著者
関根 良平 佐々木 達 小田 隆史 増田 聡
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2014, 2014

報告者らは2013年1~2月に本報告と同じ福島県いわき市の市民を対象に食料品の購買行動と意識に関して調査を実施し、2013年日本地理学会秋季福島大会において佐々木(2013)として報告している。そこでは①野菜の購入先は食品スーパーが主流である。震災前後で購入先に大きな変化は見られない。②野菜を購入する際に重視されているのは産地、鮮度、価格の3要素である。風評と関連する放射性物質の検査はこれに続く結果となっており、原発事故以降に新たな判断材料として加わった。③購入産地は県外産にシフトしている。ただし、産地表示や検査結果を気にする反面、判断に用いる情報ソースは二次情報、三次情報である可能性も否定できない。④購買行動において国の基準値や検査結果に対して認知されているが,信頼度という点においては低い。野菜の購買基準は,「放射性物質の検査」と答える人も多いが,風評とは関連性のない「価格」を挙げる人が多い。しかし、「価格」要因は消費者サイドに起因するのではなく現在の小売主導の流通構システムから発生している可能性がある。といった諸点を指摘した。本報告は、こうした風評被害の特性と構造の変化、もしくはその「変容しにくさ」が働くメカニズムを解明したい。これは、事故より3年を経てもなお、汚染水や除染廃棄物問題が復興の足かせとなっている福島県では、調査研究においても一過性ではない継続的な視点が不可欠と考えるからである。
著者
小田切 明徳 オタギリ アキノリ Otagiri Akinori
出版者
同志社大学人文科学研究所
雑誌
キリスト教社会問題研究 (ISSN:04503139)
巻号頁・発行日
no.65, pp.165-171, 2016-12

エッセイ(Essay)この物語は宇治と祇園の二つの地が舞台です。宇治は山宣(山本宣治;1882-1929 性科学者、産児調節運動のリーダー)の父(亀松)と母(タネ)の生家です。祇園はタネの友人のタカがいました。ここはタカの関係者が東京からやってきました。夏目漱石、松井須磨子、島村抱月一座などです。『祇園夜話』で有名な吉井勇や長田幹彦が接待しましたが、今でも晩秋になると白川では「かにかくに祭」が行われ、芸者舞子らがつどい当時を偲びます。This story will be performed in Uji and Gion. Uji was the place where Kamematsu and Tane, the parents of Yamasen were born (Yamamoto Senji; 1882~1920, a sexologist and expert of birth control pragmatist), and Gion was a the area Tane's friend Taka lived. In the Taisho era, Natsume Soseki, Matsui Sumako and Shimamura Hogetsu often visited Gion, and there was a big boom of light novels (famous writers where Hasegawa Shigure and Nagata Mikihiko, and Yoshii Isamu who published Gion Yawa) Still now, a party called "Kanikakuni festival" is annually held in the late autumn: many Maiko and Geisha get together at Shirakawa riverside in memory of that time.
著者
小田実著
出版者
岩波書店
巻号頁・発行日
2008
著者
小田 順一 加藤 博章 平竹 潤 田中 啄治
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1996

