著者
木島 隆康 桐野 文良 山梨 絵美子 林 洋子 上野 勝久 佐藤 一郎
出版者
東京藝術大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

迎賓館赤坂離宮(平成21年、国宝に指定される)は明治42年に建設され、わが国最大の面積を誇る天井画を持つ(15部屋)。天井画はカンバスに描かれた油彩画である。過去に大修復が行われているが、その後も劣化が進行し著しく損傷している。本研究プロジェクトは、天井画に生じた損傷と劣化原因を調査し、その損傷原因が過去の粗悪な設置環境と過去の不適切な修復処置、さらにカンバスが貼られた木摺に主な原因があることがわかった。さらに、天井画の由来はフランスで制作され輸入されたものであることを突きとめた。
著者
橋本 久美子 佐藤 道信 大角 欣矢 古田 亮 吉田 千鶴子 大西 純子
出版者
東京芸術大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

東京音楽学校と東京美術学校が明治から昭和戦後まで文部省、皇室、陸海軍、企業、財閥、学校、市町村からの依嘱により行った受託作には、全国各地の校歌・各種団体歌、皇居前の楠木正成銅像や上野公園の西郷隆盛銅像等がある。音楽と美術双方で学内文書調査、現地調査、現物撮影、現状調査、原資料のデータ化等を行った結果、両校の受託作は近代的共同体のイメージを感覚面から共有させ、近代国家形成の一翼を担った点では共通するが、受託の方法、規模、意義、受託作が社会に及ぼす影響や浸透の仕方は相異なることが明らかとなった。
著者
佐藤 誠三郎
出版者
中央公論新社
雑誌
中央公論 (ISSN:05296838)
巻号頁・発行日
vol.111, no.14, pp.190-208, 1996-12
著者
外崎 明子 佐藤 正美 七澤 朱音 浅野 茂隆
出版者
独立行政法人国立国際医療研究センター
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2010

座りがちな生活習慣は肥満やメタボリック・シンドロームの発症リスクの上昇と関連し、座ったままで過ごす時間がインスリン抵抗性を高めるためであると推測されている。乳がん化学療法を受ける患者では座りがちな生活スタイルとなる傾向にある。本研究はパイロットスタディとして、乳がん化学療法中の患者を対象に活動強度別活動時間とインスリン抵抗性、体重増加率、身体組成の変化との関連性を検証する。インスリン抵抗性はHOMA-R(Homeostasis Model Assessment Score)で評価する。データ収集中の現時点で、体重増加率は3.OMETs(metabolic equivalent)以上の活動時間数と強い負の相関関係にあり、化学療法中の体重増加抑制には中等度以上の身体活動量が影響する傾向が認められた。
著者
新矢 麻紀子 山田 泉 窪 誠 大谷 晋也 岩槻 知也 佐藤 潤一 春原 憲一郎 三登 由利子 永井 慧子 新庄 あいみ 下山 雅也 花立 都世司
出版者
大阪産業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

「日本語教育保障法案」を創出し、冊子として発行した。国内(川崎市、大阪市、滋賀県)、並びに、海外諸国(フランス、オーストラリア、韓国)を訪問し、移民や外国人に関わる法律や制度、施策(特に言語教育支援施策)について現地実態調査を実施し、「人権」「社会的包摂」という分析軸から検討を行った。法制化が進むことによる利点はもちろん見られたが、それのみならず、法律と運用実態の乖離や法制化による負の側面も散見されたことも特筆したい。
著者
佐藤 英明 西森 克彦 竹家 達夫 眞鍋 昇 星野 由美 佐々田 比呂志 松本 浩道
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2004

1個体からの受精可能卵子の大量生産を目標として卵子の細胞分化・死滅の調節系の解明を行い、新規調節因子を同定するとともに、これを踏まえ受精能・体細胞初期化能高発現卵子生産などの技術を開発した。さらに、直径70μm未満のマウス卵胞卵子由来の産子や家畜ブタ体外成熟卵子をレシピエントとする体細胞ミニブタ作出に成功した。
著者
佐藤 正彦
出版者
九州産業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

