著者
岡本 宗司 久保 道也 林 智秀 堀 聡 堀 恵美子 柴田 孝 堀江 幸男 桑山 直也 黒田 敏
出版者
特定非営利活動法人 日本脳神経血管内治療学会
雑誌
Journal of Neuroendovascular Therapy (ISSN:18824072)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.159-165, 2014
被引用文献数
3

【目的】神経線維腫症に合併した頭蓋外巨大内頚動脈瘤破裂例に対してtriple coaxial system を用いて内頚動脈トラッピング術を施行したので報告する.【症例】症例は41 歳の神経線維腫の女性.左頸部の急激な腫脹,嗄声,嚥下障害が生じ,当院に入院した.頚部CT では長径約40 mm の頭蓋外内頚動脈瘤を認め,咽喉頭部が対側に偏位していた.MRI では,動脈瘤からの出血を示唆する所見があり,再出血防止目的で緊急血管内治療を行った.血管脆弱性と術後のmass effect 増大防止の観点から動脈瘤の前後で内頚動脈をトラッピングする方針とした.バルーン付きガイディングカテーテルをproximal flow control 用に内頚動脈起始部に留置し,動脈瘤の遠位にマイクロカテーテルを誘導したが,支持性が弱く,コイル挿入時に動脈瘤内にキックバックした.そこでインナーカテーテルとして4FrセルリアンGTM を組み合わせ,triple coaxial system とした.その結果,瘤の遠位・近位ともに内頚動脈にコイルをコンパクトに留置でき,トラッピングすることができた.術後,症状は改善し,MRI では,動脈瘤の血栓化を認めた.【結論】頚部内頸動脈瘤に対して母血管のトラッピングを行う場合,バルーン付きガイディングカテーテルに4Fr インナーカテーテルを組み合わせたtriple coaxial system は有用と思われた.
著者
堀川 恵美 新谷 義弘 長坂 篤 高橋 順一 五味 弘
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.46, pp.7-8, 1993-03-01

