著者
松田 素二 鳥越 皓之 和崎 春日 古川 彰 中村 律子 藤倉 達郎 伊地知 紀子 川田 牧人 田原 範子
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009

現代人類学は、これまでの中立性と客観性を強調する立場から、対象への関与を承認する立場へと移行している。だが異文化のフィールドへの「関与」を正当化する論理は何なのだろうか。本研究は、生活人類学的視点を樹立してこの問いに答えようとする。そのために本研究は、日本・東アジア、東南アジア、南アジア、アフリカの 4 つの地域的クラスターと、自然・環境、社会・関係、文化・創造という三つの系を設定し、それぞれを専門とする研究者を配して「生活世界安定化のための便宜」を最優先とする視点による共同調査を実施した。
著者
山本 哲夫 朝倉 光司 形浦 昭克
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー
巻号頁・発行日
vol.42, no.11, pp.1701-1706, 1993
被引用文献数
22 13

北海道のシラカバ花粉症とリンゴ果肉過敏症の関連について検討して以下の結果を得た. 1. シラカバ花粉症(症状とCAP陽性<スコア1以上>)83例のうち, 17例(20%)が問診上リンゴ果肉過敏症が合併しており, 他のアレルギーや他の花粉症に比して高率であった. 2. シラカバCAP陽性例は陰性例に比べリンゴ果肉過敏症の割合が多かった. 3. シラカバ花粉症の中ではCAPによりシラカバの感作の程度が強い方が, リンゴ果肉過敏症の割合が多かった. 4. 北海道において問診にてリンゴ果肉過敏症が見られた場合, 花粉症の診断の参考になると思われた. 5. 日本においても, シラカバ花粉症のみられる地域ではリンゴ果肉過敏症は稀ではないと思われ, 注意が必要と思われた.
著者
宮本 和子 米倉 雪子 KOMA Yang Saing
出版者
獨協医科大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

体重測定調査結果で、乳幼児が徐々に慢性的な低体重になることに村ボランティア・養育者共に気づいた。乳幼児の低栄養‐低体重‐感染症の関連を考える機会にもなった。離乳食の試食で乳幼児が「食べる姿」を目にし、村にある食材で簡易・安価に離乳食が作れると理解したが、農村部ではその習慣が乏しく各家庭で継続的に行うことは容易ではない。生計記録の一例を見ると、農業生産で自給でき、現金収入も得ている家庭では栄養バランスがよく、低体重児・疾病も少ないと推測された。結果報告会に参加した村人の関心も高かった。農村部の乳幼児の低栄養・健康改善には農業生産向上による食糧自給と収入向上が有効かつ実現可能な手段だと考える。
著者
鹿倉 秀典 豊澤 弘伸
出版者
青山学院女子短期大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

本年度、鹿倉(代表者)はまず「音曲と戯作-潮来節と江戸戯作」(『國文学-特集:近世のネットワーク』13年6月・学燈社)において「江戸長唄」にも取り込まれた俗謡「潮来節」と当時の文藝である「江戸戯作」との関連性について論じたほか幾つかの成果をあげた。一方、豊澤は「情報活用能力と評論・論説の読み」(『月間国語教育』通巻251号)などにおいて「読み」の能力の変容についての考察を深めてきた。本年度の研究代表者(鹿倉)・分担者(豊澤)の主要な業績は、次ページに記した。但し、この期間、研究代表者は関東短期大学(旧本務校)から青山学院女子短期大学(現本務校)に転任、同僚であった研究分担者との連絡が困難になってしまった。それ故、電子メールを活用し、今回の「研究成果報告書」を完成させることとした。「最終成果」は、明和年間『常盤友』を国立音楽大学所蔵「竹内道敬寄託文庫」を底本に、これまでの翻刻の誤りを是正し、章句索引を作成した。『めりやす豊年蔵』(東京都立中央図書館)『おぎ江節正本集』(国立国会図書館蔵)『哥撰集』(東京都立中央図書館蔵)などに収められたテキストも入っている。それ故、本年度「最終研究成果報告書」は、『常盤友』のテキスト分析に主眼をおいた。但し、これは終わりではなく、「近世歌謡詞章研究」の始まりなのである。なお、本研究に用いた「本文テキスト」は、本年5月以降「http://www5b.biglobe.ne.jp/〜sakou/」において、公開する予定である。
著者
村田 好正 福谷 克之 藤本 光一郎 小林 紘一 小牧 研一郎 寺倉 清之
出版者
東京大学
雑誌
試験研究(B)
巻号頁・発行日
1992

