著者
加藤 真紀 鐘ヶ江 靖史 茶山 秀一
出版者
科学技術政策研究所
巻号頁・発行日
2012-12-25 (Released:2012-12-25)

本報告書は、大学院博士課程での研究指導の実態や課題の把握を目的とし2011年度に59大学を対象に年2回実施した調査の結果を取りまとめたものである(回答者数2,636人、有効回答率21.9%)。まず組織的に複数の教員から博士論文作成の日常的な指導を受けた者は約7割であり、彼らは研究能力を身につけたと考える割合や、大学院における満足度が高いことが明らかとなった。次に、自然科学系では人文・社会系よりも指導教員が博士論文のテーマ決定に積極的に関わることが示された。博士論文のテーマ決定に学生が積極的に関わる場合に、研究能力を身につけたと考える割合が多く、論文テーマの決定に指導教員が積極的に関わる場合に、サービスとしての大学院の満足度を高く評価する学生の割合が多い。また大学院(修士・博士)の授業のうち履修して良かったと思う授業が6割以上を占めると回答した学生は3割以下に留まることが示された。
著者
及川 浩和 加藤 直樹
出版者
日本教育情報学会
雑誌
教育情報研究 : 日本教育情報学会学会誌 (ISSN:09126732)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.31-37, 2009-09-15

日本語を学ぶために別科に入学した中国人留学生を対象として,コンピュータの漢字変換機能に着目し,正確な読みの指導を中心とした読解・聴解能力を育てるための5つの学習活動を取り入れた日本語学習指導法を提案する.第I報では,コンピュータに対する不安度,読みの誤り,文字を手がかりにした意味の理解度について実態調査を行い,学習が成立するための基礎資料とし,学習プロセスモデルを構築するまでの過程を述べた.本稿では構築した学習プロセスモデルにおける学習状況を明らかにするため,これまでに授業実践した結果と評価について述べる.授業実践の結果,漢字変換機能を活用した学習には成果が見られ,学習者にとってこの学習活動は肯定的に受け止められた.
著者
及川 浩和 加藤 直樹
出版者
日本教育情報学会
雑誌
年会論文集
巻号頁・発行日
no.24, pp.256-257, 2008-08-19

日本語を学ぶために別科に入学した中国人留学生を対象として,コンピュータの漢字変換機能に着目し,正確な読みの指導を中心とした読解・聴解能力を育てるための5つの学習活動を取り入れた日本語学習指導法を開発した.学習プロセスモデルに基づき授業実践した結果,漢字変換機能を活用した学習には一定の成果が得られ,学習者にはこの学習活動に対し肯定的な意見が多く聞かれた.
著者
田路 賢太郎 瀬戸山 浩平 大川 泰弘 加藤 伸子 岡崎 彰夫 福井 和広
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. WIT, 福祉情報工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.472, pp.7-12, 2012-03-02

指文字は,聴覚障害に関わる人々が用いるコミュニケーション手段の1つであり,平仮名などの文字を対応する手形状で表現する.指文字を習得することは外国語を学ぶことに近い面があり,自然に使えるようになるためには,実際の会話で指文字を利用する経験を重ねる必要がある.このため,個人による指文字の習得は容易と言えず,指文字の練習を支援するためのシステム構築が望まれる.これに関して本研究では,パターン認識の技術による手形状識別を中心とした支援システムの構築を検討する.ここで,高精度な手形状識別には一般的に大量の学習データを必要とするが,このような学習データの収集には多大な労力を要する.そこで,CG技術により指文字の手形状CGを学習データとして生成し,その中からアンサンブル学習で有効なデータを選択する方法を提案する.この提案法の有効性を評価実験により実証した.
著者
栗岡 辰弥 南 浩樹 藤澤 俊之 加藤 隆 奥田 治雄 沼澤 潤二
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.22, no.55, pp.23-29, 1998-10-16
被引用文献数
13

ディジタル放送時代の家庭用記録装置は、視聴者の好みの番組を自動的に収録し、見たい番組をいつでも簡単に取り出せる"いつでも機能"が求められる。このような新しい機能をもった記録装置をホームサーバと呼んでいる。我々は、ディジタルハイビジョン放送を収録しながら再生できるホームサーバ実験装置を開発した。この実験装置は、階層的記録方式を導入することでハイビジョン番組を4時間以上収録でき、壁掛けテレビに内蔵できるハードウエア規模で実現した。本報告では、開発した実験装置の構成とその主な要素技術について概要を報告する。
著者
加藤 浩徳 志摩 憲寿 中西 航
出版者
Sociotechnology Research Network
雑誌
社会技術研究論文集 (ISSN:13490184)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.11-28, 2011

