著者
三浦 貴弘 犬飼 佳吾 Pacharasut S. San S. Thanee C. 佐々木 勝
出版者
行動経済学会
雑誌
行動経済学 (ISSN:21853568)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.106-109, 2017 (Released:2017-06-01)
参考文献数
5

本研究では,アンケートを用いたリスク選好の測定の代替案の1つとして,実験室におけるサーチ実験を行い,観測された被験者のサーチ行動からリスクに対する選好の程度を測定した.その結果を用いて,性別間でリスク回避度に違いがみられるのかを日本,タイの被験者を用いて比較分析を行った.本研究から得られた結果として,日本では男女間でリスク選好に違いは見られなかったが,その一方でタイではリスク選好は女性のほうが統計的に有意にリスク愛好的であることが明らかになった.また,アンケートの結果から測定したリスク選好は日本,タイどちらの国でも有意な違いはみられなかった.この結果から,求職行動に関連するリスク選好の男女差は文化によって異なることが示唆される.
著者
佐々木 諒平
出版者
公益社団法人 埼玉県理学療法士会
雑誌
理学療法 - 臨床・研究・教育 (ISSN:1880893X)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.14-17, 2010 (Released:2010-03-12)
参考文献数
9
被引用文献数
1

本研究は,健常成人12名(男女各6名)を対象に,足趾機能がバランス能力に与える影響について,足趾把持力と重心動揺を測定し,検討したものである。結果,足趾把持力について,男女間での差および左右での差は認められなかった。足趾把持力と重心動揺との関係については,男性において足趾把持力と総軌跡長とは負の相関関係,足趾把持力と単位面積軌跡長とは正の相関関係が認められ,統計学的な有意差も認められた。逆に,女性では必ずしも男性と同様の結果は認められなかった。これらのことから,男性において足趾把持力はバランス能力を規定する上で有利に働いていると思われ,バランス能力向上のための運動療法において足趾把持力の強化が有効であることが推察された。また,女性においては男性と同様な結果は得られず,また男女間に足趾把持力の有意差が認められなかったにも関わらず,男性のみ足趾把持力と重心動揺とに有意な相関が認められたことから,男女のバランス戦略が異なる可能性が示唆された。
著者
佐々木 馨
出版者
秋田大学史学会
雑誌
秋大史学 (ISSN:0386894X)
巻号頁・発行日
no.59, pp.1-15, 2013-03
著者
中﨑 寿隆 中野 さつき 瀧澤 有珠 水野 風音 本田 美紗 佐々木 悟郎 小橋 優子 福島 裕之
出版者
日本小児放射線学会
雑誌
日本小児放射線学会雑誌 (ISSN:09188487)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.142-146, 2020 (Released:2020-12-26)
参考文献数
10

ステロイド薬を含む治療を行っていた川崎病患者が,ステロイド薬の中止直後に股関節と膝関節の痛みにより歩行できなくなった.MRIにより,両側股関節に炎症が存在することに加え,大腿骨頭壊死を認めないこと,化膿性股関節炎の可能性が低いことが明らかとなり,安全にステロイド薬を再開することができた.ステロイド薬の再開により関節症状は速やかに軽快した.ステロイド薬の中止後6か月で再検したMRIでは関節炎の改善が確認され,若年性特発性関節炎などの慢性炎症性疾患は否定的であり,本例の関節炎は川崎病の随伴症状であったと判断した.急性期と回復期のMRIは川崎病患者に生じた関節炎の原因診断と治療方針の決定に有用であると思われる.
著者
佐々木 均 秦 和寿 野沢 森生 橋場 利雄
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.71, no.4, pp.329-331, 2020-12-25 (Released:2020-12-17)
参考文献数
26

The role of zebra stripes is considered to be defensing from blood sucking by insects, such as tsetse flies and tabanid flies, those perform actively host-seeking flight. Aedes albopictus is opportunistically blood sucker, so, the reaction to zebra stripes may be different from such flies. Thus, we investigated the reaction of A. albopictus to the rugs of three color patterns, black, white, and zebra stripes. During the sunny days on August and September, 2019 with three different times in a day (morning, daytime, and evening), we counted the number of mosquitoes landed on the rugs on human decoy at a park in Tokyo. Significant difference (p<0.05) was found in the total number of mosquitoes landed on the three types of rugs, while no significant difference (p>0.05) was found in the numbers of mosquitoes landed on the rugs at each observation time. The number of A. albopictus which landed on the black-colored rug was two times more than that of a mosquito flying around the face of human decoy, while those on the rugs of white color and zebra stripes were a half and only 3% of those flying around the face of human decoy, respectively. The lured A. albopictus landed smoothly on the black rug, but the landings were not smooth on the zebra-striped rug. It was revealed that A. albopictus avoids zebra stripes as same as tsetse flies and tabanid flies.
著者
佐々木 大輔 片山 裕貴 塩崎 友也 岡本 正人
出版者
一般社団法人 日本航空宇宙学会
雑誌
日本航空宇宙学会論文集 (ISSN:13446460)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.24-30, 2020 (Released:2020-02-06)
参考文献数
7