共鳴核反応を用いた水素の高分解能深さ分析法の開発を行った。6.385MeVの^<15>Nビームは東京大学原子力総合センターのタンデム型加速器により発生させた。N原子の電子親和力が負であるため入射する負イオンとしては分子イオンであるNH^<2->またはCN^-を用いた。高い深さ分解能を達成するためには共鳴幅程度の単色性の良いビームを作ることが必要である。これは分析電磁石の磁場を安定させることで達成する。プロトンのNMRのスペクトル変動を電磁石の電源へフィードバックすることで磁場の相対変動を10^<-5>に抑えた。分析電磁石の出口スリットにはスリットフィードバックシステムを準備し、加速用のターミナル電圧の安定をはかる。入り口と出口のスリットを0.5mm幅にすることでエネルギーの広がりを2keV以下に抑えらた。実験は超高真空中で処理した試料に、加速器で発生させた6.385MeVの^<15>Nビームは、同センター2Cコースにおいて2段の差動排気を介して解析用超高真空槽へと導いた。ビーム形状をモニターするビームプロファイルモニターと収束用マグネットを設置し、試料上でビーム径2mm、50nAのビームを得ることに成功した。水素との核反応に伴って放出される4.43MeVのγ線は直径4インチのBi_4Ge_3O_<12>シンチレーターを用い、真空槽の外、試料から20-40mm離れた所で測定した。宇宙線によるバックグランドは0.07cpsであり、1/100原子層程度の水素が測定可能となった。この手法を用いて、(a)a-Si/H/Si(001)、(b)Olivine/Aqueous Solution Interface、(c)H/Au(001)、(d)Ag,Cu,Pb/H/Si(111)の試料について深さ分解測定を行った。
著者
熊倉 和夫 渡辺 哲 豊島 淳 牧野 孝宏 市川 健 伊代住 浩幸 永山 孝三
出版者
日本植物病理学会
雑誌
日本植物病理學會報 (ISSN:00319473)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.384-392, 2003-11-25
被引用文献数
6

各種植物の根圏および栽培土壌から分離したFusarium属菌とrichoderma属菌について、イネの重要な種子伝染性病害であるばか苗病および苗立枯細菌病に対する発病抑制能を検討した。Fusarium属菌350菌株、richoderma属菌66菌株について、培養菌液または分生子懸濁液のイネ種子浸漬処理によるイネばか苗病発病抑制効果を検討したところ、両属とも高い発病抑制効果を示す菌株が高い割合で存在することが明らかとなった。また、ばか苗病に対して比較的低菌量処理で高い発病抑制効果を示すものの中には、イネ苗立枯細菌病に対しても高い発病抑制効果を示す菌株が多数認められた。高い発病抑制効果を示す菌株として、トマト根圏より分離したF. oxysporum SNF-356株、ノシバ根圏より分離したrichoderma sp. SK-1株を選抜し、ばか苗病および苗立枯細菌病に対する発病抑制効果を調べたところ、SNF-356株では、1.0×10(7)個/m1以上、SK-1株は1.0×10(5)個/m1以上の分生子懸濁液処理で、両病害に対して対照の化学薬剤であるイプコナゾール・銅フロアブル剤またはオキソリニック酸水和剤に匹敵する高い発病抑制効果を示した。特にSK-1株のばか苗病発病抑制効果は、種子の罹病程度に関わらず安定していた。両菌株を種子処理し、育苗期のばか苗病の発病を抑制した苗を本田に移植したところ、出穂期におげるばか苗病の発病頻度は無処理区に比べて明らかに少なかった。
著者
笹倉 秀夫
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

