著者
一柳広孝 吉田司雄編著
出版者
青弓社
巻号頁・発行日
2012
著者
和田 浩明 吉田 薫
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会誌 (ISSN:09120289)
巻号頁・発行日
vol.66, no.7, pp.1109-1114, 2000-07-05 (Released:2009-04-10)
参考文献数
13
被引用文献数
5 5

Many kinds of burrs are formed in various fabricating processes. These burrs are often manually removed even in modern factories. Therefore, these burrs make troubles on production lines in terms of automation, quality of products and working environment. In this paper, the burr formation mechanism on the exit side in drilling of metals is discussed. The idea is that the burr formation mechanism is equivalent to that of the deflection of cantilever changing the thickness under equiload. On the basis of the idea, authors have designed the burrless drill, in which the corner of cutting edge is cut by a little larger compared with a normal drill. The effect of the burrless drill is discussed in the present paper.
著者
吉田 晃章 Esparza Rodrigo Retiz Mario Rodriguez Francisco
出版者
東海大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

中米と南米の文明間の交流について研究するにあたり、まず両文明に共通する文化要素として、紀元前300年から後600年に現れる特殊な形状の墓に関する調査をメキシコ西部地域で実施した。研究の結果、ブーツ型の墓の一部が遺構と関連していることに注目し、同地域で埋葬文化の伝統が地域間交流により、時代を追って西部地域から少なくとも東へ拡大することを確認し、拡大プロセスのモデル化に成功した。また、メキシコ西部ロス・アルトス地方の考古調査のパイオニアとしてロス・アガベス遺跡を発掘し、同地域で先例のない大型祭壇とピラミッドを発見した。調査資料は、地域間の交流が文明形成と発展の主な要因の一つであることを示している。
著者
吉田 則夫 奥澤 保 塚原 弘昭
出版者
公益社団法人 日本地震学会
雑誌
地震 第2輯 (ISSN:00371114)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.207-216, 2002-10-31 (Released:2010-11-17)
参考文献数
36
被引用文献数
3

In the final stages of the Matsushiro earthquake swarm (August 1965-October 1967), a large volume of groundwater was generated that continues to flow as of this writing. We studied the spring water origin by measuring oxygen/hydrogen isotope ratios and concentrations of Na+ and Cl, the main dissolved ions. We took water samples from June 1999 to October 2000. Data plots for δ18O vs. δD are distributed along a well determined linear regression line having an endpoint, i.e., river water, at the ordinary value of rainwater. The regression line can be extrapolated toward estimated δ18O and δD of “andesitic magmatic water” originating from magma in subduction zones. This implies that the Matsushiro groundwater can be regarded simply as a mixture of 2 fluids, i.e., surface water and andesitic magmatic water. We obtained the carbon isotope ratio of CO2, the main component of free gas in spring water. δ13C ranges from -7.1‰ to -3.1‰, suggesting that the source of CO2 is also magmatic. The ratio 3He/4He shows that He in the free gas is from the mantle or magma. These 3 pieces of evidence - (1) δ18O and δD values, (2) δ13C of CO2, and (3) 3He/4He - suggest that the origin of Matsushiro water is magmatic. Considering the presence of an electric conductive layer and seismic reflective layers 15 km beneath the Matsushiro area, we presume that this andesitic magmatic water accumulates as a thin layer at this depth. An impermeable sheet presumably lying just above the water layer was formed by precipitates from magmatic water.We present the following model of the relation between groundwater and earthquakes : When the impermeable sheet broke and high-pressure water with CO2 rose into the upper crust, the crust was weakened, causing the Matsushiro earthquake.
著者
上野 健爾 加藤 文元 川口 周 望月 新一 高崎 金久 桂 俊行 木村 弘信 山田 泰彦 江口 徹 森脇 淳 加藤 和也 吉田 敬之 三輪 哲二 丸山 正樹
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2002