Lisp言語は,その誕生以来、言語の持つ柔軟性/拡張性により多くの方言が存在したが,仕様の共通化や可搬性などを目的としたCommon Lisp(以下,CLtL1)の登場により統一が進み,Common Lispは業界標準として定着した.その後,第1版の持つ言語仕様の不完全な部分を修正し,ANSI規格とするための作業がANSI X3J13において進められた.この作業の成果をを反映した形で,オプジェクト指向機能(MOPを除くCLOS)等を付け加えたCommon Lisp第2版(以下,CLtL2という)が出されたが,これはまた,ANSI Common Lisp(以下,ANSI CLとうい)へのつなぎ役もかねていた.現在,ANSI CLは,public reviewが終了し,早ければ今春にも制定される予定である.CLtL2とANSI CLでは,残念ながら仕様が異なる点がある.Tachyon Common Lispは,CLtL2に基づいた処理系であり,ANSI CLに基づく仕様に変更する必要があるが,ANSI CLの制定時期に不明確な所があり,また,CLtL2で書かれたプログラムの継承のためにも当面2つの仕様を両立させておくべきだと考えている.本稿では,この新しいANSI CL仕様とCLtL2仕様との言語仕様の違いに対するために採用した方法およびこのために新たに開発したコンパイラの拡張方式について述べる.
著者
江⽊ 盛時 ⼩倉 裕司 ⽮⽥部 智昭 安宅 ⼀晃 井上 茂亮 射場 敏明 垣花 泰之 川崎 達也 久志本 成樹 ⿊⽥ 泰弘 ⼩⾕ 穣治 志⾺ 伸朗 ⾕⼝ 巧 鶴⽥ 良介 ⼟井 研⼈ ⼟井 松幸 中⽥ 孝明 中根 正樹 藤島 清太郎 細川 直登 升⽥ 好樹 松嶋 ⿇⼦ 松⽥ 直之 ⼭川 ⼀⾺ 原 嘉孝 ⼤下 慎⼀郎 ⻘⽊ 善孝 稲⽥ ⿇⾐ 梅村 穣 河合 佑亮 近藤 豊 斎藤 浩輝 櫻⾕ 正明 對東 俊介 武⽥ 親宗 寺⼭ 毅郎 東平 ⽇出夫 橋本 英樹 林⽥ 敬 ⼀⼆三 亨 廣瀬 智也 福⽥ ⿓将 藤井 智⼦ 三浦 慎也 安⽥ 英⼈ 阿部 智⼀ 安藤 幸吉 飯⽥ 有輝 ⽯原 唯史 井⼿ 健太郎 伊藤 健太 伊藤 雄介 稲⽥ 雄 宇都宮 明美 卯野⽊ 健 遠藤 功⼆ ⼤内 玲 尾崎 将之 ⼩野 聡 桂 守弘 川⼝ 敦 川村 雄介 ⼯藤 ⼤介 久保 健児 倉橋 清泰 櫻本 秀明 下⼭ 哲 鈴⽊ 武志 関根 秀介 関野 元裕 ⾼橋 希 ⾼橋 世 ⾼橋 弘 ⽥上 隆 ⽥島 吾郎 巽 博⾂ ⾕ 昌憲 ⼟⾕ ⾶⿃ 堤 悠介 内藤 貴基 ⻑江 正晴 ⻑澤 俊郎 中村 謙介 ⻄村 哲郎 布宮 伸 則末 泰博 橋本 悟 ⻑⾕川 ⼤祐 畠⼭ 淳司 原 直⼰ 東別府 直紀 古島 夏奈 古薗 弘隆 松⽯ 雄⼆朗 松⼭ 匡 峰松 佑輔 宮下 亮⼀ 宮武 祐⼠ 森安 恵実 ⼭⽥ 亨 ⼭⽥ 博之 ⼭元 良 吉⽥ 健史 吉⽥ 悠平 吉村 旬平 四本 ⻯⼀ ⽶倉 寛 和⽥ 剛志 渡邉 栄三 ⻘⽊ 誠 浅井 英樹 安部 隆国 五⼗嵐 豊 井⼝ 直也 ⽯川 雅⺒ ⽯丸 剛 磯川 修太郎 板倉 隆太 今⻑⾕ 尚史 井村 春樹 ⼊野⽥ 崇 上原 健司 ⽣塩 典敬 梅垣 岳志 江川 裕⼦ 榎本 有希 太⽥ 浩平 ⼤地 嘉史 ⼤野 孝則 ⼤邉 寛幸 岡 和幸 岡⽥ 信⻑ 岡⽥ 遥平 岡野 弘 岡本 潤 奥⽥ 拓史 ⼩倉 崇以 ⼩野寺 悠 ⼩⼭ 雄太 ⾙沼 関志 加古 英介 柏浦 正広 加藤 弘美 ⾦⾕ 明浩 ⾦⼦ 唯 ⾦畑 圭太 狩野 謙⼀ 河野 浩幸 菊⾕ 知也 菊地 ⻫ 城⼾ 崇裕 ⽊村 翔 ⼩網 博之 ⼩橋 ⼤輔 ⿑⽊ 巌 堺 正仁 坂本 彩⾹ 佐藤 哲哉 志賀 康浩 下⼾ 学 下⼭ 伸哉 庄古 知久 菅原 陽 杉⽥ 篤紀 鈴⽊ 聡 鈴⽊ 祐⼆ 壽原 朋宏 其⽥ 健司 ⾼⽒ 修平 ⾼島 光平 ⾼橋 ⽣ ⾼橋 洋⼦ ⽵下 淳 ⽥中 裕記 丹保 亜希仁 ⾓⼭ 泰⼀朗 鉄原 健⼀ 徳永 健太郎 富岡 義裕 冨⽥ 健太朗 富永 直樹 豊﨑 光信 豊⽥ 幸樹年 内藤 宏道 永⽥ 功 ⻑⾨ 直 中村 嘉 中森 裕毅 名原 功 奈良場 啓 成⽥ 知⼤ ⻄岡 典宏 ⻄村 朋也 ⻄⼭ 慶 野村 智久 芳賀 ⼤樹 萩原 祥弘 橋本 克彦 旗智 武志 浜崎 俊明 林 拓也 林 実 速⽔ 宏樹 原⼝ 剛 平野 洋平 藤井 遼 藤⽥ 基 藤村 直幸 舩越 拓 堀⼝ 真仁 牧 盾 增永 直久 松村 洋輔 真⼸ 卓也 南 啓介 宮崎 裕也 宮本 和幸 村⽥ 哲平 柳井 真知 ⽮野 隆郎 ⼭⽥ 浩平 ⼭⽥ 直樹 ⼭本 朋納 吉廣 尚⼤ ⽥中 裕 ⻄⽥ 修
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
pp.27S0001, (Released:2020-09-28)
被引用文献数
2

