著者
太田 淳 三輪 忍 中條 拓伯
雑誌
情報処理学会論文誌コンピューティングシステム(ACS) (ISSN:18827829)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.115-132, 2011-05-12

Android 端末では,Java プログラムは,Dalvik バイトコードと呼ばれる独自のバイトコードに変換され,VM を介して実行される.VM による実行は時間がかかるため,Java バイトコードを携帯端末で実行する場合は,ハードウェア・アクセラレーションがよく行われる.一方,Dalvik バイトコードの場合は,まだ歴史が浅いため,その高速化に関する研究は十分でない.そこで我々は,携帯端末における Dalvik バイトコード実行の高速化機構として,Dalvik アクセラレータを開発することにした.バイトコードの各オペランドはメモリ上に存在するため,単純にアクセラレータを実装すると,多数のメモリ・アクセスが発生してしまう.この問題に対し,物理レジスタを最大限活用することでメモリ・アクセスを削減する機構を提案する.本機構により,大部分のメモリ・アクセス命令を削減できることが分かった.
著者
佐藤 俊 平野 聡 太田 至 河合 香吏 湖中 真哉 岡倉 登志
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2003

地域間の生態的,政治的,経済的,社会的,軍事的な諸要素の相互浸透的な相互作用は地域連環と定義され,在地の遊牧民が地域社会を自ら変容させつつ外的要因を選択的に取り込み,社会の持続性を維持するシステムを生活安全網と定義される。後者の概念はすぐれて地域社会に根ざすものであるが,複雑な地域連環を視野に入れてはじめて理解できるものである。1.遊牧生態系のGIS/RSによる解析:SRTM成果を標高値,DEMから計算された水系網の評価によって,基盤地図データの整備,地理情報の視覚化,自然環境のモデル化,遊牧民研究への応用が可能であることが検証された。2.地域社会の生活質リスクの解明:個々の遊牧社会が直面している問題のうち,家畜の略奪,市場経済化による社会的平準化機構の脆弱化,貧富の格差増幅による地域社会の変質,町場形成による牧野生態の劣化,就学と就労の増加による牧人不足と家計の多角化による家族構造の変化,伝統的政治体系と儀礼体系の変質などが,実証的資料によって明かにされた。3.地方的社会経済の広域的枠組みとその歴史的背景の解明:エチオピアでは,経済自由化によっても,社会的紐帯に制約された皮流通経路は開放されないことが判明した。ジブチのFRUD(ジブチ民族統一回復戦線)結成の背景,ならびに13〜15世紀のスルタン国家アファルに由来するアファル人のアイデンティティが文番資料によって明らかにされた。ケニアの政治的動向を,大統領の権限縮小,地方分権化をめざす現行憲法の見直し問題の経緯,国民投票(2005年11月実施)の選挙区党派別分布,憲法見直し問題とNARCの本格的分裂の3点について分析した結果,政党組織が意見集約機能を喪失して地域化していく過程が明らかとなった。今後の課題として,地域社会の生活安全網と地域連環を統合的に理解できるモデルを精緻化する作業が残されている。
著者
藤田 遼治 太田 学
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌データベース(TOD) (ISSN:18827799)
巻号頁・発行日
vol.3, no.3, pp.78-87, 2010-09-28

我々は,検索結果の推移を用いてユーザの検索意図を推測し,ユーザの代わりに検索質問を生成して検索する先読み検索を提案する.本研究では,検索結果の推移に加え,ユーザが入力した検索質問の変化パターンを利用してユーザの検索意図を推測する.本稿では実装したプロトタイプシステムを,擬似適合性フィードバックによる検索,および Google が示す検索キーワード候補による検索と比較することにより評価を行った.さらに,先読み検索において検索質問変化パターンを考慮することの効果を定量的に評価した.We propose a prediction search which infers a user's search intention based on a change in the search results and searches for an automatically generated query on behalf of the user. In addition to the change of search results, we also utilize a change of the user's queries for inferring its search intention. In this paper, we evaluated our implemented prototype system by comparing it with pseudo-relevance feedback retrieval and the retrieval of Google suggested queries. We also quantitatively evaluated the effect of utilizing a user's query change patterns for the prediction search.
著者
太田 静男
出版者
三重県立松阪工業高等学校
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2009

