著者
田中 春仁 中原 康治 味元 宏道 富田 良照 山岸 亜紀 澤 祥幸
出版者
日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 : 日本気管支研究会雑誌 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.159-164, 1991-03-25

62歳, 男性。1989年9月から出現した湿性咳嗽で近医を受診した。胸部X線上は閉塞性肺炎像を示していた。気管支鏡で, 肺癌が疑われ転院した。再度気管支鏡が施行され, 中間幹が黄白色で光沢をもつ多結節性隆起型腫瘤で狭窄していた。腫瘤に可動性はなく, 表面には血管怒張, 壊死などの変化は認めなかった。また, 周辺粘膜に軽度の発赤を伴っていたが浮腫は強くなく, 縦走襞には所見はなかった。腫瘤が硬く生検は困難であったが, 組織学的には扁平上皮化生で, 細胞診はclass IIであった。以上より肺癌は否定的であった。1990年1月, 当院で気管支鏡下Nd-YAGレーザー治療を施行, ピスタチオの殻を摘出した。腫瘤は, 扁平上皮化生を伴う異物性炎症性ポリープと考えられた。
著者
熊原 康博 中田 高
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO (ISSN:18808107)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.72-85, 2007 (Released:2010-06-02)
参考文献数
16
被引用文献数
1 4

本研究では,2005年10月に発生したパキスタン地震(Mw=7.6)の起震断層を明らかにするため,CORONA偵察衛星写真を用いて断層変位地形の判読をおこなった.その結果,長さ66km,北西―南東走向,右横ずれ変位成分をもつ北東側隆起の逆断層タイプの活断層が認められた.活断層の特徴が地震のメカニズム解と整合すること,断層トレースに沿って地表地震断層が生じていることから,この活断層は本地震の起震断層であると認定される.この活断層をバラコット―ガリ(Balakot-Garhi)断層と呼称する.断層破壊方向と断層トレースの分岐パターンの関係によると,震源付近から両端に向かって断層破壊が伝播したことが推定され,実際の震源過程と調和している.地震前後の衛星画像から地震に伴う斜面崩壊を抽出すると,震源周辺及び断層トレースから上盤側5km以内に斜面崩壊が多いことが明らかになった.
著者
榎本 洸一郎 戸田 真志 桒原 康裕
雑誌
研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.6, pp.1-6, 2011-08-29

本論文では,水産資源量調査のために撮影された海底画像群からホタテの自動計測システムの開発を目的とし,砂場環境に適したホタテ領域の抽出手法について提案する.対象となる砂場環境下では,ホタテは砂に身を隠している.このため,ホタテの殻はほとんど確認することができず,視覚的特徴が少ない条件下で認識する必要がある.そこで,新たにホタテが呼吸することで露出している殻縁領域に特化した局所特徴量を提案し,その結果について検討し,その有効性について述べる.This paper describes our method to extract scallop areas from fine sand seabed images from the sand field. In the sand field, we can see only the shelly rim because the scallop is covered with sand and opens and closes its shell while it is alive and breathing. We propose a method to extract the shelly rim areas using the new local features, presents the results, and discuss it.
著者
篠原 康
出版者
筑波大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2012

