著者
原 久仁子 小林 正敏 秋山 康博
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.118, no.3, pp.231-240, 2001 (Released:2002-09-27)
参考文献数
28
被引用文献数
2 2

骨粗鬆症治療薬は一般に単剤での処方だけでなく, 数種類の薬剤が併用されることが多いが, その根拠となるデータは非常に少ない. ビタミンK2(メナテトレノン, K2)と1α(OH)ビタミンD3(D3)はいずれも臨床で骨粗鬆症治療薬として広く用いられている. そこで卵巣摘除ラットを用いて両薬剤の併用の意義を検討した. フィッシャー系20週齢雌性ラットを偽手術あるいは卵巣摘除し, 卵巣摘除ラットをさらに対照, K2, D3, K2+D3の4群(n=10)に分けた. 全てのラットを個別ケージで制限給餌により飼育し, K2はメナテトレノン(MK-4)約37mg/kgを混餌投与, D3は1α(OH)D3を0.3μg/kg週3回, 8週間経口投与した. 8週後の血漿中カルシウム(Ca), 無機リン, アルカリホスファターゼ活性, オステオカルシン, 1,25(OH)2D3, 副甲状腺ホルモン(PTH), MG-4濃度および大腿骨の骨密度と3点曲げ骨強度を測定した. 卵巣摘除による血漿中各パラメータへの影響は認められなかった. D3群は単独, 併用ともに血漿中Caは高値を, PTHは低値を示した. 全骨領域および海綿骨領域の骨密度は卵巣摘除により骨端部ではそれぞれ偽手術群の81%, 41%に, 骨幹部ではそれぞれ96%, 86%に減少した. K2, D3の各単独群は骨端部全骨領域の骨密度, 骨幹部海綿骨領域の骨密度, 骨塩量の低下を抑制した. K2+D3群では単独群で作用を示したパラメータの他に骨端部での全骨領域および海綿骨領域の骨塩量の低下を抑制した. またK2+D3群は骨端部海綿骨領域の骨密度, 骨塩量, 骨幹部の皮質骨厚でD3群に比して有意に高値を示した. 骨強度はK2+D3群でのみ対照群に比して最大荷重は有意に高値を, 剛性は高値傾向を示した. すなわちK2+D3群が骨端部, 骨幹部のいずれのパラメータにおいても一番高い値を示した. 以上, K2とD3との併用投与はそれぞれの単剤投与に比してより大きな薬効が期待できることが示唆された.
著者
堀 進悟 副島 京子 篠澤 洋太郎 藤島 清太郎 武田 英孝 木村 裕之 小林 正人 鈴木 昌 村井 達哉 柳田 純一 相川 直樹
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.29, no.Supplement5, pp.11-14, 1997-12-20 (Released:2013-05-24)
参考文献数
6

近隣救急隊の1994年12月から1996年4月まで16ヵ月間の出場記録を調査し,浴室内で発生した急病の調査を行った.浴室の急病は43例で当該期間の全救急件数の0.19%を占めていた.年齢は77±10歳と高齢者に多く,男女比は24例対19例と男性に多かった.診断は心肺停止26例(60%),失神(前駆症)14例,脳血管障害3例であった.各群とも高齢者が多く,明らかな年齢差を認めなかった.浴室急病の発生時期は,心肺停止のみならず,いずれの群も12-3月の厳寒期に集中していた。心肺停止は自宅浴室の発生が26例(100%)で,公衆浴場における発生は認めなかった. 一方, 非心肺停止例では自宅浴室が12例,公衆浴場が5例であった(p<0.01).さらに浴室内の発生場所を検討すると,心肺停止は浴槽内が22例(85%),洗い場が4例,非心肺停止では浴槽内が7例,洗い場が7例,不明が3例であった(p<0.01).溺水の有無を検討すると,心肺停止では21例に,非心肺停止では2例に溺水を認めた(p<0.01).すなわち,心肺停止は非心肺停止例と比較して自宅浴室の浴槽内で発生しやすく,溺水をともない易いことが示された.本研究により,公衆浴場よりも自宅浴室が心肺停止の危険をもたらしうることが示された.すなわち,身近に救助者がいれば入浴急死は防止できる可能性が示唆された.
著者
葛谷 健 中川 昌一 佐藤 譲 金澤 康徳 岩本 安彦 小林 正 南條 輝志男 佐々木 陽 清野 裕 伊藤 千賀子 島 健二 野中 共平 門脇 孝
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.5, pp.385-404, 1999-05-30 (Released:2011-03-02)
参考文献数
47
被引用文献数
86

