著者
北 祐樹 ⼭崎 ⼤
出版者
水文・水資源学会
雑誌
水文・水資源学会誌 (ISSN:09151389)
巻号頁・発行日
pp.35.1743, (Released:2022-05-13)
参考文献数
32
被引用文献数
3

国や自治体が整備する洪水ハザードマップは広く利用される一方で,水系ごとに洪水ハザードマップを個別作成することの大きな時間とコストが課題である.本研究では,グローバル河川氾濫モデルCaMa-Floodによる広域シミュレーション出力から日本の1000年確率規模の想定浸水域を作成し,公的なハザードマップと比較することで,モデル出力をハザードマップとして活用する可能性を議論する.再解析流出量を入力としてCaMa-Floodで計算した水位を極値解析して1000年確率規模の水位を得,高解像度の地形データでダウンスケールして想定浸水域図を作成した.得られた想定浸水域を公的ハザードマップと比較すると,バックウォーターによる浸水や分岐河道での浸水域が概ね表現されていた.一方で,上流からの越水や集水域境界を跨いだ流れで生じる浸水が一部表現されないという課題が確認され,CaMa-Floodで作成した想定浸水域内に含まれる人口は公的なハザードマップに比べ29%少なかった.グローバル河川氾濫モデル出力が洪水ハザードマップとして一定の精度を持つことを確認し,ローカルな洪水リスク評価への活用などの可能性を示した.
著者
岩崎 祥平 山崎 敦朗 畠山 広大 内山 陽平 井上 貴博 新田 晃平 山口 政之
出版者
一般社団法人 日本レオロジー学会
雑誌
日本レオロジー学会誌 (ISSN:03871533)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.171-179, 2022-04-15 (Released:2022-05-15)
参考文献数
50
被引用文献数
2

Microporous films were obtained from an extruded sheet of isotactic polypropylene (PP) containing N,N’-dicyclohexyl-2,6-naphthalene dicarboxamide as a crystal nucleating agent under suitable hot-stretching conditions. The crystalline structure before and after the stretching operations was evaluated by two-dimensional wide-angle X-ray diffraction, and it was found that the original sheet contains a large amount of β-form crystals oriented to the transversal direction (TD) by the extrusion at 200 °C, which is lower than the dissolution temperature of the nucleating agent in PP. During stretching of the sheet, α-form crystals oriented to the stretching direction appeared by the transformation from β- to α-form crystals. Moreover, numerous microvoids were generated by stretching around at 100 °C to the machine or flow direction (MD) of the sheet, although the microvoids were prolonged. The sequential TD stretching, however, expanded the area of voids, leading to a microporous film with a pronounced porosity.
著者
山崎 喜比古
出版者
医学書院
雑誌
看護研究 (ISSN:00228370)
巻号頁・発行日
vol.42, no.7, pp.479-490, 2009-12-15