極性半導体の例としてGaAsを対象にコヒーレントフォノンの生成過程を微視的な理論から明らかにした。また、SbとSiについてコヒーレントフォノンの観測過程のシミュレーションを行った。さらに研究の実施計画にはない点として、応用数理に基づく効率的な固有値解法をBogoribov-de Genness方程式に適用し、その有効性を実証した。GaAsに対して、これまでに開発した手法を適用し、その生成機構の第一原理シミュレーションを行った。これまでに明らかにしてきたSiやSbと同様、Raman過程に伴うコヒーレントフォノンの励起機構が第一原理的に再現されることを確認し、極性半導体のGaAsにおいても既存の理解が適用できることを示し、力の絶対値を評価した。さらに、極性半導体特有のメカニズムである瞬間的な表面電場の消失に伴う物理過程を特徴づけるBornの有効電荷の計算を行った。既存の研究では定常電場を含めた自由エネルギーを最小にするアプローチで第一原理的に計算されていたが、我々は電場を断熱的に加えることで定常電場を模したシミュレーションを行い、我々のアプローチで、理論の先行研究、および実験値と良い一致を見、本アプローチで定常電場がかかった状態をうまく記述できていることを示した。論文をまとめる為の計算結果は概ねとり終わっている。コヒーレントフォノンの生成過程の第一原理シミュレーションでは、Siに対しては十分な結果が得られたが、Sbについては、十分な精度を計算で達成するためには莫大な計算コストがかかることが判明したため、他の物質でのシミュレーションも合わせて論文にまとめる方針を検討している。前年度デュアルディグリープログラムで培った応用数理の知見を活かし、高効率固有値解法である櫻井杉浦法をBogoribov-de Genness方程式に適用し、高効率計算が出来る事を実証し、超大規模系の理論計算の可能性を示した。
著者
植村 幸生 薩摩 雅登 小島 直文 尾高 暁子 松村 智郁子 久保 仁志 佐竹 悦子 塚原 康子
出版者
東京藝術大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

大学附設の民族音楽アーカイブを拠点とし、地域の邦楽器製作者や販売者らとの協働を前提に、邦楽専門家を擁する拠点大学の地の利を生かして、当該地域の児童生徒や学内学生むけ地域文化プログラムの開発と提案を行った。具体的には、下町の邦楽器製作業者/職人への取材をもとに、楽器製作や技の継承をめぐる今日的課題を明らかにし、これに関する問題意識を次代を担う若い世代に喚起すべく、展示と実演の場を設けた。同時に、邦楽を含む下町の伝統芸能や儀礼について、広義の担い手・上演場所・機会を項目とするデータベースを作成し、邦楽を育んだ土壌を通時的に俯瞰する手だてを、アーカイブから発信する準備を整えた。
著者
三木 哲郎 上島 弘嗣 梅村 敏 小原 克彦 田原 康玄
出版者
愛媛大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

多因子疾患の感受性遺伝子に関する長期縦断疫学研究を行った。これまでの断面的解析から同定された肥満、2型糖尿病、高尿酸血症の感受性遺伝子が、これら疾患の新規発症とも関連することを明示した。断面解析からは、ATP2B1が高血圧感受性遺伝子であることを突き止めた。ノックアウトマウスを用いた検討から、ATP2B1は細胞内カルシウム濃度および血管収縮性の亢進を介して血圧上昇を来していることが明らかとなった。
著者
後藤 佑介 谷口 秀夫 義久 智樹 江原 康生 大平 健司
出版者
岡山大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

近年のインターネットの普及にともない,音声や映像といった動画データを IP ネットワーク上で配信する放送型配信の研究が盛んに行われている.放送型配信では,使用できる帯域幅や許容されるコンテンツ間の待ち時間を考慮してコンテンツの配信をスケジューリングすることで,待ち時間をさらに短縮できる.本研究では,分割放送型ストリーミング配信において,データ再生中の待ち時間を短縮するスケジューリング手法を提案する.提案手法では,コンテンツを連続的に変化するデータと変化しないデータに分け,コンテンツ間で発生する待ち時間に上限を設定してコンテンツを効率的にスケジューリングすることで待ち時間を短縮する.
著者
竹ヶ原 康弘
出版者
北海道教育大学
雑誌
国語論集 (ISSN:18824927)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.209-215, 2012-03
著者
佐原 康夫
出版者
東洋史研究会
雑誌
東洋史研究 (ISSN:03869059)
巻号頁・発行日
vol.71, no.4, pp.619-645, 2013-03
著者
佐原 康夫
出版者
東洋史研究会
雑誌
東洋史研究 (ISSN:03869059)
巻号頁・発行日
vol.71, no.4, pp.619-645, 2013-03

