著者
松本 勉 岩村 充 佐々木 良一 松木 武
雑誌
情報処理学会研究報告マルチメディア通信と分散処理(DPS)
巻号頁・発行日
vol.2000, no.30(1999-DPS-097), pp.13-18, 2000-03-21

計算量的仮定に基づく暗号による電子署名方式は,技術環境が変化すれば,十分な安全性をずっと保ち続けられるとは限らないという性質を持つ.よって,本来自分だけが持つはずの暗号的署名生成機能を他のエンティティが持っているという状況が生じえる.このため,自分が署名した覚えのない電子文書が提示されたとしても,自分は署名していないことを調停者に対して証明できること,すなわち「電子署名アリバイ(電子署名の非生成証明)」を実現する機構が求められる.我々は,署名生成者の署名履歴?これには他のエンティティの署名履歴との交差が含まれる場合もある?に依存して署名生成を行うという「ヒステリシス署名」とそれを基礎とする電子署名アリバイ実現機構を提案する.
著者
佐々木 友輔
出版者
東京藝術大学
巻号頁・発行日
2013-03-25

平成24年度
著者
橋本 秀実 伊藤 薫 山路 由実子 佐々木 由香 村嶋 正幸 柳澤 理子
出版者
日本国際保健医療学会
雑誌
国際保健医療 (ISSN:09176543)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.281-293, 2011-12-20 (Released:2012-02-04)
参考文献数
26
被引用文献数
1

目的在日外国人女性の日本での妊娠・出産・育児の困難と、それを乗り越える方略を明らかにする。方法日本で出産、子育てを経験した外国人18名を対象に半構成的面接を行った。妊娠、出産と育児について、健康診断や予防接種などの受診状況や困ったこと、問題をどう克服したかなどについて自由に語ってもらった。逐語録から、テーマについての文脈を取り出しコード化した。コードの意味内容から類似性のあるものを集めてサブカテゴリを作り、抽象度の高いカテゴリを作成、コアカテゴリを抽出した。結果在日外国人女性の妊娠・出産・育児の困難では、≪育児の不安・ストレス≫、≪周りとのつながりの問題≫、≪社会・経済的問題≫、≪妊娠・出産・病気の不安≫、≪日本語による情報伝達困難に起因する問題≫、≪日本の保健医療についての理解の困難≫、≪出産国の選択≫の7つのコアカテゴリが、困難を乗り越える方略では≪自分で何とかする≫、≪家族に助けてもらう≫、≪友人や近所の人に助けてもらう≫、≪感情の表出≫、≪通訳の利用≫、≪日本の保健医療システムの利用≫、≪日本以外の保健医療システムの利用≫、≪やり過ごす≫の8つのコアカテゴリが抽出された。このコアカテゴリは次のように構造化できた。困難への対処方略の核は家族である。≪家族に助けてもらう≫中で≪自分で何とかする≫努力をする。受診を控えるなど≪やり過ごす≫こともあるが、十分な助けが得られれば、≪自分で何とかする≫方略へと移行することが可能である。家族で対処困難になると、直接あるいは友人や通訳の助けを得て、日本または日本以外の保健医療システムの利用を通じて専門家の助けを求めていた。結論外国人が保健医療にアクセスする際、日常の言葉以外にも、専門用語やシステムの理解といったヘルスリテラシーが必要となる。≪自分で何とかする≫女性の方略を支援するために、彼らの方略を理解し、強化する工夫が必要である。外国人女性は家族や友人などの支援を得て困難を乗り越えていたが、支援を得られにくい女性についてはネットワークづくりや保健医療従事者の積極的な介入が求められる。≪やり過ごす≫といったネガティブな方略や≪日本以外の保健医療システムの利用≫は、日本社会適応段階の途中とも考えられ、保健医療従事者は一概にその行動を否定するのでなく、不安を軽減するための方法として捉え、支援する必要がある。
著者
佐々木 昇一
出版者
生活経済学会
雑誌
生活経済学研究 (ISSN:13417347)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.79-87, 2010
参考文献数
15

This paper examines the determinants of the reservation wages for marriage by the survey of unmarried women in Japan. Especially, I focus on the effects of the employment status on whether the single women have the reservation wages and on their reservation wages themselves. The estimation results show that women who live with their parents tend to have the reservation wages for marriage. And their income and actual relationship to potential partner significantly affect their reservation wages. However, contrary to the theoretical hypothesis, the reservation wages are significantly influenced both by their present and potential labor supply in the future. It is partly because women such as part-time workers require their potential partner to have higher income as a hedge against their own unstable income. It suggests that we should consider the sum of the couple's expected income because many young couples both participate in the labor market in recent years.
著者
荻原 毅 上原 信吾 佐々木 宏子 菊池 重忠 佐藤 アイコ 高見沢 将 井出 晴子 中田 未和子 畠山 敏雄
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.73-78, 2009-07-30 (Released:2009-09-18)
参考文献数
16
被引用文献数
1

