著者
中川 恵
出版者
羽衣国際大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

大衆への普及が過去10年以内という点で新しいメディアと位置づけられるインターネットと衛星放送の普及が、中東地域の生活空間、政治的意思の形成、政治的意思形成の場となる公共空間にいかなる変容をもたらしているのか、とりわけ女性たちの政治的意思決定のプロセスを調査・分析した。その結果、モロッコの場合、衛星放送の普及と国家が進める社会・経済開発の両方がほぼ同時に進んだことが、女性の政治参加を促進したと結論づけることができた。
著者
中川 公恵
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.220-224, 2015 (Released:2018-08-26)
参考文献数
24

薬学の分野においては,ビタミンKが血液凝固に必須の役割を担うことは周知の事実であり,常にワルファリンとの相互作用を考慮しなければならないことはよく知られている.また,骨粗しょう症の予防や治療においても重要な栄養素であり,ビタミンK2(メナキノン-4(menaquinone-4:MK-4))は,骨粗しょう症治療薬として臨床応用されている.ビタミンKは栄養素として摂取しないといけないもの,摂取不足により欠乏症になるビタミンである.しかし,ただ単に摂取したものが,そのまま生体内で利用されているだけではない.MK-4が,我々の体内で作られることを,どれだけの人が認知しているであろうか? 日常的に摂取するビタミンKの大部分は,植物由来のビタミンK1(フィロキノン(phylloquinone:PK))であり,これが生体内でMK-4に代謝変換され,PKにはない様々な生理作用を発揮しているのである.最近我々は,ビタミンK同族体が体内でMK-4に変換されること,その変換を担う酵素を明らかにすることに成功し,さらにMK-4を合成する酵素が個体発生に必須であることを見いだした.本稿では,この研究成果を含めて,生体内でMK-4が変換生成する機構とその意義について概説する.
著者
林 晃平 中川 慧
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会第二種研究会資料 (ISSN:24365556)
巻号頁・発行日
vol.2022, no.FIN-029, pp.67-72, 2022-10-08 (Released:2022-10-01)

株価や経済指標などの金融時系列は,一般に長期記憶性や不確実性など,単純なモデルでは再現の難しい特徴を持つことが観測されており,このことは金融市場の複雑性を反映していると考えられる.一方,このような金融時系列は実データであるためサンプル数が十分でなく,しばしば観測データを用いた定量的な分析を困難にする.本研究の目的は,このような複雑性を持つ時系列を機械学習の手法を用いて人工的に生成することである.これにより,より現実に近い様々な市場局面を大量に生成することができ,投資戦略のストレステストや,経済指標を用いた分析・リスク管理等を効果的に行うことが可能となる.特に,本発表では標準 Brown 運動よりも正則性の低い極めて「ラフな」パスが観測されているボラティリティを対象にし,非整数階 Brown 運動を用いた生成手法である Neural rough fractional SDE-Net を用いて元データの特性を再現することを目指す.
著者
小池 志保子 中川 理
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.76, no.659, pp.221-227, 2011-01-30 (Released:2011-03-07)
参考文献数
25
被引用文献数
2 1

Since the first Japanese public museum was opened in 1926, the public museums have been playing the role as main cultural facilities in regional community. The purpose of this study is to describe the development process of Japanese public museums by analyzing their spatial configurations. This study treats 109 Japanese public museums. Analyses revealed that the scale of the public museums consistently became larger after the 2nd World War, and the number of newly-established public museums has increased until 1980s. Until 1960s, exhibition spaces were core of public museums. Since the 1980s, there are two types public museums. One type is variety arrangements of functional floor areas. Another type has distributed organizations of exhibition spaces.
著者
中川 靖一
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.133, no.5, pp.561-574, 2013-05-01 (Released:2013-05-01)
参考文献数
65
被引用文献数
1 5

