著者
中野 聡子 牧原 功 金澤 貴之 中野 泰志 新井 哲也 黒木 速人 井野 秀一 伊福部 達
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J90-D, no.3, pp.808-814, 2007-03-01

我々は,音声認識技術を用いた「音声同時字幕システム」の運用を行う中で,聴覚障害者が感じている字幕の読みにくさは,漢字等の誤認識だけではなく,言い誤りや会話的な表現など話し言葉固有の性質にも原因があるのではないかと考えるに至った.そこで本研究では,話し言葉固有の性質による読みにくさを含む字幕を読んでいるときの眼球運動を測定し,読返しの多さを定量的に調べると同時に,どのような表現部分の文章認知が困難であったかについて,被験者への聞き取りデータと合わせて実証的に明らかにすることを試みた.
著者
門野 友城 高瀬 裕 中野 有紀子
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.29, 2015

アニメーションエージェントにおけるジェスチャの自動付与は,言葉の意味や概念にも関わる難しい課題である.本研究では,抽象的な概念を視覚的に表現する隠喩的ジェスチャに焦点を当て,インタビュー番組をデータとして,発話中の言語情報と隠喩的ジェスチャとの関係を分析する.さらに,シソーラスを用いて類似した概念に類似のジェスチャを付与することにより,ジェスチャが自動生成されるエージェントシステムを実装する.
著者
神庭 純子 藤生 君江 吉川 一枝 山口 明子 中野 照代 荒木田 美香子 仲村 秀子 山名 れい子
出版者
岐阜医療科学大学
雑誌
岐阜医療科学大学紀要 (ISSN:18819168)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.47-53, 2007

乳幼児健診の場を育児支援の機会としてとらえ,継続的なフォローアップを行うことが求められている。そこで,育児機能アセスメントッール(PAFFAT. ver. II)を用いた調査を行い3歳児健診における要経過観察群(92名)と非経過観察群(332名)を対象として育児機能の比較を行った。その結果,要経過観察群と非経過観察群において有意な差がみられた項目は4項目であった。家族の情緒機能における「家庭内の重要な決定をするのに家族がいてくれてよかったと思う」,家族の健康機能(遊び)における「子どもを友達と遊ばせている」,家族の教育的機能における「弱い人や動物を大事にするように話している」,育児満足感における「子どもを授かってよかったと思う」の各項目において,要経過観察群の方に否定的な回答が多くみられた。また,母親の経過観察が特に必要であると判断された群では,育児負担感因子4項目において育児機能の低下がみられ,育児負担感を強く感じているという結果であった。要経過観察群の育児機能の特徴をふまえて,健診後の継続的な育児支援をしていくことが重要である。
著者
中野 敦之
出版者
横浜国立大学技術マネジメント研究学会
雑誌
技術マネジメント研究 (ISSN:13473042)
巻号頁・発行日
no.8, pp.11-20, 2009-03

本論で行われているのは、唐十郎とスタニスラフスキーの比較研究である。まず、本来であれば反新劇のシンボルとして知られる唐十郎と、新劇の源流として知られるスタニスラフスキーを比較検討することで、両者に共通する演劇美学を明らかにすること。これが本論の一番目の目的である。その際具体的には、唐十郎研究を通して得た視点を通して、スタニスラフスキーの主著である『芸術におけるわが生涯』『俳優修行』が読み直される。また、両者の演劇活動に共通する左翼運動との関連に注目し、そこで行われた熱狂的な演劇を"演劇以上の演劇"と呼んで分析を行うことで、閉塞する日本の演劇状況を打破するためのヒントを得ようというのが、本論の二番目の目的である。The main issue is to compare Kara Juro with Stanislavsky. First of all, the beauty of the drama in common will be cleared to compare Kara Juro who is known as the symbol of anti-Shingeki, with Stanislavsky who is know as the headwaters of the new drama. Through the study of Kara Juro, it is read "Art of My Life" and "An Actor Prepares" of Stanislavsky. Also this issue remarks the connection of the left wing in common of the drama activities of Kara Juro and Stanislavsky. It will be cleared that the enthusiastic drama defeats the circumstance of the Japanese dramas through it analyses the drama activities over the drama.
著者
東中野 多聞
出版者
公益財団法人史学会
雑誌
史學雜誌 (ISSN:00182478)
巻号頁・発行日
vol.108, no.9, pp.1619-1638, 1713-1712, 1999-09-20

