著者
鈴木 学 加藤 仁志 仲保 徹 木村 朗
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.485-489, 2014 (Released:2014-09-25)
参考文献数
9
被引用文献数
1

〔目的〕学生の性格とPBLテュートリアルに対する取り組み状況との関係について検討した.〔対象〕A大学理学療法学科の3年生55名とした.〔方法〕PBL実施後,KT性格検査による学生の性格判定およびPBLの取り組み状況に関するアンケートを実施した.〔結果〕5つの性格の程度は7.85~11.71であった.主たる性格によるPBLの取り組み状況には差異はなかった.各タイプの傾向とPBLの取り組み状況との関係は,臨床思考は「信念確信型」との間で有意な正の相関,「繊細型」との間で負の相関,協調性は「自己開放型」との間で有意な正の相関がみられた.〔結語〕取り組み状況の要因の1つとして各性格の程度が関係していることが示唆された.
著者
亀谷 哲治 津吹 政可 日暮 勝之 加藤 正 本多 利雄
出版者
天然有機化合物討論会実行委員会
雑誌
天然有機化合物討論会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.27, pp.176-183, 1985

The stereocontrolled synthesis of steroid side chain has been developed. The major interest has been forcused on the synthesis of the side chain of ecdysone as well as crustecdysone from 20-oxosteroid via furan derivatives. Reduction of the olefin (21) over palladium-carbon afforded the (20S)-20-furylsteroid (22), stereoselectively, whose hydrogenation over rhodium-alumina, followed by ruthenium tetroxide oxidation and treatment with methylmagnesium bromide, gave the triols (28) and (29) having an ecdysone-type side chain, respectively. The stereoselective reduction of the lactone (33) as a key reaction to give the δ-lactone (35) and the γ-lactone (36), under various conditions has also been investigated. Grignard reaction of both lactones with methylmagnesium bromide led to the synthesis of the tetraol (37) possessing a crustecdysone side chain. The total synthesis of 2-deoxycrustecdysone (3) has also been achieved by application of the above method.
著者
木本 忠昭 雀部 晶 山崎 正勝 日野川 静枝 慈道 裕治 加藤 邦興
出版者
東京工業大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1993

戦後の日本科学技術政策は、科学技術庁や科学技術会議などの機関があるものの一貫した整合性ある政策が形成され、もしくは施行されてきたとはいえない。通産省や文部省、あるいは農水省などの各省庁から出されてくる諸政策の集合体が、様々な科学・技術の発展過程に関与してきたにすぎない。当然ながら、それらの省庁間の諸政策には摩擦があり、ある意味での「力」の論理が現実を左右してきた。こうした政策のうち技術にもっとも密接に関与してきたのは通産省であったことは言うまでもない。通産省の技術関連政策は、技術導入や日本企業の国際的競争力の強化において極めて強力で企業を強く保護するものであったことは大方の指摘してきたことではある。集積回路やコンピュータを始め、電子工業に関する技術発展の重要な局面にはこの保護政策が強く作用した。この通産政策はしかし、国際市場における日本製品の競争力強化という点においては有効ではあったものの、技術を原理的に転換したり、あるいは人間社会の基盤的技術としての方向性を独自に作り出す方向には、有効に働いてはこなかった。この政策は、競争力強化という面においてさへ、コンピュータに新技術開発においても有効に作用しないばかりか、ハイビジョン・テレビのように根本的発展を無視した方向に機能し、むしろ問題になってきている。また、先の「もんじゅ」高速増殖炉事故の際問題となった「町工場」(下請け)と先端企業(本社)とを結ぶ社会的技術分業体制の転換・崩壊に見られるような生産体系の社会的構造の変化に対応する形で問題を把握することすら行い得ない現状を生んでいる。公害・環境問題に見られるように科学・技術の発展が社会的問題を惹起するように、しかも社会的弱者の土台の上に展開する構造すら見られる。人間社会が科学技術の発展に寄せる期待は、そのようなものではなかった。科学技術政策として重要な視点は、技術論的技術史的論理を踏まえた政策立案であるべきである。
著者
加藤 健二 都司 嘉宣
出版者
東京大学地震研究所
雑誌
東京大学地震研究所彙報 (ISSN:00408972)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1/2, pp.39-66, 1994-09-30