1.大分市古国府に子孫が在住する旧府内藩、大工棟梁利光平十郎が明治17年に建立した八幡社神殿と同13年に建立した柞原八幡宮仮殿から平十郎の作風を検討して、平成18年度日本建築学会大会にて、「大工棟梁利光平十郎の作品と作風」として次のような結果を発表した。1)向拝組物が三斗枠肘木である。2)向拝中備に斗なし墓股を用いる。3)身舎については、仮殿に組物や中備がないのは神殿と違って仮殿(お旅所)の建物の性格の相違によるものとした。2.江戸時代小城在住の大工丹宗常十が天保10年に建立した岡本八幡神社宮殿と嘉永5年に建立した星厳寺楼門から常十の作風を検討し「大工丹宗常十の作品と作風」として次のような結果を日本建築学会九州支部大会で発表した。1)組物が大斗肘木である。2)柱を切目長押、内法長押、頭貫で固める。星厳寺楼門は上層に地長押が付く。本稿では解体され現存しない牛津町乙宮社拝殿が丹宗常十の作品であったことにも触れた。3.大分市古国府の大工利光家の文書は、解読を終了し、一部は学内研究報告に発表し、研究成果報告書に全文を掲載した。その結果、利光家は江戸から大正まで、大工職につき、技術は京都から得ていたと推定した。また、組織として、利光が大工棟梁をつとめると、引頭が矢野、仕手を利光がつとめ、矢野が大工棟梁をつとめると引頭が利光、仕手が矢野又は利光であることを指摘した。4.長府博物館所蔵の大工河村家文書の解読を終了し学内研究報告に発表した。
著者
佐藤 健一 神野 正彦 森 洋二郎 長谷川 浩 菊池 和朗
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2014-05-30

フレキシブル大容量光ネットワークアーキテクチャに関して,これまでに開発したグループドルーティング並びにバーチャルダイレクトルーティングの総括的な評価を行い,その効果の詳細を明らかにした.その結果を基に,メトローコアをシームレスに効率的に転送できる新しい枠組みを開発した.多次元自由度を駆使したフレキシブルネットワークに関しては,新たに考案したWDM/SDM波長選択スイッチの試作機を用いて、LCoS分割によるスイッチ集積化とジョイントスイッチングによる一括スイッチングの基本動作を確認した。また,ジョイントスイッチによるスーパーチャンネル内クロストート発生機構を明らかにし、実験により定量評価した。さらにクライアントIF速度の増加トレンドと空間スイッチの低コスト性・低損失性に着目した階層化WDM/SDMネットワーク並びに増設性と信頼性に優れた空間クロスコネクトアーキテクチャを新たに考案した。高次多値変調方式および超高密度波長分割多重技術を導入したフレキシブルコヒーレント光伝送システムに関しては,これを実現するにためには,位相および周波数が極めて安定なレーザが必要となり,それに伴い,レーザの位相および周波数特性を高精度に測定・解析する技術が不可欠である.今年度は,これを実現する新たなレーザ特性解析法を提案し,その有効性を計算機シミュレーションおよび実験により示した.本研究成果に関して,レーザ分野において最高峰の学会であるCLEO-Europeで口頭発表を行った.
著者
佐藤 貴保
出版者
新潟大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

11~13世紀に、中国西北部のユーラシア大陸の東西を結ぶ交易路を支配していた西夏王国が実施していた交通制度、特に西夏の公的な使者が所持していた身分証(符牌)の制度について、西夏時代の遺跡から出土した西夏語の文献を用いて研究を行なった。本研究によって、西夏の身分証の制度のいくつかが、前近代の中央ユーラシア諸国家の制度と共通している点があること、またいくつかの制度には西夏独自のものもあることが明らかになった。
著者
宮川 英雄 田口 光雄 佐藤 泉
出版者
秋田県農業試験場
雑誌
秋田県農業試験場研究報告 (ISSN:0568739X)
巻号頁・発行日
no.45, pp.147-161, 2005-03