日本集中治療医学会と日本救急医学会は,合同の特別委員会を組織し,2016年に発表した日本版敗血症診療ガイドライン(J-SSCG2016)の改訂を行った。本ガイドライン(J-SSCG2020)の目的は,J-SSCG2016と同様に,敗血症・敗血症性ショックの診療において,医療従事者が患者の予後改善のために適切な判断を下す支援を行うことである。改訂に際し,一般臨床家だけでなく多職種医療者にも理解しやすく,かつ質の高いガイドラインとすることによって,広い普及を目指した。J-SSCG2016ではSSCG2016にない新しい領域(ICU-acquiredweakness(ICU-AW)とPost-Intensive Care Syndrome(PICS),体温管理など)を取り上げたが,J-SSCG2020では新たに注目すべき4領域(Patient-and Family-Centered Care,Sepsis Treatment System,神経集中治療,ストレス潰瘍)を追加し,計22 領域とした。重要な117の臨床課題(クリニカルクエスチョン:CQ)をエビデンスの有無にかかわらず抽出した。これらのCQには,日本国内で特に注目されているCQも含まれる。多領域にわたる大規模ガイドラインであることから,委員24名を中心に,多職種(看護師,理学療法士,臨床工学技士,薬剤師)および患者経験者も含めたワーキンググループメンバー,両学会の公募によるシステマティックレビューメンバーによる総勢226名の参加・協力を得た。また,中立的な立場で横断的に活躍するアカデミックガイドライン推進班を2016年版に引き続き組織した。将来への橋渡しとなることを企図して,多くの若手医師をシステマティックレビューチーム・ワーキンググループに登用し,学会や施設の垣根を越えたネットワーク構築も進めた。作成工程においては,質の担保と作業過程の透明化を図るために様々な工夫を行い,パブリックコメント募集は計2回行った。推奨作成にはGRADE方式を取り入れ,修正Delphi法を用いて全委員の投票により推奨を決定した。結果,117CQに対する回答として,79個のGRADEによる推奨,5個のGPS(Good Practice Statement),18個のエキスパートコンセンサス,27個のBQ(Background Question)の解説,および敗血症の定義と診断を示した。新たな試みとして,CQごとに診療フローなど時間軸に沿った視覚的情報を取り入れた。J-SSCG2020は,多職種が関わる国内外の敗血症診療の現場において,ベッドサイドで役立つガイドラインとして広く活用されることが期待される。なお,本ガイドラインは,日本集中治療医学会と日本救急医学会の両機関誌のガイドライン増刊号として同時掲載するものである。
著者
福村 浩一 中原 毅 小串 美由紀 倉持 龍彦 関 貴弘 堀井 京子 寺田 紀子 上野 信一 松井 則明
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
vol.57, pp.137, 2008