本研究では,1993年7月12日に発生した北海道南西沖地震(MUMA7.8)の津波の挙動を調べた.まず最初に,津波の初期条件を求めるために断層要素の決定を行なった.断層要素の決定は,余震分布,奥尻島での鉛直,および水平の地殻変動量および江差と岩内の検潮記録に基づいて行なった.余震分布から,断層面を北側,南側の2つからなるとした.その結果,南側の断層では,低角な東下がりのものと,高角な西下がりのものがともに奥尻島の地殻変動の条件を満たすことがわかった.ここで求めた断層要素を使って,断層は南北とも西下がりであるとして,北海道周辺での津波の振舞いを調べた.津波は,奥尻海脚,奥尻海盆の影響を受けて複雑な振舞いをしたことがわかった.また,奥尻島の南西部について詳しく調べてみると,奥尻海脚によって曲げられた津波が第1波を形成し,同島南部の初松前地区に集中して,ここの集落の家屋を全滅させたことがわかった.また,奥尻海脚の東端と西端を節とするここにトラップされた固有振動が,島南端の青苗の居住地の主要部に大きな被害をもたらす第2波を形成することがわかった.
著者
石原 邦雄 松田 苑子 田渕 六郎 平尾 桂子 永井 暁子 西野 理子 施 利平 金 貞任 加藤 彰彦 西村 純子 青柳 涼子
出版者
成城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

日本、中国、韓国の研究者がそれぞれ自国での家族の総合調査のミクロデータを提供し合い、共同利用する体制を作って比較分析を積み重ねるという新たな試みとなる国際共同研究に取り組み、最終的にChanging Families in Northeast Asia : China, Korea, and Japan. Sophia University Pressという、共同研究者12名の論文を含む出版物の形で成果をまとめた。多彩な分析結果を大きくくくると、(1)人口の少子高齢化と経済社会のグロ-バル化および個人化という同一方向での変化のインパクトのもとで、3カ国の家族が、遅速の差はあれ、共通方向での変化を遂げつつあること、(2)しかし同時に、各国の社会文化的伝統の影響の強弱によって、3カ国の家族の世代間関係と夫婦関係のあり方や変化の仕方に違いが生じていることも併せて明らかにされた。
著者
鯵坂 学 徳田 剛 中村 圭 加藤 泰子 田中 志敬
出版者
同志社大学
雑誌
評論・社会科学 (ISSN:02862840)
巻号頁・発行日
vol.92, pp.1-87, 2010-05

日本の大都市では2000年を画期として、長らく続いた人口の郊外化がおわり、人口が都心部に向かう都心回帰といわれる状況がみられる。その原因は、不況により都心地域の地価が下がり、オフィス需要が減少し、そこに大型のマンションが建てられ、新しい住民の居住が促進されたためである。本研究では、大阪市の都心区における新しい住民と古くから住んでいた住民との関係について、大阪市特有の地域住民組織である「地域振興会」(振興町会や連合振興町会)に焦点をあて、共同調査を行った。結果として、新住民のそれへの参加は少なく、旧住民中心に運営されてきた振興町会の側も新住民への対応に苦慮していること、新旧住民間の交流やコミュニティの形成が課題となっていることが判明した。
著者
加藤 利康 石川 孝
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.55, no.8, pp.1918-1930, 2014-08-15