糖尿病は, インスリン作用の不足による慢性高血糖を主徴とし, 種々の特徴的な代謝異常を伴う疾患群である. その発症には遺伝因子と環境因子がともに関与する. 代謝異常の長期間にわたる持続は特有の合併症を来たしやすく, 動脈硬化症をも促進する. 代謝異常の程度によって, 無症状からケトアシドーシスや昏睡に至る幅広い病態を示
著者
小林 正尚 大塚 智子 鈴木 昇一
出版者
公益社団法人 日本放射線技術学会
雑誌
日本放射線技術学会雑誌 (ISSN:03694305)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.19-27, 2013-01-20 (Released:2013-01-25)
参考文献数
18
被引用文献数
9 10

The purpose of this paper is to reappraise the accuracy of a conversion coefficient (k) reported by International Commission on Radiological Protection Publication 102 Table A.2. The effective doses of the routine head computed tomography (CT), the routine chest CT, the perfusion CT, and the coronary CT were evaluated using the conversion coefficient (adult head: 0.021 mSv·mGy-1·cm-1, adult chest: 0.014 mSv·mGy-1·cm-1). The dose length product (DLP) used the value displayed on the console on each scanning condition. The effective doses were evaluated using a human body type phantom (Alderson Rando phantom) and thermoluminescent dosimeter (TLD) elements for comparison with the converted value. This paper reported that the effective doses evaluated from conversion coefficient became different by 0.3 mSv (17%) compared with measurements, the effective dose computed with the conversion coefficient of the adult chest may be underestimated by 45%, and the bolus-tracking which scans the narrow beams should not use a conversion coefficient.
著者
小林 正治 玉乃井 英嗣 井上 智晴 益山 新樹
出版者
天然有機化合物討論会実行委員会
雑誌
天然有機化合物討論会講演要旨集 55 (ISSN:24331856)
巻号頁・発行日
pp.PosterP-13, 2013 (Released:2018-03-09)

1. はじめに 食用キノコであるヤマブシタケには,アルツハイマー型老年期認知症の中核・周辺症状を改善する効果があることが臨床試験によって認められており[1],最近では,生もの,乾燥体,粉末,錠剤などの様々な形体で健康食品として販売されている。ヤマブシタケの機能性を司る因子の一つとして,子実体に含まれるヘリセノン類の関与が指摘されている。ヘリセノン類は1991年に発見された天然由来としては初の神経成長因子(NGF)合成促進物質であり,間接的にニューロンの分化・成熟・機能維持を助けることにより脳の老化を予防すると考えられている[2]。ヘリセノン類には多数の同族体が存在し,NGF合成促進活性だけでなく血小板凝集抑制活性[3]や小胞体ストレスによる細胞死の抑制活性[4]などの多彩な生物活性が知られている。しかしながら,これらの生物活性は個別の化合物に対して局所的に調べられたものであり,多様な構造を持つヘリセノン類の包括的な構造活性相関については明らかにされていない。活性試験についても,天然物サンプルの量的供給が隘路となり,in vivoでの毒性試験や薬物動態試験まで十分に検討されていない。以上の背景を踏まえ,本研究では,多様な構造を持つヘリセノン類の体系的な構造活性相関と創薬・治療学的応用を目指し,全合成研究を行った。2. 合成計画 ヘリセノン類は大別して,側鎖の5’位が酸化されているものと酸化されていない図1.ヘリセノン関連天然物の体系的全合成戦略(☆は本研究で合成完了した化合物)ものに分けられ,芳香環右辺や左辺側鎖の構造の違いによって系統化できる(図1)。私たちは,側鎖とコアのカップリングによって生成するフタリド1を共通中間体として,非天然型の誘導体も含めて網羅的に合成するルートを計画した。3. コア部の短段階合成[5] ヘリセノン類を効率的に合成するために重要となるのは,多様な官能基を直截的かつ位置選択的に導入することである。私たちは,不飽和エステル3とアセト酢酸エチルのMichael-Claisen反応によりジケトン5を合成し,臭化銅(II)によるワンポット多官能基化反応を経てコア部6を直截的に合成した(図2)。5→6の多官能基化反応では,酸性度の高いジケトンのα位が選択的に臭素化された後 (中間体i),メタノールの付加,HBrの脱離,芳香環化,ラクトン化が連続的に起こり所望のフタリドが生成したと考えられる。以上のように,市販のカルボン酸2から4工程でコア部を合成するルートを見出した5。図2.コア部の短段階合成4. ヘリセノンJおよびヘリセンA-Cの全合成5 続いて,側鎖とのカップリングを検討した。7aは2つのオルト位に電子供与性置換基を持つ反応性の低いアリールブロミドであったが,条件の最適化を行った結果,CsF存在下,(Ph3P)2PdCl2を触媒として80~85 °Cでカップリングを行うことで,目的の1bが単離収率60-87%で生成した(図3)。なお,本過程では7aから誘導したアリール銅試薬のゲラニルブロミドに対する置換反応も検討した(View PDFfor the rest of the abstract.)
著者
山神 彰 山田 武宏 北川 善政 大廣 洋一 佐藤 淳 石黒 信久 今井 俊吾 小林 正紀 井関 健
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.45, no.5, pp.254-261, 2019-05-10 (Released:2020-05-10)
参考文献数
20
被引用文献数
2 4