はじめに 健康生成論およびSOC概念・尺度の提唱と本稿の目的 20世紀後半,特に最後の四半世紀,健康・病気と保健医療の世界においてパラダイムシフト,すなわち,それまでの健康・病気と保健医療に関する伝統的支配的な見方・考え方に代わる新しい見方・考え方の提唱と普及が進んだ。 その1つに,ユダヤ系米国人の保健医療社会学者アーロン・アントノフスキー(Aaron Antonovsky)博士(社会学)が,1979年と1987年に刊行した2大著作で世に問うた健康生成論(salutogenesis)とストレス対処・健康保持力概念SOC(sense of coherence)がある。書名を和訳すれば,1作目が『健康,ストレス,そして対処─心身の健康への新しい見方』(Antonovsky, 1979)であり,2作目が『健康の謎を解く─ストレス対処と健康保持のメカニズム』(Antonovsky, 1987/山崎・吉井監訳,2001)である。 Antonovskyによれば,従来の医学は,予防医学や公衆衛生も,基本的には,疾病生成論(pathogenesis)的な観点から,疾病を発生させ増悪させる危険因子(リスクファクター;risk factor)と,その軽減もしくは除去の方策について,膨大な知識と実践を蓄積してきた。それに対して健康生成論は,疾病生成論とは180度転回した角度,すなわち,健康はいかにして回復され,保持され,増進されるのかという観点から,その要因を健康要因(サリュタリーファクター;salutary factor)と呼び,健康要因の解明と支援・強化がめざされる理論である。 さらにAntonovskyは,人々の健康を守り改善するためには,疾病生成論と健康生成論が相互補完的に,車の両輪のように発展させられなくてはならない,にもかかわらず,健康生成論は,疾病生成論に比べてあまりにも大きく立ち遅れてきたという。 SOCは,直訳すれば首尾一貫感覚,すなわち,自分の生きている世界(生活世界)は首尾一貫している(coherent),つまり,筋道が通っている,腑に落ちるという感覚である。我々は,SOCの日本語との呼称としては,わかりやすさの点から,日本に紹介した当初より,何をどのように感じている感覚なのかを表現する「首尾一貫感覚」ではなく,何に対してどのような働きをする感覚なのかを表現する「ストレス対処・健康保持能力」または単に「ストレス対処能力」のほうを用いてきた。しかし,それも,「能力」とするか,それとも単に「力」とするかについては,正直,ずっと迷い続けてきた。本号焦点でも,基本的には従来通り,「能力」を用いているが,本稿では,あえて「能力」の代わりに,包括性のより高い「力」のほうを使わせていただくこととした。両者のニュアンスの違いについては,簡単にではあるが後述する。 SOCは,Antonovskyが,上述した健康生成論的な観点から,極めてストレスフルな出来事や状況に直面させられながらも,それらに成功裏に対処し,心身の健康を害さず守れているばかりか,それらを成長や発達の糧にさえ変えて,明るく元気に生きている人々のなかに見いだした,人生における究極の健康要因であり,健康生成論の要の概念である。 Antonovskyの健康生成論的な発想と見方・考え方は,その後,世界の保健,医療,看護や心理などヒューマンサービスに関わる広範な分野の学問と実践にパラダイムシフト的なインパクトをもたらした。また,SOC概念がAntonovskyの2作目の著作(Antonovsky, 1987/山崎・吉井監訳,2001)において尺度化され,SOC尺度が提案されることによって,この20年あまりの間に,SOCと健康生成モデルの実証研究が大いに促進され,年々,幾何級数的な増加を示し,世界の学術雑誌に掲載されたSOC実証研究論文だけでも,今日までに千数百本にものぼっている。健康生成モデルとは,SOCはどのような働きをするのか,SOCは何によって育まれるのかということについての理論モデルのことである(図1)。 本稿では,以下,こうしたSOCとその着想のもとになった健康生成論とはどういう概念であり理論なのか,特に,SOCはどういう感覚なのか,人生における究極の健康要因として,ストレスフルな出来事や状況に直面して,どのような働きをする,どういう力なのかということについて,Antonovskyの提唱した理論をベースに,その後の実証研究の成果も踏まえて,概説してみたい。筆者らが2008年に出版した『ストレス対処能力SOC』(山崎・戸ヶ里・坂野編,2008)の第1章「ストレス対処能力SOCとは」とも重なるところが少なくはないが,本稿では,さらに整理と深化を随所で図ったつもりである。
著者
平林 由希子 山田 果林 山崎 大 石川 悠生 新井 茉莉 犬塚 俊之 久松 力人 小川田 大吉
出版者
水文・水資源学会
雑誌
水文・水資源学会誌 (ISSN:09151389)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.175-191, 2022-05-05 (Released:2022-05-06)
参考文献数
23
被引用文献数
2

アジアやアフリカの途上国などの洪水リスク情報の整備が不十分な地域で企業が事業展開する際は,グローバル洪水モデル(GFM)で作成した広域洪水ハザードマップが活用される.本報では企業実務で活用されている既存の広域洪水ハザードマップを比較し,それぞれ浸水域や浸水深の差異の要因をモデル構造や入力データに着目して分析した.その結果,低平地の浸水パターンは標高データの精度に左右されること,洪水防御情報の反映方法がGFM 間で大きく異なることが判明した.また,大きな湖に接する河川区間では背水効果,デルタ域では河道分岐の考慮が,それぞれ現実的な浸水域分布を得るのに必要なことが示唆された.これらの特徴を踏まえてハザードマップ選択のフローを用途ごとに整理した.全ての業種や目的に共通して利用を推奨できるマップは存在しない一方で,各マップの長所短所を一覧にすることで,ある程度客観的に使用すべきマップの優先順位を決められることが分かった.この知見は有償プロダクトを含む他リスクマップ使用を検討する場合にも拡張可能であり,企業実務において説明性の高い適切な浸水リスク評価を実施する上での基礎的な情報となりうる.
著者
前田 亜紀子 山崎 和彦 野尻 佳代子 栃原 裕
出版者
日本生気象学会
雑誌
日本生気象学会雑誌 (ISSN:03891313)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.103-112, 2006 (Released:2006-09-13)
参考文献数
31
被引用文献数
2