本研究では、ATPを補酵素として用いる反応として、異なる基質間にCN結合を形成する3つのリガーゼ、グルタチオン合成酵素、γグルタミルシステイン合成酵素、アスパラギン合成酵素を、また、NADPHを用いる反応として、トロピノンから互いにジアステレオマ-の関係にあるトロピンとψトロピンを生じる2つのトロピノン還元酵素を取り上げ、X線結晶解析による立体構造を基に、遺伝子工学を用いて部位特異的変異導入を行いながら、有機合成化学的なアプローチによって反応機構を明らかにするための研究を行った。得られた成果のうち主なものは以下の通りである。1.γグルタミルシステイン合成酵素の分子表面に存在するシステイン残基をセリン残基に変換することにより、同酵素を結晶化することに成功した。同酵素の遷移状態アナログの合成にも成功し、活性中心において厳密に認識されている部分構造のモチーフを明らかにすることが出来た。2.互いに立体特異性の異なる2つのトロピノン還元酵素については両者とも結晶が得られ、多重同形置換法を用いて独立にX線結晶解析を行い、立体構造を決定することが出来た。その結果、厳密な基質特異性の違いは、基質結合部位のわずかな違いによるものであることが判明した。3.アスパラギン合成酵素の活性中心を形成していると予想されるアミノ酸残基を部位特異的に変換することにより、活性に必須なアミノ酸残基を同定することに成功した。また、同酵素の遷移状態アナログの合成にも成功し、得られた遷移状態アナログと酵素との複合体のX線結晶構造解析も現在進行中である。
著者
新美 三由紀 赤座 英之 武島 仁 樋之津 淳子 高橋 秀人 加納 克巳 大谷 幹伸 石川 悟 野口 良輔 小田 英世 大橋 靖雄
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科学会雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.88, no.8, pp.752-761, 1997-08-20
参考文献数
11
被引用文献数
2

(背景と目的) 癌告知の是非について様々な論議がなされているが, 現在でも, その原則は確立されてはいない. そこで今回は, 前立腺癌患者のQOLに対する癌告知の影響について検討した.<br>(対象と方法) 前立腺癌の外来通院患者を対象に, GHQとI-PSSを用いて, QOLの構成因子である身体・精神・社会的側面を測定し, GLMにより, [うつ状態] [不安と不眠] [社会的活動障害] のそれぞれに対する寄与要因を探索し, 告知の効果の影響を検討した.<br>(結果) 告知の有無で比較したとき, 全変数とも有意差は認められなかったが,「うつ状態」「I-PSS」「身体的症状」の3変数間の相関構造が, 告知あり群と告知なし群で大きく異なった. さらにGLMの結果,「うつ状態」に対して「身体的症状」「I-PSS」「臨床病期」が主効果として寄与し,「告知の効果」と「身体的症状」の交互作用が認められた.<br>(結論) 前立腺癌患者は, 身体状態が良いときは, 病名告知に関わらず精神的に安定しているが, 身体的な自覚症状が強くなると, 告知されていない群の方が抑うつ傾向を示す可能性が高い. 一方, 病名を告知された前立腺癌患者群では, この傾向は比較的弱いことが示唆された. これは病名を告知されている群は, 患者自身が自覚的な身体症状の変化を理解でき, そのために精神的安定が保たれているのではないかと推察される.
著者
福田 将義 大坪 倫代 徳山 理恵 山田 透子 村野 竜朗 加藤 知爾 井上 大 清水 寛路 小田柿 智之 岡宮 聡 村田 直樹 小倉 祐紀 竹縄 寛 芝 祐信
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
雑誌
Progress of Digestive Endoscopy (ISSN:13489844)
巻号頁・発行日
vol.75, no.2, pp.44-47, 2009-12-10 (Released:2013-07-29)
参考文献数
8
被引用文献数
1 1

内視鏡的大腸ポリープ切除術について,後出血の危険因子および後出血予防処置としてのクリッピングの有効性について検討を行った。2004年から2007年の4年間に,当院にて施行した1049病変について解析を行った。出血例は26病変に認められ,出血率は2.5%であった。病変部位,病変の大きさ,病変形態,切除方法,組織型,クリップ施行の有無について検討を行った。後出血の要因として,病変部位としては左側結腸,大きさは15mm以上,病変形態は広基性または10mm以上の有茎性,切除方法は分割切除,組織型は腺癌であった。クリッピングの有効性については,施行例・非施行例での背景が異なっており,有効性を示すためには施行規準を設けた前向き研究が必要と考えられた。
著者
小野 倫太郎 本村 知華子 高松 伸枝 近藤 康人 赤峰 裕子 松崎 寛司 村上 洋子 網本 裕子 田場 直彦 本荘 哲 柴田 瑠美子 小田 嶋博
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.149-155, 2015 (Released:2015-09-30)
参考文献数
17
被引用文献数
1