In 1960, Prime Minister Kishi Nobusuke revised the Japan-U.S. Security Treaty. He was a well known politician, having been Minister of Commerce and Industry in the Tojo wartime cabinet. When Tojo requested Kishi to resign in order to reshuffle the Cabinet, Kishi declined, causing Tojo to yield and dissolve his Cabinet on July 18,1944. After the war, Kishi explained that his anti-Tojo actions were aimed at avoiding accusation as a war criminal after the War. There are only a few studies about his wartime politics. Kishi said that he spent his days in idleness after the resignation of the Tojo Cabinet and every study so far acccepts this explanation. The author of the present article doubts this point. After resignation of the Tojo Cabinet, Kishi and 32 others organized a political club called the "Gokoku Doshikai" within the House of Representatives. It consisted of socialists, generals, admirals, and nationalists. They adopted a committee system, established an office, and held study group once a week. Kishi was the virtual leader of this club. They carried out a nationwide campaign called the "National Defence Movement". Kishi also established an ultranationalist association, the "Bocho Sonjo Doshikai", in his hometown of Yamaguchi city. Author also investigates this group, and concludes that both Kishi and the Bocho Sonjo Doshikai were opposed to the end of war. The Gokoku Doshikai was based on one concept of national defence, a "productive Army", (seisan-gun), which aimed at strengthen the economic control. By unifying the munitions industries, Japan could use the materials more efficiently, in preparation for the decisive battle of the Japanese mainland through self-sufficiency. The Gokoku Doshikai was opposed to the Japanese government, because then Prime Minister Suzuki was aiming at ending the war, they denounced the government's policy vehemently; and when Suzuki decided to surrender, the Gokoku Doshikai and the Japanese army resisted. The author concludes that while Kishi contributed to the anti-Tojo movement, he was opposed to surrender. We can see the root of the Kishi's postwar faction in the "Gokoku Doshikai". After the war, two of its members entered the Kishi Cabinet, and five socialist members became the leaders of the Socialist Party. Here we see another point of continuity and discontinuity between prewar and postwar politics.
著者
中野 哲宏 清水 公裕 大谷 嘉己 懸川 誠一 森下 靖雄 竹吉 泉
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.21, no.6, pp.859-864, 2007-09-15 (Released:2008-11-19)
参考文献数
17
被引用文献数
2 6

症例は69歳,女性.検診の胸部単純X線写真で右上肺野に異常陰影を指摘された.胸部CTで,右肺上葉S3に径1cm大の小結節を認め,CTガイド下経皮的肺針生検を施行した.穿刺直後に意識消失,ショックに陥った.蘇生処置後のCTで中大脳動脈領域に空気泡が複数見られた.空気塞栓症の診断で,高圧酸素治療を開始したところ,脳血管内の気泡は著明に減少し,意識レベルも改善した.以後連日6日間の高圧酸素治療で,当初認められた左半身の麻痺は徐々に改善し,発症後7日目の時点で左手指に軽度の運動障害を残すのみとなった.CTガイド下経皮的肺生検による合併症の中では,空気塞栓症の頻度は極めて低いが,重篤であり,速やかな診断と適切な治療を要する.
著者
中野 鉄平 彦本 里美 森江 隆 永田 真 岩田 穆
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ICD, 集積回路 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.248, pp.45-51, 2001-07-26
被引用文献数
1

本論文では, 画像の領域分割後に得られるエッジ情報を利用し, エッジで囲まれた領域を画素並列で個別に抽出するアルゴリズムとそれを実現するLSI回路構成を提案する.1画素毎に1処理モジュールを割当て, 隣接画素の状態で自分の状態を決めるセルオートマトン型のアルゴリズムである.提案する画素回路は極めてコンパクトなので, すでに提案されている画像分割用画素回路内に組み込むことができるが, 今回はFPGAに実装した例を示し, 画素並列処理がどの程度現状のFPGAで可能かを議論する。
著者
西田 まどか 沖田 実 福田 幸子 岡本 直須美 中野 治郎 友利 幸之介 吉村 俊朗
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.31, no.5, pp.304-311, 2004-08-20
参考文献数
13
被引用文献数
7

本研究では,関節固定法と後肢懸垂法を組み合わせたラットの実験モデルを用いて,持続的伸張運動と間歇的伸張運動が拘縮と筋線維におよぼす影響を検討した。Wistar系雄ラット17匹を対照群3匹と実験群14匹に分け,実験群は両側足関節を最大底面位で固定した上で後肢懸垂法を2週間行った。また,実験算は固定のみの群(固定群,4匹),固定期間中に麻酔下で毎日30分問,ヒラメ筋に持続的伸張運動を実施する群(持続群,6匹),同様に間歇的伸恨運動を実施する群(間歇群,4匹)に分け,実験終了後は足関節背面角度とヒラメ筋の組織病理学的変化を検索した。足関節背面角度は持続群,間歇群が固定群より有意に高値を示したが,この2群のヒラメ筋には著しい筋線維損傷の発生が認められた。よって,持続・間歇的伸張運動ともに本実験モデルの拘縮の進行抑制に効果的であるが,ヒラメ筋に対しては悪影響をおよぼすことが示唆された。
著者
永原 陽子 浅田 進史 網中 昭世 粟屋 利江 石川 博樹 今泉 裕美子 大久保 由理 愼 蒼宇 鈴木 茂 難波 ちづる 中野 聡 眞城 百華 溝辺 泰雄 飯島 みどり 松田 素二 上杉 妙子 丸山 淳子 小川 了 ジェッピー シャーミル サネ ピエール テケステ ネガシュ
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究は、20世紀の戦争において植民地と他の植民地との間を移動した人々(兵士・軍夫、軍に関連する労働者、「売春婦」等の女性)に着目し、とくに世紀転換期から第一次世界大戦期を中心に、これらの人々の移動のメカニズム、移動先での業務と生活の実態、様々な出自の人々との接触の内容、移動の経験が帰還後の出身地社会においてもった意味、などについて検討した。その結果、植民地の場における労働と戦争動員との連続性(「平時」と「戦時」の連続性)、兵士の動員と不可分の関係にある女性の自発的・強制的な移動の事実、さらに従来の研究の中心であった知識層の経験とは大きく異なる一般労働者・女性の経験が明らかになった。
著者
中野 敬一
出版者
都市有害生物管理学会
雑誌
家屋害虫 (ISSN:0912974X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.17-23, 2002-07-30
被引用文献数
4

