著者
金 池潤 金 栽滸 加藤 孝明
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.71, no.4, pp.829-835, 2019

<p>本研究は,韓国史上最大の被害規模を記録した浦項地震における応急仮設住宅の供給について振り返り,日本と韓国での事例を比較して,今後の改善の方向性を模索することを目的としている.浦項地震における応急仮設住宅の特徴は,被災者の所有地で設置する自己敷地仮設住宅・仮設店舗併用住宅・一戸当たり屋外空間の一定規模が確保できる団地型仮設住宅・団地内管理事務所の設置などがある.日本と韓国における応急仮設住宅の事例を供給思想・供給類型・提供までの期間,建設コストなどの観点から比較分析を行った.</p>
著者
田村 淳 砂原 秀樹 加藤 朗 石戸 奈々子
雑誌
マルチメディア,分散協調とモバイルシンポジウム2021論文集
巻号頁・発行日
vol.2021, no.1, pp.1075-1086, 2021-06-23

現在の日本社会では,死と向き合うことが少なく,遺書というものは敬遠されている.これまで遺書は死期の近い人が家族や親しい人たちのために遺す文書と考えられていたが,近年エンドノートなどの名称で思考もはっきりし身体も元気なうちに本人の意思を示したり,家族や親族,知人にメッセージを遺したりすることが考えられるようになってきている.著者らは,このように元気なうちに遺書を作成した際の作成者本人に及ぼす効果に着目し,新しい概念に基づく遺書という考え方を構築し,それらをサービスとして実現することを目指した.本研究では,遺書を作成することで作成者本人にどのような影響を及ぼすかについて調査を行い,それらの結果から遺書動画サービスITAKOTO を構築し提供を開始した.本稿では,特に遺書を作成することの効果の調査結果を示すとともに,構築したサービスを紹介し,また現状で明らかとなっている課題について議論する.
著者
加藤 直人
出版者
早稲田大学
巻号頁・発行日
pp.1-338, 2013

早大学位記番号:新6670
著者
加藤 陽治 藤田 美香 浅利 宇多子
出版者
弘前大学教育学部
雑誌
弘前大学教育学部紀要 (ISSN:04391713)
巻号頁・発行日
no.69, pp.p131-135, 1993-03

市販ゴボウに含まれる貯蔵性多糖イヌリン(フラクトオリゴ糖も含む)の量,ならびに貯蔵および加熱処理におけるイヌリンの変化について調べ,次の結果を得た。1.ゴボウに含まれるイヌリン量とその分子量は購入時期により顕著な差が見られた。5月購入のもののイヌリン含量は可食部の5.4%,イヌリンの分子量分布は高分子(分子量約1800以上):低分子(分子量1800以下)-15:85であった。8月購入のもののそれぞれの値は9.8%,および56:44であった。2.ゴボウ中のイヌリン(分子量1800以上)は,室温一週間放置で約20%が,冷蔵庫(40C)三カ月放置で,約80%が低分子(分子量1800以下のフラクトオリゴ糖)化された。3.ゴボウ中のイヌリンの低分子化には,ゴボウ中のイヌリン分解酵素が関与している。4.ゴボウを加熱するとき,はじめ40Cで10分間前処理した後,沸騰させると,わずかながらもイヌリンの低分子化がみられた。これらの結果より,ゴボウの貯蔵,調理操作の工夫により,ショ糖と同じ性質の甘味を有しながら,ショ糖とは異なった生理作用(難う蝕原性,ビフィズス菌増殖促進作用など)をもつフラクトオリゴ糖をイヌリンより生成させることが可能になると考えた。
著者
宗宮 基 金沢 一平 澄川 美穂 長戸 妙 米原 さなえ 猪俣 信子 加藤 讓
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.259-262, 2003

症例は34歳, 男性. 飲食業. 主訴は口渇, 多飲, 多尿. コンタクトレンズ装用時検査の際に眼底出血と高血糖を認めたため, 紹介入院となった. 幼少時より注射に対する極度の恐怖心をもち, 成人してからも注射時の針を全く見ることができない状態であった. インスリン導入を行ったが, インスリン注射に対して拒否的であり, 注射時間になると明らかな焦燥感を認めた, 原因は針恐怖症と考えられた. 針を自ら刺す行為は実施不可能であった. 針無圧力注射器 (ShimaJET<SUP>&reg;</SUP>) の導入を試みたところ, 開始当初から患者に自己注射が可能であった. インスリン注射後180分間の血中インスリン濃度の指標である曲線下面積 (AUC) はダイヤル式携帯用インスリン注入器 (ノボペンIII<SUP>&reg;</SUP>) が3727.5μU, 針無圧力注射器が3687.8μUと差を認めなかった.<BR>これらの成績から, 針恐怖症を有する糖尿病患者のインスリン注射導入において, 針無圧力注射器の使用は有用と結論される.
著者
安東 悟央 松居 喜郎 橘 剛 加藤 伸康 有村 聡士 浅井 英嗣 新宮 康栄 若狭 哲 加藤 裕貴 大岡 智学
出版者
特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
雑誌
日本心臓血管外科学会雑誌 (ISSN:02851474)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.13-17, 2018

