著者
仲西 康顕 面川 庄平 河村 健二 清水 隆昌 倉田 慎平 田中 康仁
出版者
中部日本整形外科災害外科学会
雑誌
中部日本整形外科災害外科学会雑誌 (ISSN:00089443)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.1-9, 2021

<p>肩や上腕部での筋肉注射による局所の運動器の合併症として,腋窩神経や橈骨神経の障害が報告されている.さらに筋肉注射としてワクチンが従来投与されてきた海外では,三角筋下滑液包内への不適切な注入によると考えられるSIRVA(Shoulder Injury Related to Vaccine Administration)が2010年頃より問題となっている.新型コロナワクチンの接種のため筋肉注射の機会が増えるに従い,これらの問題が国内でも増加することが危惧される.不適切な部位への投与を避けるために理解すべき解剖構造と,我々が適切と考える三角筋内への筋肉注射部位について述べる.</p>
著者
松島 綱治 橋本 真一 倉知 慎 上羽 悟史 阿部 淳
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

伝子発現解析の結果からケモカイン受容体CXCR3に着目したところ、CD8陽性T細胞の活性化直後のリンパ組織内局在をCXCR3が制御することで、その後の免疫記憶CD8陽性T細胞の形成に影響を及ぼしていることが明らかになった。また、メモリー細胞において、CTLに特徴的なサイトカインやケモカインなどの遺伝子群の顕著な発現量上昇、細胞老化と関連深いリボゾーム蛋白類の発現量低下とを認めた。さらに一次メモリーと比較して、二次メモリーCTLではNK細胞特異的遺伝子の発現量上昇が認められ、老化メモリーCTLの特徴となることを明らかにした。
著者
西浦 庸介 太田 圭祐 小林 利江 倉知 あかね 村瀬 景子 石黒 正崇 平野 ツヤ子 伊藤 友一 井手 敦基 濱野 髙行
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.215-220, 2022 (Released:2022-03-28)
参考文献数
18

われわれはシャント音を人工知能で音質を数値化し評価できることを報告した.しかし,聴診部位の情報が欠損しており閉塞の予測因子としては不足があった.また,分枝の多いシャントは血流量が低下しにくいため,ドップラー超音波による上腕動脈平均血流量(mFV)や血管抵抗指数(RI)では閉塞を予見しにくいと言われている.しかし,聴診部位が記録しやすい吻合部のみでのシャント音であれば,前述超音波所見との関連を認めるのではないかと考えた.評価項目として,シャント吻合部での音質と超音波によるmFV,RIを用いて比較を行った.その結果,シャント血流量を示すmFVはシャント聴診音の強度と相関した.超音波によるRIは人工知能で判断される断続音と弱い相関を認めた.日々の聴診によりシャント血流量を間接的に評価することが可能であると考えられた.しかし,吻合部のみでなくシャント全長にわたる聴診が狭窄音の評価に重要である.
著者
片倉 邦雄
出版者
日本中東学会
雑誌
日本中東学会年報 (ISSN:09137858)
巻号頁・発行日
no.1, pp.106-149, 1986-03-31

1973年のいわゆる「オイル・ショック」までの日本の中東政策には、アラブ寄り中立といわれてもよいような客観的事実が存在した。敗戦直後の日本は国連パレスチナ分割決議には無関係であり、中東には植民地も持たず手が汚れていないという自負があった。国連加入後も、アラブ・イスラエル紛争には「中立」を標榜していたが、パレスチナ難民救済機関(UNRWA)にも応分の寄与をしていることは知られていた。しかも、1971年、ファイサル・サウディアラビア国王が訪日した際の共同声明ではパレスチナ人の正当な権利が明確にうたわれ、その後の国連総会決議でも投票パターンの変更が行われた。日本の要人がアラブ産油国を訪問するときにはきまって消費国連合反対を明らかにしていた。しかし、石油戦略が開始されると、中東におけるかつての植民地宗主国、英仏は「友好国」扱いされ、日本は石油供給カットの対象になる「非友好国」扱いにされているらしいことが次第に明らかになった。政府当局者、関係業界は、工業生産、国民大衆の消費生活に未曾有の衝撃を与える供給カットに直面し、真剣に過去の中東政策を再検討し、いかにして英仏並みの取扱いを受けることが可能か独自の情報収集・分析の必要にせまられた。73年11月22日の二階堂官房長官声明は、それらの情報に基づき、米国の立場、イスラエルの生存権をも考慮して割り出したギリギリの外交的選択であった。キッシンジャー元国務長官の回顧録によると、米国はこの日本の政策転換を、日本の指導者がエネルギー需要を冷静に計測した結果、生存のためには止むをえぬものとしてとった措置であり、しかも米国とのミゾを最小限にとどめようと努力した結果であったと評価している。筆者は三木特使の中東八ケ国歴訪に随行しアラビア語の通訳を担当したが、自らの見聞を記録に留め、また当時特使の経済顧問として同行した大来佐武郎元外相の回顧録『東奔西走』なども参照しつつ、アラブ世界の両巨頭、サウディアラビアのファイサル国王、エジプトのサダート大統領との会談を通じてアラブ石油戦略の網をいかに切りひらき、12月25日の対日石油供給制限解除決定へもち込んだかをふりかえってみた。日本は第一次石油危機の経験から学んだ。一面では、エネルギー集団保険機構たるIEAに加入し、省エネ・需要抑制効果と供給過剰(グラット)の市況とによって、危機管理能力は強化された。イラン・イラク戦争激化によるホルムズ海峡閉鎖の脅威にもパニックを起こすことなく冷静に対処してきている。他方、イラン人質事件、ソ連のアフガニスタン侵攻、イラン・イラク戦争という危機に直面して、西側先進工業国間には協調の動きがみられ、特に日本・EC間の対米共同歩調が試みられたことは、新たな「創造的外交」の局面として注目される。
著者
倉山 満
出版者
関西憲法研究会
雑誌
憲法論叢 (ISSN:1343635X)
巻号頁・発行日
no.9, pp.67-92, 2002-12-23