1)「おおすず」は1991年に「刈系437号」(F8)の系統名で配付を受け、1992年および1995年に「東北112号」の地方番号で生産力検定予備試験に供試した。その後、一時試験を中断したが、2000年~2002年の3年間、生産力検定本試験及び現地試験に供試し、秋田県では2003年3月に大豆奨励品種に採用した。本品種は1998年8月「だいず農林109号」として農林登録され、「おおすず」と命名された。2)「おおすず」の特性を「リュウホウ」と比較すると、子実収量は「リュウホウ」並である。粒の大きさは明らかに大きく、検査規格の大粒大豆の条件を満す。豆腐加工適正は「リュウホウ」ほど高くない。3)「おおすず」は「リュウホウ」より熟成期後の茎水分低下が早く、コンバイン収穫可能な50%以下の茎水分に低下する時期が早い。4)普及適応地帯は県内全域である。
著者
外園 豊基 錦織 勤 佐藤 和彦 桑山 浩然 松浦 義則 藤木 久志
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2000

本研究は日本中世(12〜16世紀)を主たる対象とするが、時代を広くとって平安期から近世初頭(9〜17世紀前半)までを考察の範囲とした。「戦争と平和」の主たる内容を、戦争および災害とした。政治的な災害としての戦争と、自然的な災害としての飢饉などと異なるものであろうが、前近代においては不可分の関係にあったといえよう。まず、平安期〜近世初頭における戦争および災害に関する資料の網羅的収集を行うことを第一義とし、共同研究作業を通じて、それらのまとめを行った。具体的には、戦争および飢饉などの災害関連記事を収集し、それらを編年にまとめる作業をしたのちに、それを基に年表を作成した。それとともに共同研究作業として、調査を深化させるための報告会・研究会を通じて、いくつかの作業を並行して進めた。その一つとして、平安時代の戦争・災害関連記事について、『平安遺文』を用いてまとめ、年表の作成を行った。それとあわせて、本研究の主題である「日本中世における日損・水損・風損・虫損・飢饉・疫病に関する情報」年表を完成させた。これに研究分担者および研究協力者の研究成果をあわせて、研究成果報告書としてまとめた。また、動乱の時代といわれる南北朝期(14世紀)に関して、『大日本史料』(第6編)を検索し、戦争関連年表の作成を行ってきたが、完成間近の段階であり、かつ紙幅の関係で、研究成果報告書には反映することができなかった。さらに、近世初頭の関ヶ原の戦いにおける禁制を収集し、その内容・分布状況など考察することによって、民衆の戦争への関わり方を究明することに主眼をおいて考察を加えてきたが、これもまとめる段階までには到達できなかった。
著者
佐藤 弘夫
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究においては、石塔や金石文を資料として、普遍的で民族固有の感覚とみなされがちな遺骨の重視が、実はこの列島で展開した長い歴史の中でしだいに形成されたものであったことを明らかにした。遺骨に対してまったく関心を払うことがなく、遺骸を放置して省みなかった古代の人々。火葬骨を大切に霊場まで運んだ中世の人々。家の墓を作って骨を収め、定期的に墓参を繰り返した近世以降の人々。この三者に、死者や霊魂についての共通する観念を見出すことはきわめて困難である。それは、「日本人の死生観」という形で総括されてきたこれまでの通説が、根本的に見直される必要性があることを示すものにほかならないのである。
著者
飯田 周作 飯田 千代 清藤武暢 佐藤 創
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.13, pp.57-64, 2008-02-16
被引用文献数
4