<p>非常に稀で,手術施行例の耐術例はほとんど報告がない,先天性心疾患姑息術後の肺動脈瘤の合併症例を経験した.症例は40代男性.肺動脈閉鎖症兼心室中隔欠損症に対して一歳時にWaterston手術を施行されたが,その後当時としては根治手術が困難と判断され,NYHA class I度のため数十年間近医で経過観察されていた.労作時の呼吸苦増悪を認め他院を受診,肺炎と心不全の疑いで入院加療されたが,胸部CT検査で95 mmの右肺動脈瘤を認め,切迫破裂も疑われたため外科的加療目的に当科紹介となった.入院時,右胸水と右肺の広範な無気肺を認めた.胸水ドレナージを施行(800 ml)した.胸水は漿液性で胸背部痛など認めず血行動態は安定していた.切迫破裂は否定的であったものの95 mmと巨大な瘤径であり,利尿薬および抗生剤治療を数日間先行し,準緊急的に右肺動脈瘤に対して瘤切除および人工血管置換を施行した.術前NYHA I度であったことから,もともとの吻合部径や末梢の肺動脈径にならい24×12 mm Y-graft人工血管を用いてcentral shuntとして肺動脈を再建した.PCPS装着のままICU入室,翌日離脱した.術後4日目に人工呼吸器離脱,術後38日目に退院となった.現在術後一年になるが,NYHA class I度で経過している.Waterston術後約40年後に発症した巨大肺動脈瘤に対し手術を施行し良好な結果を得たので報告する.</p>
著者
加藤 清
出版者
The Society of Synthetic Organic Chemistry, Japan
雑誌
有機合成化学協会誌 (ISSN:00379980)
巻号頁・発行日
vol.17, no.4, pp.225-228, 1959-04-01 (Released:2010-10-20)
参考文献数
12

When N-(1, 2-diacetoxyethyl)-phthalimide was pyrolyzed under high temperatures, it was found that the dehydroacetoxylation proceeded in a highly selective manner to give N-(2-acetoxyvinyl)-phthalimide.Pyrolysis of N-(1-acetoxy-2-bromoethyl)-phthalimide at 537±3 produced N-(2-bromoviny1)-phthalimide.
著者
加藤 孝澄
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.28, no.5, pp.822-827, 2008-09-12 (Released:2008-10-17)
参考文献数
15
被引用文献数
1 1

筋弛緩薬の開発の歴史は, 脱分極性筋弛緩薬スキサメトニウム並みの速い作用発現を実現できる副作用の少ない非脱分極性筋弛緩薬の開発の歴史である. 近年, 本邦でも臨床使用が可能になったロクロニウムは, 投与の工夫でスキサメトニウムに迫る速い作用発現が得られるアミノステロイド構造をもつ非脱分極性筋弛緩薬である. 作用持続時間はスキサメトニウムほど短くないが, 同じ非脱分極性筋弛緩薬ベクロニウムと同程度で, ベクロニウムに慣れている麻酔科医にも違和感なく使用できる薬物である. さらに中間代謝産物が筋弛緩作用を有さず持続静注にも適している点でベクロニウムより優れている.
著者
加藤 宏紀 能島 暢呂 焦 禹禹
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A1(構造・地震工学)
巻号頁・発行日
vol.77, no.4, pp.I_467-I_478, 2021

<p> 大規模災害発生後には網羅的な情報収集が困難となる事態も予想されるため,限られた情報に基づいてライフラインの復旧見込みを示す手段も必要である.本研究では復旧予測の逐次更新による復旧見込みの提示に向けて停電を対象として基礎的検討を行った.まず災害時における停電の解消過程のペースの変化を検証するため,停電の解消過程を短期・長期に分けて混合指数分布でモデル化した.次に復旧ペースの変化をより詳細に分析するため,任意の時点までの停電の解消過程の傾向変動に対し区分的・連続的に指数関数を適用した.これに基づき停電が80,90,95%解消されるまでの所要時間を求め予測値と実測値を比較した.以上の結果から復旧予測の逐次更新を迅速かつ安定的に行うためには傾向変動の分析対象区間を適切に設定する必要があることを明らかにした.</p>
著者
出口 一郎 荒木 信夫 前島 伸一郎 武田 英孝 古屋 大典 加藤 裕司 棚橋 紀夫
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.30, no.5, pp.749-754, 2008 (Released:2008-10-30)
参考文献数
15
被引用文献数
1 2