Cardiolipin (CL) is a phospholipid, which is exclusively located in mitochondria, and has a unique structure that consists of 2 phosphate residues and 4 kinds of fatty acyl chains. Cardiolipin plays an important role in regulating various kinds of mitochondrial proteins such as electron transport complexes, carrier proteins and phosphate kinases, and is also essential for the organization of particular mitochondrial structures such as cristae and contact sites. Mitochondrial phospholipase D hydrolyzes CL to produce phosphatidic acid, which is required for mitochondrial fusion. Oxidative stress-induced peroxidation of CL occurs because CL is rich in polyunsaturated fatty acids, especially linoleic acid. Accumulation of CL hydroperoxide (CLOOH) triggers the initiation of apoptosis. Formation of CLOOH causes the release of proapoptotic factors such as cytochrome c from the inner mitochondrial membrane and triggers opening of the permeability transition pore. Levels of CL decrease in the heart following ischemia or disease. Apoptosis is enhanced in temperature-dependent mutant cells whose amounts of CL reduce to half when compared to that of wild type cells. Low levels of CL cause the accumulation of CLOOH and enhance sensitivity to apoptosis. Accumulation of CLOOH in mitochondria causes instability of the membrane, because swelling of mitochondria is induced by the presence of CLOOH in the membrane and is significantly enhanced in CLOOH-loaded mitochondria by the addition of inducer of swelling.
著者
黒澤 茶茶 清水 直樹 宮嵜 治 中川 温子 阪井 裕一 宮坂 勝之
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.27-31, 2009-01-01 (Released:2009-07-25)
参考文献数
9
被引用文献数
2 2

【目的】小児心肺蘇生での至適な胸骨圧迫の深さ(強さ)について検討した。【対象】1歳以上8歳未満の小児で,胸部CT検査を行った66例と,蘇生後に死亡し,病理解剖された10例。【方法】CT画像から胸郭前後径と胸骨後面-椎体前面間距離を計測し,胸骨圧迫時に残存する胸骨後面-椎体前面間距離を推計した。病理解剖所見から,胸骨圧迫による有害事象の有無を検討した。【結果】胸郭前後径の2分の1ならびに3分の1で胸骨圧迫したと仮定した際の残存距離は,各々1.5±3.4 mm,22.6±4.4 mmであり,2分の1で胸骨圧迫した際には98%で10 mm未満,30%でマイナス値となった。病理解剖所見上,有害事象は皆無であった。【結論】小児心肺蘇生での適切かつ安全な胸骨圧迫の深さは,「胸郭前後径の3分の1」と考えられた。小児の心肺蘇生法の指導にあたっては,この結果を正しく理解し,至適指標に準じた充分な強さ(深さ)の胸骨圧迫が実施される指導が肝要である。
著者
馬場 基 中川 正樹 久留島 典子 高田 智和 耒代 誠仁 山本 和明 山田 太造 笹原 宏之 大山 航 中村 覚 渡辺 晃宏 桑田 訓也 山本 祥隆 高田 祐一 星野 安治 上椙 英之 畑野 吉則
出版者
独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2018-06-11

国際的な歴史的文字の連携検索実現のため、「IIIFに基づく歴史的文字研究資源情報と公開の指針」および「オープンデータに関する仕様」(第一版)を、連携各機関(奈良文化財研究所・東京大学史料編纂所・国文学研究資料館・国立国語研究所・京都大学人文学研究所・台湾中央研究院歴史語言研究所)と共同で策定・公表し、機関間連携体制の中核を形成した。また、上記「指針」「仕様」に基づく、機関連携検索ポータルサイト「史的文字データベース連携システム」の実証試験版(奈文研・編纂所・国文研連携)を令和2年3月に公開。令和2年10月には、台湾中研院・国文研・京大人文研のデータを加えて、多言語(英語・繁体中国語・簡体中国語・韓国語)にて本公開を開始した(https://mojiportal.nabunken.go.jp/)。なお、連携・サイト公開は、国内および台湾メディアで報道された。木簡情報の研究資源化として、既存の木簡文字画像(約10万文字)をIIIF形式に変換した。また、IIIF用の文字画像切出ツールを開発し、新規に約15,000文字(延べ)のデータを作成した。過年度と合わせて合計約115,000文字の研究資源化を実現した。文字に関する知識の集積作業として、木簡文字観察記録シートを約50,000文字(延べ)作成した。なお、同シートによる分析が、中国簡牘・韓国木簡にも有効であることが確認されたことを踏まえ、東アジア各地の簡牘・木簡文字の観察作業も実施した。国際共同研究・学際研究として、令和1年9月に、東アジア木簡に関する国際学会を共催した(北京)。当初、国際学会の開催は、研究計画後半での実施を予定していたが、本研究遂行にあたっての共同研究等の中で、学会共催の呼びかけを受け、予定を繰り上げて国際学会を共催した。また、人文情報学の国内シンポジウム等において、IIIF連携等本研究の成果を報告した。
著者
石井 英一 中川 光弘 齋藤 宏 山本 明彦
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.114, no.7, pp.348-365, 2008-07-15 (Released:2009-03-25)
参考文献数
48
被引用文献数
9 6