A wing of a human-powered airplane is generally constructed with foam, balsa wood, plastic film and CFRP to achieve light-weight structure. Thus, the structure can be bent and deformed easily. The change of the wing shape may cause the performance degradation. In this study, we physically built the deformed wing model to measure the deformation by using 3D scanner. CFD was used to investigate the influence of the deformation of airfoil on aerodynamic performance in cruise condition through the comparison with original shape. As a result, the deformation causes the fluctuation of pressure distribution, and it also deteriorates the aerodynamic coefficient.
著者
烏谷 竜哉 黒木 俊郎 大谷 勝実 山口 誠一 佐々木 美江 齊藤 志保子 藤田 雅弘 杉山 寛治 中嶋 洋 村上 光一 田栗 利紹 藏元 強 倉 文明 八木田 健司 泉山 信司 前川 純子 山崎 利雄 縣 邦雄 井上 博雄
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.83, no.1, pp.36-44, 2009-01-20 (Released:2016-02-15)
参考文献数
19
被引用文献数
3 6

2005 年6 月~2006 年12 月の期間,全国の循環系を持たない掛け流し式温泉182 施設を対象に,レジオネラ属菌等の病原微生物汚染調査を行い,29.5%(119/403)の試料からレジオネラ属菌を検出した.採取地点別の検出率は浴槽が39.4%と最も高く,貯湯槽23.8%,湯口22.3%,源泉8.3%と続いた.陽性試料の平均菌数(幾何平均値)は66CFU/100mL で,採取地点による有意差は認められなかったが,菌数の最高値は源泉,貯湯槽,湯口でそれぞれ180,670,4,000CFU/100mL と増加し,浴槽では6,800CFU/100mL に達した.陽性試料の84.7%からLegionella pneumophila が分離され,血清群(SG)別ではSG 1,5,6 がそれぞれ22,21,22%と同程度の検出率であった.レジオネラ属菌の汚染に関与する構造設備及び保守管理の特徴を明らかにするため,浴槽と湯口上流側とに分けて,多重ロジスティック回帰分析を行った.浴槽での汚染リスクは,湯口水がレジオネラに汚染されている場合(OR=6.98,95%CI=2.14~22.8)及び浴槽容量が5m3 以上の場合(OR=2.74,95%CI=1.28~5.89)に高く,pH 6.0未満(OR=0.12,95%CI=0.02~0.63)では低下した.同様に,湯口上流ではpH 6.0未満(OR=0.06,95%CI=0.01~0.48)及び55℃以上(OR=0.10,95%CI=0.01~0.77)でレジオネラ汚染を抑制した.レジオネラ属菌以外の病原微生物として抗酸菌,大腸菌,緑膿菌及び黄色ブドウ球菌を検査し,汚染の実態を明らかにした.

3 0 0 0 OA 中分子医薬品

著者
佐々木 茂貴
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.68, no.7, pp.290-293, 2020-07-20 (Released:2021-07-01)
参考文献数
7

近年,医療技術が大きく進歩してきたものの,遺伝病やがんなどの病気は依然として治療が困難である。本庶佑先生のノーベル賞受賞で話題になったがんの治療薬である抗体医薬は,生物が生産するバイオ医薬に分類される。バイオ医薬は一般の低分子量の薬よりも分子量がはるかに大きいという特徴がある。最近,これらの医薬品の中間の大きさの新しい医薬品として中分子医薬品が注目されている。中分子医薬品は化学合成により大量生産が可能なことや,低分子よりも複雑な構造の治療標的を識別できる優れた特徴を持っている。本稿では,中分子医薬品として環状ペプチド,天然物や核酸医薬について解説する。
著者
佐々木 裕子
出版者
日本女性学会
雑誌
女性学 (ISSN:1343697X)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.34-55, 2021-03-31 (Released:2022-04-01)
参考文献数
26

Raichō Hiratsuka eloquently wrote of her passionate affection for Kōkichi (Kazue) Otake in “Marumado yori: Chigasaki e Chigasaki e (Zatsuroku)” (From the round window: To Chigasaki, to Chigasaki (A miscellaneous note)), an essay published in Seitō (Bluestocking), the first journal written, edited, and published by women in Japan, in August 1912. Scholars and biographers have taken up Raichō’s works in the following years in which she imputes their affair to Kōkichi through identifying her as a sexual invert by referring to the knowledge of sexology and argued that this attitude shift attests to her conversion from a same-sex or (proto-)lesbian relationship to a heterosexual one after meeting with her lifelong male partner Hiroshi Okumura in the same summer. This paper instead investigates their bodily affective eroticism in “Chigasaki e Chigasaki e,” focusing especially on the scene in which Raichō intently looks at Kōkishi’s self-inflicted wound, which Kōkichi allegedly slashed out of her love for Raichō, and Raichō’s visceral reaction to it. Their bodily affective relationship, however, is subject to a transformation after Kōkichi receives a diagnosis of tuberculosis and admits herself to Nanko-in, a sanatorium in Chigasaki, following Raichō’s recommendation. Raichō’s later turnaround can be reformulated as an attempt to deal with the loss of her superior position and access to Kōkichi’s body, which is now given over to Western medicine. Her approach to sexology is based not only on her intention to comprehend their experience in terms of scientific knowledge but also her continued desire to dominate Kōkichi and her body.
著者
山本 豊 笠原 良二 平 雅代 武田 修己 樋口 剛央 山口 能宏 白鳥 誠 佐々木 博
出版者
一般社団法人 日本生薬学会
雑誌
生薬学雑誌 (ISSN:13499114)
巻号頁・発行日
vol.75, no.2, pp.89-105, 2021-08-20 (Released:2022-09-10)
参考文献数
9
被引用文献数
1

