著者
堀 敦史 手塚 宏史 石川 裕 曽田 哲之 原田 浩 古田 敦 山田 務 岡 靖裕
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1996, no.79, pp.121-126, 1996-08-26
被引用文献数
3

我々は並列マシンにおける時分割空間分割スケジューリング方式を提案し、ワークステーションクラスタ用のスケジューリングシステムSCore?DをUNIXのデーモンプロセスとして開発した.現在,対話的な並列プログラミング環境実現方式の研究の最初のステップとして,オンライン並列デバッガSCDBの設計開発を行ってきている.一般に,デバッガプロセスはシステムコールによってデバッグ対象のプロセスの実行制御を行う.このような環境では、SCore?Dはユーザプロセスの状態を制御できず,スケジューリングシステムが正常に動作しない.そこで,SCore?Dがユーザプロセスに対してOS機能をサービス可能とするための機構を,プロセス間共有メモリおよびUNIXのシグナルを用いて設計開発した.We have been proposing Time-Space-Sharing Scheduline (TSSS) and developed a scheduling system, named SCore-D, as demon processes on UNIX. As a first step towards the research and development of an interactive parallel programming environment, we are designing a parallel online debugger, named SCDB. Generally debugger process has a control of debugee process. In the case of SCore-D, however, SCore-D can not control debugger and debugee processes, and the sceduling of SCore-D and the control of debugger can conflict. To avoid this situation, we design and develop a mechanism for SCore-D to support OS functions using inter-process shared memory and UNIX signals.
著者
原田 幸夫 関山 正憲
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集 (ISSN:00290270)
巻号頁・発行日
vol.18, no.69, pp.62-65, 1952-02

This paper suggests a method for measuring current velocity of gases on new principle which uses ion. First of all, the current of fluid under test is ionized by corona discharge made by a transformer, then it is led into two absorbers, which are put keeping some distance each other, but have some pulsating electric field. Passing through their two absorbers, the fluid arrives at an ion receiver, which catches ions escaped from them. If we change the distance between their absorbers, the quantity of ion catched by the receiver changes periodically. Measuring the change of the distance between their two absorbers for one period, we can know the fluid velocity by the following relation. w=λf where w : current velocity of gases λ : the change of the distance between their two absorbers in one period f : frequency of the pulsating electric field
著者
稲富 久人 濱崎 隆志 生山 俊弘 小野 誠之 原田 修治 日田 官 藤本 直浩 高橋 康一 松本 哲朗
出版者
産業医科大学学会
雑誌
産業医科大学雑誌 (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, 2002-03-01

【目的】膀胱癌の発がんには、職業、環境要因が大きな位置を占めている。職業性膀胱癌の歴史より、β-ナフチルアミン、ベンチジンなどのアリルアミンが膀胱発がん物質として明らかである。その代謝には、N-アセチルトランスフェラーゼ(以下NATと略す)が重要な働きを担っている。NATにはNAT1とNAT2の2つの遺伝子があり、多型が存在する。また、それぞれの遺伝子多型より、個体の代謝能を推定できる。そこで、NAT1およびNAT2遺伝子多型を分子生物学的に解析し、膀胱癌発がん素因との関連性について検討する。【対象と方法】膀胱癌患者98名、対照として健常人122名を対象とした。膀胱癌の組織学的は移行上皮癌であった。対象の末梢血液よりゲノムDNAを抽出し、PCR-RFLP法にて、NAT1,NAT2の遺伝子多型を検出した。【結果】NAT1遺伝子迅速型の頻度は、膀胱癌群においては75.5%と対照群における頻度62.3%に比べ、有意に高かった(オッズ比=1.87;95%信頼区間1.04-3.35)。NAT2遺伝子遅延型の頻度は、膀胱癌群においては18.4%と対照群における頻度5.7%に比べ、有意に高かった(オッズ比=3.69;95%信頼区間1.47-9.26)。NAT1とNAT2の遺伝子多型の相互の関連について検討すると、NAT1遺伝子迅速型でNAT2遺伝子遅延型の個体は、発がんの危険度がもっとも低いと推定されるNAT1遺伝子正常型でNAT2遺伝子迅速型の個体に比べ、危険度は8.19倍高かった。【考察】今回のわれわれの結果は、NAT2による代謝の遅い個体、NAT1の代謝の速い個体は、発がん感受性が高いことを意味し、その両者をもつ個体では相乗効果があることを示している。これはアリルアミンによる膀胱癌発がんの機序の仮説を裏づける結果となった。また、NAT1,NAT2の遺伝子多型が膀胱癌発がんの感受性マーカーとしての生体指標として利用できる可能性が示唆された。
著者
原田 美紀 猪子 芳美 清水 公夫 森田 修己
出版者
Japan Prosthodontic Society
雑誌
日本補綴歯科學會雜誌 = The journal of the Japan Prosthodontic Society (ISSN:03895386)
巻号頁・発行日
vol.48, no.5, pp.733-740, 2004-10-10
被引用文献数
5 5

