著者
関谷 浩孝 上坂 克巳 小林 正憲 南部 浩之
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.67, no.5, pp.67_I_769-67_I_777, 2011 (Released:2012-12-28)
参考文献数
8
被引用文献数
1 1

貨物車の経路選択行動についての既往研究では,所要時間及び費用に加え,道路構造,出発時刻,予測所要時間情報提供の有無等を説明変数とした研究は見られるものの,輸送品の特性に着目した研究は少ない.そこで,本研究では「要冷蔵の有無」及び「到着時間指定の有無」といった輸送品の特性を表す指標と,貨物車の経路選択行動との間に関係があることを実証データを用いて明らかにした.具体的には,物流センサスデータを用い,上記2つの指標それぞれと「高速道路利用の有無」の関係を分析し,冷蔵が必要な品物及び到着時間を指定された品物は,高速道路を利用して輸送される割合が大きいことを示した.
著者
小林 正秀 上田 明良 野崎 愛
出版者
応用森林学会
雑誌
森林応用研究 (ISSN:13429493)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.87-92, 2000-09-25 (Released:2018-01-16)
被引用文献数
5

これまで,カシノナガキクイムシの関与するナラ類集団枯損が,倒木の発生によって助長される危険性が指摘されてきた。そこで,生立木の伐倒丸太を被害地に放置する実験を行った。その結果,カシノナガキクイムシは倒木に穿孔し,倒木周辺では主に斜面下部の立木が穿孔されて枯損木が発生した。また,カシノナガキクイムシは伐倒丸太でも繁殖可能で,1年間放置した伐倒丸太から集団枯損に関係すると考えられている病原菌が分離されたことから,伐倒丸太から羽化した成虫は病原菌を媒介する可能性が示唆された。また,風倒木が発生している被害林分を調査した結果,ナラ類集団枯損被害は風倒木を中心に拡大していることが明らかになった。以上のことから,倒木の放置によってナラ類の集団枯損が拡大することが明らかになった。
著者
中込 博 古屋 一茂 大森 征人 井上 慎吾 飯野 善一郎 依田 芳起 小林 正史 飯塚 恒
出版者
特定非営利活動法人 日本乳癌検診学会
雑誌
日本乳癌検診学会誌 (ISSN:09180729)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.185-190, 2012-06-20 (Released:2014-12-05)
参考文献数
15
被引用文献数
3 4

過去の受診歴より継時的に腫瘤径の比較測定が可能であった30例(腫瘤21例,石灰化病変9例)の患者を対象に,腫瘍倍加時間(DT; doubling time)を算出した。検診の検出限界を5mmと考えたとき,腫瘍径5mmの病変が発見できず2年後の検診では2cmになる乳癌の腫瘍倍加時間は120日と計算される。120日より早いDTを持つ乳癌は2年毎の検診では転移を生じる病変になる可能性が高いと考え,その特性を組織型およびホルモンレセプター(HR),Her2発現によるsubtype別に検討した。120日以下のDTを示す病変は腫瘤性病変43%(9/21),石灰化病変44%(4/9)に認められた。Subtype別には,HR陰性Her2陰性の乳癌3例においてDT 60日前後と非常に速い増殖速度を示した。化生を伴う乳癌が2例含まれていた。HR陰性Her2陽性およびHR陽性Her2陽性の乳癌で,DTは112±10日,128±48日と早いことが認められた。HR陽性Her2陰性の乳癌19例において,DT 867±679日とばらつきが認められた。120日以下の症例は5例(26%)に認められ,粘液癌が3例,通常型乳癌が2例が含まれていた。HR陽性Her2陰性の乳癌において,検診の間隔は2年が妥当であるが,HR陰性Her2陰性およびHer2陽性の乳癌においては,さらに短期間での検診が必要と思われた。
著者
玉井 昌紀 英 肇 古田 浩人 坂本 浩一 濱西 徹 木村 りつ子 巽 邦浩 下村 裕子 小林 正人 若崎 久生 松本 英作 西 理宏 中尾 大成 佐々木 秀行 南條 輝志男
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.47, no.9, pp.755-758, 2004-09-30 (Released:2011-03-02)
参考文献数
9
被引用文献数
2