【はじめに】近年、携帯電話や電磁調理器具などの急速な普及により、それらから発せられる電磁波による健康への影響を不安視する声が聞かれる。透析装置においても電磁波を発する装置であり、透析患者は4~5時間装置の側での治療を余儀なくされる事から、透析中における装置からの電磁波の発生強度を測定し、その安全性を検討した。<BR>【目的】透析装置から出る電磁波を測定し、その数値からICNIRPの電波防護指針をもとに透析中の安全性を検討する。<BR>【方法】当院で用いられている透析装置(DCS-72、DCS-26、DCS-27、DBB-26、DBG-02、TR-3000M)の待機時(プライミング終了後)と作動時(透析中)に放出される電磁波の強度を、アルファラボ社製トリフィールドメーター100XEを用いて測定し、また患者の透析時における電磁波の暴露量(頭部、腹部、下肢)からその安全性を比較検討した。電磁波の測定方法は透析装置のディスプレイ画面より0cmから10cm間隔で電磁波の強度を測定し、最終的に測定表示が0になるまでの距離を測定した。<BR>【結果】DCS-72では待機時が、0~20cmで100mG以上、30cmで25mG、1.3mで0mGとなった。透析時では0~20cmで100mG以上、30cmで25mG、1.5mで0mGとなった。DCS-26では待機時が0cmで50mG、10cmで6mG、50cmで0mGとなった。透析時では0cmで100mG以上、10cmで50mG、90cmで0mGとなった。DBB-26、DBG-02ともに透析時では0cmで60mGと高い値を示したが、10cmでの測定値は一桁を示し、他の装置では0cmでも待機、透析時ともに低値を示し、待機時で30cm、透析時で40~60cmで0mGとなった。又、患者の頭部、腹部、下肢で透析時に受ける電磁波の強度を測定した結果、頭部で0~2mG、腹部、下肢では0~0.5mGであった。<BR>【考察】測定の結果からICNIRP(国際非電離放射線防護委員会)の定めた国際ガイドライン値(安全値4mG未満、許容値16mG未満)に当て嵌めると医療従事者が通常の操作をするパネルからの位置では、測定結果から特に問題はないと思われ、透析中における患者についても安全性をクリアしていると思われた。<BR>【まとめ】電磁波については、生体に影響が有る、無いの二極論があるが、実際に「電磁波過敏症」と呼ばれる諸症状がある事も事実であり、長時間装置の側で治療を受ける透析患者の電磁波の暴露量は重要であり、科学的根拠がなくても事前回避の措置を定めるという原則の考えが重要であると考えられた。
著者
山本 圭彦 坂光 徹彦 堀内 賢 中川 朋美 林下 知惠 福原 千史 浦辺 幸夫
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.33 Suppl. No.2 (第41回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.A0796, 2006 (Released:2006-04-29)

