著者
柏谷 増男 二神 透 朝倉 康夫
出版者
愛媛大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1995

本研究では大都市通勤鉄道の混雑緩和に着目して都心居住の実態分析及び都心居住推進のためのモデル開発を行った。まず,我が国大都市圏の通勤鉄道混雑は著しく劣悪であるが,輸送力の増強では対応し得なく,業務核都市等への分散策はかえって混雑を激化させる可能性があり,むしろ都心居住の推進をめざすべきことを指摘している.次に,大阪府を対象として,従業地分布や住宅立地等に見られる地域構造の変化と通勤交通の実態について1970年から1990年または1995年までの国勢調査(5年ごとに実施)データを用いて分析した.その結果,1970年代の大阪市製造業の衰退による工場跡地に高層共同住宅が立地する形で,1980年以降都心住居が顕著になったこと,1980年から1985年の都心3区通勤通学発生交通量は15%増加し,この値は府下市町村の値をも上回っていること,都心3区発生交通量の約60%は都心3区に到着しておりその場合の鉄道利用率は約25%であることが分かった.このことから都心3区居住の通勤通学者の増加は通勤鉄道需要の抑制に大きく寄与したと言える.また,通勤鉄道混雑の評価を利用者の行動にもとづいて分析することが困難なことを指摘し,むしろ通勤交通混雑を社会的制約として取り入れ,それにより低下した土地利用効率をつけ値総額の低下量で測定し,この値を通勤交通混雑の社会的価値とすることを提案している.研究に用いた基本モデルは交通混雑制約を持つ最適土地利用配分モデルであるが,このモデルのラグランジェ関数を分析し立地誘導指標を見いだしたうえで,この方法を大阪府北東部地域へ適用した
著者
鍋倉 賢治 榎本 靖士 門野 洋介 品田 貴恵子 白井 祐介 丹治 史弥 小林 優史
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

長距離走は、有酸素性能力(最大酸素摂取量、乳酸性代謝閾値、走の経済性の3要因)によってパフォーマンスの大部分を説明できると言われている。本研究では、レース中の生理応答、縦断的な体力測定などから中・長距離走のパフォーマンスと体力特性について検討した。中距離走の場合、有酸素性能力だけでなく無酸素性能力の貢献も大きく、また、体力特性に応じたレース戦略が重要であることが明らかとなった。一方、優れた長距離ランナーでは、3要因の中でも走の経済性の貢献が特に大きいこと、そして脂質をエネルギーに利用する能力が優れていることが明らかとなった。
著者
畑下 博世 川井 八重 坪倉 繁美 河田 志帆 笠松 隆洋 鈴木 ひとみ 西出 りつ子
出版者
日本健康医学会
雑誌
日本健康医学会雑誌 (ISSN:13430025)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.287-293, 2014-01-31

精神障害者が入院医療中心の生活から地域生活中心へ転換を図るために,保健所が現在の取組みから考える課題や,今後の保健所の役割について検討することを目的に,全国518保健所を対象に精神保健福祉活動の実態調査を行い,238保健所から回答を得た(回収率45.9%)。地域生活中心への転換に向けた保健所の取り組みとしては,関係機関との調整や連絡会などが行われていた。しかし,長期入院中の患者にアプローチし,退院促進を図る活動実践は約3割に過ぎなかった。都道府県保健所は地域の実態を把握することが容易でないことが予測されるが,これまでの活動で得た経験を生かし,市町村と協同して活動を展開していくことが重要である。また,地域生活を支える保健所の課題として,住民への啓蒙,住宅整備,相談支援体制,就労支援があげられた。これらの充実に向けて,保健所が今後どのような役割を果たしていくのかを検討していく必要のあることが明らかになった。
著者
藤田 優 名倉 義夫 武井 直樹
出版者
養賢堂
雑誌
畜産の研究 (ISSN:00093874)
巻号頁・発行日
vol.60, no.8, pp.871-876, 2006-08
著者
土倉 英志
出版者
Japanese Cognitive Science Society
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.155-172, 2014

Many cognitive scientists have studied people's use of tools and artifacts, in other<br> words, resources. However, there are two features of resources that have not been ad-<br>dressed by cognitive scientists. The first is the configuration of resources. Resources<br> do not exist scatteredly; they exist in an order. Actions are organized in accordance<br> with the order of resources. Therefore, it is important to consider the configuration of<br> resources when studying people's actions in everyday life. The second feature that has<br> not been addressed is that people arrange resources in their environment to conduct<br> everyday life and work well. To clarify the features supporting everyday life based on<br> these two points, I believe that it is important to examine the adjusted relationship<br> between actions and resources and its attendant developmental processes. Therefore, I<br> propose a perspective called the development of functional systems. Functional systems<br> consist of actions and resources; the relationship between actions and resources adjust<br> as time progresses. I call this process of change in the relationship between actions and<br> resources the development of functional systems. Based on this proposal, I examine the<br> theme of human agency, learning, and child development from the perspective of the<br> development of functional systems. At the end, I discuss the limitations of this paper<br> and suggest directions for future research.
著者
冨田 恭治 高倉 義典 宮崎 潔
出版者
金原出版
雑誌
整形・災害外科 (ISSN:03874095)
巻号頁・発行日
vol.48, no.9, pp.1069-1072, 2005-08
被引用文献数
1 2
著者
刈屋 武昭 佃 良彦 前川 功一 山村 能郎 乾 孝治 田野倉 葉子 神薗 健次
出版者
明治大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-11-18