本研究は、夜間定時制高校に在籍している生徒のうち、非行歴や犯罪歴のある者へのさまざまな問題に接近しようとした研究である。高等学校では、不登校やいじめ経験をはじめとする不適応や何らかの病理や障害を抱えた生徒について、臨床心理学の専門的知見を用いたスクールカウンセラー等の支援によって、有効な手立てがなされつつある。一方、非行歴や犯罪歴のある生徒については、一般の高等学校では排除の対象であったりすることが多いのも事実である。カウンセリング領域においても、教育モデルというよりは司法矯正モデルであるべきという見方があるためか、必要とされる支援が不十分であるという現状でもあり、夜間定時制高校で学ぼうとする非行歴や犯罪歴のある生徒の情緒や行動の理解を促進するための研究を行うことには意義があると考えた。筆者は、在学中に医療少年院に措置された生徒との心理面接過程を通した研究を行なった。生徒は「妹に暴力をふるい逮捕されたが、逮捕された時期が近づくと胸が苦しくなってきて、気分が沈んだり、フラッシュバックが起きる」という主訴で来談した。生徒が卒業するまでの約6ヶ月間の50回の面接について実践的研究を進めた。面接は逐語録をつくり、精神分析的心理療法士とのスーパービジョンという形で議論を進め、この生徒の行動や情緒に関する理解を深めるとともに、そこでは生徒と筆者との間に生じた転移や逆転移をもとにした理解を進めた。精神分析的な理解や臨床心理学的な知見を用いて、指導にあたる教員が非行歴や犯罪歴のある生徒の情緒や行動を理解しようとしたことは、おそらく生徒にとっては受容された経験でもあったであろう。また、心理療法を通して、非行歴や犯罪歴のあるこの生徒が、自らも被虐待経験者であることもわかった。さらに、矯正施設としての医療少年院生活での経験の意義についても考えることができた。
著者
太田 信宏
出版者
日本教育情報学会
雑誌
年会論文集
巻号頁・発行日
no.27, pp.226-229, 2011-08-20

教科「情報」の必修化により、2006年度から情報の授業を履修した学生が入学してきている。しかし現実の学生をみると、必修化されたとはいえ情報リテラシーに関する習得レベルは決して一様ではない。本学では1996年度から、入学時におけるコンピュータ利用についてのアンケートを実施している。入学した学生の情報リテラシーの把握を行うとともに、情報教育カリキュラム策定の資料として活用してきた。大学で教育すべき情報リテラシー教育とはどのようにあるべきか、その問題点と課題について考察したいと考えている。
著者
太田 妙子
出版者
大阪外国語大学
雑誌
大阪外国語大学論集 (ISSN:09166637)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.189-214, 1999-03-30

We can think of image of the woman's breast from a variety of viewpoints including artistic, religious, moral, medical and even political and economic. This article reports the results of observations made on the sculptures (from 3rd century BC to 12th century AD ) of Indian Hindu goddesses, particularly on the expression of the breasts. First, one trend found in many ancient Indian statues of goddesses is for the upper body to be bare(naked). Secondly, during the thousand and several hundred - year period examined, a colorful variety in the way breasts are depicted exists, including plump, erotic, deformed, and shriveled. Such a wide variety exists that it can be thought of as a "general breast catalogue". Third, the Indian mother goddesses "Kalii" and "Camunda" which appear as goddesses of death, may have a common origin with the Japanese "Yamanba". It is thought that the Japnese word "yama" and the Sanskrit word "yamma" may have originated from the same word, during a time before the Japanese adopted the kanji writing system. The two words are not only similar in pronunciation, they are also both associated with the location of a dead body.
著者
太田 敏澄
出版者
電気通信大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