本論文は,オンライン環境のある教室でのプログラミング演習のためのWebベースの授業支援システムにおいて,机間巡回では把握が困難なクラス全体と問題のある学生の学習状況を教員が随時に把握できるようにする学習状況把握機能の実現を目的とする.この実現の方法は,演習課題の配布,解答プログラムの作成,コンパイル,実行,および解答の提出を行える授業支援システムを基礎として,プログラミング演習における学習状況把握に対する要求分析と先行研究の調査に基づいて,機能の設計と評価を行う.クラス全体に対する機能は,教員があらかじめ用意した模範解答プログラムに基づく正解判定による解答開始から解答提出までの作業進度集計と,模範解答プログラムを基準としたコンパイルエラー行の同定によるエラー分類集計である.これらの機能は,コンソール出力を行うJavaプログラミングの課題に対して,十分な精度で適用が可能である.問題のある学生に対する機能は,作業進度の外れ値分析による作業が遅れている学生の検出と,該当学生の作業履歴の提示である.検出機能は,外れ値の基準値を教員が適切に設定することによって,対処可能な程度に問題のある学生を絞り込むことが可能である.これら2種類の学習状況把握機能を付加した授業支援システムは,実際の演習授業において,システムが提示する情報に基づく学習指導が全指導件数の約半数観察されたことから,プログラミング演習における学習状況把握に有効である.本論文で実現した学習状況把握機能は,教員が模範解答プログラムを用意することで,クラス全体の作業進度とエラー分類を提示し,また,作業が遅れている学生を検出してその作業履歴を提示することによって,机間巡回では把握が困難な学習状況を教員が随時に把握することを可能にする.
著者
加藤 昇平
出版者
名古屋工業大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究課題では、高齢者の音声に対する独自の解析手法を提案することで,ごく早期の認知症発見・予防を目的とした極めて簡易な,在宅でも利用可能な音声認知症スクリーニングの基礎アルゴリズムを開発した。データ解析ならびにデータマイニング技術の手法であるROC解析ならびに多重ロジスティック回帰分析の技術を応用することで、高齢者の質問応答発話音声から抽出した音響ならびに韻律特徴を用いて認知機能の危険度指標SPCIRを計算するアルゴリズムを提案した。これにより、誰でも、定期的に、安心して認知症スクリーニング検査を受けることができ、認知症の疑いを早期に発見することで専門医への受診誘導を促す仕組みが実現される。
著者
平澤 一浩 大塚 康司 伊藤 博之 上田 百合 白井 杏湖 鈴木 衞 永井 義幸 加藤 紀和 櫻井 衛
出版者
耳鼻咽喉科臨床学会
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.107, no.7, pp.529-533, 2014 (Released:2014-07-01)
参考文献数
20
被引用文献数
3

Intranasal steroids are widely used to treat olfactory disorder, and are known to have fewer side effects than systemic steroids. However, there are some reports that intranasal steroids have induced adrenal insufficiency, even when the steroid dosage is appropriate. We encountered a case of secondary adrenal insufficiency after using intranasal betamethasone for olfactory disorder within the usual dosage. In this case, we were not aware of instructing the patient not to swallow the steroid which had dripped into her pharynx. Thus, a large amount of steroids which had passed through her nasal cavity might have been absorbed in the oropharyngeal mucosa and also ingested. That is possibly the main cause of developing adrenal insufficiency. Recently, Toki-shakuyaku-san, a traditional Chinese medicine, has started to be used for olfactory disorder after a cold. Because of its minimum side effects, it may be safely used for patients with the risk associated with steroid use.
著者
加藤 克
巻号頁・発行日
2006-03-24

207p.
著者
河野 純大 三好 茂樹 西岡 知之 加藤 伸子 村上 裕史 内藤 一郎 皆川 洋喜 白澤 麻弓 石原 保志 小林 正幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. WIT, 福祉情報工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.751, pp.57-60, 2005-03-18
被引用文献数
24

筑波技術短期大学(以下本学)が開発した遠隔地リアルタイム字幕提示システムは、テレビ放送の字幕や学会や式典、講義での情報保障などに数多く用いられている。聴覚障害学生が学ぶ本学聴覚部においても、これまでに非常勤講師が担当する一般教養科目の情報保障に用いられてきた。本研究では専門性の高い講義への同システムによる支援を目指して、非常勤講師が担当する情報工学の専門科目の講義に試験的に情報保障を行った結果について、話速や音声から文節への変換率、一般教養科目の場合との対比などを報告し、専門性の高い講義への同システムによる遠隔地情報支援を円滑に行うために必要な条件などについて考察する。
著者
松石 昌典 加藤 綾子 石毛 教子 堀 剛久 石田 雄祐 金子 紗千 竹之中 優典 宮村 陽子 岩田 琢磨 沖谷 明紘
出版者
Japanese Society of Animal Science
雑誌
日本畜産學會報 = The Japanese journal of zootechnical science (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.76, no.4, pp.423-430, 2005-11-25
被引用文献数
2 13