症例は63歳, 女性, 2型糖尿病, 妄想性障害にて加療中, 自殺企図にてインスリン1200単位を皮下注射し入院となった, 約4日間低血糖が持続し, 治療のために投与したブドウ糖の総量は1.050gであった. 経過中特に重篤な合併症や後遺症を認めなかった. 本症例を含む10症例の検討では, 低血糖消失までの時間は14時間から6日で, 数百単位以上のインスリン投与例のほとんどは2日間以上低血糖が持続していた. また, 治療に要したブドウ糖総量は170-3, 100gで, 単位時間当たり平均約18gが投与されていた. 報告例は全例糖尿病患者で, 1型と2型糖尿病患者がほぼ同頻度に認められた, 基礎疾患としてうつ病などの精神疾患が多く, 再発例も2例認められたことから, 再発予防のための十分な精神的ケアも必要であると思われる.
著者
小林 正典 清水 勇樹
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.605-607, 2014 (Released:2014-09-25)
参考文献数
12
被引用文献数
5 4

〔目的〕本研究の目的は,インソール装着が立位歩行時の下肢の動揺性に及ぼす影響を明らかにすることである.〔対象〕20歳代の健常な成人男性(学生)22名を被験者に用いた.〔方法〕インソールを装着した場合と非装着の場合での開眼片脚起立時間,重心動揺の測定,足趾ピンチ力を計測,比較しインソールの影響を検討した.〔結果〕いずれの計測項目でもインソールを装着した場合に立位安定機能が低下する傾向が見られ,とくに開眼片脚起立時間と足趾ピンチ力で有意な低下が見られた.〔結語〕インソールの装着は,立位歩行時の足底筋を中心としたアーチ機能に影響を及ぼし,下肢の動揺性を増強させる可能性が示唆された.
著者
齋藤 和幸 大井 和起 稲葉 彰 小林 正樹 池田 昭夫 和田 義明
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.18-23, 2021 (Released:2021-01-29)
参考文献数
21
被引用文献数
2 2

症例は49歳男性.2005年に気管支喘息重積発作による心肺停止状態となった.覚醒後に動作時のミオクローヌスが出現し,Lance-Adams症候群(LAS)と診断された.発症11年後にペランパネルを開始しミオクローヌスは著明に減少し,3年以上持続してactivities of daily lifeが改善した.近年進行性ミオクローヌスてんかん症候群にペランパネルが有効な報告があり,本例のようにLASのミオクローヌスに対してもペランパネルによる治療の余地がある.
著者
小林 正秀 伊藤 進一郎 野崎 愛
出版者
日本森林学会
雑誌
日本林学会大会発表データベース 第114回 日本林学会大会
巻号頁・発行日
pp.60, 2003 (Released:2003-03-31)

カシノナガキクイムシ(以下カシナガ)の穿入に伴うナラ類集団枯死被害について、カシナガの天敵に関する報告はほとんどない。筆者らは、カシナガが繁殖に失敗している坑道内で、ある種の線虫が増殖していることを発見した。そこで、この線虫がカシナガの密度抑制要因、つまり天敵である可能性を明らかにするための予備実験を行った。被害発生年度が異なる4林分で、健全木、穿入生存木、穿入枯死木から線虫を分離したところ、被害発生初期の林分からは線虫がほとんど分離できなかった。また、有意差はなかったが、健全木と穿入生存木からの線虫の分離数は少なく、穿入枯死木からの分離数が多かった。この線虫は、カシナガ生存成虫から分離できたが、死亡個体や他のキクイムシからは分離できなかった。また、カシナガ成虫を解剖したところ、線虫は鞘翅裏側に存在することが判った。線虫はカシナガ孔道内から分離した酵母でよく増殖した。線虫のカシナガ繁殖に及ぼす影響を調べるため、増殖させた線虫を穿入枯死木と健全木に接種した。その結果、枯死木からは再分離されたが健全木からは再分離されなかった。また、再分離数が多かった木ではカシナガの死亡率が高い傾向が見られた。以上のことから、この線虫はカシナガと共に移動し、カシナガが繁殖した坑道内で、カシナガの餌と考えられる酵母を搾取して間接的にカシナガの密度を低下させることが示唆された。
著者
石川 敦子 片岡 厚 松永 正弘 小林 正彦 神林 徹 川元 スミレ 木口 実
出版者
公益社団法人 日本木材保存協会
雑誌
木材保存 (ISSN:02879255)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.72-80, 2016 (Released:2016-06-01)
参考文献数
11
被引用文献数
4 3

