著者
長谷部 弘 高橋 基泰 平井 進 山内 太 柘植 徳雄 佐藤 康行 村山 良之
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究では、17~19世紀近世日本における村落社会(長野県上塩尻村ほか)を基準として、16~18世紀におけるイングランド村落社会(ケンブリッジシャー)と北西ドイツ村落社会(東部北海沿岸地方)とについて、現地の研究者の協力を得て、実証的比較研究を行った。近世日本村落を構成した共同性の重層的構造からみると、16~18世紀の英独両農村社会の事例については、史料制約性による直接比較の困難性があり、従来共同体とされてきた「村落」や「家族」についての再解釈が必要であり、従来親族ネットワークやサーバント制度、そしてマルク共同体等土地共有共同体の再検討が必要であることが確認された。
著者
百田 義治 伊藤 健市 岩波 文孝 内田 一秀 佐藤 健司 関口 定一 中川 誠士 橋場 俊展 堀 龍二 宮崎 信二 森川 章
出版者
駒澤大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

わが国においても人事・労務管理の成果主義的な再編が顕著である。この変化は1980年以降アメリカにおける人事制度変革(人的資源管理への転換)の影響を受けたものである。本研究は現代アメリカの人事制度改革の意義を歴史的・実証的に検証している。すなわち、80年代以前のアメリカ大企業の人事制度と労使関係システムが人的資源管理に与えた影響を、20年代ウェルフェア・キャピタリズム(非組合型労使関係)、ニューディール期におけるその変容、それに制約された第2次大戦後の労使関係下の人事制度の課題を実証的に検証したものである。
著者
元兼 正浩 波多江 俊介 梶原 健二 梁 鎬錫 畑中 大路 金子 研太 藤原 直子 佐藤 晋平
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究では教育行政における費用効果分析の可能性を試論的に追究した。特に大韓民国で40年に亘って実施されている校長資格研修に注目し、その費用と効果の関係を検証した。現職の教頭(教監)に対し、360時間、一人あたり約30万円のコストをかけて実施されている校長資格研修に実際に2ヵ月半、参与観察し、受講者や関係者にインタビューを研修後まで追跡し実施した。校長公募人事の導入や、時間数半減などの政策変更によってこの3年間でもその位置づけは大きく変質し、受講者の意識にも変化がみられるが、制度的基盤によりその外部効果性は高く、そのことが費用対効果の高さを維持できているものと結論づけられる。
著者
源栄 正人 大野 晋 柴山 明寛 三辻 和弥 佐藤 健
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究では、次世代地域防災システムとして構造ヘルスモニタリング機能を有する地域版早期地震警報システムの開発とその利活用の検討を行った。迫り来る宮城県沖地震に対する100万都市仙台の地震被害低減を図るために、三陸沿岸の2観測点、伝播経路にあたる2つの観測点、および仙台の公共建築物に設置された地震計による観測波形情報をIP網により東北大学のサーバにリアルタイム伝送するシステムを構築した。また、前線波形情報を用いた高精度地震動予測を可能にする防災システムについて検討した。利活用の一つとして開発システムを利用した学校での防災教育を行った。開発したシステムは2011年東北地方太平洋沖地震を経験した。得られた地震観測記録は、地震前後の建物の振動特性の変化など構造ヘルスモニタリング研究に貢献した。
著者
佐藤 留美
出版者
日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.73, no.3, pp.204-207, 2009-12

みどりの中間支援組織NPO birthは、平成18年度から東京都立公園の指定管理者となった。NPO birthが管理運営している都立公園は、アニメ映画「となりのトトロ」の舞台として描かれた狭山丘陵にある。この地域一帯には縄文時代から人々が住み着き、人と自然が一体となって里山の風景を作り出してきた。狭山丘陵には、4つの都立公園がある。NPO birthは、これらの公園の管理運営を企業や他のNPOとのパートナーシップで行っている。NPO birthの担当業務はソフト事業であり、中でも力を入れているのが市民との協働である。市民の力を活かすための専門部署である都民協動部を設置し、公園ボランティアの活性化に力を注いでいる。本論では、市民力を活かしながらランドスケープマネジメントを行う中間支援組織の取り組みを紹介することで、ランドスケープづくりの主役である市民力の可能性を展望したい。
著者
衣川 勝 佐藤 豊三
出版者
日本植物病理学会
雑誌
日本植物病理學會報 (ISSN:00319473)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.373-383, 2003-11-25
被引用文献数
3