Web上の社会情報学事典構築の研究に関し,社会情報システム学の観点に基づき検討を行った.成長する社会情報学事典のプロトタイプ・システムを開発し,メーリングリストを通じて事項の収集を行っている.この事典は,サイバー・コモンズの典型的な事例となっている.今後の課題は,社会情報学のためのモデル構築プラットホームを概念化し,ソシオ・インフォマティカを開発することである.ソシオ・インフォマティカは,電子的な文献の集積体を基盤とし,マルチ・エージェント・シミュレーションを行うことのできるプラットホームである.このプラットホームは,社会的ネットワークや人工社会に関心をもつ研究者の研究を支援することができるものと考えられる.さらに,同事典を閲覧する人,および同事典に情報や知識を投稿する人を支援するためめシステムとして,視覚化システムを開発した.このシステムは,社会情報学に関する最近の文献におけるパラグラフに着目し,そこでの用語間の関係に基づき,用語を視覚化するシステムである.また,モデル構築やシミュレーションを通じて,デマンド・チェーンについて検討するため,ベンダーと顧客との間を仲介する情報ネットワークにおけるマネジメント・システムの有効性を確認したこと,モバイル・コミュニケーションの特性を検討するため,学生を対象とする調査に基づきモデルのパラメータを推定することで,パーソナル・コンピュータのe-mail利用との比較を行い,モバイル・コミュニケーションの相手は,直観に反し,多様化しないことを確認したこと,ウイナー・テイク・オール現象を解明するため,商品の選択における集中化傾向についてモデル化を行い,情報チャネルの数が,集中化傾向を強めていることを確認したことなどの研究成果を挙げている.
著者
白谷 正治 寺嶋 和夫 白藤 立 佐々木 浩一 伊藤 昌文 杤久保 文嘉 斧 高一 後藤 元信 永津 雅章 小松 正二郎 内田 諭 太田 貴之 古閑 一憲
出版者
九州大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2009-07-23

本取り纏め研究では、プラズマとナノ界面の相互作用ゆらぎに関する学術的成果を統合・発展させて、より汎用性のある学術大系に結びつけることを目的としている。計画研究代表者を研究分担者として、各計画研究における研究成果を取り纏めるとともに、領域内連携により表れた3つの研究項目に共通する基本原理を統合して体系化する。基本原理の体系化に際しては、すべての研究に関する議論を一度に行うと議論が発散する可能性があるため、ゆらぎ・多相界面・バイオというテーマを設定した個別の研究会を開催し研究分担者が成果を統合した後、シンポジウム等で領域全体での成果統合を行った。平成26年度に取りまとめた、平成21-25年度に新学術領域で得られた成果の概要は以下の様に要約される。これらの成果を成果報告書およびホームページで公開した。ゆらぎに関しては、超高精度トップダウンプロセスの確立(ゆらぎの制御)について、エッチングプラズマに関する実験とシミュレーションの研究グループが連携して、エッチング表面形状揺らぎの機構を解明した。ここでは、揺らぎ抑制法について、従来の物理量を一定にする方法から、物理量に制御した揺らぎを与えて抑制する方法へのパラダイムシフトを起こす事に成功した。また、高精度ボトムアッププロセスの確立(ゆらぎの利用)では、超臨界プラズマに関する実験とモデリングの研究グループの連携により、超臨界プラズマにおける密度ゆらぎ機構を解明し、従来法では得る事ができない高次ダイアモンドイドの合成に成功した。予想以上の顕著な成果として、気液プラズマに関する実験とモデリングの研究グループの連携により気液界面プラズマにおいてナノ界面が存在することを発見した(多相界面プラズマ)。また、高いインパクトを持つ成果として、バイオ応用プラズマ関連の研究グループの連携により、大気圧プラズマ反応系の世界標準を確立することに成功した。
著者
竹澤 聡 太田 佳樹 小林 幸徳
出版者
北海道工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

転倒回避のために現実的に見合う歩行動作を提案することができた.それは、定常時における立脚中期~立脚終期までのスペクトル解析および、せん断力を求めた結果、現時点では定常時のみであるが、この値を基準とし、滑り判定を行うことは定常時かつ直進歩行であれば可能であることが示された.観測値の相関に基づき、歩き始め、歩き終わりの状態を推定もできると考えられることは重要な知見である.
著者
太田 麻衣子
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