症例は10歳女児.柑橘類を摂取後の運動負荷でアナフィラキシーを起したエピソードを3回認めた.柑橘類による食物依存性運動誘発アナフィラキシー(Food-dependent exercise-induced anaphylaxis:FDEIA)を疑い,負荷試験を行った.オレンジ摂取と運動負荷の組み合わせは陰性であったが,アスピリン内服とオレンジ摂取の組み合わせで眼瞼腫脹,喘鳴を認め,オレンジによるFDEIAと診断した.フルーツアレルギーではOral allergy syndrome(OAS)の症例が多く,FDEIAは稀である.本症例ではイムノブロット法にて9kDa,39kDa,53kDaの抗原を認め,オレンジによるインヒビションにて39kDa,53kDaの抗原が特異抗原アレルゲンと考えた.本症例はスギ特異的IgE抗体強陽性であったが,スギ抗原とは共通抗原性は認めなかった.オレンジ抗原として知られるCit s群とは異なる39kDa,53kDa蛋白が原因となるFDEIAは報告がない.
著者
小田 幸子
出版者
中世文学会
雑誌
中世文学 (ISSN:05782376)
巻号頁・発行日
no.23, pp.p27-35, 1978
著者
岩野 耕治 後藤 優典 深尾 勇也 酒井 康彦 伊藤 靖仁 長田 孝二 酒井 雅晴 落合 利徳 小田 修三
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.83, no.849, pp.16-00541-16-00541, 2017 (Released:2017-05-25)
参考文献数
10
被引用文献数
2

The relationship between flow structure and generation of aerodynamic sound from a multi-blade fan is experimentally investigated with enlarged two-dimensional blade models. Two blade models with different shapes are used. Sound pressure level and blade surface pressure are measured simultaneously where the sound transmittable board is used to find the position of sound source. In addition, flow velocity and blade surface pressure are also measured simultaneously. The results show that the sound pressure level takes highest values near the reattachment point of the flow on blade suction surface, where the RMS value of the surface pressure fluctuation takes highest value, and where coherence between the sound pressure and surface pressure takes high values. These values vary with the shape of blades. The size of separation bubble and the intensity of velocity fluctuation also differ by the shape of the blades. The large scale vortical flow structures are extracted by conditional averaging for blade surface pressure fluctuations. Sizes of the large scale vortices correspond to the peak frequencies of the blade surface pressure fluctuation and frequency characteristic of surface pressure fluctuation is explained by the convections of the vortices. In addition, the sizes of large scale vortices correspond to the size of separation bubble. This fact suggests that making separation bubble smaller is an efficient way for reduction of aerodynamic noise of a multi-blade fan.
著者
小田 秀男 横山 正春 植田 和宏 日高 良和
出版者
宇部工業高等専門学校
雑誌
宇部工業高等専門学校研究報告 (ISSN:03864359)
巻号頁・発行日
vol.50, pp.9-12, 2004-03

A Remote controller which can also use a contest was developed. The remote control communicates by infraredrays, and is strong to disturbance. There are two plans as a measure against disturbance in infrared communication. The1st is a measure against hardware and the 2nd is a measure against software. The measure against hardware is improving communication environment. The measure against software is that bad data is disregarded.
著者
小田 亮 大 めぐみ 丹羽 雄輝 五百部 裕 清成 透子 武田 美亜 平石 界
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.84, no.1, pp.28-36, 2013 (Released:2013-07-01)
参考文献数
30
被引用文献数
11 28