症例は59歳女性.突然の眩暈,嘔吐のため当院へ救急搬送された.頭部MRI拡散強調画像上,左上小脳動脈灌流域に急性期脳梗塞所見を認め,加療を開始した.入院後上記症状の改善を認めたが,入院5日後に施行した神経心理学的検査では記憶・遂行機能などの認知機能の著明な障害を呈し,SPECTでも両側基底核,小脳,側頭葉,頭頂葉および前頭葉におよぶ広範な血流低下がみられた.入院約1カ月および2カ月後の神経心理学的検査では認知機能の著明な改善を認め,SPECTでも上記部位の血流は改善していた. 本症例は小脳梗塞にて認知機能障害を呈したCerebellar cognitive affective syndromeと考えられた.従来,認知・行動障害は小脳後方領域の障害,また感情障害は虫部の障害と関連があるとする報告や,認知障害は後下小脳動脈領域の障害で生じ,上小脳動脈領域の障害では生じないという報告があるが,本症例では上小脳動脈領域の梗塞で遂行機能障害を呈し,情動性変化は認められなかった.
著者
加藤洋
雑誌
日本人の病気と病理学
巻号頁・発行日
vol.17, pp.122-125, 1999
被引用文献数
1
著者
加藤 直孝 中條雅庸 國藤 進
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.38, no.12, pp.2629-2639, 1997-12-15

本システムは,主観的評価に基づく代替案選沢問題の解決を対象としたグループ意思決定支援システムである.グループの合意形成プロセスの支援を重視しており,以下の特徴を持つ.(1)グループを構成する意思決定者に意思決定に有益な情報をマルチウインドウ形式で随時表示する対話型システムである.(2)意思決定者個人の価値観に基づく視点を共有することで調整すべきコンフリクト部分の抽出が容易である.(3)感度分析の手法によるトレードオフ分析を用いてコンフリクトの解消に向けた交渉プロセスを支援し,合意への収束度を高める.(4)意思決定者にグループの合意度および各参加者の妥協の度合を提示し意思決定プロセスの変遷を明確に把握できる.本論文では,まず合意形成プロセスを重視したグループ意思決定支援の方針と手順について述べ,次に実際に開発したシステムの機能について説明する.また例題を用いて本システムの利用方法を示し,さらに評価実験に基づいて本システムの有効性を評価する.実験結果からは,本システムとの対話操作を繰り返すことでグループの合意形成の支援に有効であることが確認された.
著者
長岡 千賀 小山内 秀和 矢野 裕理 松島 佳苗 加藤 寿宏 吉川 左紀子
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.139-155, 2018-06-01 (Released:2018-12-01)
参考文献数
12

This study aims to investigate the characteristics of effective interaction between a therapist and his/her child client with autism spectrum disorder during a session of occupational therapy. Four sessions were video-recorded and analyzed, including one conducted by a novice therapist and three by expert therapists. Three children with autism spectrum disorder who were able to take part in everyday conversations also participated in this study. In study 1, we coded the therapists’ utterances according to their function in the context through a session. In study 2, we segmented the video-recording of a session based on the goal of child behavior, recorded the therapists’ physical support, and examined not only the temporal relationship between the therapists’ utterances and physical support but also the children’s proactive behavior. The results indicated that the expert therapists appropriately provided attentive utterances and physical support according to the children’s actions. We discuss a new and useful framework for understanding therapist support and children with developmental disabilities.
著者
加藤 瑠理 奥田 留那 福光 真理奈 小林 美緒 三宅 志穂
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.95-100, 2015

本研究では、 天王寺動物園 (大阪市) のアジアゾウをモチーフにして、 環境教材絵本を創作する研究に取り組んだ。 科学絵本に含まれる3つの観点 (Visual Simplicy, Narrative, Mystery ofthe World) について、 創作プロセスをふりかえることにより、 どのようなことが反映できたかを考察した。1) Visual Simplicy : 画用紙を切り貼りすることにより、 視覚的明瞭さが反映された。2) Narrative : 動物園で実際に会うことのできるゾウを主人公としたことによる親近感、 私たちの日常的なものが環境問題を引き起こしているという関係性が反映された。3) Mystery of the World : 天王寺動物園のゾウの固有な性格や特異な行動の 「謎」 を解き明かす展開が反映された。こうした知見の蓄積は、 環境教材絵本の開発をさらに進めるノウハウにつながるかもしれない。