北海道中央部の十勝三股盆地周辺に分布する火砕流および火山体を対象に露頭調査,記載岩石学的分析およびK-Ar年代測定を行った結果,降下火砕堆積物の層厚変化,火砕流の層厚・溶結度・上面高度の変化,噴出年代,本質岩片の斑晶鉱物組み合わせ・ガラス組成・鉱物化学組成から,従来それぞれの地域で異なる名称で呼ばれていた4つの火砕流(無加・芽登凝灰岩,屈足火砕流,黒雲母石英安山岩質軽石流)がすべて十勝三股盆地から噴出した同一の火砕流であることが分かった.我々は十勝三股盆地を十勝三股カルデラと呼び,上記4つの火砕流を十勝三股火砕流,先行した降下火砕堆積物を十勝三股降下火砕堆積物と呼ぶことを提唱する.十勝三股カルデラは約1 Maに総噴出量130 km3以上の大規模珪長質噴火によって形成された.その噴火は大規模なプリニー式噴火で始まり,その後に火砕流が発生し,当時の基盤地形に支配されて流下した.
著者
宮本 毅 中川 光弘 長瀬 敏郎 菅野 均志 大場 司 北村 繁 谷口 宏充
出版者
東北大学東北アジア研究センター
雑誌
東北アジア研究 = Northeast Asian studies (ISSN:13439332)
巻号頁・発行日
no.7, pp.93-110, 2003-03-31

Baitoushan volcano (Changbaishan volcano in China), situated on the border between China and North Korea, is one of the most active volcanoes in mainland Asia. The volcanism is divided into three stages, firstly the shield volcano-forming stage effusing large amount of basaltic lava flow, secondly volcanic cone-building stage consisting of trachytic magma, and finally summit caldera (called Tianchi caldera)-forming stage erupting the vigorous alkali-rhyolitic pyroclastics. Tianchi caldera has been formed by some huge eruptions (10th century, 4000yBP eruption and more) since Pleistocene. In caldera-forming stage, the time sequence of such huge eruption progress from Plinian pyroclastic fall to following large pyroclastic flow (ignimbrite). Based on our geological and petrological studies and Radiocarbon dating about wood and charcoal samples in pyroclastics, we found that 9th century eruption, unknown until now, has occurred before 10th century eruption. From the relation of stratigraphy and radiocarbon age the dormancy between this episode and 10th century one is estimated about a hundred year. The time sequence and eruptive style of this new episode is similar to 10th century eruption, but the magma composition is different.
著者
柴田 昌幸 高森 頼雪 江川 優子 山口 智央 中川 慧人 中村 めぐみ 大江 啓史 成田 圭 田中 由理子 小林 倫子 三科 友二 三科 雅子 明石 雅博 笹本 貴広 土屋 昭彦 西川 稿 横田 亜矢 杉谷 雅彦 滝川 一 山中 正己
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.62, no.5, pp.327-332, 2021-05-01 (Released:2021-05-14)
参考文献数
16

症例は38歳女性.X月1日に友人との食事会でマカダミアナッツを多量に摂取した.翌日から悪心・嘔吐が出現し,徐々に倦怠感,褐色尿,皮膚黄染も伴ってきた.症状改善ないためX月9日に前医受診し,急性肝炎と診断され入院.各種ウイルスマーカーや自己抗体は陰性で,画像検査で器質的異常も認めず入院後も肝機能は増悪した.X月15日に当院転院し,PTが40%未満に低下したためステロイドパルス療法を開始したが,意識障害も出現し状態は悪化した.血漿交換および持続緩徐式血液濾過透析を施行し,計6回の血漿交換後より肝機能は正常化傾向となった.集中治療を脱し,状態が安定してから肝生検を施行したが非特異的な組織像であり,マカダミアナッツのリンパ球刺激試験を実施したところ強陽性で薬物性肝障害と診断した.治療離脱後も問題なく経過し,第46病日に退院となった.食品から劇症肝炎に至り救命された症例は極めてまれであり報告する.
著者
中川 裕太 笠松 悠 福岡 里紗 森田 諒 山根 和彦 小西 啓司 麻岡 大裕 中河 秀憲 白野 倫徳 天羽 清子 外川 正生 後藤 哲志
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.94, no.6, pp.814-820, 2020-11-20 (Released:2021-06-10)
参考文献数
11

