著者
伊藤 英樹
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.57, no.9, pp.944-954, 2017 (Released:2017-09-01)
参考文献数
24

目的 : 一般外来で簡単に使用でき利便性の高いうつ病評価尺度 (Jiテスト) の開発を目指した.  方法 : うつ病症状の代表的な9項目 (抑うつ, 興味や喜びの喪失, 易疲労性と気力の減退, 実存, 希死念慮, 不安, 思考力・注意力・集中力の低下, 身体化, 睡眠障害) を抽出し下位尺度とした. 各項目における症状を日常生活障害とし, 4件法での回答により総得点 (0~90点) を総合的指標として統計的解析を実施した.  結果 : 当診療所における新患91名を対象とし, 回答者91名の平均年齢は45.3歳, 男女比は27名/64名, 平均得点は40.0点であった. 信頼性を示すCronbachのα係数は0.938であった.  結論 : 既存尺度との比較による内容妥当性も有意な相関を認め, Jiテストの信頼性および妥当性は十分と考えられた. また臨床診断における総合評価との比較も実施し十分な信頼性を得られた. 現在, 施行されているストレスチェックへの展望も鑑み, 検証データの考察から詳細なご報告をしていきたい.
著者
伊藤 忠 太田 和義 馬渕 晃好 國島 宏樹 山崎 一徳 森田 良文 谷川 智康 吉久 みな子 久保 晃 酒井 義人
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.28, no.6, pp.751-756, 2013 (Released:2014-01-21)
参考文献数
19

〔目的〕本研究は,ケイデンスを変化させた後進歩行練習直後の運動機能の影響を検証することである.〔対象〕対象者は,高齢者6名(以下高齢者群),若年者7名(以下青年群),中学生7名(以下少年群)とした.〔方法〕3分間の後進歩行練習を,メトロノームを使用して,ケイデンスを自由速度から50%の速度へと30秒ごとに増減させて実施した.運動機能評価は,自由歩行速度,timed“up & go”test (以下TUG),5 m最大歩行速度,片脚立位時間,座位開閉ステッピングテスト,chair stand test(以下CS-30)とした.〔結果〕共通して,5 m最大歩行速度,CS-30で有意な向上を認めた.〔結語〕後進歩行練習は,年齢によって若干の違いは出るが,運動機能向上に有用であることが示唆された.
著者
小室 優也 柴田 悠希 安 俊杰 伊藤 仁志 入江 寿弘 新宮 清志
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集 第31回ファジィシステムシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.131-134, 2015 (Released:2016-02-26)

近年、ロボットが活躍する環境が広がりつつある。特に、災害現場のような人間が立ち入ることができない危険な場所において遠隔操作によって動作するロボットが使用される。しかし、遠隔操作は通信途絶などによってロボットが帰還できなくなることがあるため、自律移動が可能なロボットの研究が進められている。本研究では、深度センサとロータリエンコーダを用いて周辺環境と自己位置・姿勢を認識させ目的地への最適な経路計画を行う方法としてダイクストラ法の利用を検討する。
著者
柴田 洋孝 伊藤 裕
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.96, no.4, pp.805-810, 2007 (Released:2012-08-02)
参考文献数
13
被引用文献数
3

偽性アルドステロン症は,甘草(グリチルリチン酸)の慢性摂取により,高血圧,低カリウム血症,低レニン血症,低アルドステロン血症を呈する疾患である.腎臓の皮質集合管細胞にあるミネラルコルチコイド受容体(MR)に,アルドステロンとコルチゾールは等しい親和性で結合するが,通常,11β-hydroxysteroid dehydrogenase type 2によるコルチゾールからコルチゾンへの不活化により,アルドステロンが選択的にMRに結合する.グリチルリチン酸は,この酵素活性を可逆的に阻害することにより,腎臓内で上昇した内因性コルチゾールにより,MRを活性化して,Na再吸収およびK排泄が亢進するのが病態である.治療としては,原因薬物や食物の減量または中止であるが,一部の症例ではミネラルコルチコイド過剰症状が遷延することがあり,減塩,K補充,MR拮抗薬のスピロノラクトン投与などが有効である.
著者
伊藤 耕三
出版者
The Japanese Society for Hygiene
雑誌
日本衛生学雑誌 (ISSN:00215082)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.304-314, 1971-08-28 (Released:2009-02-17)
参考文献数
40
被引用文献数
8 16