英・米・独・日本を対象に、法解釈上の技法を判決から析出し技法の全体構造を把握する作業と、個別の法的問題の処理にみられる法解釈の技法を、国家法人論、擬制論、社会契約論・立憲主義国家論等をめぐって析出する作業とを進めた。成果は、その都度、著書・論文にして発表した。笹倉がこれまで確認してきた、(A)法解釈の際に参照・考慮する諸事項(論点)と、(B)そうした参照・考慮を踏まえて条文を適用する際の諸技法とを区分した、法解釈作業の全体構造が、各国における法解釈分析でも有効であることを確認しえた。この点については論文執筆を進めるとともに、成果を総合すべく単著2冊の出版というかたちでの具体化を進めている。
著者
小倉 幸雄 松本 裕行 塩谷 隆 富崎 松代 三苫 至 半田 賢司
出版者
佐賀大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

確率変数の取る値の空間を一般化する研究は,理論の上からも,応用数学の立場からも重要なテーマであろう.それをファジィ集合の空間に取り,極限定理を調べるのが本研究の目的である.この空間では,位相の入れ方によって可分性が壊れることがあるので注意を要する.本研究の一つの成果は,大数の法則,中心極限定理それにマルチンゲール収束定理は,可分性が壊れる一様位相を入れた空間でも成り立つことを突きとめたことである.方法としては,単調性を用いる方法と,分割を細かくするときのパラメータに関するエントロピーの可積分性を出して,経験分布の理論に持ち込む手法を取った.大偏差原理については,可分性がより大きな影響を与えるが,Levyの距離による位相についてまでは,自然な条件の下でCramer型の大偏差原理が成り立つことを得た.Skorohod位相と一様位相の場合は,やゝ強い条件の下で成り立つことを得た.また,この条件をみたす具体例を求めたが,これはM.Arcones : Large deviations of empirical processesの一つの定理の反例になっている.また自然な条件の下で,Sanov型の大偏差原理が成り立つことも得た.速度関数を具体的に求める問題は,簡単な場合しか出来ていないが,一つの例では,2つの測度の相対エントロピーになることが分かった.次に,研究分担者の松本裕行とともに,一次元ブラウン運動B(t)とその時刻tまでの最大値M(t)について,cM-Xがマルコフ過程になるのは,c=0,1,2の場合のみであることを得た.これは,15年度からの継続の研究であるが,Levyの定理(c=1の場合)とPittmanの定理(c=2の場合)を補完するものである.
著者
鈴木 広一 苅田 丈士 甲斐 高志 小林 弘明 高嵜 浩一 廣谷 智成 倉谷 尚志
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
宇宙航空研究開発機構研究開発報告 (ISSN:13491113)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.1-20, 2008-01

宇宙航空研究開発機構では,将来の宇宙輸送システムコンセプトの絞り込み,開発すべき技術課題の抽出,および現状技術の改善目標を設定するため,概念設計ツール(Systems Evaluation and Analysis Tool: SEAT)を開発中である。本報告書では,まずSEAT開発の目的,開発シナリオをまとめ,開発した雛形ツールについて報告する。ついで,代表的なエンジンの評価を行うため,雛形ルールを用いて5種類の宇宙輸送システムの概念設計を行った。本報告書では,液体ロケットエンジン,Turbine-Based Combined Cycle(TBCC)エンジン,およびRocket-Based Combined Cycle(RBCC)エンジンを対象とした。概念設計は,全備重量が最小となるように行った。その結果,母機,軌道機共にロケットエンジンを使用する二段式宇宙往還機のコンセプトが,最も軽量となる結果が得られた,本システムはエンジン搭載性についても問題がなく,最も現実的なシステムである。TBCCエンジンやRBCCエンジンといった空気吸い込み式のエンジンを使用する場合には,必要なエンジン基数が多くなり,その搭載性に問題があるという結果が得られた。
著者
四倉 清志
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.197-207, 2013