Third-generation oral cephalosporins are broad-spectrum antimicrobial agents and constitute one of the most used antibiotic classes in Japan. In the “National Action Plan on Antimicrobial Resistance (AMR),” the Japanese government declared implementation of efforts to reduce the use of oral cephalosporins by 50% by 2020, compared to 2013. Antimicrobial resistance generally occurs due to inappropriate use or low-dosage exposure to antibiotic agents. Therefore, the choice of appropriate antibiotics is essential for implementing antimicrobial stewardship. To evaluate the prophylactic effects of antibiotics in impacted mandibular third molar surgery, we compared the rate of surgical site infection (SSI) in patients who were administered cefcapene-pivoxil (CFPN-PI) orally with that in patients who received amoxicillin (AMPC) orally. We conducted a retrospective study by reviewing the medical charts of patients from Hokkaido University Hospital from April 2016 to March 2017. The patients evaluated were classified into two groups: the AMPC group (n = 164) and the CFPN-PI group (n = 129). The SSI ratio of the CFPN-PI group was significantly higher than that of the AMPC group (CFPN-PI group, 11.6% (15/129); AMPC group, 2.4% (4/164); P = 0.002). Multivariate logistic regression analysis demonstrated that “use of CFPN-PI for prophylactic treatment” and “hospitalization after surgery” were independent factors related to the onset of SSI following impacted mandibular third molar surgery. These results demonstrated that AMPC was more effective than CFPN-PI in the prevention of SSI after impacted mandibular third molar surgery, and its regulated dosage can effectively contribute to the optimal use of antimicrobial prophylactic treatment.
著者
大科 枝里 小林 正典 金城 美幸 中川 美奈 大塚 和朗 赤星 径一 田邉 稔 松木 裕子 小林 大輔 岡本 隆一
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.119, no.7, pp.683-691, 2022-07-10 (Released:2022-07-11)
参考文献数
24

52歳,女性.胆道閉鎖症にて生後120日で胆囊十二指腸吻合術が行われた.反復する胆管炎に対して内視鏡治療を行った際の胆汁細胞診でClass Vが検出された.マッピング生検で胆囊管肝管合流部に癌を確認し,肝外胆管切除術,胆管空腸吻合術を行った.胆管癌はBilIN-3までの粘膜内癌でR0切除であった.胆道閉鎖症に対する胆囊十二指腸吻合術はまれで,術後長期の胆管癌合併の報告はなく,文献的考察を加えて報告する.
著者
菊池 真 舘 延忠 小塚 直樹 二宮 孝文 小林 正裕 堀本 佳誉 内田 英二 佐々木 公男 辰巳 治之
出版者
札幌医科大学医学部
雑誌
札幌医学雑誌 = The Sapporo medical journal = The Sapporo medical journal (ISSN:0036472X)
巻号頁・発行日
vol.74, no.3, pp.39-44, 2005-08-01

Formalin is a main fixative in the field of pathology. Molecular biological analysis of formalin-fixed samples was difficult because formalin fixation decreased the quality of isolated DNA. Therefore, we compared the quality of DNA obtained by using DNA extraction kit (Sepa GeneR) to that using proteinase K. Using proteinase K, it was possible to extract high quality DNA, and obtain DNA from samples of 3 months fixative. Moreover, by proteinase K method, it was also possible to analyze aprataxin gene exon 5 in DNA extraction from formalin-fixed human brain tissues from a suspected case of early-onset ataxia with ocular motor apraxia and hypoalbuminemia (EAOH). The aprataxin gene exon 5 DNA sequences were obtained following in vitro gene amplification using nested-PCR. Mutation on aprataxin gene exon5 was not observed in the suspected case of EAOH; however, it was possible to perform sequence analysis of aprataxin gene exon5. This method was more useful for DNA extraction and direct sequencing of formalin-fixation samples than the kit method.
著者
小林 正明 清水 光 藤井 温子 石川 洋
雑誌
情報処理学会研究報告モバイルコンピューティングとユビキタス通信(MBL)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.47(2005-MBL-033), pp.37-42, 2005-05-25