本論文は,山梨県を事例に交通システム成立の経緯を整理するとともに,その経緯と社会的要因との関係を分析するものである.同県の広域交通ネットワークの発展経緯を,近世以前,明治~戦前,戦後の3つの時代区分にしたがって整理した.山梨は,元来,山々に囲まれた地域であるため,近隣地域とのアクセスが不便であった.しかし,古来より道路網が整備されており,一時は,富士川を通じた舟運も栄えた.明治時代に入り,近代化が進められると,鉄道が整備され,舟運は衰退した.戦後は,観光農業と製造業が盛んとなり,東京という巨大市場へのアクセス向上のため新笹子トンネルや中央高速道路が開通された.これらの経緯を踏まえつつ,交通に関連する社会的要因を,国内動向,政治・政策,産業・宗教に分類し,これらと交通システムとの相互関係を時代別に分析した.
著者
加藤 宏 青木 和子
出版者
筑波技術大学学術・社会貢献推進委員会
雑誌
筑波技術大学テクノレポート (ISSN:18818587)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.19-29, 2007

平成18年度大学入試センター試験から英語リスニング試験が導入され、視覚に障害のある受験生にもリスニングが課されることになった。障害を補償するための特別措置方法と回答行動の分析は、今後、視覚障害者の英語教育研究の課題となると考えられる。リスニング試験は、時間延長に加えて連続・音止め方式という2つの試験方法を受験生が選択する方式が採用された。リスニング試験の視覚障害者特別措置としては他に実用英語技能検定(英検)の解答時間の一律2倍延長方式がある。本研究はセンター試験の試行テストと英検準2級問題のリスニング問題を用い、視覚障害学生の両試験における解答方略や認知リソースの配分を解答行動を中心に分析した。
著者
加藤 宏和 村田 佳洋
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告ソフトウェア工学(SE)
巻号頁・発行日
vol.2012, no.1, pp.1-6, 2012-10-25

近年,パーソナルナビゲーションシステムに関する研究が数多くなされており,観光スケジュール立案のためのナピゲーションシステムも研究されている観光スケジュールは天候の影響を受けるしかし、天候を完壁に予測することは不可能であるそのため,天候に応じたスケジュール群立案手法が必要となるそこで我々は,この手法のための天候変化パターンを生成するアルゴリズムを提案したこのアルゴリズムは,時間帯に応じた降水確率を与えることで,その時間に起こりうる天候をシミュレートするものであるシミュレートして得られた天候変化パターンから確率通りの降水の割合が得られているかを調査するため,与えた降水確率と比較した.その結果,最大 14% の誤差があるものの,ほぼ元の降水確率通りの割合が得られることがわかった.Recently, personal navigation systems and tour scheduling systems are studied. Tour schedule is af fected by weather conditions. But, it is impossible to predict accurate weather. Therefore, schedules are required for according to the weather conditions. So, we have proposed weather change pattern generation algorithm. This algorithm is given probability of precipitation according to the time zone, it simulates possible weather conditions at that time. To evaluate proposed algorithm, we compared the probability of precipitation with the rate of rainfall of weather change patterns generated by simulating. As a result, there is an error of no more than 1.4%, it was found that the obtained rate is similar to the original probability of precipitation.
著者
小西 秀和 荒木 孝二 砂川 光宏 高瀬 浩造 加藤 熈
出版者
特定非営利活動法人日本歯科保存学会
雑誌
日本歯科保存学雑誌 (ISSN:03872343)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.455-465, 2007-08-31
被引用文献数
11