2009年に市販されていた木材保護塗料43種類(水性6種類:各2色,油性15種類:各2色,油性1種類:1色)をスギ(Cryptomeria japonica D. Don)心材に塗装し,屋外暴露試験(つくば市,南面45度傾斜)を4年間実施して,各塗料の耐候性能を比較した。その結果,撥水度については,暴露12ヶ月目までは全ての塗料が塗替え目安の80%を上回っていたが,24ヶ月目までに全43種類中19の塗料が80%を下回ること,また,含浸形と半造膜形塗料は撥水度の低下傾向や劣化の形態が比較的似ていることが明らかになった。屋外暴露期間中の変色について統計的に解析したところ,明色系(ライトカラー)の塗料の方が濃色系(ダークカラー)の塗料よりも変色が大きい傾向が示された。さらに,今回測定した2009年市販塗料は,2004年に購入した市販塗料よりも,屋外暴露による変色と撥水度の低下が少ない傾向があること等が明らかになった。
著者
藤目 文子 尾形 明子 在原 理沙 宮河 真一郎 神野 和彦 小林 正夫 鈴木 伸一
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.167-175, 2009-05-31 (Released:2019-04-06)
被引用文献数
1

本研究の目的は、1型糖尿病患児を対象としたキャンプが、病気の自己管理行動に及ぼす影響を検討することであった。キャンプの前後に1型糖尿病患児28名に対して、自己管理行動に対するセルフエフィカシー、糖尿病に関する知識、ストレス反応、HbAlcを測定した。キャンプにおいて、ストレス反応が減少し、自己の症状把握に対するセルフエフィカシーの上昇が認められた。さらに自己注射や、糖分摂取、インスリン調節に対するセルフエフィカシーがストレス反応やHbAlc値を改善させる要因として示唆された。1型糖尿病患児を対象としたキャンプは、症状コントロールのための自己管理行動へのセルフエフィカシーや知識の向上に効果的であることが示唆された。
著者
山極 哲也 松屋 美幸 伊藤 怜子 大西 直世 来住 知美 小林 正行
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.49-54, 2023 (Released:2023-02-13)
参考文献数
14

日本バプテスト病院では,ホスピスを中心に,約70名のボランティアが活動している.2020年2月,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行により,多くのホスピス緩和ケア病棟でボランティア活動が休止される中,チームの一員であるボランティアの活動を継続するための方法を模索してきた.直接患者と交流する代わりに,作品や植物を通して季節や社会の風を届ける工夫や,オンラインによるスタッフ会議や遺族会の開催など,新たなボランティア活動の方法を見出すことができた.また,院内COVID-19対策会議にホスピス担当者も参加し,最善のケアのためにはボランティアの存在が重要であることを病院全体で共有した.そのうえで,「COVID-19流行状況に応じたボランティア活動指針」を感染対策チームと共同して作成し,感染対策に配慮したうえでボランティア活動を継続することが可能となった.
著者
小林 正樹 星野 駿介 樋上 賀一
出版者
公益社団法人 日本油化学会
雑誌
オレオサイエンス (ISSN:13458949)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.61-66, 2018 (Released:2019-09-02)
参考文献数
50