目的: 本研究は, 閉塞型睡眠時無呼吸症候群 (OSAS) 患者に下顎前方位型口腔内装置 (PMA) を用い, 切歯点の移動と口腔咽頭腔前後径が直接関係するという仮説を検証し, PMAの治療効果を示す睡眠時の動脈血酸素飽和度を検討することである.<BR>方法: OSAS患者19名にPMAを適用し, PMA装着前と装着時における側方頭部X線規格写真撮影と動脈血酸素飽和度測定を行い, 側方頭部X線規格写真より, 口腔咽頭腔前後径 (PNS-AS, SPAS, MAS, IAS) と切歯点の移動量を計測し, 動脈血酸素飽和度より動脈血酸素飽和度低下指数 (ODI) 4%値および晦中飽和酸素濃度90%未満低下時間比 (CT<SUB>90</SUB>) を算出した.分析は, 切歯点移動量と咽頭腔前後径変化量についてはSpearmanの順位相関を, PMA装着前と装着時のODI4%値, CT<SUB>90</SUB>, 咽頭腔前後径についてはWilcoxonの符号付順位検定を用いて検討した.<BR>結果: 切歯点の前方移動量と口腔咽頭腔前後径のIAS部増加量との間に相関が認められた (r=0.61, p=0.01).PMA装着時のODI4%値とCT<SUB>90</SUB>は有意に減少し (p<0.01), 咽頭腔前後径のSPAS, MAS, IASは, 有意に増加した (P<0.01).<BR>結論: OSAS患者に対するPMA装着による下顎前方移動は, 口腔咽頭腔前後径を拡大させ, 動脈血酸素飽和度の改善に寄与することが示された.
著者
原田 泰 須永 剛司
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究. 研究発表大会概要集 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
no.56, pp.70-71, 2009-06-20
被引用文献数
3

"Documentation Wall(DW)" is an expression that visually records the activity in the workshop on the wall in the event space. The activity is drawn like the picture scroll in order of time by the expression that combines the photograph, the text, and figure. The feature of DW is to be drawn the content of the participant's activity in real time. By watching DW, the participants can reflect and define of their activity on the way or the end of workshop. For the organizer, DW can be used as the example to explain the workshop program, or as the material for upgrade of the following workshop. For the audience who are visiting the workshop, it is possible to be interested in the content by knowing the participant's activity by DW.
著者
森脇 和郎 鈴木 仁 酒泉 満 松井 正文 米川 博通 土屋 公幸 原田 正史 若菜 茂晴 小原 良孝
出版者
国立遺伝学研究所
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1989

日本産野生動物種には、日本列島の生物地理学的な位置づけを反映して独自の分化を遂げたものが少なくない。これらの起源を解明することは、日本の研究者が日本に生息する種を対象にするという「自国に目を向ける立場」を別にしても興味深い。従来、日本産野生物動種については形態的分析に基づく分類学的および生態学的な研究がおもに行われてきたが、この方法論だけではこれら野生種の起源を解明することは難しい。近年著しい進歩を遂げた分子遺伝学的解析法は、集団遺伝学的な種の捉え型と相まってこの問題の解決に大きな力を発揮することが期待される。一方、わが国における人口の増加、経済活動の増大に伴う国土の開発、自然環境の汚染などによって、自然界における野生動物種の分布が改変され、時にはそれらの生存する脅かされるに至った現状を注視すれば、日本産野生種の分布や起源を検討するタイミングは今をおいてない。本研究は、日本産野生動物種の中から各分類群に属する代表的な動物種を選び出し、種内変異や近緑グループとの関係を明らかにして従来の分類体系を再検討するとともに、系統分類学および生態的に異なる動物種の起源について総合的に比較検討することを目的としている。ハツカネズミ・イモリ・メダカ・ウニ・ホヤなど日本に古くから生息する動物種は生物実験材料としての実用性と将来性に富む素材であり、実験動物の開発・利用という観点からもその重要性は見過ごすことはできない。野生種の起源を遺伝学的な観点から解明する研究は、必然的に種分化の遺伝機構にも踏み込むことになろう。この機構の基盤にはHybrid dysgenesisという現象にみられるように、その根底には発生機構、生殖機構の遺伝的制御という問題も包含しており、今後の生物学の新しい展開への有効な基盤となる可能性を秘めている。
著者
飯島 正 関 洋平 柳原 正秀 木下 知貴 原田 賢一
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.51, pp.65-66, 1995-09-20