大阪市立総合医療センターに入院したCOVID-19関連肺炎13例において,再検例を含むのべ20件の胸部CT画像について検討した.全例で胸膜直下の病変とground-glass opacity(GGO)を認めたが,胸水,心嚢水,縦隔・肺門部リンパ節腫脹,空洞形成は認めなかった.また,酸素投与を要した3例は下葉のvolume loss とともに胸膜直下の病変と結合する気管支血管束の病変が認められた.発症時期から画像所見を分類するとGGOは発症早期(10日未満)に多く認められ,crazy-paving pattern,consolidation,背側のconsolidation の帯状の融合像は発症後期(10日以降)に多く認められた.鑑別疾患としてはインフルエンザなどによるウイルス性肺炎と器質化肺炎が重要と考えられた.詳細な問診による発症からの期間と胸部CT画像の特徴的な所見や経時的変化を合わせて理解することで,COVID-19の事前確率を適切に評価し,診断と治療および感染対策につなげることが重要である.
著者
中川 七三郎
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.82, no.10, pp.680-683, 1987-10-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
3

佐渡を代表するものといえば, おけさ, 金山, トキとともに佐渡味噌がある。この佐渡味噌は, 味噌の種類からいっても, 仙台味噌, 信州味噌とともに日本の代表的米 (辛) 味噌の一つである。佐渡が対島暖流の影響で比較的暖かく, 味噌の原材料の自給は勿論, 桶・樽材の生産, そして製品味噌の船便移出など, 味噌産業の興隆に好条件に恵まれていた。本稿では, その佐渡味噌発展のバックグランドについて解説していただいた。
著者
増田 孝裕 中川 伸 小山 司
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.136, no.3, pp.141-144, 2010 (Released:2010-09-13)
参考文献数
17

現在,うつ病の治療薬はセロトニンやノルアドレナリンといったモノアミンを増加させる薬剤が中心として用いられているが,脳内の細胞外モノアミン濃度は抗うつ薬の投与数時間後には増加するのに対し,臨床における治療効果発現までには数週間の慢性投与が必要とされることもあり,抗うつ薬の治療発現メカニズムは未だ明らかとされていない.近年,成熟期の脳においても海馬歯状回といった特定領域において,神経幹・前駆細胞が存在し,神経細胞が新生されることが明らかにされている.この海馬における神経新生は,うつ病発症の危険因子とされるストレスによって抑制され,逆に抗うつ薬を慢性投与することによって促進される.さらに,海馬神経新生を阻害すると,行動薬理評価モデルにおける抗うつ薬の作用が消失するなどの報告から,抗うつ薬による治療メカニズムの新しい仮説として海馬の神経新生促進仮説が提唱され,注目を集めている.本稿では,うつ病と海馬神経新生の関わりについて概説するとともに,我々が確立した成体ラット海馬歯状回由来神経幹・前駆細胞(Adult rat Dentate gyrus derived neural Precursor cell: ADP)の紹介を交えて,海馬神経新生をターゲットとした新規抗うつ薬創製のアプローチの可能性について記載する.
著者
山中 智省 田島 悠来 中川 裕美
出版者
日本出版学会
雑誌
出版研究 (ISSN:03853659)
巻号頁・発行日
vol.47, pp.41-64, 2017

<p>2015年10月から放送されたTVアニメ『おそ松さん』(制作:studioぴえろ)は,"社会現象化"するほどの大ヒット作に成長した.その最中,『おそ松さん』を特集した雑誌が相次いで完売・重版を果たしたのはなぜなのか.本稿では『おそ松さん』のファンが見せた作品の受容姿勢を踏まえつつ,アニメ雑誌や一般向け雑誌に掲載された特集内容の分析を行い,各雑誌に見受けられた掲載情報や戦略性の違いを明らかにして,その背景に迫った.</p>