本研究の目的は,濡れた衣服を着用したときの体温調節反応について観察することであった.被験者は健康な成人女子11名であった.人工気候室は,気温30,25,20℃(相対湿度は80%一定)に制御された.衣服の様式は,スウェット上下(様式 S)と T シャツおよび短パン(様式 T)とし,気温と衣服の条件より 5 種条件(30S, 30T, 25S, 25T, 20S)を設定した.衣服の濡れ条件は,D(乾燥),W1(湿った),W2(びしょ濡れ)の 3 種とした.条件 D, W1, W2 における全衣服重量の平均は,様式 S では各々819, 1238, 2596 g,様式 T では各々356, 501, 759 g であった.各濡れ条件において,安静期と作業期を設けた.作業期における踏み台昇降作業のエネルギー代謝率は2.7であった.測定項目は,酸素摂取量,直腸温(Tr),平均皮膚温(Tsk),および主観申告値とした.酸素摂取量は,衣服重量および寒冷ストレスの影響を受けて変化した.Tr の値は,条件 25T と 20S では漸減した.Tsk は環境温に依存して漸減し,特に条件 20S においては著しく低下した.本研究の要点は次の通りである.1)濡れた衣服を着用した場合,気温30℃では着衣の工夫により温熱ストレスは最小に止めることができる.2)気温25℃以下では,軽装の場合,寒冷ストレスが生じ得る.3)衣類が乾燥状態であれ濡れた状態であれ,全身温冷感が中立であるとき,Tsk は約33℃であった.4)濡れた衣服条件における特色は,全身温冷感が「冷たい」側へシフトするとき,平均皮膚温が著しく低下することである.
著者
山崎 裕司 松下 恵子
出版者
学校法人高知学園 高知リハビリテーション学院
雑誌
高知リハビリテーション学院紀要 (ISSN:13455648)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.29-33, 2008-03-31 (Released:2018-09-06)
参考文献数
12
被引用文献数
1

本研究では,行動分析学の技法を用いた車椅子キャスター上げの指導方法を考案し,その効果について口頭指示による試行錯誤型の操作練習と比較検討した.対象は,キャスター上げ経験の無い健常女性13名で,無作為に2群に分類された.A群(7名)には,最初に試行錯誤型のコーチングが行われ,次に日を変えて行動分析的コーチングが行われた.B群(6名)では,A群とは逆の順でコーチングが行われた.目標行動は,1分以内に標準型車椅子のキャスターを上げ,その状態を30秒間保持することとした.行動分析的コーチングは,シェイピングや連鎖化,身体的ガイド,プロンプト・フェイディングなどの技法を取り入れて形成された.課題の難易度が段階的に設定され,練習中の失敗ができるだけ少なくなるように配慮された.試行錯誤型のコーチングでは,キャスター上げ,およびその保持の方法が口頭で教示された.いずれも練習時間は30分とした.行動分析的コーチング後,13名全員が30秒以上のキャスター上げに成功した.試行錯誤型コーチングを一日目に導入した7名中,30秒以上のキャスター上げができた症例はなかった.以上のことから,シェイピングや身体的ガイド,プロンプト・フェイディングを用いたキャスター上げ練習は,口頭指示のみによる試行錯誤型練習に比較してより有効なものと考えられた.
著者
山崎 広明
出版者
経営史学会
雑誌
経営史学 (ISSN:03869113)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.3-26,95, 2006-09-25 (Released:2009-11-06)

The purpose of this article is to analyze the development of entrepreneurial activities of the Youemon Sasaki family at Shin'ichi in Bingo region which is located in the eastern part of Hiroshima Prefecture during the period after the Showa panic (1930-31) until the wartime (July, 1937-August, 1945). The author utilized such various materials as the oral history, the printed matters and the Sasaki archives to accomplish the above purpose.Youemon Sasaki, successful local wholesale merchant, were seriously hit by the Showa panic, and thereafter, the restructuring by the young leader, Gi'ichi Sasaki, became unavoidable. Gi'ichi closed the weaving factories established in 1915, began sewing business, came to sell new commodities such as wide cloths and garments to the local areas and continued seeking such gains as dividends and rents of land and houses.At the wartime Gi'ichi greatly committed himself to sewing business and kept the wealthy local businessman by becoming a salaried manager in Bingo Tokumen Kasuri Moto Haikyu Kabusiki Kaisha (Bingo Kasuri Distribution Company) and Huhaku Seihin Chuo Seizo Haikyu Tosei Kabushiki Kaisha (Cloth Goods Central Manufacturing Distribution Company). He also earned lots of money through dividends of shares during wartime.In recent years many economic and business historians in Japan are making great efforts to describe the local entrepreneurial activities in the prewar years, and this article is also included in such an academic trend.
著者
山崎 誠
出版者
国文学研究資料館
雑誌
国文学研究資料館紀要 = National Institure of Japanese Literature (ISSN:18802230)
巻号頁・発行日
no.34, pp.1-24, 2008-02-28