範疇文法(Categorial Grammar)[1]と単一化文法(Unification Grammar)[2]は,いずれも計算的な文法記述として極めて興味深い枠組みである.計算的側面から眺めた場合,互いに相補的な役割を果たしていながら,共通して項書き換え(term rewriting)に基づく計算モデルを持っており並列化の可能性も高いといった特徴を有している.そこでそうした関係を踏まえ,両文法記述を融合する試みが従来よりなされている.本報告では,そのためのアプローチとして,CUG[3]で与えられているような複合範疇に対応する素性構造を(高階)関数の定義とみなして,それを直接計算する素朴なモデルを提案する.範疇文法は,構文的な構造規則を範疇と呼ばれる単語単位の要素(ほぼ,いわゆる品詞に対応)に分解し,辞書中の各語彙記述に埋め込むものである.このとき,範疇として,原子的な基本範疇だけでなく,(型付き)関数定義に似た表記をつかって基本範疇から組み合わせてつくる複合範疇の表記法を与えることにより,構造的な表現を部分的に与えることを可能にしている.それにより,範疇文法では,ボトムアップに範疇の列の項書換えを行っていくことで文の構文的な解析ができる.一方,単一化文法形式は,構文規則を論理式として表現する論理文法の枠組みに,単一化操作を定義したレコード表現(「属性名ラベル+属性値」対のリスト)である素性構造を取り入れたものである.その素性構造をつかって各単語のもつ性質を,同じ構文規則に現れる他の語の性質と制約として結び付けることにより,構文解析と同時に制約に基づく意味解析を行うことができる.ここでも,構文解析は,構文規則の項書換えとして行うことができる.この両者を融合する研究アプローチの一つにCUG(Categorial Unification Grammar)[3]がある.CUGにおける両者の融合は,単一化文法の枠組みの中に範疇文法をコーディングして埋め込むことで行われている.例えば,関数子を用いて基本範疇から作られる複合範疇は,その関数に対応する素性構造に変換されて,単一化文法の枠組に取り入れられる.しかし,この対応づけだけでは,単一化操作によって,意味制約を伴った構文構造を作り上げることはできても,範疇文法の特徴的な関数的な項書換えの動作を規定してはいない.本報告では,範疇文法と単一化文法を融合するという共通の目的のもとで,むしろ逆に範疇文法の枠組の中に素性構造とその単一化操作を埋め込むことを試みる.そこで原子的な基本範疇に素性構造を割り当てておき,それに加えて素性構造を対象とした単一化に基づく関数結合演算を与えることで,複合範疇のための素性構造を組み立てていく方法を与える.同演算には複合範疇に固有の素性を追加的に与えることができる.これによって,従来よりもより範疇文法の考え方に適した形で,単一化文法形式(意味情報の制約記述)を取り入れることができる.以下では,2章で範疇文法を概説し,3章で単一化文法の紹介とCUGにおける両文法記述の融合方法について解説した後,4章で本報告のアプローチを簡潔に紹介する.
著者
横田 聡 御舩 尚志 光延 文裕 保崎 泰弘 芦田 耕三 柘野 浩史 谷崎 勝朗 斎藤 勝剛 多田 慎也 原田 実根
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.46, no.6, pp.511-519, 1997
被引用文献数
4

気管支喘息患者25例 (男性10例, 女性15例, 年齢平均60歳) に対して, 当院に入院のうえ複合温泉療法 (温泉プール水泳訓練または歩行訓練, 鉱泥湿布療法, ヨードゾル吸入療法) を行い, 温泉療法の心理的・精神的要素に対する効果の評価を目的として, 入院時と退院時に心理学的検査 (CMI, SDS, およびCAI) を実施し, 比較検討を加えた。(1) CMIでは, 呼吸器系およびCIJ症状に改善がみられたが, 精神的自覚症では有意差はなかった。(2) 温泉療法後, SDSの平均値は38.7から34.2へ有意に改善し, SDS値≧40の症例も12例から3例に減少した。(3) CAIの各心理項目でスコアの有意な低下が観察され, 特に予後悲観と治療意欲の減退の項目でその割合が大きく, 各項目の平均値であるCAIスコアでも, 37.9から28.4へ有意な低下を認めた。複合温泉療法により, 気管支喘息の心理的・精神的要素の関与する症状, および, うつ的, 神経症的状態が改善されることが示唆された。
著者
岡田 哲男 原田 誠
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.27-41, 2005 (Released:2005-04-08)
参考文献数
42
被引用文献数
5 6