アルゴリズム教育は,情報系の学部における重要なトピックスである。しかし,同時に学生の理解に大きな個人差が見られ,ミニマムエッセンシャルズとしてのアルゴリズム教育とは何かという難しい問いに直面している。本報告では,専修大学ネットワーク情報学部における「アルゴリズム的思考法」という科目で行ってきた教育を分析することにより,アルゴリズム的思考法を育成するための教育方法を提案する。At departments of Universities related to computer or information technologies, teaching algorithm is still an important topic. However, there are big dirrerences in the levels of understanding among the students. So, it is important to know what is the essential and minimum part in teaching algorithm. In this article, we analyze student behavior in a subject called "Algorithmic Thinking Style"and propose a new teaching method for algorithm education.
著者
松山 洋 西村 照幸 佐藤 信夫
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
気象集誌 (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.77, no.1, pp.199-215, 1999-03-26
被引用文献数
2

1987〜1988年のFIFEの観測値と、ISLSCP Initiative I CD-ROMの入力データおよびJMA-SiBの出力を比較した。検証にはA.K.BettsとJ.H.Ballによってまとめられた領域平均値を用いた。 JMA-SiBでは、1988年の暖候期における5cm以深の土壌水分量が系統的に過少評価されている。これは1987年秋から1988年春にかけての地表面熱収支・水収支の違いによる。この期間の総降水量は観測値・モデルの入力データともに等しい。しかし、前者では降水量がほぼ土壌水分量の増加に寄与しているのに対し、JMA-SiBでは大半が蒸発散量として失われている。1988年春の土壌水分量の違いが生じる原因は、(1)冬季の混合比がモデルの入力データによって系統的に過少評価されており、JMA-SiBの蒸発散量が大気中の湿度に反映されず乾燥し続けていること、(2)この期間の総降水量の半分が、実際には土壌水分量の観測再開直前の11日間に集中して降っているのに対し、これをモデルの入力データが過少評価していること、などであると考えられる。 このように、モデルの入力データと観測値の間に違いが見られたので、GSWPでは、モデルで得られた土壌水分量と観測値だけを比較して両者の違いを議論すべきではない。FIFEの観測値をモデルの入力データとする別の検証実験が必要である。
著者
河合 めぐみ 佐藤 恵 川嶋 修司 大城 宏之 臼田 多佳夫 吉川 裕之 大篠 浩
出版者
公益社団法人 日本人間ドック学会
雑誌
健康医学 (ISSN:09140328)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.66-70, 2004-06-25 (Released:2012-08-27)
参考文献数
12

聖隷予防検診センターにおけるヘリコバクターピロリ(H.pylori)除菌治療の現状と今後の展望について報告する。まず上部消化管内視鏡検査にて潰瘍の診断と,迅速ウレアーゼテストを行った。除菌治療を先行させた後,潰瘍の深さ,大きさに応じて抗潰瘍薬を投与した。そして再度内視鏡検査を施行し潰瘍治癒を確認した後,尿素呼気試験を施行した。2000年11月より,2003年10月までに尿素呼気試験を終了した症例は計193例,平均年齢54.0歳,男性158例,女性35例で,症例のうちわけは胃潰瘍73例,十二指腸潰瘍91例,両潰瘍合併29例であった。除菌成功率は85.5%で,副作用は下痢が最も多かったが,いずれも軽度であった。アルコールや喫煙の生活習慣と,除菌治療の成功率とは相関を認めなかった。除菌成功後の潰瘍再発率は3.2%と非常に低率であったが,除菌失敗後の潰瘍再発率は47.4%と高率であった。除菌治療は,成功すると潰瘍再発が少ないため,有効な治療法である。しかし,失敗すると再発率が47.4%と高率であった。潰瘍はストレスやアルコール,喫煙などの因子も関与するが,基本的に主因はH.pyloriであることを再認識した。1日も早い2次除菌治療法が確立され,保険適応になることが望まれる。