The survey on the variety, amount and producing countries of crude drugs for medicinal use was conducted among member companies belonging to Japan Kampo Medicines Manufacturers Association in fiscal 2017 and 2018. The results showed that total amount of use and number of items of crude drugs were 25,326 tons of 263 items in 2017, and 26,391 tons of 264 items in 2018, respectively. Comparing production ratios among countries, Japan, China and the other countries produced 10.0%, 83.2% and 6.8% of total amount of use in 2017, respectively. Similarly, each ratio turned to 10.4%, 83.6% and 6.0% in 2018.
著者
佐々木 宏
出版者
日本教育社会学会
雑誌
教育社会学研究 (ISSN:03873145)
巻号頁・発行日
vol.94, pp.113-136, 2014

現代福祉国家を構成する生活関連の諸施策(本稿では一括して「社会福祉」と呼ぶ)とそれにまつわる知は,学校教育,医療,司法の営みと同じく,20世紀後半にモダニズム批判として登場したポストモダニズムの諸論から「近代の抑圧的統治の装置」として,しばしば批判されてきた。本稿では,ポストモダニズムからの批判に対し,社会福祉政策とソーシャルワークにかんする諸理論がどのように応答してきたのかを整理した。この作業のねらいの一つは,ポストモダン以降の社会理論の可能性を検討することである。と同時に,日本社会において近年ますますその存在感を増している社会福祉という営みの内省の試みでもある。このような目的をおき,まずは,ポストモダニズムによる社会福祉批判を概観した。次いで,社会福祉からの応答を,社会福祉学の中核の動向と社会福祉という営みを哲学的に下支えする規範理論の動向に分けて整理した。これらの作業を通じては,ポストモダニズムからの批判に対する様々な応答のなかで,民主的対話の実現によって社会福祉の営みと知を常にオープンエンドにし続けておくという,「参加」を鍵概念とする応答が最も建設的であることが浮き彫りとなった。この点を確認した上で,「参加」を鍵概念とする応答が示唆している,後期近代における人間と社会をめぐる思考が錨を下ろすべき場の所在を,ポストモダン以降の社会理論の可能性として指摘した。
著者
平野 修 河西 学 平川 南 大隅 清陽 武廣 亮平 原 正人 柴田 博子 高橋 千晶 杉本 良 君島 武史 田尾 誠敏 田中 広明 渡邊 理伊知 郷堀 英司 栗田 則久 佐々木 義則 早川 麗司 津野 仁 菅原 祥夫 保坂 康夫 原 明芳
出版者
帝京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-10-21

奈良・平安時代において律令国家から、俘囚・夷俘と呼ばれたエミシたちの移配(強制移住)の研究は、これまで文献史学からのみ行われてきた。しかし近年の発掘調査成果により考古学から彼らの足跡をたどることが可能となり、本研究は考古学から古代の移配政策の実態を探るものである。今回検討を行った関東諸国では、馬匹生産や窯業生産などといった各国の手工業生産を担うエリアに強くその痕跡が認められたり、また国分僧尼寺などの官寺や官社の周辺といったある特定のエリアに送り込まれている状況が確認でき、エミシとの戦争により疲弊した各国の地域経済の建て直しや、地域開発の新たな労働力を確保するといった側面が強いことが判明した。
著者
桑江 朝比呂 吉田 吾郎 堀 正和 渡辺 謙太 棚谷 灯子 岡田 知也 梅澤 有 佐々木 淳
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.75, no.1, pp.10-20, 2019 (Released:2019-06-20)
参考文献数
34
被引用文献数
10

浅海生態系における気候変動の緩和機能(大気中二酸化炭素(CO2)の吸収機能や生態系内への炭素貯留機能)が注目され始めているものの,その全国推計例はない.そこで本研究では,気候変動に関する政府間パネル(IPCC)のガイドラインに倣い,生態系内の炭素貯留量の増加量を大気中CO2の吸収量と定義し,国内外の既往文献をベースにデータ解析した.そして,我が国の浅海生態系(海草藻場,海藻藻場,マングローブ,干潟)における年間CO2吸収量の全国推計を試みた.その結果,現状におけるCO2吸収量の平均値は132万トンCO2/年,上限値は404万トンCO2/年と見積もられた.このような現状値あるいは将来値の推計を進めていくことは,地球温暖化対策計画における吸収源対策に浅海生態系を新たに定める検討や,浅海生態系の価値評価において有用であると考えられる.