イオンの分離において重要な役割を果たす静電効果と溶媒の関与について著者らの研究を中心に述べた.イオン交換系及び両性イオン性の系について,クロマトグラフィー,電気泳動による結果を静電理論によるモデル計算に基づいて解析し,分離が起きる界面での様々な現象の理解を可能にした.しかし,溶媒の関与を含めた構造的側面については直接的な検討が必要であると考え,X線吸収微細構造(XAFS)を用いて,イオン交換樹脂や気液界面での単分子膜を用いたイオンの局所構造解析を行った.例えば,水中のイオン交換では,対イオンが部分的にイオン交換基から解離しているが,全体の60~70% 程度は直接イオン交換基に結合し,3分子程度の水によって水和されていることなどが分かった.また,水溶液表面での全反射XAFSを用いることにより,単分子膜でのイオン交換の評価が可能になり,膜の圧縮によるイオン交換選択性の変化が観察された.Br-は,クロマトグラフィーや電気泳動で両性イオン性分子と会合していないと考えられたが,表面XAFSでは部分的に会合していることが示唆された.
著者
原田 紹臣 藤本 将光 里深 好文 水山 高久 松井 保 武井 千雅子
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
AI・データサイエンス論文集 (ISSN:24359262)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.102-113, 2023 (Released:2023-05-24)
参考文献数
35

近年,降雨予測や土砂災害発生予測技術に基づいた事前の災害リスクに関する詳細な情報の共有化や発信による災害リスクの軽減が求められている.これらを受けて,筆者らは多種の情報を集約させ,それらを目的に応じて組み合わせてわかりやすく配信する機能を有した枠組み(iHazard map プロジェクト)を提案している.本研究では,メタバース等のデジタル技術(DX)を有効に活用した防災ハザード・マップの高度化を目的に,効果的な運用方法について提案している.なお,一般住民がハザード・マップに求める要求について調査したところ「情報量」よりも「見やすさ」や「使いやすさ」が特に重要視されていることが分かった.さらに,住民への土砂災害に関する説明会において,筆者らが提案する技術を実践的に導入したところ,これらの有効性が確認された.
著者
原田 一敏 松原 茂 神庭 信幸 澤田 むつ代 沖松 健次郎 和田 浩 小山 弓弦葉 行徳 真一郎 三浦 定俊 早川 康弘 若杉 準治 谷口 耕生 村重 寧 田沢 裕賀 小林 達朗 原田 一敏
出版者
独立行政法人国立博物館東京国立博物館
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

国宝・法隆寺献納宝物聖徳太子絵伝、全10面について場面内容の同定と描写内容の精査、当初の地である綾地の精査を行った。また高精細デジタル写真の撮影、1面ごとの合成を行い、あわせてX線フィルムをデジタル化し、同様に合成することにより、両者を対照可能なデータとする基本資料の作成を行った。
著者
杉浦 徹 成味 純 宮澤 総介 宮田 晴夫 林 淳一郎 香坂 茂美 滝浪 實 原田 幸雄
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.155-160, 1997-02-15 (Released:2013-05-24)
参考文献数
9

症例は53歳の男性で,農作業中に足底に釘を刺し,抜去しないで放置した.約1週間後に39度台に発熱したが,右肩関節炎と診断されて整形外科にて洗浄術を施行,排出された膿からは黄色ブドウ球菌が検出された.胸部X線像で心胸郭比の拡大,心電図で広範囲の誘導におけるST上昇,心エコー図で左室後壁側の心嚢液貯留が認められ,入院となった.発熱後の6日頃より収縮期雑音が聴取され,胸部X線像で肺うっ血が生じ,心エコー図で僧帽弁に逸脱と疣贅と思われる異常エコーが認められた.血液培養では黄色ブドウ球菌が検出され,感染性心内膜炎と診断された.緊急手術では,化膿性心膜炎と膿性心膜液貯留,さらには前後尖上の疣贅を伴う僧帽弁閉鎖不全が認められ,弁置換術が施行された.心嚢液からは黄色ブドウ球菌が検出され,抗生剤による治療を加えたが,術後2週間で多臓器不全(MOF)で死亡した.本例は日常的な外傷を放置したことによって化膿性肩鎖関節炎および化膿性心膜炎をきたし,さらには抗生剤治療法の発達した最近ではまれな感染性心内膜炎を併発した症例であり,報告する.
著者
礒田 健太郎 辻 成佳 原田 芳徳 吉田 祐志 吉村 麻衣子 松岡 秀俊 沖田 康孝 村上 輝明 橋本 淳 大島 至郎 佐伯 行彦
出版者
一般社団法人 日本臨床リウマチ学会
雑誌
臨床リウマチ (ISSN:09148760)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.121-131, 2021 (Released:2021-07-16)
参考文献数
26
被引用文献数
1