【目的】 骨粗鬆症などによる高齢者の円背姿勢に対し、運動療法の効果を確かめることは重要である。本研究の目的は運動療法介入により円背姿勢が変化するかを明らかにすることである。【方法】 対象は、65歳以上の高齢者20名とした。安静立位にて明らかに円背姿勢を呈しているものをエクササイズ群(Ex群)、円背姿勢を呈していない高齢者をコントロール群(C群)として10名ずつ2群に分けた。年齢はEx群(男性2名、女性8名)で80.9±5.2歳、C群(男性4名、女性6名)で79.4±5.5歳であった。Ex群は20分の運動療法を週に2回の頻度で6ヶ月間、筋力増強エクササイズと脊椎の可動性を向上するエクササイズを行った。筋力増強エクササイズは腹臥位での上体反らし運動、脊椎の可動性を向上するエクササイズは腹臥位でのOn hands push upによる上体反らし運動を実施した。胸椎と腰椎の彎曲角度の測定にはSpinal Mouse(Idiag AG,Switzerland)を用いた。測定肢位は立位と腹臥位での安静位および最大体幹伸展位の3肢位とした。胸椎と腰椎の彎曲角度はそれぞれの各椎体間がなす角度の和を胸椎角と腰椎角として求めた。さらに前傾姿勢の指標としてTh1とS1を結ぶ線と床からの垂線がなす角度(全体傾斜角)を求めた。脊椎の可動性は腹臥位での安静位からのOn hands push upによる最大体幹伸展位で求めた。体幹伸展筋力の測定はGT-350(OG技研)を用いて体重比で求めた。統計学的分析にはEx群とC群の比較とエクササイズ前後の比較にはwilcoxon順位符号検定を用いた。エクササイズによる立位姿勢の角度変化と脊椎の可動性および体幹伸展筋力の変化量をそれぞれPearsonの相関係数を用いた。【結果】 6ヵ月後C群では胸椎角で1.5°、腰椎角で1.7°、全体傾斜角で0.5°屈曲方向へ変化した。Ex群は胸椎角で11.4°腰椎角で10.4°、全体傾斜角で1.6°伸展方向へ変化した(p<0.05)。Ex群はすべての角度でC群と比べ有意に角度変化を認めた(p<0.05)。エクササイズ前の脊椎の可動性が大きい対象ほどエクササイズにより立位姿勢は大きく変化した(r=0.55、p<0.05)。体幹伸展筋力はC群で0.32N/kg減少し、Ex群で0.84N/kg増加した(p<0.05)。エクササイズによる体幹伸展筋力が増加するほど立位姿勢は大きく変化した。(r=0.61、p<0.05)。【考察】 6ヶ月間の運動療法において脊椎の伸展は促され、前傾姿勢も改善された。視診および本人の自覚から十分に円背姿勢の改善を認め運動療法の効果を確かめることができた。安静立位の脊椎を伸展させるには脊椎の可動性を向上させ、体幹伸展筋力を増加させることが重要であると考えられた。【まとめ】 今回、運動療法介入により円背姿勢が改善するかを検討した。6ヶ月間のエクササイズにより脊椎は伸展し、円背姿勢が改善された。
著者
伊勢田 知子 松前 祐司 岩崎 晴美 斎藤 兆古 堀井 清之
出版者
社団法人 可視化情報学会
雑誌
可視化情報学会誌 (ISSN:09164731)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1Supplement, pp.291-294, 2000-07-01 (Released:2009-09-03)
参考文献数
7

The colors on picture books by Dick Bruna have been analyzed by using computer.Fundamental colors including red, blue and green specified by Bruna himself are revealed to be not pure fundamental colors. These picture books have taken reposeful colors that mixed one fundamental color to another fundamental one. The thread of narrative is made a development along the changes of these reposeful colors that increases the charm of picture books by Bruna.
著者
堀内 かおる
出版者
日本家庭科教育学会
雑誌
日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.53, pp.8, 2010