上野のグループは複素単純リー代数をゲージ対称性に持つ共形場理論(WSWN モデル)とアーベル的共形場理論を使ってモジュラー函手を構成し、このモジュラー函手から構成される位相的場の理論の性質を解明した。また、共形場理論で登場するモジュラー変換を記述するS行列が種数0のデータから完全に決まることを示した。さらに共形場理論の応用として4点付き球面の写像類群のNielsen-Thurston分類を考察し、この分類が正整数n≧2を固定したときに量子SU(n)表現から決定できることを示した。加藤文元のグループはこれまで提案されている中では一番広い意味での剛幾何学の建設を推進し、モジュライ空間の幾何学のもつ数論的側面を代数幾何学的に極限まで推し進めた。望月新一は代数曲線とその基本群との関係およびabc予想の定式化を巡って、代数曲線のモジュライ理論に関する今までとは異なる圏論的なアプローチを行い、函数体や代数体の被覆や因子の概念の圏論的に一般化して捉えることができるFrobenioidsの理論の構築、エタール・テータ函数の理論の構築など、今後のモジュライ理論のとるべき新しい方向を示唆する重要な研究を行った。さらに、モジュライ空間の代数幾何学的・数論幾何学的研究で多くの新しい成果が得られた。無限可積分系の理論に関しては、高崎金久のグループは種々の可積分系を考察し、モジュライ空間がソリトン理論でも重要な役割をしていることを示した。また、パンルヴェ方程式とモジュライ空間との関係、無限次元代数と関係する統計モデルの考察、旗多様体の量子コホモロジーに関して種々の重要な成果が得られた。本研究によってモジュライ空間が当初の予想以上に深い構造を持ち、また数学の基礎そのものとも深く関わり、その理解のためには、さらに数学的な精緻な道具を作り出していく必要があることが明らかになった。また、そのための準備やヒントの多くが本研究を通して明らかになった。
著者
吉田 元
出版者
日本科学史学会
雑誌
科学史研究 (ISSN:21887535)
巻号頁・発行日
vol.28, no.169, pp.25-31, 1989 (Released:2021-09-01)

Hiire, low temperature sterilization process of Japanese sake brewing, was first studied by European scientists in the late 1870's. To their surprise the process had widely been carried out for more than 300 years, and it is now believed to be the oldest "pasteurization" in the world. The author described the historical development of the process in Japan. Sterilization of sake may have first been recorded by the early 16th century, several decades earlier than previously believed. The process then became popular by the late 17th century and heating temperature was as low as pasteurization. In China sterilization of alcoholic beverages was first recorded in Beishan Jiujlng (1117). Here two sterilization methods are described, but heating temperature was much higher. The possibility that this Chinese process had an effect on hiire is still uncertain. Although low temperature sterilization was invented in Japan, hiire was not a perfect process. It was invented as a result of long experience and perception, not from microbiological research as pasteurization. So scientists from Europe pointed out defects of the process and suggested improvement of the equipments and addition of salicylic acid, respectively. It took many years to make the process perfect and the author thinks that hiire is overestimated in these days.
著者
吉田 滋
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.74, no.4, pp.215-221, 2019-04-05 (Released:2019-09-05)
参考文献数
20
被引用文献数
2