In the fourth century BCE, politic reform in various states, beginning with the reforms of Shang Yang, was carried out, and the formation of bureaucratic despotic states progressed. In this process, the social character of the shi 士, who were to become leading figures in the next historical period, changed greatly. The scholars of the Hundred Schools of Thought, who treated the Mengzi as a classic, assembled many disciples who sought official posts as shi and traveled through many states expounding their theories in order to become active reformers of state policy. However, the idealized government bureaucratic structures organized to systematically select and train high-level bureaucrats with advanced decision-making and governing skills did not yet exist. Powerful figures and rulers, who competed to attract shi, and the shi who struggled to overcome difficult realities to become government officials developed a mutually supportive relationship and triggered an unrealistic vogue for righteous shi, yishi 義士, chiefly in the cities. With this historical period as a backdrop, in regard to the question, posed under the rubric of "experiencing insult and not feeling shame" 見侮不辱, whether one should retaliate violently when shamed, personal retaliation was in fact recognized as a valid act for the shi. This signifies that there existed in the society of the time a private sphere of justice which the rule of law could not reach. In the society in which the rule of law was based on popular sentiment and overflowed with violent activity, the worlds of the shi and the chivalrous ruffians, renxia 任俠, often overlapped. In local society that was subdivided into prefectural units, influential figures, such as local despots, hao li 豪吏, and the chivalrous ruffians, were entangled in the most intimate level of local rule. It can be surmised that the warlords, qunxiong 群雄, of the late Qin and early Han also obtained power premised on the basis of this political structure.
著者
白木原 康雄 若林 健之
出版者
日本結晶学会
雑誌
日本結晶学会誌 (ISSN:03694585)
巻号頁・発行日
vol.25, no.6, pp.277-288, 1983-11-30 (Released:2010-09-30)
参考文献数
34

The method of three-dimensional image reconstruction from electron micrographs is described with reference to the use of symmetries of specimens. Among the symmetries (two-dimensional translational symmetry, helical symmetry, icosahedral symmetry) which have been dealt with so far, the helical symmetry is fully described concerning its nature and its use. The practical aspects of the method, including manipulation of the phase data, are also presented.
著者
塚原 康友 本田 茂
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究では未熟児網膜症(ROP)の発生におけるアドレナリンα1受容体の働きを解明するために、α1受容体ノックアウトマウスを用いたROPモデル(酸素誘発網膜症)を作成する計画を立てた。当初α1A、α1B、α1D各受容体のダブルノックアウトおよびトリプルノックアウトマウスの作成を試みたが、遺伝子欠損による生殖機能あるいは仔マウスの保育機能不全のため上記ノックアウトマウスの作成は極めて困難であった。そのため研究計画を修正してシングルノックアウトマウスの作成を行う事とし、α1A、α1B、α1D各シングルノックアウトマウスの作成には成功した。本研究期間後もさらに研究を継続する予定である。
著者
ゴチェフスキ ヘルマン 藤井 浩基 塚原 康子 酒井 健太郎 大角 欣矢
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

28年度の研究活動は28年3月12日から29年6月26日まで開催された駒場博物館の「フランツ・エッケルト没後100周年記念特別展「近代アジアの音楽指導者エッケルト--プロイセンの山奥から東京・ソウルへ」」展示中に行われた行事とその準備に集中した。5月28日には東京大学駒場キャンパスで「フランツ・エッケルトとその時代」というタイトルで国際シンポジウムと吹奏楽の演奏会を実施した。シンポジウムには研究代表者と研究分担者全員に加えて安田寛(元奈良教育大学、研究協力者)、李京粉(ソウル大学、研究協力者)、曺允榮(梨花女子大学、招待講演)と文景楠(東京大学、通訳)が参加し、主にこの研究で明らかになった新たな事実の解釈と意義について議論した。演奏会では小澤俊朗の指揮と神奈川大学吹奏楽部の演奏でエッケルトの作品を一次資料から再現した。その中の複数の作品がエッケルトの時代から一度も演奏されていないものであった。作品の性質と再現に当たっての問題点については楽譜作成に協力した都賀城太郎(藤村女子高等学校)から説明があった。6月23日には渡辺克也(オーボエ)と松山元・松山優香(ピアノ)によって、エッケルトのオーボエとピアノの作品を中心とする演奏会を行い、オーボエの専門家成澤良一に解説を依頼した。展示された資料によって成澤氏はアジアのオーボエ受容史について新たな発見をし、本研究企画にも貢献した。特別展は多くの観客を迎えるのみならず、数多くの専門家が(一部繰り返して)展示会を訪れ、その結果研究代表者を含む企画者は多くの刺激を受けることになった。展示が終わってから研究代表者は改めてヨーロッパに渡り、エッケルトがプロイセンやドイツで経験した軍楽隊文化とその時代背景についてさらに調査した。
著者
長井 健介 篠原 康浩 津留 英司 石野 まゆ子 鈴木 徹也
出版者
一般社団法人 日本鉄鋼協会
雑誌
鉄と鋼 (ISSN:00211575)
巻号頁・発行日
vol.98, no.6, pp.267-274, 2012 (Released:2012-05-31)
参考文献数
16
被引用文献数
1 3