近年,多くの医療機関において「院内感染」という病院内の安全管理に支障をきたす事態が多数発生しており,一般開業歯科診療所や病院歯科においても例外ではない.そこで本研究では,日常的な歯科臨床を実践するうえで,歯科医師会に属する歯科医師の院内感染予防対策意識の現状を明らかにすることを目的とした.山口県内の歯科医師(歯科医師会会員)744名に対して,感染予防対策に関するアンケート調査を実施したが,その設問内容は,対象とした歯科医師の年齢層,日常的な歯科臨床での感染予防対策などの12項目とした.回収したアンケートを集計し,Spearman ρ相関分析にて統計学的分析を行って,各設問回答間の相関程度など歯科医師の感染予防対策意識の現状を検索した結果,次のことが明らかとなった.1. 感染予防対策のアンケート回収率は24.2%であった.代表的な設問での最高の回答率の選択肢を列挙すると,ユニバーサル(スタンダード)プリコーションの認知度は「全く知らない」(43%),帽子やプラスチックエプロンなどの着用は「ほとんど着用しない」(62%)など,本調査時点で多くの歯科医師が万全な感染予防対策を実践していない可能性が考えられた.2. しかし,手洗いの方法は「日常手洗いと衛生的手洗い」(61%),ウイルス性肝炎患者の歯科診療は「診療を行っている」(95%)など,感染予防対策の重要性を認識している歯科医師は比較的多いと思われた.3. 相関分析の結果,歯科医師の年齢が若いほど,帽子やブラスチックエプロンなどの着用には消極的であるが,グローブの着用交換,ウイルス性肝炎患者の歯科診療を積極的に行っている可能性が高いこと,またユニバーサル(スタンダード)プリコーションの認知度が高いほど,グローブの着用交換,帽子やプラスチックエプロンなどの着用,エイズ・結核患者来院時の対応,診療時の飛沫粉塵対策を積極的に行っている可能性が高いことが,有意に示された.以上の結果から,改正感染症法の施行に伴い,今後歯科医師へ院内感染予防対策の啓蒙や研修の機会を増やし,国際歯科連盟(FDI)の声明や米国疾病管理予防センター(CDC)ガイドラインなどに示された具体的な感染予防対策の普及促進が実現すれば,各自の歯科診療室を衛生的で快適な診療環境に整備できると考えられる.
著者
加藤 邦子 牧野 カツコ 井上 清美 間野 百子 間野 百子 藤原 佳典
出版者
宇都宮共和大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

子育て支援施設を利用する未就学児をもつ親(約1300名)を対象として,配偶者以外で育児を助けてくれる人とどのような関係を築いているか,関係構築がどのように親子関係に影響を及ぼすかプロセスを検討した。配偶者以外で育児を最も手助けしてくれる人が,親族の場合は,その関係が良好であるほど,友人と育児に関するコミュニケーションが多くなり,子育て支援施設で気軽に相談したり助けてくれる人との関係も良好で,親子関係が円滑化するというプロセスが検証された.一方配偶者以外で育児を助ける人が非親族か該当者がいない場合、子育て支援施設で気軽に相談したり助けてくれる人との関係を築き、親子関係を支える必要が示唆された。
著者
加藤 司
出版者
東洋大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究では、人事担当者、新入社員の事実上の上司、新入社員、早期離職者、大学生などを対象に、質問紙調査や面接調査を実施しました。その結果、新入社員は、叱責されたり、軽蔑されたり、人前で恥をかかされたりするような、経験率が非常に低いだけではなく、そのような経験をすると強いショックを受けることが分かりました。そのため、実際に社会に出た時(入社した時)、上司に何か指摘されると、そのショックから立ち直ることができなくなり、すぐに会社を辞めてしまうこともわかりました。加えて、そのような理由で早期離職する若者は、たとえ、再就職することができても、同じような理由で、再び会社を辞めてしまう可能性が高いことがわかりました。
著者
山下 則子 武井 協三 神作 研一 小林 健二 井田 太郎 浅野 秀剛 延広 真治 加藤 定彦 佐藤 恵里 原 道生 キャンベル ロバート 倉橋 正恵
出版者
国文学研究資料館
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009-04-01

この研究は、日本の近世の文学・芸能・絵画に共通して見られる表現様式を明らかにすることを目的としている。研究成果は、2013年に開催された展示とシンポジウム、それらも含めた研究成果報告書『図説 江戸の「表現」 浮世絵・文学・芸能』(全349頁・2014年3月・八木書店)である。この本は、近世的表現様式を持つ作品の歴史的な背景や、学術的な位置づけなどを論じたものである。これらの解説や論文は、最新の研究を踏まえて、更に新しい発見を加えたものである。
著者
阿部 賢一 小椋 彩 井上 暁子 加藤 有子 野町 素己 越野 剛
出版者
立教大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

国民文学の枠組みでの研究、あるいは同様な枠組み同士の比較検討がこれまで主流であったが、本研究はそのような国民文学の枠組みから逸脱する3つの視点(「移動の文学」、「文学史の書き換え」、「ミクロ・ネーションの文学」)に着目し、個別の現地調査の他、国内外の研究者とともに研究会、シンポジウムを開催した。その結果、3つの視点の有効性を確認できたほか、シェンゲン以降の移動の問題(政治学)、国民文学史の位相(歴史学)、マイノリティの記述の問題(文化研究)といったそのほかの問題系およびほかの研究分野と隣接している問題点や研究の可能性を国内外の研究者と共有し、一定の成果をあげた。