本稿では、交通工学と制御工学を統合させるシステム理論的観点から、交通ネットワークの交通流ダイナミクスを制御する信号制御システムや動的経路誘導システム、ならびにこれら2つのダイナミックシステムをオンラインリアルタイム結合させた交通流制御システムについて提案する。最初に、信号交差点の交通流ダイナミクスの基礎となる交通量収支において、捌け交通量の上限値を決定する交通処理量は、ある交通条件と信号制御条件のもとで道路設計によって決定される。交通流ダイナミクスを車線単位、サイクル長単位で解析するために、信号交差点の動的交通情報について調査する。つぎに、時々刻々と変動する交通流ダイナミックスシステムを記述しオンラインリアルタイムで制御する大規模システムを、3レベルの階層制御を用いて構成する。最後に、交通工学と制御工学の統合例として、信号制御システムと動的経路誘導システムの構成や機能、有効性などについて示し、交通流制御システムの構成や制御アルゴリズムについて提案する。
著者
小林 正士
出版者
国士舘大学法学会
雑誌
国士舘大学大学院法学研究科・総合知的財産法学研究科 国士舘法研論集 = Kokushikan Daigaku Daigakuin Hogakukenkyuka Sougouchitekizaisan Hougakukenkyuka Koushikan Hokenronshu = the Graduate School law review
巻号頁・発行日
vol.18, pp.1-24, 2017-03-05

1 問題の所在2 学説状況―総論として3 判例と学説の状況―各論として4 市民法学における国家論の観点からの検討結語
著者
久世 建二 小島 俊彰 北野 博司 小林 正史
出版者
一般社団法人 日本考古学協会
雑誌
日本考古学 (ISSN:13408488)
巻号頁・発行日
vol.6, no.8, pp.19-49, 1999-10-09 (Released:2009-02-16)