1.各国から越研究者が参加した中国柯橋・越国文化高峰論壇にて「越都琅〓新考:兼論越在淮北地区的発展」を口頭発表、改訂稿「越〓都琅〓新考」を『中国柯橋・越国文化高峰論壇文集』に掲載した。本論文は越研究において長年の懸案である越の琅〓遷都および准北進出について、近年の考古調査に基づきながら新説を提示したものであり、以下の事を明らかにした。(1)従来『史記』は越の准北進出を否定しており、越の琅〓遷都を伝える『越絶書』等の記述とは矛盾すると考えられてきたが、実際には『史記』は越の淮北進出を否定してはおらず、『越絶書』等の記述とも矛盾しない(2)越の准北進出は考古学的証拠からも裏付けられる(3)ただし琅〓遷都自体は虚構である可能性が高く、少なくとも従来最も有力視されてきた山東省〓南市の琅〓山一帯に遷都したという説は、考古学的証拠より否定される(4)張志立氏らの考古調査により、准北における越に拠点は江蘇省連雲港市錦屏山九龍口古城にあった可能性が最も高い(5)准北に進出したあとの越は、無彊死後も淮北に存在し続け、最終的には戦国後期、考烈王期の楚に併呑される。2.指導委託により上海・復旦大学歴史地理研究中心の李暁傑教授に師事し、歴史地理学を学ぶと同時に、独自に各地でおもに楚・越にかんする史料調査を行なった。調査した博物館・遺跡・研究機関は以下のとおり。湖南省博物館・馬王堆漢墓三号墓坑・長沙簡牘博物館・湖北省博物館・武漢博物館・武漢大学・随州博物館・曾公乙墓遺址・襄樊市博物館・荊州博物館・楚紀南故城・荊門市博物館・宜昌博物館・南京博物院・上海博物館・蘇州博物館・蘇州科技学院・印山越王陵・越国文化博物館・紹興博物館越王城分館・良渚博物館・浙江省博物館
著者
武井 洋介 太田 耕平 加藤 寧 根元 義章
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.84, no.8, pp.1464-1473, 2001-08-01
被引用文献数
10

近年, インターネットにおける不正アクセスが問題となっている. なかでもネットワークそのものを狙った不正アクセスは, ネットワーク全体に大きな影響を及ぼすもので, 対策の確立が急がれている. この種の不正アクセスを検出するには, ネットワークトラヒック観測が有効であると考えられる. しかし, DoS(Denial of service)に代表されるような不正アクセスでは攻撃元がパケットの送信アドレスを改ざんする可能性があることや, ネットワークの高速化によってパケット情報取得・解析が困難になることが問題となる. よって, 今後の高速ネットワーク環境下で, 信頼性がありかつ低負荷な観測手法と攻撃元の追跡が可能な手法の確立が急務である. 本論文では, トラヒックの変化量を抽出・比較することにより, 不正アクセスを検出するためのアルゴリズムを提案し, このアルゴリズムを適用することにより不正アクセスが検出・追跡できることを示す.
著者
太田 弘一 森岡 公一 山本 幸男
出版者
園藝學會
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.125-132, 1991
被引用文献数
5 35