〈目的〉2006年に実施された「家族の法制に関する世論調査」(内閣府)によると、家族の役割として最も大事だと考えられることとして、「心の安らぎを得るという情緒面」と回答した者が最も多く44.4%を占め、「子どもをもうけ,育てるという出産・養育面」と回答した者は29.2%である。家族の役割として情緒面の充実が求められる今日、「心の拠り所としての家族」という認識は多くの人々の共感を得ていると考えられる。本研究者は、2009年度より、多様な家族の姿を描いた絵本に着目し、家庭科教材としての有効性を検討してきた。日本家庭科教育学会2009年度例会では、父親と子どもとの関わりが描かれている絵本を分析した結果を報告した。今回は、アメリカで出版されている同性カップルと子どもによる「家族」を取り上げている絵本に着目した。日本人の作家による同性カップルを描いた絵本はいまだ見られないことを鑑み、先行するアメリカの状況において、これらの絵本がどのように評価されているのかを調査するとともに、絵本の構造を分析し、絵本の中に込められたメッセージを明らかにするとともに、家族の在り方を問う家庭科教材としての可能性について検討することを本研究の目的とする。<BR>〈方法〉1.アメリカで出版された同性カップルとその家族を描いた児童書・絵本の変遷について、インターネットや文献資料から明らかにする。2.日本では無名であるが45冊を超える絵本を刊行しているアメリカ在住の著名な絵本作家であるパトリシア・ポロッコによる絵本<I>"In Our Mothers' House"</I>, Philomel Books, New York, 2009を取り上げ、登場人物の描かれ方と内容のメッセージについて考察する。3.家庭科教材として「多様な家族」を取り上げる際の着眼点について検討する。<BR>〈結果及び考察〉1.同性カップルとその家族を描いた児童書・絵本としては、1981年にデンマークで出版され1983年に英語で翻訳出版されたスザンヌ・ボッシュによる<I>"Jenny lives with Eric and Martin"</I> が最初である。その後、1989年にアリソン・ワンダーランド社より<I>"Heather has two mommies"</I>が出版され、続いて同社から1990年に<I>"Daddy's Roommate"</I>、1996年には続編となる<I>"Daddy's Wedding"</I>が出版された。これらの図書は、論争的テーマの作品として話題になり、政治論争にまで発展した。<BR>2.パトリシア・ポロッコによる作品<I>"In Our Mothers'House"</I> は、23のシーンから構成されており、女性の同性カップルが生後間もない3人の養子を次々に迎え、子どもたちとともに様々なイベントを楽しみ、地域の中で近隣の人たちと親しく暮らしている様子が描かれている。地域の人々の中には一人だけ、彼女たちを敵視する女性がいるが、この女性は例外的存在となっている。年月を経てカップルの女性たちが年老いて亡くなってからも、子どもたちの拠り所として、「母さんたちの家」はいつまでも位置づいている。子どもたちが成長しそれぞれの配偶者を得てからの姿までも描いているところに、本書の特色がみられ、「家族」は時とともに形を変えながら次世代に継承されていくという暗喩が示唆される。<BR>ストーリーは、「同性カップルによる家族」というテーマのみならず、人種や民族がそれぞれ異なる3人の子どもたち、インターナショナルな文化的背景を持った地域の人々との共生という「多様性」が主題となっている。「多様性」を前提とした「共生」について、示唆を与えうる絵本であることが確認された。同時に、「家族」が成立する必要十分条件として不可欠なのが「愛情」であるというメッセージが込められていた。<BR>3.絵本を「教材」として取り上げようとすると、教師には、その絵本に内在するメッセージ(イデオロギー)に対する解釈が問われることになる。特に、論争的なテーマに関しては、その教材を使用することによって「何を伝えたいのか」ということをめぐり、慎重な検討を要する。一つの家族形態のみを提示するのではなく、「多様な家族」の形を示す複数の絵本を提示し、それらの「家族」の共通性に焦点を当てるという方法が考えられる。
著者
堀越千代子 著
出版者
和洋女子専門学校出版部
巻号頁・発行日
vol.和服編 下巻, 1929
著者
上村 和人 清水 俊幸 石畑 宏明 堀江 健志
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.36, no.7, pp.1569-1577, 1995-07-15

LINPACKベンチマークに並列化とベクトル化を施し、NCA付きAP1000を用いて性能を評価した。LINPACKの並列化では負荷が均等でかつデータパラレル実行が可能となるようにデータを分散させ、ブロッキングを施すことによって行列積演算や外積演算といったベクトル化が容易でかつ高い性能が得られる演算に帰結させた。理論ピーク性能に対して、単体実行時で61%、並列実行時で47%の性能が得られた。また、1000×1000の行列を解く場合、NCAを付加した16セセルで、NCAを付加しない128セルのAP1000とほぽ同等の性能が得られた。
著者
堀 大介
出版者
筑波大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2018-08-24