It has been well known that anisotropy in yield stress and the work-hardening rate is induced by pre-strain and aging. However, such an origin has not been adequately understood. In the present study, stress-strain curves in different directions were investigated after 2% pre-straining and post-heat treatment at 150°C in ferritic steel. When the applied strain path was changed to the orthogonal direction of the pre-straining path, the re-yield stress was lowered and the work-hardening rate in the low plastic strain was increased. The heat treatment following 2% pre-straining caused an increase of the re-yield stress in the parallel direction to the pre-strain and caused no change on the re-yield stress in the orthogonal direction. The work-hardening rate was increased in both directions after the heating. Electron back scatter diffraction pattern (EBSP) analysis was also conducted to measure the kernel average misorientation (KAM) value, which corresponded to the density of the geometrically necessary dislocation, on each [hkl]-oriented family grain for the pre-strained and the post-heated materials. The EBSP results indicated that heterogeneous work-hardening behavior among the [hkl]-oriented family grains could strongly effect the anisotropy induced by strain path change and aging.
著者
木原 康之 鈴木 達也 菅野 貴皓 深尾 隆則 津坂 優子 札場 勇大 佐藤 太一 横小路 泰義
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集C編 (ISSN:18848354)
巻号頁・発行日
vol.79, no.803, pp.2362-2372, 2013 (Released:2013-07-25)
参考文献数
13

We have already proposed the method to transfer human skill to a robot through direct teaching. By using the method, we can automatically extract human skill including sensory feedback to adapt to environmental variation. However, we have not discussed what trajectory is robust against environmental variation. In this paper, we discuss the robustness condition of robot trajectories against environmental variation and how to derive the robust trajectory. We propose a method to determine whether a trajectory is robust or not. The method considers the probability of the environment variation uses the parameter space expression of trajectory in order to derive the robustness condition. We confirm the effectiveness of the proposed method through a case study on a typical assembly task, peg-in-hole.
著者
小笠原 康悦 石井 智徳
出版者
東北大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

自己免疫疾患は、遺伝的要因、環境要因、時間要因によって引き起こされると考えられる。しかし、環境要因や時間要因を含む診断方法は確立されていない。NK細胞は、自然免疫系の細胞群として知られている。NK細胞は、腫瘍、感染防御の除去の観点から、細胞表面分子と受容体が検討されてきた。したがって、今まで、NK受容体およびNK細胞は自己免疫疾患に関与しているかどうかは不明であった。本研究では、NKレセプターおよびNK細胞が自己免疫疾患に関与するというオリジナルのアイデアに基づいて実験を行った。私たちの目的は、全身性エリテマトーデス(SLE)やI型糖尿病などの自己免疫疾患に対する診断指標のための新たなバイオマーカーを探索することであった。本研究では、自己免疫疾患モデルマウスにおいて、正常組織でほとんど発現しないNKG2Dリガンドが異常発現することを見出した。また、自己反応性T細胞がNKG2D分子を異常に発現していた。したがって、これらの結果は、NKG2Dリガンドは、I型糖尿病の新しいバイオマーカーとして利用可能であることを示唆している