都市におけるヒトスジシマカの生息状況を把握するため,2000年5月から11月にかけて東京都港区の4箇所でオビトラップにより調査を行った.産卵はオビトラップに5月から11月まで確認された.産卵数は9月中旬にピークがあった.オビトラップに水道水と雑草浸漬水,エビオス混釈水を使用した場合の産卵数を比較したが,はっきりした結果は得られなかった.また,オビトラップの7日後の水質を検査したが,水質と産卵数との相関係数は低かった.さらに産卵数50個以上と5個以下のトラップの水質を比較したが,有意差はなかった.
著者
中野 美知子
巻号頁・発行日
pp.1-426, 2000-03

課題番号:10680290 平成10年度~平成11年度科学研究費補助金(基盤研究(C)(2))研究成果報告書 研究代表者中野美知子(早稲田大学教育学部教授)
著者
中野 聡 吉田 裕 宮地 尚子 林 博史 永井 均 笠原 十九司 ハーバート ビックス リカルド ホセ リディア ホセ ヤン ダーチン フロレンティーノ ロダオ マイケル サルマン アウグスト エスピリトゥ 戸谷 由麻 ロリ ワット 寺見 元恵 荒沢 千賀子
出版者
一橋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

第2次世界大戦末期の「マニラ戦(1945年2月3日. 3月3日)」の実像と記憶を学際的・総合的に検討し、さらにその研究成果を国際研究集会などにより公開・社会還元することにより、日・比・米など関係諸国間で戦争の過去をめぐり「より質の高い対話と和解」を可能にする学術基盤の整備を推進した。
著者
中野 和典
出版者
九州大学
雑誌
Comparatio (ISSN:13474286)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.1-10, 2002

The subject matter of Abe Kobe's "The Face of Another" is the loss of a man's face. "I" was seriously injured in the face in an accident. What is the meaning of the loss of a man's face in contemporary society where people are asked to show their identities? What becomes clear through his hard struggles in making an elaborate mask and tempting his wife is how man is influenced by his face. "I" goes into the city with the mask on and knows that the world is a prison and people are its prisoners. Why did he say, " The world is a prison?" And on one hand he has some sympathy for Koreans in Japan, Blacks in America and a girl from Hiroshima, who are alienated in the community on account of their faces, on the other he feels that something is wrong. How is this related to his recognition that the world is a prison? In this essay I try to make clear the extension of the representation of the face in "The Face of Another".
著者
中野 幹夫 本杉 日野
出版者
京都府立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

わが国では一般に,同じ果物でもより大きな果実が好まれるため,生産者は果実肥大に努める.しかし,果実の肥大を促すと,モモでは核割れを誘発し,生理落果や品質低下を招く.これまでに,1.核割れは果肉組織の発育に伴って生じた引張力が核を引き裂くことによって起こり,2.未熟な種皮は外気に晒されると大量のエチレンを急速に生成することから,3.果柄基部にまで及ぶ激しい核割れを生じた場合は,大気の流入によりエチレン生成が起こり,落果が誘導される恐れがあるが,4.通常の核割れではエチレン生成、はみられないが,成熟は促され,収穫期直前落果がやや多くなること,等を明らかにした.本研究では,果実発育に伴う果肉と核の物理的強度の変化を調査し.肥大促進した果実の特性を明らかにした.核の硬度は果実発育第1期から第3期に掛けて増し続けたが,核割れの起こる第2期には,弾性が小さく脆いため,外圧が加わると核は破壊され易く,果実肥大を促すとその特性が助長されることを明らかにした.果実基部から核内腔へ色素溶液を加圧注入して核割れ症状を人為的に起こしたところ,核の耐圧力は果実発育に伴って一増加し続けたが,肥大促進区の第2期の耐圧力は対照区のそれに比べ低く,また,果実径と耐圧力との間には負の相関が認められた.摘蕾を主体とした管理によって果実肥大の促進を図ったところ,商品として十分な大きさの果実が得られた.若干の核割れは発生したものの従来の摘果主体の管理に比べて,核割れの発生を大幅に減らすことが出来た.以上から,第2期初めに摘果するよりも,摘蕾や摘花によって細胞数の増加に努め,核の硬化が完了した第2期後期に摘果して肥大を促す方が得策であると判断した.なお,摘蕾を行うと奇形化した種子が増え,胚のうの核DNA量に異常が認められた.その原因究明と生理落果との関係を精査する必要がある.