英国においては1992年の大学制度改革以降,研究資金の配分がアセスメントに基づく競争的な方法に大きく変化した。それに伴い研究,研究者の客観的評価の重要性が広く認識されるようになり,各大学ではそのための研究マネジメントの強化が図られてきた。研究者個人や研究プロジェクト単位ではなく組織としての自己分析による研究戦略を立案・遂行していくことが求められるような状況へと変化してきている。本稿では英国における制度の変遷を概観し,研究情報管理の現場で広く使用されているツール(ソフトウェア)について解説しそれが管理側,研究側双方の中でどのように受容され普及してきたかを紹介する。
著者
前川 功一 TEE Kian Heng PINTO Dos Santos 小滝 光博 倉田 博史 久松 博之 福地 純一郎 北岡 孝義
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

本研究では、非定常・非線型時系列回帰モデルの統計理論的及び応用的研究に関するものである。これまでの成果は(1)非定常性と非線形性を同時に扱う研究、(2)非定常性のみを扱う研究、(3)その他この二つの基礎となる回帰分析の基礎理論研究を並行して行ってきた。(1)に関しては前川とティー・キャン・ヘンが担当し、わが国のGDPのようなトレンドをもち単位根を持つ可能性のある経済時系列に対して単位根検定及び未知の構造変化時点の推定を研究した。その結果は2000年の日本統計学会でと題して報告された。それによると我々の提案した構造変化時点の推定方法は先行研究(畠中・山田(1999))で示された方法よりも優れていることがモンテカルロ実験で示された。(2)に関しては、前川・久松が非定常な説明変数を持つSURモデルにおける代表的な推定方法の優劣の比較を理論的及びモンテカルロ実験を通して行った。その結果、定常時系列回帰の場合と同様に単純な最小2乗法より一般化最小2乗法のほうが推定効率が良いことが示された。また前川・何は単位根がある複数の無関係な時系列の間には見せかけ上のGranger因果性が検出される確率が高いことを理論的計算およびモンテカルロ実験で示した。そしてアメリカの生産統計とマネーサプライ統計の間の因果性はこの見せかけの因果性である可能性があることを示した。小滝は共和分関係が存在する場合のGranger因果性検定の方法を提案しその理論的性質を研究した。(3)に関しては、倉田がSURモデルにおける推定法の理論的比較を、また福地は時系列回帰に対するSubsampling法の有効性を研究し、共に(1)及び(2)に対する基礎的研究を行った。なお、本研究の応用面で不可欠な株価日次データ収集のためにピント・ドス・サントスは、NHK文字放送から株価日次データを採取・分析するシステムを導入した。また、シンガポール国立大学金融工学センターで非定常時系列モデルの金融データの応用に関する研究成果発表を行うとともに、同センターの副所長Yuk Tse教授らと金融時系列の非線形・非定常モデルについて意見交換を行った。
著者
松根 彰志 黒野 祐一 砂塚 敏明 大久保 公裕 吾妻 安良太 藤倉 輝道 後藤 穣 吉福 孝介 大堀 純一郎
出版者
日本医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

マクロライドは本来抗菌薬としての作用があるが、慢性副鼻腔炎治療の分野では抗炎症作用としての働きが期待され、近年「マクロライド少量長期投与療法」が確立された。しかし、鼻茸や副鼻腔粘膜に好酸球浸潤が著明に認められ、アスピリン喘息を含む気管支喘息の合併が高頻度に認められる成人での難治性、易再発性の慢性副鼻腔炎には効果がない。経口ステロイドの漸減療法や長期使用に頼らざるをえないのが現状である。一方マクロライドには、過剰な免疫反応の抑制、調整作用やあることも分かってきていることから、直接の治療効果がなくてもステロイドのいわゆる増強する作用(primingeffect、プライミング効果)が期待でき、本疾患治療におけるステロイド使用の減量が期待できると考えられた。手術で得られた鼻茸粘膜の培養系や、術後症例に対するマクロライド少量長期投与とステロイド点鼻の併用効果から、期待されたプライミング効果はすべての症例に対して認められたわけではなかったが、程度の差はあるものの症例によっては認められた。どのような症例で認められるかについては今後の検討課題である。ただし副作用の点などから、術後の内服ステロイドの30~40mg/dayからの漸減療法2週間終了後、マクロライドの少量長期投与にステロイド点鼻(鼻噴霧用ステロイドよりはベタメタゾン点鼻)の併用でとりあえず様子を見ることは意義のあることであり、今回の重要な研究の成果と考えられる。更なる症例の蓄積による検討が必要である。
著者
倉田 明子
出版者
国際基督教大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