長期の摂取カロリーの制限(caloric restriction; CR)は,加齢に伴う生理的変化や老化関連疾患の発症を抑制もしくは発症時期を遅延し,平均及び最大寿命を延伸する唯一の簡便で再現性の高い方法として,老化・寿命研究に広く応用されている。CRのメカニズムとして,成長ホルモン/インシュリン様成長因子1シグナルの抑制,mechanistic target of rapamycin complex 1の抑制,サーチュインの活性化,ミトコンドリア/レドックス制御の亢進などの関与が示唆されているが,その詳細は未だ充分に解明されていない。本総説では,最近の分子遺伝学的技術の進歩により得られた遺伝子改変動物を用いたCR研究の知見をベースに,我々が最近報告した白色脂肪組織リモデリングに関する新規知見を含めて,CRのメカニズムを考察する。
著者
小林 正史 柳瀬 昭彦
出版者
一般社団法人 日本考古学協会
雑誌
日本考古学 (ISSN:13408488)
巻号頁・発行日
vol.9, no.13, pp.19-47, 2002-05-20 (Released:2009-02-16)
参考文献数
38

弥生時代の米の調理方法を明らかにすることを目的に,上東遺跡P-ト資料の炭化物を分析した。上東資料が選ばれたのは,甕の大半に炭化穀粒が付き,米の調理に使われたことが明らかなためである。炊飯方法を復元する前段階として,おおまかな使用回数と土器の置き方を検討した。暫定的使用回数は,吹きこぼれの頻度と胴上半部のススの有無を基準にして推定した。この暫定的使用回数は「累積的受熱量」を反映するといえるが,累積受熱量が最も少ない甕は「1回のみ使用」と認定できた。次に,甕の設置方法を明らかにするために胴下部~底面のコゲとスス酸化の位置を検討した結果,環状コゲは直置き状態での側面からの炎による加熱を,「環状コゲ+円形コゲ」と「円形コゲのみ」は直置き状態での「側面からの炎の加熱と底面からのオキ火の加熱の組み合わせ」を示すことが明らかにされた。このように,上東資料は全て炉に直置きされていた。米の調理方法を推定するために,稲作農耕民の各種の伝統的米調理方法について,期待される炭化物パターンのモデルを提示した。この民族誌モデルでは,吹きこぼれ程度,コゲの種類と頻度,喫水線の高さ,加熱過程などの属性が米の調理方法を推定する際に重要だった。上東資料の加熱過程については,1回のみ米調理に使われた甕の検討から,吹きこぼれをシグナルに強火加熱から弱火加熱に移行することが明らかにされた。さらに,(1)吹きこぼれや喫水線下のコゲ付きが高い頻度でみられる,(2)喫水線が比較的高めである,などの特徴も,民族誌モデルにおける「炊き干し法」や「炊きあげる湯取り法」の特徴と一致した。中在家南資料の分析でも,東北地方の弥生時代前半の日常調理において炊きあげる炊飯が普及していたことが示されていることから,(2)の炊飯方法は弥生時代にかなり普及していたと考えられる。一方,「弥生時代の米の調理は粥・雑炊状が中心だった」という仮説も一般に受け入れられている。この仮説は,具体的根拠が示されていないが,「弥生時代の米は単位あたり収量が低かったため,農民の多くは米をあまり食べられず,増量できる粥・雑炊にした」と想定していると思われる。これに対し,本稿の分析の結果,(1)弥生時代には炊きあげる炊飯方法が普及していた,(2)弥生時代になると炊飯専用の甕が作り分けられていたなどの点から,弥生時代の米食程度は現在の主流仮説よりは高かったと考えられる。
著者
小林 正人 佐藤 啓太 佐藤 和紀
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会構造系論文集 (ISSN:13404202)
巻号頁・発行日
vol.87, no.802, pp.1123-1132, 2022-12-01 (Released:2022-12-01)
参考文献数
10
被引用文献数
1

In 2016, a countermeasure against the Nankai trough long-period and long-duration ground motions (LPGMs) was announced. However, the response spectrum method (RSM), indicated by the Ministry of Construction notification Vol. 2009 (MCN), is out of the countermeasure. An RSM that considers characteristic changes due to repeated deformation has also been proposed, but since the damping correction formula of MCN is used, its applicability to LPMGs has not been sufficiently investigated. In this paper, we proposed a method for evaluating the influence of characteristic changes due to repeated deformation using RSM for LPGMs and seismically isolated buildings using LRB.