労働者が強いストレスを感じている事柄で「対人関係」の問題は大きな割合を占めており、対策が求められている。職場で褒めて・褒められることは対人関係を円滑にするのみならず、モチベーション維持やパフォーマンス向上にも繋がる。脳機能イメージング技術によって、社会的報酬によって脳機能が活性化する機序が明らかにされつつあるが、多くの研究はシミュレーション環境で実施されている。本研究では職場の実際の対人関係の中で、褒められることによる脳機能の変化を、近赤外線分光法による計測で定量化する。そして、より良好なコミュニケーションや職場環境の形成に寄与したい。
著者
橋本 慎太郎 仁井田 浩二 松田 規宏 岩元 洋介 岩瀬 広 佐藤 達彦 野田 秀作 小川 達彦 中島 宏 深堀 智生 古田 琢哉 千葉 敏
出版者
公益社団法人 日本医学物理学会
雑誌
医学物理 (ISSN:13455354)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.88-95, 2013 (Released:2014-10-21)
参考文献数
32

PHITS is a general purpose Monte Carlo particle transport simulation code to analyze the transport in three-dimensional phase space and collisions of nearly all particles, including heavy ions, over wide energy range up to 100 GeV/u. Various quantities, such as particle fluence and deposition energies in materials, can be deduced using estimator functions “tally”. Recently, a microdosimetric tally function was also developed to apply PHITS to medical physics. Owing to these features, PHITS has been used for medical applications, such as radiation therapy and protection.
著者
重本 心平 堀 一浩 宮島 久 小野 高裕
出版者
一般社団法人 日本老年歯科医学会
雑誌
老年歯科医学 (ISSN:09143866)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.106-117, 2020-09-30 (Released:2020-10-25)
参考文献数
48

背景:低栄養は入院患者の回復に妨げとなるが,Nutrition Support Team(NST)における歯科医師の貢献の可能性は十分に明らかにされていない。 目的:嚥下障害が疑われる総合病院入院患者の栄養リスク状態に関連する要因を明らかにすること。 方法:2015年4月から2019年4月までに総合病院歯科口腔外科に嚥下障害の疑いで紹介された同院入院中の患者を対象とした。Geriatric Nutritional Risk Index(GNRI)を用いて,栄養リスク中等度/高度群(GNRI<92)となし/軽度群の2群(GNRI≧92)に分類し,残存歯/義歯による咬合支持域,義歯使用の有無,最大舌圧,咀嚼能力,反復唾液嚥下テスト,改訂水飲みテスト,嚥下内視鏡検査による兵頭スコア,意識レベル,食形態レベルとの関連について検討した。 結果:315名中285名が栄養リスク中等度/高度群と判定され,栄養リスクなし/軽度群と比べて有意に年齢が高く,女性が多く,義歯を使用していない者が多く,義歯を含めた咬合支持域は有意に少なく,咀嚼能率スコアと兵頭スコアも有意に低かった。また,常食摂取群では他の食形態群に比較してGNRIが有意に高かった。二項ロジスティック回帰分析の結果,低栄養状態と関連する項目は,年齢,非経口摂取,兵頭スコアであった。 結論:嚥下障害が疑われる総合病院入院患者の低栄養リスクにかかわる因子がわかり,そのなかに口腔に関する要因が含まれていた。
著者
増田 一 松永 やす子 新谷 昭江 市川 陽子 岩堀 恵祐 宮田 直幸 野呂 忠敬
出版者
Japanese Society of Water Treatment Biology
雑誌
日本水処理生物学会誌 (ISSN:09106758)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.285-291, 1999-12-15 (Released:2010-02-26)
参考文献数
5

A practical activity for the environmental learning of Chiyoda-higashi elementary school of Shizuoka City and its support by Institute for Environmental Sciences, University of Shizuoka, were presented, experiencing microorganism observation and water treatment experiments. In the environmental learning for school children, we have had a new understanding that“Experience directly, feel actually”is very important. Positive support of university for the environmental learning is thought indispensable, since cooperation among school, home and local society is necessary for promoting the learning.
著者
荒木 貴之 江藤 由布 齋藤 玲 堀田 龍也
出版者
日本教育情報学会
雑誌
教育情報研究 (ISSN:09126732)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.13-24, 2018 (Released:2019-01-08)
参考文献数
20