名古屋コーチン肉を特徴づけているおいしさの要因を明らかにするため,ブロイラーと合鴨肉を比較対象として,官能評価と遊離アミノ酸などの分析を行い,以下の結果を得た.名古屋コーチンとブロイラーの加熱もも肉の2点嗜好試験では,味は両者間で差はなかったが,香り,食感および総合評価で前者が有意に好ましいと判定された.両者の2点識別試験では,うま味の強さは両者間で差がなかったが,品種特異臭と推定される名古屋コーチン臭と硬さが名古屋コーチンが有意に上位にあると判定された.両鶏のもも肉から調製したスープの2点識別試験では,うま味の強度はブロイラーが強い傾向にあった.コク味はブロイラーが有意に強かった.両スープにおける遊離アミノ酸の総モル数はブロイラーが多い傾向にあり,グリシン,ヒドロキシプロリン,セリン,アスパラギン,β-アラニン,アラニンおよびプロリンはブロイラーが有意に多かった.その他のアミノ酸は有意差がなかったが,ブロイラーが多い傾向にあった.名古屋コーチン加熱もも肉と合鴨加熱むね肉の2点識別試験では,うま味強度は名古屋コーチンが大きい傾向にあった.合鴨臭と硬さは合鴨が有意に上位にあると判定された.重量比でブロイラーもも挽肉8に合鴨むね挽肉2を混合したパティは,名古屋コーチンもも挽肉パティとは香りを根拠にした3点識別試験で識別できなかった.以上の結果より,名古屋コーチンと合鴨を特徴づけているおいしさの要因は,味ではなく,両者の互いに類似した特有香と豊かな噛みごたえであり,ブロイラーはうま味とコク味の強いスープを与える特性を有していると結論された.
著者
加藤 径子 小川 英明 河田 克博 内藤 昌
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.66, no.542, pp.153-159, 2001

The aim of this paper is to study the characteristics of land use in Spanish cities. We firstly reconstructed city maps, the nanalyzed and compared with respect to the ratio of land use area. The results show the followings; i) land use patterns inhistorical area of Spanish cites are dominated by economic uses, ii) in Barcelona and Madrid, a special patten of land use are observed reflecting their political positions, iii) at the turn of the 20th century, central urban areas were mainly used for economic purpose in all cities.
著者
加藤 剛
出版者
日本文化人類学会
雑誌
民族學研究 (ISSN:00215023)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.424-449, 2003-03-30

開発の語られ方を、革命の語られ方との対比で検討する。舞台はインドネシアであるが、革命と開発は、第2次世界大戦後50年間のインドネシア現代史を二分するキーワードである。二つの社会的出来事についての語りを、リアウ州のコトダラム村(仮名)における過去20年ほどの定点継続調査の結果と、政府関係文書の記述などから比較・検討する。インドネシアにおける革命は、1945年8月17日の独立宣言から始まり、49年12月末の主権移譲まで、再植民地化を図ったオランダにたいする戦争、すなわち独立戦争を意味している。インドネシア初代大統領スカルノは、「指導される民主主義」時代(1959-65年)に、オランダが依然として支配していた西イリアンの奪回と、インドネシア式社会主義社会の建設を唱え、革命の復活・継続を叫んだ。しかし、1962年から63年にかけて西イリアン解放が実現すると、革命の説得力は色褪せ、経済の破綻や軍の画策もあって、政権は崩壊した。スカルノに代わって大統領となったスハルトは、32年間に渡って開発主義的政策を推し進めた。第1次から第6次まで立案・実施した5カ年開発計画のように、自己の権力も繰り返し更新可能と考えたのであろうが、長期政権下で汚職、癒着、縁故主義が蔓延し、1997年のアジア通貨危機の1年後、政権の座から滑り落ちている。革命と開発を比較するとき、前者は動員、参加・犠牲、体制打倒、記憶、再生(リプレー)と結びつき、開発は選挙、充足・消費、体制維持、計画、更新と結びつく傾向にある。革命は潜在的に危険であるがゆえに、一般に現存政権にとっては記憶されるべき過去であり続けることが望ましい。他方、開発は過去を振り向かない。プロジェクトの立案、すなわち、完成後いずれは自己陳腐化する非日常性を企画する開発には、自己更新の内的性向が組み込まれている。そして、開発プロジェクトとともに、予算、支出、充足、投票、さらにはしばしば汚職も同時に計画されるがゆえに、開発は権力と同じく内部から腐敗しやすい、といえよう。