縄文土器の野焼き方法を復元するためには,黒斑などの焼成痕跡が最も重要な材料となる。縄文土器の黒斑は弥生土器に比べ明瞭なパターンを見い出しにくいので,野焼き実験により黒斑の形成過程を明らかにし,実験結果と縄文土器の黒斑を突き合わせる作業を積み重ねることが重要である。本稿では,一連の開放型野焼き実験に基づいて,形成過程の違いにより黒斑を「大きな炎を出す薪からのスス付着による薪接触黒斑(逆U字形と2個1対が典型)」「棒状の薪接触黒斑」「オキ接触黒斑」「残存黒斑」などに類型化した。東日本の縄文時代前・中期の5資料の黒斑を観察した結果,かなり多くの土器においてこれらの類型が適用できたため,黒斑の形成過程から野焼き方法をある程度推定できた。その結果,以下の点が明らかになった。1.大きな炎からのススを起源とする薪接触黒斑が本稿の分析資料の多くでみられたことから,覆い型ではなく開放型で野焼きされたことが再確認された。薪接触黒斑は土器の地面側の内面,地面側の外面,上向き側の外面などに付くことから,横倒しになった土器の下側や側面に多くの薪が置かれていたことが明らかになった。一方,覆い型野焼きでは内部が窯に近い状態になり,大きな炎から出たススによる黒斑は少ない。2.5資料の大半の土器において内面に薪・オキ接触痕がみられることから,内面に薪を入れたことが明らかである。弥生土器では内面に薪を入れないのに対し,縄文土器では内面に入れるのは,開放型の野焼き実験で示されたように,外面の薪だけでは内面まで十分に燃焼ガスが回りにくいためと考えられる。3.本稿では東日本の縄文前・中期の5資料の黒斑を観察したが,上述の共通性と共に,以下の違いもみられた。三内丸山遺跡Vb層の円筒下層b式土器(特に大型)は,薪の上に横倒しに設置し,側面・上面に薪と草燃料をかぶせている点で,野焼き途中で横倒しした可能性が高い他の4資料と異なる。このような方法をとる理由として,(1)土管のような形の円筒下層b式土器は,直立して設置すると口縁部まで十分な炎が当たりにくい,(2)土器の大量生産に伴う薪燃料の節約のため草燃料を併用した,などが考えられる。4.「器面の色調が橙色か白色か」についての資料間の違いは,内外面の黒斑の特徴や内外底面の黒斑の有無と相関を示すことから,焼成雰囲気と共に,加熱の強度の違いを反映する可能性がある。三内丸山遺跡Vb層では,5リットル未満の小型は大半が橙色なのに対し,大型は白色の方がやや多かったが,これは,薪・草燃料を土器に立てかける大型深鉢の野焼き方法の結果かもしれない。【引用文献 】阿部芳郎 1995「弥生前期土器の器体構造について」『津島岡大遺跡5』pp.89-1001995「土器焼きの火・煮炊きの火」『考古学研究』42(3):75-91青森県教育委員会 1979『板留(2)遺跡』1997『三内丸山遺跡VIII』後藤和民 1980『縄文土器を作る』中公新書。北上市教育委員会 1983『滝ノ沢遺跡』小林正史 1993「民族考古学からみた土器の用途推定」『新視点・日本の歴史1』 132-139頁。1993「カリンガ土器の制作技術」『北陸古代土器研究』3号74-103頁。1994「稲作農耕民とトウモロコシ農耕民の煮沸用土器―民族考古学による通文化比較」『北陸古代土器研究』4号 85-110頁。1995「縄文から弥生への煮沸用土器の大きさの変化」『北陸古代土器研究』5号 110-130頁。1998「野焼き方法の変化を生み出した要因―民族誌の野焼き方法の分析―」『民族考古学序説』民族考古学研究会編、pp.139-159、同成社久保田正寿 1989『土器の焼成I』クオリ久世建二・北野博司・金昌郁・藤井一範・姜興錫・南部次郎・小林正史 1994「縄文土器から弥生土器への野焼き技術の変化」『日本考古学協会第60回総会研究発表要旨』26-29頁。久世建二・北野博司・小島俊彰・小林正史 1996「縄文土器の野焼き方法」『日本考古学協会第62回総会研究発表要旨』94-97頁。宮川村教育委員会 1996『堂の前遺跡発掘調査報告書』小笠原雅行 1996「三内丸山遺跡出土土器の数量的研究」『シンポジウム考古学とコンピュータ―三内丸山をコンピュータする―』pp.29-44岡安雅彦 1994「黒斑にみる弥生土器焼成方法の可能性」『三河考古』7号 45-65頁。1996「縄文土器焼成方法復元への実験的試み」『古代学研究』133号 21-31頁。1999「野焼きから覆い焼きへ その技術と東日本への波及」『弥生の技術革新 野焼きから覆い焼きへ』pp.48-63 安城市歴史博物館
著者
徳竹 いづみ 小林 正義 杉村 直哉 冨岡 詔子
出版者
日本作業療法士協会
巻号頁・発行日
pp.38-46, 2008-02-15

要旨:本研究の目的は,長期入院患者と合意される作業療法目標の特徴を明らかにすることである.合意面接に同意した72名の入院患者を対象に「合意内容調査票」を用いて調査した結果,「身体・健康管理」,「楽しみ・趣味」,「気分転換」に関することが対象者と合意されやすい目標であり,面接を2回行った37名の結果からは,合意内容が作業療法経過に沿って発展していくことが確認された.これらの結果は,長期入院患者と理解しやすいことばで目標を合意することの重要性を示しており,対象者と作業療法目標を分かち合う過程は日常生活に意味や価値をもたらし,長期入院による二次的な機能低下を防ぐための基本的な援助過程と思われた.
著者
小林 正佳
出版者
社団法人 におい・かおり環境協会
雑誌
におい・かおり環境学会誌 (ISSN:13482904)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.246-251, 2014-07-25 (Released:2018-02-13)
参考文献数
26
被引用文献数
4 3

嗅覚はにおいを感じる化学感覚で,これに異常が生じた状態を嗅覚障害という.嗅覚障害は量的障害と質的障害に分類され,量的障害には低下と脱失があり,質的障害には異嗅症,嗅盲,嗅覚過敏,その他(悪臭症,自己臭症,幻臭,鉤回発作)がある.嗅覚障害は障害発生部位に基づいて呼吸性,嗅粘膜性,混合性,末梢神経性,中枢性の5つに分類される.嗅覚障害の原因疾患は慢性副鼻腔炎,感冒,頭部外傷の順に多く,これらを嗅覚障害の三大原因という.嗅覚障害の有病率は米国で人口の1〜3%であるが,日本ではまだ調査報告がなく,不明なので今後の疫学調査が望まれる.