Almost analysts consider that Manchurian incident was SINRYAKU (侵略=cruel aggression) of Japan which was caused by Kwantung Army's runaway. There have been few legal studies about Manchurian incident. Japan was blamed because he broke the Nine-Power Treaty, the Kellogg-Briand Pact, and the Convenant of the League. But Japan's act is not injustice in international law. Before Manchurian incident, the Republic of China could not rule Manchuria. The act of Kwantung army is naturally illicit. But eventually, it was evasion. We must analyze Manchurian incident not only by perspective of politics but also by perspective of international and domestic law.
著者
富永 一登 佐藤 大志 朝倉 孝之 岡本 恵子 増田 知子
出版者
広島大学学部・附属学校共同研究機構
雑誌
学部・附属学校共同研究紀要 (ISSN:13465104)
巻号頁・発行日
no.39, pp.195-200, 2010

古典重視を標榜した新指導要領の具体化において, 単に旧来の指導の踏襲ではない方向性を模索した結果, 近現代の作品を入り口にすることが親しみやすい漢詩・漢文の学習に繋がると提案した一昨年度, その具体的な授業構想に取り組み, 教材化への条件を明らかにした昨年度を承けて, 今年度は実際の授業を行った。王維「九月九日憶山東兄弟」詩は, 年齢が近いことからも理解しやすく見える作品だが, 実際には生徒にとって心情を理解するのは容易ではない。そこで, さだまさし「案山子」を合わせたところ, 一挙に身近な作品となった。また, 岑参「磧中作」詩は, 自身の実体験に基づく辺塞詩であるが, 生徒にとっては非日常の世界である。しかし, 大岡昇平「野火」との出会いで, 戦争はけっして生徒自身と無関係ではないこと, また生身の人間が生きているとはどういうことかを深く考えさせることができた。このように現代と繋がるとき, 漢詩・漢文は漢字を通じて一挙に現代に立ち現れる。他にも渡辺淳一の「孤舟」が広く中国文学に根ざした言葉であったことや, 綾香の歌う「三日月」と杜甫「月夜」との比較等, 近現代の作品を入り口にした授業のさらなる可能性を見ることができた。
著者
古畑 尚樹 板倉 昭二
出版者
心理学評論刊行会
雑誌
心理学評論 (ISSN:03861058)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.236-252, 2016 (Released:2018-02-06)
参考文献数
51

Collaboration, the behavior of cooperating with others to achieve common goals, is a recent major topic in developmental psychology. Previous studies have demonstrated that the ability to collaborate with others develops at approximately 1 to 3 years of age. However, the mechanisms by which collaborations are achieved in young children are not well understood. The present article reviews recent collaboration studies in young children and identifies the importance of action interaction, which provides a basis for collaboration with others, as part of the development of collaboration in young children. Moreover, the authors propose two empirical findings as future research directions: interpersonal synchrony or social contingency and first-person plural cognitive perspective on self-other interactions called “we-mode”. These findings will help to explain the developmental changes that lead to collaboration in young children.
著者
勝木 桂子 相原 直彦 伊達 裕 武村 珠子 住田 善之 和田 光代 鎌倉 史郎 下村 克朗
出版者
Japanese Heart Rhythm Society
雑誌
心電図 (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.291-300, 1997-05-25 (Released:2010-09-09)
参考文献数
19
被引用文献数
1

