには望みをつなぎたい][まだ生きたい]という思いを徐々に強くしていった。治療の副作用からの不快感や、症状の進行による入院治療を経験しながら、[まだ何とかやれている]感覚を維持していた。しかし一方で、治療を主軸に生活していくことに心の揺れを感じ、日常性を維持するために努力することで折り合いをつけている側面もあった。