This study describes the development and evaluation of the Self-Report Altruism Scale Distinguished by the Recipient (SRAS-DR). The relationship between an actor and a recipient is important for evolutionary studies of altruistic behavior. However, the existing scale for Japanese undergraduates does not distinguish recipients of altruistic behaviors. We developed a new self-report altruism scale based on an evolutionary viewpoint. In Study 1, undergraduate students described their altruistic behaviors in daily life, which we classified according to the recipients (family members, friends or acquaintances and strangers). Then we chose 21 items (7 items for each recipient class) to construct the SRAS-DR by using exploratory factor analyses. In Study 2, we investigated validity and reliability of the scale. The scores were significantly correlated with other relevant scales as well as with behavioral indicators. Test-retest reliability was high. These results indicate that the SRAS-DR has acceptable reliability and validity, and can be used in evolutionary studies of human altruism.
著者
杉原 真晃 橋爪 孝夫 時任 隼平 小田 隆治
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.341-349, 2015-03-20 (Released:2016-08-11)

本研究では,大学初年次教養教育科目としてのサービス・ラーニングにおける現地での活動の質の向上という課題に対して,地域住民とともに活動を行う参与型の実践,評価者に地域住民も加わる実践,地域住民と教員が協働で評価基準を開発・活用するケースについて,評価基準の協働作成と学生への提示の有効性を検討した.その結果,現地での活動の目標の意識化・再設定,意義・方法・役割の明確化,現地の人々や他学生との意義の共有・一体感の獲得等に対して,評価基準が有用であることが明らかとなった.学習成果との関連については,評価基準に示された項目の中で,現地にて重要視されており,学生がそれを達成し,評価基準がそれに対して有用であったと感じられた項目が多い結果となり,本授業で活動・学習の質の保証・向上が概ね達成されており,協働作成した評価基準が有効に機能したことが明らかとなった.
著者
大西 まどか 渡邊 祐理 宮下 佳子 鈴木 理子 小田 浩一
出版者
視覚障害リハビリテーション協会
雑誌
視覚障害リハビリテーション研究発表大会プログラム・抄録集 第19回視覚障害リハビリテーション研究発表大会in東海
巻号頁・発行日
pp.35, 2010 (Released:2010-11-01)

目的: 昨今、ロービジョン人口の増加等により、フォントの視認性も様々な観点から研究されている。 しかし、視認性には様々な要因があり、包括的な研究は未だ少ない。 そこで、本研究では既存のフォントを用いた読書評価によって読みやすさの要因を探る。 対象と方法: 刺激はスタイル(オールド・スタンダード・モダン・UD)、セリフ(明朝・ゴシック)、ウエイト(細・中・太)の三要因を持つ、22 種類のフォントを用いた(UD明朝体のウエイトは中のみ)。 読みやすさの指標には読書視力(RA)、臨界文字サイズ(CPS)、最大読書速度(MRS)を使用した。 被験者にフォントの種類別に読書視力評価の手法で刺激を呈示し、誤読数と読み速度を記録した。 被験者は視覚正常で、日本語を母語とする学生6名。 結果と考察: RAにおいてスタイル、セリフ、ウエイトを要因とした3要因分散分析を行った結果、すべての要因の主効果がみられた (F(3,109)=5.41 p<0.05,F(1,109)=4.50 p<0.05,F(2,109)=25.02 p<0.01)。 また交互作用はセリフとウエイト間のみであった(F(2,109)=3.61 , p<0.05)。 スタイルとウエイトについてTukeyのHSDによる多重比較を行った結果、スタイルはUD=オールド=>モダン>スタ ンダードだった。 一文字当りの字面は大きい順にUD>モダン>スタンダード>オールドとなる。 字面の一番小さかったオールドがスタンダードよりも良く、またUDとオールドの値には有意な差がなかったので、字 面の大きさが読みやすさに直結しているとは言い難い。 また、ウエイトについてもTukeyのHSDによる多重比較を行ったところ、太>中>細となり、ウエイトが太くなるにつれて視認性が向上するという先行研究に沿った結果となった。 なお、CPS, MRSについて3つの要因の効果は見られなかった。
著者
山中 今日子 小田 浩一
出版者
視覚障害リハビリテーション協会
雑誌
視覚障害リハビリテーション研究発表大会プログラム・抄録集 第18回視覚障害リハビリテーション研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.37, 2009 (Released:2009-11-06)