当院脳ドックでは検査項目のひとつである頸動脈超音波検査のときに,同時に甲状腺の超音波スクリーニングを実施してきた。今回我々は,この甲状腺超音波スクリーニングの有用性について検討した。対象は1992年12月から2007年3月までの当院脳ドック受診者で複数回受診者を除く,実質受診者4,338名である。腫瘤性病変では100例の要精検者のうち79例が精検を受診し (精検受診率79%),このなかから17例 (発見率0.39%) の乳頭癌が発見された。このうち当院で治療 (切除術) が行なわれた13例につき検討すると,平均腫瘤径11mmと小さなものが多く,病期分類のn分類でもn0が8例,n1が5例と早期のものが多かった。び慢性疾患では101例の要精検者のうち45例 (精検受診率44.6%) が精検を受診し,バセドー病5例,慢性甲状腺炎15例 (0.35%) が発見された。バセドー病の5例は全例に機能亢進を認め,慢性甲状腺炎15例のうち9例には機能低下を認めた。また,甲状腺外の腫瘤として副甲状腺腺腫1例,中咽頭癌の転移性リンパ節1例,悪性リンパ腫1例が発見された。甲状腺超音波スクリーニングは癌の早期発見だけでなく,甲状腺機能異常のスクリーニングとしても有用な検査と考えられた。
著者
越村 俊一 江川 新一 久保 達彦 近藤 久禎 マス エリック 小林 広明 金谷 泰宏 太田 雄策 市川 学 柴崎 亮介 佐々木 宏之
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2021-07-05

リアルタイムシミュレーション,センシングの融合による広域被害把握,被災地内外の人の移動と社会動態把握,医療需要および被災地の医療活動状況を入力としたマルチエージェントシミュレーションで構成する仮想世界でのwhat-ifの分析を通じて,物理世界となる被災地での災害医療チームの活動を支援するための「災害医療デジタルツイン」を構築する.災害医療の最前線で活動する研究者との協働を通じて,南海トラフ連続地震により連続して来襲する津波のリスク下において,医療システムの一部の機能が一定期間低下しても,被災地内外の災害医療の機能を速やかに回復できる医療レジリエンスの再構築を先導する.
著者
高嶋 航 藤田 大誠 中嶋 哲也 金 誠 束原 文郎 浜田 幸絵 菅野 敦志 佐々木 浩雄 新 雅史
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2018-04-01

本研究は、20世紀前半の帝国日本におけるスポーツの全体像を実証的に解明することを最終目的とし、本年度は上記の課題を遂行する上でミッシングリンクとなっている満洲のスポーツについて、関連資料を調査収集しつつ、研究テーマを探ることを主たる活動目標とした。資料収集においてとりわけ重点を置いたのは、1907年から1943年まで刊行された『満洲日日新聞/満洲日報』である。満洲スポーツの全体像を窺うには、まずこの資料を十分に踏まえておかねばならない。しかしながら、『満洲日日新聞』は大連(のち奉天)に拠点を置いているため、満洲国の首都である新京や、いわゆる「北満」と呼ばれた地域に関する情報は決して多くない。そのため、新京で刊行されていた『新京日日新聞』(1933~1940年)の収集も並行して進め、収集した記事を年表の形に整理している。研究会は五月、八月、一二月と三回開催し、満洲や帝国日本のスポーツに関わる研究発表を行った。資料から明らかになった満洲スポーツのいくつかの側面について、日本や朝鮮の事例と比較しながら、考察を進め智識を共有した。海外調査は三月に大連、丹東、瀋陽で実施し、戦前のスポーツ関連施設の現状を調査した。繰越分については、中国での再調査に使用する予定であったが、中国での図書館利用が見込めなくなったため、IOCオリンピックセンター(スイス)での調査に変更した。この調査では、日本と満洲国のオリンピックおよび極東大会参加に関する資料を収集した。
著者
佐々木 哲也 中垣 慶子 佐栁 友規 真鍋 朋子
出版者
国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

ヒトの脳では、新生児から子供の時期にかけてシナプスが急速に増えた後、大人になるにつれて減っていく。自閉症患者の脳では、シナプスの刈り込みがうまくいかず、余分な神経回路が残っていると考えられている。私たちは霊長類であるマーモセットを使って自閉症の原因に迫ろうとしている。まずマーモセットの脳で「刈り込み」が起こっていることを確認し、さらにバルプロ酸を妊娠しているサルに与えて自閉症の症状を示す霊長類モデルを作り出すことに成功した。本研究では、その脳でシナプスの「刈り込み」が不十分であることを見つけた。ヒト自閉症脳の特徴を反映したサルを用いることで、新しい治療法の開発に貢献できると期待される。
著者
佐々木 掌子
出版者
心理学評論刊行会
雑誌
心理学評論 (ISSN:03861058)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.3-14, 2017 (Released:2018-07-20)
参考文献数
48
被引用文献数
3