心室内伝導障害例での持続型心室頻拍 (SVT) の発生予知に時間解析法による加算平均心電図 (SAEOG) が有用であるかを検討した.SAECGを施行した心室内伝導障害例70例を, 12誘導心電図から右脚ブロック型を示す36例 (RBBB群) と左脚ブロック型を示す34例 (LBBB群) に分類し, SVTの既往の有無 [SVT (+) 群, SVT (-) 群] でSAEOG各指標を検討した.RBBB群ではTQRSD, LAS40, RMS40の3指標とも, LBBB群ではRMS40のみでSVT (+) 群とSVT (-) 群との間に有意差が認められた.SVT (+) 群を分離するための診断基準は, RBBB群ではTQRSD≧160mseo, LAS40≧40mseo, RMS40≦14μVとなり, 川頁に感度77%, 85%, 77%, 特異性78%, 70%, 74%で, LBBB群ではRMS40≦14μVとなり, 感度82%, 特異性87%で良好な診断精度であった.以上より, SAEOG各指標はLPの診断基準を新たに設定することにより, 心室内伝導障害例においてもSVTの予知が可能であると結論される.
著者
吉田 索 浅桐 公男 朝川 貴博 田中 宏明 倉八 朋宏
出版者
日本外科代謝栄養学会
雑誌
外科と代謝・栄養 (ISSN:03895564)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.169-175, 2019 (Released:2019-09-15)
参考文献数
19
被引用文献数
1 3

近年,生体電気インピーダンス分析法(以下BIA)は,日常の診療や栄養評価,スポーツなどのさまざまな分野に用いられている.このBIAを利用して算出されるPhase angle(以下PhA)は細胞膜の抵抗を表した角度であり,細胞や細胞膜の栄養状態と関係が深く,体細胞量に反映する.健常者やアスリートなどの構造的完成度の高い細胞膜をもった正常細胞では,PhAは高く計測され,老化やがんなどの細胞膜の構造的損傷や細胞密度の低下した障害細胞では,PhAは低く計測される. PhAは細胞の健常度や全体的な栄養状態を反映することから,各種疾患の予後予測因子や栄養指標として注目されている.また,PhAは人体に微弱電流を流し細胞膜の抵抗値を直接測定して算出する実測値であるため,身長や体重だけでなく体液過剰の影響を直接受けない利点がある.そのため,通常の体成分分析には則さない重症度の高い患者や重症心身障害者などの正確な栄養評価が困難な患者にPhAは有用と思われる.
著者
藤田 淳也 小倉 貴志 大河内 一弥 松本 典剛 澤田 賢治 金子 修
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌C(電子・情報・システム部門誌) (ISSN:03854221)
巻号頁・発行日
vol.142, no.3, pp.328-338, 2022-03-01 (Released:2022-03-01)
参考文献数
25
被引用文献数
2

Threat modeling is a process to determine effective cybersecurity measures to secure industrial control systems (ICSs). However, deep cybersecurity knowledge is required to perform threat modeling processes and those results including prioritization of cyber attack scenarios are depended on security analysts. To reduce the dependency of analysts, it is required to express cyber attack scenarios with a structured model. In this study, a new structured model that expresses cyber attack scenarios for ICSs is proposed. The proposed model is based on the Diamond model and capable of expression behaviors of adversary in a targeted system by a structured form. The model makes it possible to express structured cyber attack scenarios and reduce dependency of analysts. This paper provides a detail of the proposed model and evaluation results of the model in terms of the usefulness of threat modeling.
著者
石倉 恭子 加藤 美生 甲斐 裕子 山口 大輔 吉葉 かおり 福田 吉治
出版者
日本健康教育学会
雑誌
日本健康教育学会誌 (ISSN:13402560)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.254-265, 2021-08-31 (Released:2021-09-03)
参考文献数
43

目的:小型通信機器搭載アプリ等にて,身体活動を促進する一連のしかけ(ツール)に使用されたナッジを明らかにした.方法:「physical exercise」等と「app」等を検索語として,データベース検索(Scopus, Pubmed, Web of Science, CiNii)により2014~2019年に発行された論文を抽出した.論文で扱われた身体活動を促進する無作為化比較介入試験(RCT)を抽出したのち,ツール毎にナッジチェックリストMINDSPACEの9要素(“Messenger”“Incentives”“Norms”“Defaults”“Salience”“Priming”“Affects”“Commitments”“Ego”)の有無を分類した.国内実装事例を全国紙新聞記事から抽出し同様に分類した.結果:抽出されたRCTは32本であり,全て海外で実施されていた.使用されたツールは32 件で,MINDSPACE要素は平均4.2(範囲0–9)個であった.多用された要素は“Priming”(n=30, 93.8%),“Ego”(n=26, 81.3%),“Norms”(n=17, 53.1%),“Commitments”(n=15, 46.9%)であった.国内実装事例で使用されたツールは36件で,要素は平均1.4(範囲0–9)個であり,“Incentives”(n=31, 86.1%)が最も使用されていた.結論:有効なツールに使用された“Priming”や“Ego”,“Norms”,“Commitments”は,国内実装事例では殆ど使用されていなかった.今後,身体活動促進を意図しツールを開発する際は,これらを考慮することが望まれる.
著者
小倉 宗
出版者
關西大學文學會
雑誌
關西大學文學論集 (ISSN:04214706)
巻号頁・発行日
vol.71, no.1, pp.61-99, 2021-09

本研究は、JSPS科研費JP19K01256、JP21H00659、JP20K00968の助成を受けたものです。