第1に、金利、国債価格、社債価格、信用リスクの変動にかかわるクロスセクション分析モデルを展開し、金融危機を含む期間に対して、多様な分析を行った。中でも、日本、米国、欧州5か国の国債分析、日本社債を中心とした社債別の信用リスク指標と市場格付け法を開発し、それに基づく企業別、業種別の倒産確率の期間構造を導出した。第2に、さらに時系列分析として、国債価格予測モデルの定式化と予測とその日本国債価格への応用、動学的変動相関モデルによる東南アジア諸国の債券利回りの世界債券市場の中での共和分性の検証、また為替レート変動分析に関して分散変動回帰モデルにおいて構造変化点の推定法などの研究を行った。
著者
林 正彦 百瀬 宗武 倉本 圭 井田 茂 左近 樹
出版者
国立天文台
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2011-04-01

総括班は4件の計画研究を有機的な連携のもとに推進する事を主な目的としている。領域全体の情報交換を促進する為、国際研究集会を9回開催し、その参加者は国内外合わせて800名を数えた。同じく研究で得られた成果を広く国内外に発信し、若手育成の為に措置を講じ、領域ホームページを作成し情報発信をした。公募研究では2度の募集を行い全14件を採択。参加者は全国の大学・研究機関に分布している。
著者
倉橋 奨
出版者
愛知工業大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

南海トラフ巨大地震にも対応した緊急地震速報の高度化のため、震源に近い観測点のP波震動からより震源から遠い観測点のS波震動を予測する方法を提案し、適用性の検証を行った。具体的には、波線理論を基とした、P波震動とS波震動の比から計算される伝達関数を計算し、観測記録のP波震動と重畳積分することにより、S波震動を推定する方法である。また、リアルタイムで計算できるよう、伝達関数を時刻歴にするIIRフィルターも構築した。M5クラスの地震動によりその適用性は確認できたが、南海トラフ巨大地震に対しては、P波を含めたシミュレーション波形が得られなかったため、検証できなかった。
著者
倉重 光宏
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.37, no.5, pp.401-407, 1983-05-20 (Released:2011-03-14)
参考文献数
9

本論文は, 低速度のビームランディングに固有のセルフシャープニング効果が撮像管の解像度決定にどう寄与するかを明らかにすることを目的として, 同効果を支配する代表的な3つのパラメーターである, ターゲット蓄積容量, 信号電流, 走査線ピッチを選び, その影響を実測, および筆者が確立した解析理論により検討したものである. その結果, (i) セルフシャープニング効果は上述した3つのパラメーターに顕著に依存し, 例えば代表的な撮像管の設計に見られる蓄積容量数千pFのターゲットに対して数十%の解像度改善をもたらすこと, (ii) しかし, 本効果は蓄積容量が3000pF以上の場合や信号電流が数10nA以下では消滅すること, また (iii) 走査線本数を適度に増やすと本効果によって垂直解像度が顕著に改善されることなどが実測, 理論とも一致した結論として得られ, 今後の撮像管設計や撮像管の使いこなしに必須の貴重な指針が得られた.
著者
藤原 滋樹 笹倉 靖徳
出版者
高知大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

ホヤ胚におけるHox1遺伝子の発現をレチノイン酸が活性化することを証明した。また,ホヤ幼生の器官形成にレチノイン酸とHox1が必要であることを証明した。オタマボヤはホヤと近縁なのにレチノイン酸合成酵素や受容体を持たない。本研究では,オタマボヤとホヤの両者がレチノイン酸に依存せずHox1の転写を活性化する仕組みをもつことを発見した。オタマボヤがレチノイン酸を失って絶滅しなかったのは,共通祖先がレチノイン酸依存的/非依存的な転写活性化機構の両方を備えていたからと思われる。
著者
水島 治郎 土倉 莞爾 野田 昌吾 中山 洋平 伊藤 武 津田 由美子 田口 晃
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

第二次世界大戦後、西欧諸国の多くで政権を掌握していたキリスト教民主主義政党は、1990年代に入ると各国で凋落し、政権を離れるに至ったが、国によってはその後、党改革を進め、一定の「革新」を可能とした例もある。本研究ではこのキリスト教民主主義政党の危機と革新という現代的展開の動態を明らかにすることで、西欧保守政治における構造的変容の実態の解明を試みた。成果は学会セッション企画、著書、論文などで幅広く公表された。
著者
小倉 慈子 矢澤 久史
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.85, no.1, pp.80-86, 2014
被引用文献数
2