近年、香川県で樹齢が10年以上のキウイフルーツ樹に枝枯れが多発している。枝の大きな切断痕や日焼け部から枯れ込みが進み、側枝、亜主枝が枯れる場合が多い。病勢の著しい場合、亜主枝、主枝まで枝枯れが進み胴枯れ症状を呈し、樹全体が枯れる場合もある。罹病枝から高率に分離されたPhomopis属菌およびF. aesculiをキウイフルーツの枝に接種した結果、いずれも枝枯れ症状が再現され、接種菌が再分離された。Phomopsis属菌については、子のう世代および分生子世代の形態、培養上の諸性質、およびキウイフルーツ、ミカン、およびリンゴの果実、またモモおよびナシの枝に対する接種試験の結果から、キウイフルーツ果実軟腐病菌のうちDiaporhe属菌と同一種であった。また、F. aesculiについても、子のう世代および分生子世代の形態、培養上の諸性質、およびキウイフルーツ果実への接種試験の結果から、キウイフルーツ果実軟腐病菌B. dohideaと同一種であった。これらの結果から、キウイフルーツ果実軟腐病菌のDiaporhe sp.、およびB. dohideaにより枝枯症状が起きることが明らかとなった。
著者
佐藤 仁 天笠 光雄 佐藤 和子 山田 隆文 川口 哲司 冨塚 謙一 石井 純一 小林 裕 塩田 重利 岡田 憲彦 井上 哲生
出版者
Japanese Society of Oral and Maxillofacial Surgeons
雑誌
日本口腔外科学会雑誌 (ISSN:00215163)
巻号頁・発行日
vol.37, no.8, pp.1512-1516, 1991
被引用文献数
4 4

Multiple oral cancers have been found more frequently today than in past years.The reason may be due to the progress of therapeutic result and the long term follow-up observationafter success of prompt and effective treatment of the first primary lesion.<BR>Multiple cancer involving oral cancer were observed frequently in the multicentric areassuch as the stomach, lung, and esophagus but rarely found in the thyroid.<BR>The patient with double cancer of the tongue and thyroid was found due to material fromradical neck dissection for tongue cancer.
著者
三宅 亜希子 小沼 聖治 佐藤 光市 杉本 浩章 小松尾 京子 田中 和彦
出版者
日本福祉大学
雑誌
日本福祉大学社会福祉論集 (ISSN:1345174X)
巻号頁・発行日
no.129, pp.107-123, 2013-09-30

本研究は, 相談援助実習の巡回指導における実習教育スーパービジョンの内容とその課題を明らかにすることを目的としている. 巡回指導における複数回の実習教育スーパービジョンにおいて, それぞれの回で取り上げるべき実習教育スーパービジョン項目があることを仮説とし, 各回の実習教育スーパービジョンの項目を明らかにするための調査を行った. 分析方法は, 新カリキュラム初年度に本学通信教育課程の教員が作成した 『巡回指導ガイドライン』 の分類枠組みを作業仮説とした逐語データの分析である.その結果, (1)それぞれの回の巡回指導を構成する実習教育スーパービジョン項目の位置づけ, (2)実習生の語りから実習教育スーパービジョンの手がかりを得ることの有用性, (3)実習教育スーパービジョンにおける 「実習記録」 活用の有用性が明らかになった.
著者
百瀬 良/越智 眞理子/佐藤 昌子/松永 しのぶ/藤崎 春代 越智 眞理子 佐藤 昌子
出版者
昭和女子大学
雑誌
昭和女子大学生活心理研究所紀要 (ISSN:18800548)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.81-93, 2014-03-31

In 2010, we inaugurated a developmental counseling room as a part of a regional project to support children with developmental disorders. Part 1 of this study examined individual consultations and Part 2, Parent Training conducted in this counseling room. Results of Part 1 indicated that the goal of individual consultations were to accept the awareness and anxieties of such children's caretakers, provide psychological education and assistance based on assessment results, and refer clients to other specialized institutions and regional support programs. Future tasks are (1) improving the accuracy of assessments by using test batteries matched to the children's age and stage of development, and (2) gathering up-to-date information on systems and institutions available to care for such children. Part 2 of this study indicated that Parent Training met parent's needs to learn methods of coping with their children, to ease their sense of isolation, and for psychological support. It is suggested that the future task of Part 2 of this program is to respond to the need for longitudinal care as children mature. In conclusion, results indicated the need to combine individual consultations matched to a child's developmental stage and characteristics, and Parent Training that benefits from mutual interactions.
著者
林 正一 佐藤 久志 秋山 敏弘
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.67-70, 1977

水平台にある金具によって保持されている回転軸の周りに棒が鉛直面内で回転できる装置を用いて実験した.鉛直線と約60°の角度に傾けられた棒が倒れる状況の加多重写真(25〜30c/s)を撮って,棒倒しの運動を観察した.棒の写真上の像の位置の変化からその運動を解析して,それは等角加速度の運動であることを知った.写真レンズの等角写像の特性によって,実像の棒は等角加速度運動で表現される動きを呈していると考えられた.他方,初めの傾き角が60°を超えると,棒の運動は上記の振舞を示すそれで近似されることが運動方程式を用いて確かめられた.また,この場合,棒が倒れるまでに要した時間が意外に短いことにも言及した.
著者
佐藤 滋
出版者
自治医科大学
雑誌
特定領域研究(A)
巻号頁・発行日
2001