ファレノプシスは近年生産の伸びが大きい花卉であり, その好適な栽培条件の設定のために研究が進められている. ファレノプシスの花序は低温条件によって誘導されることが知られており (17), 山上げ栽培や人工低温処理を行うことによって, 早期出荷が行われている. また, 温度処理の際の, 株の充実状態や光•変温条件などの環境要因も花序形成に影響することが知られている (3,8, 12,14, 17,18, 19).<BR>一方, ファレノプシスはCAM (Crassulacean acid metabolism) 植物として知られている (1,7). CAM植物は夜間に吸収したCO2を有機酸の形にして細胞の液胞中に蓄積し, 昼間にそれを分解して, 光エネルギーを利用してでんぷん合成を行うという特徴的な光合成を行う. この夜間と昼間を通した, CO2吸収からでんぷん合成に至る過程をCAM型光合成と呼ぶ (13, 14).典型的なCAM型光合成のCO2吸収の日周変動パターンは, 夜間の高い吸収 (phase I), それに続く光が当たった直後の高い吸収 (phase II) とその後の急激な減少およびCO2吸収がほとんど見られない期間 (phase III), そして, 夕方に再び低い吸収が見られる (phase IV), という四つの相に分けられる (13). そして, この過程を通して, 夜間に気孔を開き, 蒸散の多い昼間には気孔を閉じているために, CAM植物は強い乾燥耐性を獲得している (6).<BR>CAM植物には, 生育条件によってC3型光合成とCAM型光合成との間で変動が見られるfacultative-CAM plantと, 生育条件にかかわらずCAM型光合成を行うobligate-CAM plantがある (13). さらに,いずれのCAM植物も, 水分, 昼夜温, 光強度, 日長などの環境条件や葉齢, 窒素栄養条件によってCAM型光合成が影響を受けることが知られている (6, 11,13, 14).したがって, ファレノプシスのCAM型光合成も, これらの要因によって変動し, それが生育および花序形成になんらかの影響を及ぼすことが考えられる.<BR>本研究は, 上述の要因のうちで生育と密接に関連した外的要因の水分, 温度, 光の3条件および内的要因の葉齢と花序形成の有無に視点を当て, それらによってファレノプシスのCAM型光合成がどのような影響を受けるかを明らかにし, ファレノプシスの好適な栽培条件設定のための基礎的知見を得ることを目的として行った.
著者
細川 利典 平岡 敏洋 太田 光保
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.1736-1744, 1999-04-15
参考文献数
21

順序回路に対するATPGを困難にする構造として平衡再収斂構造を定義し 平衡再収斂構造の段数を削減するアプローチと 経路数を削減するアプローチについて 故障検出効率が十分に上がらない(83?95%)実際の無閉路順序回路を用いて スキャン化率と故障検出効率の解析を行った. その結果 平衡再収斂構造の経路数を削減するアプローチが より少ないスキャン化率で十分に高い故障検出効率(99%以上)を達成できるという点で効果的であることが分かった. また平衡再収斂構造の経路数を削減するアプローチは従来故障検出効率の向上に効果的であると知られている順序深度を削減するアプローチよりも効果的であることが分かった.We define a balanced reconvergence structure that makes ATPG for sequential circuits difficult. We compared an approach that reduces the number of paths of balanced reconvergence structures (path reduction approach) with an approach that reduces the depth of balanced reconvergence structures (depth reduction approach) for practical acyclic sequential circuits the fault efficiencies of which are not enough high. Experimental results show that the path reduction approach is more effective than the depth reduction approach because fewer scan flip-flops are required to achieve a high fault efficiency (99%). The results also show that the path reduction approach is more effective than a conventional sequential depth reduction approach.
著者
藤村 玲子 佐藤 嘉則 難波 謙二 太田 寛行
出版者
日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.211-218, 2011-07-30
参考文献数
29
被引用文献数
2

森林をはじめとする植物-土壌生態系では、光合成による一次生産と微生物による有機物分解のバランスが成り立ち、豊かな生物相が維持されている。しかし、火山噴火というイベントはこの生態系を壊してリセットしてしまう。新たに生じた火山灰などの火山砕屑物や溶岩に住み始める生物は、肉眼では見えない微生物である。本稿では、三宅島2000年噴火火山灰堆積物に住みつく微生物について、2003年から6年間にわたって調査してきた結果を紹介する。まず、調査初年時に採取した火山灰堆積物の細菌密度の測定結果では、すでに1gあたり10^8の高いレベルに達していた。直接試料から抽出したDNAの16SリボソーマルRNA遺伝子を解析した結果は、Leptospirillum ferroxidansやAcidithiobacillus ferrooxidansといった独立栄養性の鉄酸化細菌が優占する細菌群集構造を示した。供試火山灰堆積物にはCO_2吸収活性があり、十分に高いニトロゲナーゼ活性も検出されており、これらの活性は鉄酸化細菌に由来することが推察された。2009年の調査においても、三宅島雄山上部の火山灰堆積物は酸性状態に維持され、鉄酸化細菌の優占が続き、化学合成無機独立栄養代謝が中心の微生物生態系であることが示唆された。以上の結果をもとに、火山灰堆積物に形成される微生物生態系のエネルギー代謝と初成土壌への有機・無機物質の蓄積について推察する。