2017年はまさにマルチメッセンジャー天文学元年ともいうべき年であった.LIGO実験による重力波観測と電磁波対応天体の同定に続いて,ニュートリノ観測でもブレークスルーが起きたのである.我々IceCube実験が検出した高エネルギー宇宙ニュートリノ事象の到来方向を世界中の望遠鏡・宇宙観測衛星が直ちに追観測して,初めて対応天体候補が同定された.宇宙線放射天体がどこにあるのかさえ不明であった状況を一変させたのである.ニュートリノは弱相互作用にしか関与しない素粒子である.ある種の不安定な粒子がより安定な粒子に崩壊するときに伴って放出される.ベータ崩壊が良い例だ.このような「特殊な」素粒子であるニュートリノがなぜ高エネルギー宇宙の理解に本質的な役割を果たし得るのであろうか.高エネルギー現象を引き起こす動力源のエネルギー輸送の一端は陽子や原子核から構成されるハドロン粒子,すなわち宇宙線が担っている.その最高エネルギーは1020 eVにも達するのだ.こうした極限の環境下では超高エネルギー陽子は周囲のガスや光と衝突し,π中間子やK中間子といった不安定粒子を生み出す.これらの中間子が電子やミューオンに崩壊する際にニュートリノも生成されるのだ.いわば宇宙には天然の加速器が存在し,極めて高いエネルギーに加速された陽子や原子核ビームが光子やガスの海に注入され素粒子反応を引き起こしている.素粒子実験で人工的に作り出している状況が宇宙ではより巨大なスケールで実現していると考えられている.この「宇宙加速器」の加速能力は桁違いである.地上最大の粒子加速器であるLHCは陽子を1013 eVまで加速する.しかし宇宙線の最大エネルギーは1020 eVだ.宇宙といえど,これほどの加速能力を簡単には実現できそうにない.この機構を理解する有力な手段は,加速器の「現場」で起きる粒子衝突から生じる産物を直接測定することだ.この産物の中でも,ニュートリノは電荷を持たず,したがって磁場によって軌道が曲げられることもなく,光も通過できないような厚い雲をも突き抜けて,地球まで直進してくる優れたメッセンジャーである.しかもニュートリノは中間子を生成できる宇宙線ハドロン粒子がなければ生まれない.ニュートリノ放射天体イコール宇宙線加速器でもあるのだ.2013年にIceCube実験は初めてこの高エネルギー宇宙ニュートリノを発見し,宇宙加速器の現場でニュートリノが作られていることを実証した.観測データから,加速器天体が満たすべき条件が明らかになっている.しかし具体的な候補天体同定にはこれまで至っていなかった.マルチメッセンジャー観測手法を2016年に導入し観測を継続した結果,2017年9月,ついに候補天体の同定に成功したのである.同定された天体TXS 0506+056はブレーザーと呼ばれる特殊な銀河で,中心にある巨大ブラックホールの重力を動力源とするプラズマのジェットが我々の銀河方向に吹き出している活動銀河核(AGN)である.高エネルギーγ線天体の多数を占め,高エネルギー宇宙の主役の一角を占める.検出した宇宙ニュートリノのエネルギーは約2.9×1014 eVであり,この天体で陽子が少なくとも1015 eV以上に加速されたことを物語る.電波からγ線にいたる広大なエネルギー帯で取得された電磁波観測データから1014 eVを超えるニュートリノ放射を説明するには,幾つかの自明でない仮説が必要なことが明らかになった.これを手がかりに宇宙加速器天体の駆動機構を理解するデータを積み上げることが次のステップである.
著者
入戸野 宏 吉田 綾乃 小森 政嗣 金井 嘉宏 川本 大史
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本年度は,3年間の研究期間の2年目であり,これまでに実施した実験や調査を継続・発展させるとともに,新しいテーマに取り組んだ。主な研究成果は,以下の5つである。(1) 接近-回避の潜在連合テストパラダイムを用いて,幼児顔と接近動機づけが連合していることを明らかにした。成人顔は接近動機づけとも回避動機づけとも連合していなかった。また,正立顔の方が倒立顔よりも効果が大きかったので,物理的形状(丸み)だけでなく,顔の全体処理が影響していることが示唆された。(2) 6か月齢の幼児顔を80枚収集し,それぞれに179点の標識点を入力した。200名の男女の評定に基づいて,かわいさの高い幼児の平均顔とかわいさの低い幼児の平均顔を作成した。さらに,それらをプロトタイプとして50枚の合成顔の変形を行い,かわいさを増強した顔と減弱した顔からなるデータセットを作成した。(3) 65歳以上のシニア層を対象とした「かわいい」に関するインタビュー結果(20名)について質的な整理を行った。キャラクター文化に対する関心は非常に低かったが,「かわいい」という感情そのものは肯定的に捉えていることが分かった。(4) 「かわいい」概念のプライミングが社会価値志向性に及ぼす効果を調べた実験データをまとめた。統計的に有意な効果が得られず,パーソナリティ要因の影響が大きいことが示唆された。(5)多変量の探索手法であるベイズ最適法を用いてかわいい造形物(二次元の模様)を生成するプログラムを試作した。
著者
柴田 寛子 野村 祐介 河上 強志 山本 栄一 安藤 大介 内山 奈穂子 徳本 廣子 小出 達夫 迫田 秀行 吉田 寛幸 阿部 康弘 袴塚 高志 五十嵐 良明 蓜島 由二 石井 明子 伊豆津 健一 本間 正充 合田 幸広
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.142, no.8, pp.867-874, 2022-08-01 (Released:2022-08-01)
参考文献数
5
被引用文献数
1