ホメオボックス遺伝子Sixと転写共役因子をコードするEyaとDach遺伝子はネットワークを構成して協調的にはたらき、脊椎動物の多彩な器官形成を制御する「ツール」として利用されている。脊椎動物に近縁な無脊椎動物からホモログを同定し、構造と発現及び機能を脊椎動物と比較することで、各遺伝子ファミリーに生じた変化を明確にし、脊椎動物進化との関わりを推察することを目的とする。まず、原索動物マボヤから3種類のSix(HrSix1/2、3/6、4/5)、1種類のEyaとDachのcDNAを単離した。分子系統解析の結果、原索-脊椎動物の分岐後、SixとDachでは遺伝子数が2倍化、Eyaでは4倍化したという可能性が示唆された。また胚発生における発現パターンを調べた。Six3/6サブファミリー遺伝子は、脊椎動物では前脳、眼、鼻-脳下垂体の原基で発現し、過剰発現により前脳と眼の肥大化、異所的な網膜形成を誘導する。一方、ショウジョウバエSix3/6は胚前端部の上皮、上唇、複眼の成虫原基で発現し、異所発現により複眼形成を誘導する。マボヤHrSix3/6の発現は脳胞や眼点(ocellus)では検出されず、尾芽胚期で脳胞の前端部をおおう少数の上皮細胞に限局されていた。その位置は幼生で入水孔(いわゆる口に相当)が開口する部位であり、脊椎動物の鼻-脳下垂体原基、ショウジョウバエ胚前端部の上皮と上唇との進化的な関連が予想される。ところがHrSix3/6はゼノパス胚で過剰発現させると脊椎動物のSix3やSix6と同様に眼の肥大化を特異的に誘導し、類似の標的遺伝子を制御する能力を保持することが示された。以上から、マボヤ幼生の眼点はSix3/6に依存しない光受容器であることが明らかとなり、マボヤ幼生の眼点と脊椎動物の眼の形成を支配する遺伝子プログラム、両器官の発生学的な相同性に疑問を投げかける結果となった。
著者
佐藤 由利子 野水 勉 近藤 佐知彦 堀田 泰司 太田 浩 鈴木 雅久 恒松 直美 高浜 愛 水戸 考道
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

非英語圏として英語による授業という弱みを有する日本の短期留学を強化するには、縦横2つの軸からの拡充を検討する必要がある。縦とは、留学前、留学中、留学後の3つの時間軸にそった拡充策で、 特に「留学前」の海外における日本語・日本文化普及活動、「留学後」のキャリア形成支援活動との連携が必要である。横とは、企業、自治体、他大学、研究助成機関、国際協力機関、国際機関等との連携で、日本留学の魅力を高めることが可能になると 考えられる。
著者
佐藤 哲郎
出版者
松本大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

本研究の目的は社協ワーカーが地域福祉活動を推進していくために、どのような技術を活用し地域へ働きかけているのかそのプロセスを明らかにすることである。研究方法は社会福祉士有資格者で実務経験が10年以上の社協ワーカー14名を対象に半構造化インタビューを行い、修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチにおいて分析を行った。分析の結果2つのコア・カテゴリー、8つのサブ・カテゴリー、24の概念からなるプロセスを生成した。次に、実践に関する55項目を抽出した質問使調査を行った。その結果、6因子・30項目からなる評価尺度を作成した。
著者
佐藤 正平 狩野 均
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.311-319, 2010 (Released:2010-02-25)
参考文献数
25
被引用文献数
2

In this paper, we propose a new method to obtain the transition rules of two-dimensional cellular automata (CA) that performs grayscale image processing. CA has the advantages of producing complex systems from the local interaction of simple elements, and has attracted increased research interest. The difficulty of designing CA's transition rules to perform a particular task has severely limited their applications. So, the evolutionary design of CA rules has been studied. In this method, an evolutionary algorithm was used to evolve CA. In recent years, this method has been applied to image processing. Rosin has studied the evolutionary design of two-dimensional CA to perform noise reduction, thinning and convex hulls. Batouche et al. and Slatnia et al. employed genetic algorithm to investigate the possibility of CA to perform edge detection. In the previous methods, 2-state CA was used for binary image processing. Unlike the previous methods, the present method uses 256-state CA rules to perform grayscale image processing. Gene Expression Programming (GEP) proposed by Ferreira is employed as a learning algorithm in which the chromosomes encode the transition rules as expression trees. Experimental results for the reduction of impulse noise, salt-and-pepper noise and gaussian noise show that the proposed method is equivalent to previous methods in performance and more than 100 times faster than the method proposed by Rosin. We show that the rule obtained by the proposed method employs symmetry-based strategy in the noise reduction process and this property can reduce complexity of CA.