【目的】主観的な視認性評価が文字の画数の多少とウェイト(線の太さ)から受ける影響は呈示文字サイズによってどのように変化するか、質問紙を用いて調査した。 【方法】刺激は良く使われる漢字の画数分布に合わせてサンプルした1画~20画の90字(加藤・横澤)を画数で4グループに分け、各グループから4文字ずつランダムに抽出した。モリサワ新丸ゴシックのウェイトL,R,M,B,Uを用い、普通紙に2400dpiのレーザープリンタを用い文字サイズは35,22,14,9,6pointでランダム順に印刷した。調査対象者は大学生6名で、見やすい・どちらとも言えない・見にくいの3段階評価を行った。 【結果・考察】評価得点に対する画数,ウェイト,文字サイズを要因とした三元配置の分散分析では三要因の主効果及び全ての組み合わせにおける交互作用が有意であった。(画数:F(3, 15)=87.76, p=.00、ウェイト:F(1.52, 7.58)=50.69, p=.00、文字サイズ:F(1.27, 6.34)=6.45, p<.05、画数×ウェイト:F(2.32, 11.60)=56.75, p=.00、画数×文字サイズ:F(3.47,17.34)=28.51,p=.00、ウェイト×文字サイズ:F(1.72,8.62)=6.48, p<.05、画数×ウェイト×文字サイズ:F(3.92, 19.59)=5.64, p<.01) 文字の複雑さによって読みやすいと感じるウェイトの値は異なると言える。また、この画数とウェイトが主観的視認性にもたらす効果は文字の大きさによって変化し、読み素材として身近な文字サイズでは日常的に見慣れているフォントに近いLやRを画数に関係なく好むことが示唆された。またこのサイズを下回ると、ウェイトが太く画数の多い文字の視認性が急激に低下し、逆にこのサイズを極端に上回るとLよりもR,Mを好む傾向が伺えた。
著者
山中 今日子 小田 浩一
出版者
日本ロービジョン学会
雑誌
日本ロービジョン学会学術総会プログラム・抄録集 第9回日本ロービジョン学会学術総会
巻号頁・発行日
pp.25, 2008 (Released:2009-01-17)

【目的】 ウェイトとは文字の線幅の太さのことである。構造の複雑さに個体差のある漢字の場合、画数の多少によってウェイトと視認性の関係は異なる(山中・小田,2007)。視力の低下に伴い、日本語書体における画数とウェイトが視認性にもたらす影響に変化があるかどうかを検証する。 【方法】 刺激には1~20画の漢字90文字を用い、画数の多少で4段階に区分した。フォントはモリサワ新丸ゴシックからL、R、M、B、Uの5段階のウェイトを用いた。被験者は正常視力1.0以上を有する日本人女子大生10名で、視力低下条件ではシミュレーション眼鏡を用いて視力を約0.4まで低下させた。 これらの画数、ウェイト、視力条件をかけ合わせた40条件において実験を行った。呈示文字サイズの範囲を正答率100%の最小から正答率0%の最大の大きさとなるように調整し、対数間隔で呈示された7段階の文字サイズについて音読課題を20回繰り返す恒常法で認識閾値を測定した。 【結果】 対数に直した認識閾値サイズについて、画数、ウェイト、視力条件を要因とした3元配置の分散分析及び多重比較を行った結果、全ての主効果(ウェイト:F(1.94,17.50)=15.69,p<.01、画数:F(3,27)=1.19,p<.01、視力条件:F(1,9)=328.01,p<.01)及び画数とウェイトの交互作用(F(12,108)=8.28,p<.01)が有意にみられた。 【結論】 視力条件の変化に比例した文字サイズの拡大が必要となるが、視力条件がフォントと視認性の関係を変化させることはない。視力低下の有無に関わらず、日本語書体における視認性が最も高くなるフォントは線幅/文字高さが10%程度のものであると考えられる。