Particular batches of Moderna mRNA Coronavirus Disease 2019 (COVID-19) vaccine were recalled after foreign particles were found in some vaccine vials at the vaccination site in Japan in August 2021. We investigated the foreign particles at the request of the Ministry of Health, Labour and Welfare. Energy dispersive X-ray spectroscopy analysis suggested that the foreign particles found in the vials recalled from the vaccination sites were from stainless steel SUS 316L, which was in line with the findings of the root cause investigation by the manufacturer. The sizes of the observed particles ranged from <50 μm to 548 μm in the major axis. Similar foreign particles were also detected in 2 of the 5 vaccine vials of the same lot stored by the manufacturer, indicating that the foreign particles have already been administered to some people via vaccine. Observation of the vials of the same lot by digital microscope found smaller particles those were not detected by visual inspection, suggesting that more vials were affected. Contrarily, visual inspection and subvisible particulate matter test indicated no foreign particles in the vials of normal lots. Possible root cause and strategies to prevent such a deviation were discussed from technical and regulatory aspects.
著者
新 大軌 吉田 亮佑 伊藤 貴康 大崎 雅史
出版者
一般社団法人 セメント協会
雑誌
セメント・コンクリート論文集 (ISSN:09163182)
巻号頁・発行日
vol.76, no.1, pp.101-107, 2023-03-31 (Released:2023-03-31)
参考文献数
7

本研究では、炭酸ナトリウムを添加した高炉スラグの反応に及ぼす水酸化カルシウムの影響について検討を加えた。水酸化カルシウムの添加によって高炉スラグと炭酸ナトリウムの反応は著しく促進された。また、高炉スラグの反応促進により、ペーストの流動性が低下することも明らかとなった。これは水酸化カルシウムと炭酸ナトリウムが液相で反応することで、炭酸カルシウムと水酸化ナトリウムが生成し、生成した水酸化ナトリウムによって液相のpHが大きく増加することによって生じているものであると推察した。さらに、モルタルの圧縮強度とペーストの積算発熱量の間にはある程度の相関関係が認められることを確認した。
著者
吉田 さちね 黒田 公美
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.55, no.8, pp.958-966, 2015-08-01 (Released:2017-08-01)

目的:母親が母乳で子を育てる養育(子育て)は哺乳類に共通する特徴である.効率よく養育を受けるため,子どもの側も親を覚え,後を追い,シグナルを送るなどの愛着行動を積極的に行っている.このような母子関係の維持に貢献する子からの行動はあまり研究されておらず,その脳内基盤については未知の部分が多い.そこで親が子を運ぶ際に子が示す協調的反応「輸送反応」についてヒトとマウスで検討した。方法・結果:母親が生後1〜6カ月の乳児を抱きながら歩くと,抱いたまま座っているときに比べて,乳児の自発運動の量が約1/5(Fig.1B),泣く量が約1/10(Fig.1C)に低下し,心拍数も母親が歩き始めて3秒程度で顕著に低下した.一方で母親が口でくわえて運ぶのを模して仔マウスを指でつまみ上げると,仔マウスはヒトと同様に不動化(自発運動の減少),超音波発声の減少,心拍数の低下を示した.さらに仔マウスの輸送反応を詳細に検討した結果,痛覚閾値の低下,四肢の収縮,体幹の弛緩など複数の要素が同時に惹起される複雑な反応であり,それぞれの反応は独立な発達曲線および制御機構をもつことが明らかになった.さらに感覚遮断により仔マウスの輸送反応を阻害すると運ばれているときに暴れてしまうが,そのような仔マウスを母親が運ぶのにはより多くの時間を要した.結論・考察:以上から,マウスとヒトの乳幼児において,親が運ぶ際に鎮静化によって協調する輸送反応が進化的に保存されていると考えられた.抱いて運ばれる際の子どもの協調的反応が定量・可視化されれば,育児の効率に対する養育者の自信や意欲を高めたり,またバイオフィードバック学習を行ったりすることが可能になる.また,発達障害児において,親に抱かれる際の反応に特徴がある可能性についても検討の余地があると考えられた.