This study investigated the hypothesis that narcissistic personality traits would affect risk-taking behaviors through self-monitoring. The Narcissistic Personality Inventory Short Version (NPI-S), the Self-monitoring Scale (SM), and the Risk-taking Behavior Scale for Undergraduates (RIBS-U) were administered to 192 university and graduate students. There were three NPI-S factors ("sense of superiority and competence", "need for attention and praise", and "self-assertion"), two SM factors ("extraversion" and "other-directedness"), and the single risk-taking factor of the RIBS-U. Covariance structure analysis was then conducted to test whether narcissistic personality traits would affect risk-taking behaviors through self-monitoring. Analysis showed that the factors of "sense of superiority and competence" and "need for attention and praise" affected risk-taking behavior through the "other-directedness" factor. However, the "self-assertion" factor was found to have a direct effect on risk-taking behavior.
著者
倉知 徹 川北 健雄 相良 二朗 佐々木 宏幸 谷口 文保 Tohru KURACHI Takeo KAWAKITA Jiro SAGARA Hiroyuki SASAKI Fumiyasu TANIGUCHI
出版者
神戸芸術工科大学
雑誌
芸術工学2010
巻号頁・発行日
2010-11-24

兵庫県播磨町では、2007 年以降住民主体のまちづくり組織、旧播磨北小学校施設運営協議会(以下協議会)が中心となった地域づくり活動が行なわれている。2009 年度に兵庫県立東はりま特別支援学校が開校し、公立学校とまちづくり組織の協働による取り組みが開始された。本報告は、2009 年度に取り組まれた協議会が中心となった協働によるアートワークショップについてのプロセスデザインの報告である。アートワークショップでは、県立播磨南高校芸術類型の生徒と県立東はりま特別支援学校の生徒が作業を分担し、協力して絵を描いた。描かれた絵は、多くの人に見てもらうためにギャラリーでの展示が行なわれた。また、成果を参加した人に配布することと、より多くの人に配布するために別の媒体に加工することとした。描かれた絵の一部を取り出し、ポストカードとクリアファイルに加工し、地元住民等に配布された。このアートワークショップのプロセスを通じ、それまで交わることのなかった人同士が協力し、協力して創作活動を行うことができた。また、このプロセスを通じ、多主体が協働する際のきっかけと内容を明らかにすることができた。The community building activity led by the Machizukuri organization called ex-Harima North Elementary school Facilities Management Conference (NE-FMC)) has been implemented in Harima town, Hyogo prefecture since 2007. In 2009, Hyogo prefectural East Harima Special Needs Education School (EHSNES) was founded, and the collaborations of community building activities began. This paper reports the process design of the art workshop thorough the collaborations implemented in 2009.In the artwork shop, four paintings were drawn through the collaboration by students of the Harima South high school and students of EHSNES. The paintings were processed to postcards and clear files, and distributed to a lot of people. Through the collaboration, student could interact each other, and the process clarified the chances and the contents of collaborations between multi-groups.
著者
縄倉 晶雄
出版者
北東アジア学会
雑誌
北東アジア地域研究 (ISSN:1882692X)
巻号頁・発行日
no.19, pp.21-34, 2013-06-30

Though there have been many studies on Saemaul Undong, a government-led campaign on rural development in 1970s' Korea, almost of them have focused on its economic. Meanwhile, few studies have argued the social changes of the rural areas under Saemaul Undong. In addition, studies which focus on rural policies in the 1970s Korea other than Saemaul Undong have also been rare. This study reviews how Saemaul Undong and the rural financial policies in 1970s Korea worked on the country's informal rural finance based on local communities. The official discourses of Saemaul Undong insisted the empowerment of local communities in rural areas. If it was implemented correctly by the government, seen from the perspective of the framework of social capital, the rural residents' interests gained from their communities are thought to be increased. However, this study reveals that the rural residents' financial interests from their local communities were decreased by the policies. Though the rural residents had accessed the opportunities of moneymaking through their local communities until the beginning of Saemaul Undong and rural financial policies related to it in 1970, the policies decreased the opportunities through the reduction of financial interest rate implemented in the name of 'financial modernization.
著者
水谷 規男 山口 直也 上田 信太郎 岡田 悦典 京 明 緑 大輔 笹倉 香奈
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

本研究では、刑事法研究者及び実務家からの聞き取り調査をアメリカ、イギリス、オーストラリア、ドイツ等の国々について行い、司法取引制度ないしそれに類似する実務が英米法系の国々においてだけでなく、従来は取引に否定的であると考えられてきた大陸法系の国々においても、司法の効率化のために存在していることを明らかにした。これに対して、我が国で導入が検討されている刑事免責制度や捜査・公判協力型協議・合意制度は、訴追側と弁護側の取引を容認するものであるものの、司法の効率化よりも供述の獲得にウエイトがある点に特徴があることを明らかにした。