本年度はまず、従来の上海・香港における開港場知識人、および洪仁〓に関する研究をすすめ、それらを博士論文「19世紀南中国におけるプロテスタント布教の発展と「開港場知識人」の誕生--洪仁〓と『資政新篇』の位置づけをめぐって--」としてまとめた。この博士論文を通して筆者は、洪仁〓と中国における近代化の最初の試みとされる洋務運動の実務的な担い手たちや香港の中国人エリートらを、一定の共通体験を持つ人々として「開港場知識人」という枠組みでとらえ、洪仁〓の太平天国における改革への試みも孤立した改革運動ではなく、洋務運動やその後の近代化への道筋と同じ源流を持っていたと見なすことができることを指摘した。博士論文提出後は、(1)中国キリスト教史、(2)洪仁〓研究、(3)開港場知識人に関する研究、の3点について史料調査・収集及びその分析を進めた。(1)については、宣教師によって出版された雑誌『教会新報』に注目し、1860年代に入り急速に中国国内でキリスト教布教の規模や勢力が拡大したこと、また宗教思想にとどまらない、西洋の文化、特に科学知識の伝播の担い手として再び宣教師や信徒たちが一定の役割を担ったこと等を確認した。また、『教会新報』の続編である『万国公報』についても内容の整理と分析を進めている。また、(2)については、洪仁〓の晩年のキリスト教に対する考え方について検討を加えようと試みた。『資政新篇』以外の洪仁〓の著作についても改めて丁寧に読み込み、分析を行っている。さらに、(3)の開港場知識人の関する研究については、1840年代から50年代にかけて、上海のロンドン伝道会やイギリス国教会の宣教師やその助手たちが、琉球布教に携わっていたベッテルハイム宣教師と緊密な関わりを持っていたことも明らかになってきた。そこで、香港においてベッテルハイム関係の資料の調査、収集を進めたほか、台湾においても関係資料の収集を行った。
著者
中村 めぐみ 朝倉 啓充 成田 干城 重野 寛 岡田 謙一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.2, pp.1-8, 2004-01-15

インターネットを利用する際,個人情報漏洩などの不安から,匿名でアクセスをしたいという要求がある.一方サービス提供者は,どのようなユーザがどのように使用しているかといった情報を収集することにより,より良いサービスを提供したいという要求がある.そのため,ユーザが様々なシステムを使用すると,システムが結託することにより同一ユーザが公開した情報を収集されてしまう可能性があるので,ユーザの特徴情報と行動情報の結び付きを秘匿できるような認証方式が提案されてきた.しかし,ただ匿名性を提供するだけの個人情報保護手法では,匿名者が繰り返しアクセスをしても,それぞれが匿名であるために同一ユーザの繰り返しであることが証明できず,アクセス数によるサービスの提供などができない.そこで本稿では,匿名状態のままで匿名者同士がアクセス履歴を証明する手段を提案する.Since there is a possibility that pedrsonal information may be revealed when using the Internet, there is demand of wanting to access using anonymity. On the other hand, those who offer service think that he wants to offer better service by investigating what user is using service how. If a user uses various systems, a user's information is collectable because a system coordinates. Therefore, the system which keeps secret connection of a user's personal information and action information was proposed. However, if anonymity is used, it cannot be shown even if a user accesses a system repeatedly. Then, in this paper, we propose the method of showing the history that anonymity persons accessed.
著者
倉元 綾子
出版者
鹿児島県立短期大学
雑誌
鹿児島県立短期大学紀要. 自然科学篇 (ISSN:02861208)
巻号頁・発行日
vol.49, pp.25-44, 1998-12-25