Nitrogen dioxide is one of the main atmospheric pollutants in many communities. It is emitted in large quantities in the exhaust of automotive engines and is formed when atmospheric nitrogen and oxygen are heated to a high temperature in a flame.Experiments were made to ascertain possible synergistic effects of nitrogen dioxide and influenza virus infection in mice. Young female dd strain mice weighing 15 to 17g were challenged with mouse-adapted type A influenza virus, strain PR 8, two hours after acute and intermittent exposure to 10ppm nitrogen dioxide for two hours daily for one, three and five days. Female I.C.R. strain mice weighing 22 to 25g were also challenged with type A influenza virus after continuous exposure to 0.5 to 1.0ppm nitrogen dioxide for 39 days.Results were as follows;1) Acute and intermittent exposure to 10ppm nitrogen dioxide for two hours daily for five days significantly increased the susceptibility of mice to influenza virus infection as demonstrated by enhanced mortality.2) Extent of interstitial pneumonia was higher in the mice challenged with influenza virus after chronic and continuous exposure and acute and intermittent exposure to nitrogen dioxide than in the infected controls.3) Adenomatous proliferations of bronchial and bronchiolar epithelium were marked in the mice challenged with influenza virus after continuous exposure to low levels of nitrogen dioxide.
著者
和田 博夫 伊藤 潔 梅田 康弘 角野 由夫
出版者
京都大学防災研究所
雑誌
京都大学防災研究所年報. B = Disaster Prevention Research Institute Annuals. B (ISSN:0386412X)
巻号頁・発行日
vol.36, no.B-1, pp.291-303, 1993-04-01

Earthquake swarm activities have been occurring since January 1990 in the vicinity of Mount Yake-dake volcano in central Honshu, Japan.The volcano erupted frequently but it has been 30years since the last eruption in 1962.Temporary observation of microerarthquakes was conducted -near the volcano to survey the seismic activity.A station was set at about 1.5 km away from the summit crater in September, 1990 and five temporary stations were installed in the surrounding area of the volcano during the period from July to September, 1992. After that, three stations have been maintained to monitor the seismic activity.Although only a few events were located in the volcano during the period from July to September, 1992, the focal depths of the events were found to be very shallow as less than 3 km.In October and December, earthquake swarms occurred right beneath Yake-dake volcano.Earthquake swarms were also found in northeast, north and southeast of the volcano.Reviews of the studies on the volcano activity and earthquake swarms near the volcano are also given in this paper.
著者
伊藤 たてお
出版者
公益財団法人 医療科学研究所
雑誌
医療と社会
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.27-36, 2018
被引用文献数
1

<p>2015年1月1日から施行された「難病の患者に対する医療等に関する法律」(以下,難病法とする)の提起と成立に至る患者会の活動を振り返り,患者会の視点からの新たな課題と問題提起を行う。難病対策は1972年の難病対策要綱以来,対象疾病や事業の拡大をしてきたが,予算措置であるためにその時々の国の予算の範囲内での対策とされていた。その歴史の中で患者会はどのような運動を展開して難病法の成立に関わったのかは,今後の日本の難病対策の在り方の議論においても重要な意味をもつものではないだろうか。患者会の果たすべき役割はより大きくなると考える。</p><p>「難病の患者が尊厳をもって地域で生活をしていくことのできる社会」の実現を目指すとしている難病法の見直しについての課題を提起する。それを一言に集約するならば,「すべての難病とその患者を難病法の対象とする」ということである。医学的な見地とはまた別に,患者の生活を支援することの重要性の理解が必要であると考える。加えて,急速に発展する医学の発展にも対応できる仕組みの構築が必要と考える。法律はよりシンプルである方が多くの国民の理解を得られやすく,かつ行政的にもコスト的にもより効率的になると考えるからである。</p><p>現状では様々な課題も次第に明らかとなっているが,難病法のもつ「国民の健康の向上に寄与する」という目的からも,他の施策との横並びの整合性を過剰に重要視すべきではないと考える。</p>
著者
山下 かおり 石川 幹雄 手塚 正人 伊藤 信行
出版者
一般社団法人 表面技術協会
雑誌
表面技術 (ISSN:09151869)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3, pp.143-146, 2017-03-01 (Released:2018-03-01)
参考文献数
22
被引用文献数
3
著者
牧野 聖也 狩野 宏 浅見 幸夫 伊藤 裕之 竹田 和由 奥村 康
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.350b, 2014 (Released:2014-10-07)

【目的】昨年本学会において,我々はLactobacillus delbrueckii ssp. bulgaricus OLL1073R-1(1073R-1乳酸菌)で発酵したヨーグルトの摂取が男子大学生に対してインフルエンザワクチン接種後のワクチン株特異的抗体価の増強効果を発揮することを発表した.今回,より幅広い世代の男女に対して,1073R-1乳酸菌で発酵したヨーグルト(1073R-1ヨーグルト)がインフルエンザワクチン増強効果を発揮するか否かを明らかにすることを目的に二重盲検並行群間比較試験を実施した.【方法】インフルエンザワクチン株に対する特異的抗体価が40倍未満の20歳以上60歳未満の男女62名(25-59歳;平均年齢43.7歳;男性25名,女性37名)を2群に分け,1073R-1ヨーグルト群には1073R-1乳酸菌で発酵したドリンクヨーグルト,プラセボ群には酸性乳飲料を1日1本(112ml),インフルエンザワクチンを接種する3週間前から接種6週間後まで摂取させた.摂取開始前,ワクチン接種時,接種3週間後,接種6週間後,接種12週間後に採血を行い,接種したワクチン株に特異的な抗体価をHI法で測定した.【成績】インフルエンザA型H1N1,B型に対する抗体価はワクチン接種後にプラセボ群に比べて1073R-1ヨーグルト群で有意に高い値で推移した.【結論】1073R-1乳酸菌で発酵したヨーグルトの摂取は,幅広い世代の男女に対してインフルエンザワクチン接種の効果を増強する可能性が示された.
著者
大塚 浩仁 佐野 成寿 羽生 宏人 山本 高行 伊藤 琢博 岩倉 定雄
出版者
一般社団法人 日本航空宇宙学会
雑誌
日本航空宇宙学会誌 (ISSN:00214663)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.32-37, 2020-02-05 (Released:2020-02-05)
参考文献数
4