2 0 0 0 OA 愚問賢答

著者
吉田 眞日出
出版者
日本鱗翅学会
雑誌
やどりが (ISSN:0513417X)
巻号頁・発行日
vol.1958, no.14, pp.1-3, 1958-02-20 (Released:2017-08-19)
著者
吉田 恵理
出版者
日本近代文学会
雑誌
日本近代文学 (ISSN:05493749)
巻号頁・発行日
vol.98, pp.226-241, 2018

<p>本稿は、辺見庸「眼の海――わたしの死者たちに」の詩群がもつ東日本大震災後の詩表現の批評性を解き明かそうとするものである。災厄のスペクタクルから隠蔽され、生(者)と死(者)の観念的な弁別を攪乱する〈屍体〉の哲理が、「単独者」の「犯意」をもって問題化されていることをまずは同時期の作品外の言説から確かめる。その上で取り上げた二篇の詩の叙法の分析によって明らかにしたのは、「モノ化」する〈屍体〉と「モノ化への抵抗」である言葉との抗争状態が積極的に惹き起こされ、〈屍体〉の存在の様式が「わたし」の現実認識の反証の可能性となることである。それはまた、〈屍体〉を想像することなくして「わたし」の責任を思考することが可能かという問いを生起せしめるのだと結論づけた。</p>
著者
吉田 文和
出版者
北海道大学經濟學部
雑誌
北海道大學 經濟學研究 (ISSN:04516265)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.183-229, 1979-08
著者
道堯 浩二郎 平岡 淳 鶴田 美帆 相引 利彦 奥平 知成 山子 泰加 寺尾 美紗 岩﨑 竜一朗 壷内 栄治 渡辺 崇夫 吉田 理 阿部 雅則 二宮 朋之 日浅 陽一
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.14-22, 2019-01-18 (Released:2019-01-23)
参考文献数
28

肝疾患におけるカルニチン,亜鉛低下例の頻度と他の肝代謝マーカーとの関連を明らかにすることを目的とした.慢性肝炎(CH)41例,肝硬変(LC)88例(肝細胞癌非合併群60例,合併群28例)を対象に,カルニチン,亜鉛,アンモニア,BTR(BCAA/Tyr),アルブミン(Alb)を測定し,低下例の頻度と互いの関連を検討した.カルニチン高度低下例はなく,軽度低下例はLCの23.9%にみられ,うち42.9%はアシルカルニチン/遊離カルニチン比>0.4での基準合致例であった.亜鉛高度低下例はCH 0%,LC 30.7%,軽度低下例はCH 31.7%,LC 40.9%にみられた.アシルカルニチンと亜鉛はアンモニア,BTR,BCAAと相関があったが,遊離カルニチンはこれらと相関はなかった.以上よりカルニチンと亜鉛は慢性肝疾患例の一部で低下し,両者の動態と肝代謝マーカーとの関連には差異がみられた.
著者
桝谷 奎太 岩澤 佳太 吉田 栄介
出版者
公益財団法人 牧誠財団
雑誌
メルコ管理会計研究 (ISSN:18827225)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.3-20, 2022 (Released:2023-03-07)
参考文献数
39

本研究の目的は,日本企業における業績管理実践と効果の変化に加え,その背後にある考え方に関する変容の有無や内容,要因について探究することにある。本研究の特徴は,10年分の実態調査データに基づく経時的な分析の実施,得られたデータの深掘り,他の実態調査を参照した統合的解釈にある。分析の結果,2009年から2019年の10年間での業績管理の変化は,資本効率性や貸借対照表を重視した管理への変革というよりも,伝統的な損益計算書中心の管理を計数管理の強化により漸進的に改善するものである可能性や,中長期的な企業価値の向上というよりも短期的な財務業績の向上を目指したものである可能性が示唆された。一部の企業群における変容の兆候も示唆されたが,平均的な調査対象企業においては,業績管理の革新的な変容というよりも,従来の実践の延長線上での漸進的な改善に留まっている可能性がある。本研究は,仮説導出的研究と位置付けられ,実態の説明と将来の研究課題の析出に役立つ。