1人1台タブレット型PCの学習環境を有する高等学校において,学習用SNSを通年利用した.本稿では,この通年利用による高校生の学習態度の変化を調べた.このとき,生徒全員に協調的課題遂行にあたっての他の生徒の貢献度を評価させることで,彼らを貢献群と一般群に分けたうえで,学習態度の変化を分析した.その結果,貢献群においては,教師との交流による自己効力感やライティング方略に特徴が見られるとともに,ネットワーク上の交流を楽しむことに,経年で変化が生じていることが示された.一方,学級の担任教師へのインタビュー調査から,彼女は批判的思考が発揮できるようなグラウンド・ルールを設けていることが確認された.これらの結果から,学習用SNSの通年利用による生徒の学習態度の変化の特徴,および生徒が学習用SNS上で学習を進めていく際の教師による生徒支援の工夫についての示唆を得た.
著者
堀内 圭輔 千葉 一裕
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.1254-1257, 2020-11-25

今回は昨今,特に問題になっているAuthorshipの誤用・乱用・悪用を取り上げます.敢えて口にすることがはばかられる暗黙の了解事項ともいえる内容も若干含みます.指導医,Principal Investigator(PI)からしてみると,“何をいまさら”と思われるかも知れませんが,本連載はもともと,若手の医師・研究者が対象ですので,あえてこの話題を取り上げます.言わずもがなですが,筆者が偉そうにこれらの問題を語れる立場ではないことは重々承知の上です.不行儀・不埒をご容赦ください.
著者
堀内 浩幸
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究課題では,鳥類であるニワトリの性を決定するマスター遺伝子ではないかと考えられているDmrt1遺伝子に着目し,本遺伝子をゲノム編集技術によりノックアウトする。本実験により,Dmrt1遺伝子ノックアウトのヘテロ接合体(Dmrt1+/-)やホモ接合体(Dmrt1-/-)を作出し,その生殖巣の特徴や周辺遺伝子の発現に与える影響を解析することで,ニワトリにおける性決定のメカニズムを明らかにする。得られた知見をもとに,産業面で極めて重要なニワトリにおいて,雌雄の産み分けが可能かどうかを検討し,応用展開をはかる。
著者
稲葉 慎 高槻 成紀 上田 恵介 伊澤 雅子 鈴木 創 堀越 和夫
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.51-61, 2002-09-30 (Released:2018-02-09)
参考文献数
26
被引用文献数
1

小笠原諸島に生息するオガサワラオオコウモリのうち,父島個体群の生息数は近年150頭前後でほぼ安定していたが,2001年頃から急速に減少しており,保全対策を緊急に実施する必要がある.オガサワラオオコウモリは果実食で現在では栽培植物に大きく依存し,またエコツーリズムの対象となりつつあるなど,本種をめぐる自然環境・社会環境は複雑であるため,問題点を整理し,保全策の提言をおこなった.
著者
鈴木 綾子 堀越 フサエ 檜作 進
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.169-173, 1971-06-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
5

ゴリイモが出来る原因の一つとして、デンプンの老化、糊化が関係していると考えられることから、調理に関連して種々の条件下におけるジャガイモ中のデンプンの糊化度の変化を検討した結果、次のようなことが観察された。1) イモの調理の際、加熱温度が60℃以下では、加熱時間を長くしても十分糊化されない。2) 加熱温度のちがいによって、加熱を中断した時の老化の速度がことなり、加熱温度が60℃付近のイモのデンプンの糊化度の減少がもっとも大きく、老化がすすみやすい。十分糊化したイモほど老化がおそい。3) 試料を60℃~70℃に加熱して糊化が不完全な状態で加熱を中断し、40℃以下に冷却すると、更に100℃に再加熱しても完全には糊化され難く、外観上もかたい。加熱を中断して室温で24時間おいたイモは、この間冷蔵庫に保存したものよりも、再加熱によって糊化し難い傾向がある。本報の要旨は昭和44年10月、日本女子大学における日本家政学会総会において発表した。