本解説では,超小型衛星打上げ機(SS-520 4,5号機)の機体システム開発の概要を示す.本ロケットの開発意義は,搭載した宇宙用機器に品質の高い民生部品を活用して超小型衛星打上げシステムを作り上げたことと,従来の開発手法に加え新たに取り組んだ民生品の品質保証の考え方を構築してフライト実証したことである.また,既存の観測ロケットに衛星打上げ能力を持たせるためには,いくつかの課題を克服する必要があった.抜本的な構造軽量化,搭載機器の小型軽量化,衛星とロケット一体となった機能の最適配分,誘導制御系の工夫,飛行安全,Test as Flyをベースとした検証試験等々,限られたリソースと開発期間の厳しい制約条件のなかで随所に創意工夫を施した.本解説では,その開発におけるポイントを総括した.
著者
横須賀 収 小俣 政男 多田 稔 細田 和彦 田川 まさみ 伊藤 よしみ 大藤 正雄
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.178-181, 1989-02-25 (Released:2009-07-09)
参考文献数
8
被引用文献数
1

Polymerase chain reaction (PCR)法はpolymerase反応を繰り返し行うことにより目的とするDNAを倍倍に増幅する方法であり,著者らはこのPCR法を用いてHBVDNAを検出した.1pgから10-7pgまで希釈したクローン化HBVDNAに対して30から50サイクルPCRを行う事によりエチジウムブロマイド染色でウイルス1個のレベルに相当する10-6pgのクローン化HBVDNAを検出しえた.更に増幅したDNAがHBVDNAに相補性を有することをSouthern blot法により確認した.また実際の血清中のHBVDNAな検索する事によりHBs抗原陽性例では,HBe抗原陽性5例中5例,HBe抗原抗体陰性2例中2例,HBe抗体陽性10例中8例にウイルスDNAが検出されたが,HBs抗原陰性例6例では検出されなかった.HBe抗体陽性例においても高頻度に微量のウイルスが存在する事が示された.
著者
村田 麻里子 パスキエ オレリアン 山中 千恵 伊藤 遊
出版者
関西大学社会学部
雑誌
関西大学社会学部紀要 (ISSN:02876817)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.57-81, 2014-10-31

This paper reports on the special exhibition of Korean comics ‘Flowers that Never Wilt’ at the 2014 Angouleme International Comics Festival. It also analyzes the ‘politics’ involved in the festival site and the exhibition display. The exhibition, which dealt with the issues of ‘comfort women’, raised disputes among the three involved countries: Korea, Japan and France. This paper tries to carefully examine the cause of these disputes, and to clarify the differences or the gaps in their perspectives towards exhibiting such political issues.本稿は、フランス・アングレーム市で毎年開催されるアングレーム国際BDフェスティバルに出展された韓国漫画の展覧会「枯れない花」展を、現場のレポートを交えて概観するとともに、そこにおいて顕在化した場と展示の〈政治性〉についての考察を行うものである。これによって、日韓仏三国には、〈政治性〉をめぐる解釈に齟齬があること、またここには日韓間の問題だけではなく、ヨーロッパからみた「オリエント」としてのアジアという問題も、影を落としていることが明らかになった。
著者
伊藤 洋典
出版者
熊本大学
雑誌
熊本法学 (ISSN:04528204)
巻号頁・発行日
no.135, pp.101-129, 2015-12

地方議会の問題は、議会の運営の仕方の問題や議員の資質の問題であるというよりも、むしろ、議会の基盤である社会構造の問題として捉えた方がよいのではないか。つまり、社会構造的な原因が地方議会の存在意義を大きく低下させているのではないかという視点から分析しなければならないのではないか。もっとも、本稿ではこの問題を詳細に分析するだけの準備ができていない。本稿はこうした問題を考えるための準備として、問題を考える手掛りを捉えるための全体的な状況を整理し、そして議員の意識調査をもとに、議員が何を自分たちの使命として考えているか、また住民は議員に何を求めているかを、筆者が今年(二〇一五年三月)にとったアンケート調査を参考にして考えてみる。また議員と住民の意識のギャップも合わせて考えてみたい。