目的:関節リウマチ(RA)患者において,栄養状態が感染症の発生に与える影響を調査した.対象・方法:入院を要する重症感染症を合併したRA患者(入院患者群)と,感染症入院のない患者(非入院患者群)との患者背景,臨床所見,治療内容,栄養状態を比較した.栄養状態の指標には予後栄養指標prognostic nutritional index(PNI)とcontrolling nutritional status(CONUT)を用いた.結果:PNIとCONUTによる栄養状態は,入院患者群では非入院患者群より有意に不良であり(共にP < 0.001),特にPNI低値は重症感染症発生の予測因子であった(オッズ比:1.749, 95%信頼区間:1.110-2.755, P < 0.001).結論:RAにおいて感染症は重大な合併症である.感染症を合併しないように安全に治療を行うためには栄養状態の評価と管理が不可欠である.
著者
中野 恵美 原田 智雄 脇本 博文 長田 圭三 岸 良示 松本 直樹 三宅 良彦
出版者
一般社団法人 日本不整脈心電学会
雑誌
心電図 (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.29, no.5, pp.319-331, 2009 (Released:2010-05-21)
参考文献数
17
被引用文献数
1 1

【背景】非虚血性心疾患に合併するリエントリー性心室流出路起源心室頻拍(VT)における必須緩徐伝導路の存在,およびリエントリー回路については,不明な点が多い.【目的】エントレインメントマッピング法を用いて心室流出路起源VTのリエントリー回路を同定する.【方法】非虚血性心疾患に合併した心室流出路起源VT症例51例(男性26例,女性25例,平均年齢50.3±14.5歳)中,6例に8種類のリエントリー性心室流出路起源VTを認めたため,エントレインメントマッピング法による頻拍回路の検討を行った.【結果】エントレインメントマッピングを行った心室流出路93部位中52部位がリエントリー回路上であると診断された(大動脈バルサルバ洞6,左室流出路43,右室流出路3部位).リエントリー回路上これらの52部位は,exit(7),central-proximal(1),inner loop(19),outer loop(25)に分類された.VTは大動脈バルサルバ洞6部位中4部位で,心室流出路46部位中4部位でアブレーションにより停止した(p=0.0002).【結語】心室流出路起源VTのリエントリー回路が,大動脈バルサルバ洞領域と心室流出路に同定された.エントレインメントマッピング法は,リエントリー性心室流出路起源VTにおけるアブレーション至適部位決定に有用であった.
著者
小林 知子 伊藤 友章 瀬下 治孝 江草 智津 原田 和俊 大久保 ゆかり 新妻 知行
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.72, no.8, pp.1046-1050, 2023 (Released:2023-09-20)
参考文献数
8

症例1は10代女性.6歳から緑豆もやしを食べると口唇の腫脹と口腔内違和感が出現.症例2は20代男性.もやしラーメンを食べたあとにアナフィラキシーショックで当院救命救急センターへ搬送された.2症例ともprick-to-prick testで緑豆もやしに陽性をしめした.さらに症例2は大豆もやしにも陽性となった.また2症例で,バラ科果実でprick-to-prick test施行したところ陽性をしめし,シラカンバ,Gly m4,Bet v1に対する特異的IgEが陽性であった.緑豆もやしは,Vig r1のアレルゲンコンポーネントをもつため,PR-10ファミリーに属す.本邦では緑豆もやしを常食しているが,アレルギーの報告が少ない.しかし,シラカンバアレルギー患者で交差の可能性がある場合は,適切に検査したうえで緑豆もやしアレルギーと診断し,アレルギー専門医はpollen-food allergy syndrome(PFAS)について詳細な食事指導する必要がある.