The purposes of this paper are 1) to introduce the methods for determining sex/gender differences from the perspective of behavioral genetics, 2) to review the sex/gender differences in various psychological traits found by these approaches, and 3) to propose directions for psychological gender research using behavioral genetics. While behavioral genetics always focuses on individual gender differences, using sex/gender limitation analysis, such studies can focus on both quantitative and qualitative factors affected by sex/gender differences. By integrated the findings derived from behavioral genetics, gender studies can determine how the environment influences genetic factors, and can describe the developmental trajectories of genetic and environmental factors related to gender.
著者
佐々木 一郎
出版者
公益財団法人 損害保険事業総合研究所
雑誌
損害保険研究 (ISSN:02876337)
巻号頁・発行日
vol.78, no.1, pp.113-134, 2016 (Released:2019-04-05)
参考文献数
13
被引用文献数
1

家計が直面する様々な危険を処理するうえで,民間損害保険会社等の任意保険は重要なリスクマネジメント手段の1つである。だが,現在のわが国の学校教育現場では,リスクや損害保険について学ぶ機会はほぼ皆無である。損害保険の知識不足のために,損害保険商品の価値が過小評価され,本来であれば加入しておいたほうがよいと思われるケースにおいても未加入のまま,損害保険が有効活用されないことも考えられる。 本研究では,民間の任意自動車保険に焦点を当て,自動車保険の主観的知識量と未加入行動との関係をロジットモデルにもとづき分析をした。分析の結果,自動車保険の知識量が多いケースと比較して,保険知識量が少ない場合,未加入率が約2.5倍高くなることが示された。実証分析結果より知識不足のために未加入が誘発されている可能があることを踏まえると,中学・高校等における学校教育現場での保険教育のよりいっそうの充実が重要である。
著者
鈴木 千尋 佐々木 基樹
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.15-27, 2023 (Released:2023-02-09)
参考文献数
77

ニホンオオカミ(Canis lupus hodophilax)は多くの謎を残して絶滅した.これまで,謎に包まれたニホンオオカミの生物学的特徴の解明のため,形態学的な調査や議論が数多く行われてきた.テミンク(Temminck)が1839年にニホンオオカミの命名を行って以来,約180年の間,ニホンオオカミの分類学的位置に決着がつかずにいた.2009年以降になると,ニホンオオカミの遺伝学的手法を用いた解析が着実に進み,ニホンオオカミはオオカミ(C. lupus)の亜種とすることがほぼ確定された.形態学的な研究は,ニホンオオカミの系統進化学的位置を明らかにすることはできなかったが,それらはニホンオオカミの多くの形態の特徴を明らかにしてきた.特に頭蓋の形態において,二分する前翼孔や口蓋骨水平板後縁の湾入など他のオオカミ亜種やイヌ(イヌもオオカミの亜種であるが本総説では別途分けて記載する)とは異なる部位が複数あること,さらに,ストップ(額段)が発達しないといったオオカミの特徴と,小さく扁平な鼓室胞を有するといったイヌの特徴の両方を持つことが明らかにされている.これらニホンオオカミの形態学的特徴は,これまでにニホンオオカミの同定に対して重要な役割を担ってきた.また近年,CTスキャナーや3Dスキャナーによって得られたデジタルデータを用いた三次元画像解析が,ニホンオオカミを含むオオカミやイヌの頭蓋を対象に行われている.CT画像解析によって,頭蓋内部を非破壊的に検索することができるようになり,これまで困難であった頭蓋内部構造の詳細な把握,そしてそれらの定量解析が可能となった.また,CT解析では,頭蓋形態から推定される脳の外部形態を出力することが可能であり,今後ニホンオオカミにおいて脳機能の理解にそれを役立てることができるかもしれない.さらに,これら三次元デジタルデータからは実物形態を反映した模型の作製が可能であり,これらの研究分野での利用はニホンオオカミの様々な機能を解明する機会を我々に与えてくれるであろう.今後,さらなるニホンオオカミの生物学的特徴の把握のためにも,継続的な形態学的研究が必要である.
著者
橋詰 淳哉 龍 恵美 能勢 誠一 宮永 圭 岸川 礼子 中村 忠博 室 高広 兒玉 幸修 山下 春奈 石井 浩二 佐々木 均
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.101-109, 2020 (Released:2020-04-30)
参考文献数
25
被引用文献数
1 5

【目的】ナルデメジンは消化管のµオピオイド受容体に拮抗してオピオイド誘発性便秘(opioid-induced constipation: OIC)を改善するが,副作用として下痢が知られている.ナルデメジン導入後の下痢発現の予測因子についてオピオイド鎮痛薬投与期間に着目して解析した.【方法】2017年6月1日から2019年3月31日の期間に長崎大学病院においてナルデメジンをはじめて導入した患者を対象に後方視的調査を行った.【結果】調査対象は132名であり,下痢は33名(25.0%)に発現した.多変量ロジスティック回帰分析の結果,ナルデメジン導入前のオピオイド鎮痛薬投与日数8日以上は下痢発現と有意に関連した(オッズ比:3.76, 95%信頼区間:1.53-9.20, p=0.004).【考察】OICに対してナルデメジンを使用する場合,オピオイド開始後7日以内に使用することで,下痢の発現を回避できる可能性が示唆された.