This is the first interview on the Tokyo Domestic Science Research Institute (1933-1935) and its education to its graduates. On June 2nd, 1997,Professor SUZUKI Toshiko and I have done the interview to the graduates from the Institute, which was coordinated by Dr. KOURA Tomi. KOURA Tomi was one of the most famous women in the movement for peace and women in Japan. Before World War II, she had dedicated herself to women's education through this institute and others. In this institute, she had tried to educate the young women with practices and experiences of their own. The Institute built in 1933,and it was closed in 1935. The number of graduates was approximately 20,and they are all over 70 years old now. But they have clear memories of their young school days in the institute, and their teachers. This is one of the most important record on home economics education and it gives important hints for home economics today. In part 1,I described the circumstances of the interview, the establishment of the Institute, the motive behind entering the Institute, its teachers and the education.
著者
藤崎 健一郎 長倉 亮一 高田 彬成
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.70, no.5, pp.397-400, 2007-03-30
被引用文献数
2 1

Recently, school children sometimes participate in cultivating school turf. Even though as it is, the following case must be an outstanding case. An elementary school child proposed to make school turf. The merit and demerit of school turf were discussed in the class of integrated learning. They decided to execute an experiment to select better turf grass species for school ground. On this process, they contacted with many persons includes specialists and volunteers. As results, they got small but worthy turf plot. After they graduated, the city government gave budget to enhance turf. Now the school children, parents, graduates, teachers, and volunteers are attending workshop to maintain that school turf. On the process of learning about turf grasses, many persons from outside of the school helped the school children. The present social background must be different from the 1970 th decade when many school turf were constructed but disappeared soon. This time the school children studied much about biological and cultural aspects of turf grasses. In addition to natural scientific matters, the children studied much about the importance of the social connections.
著者
小倉 充夫 井上 一明 島田 周平 青木 一能 遠藤 貢 松田 素二 児玉谷 史朗
出版者
津田塾大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1999

冷戦の終焉とアパルトヘイト体制の崩壊は南部アフリカ地域に政治的、社会的、経済的変動をもたらし、民主化、経済自由化、地域協力の進展を促した。1990年代初頭において多くの人々はこの地域の将来に楽観的であった。しかし変革からおよそ10年後の今日、南部アフリカ諸国は失業率の上昇などの経済的苦難、犯罪や感染症の増加など深刻な問題を抱えている。構造調整政策の導入は経済危機を克服するために導入されたが、多くの都市住民の生活を一層困窮させることになった。こうした状況が人々の移動のあり方ばかりでなく、政治意識・政治行動にも影響を与え、農村社会を変化させた。これらの問題を各分担者等はそれぞれの研究領域と対象地域において調査しまとめた。具体的には、ザンビアにおける民主化と非政府組織、ジンバブエからザンビアへの移住農民の生活、ザンビア東部州からの移動と農村社会、ジンバブエにおける農村・都市間移動と反政府運動、植民地時代モザンビーク農村における人口移動、モザンビーク・南アフリカ間の労働移動、アパルトヘイト後の南アフリカにおける和解、ユダヤ人移民差別、中国人労働者導入問題などである。南部アフリカ諸国は南アフリカを中心として相互に密接な関係を発達させてきた。それはアパルトヘイト時代においても継続していた。したがってこの地域においては、一国的な分析は多くの場合限界があると同時に、歴史的な背景と変化のなかに位置づけて現状をとらえる必要がある。それ故、本研究では歴史的分析を重視し、その成果は報告書にも反映された。
著者
濱本 卓司 倉田 成人 猿渡 俊介
出版者
東京都市大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

都市における想定外事象の発生に備え,事前対策として原因分析や予知・予測に必要な基礎データを提供し,事後対策として避難誘導,安否確認,救助・救援活動を支援する建築群のネットワーク異常検知システム構築に関する実証的研究を行った。厳しい環境の下で建築群が崩壊過程にある長崎県軍艦島を検証の場として選び,映像・音声・振動のセンサデータを総合的に利用して想定外事象の発生を検知し,建築群の非線形挙動を追跡して損傷から崩壊への進行を監視する視聴触統合センシングシステムを実装した。現地におけるシステム構築により得られた新たな発見と経験的知見に基づき,システム改善のための今後の課題を明らかにした。