願文は神仏に宛てられた文書であり、妄語を恐れる心性から、その内容は世俗化した現代とは異なり信憑性が高いといえよう。この点に注目してみると、解決済みとされたり、見過ごされた問題について、願文はなお有力な証拠を提供していると見做なされる。その例証を大江匡房の家族関係について試みる。The people devoted "Ganmon" documents to Buddha, Devas and the deceased in customs of other days. When they describe for themselves, awed to offend the commandment against lying, therefore the description must be hightly reliable. "Ganmon" which composed by Oe no Masafusa could vouch for illuminating the unsettled issues on his family.
著者
山根 雅司 山崎 淳 阿部 正佳
雑誌
情報処理学会論文誌プログラミング(PRO) (ISSN:18827802)
巻号頁・発行日
vol.1, no.3, pp.1-10, 2008-10-27

本発表では,自動エラーリカバリ機構を持つパーサジェネレータ yayacc の設計と実装を述べる.yacc や bison をはじめとして,現在広く使われているパーサジェネレータでは,文法中に特殊なエラーリカバリ動作を指示するトークンを手動で挿入させることで,エラーリカバリパーサを生成している.この古典的な手法は本来の文法定義を変えてしまうことに起因する深刻な問題があり,正しいエラーリカバリを行うパーサを生成させるには,多くの勘と経験が必要とされる.一方,yayacc ではエラーリカバリのために,文法を修正するというこがいっさい不要であり,生成されるパーサは従来の error トークン手動挿入によるパーサでは理論的に不可能な優れたエラーリカバリを自動的に行う.さらに yayacc では意味動作の Undo も自動で行うことが可能である.これは先行研究における自動エラーリカバリパーサでは扱われていないが,字句解析が完全に分離できない文法,たとえば C 言語に対しても自動的なエラーリカバリを行う場合に必要となる重要な機能である.yayacc は筆者らが開発している SCK コンパイラキットのツールの 1 つとして作成されたものである.現在 ANSI C言語,および小規模な関数型言語のパーサは yayacc により自動生成されたものを使っており,きわめて優れたエラーリカバリが行われている.
著者
増山 雄太 中村 泰信 野口 篤史 布能 謙 村下 湧音 河野 信吾 田渕 豊 山崎 歴舟 上田 正仁 Pekola Jukka P.
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会講演概要集
巻号頁・発行日
vol.71, pp.2649, 2016

<p>本研究では,三次元マイクロ波共振器中に超伝導量子ビットを配置した系により,超伝導量子ビットに対して射影測定を行い,その結果を用いてコヒーレンス時間内にフィードバックし,再び超伝導量子ビットを射影測定した.この一連の測定結果から,絶対不可逆な過程の寄与も考慮に入れた一般化された積分形のゆらぎの定理を検証した.この結果は量子系におけるMaxwellの悪魔を初めて実装できたことを示している.</p>
著者
西海 功 山崎 剛史 濱尾 章二 関 伸一 高木 昌興 岩見 恭子 齋藤 武馬 水田 拓
出版者
独立行政法人国立科学博物館
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

日本列島の島嶼部を中心に分布する陸鳥類の14分類群(19種)について、異所的な集団の種分化と種分類に関する研究をDNA分析、形態学的分析、およびさえずりの音声分析を含む生態学的分析によっておこなった。日本列島の島嶼部を中心とした陸鳥の集団構造や種分化が極めて多様なことが示された。つまり、遺伝的な分析からは、南西諸島の地史を直接に反映した集団構造は陸鳥類では全くみられず、集団の分化のパターンが種によって大きく異なることがわかった。遺伝的に大きく分化している地理的境界線の位置も種によって異なるし、遺伝的分化の程度も分化の年代も種によって大きく異なることが示唆された。また、形態的分化や生態的分化の程度も種によって異なり、それらは必ずしも遺伝的分化の程度と相関しないことが推測された。近縁種の存否がさえずりの進化に影響する、すなわちさえずりの形質置換があったり、人為的環境の改変への適応が行動を通して形態的適応進化を促進したりすることがわかった。また、リュウキュウコノハズクやキビタキなど多数の種で亜種分類の見直しの必要性が示唆され、ウチヤマセンニュウなどいくつかの種では種分類の見直しの必要性が示唆された。今回の研究期間ではっきりと種・亜種分類の見直しの検討が出来たのはメボソムシクイ類とコトラツグミのみであったので、それ以外の見直しは今後の課題として残された。

2 0 0 0 酒と経営

著者
山崎 誠三
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.73, no.1, pp.3-5, 1978

筆者の父君は山種証券の創業者で, 現在では第一線を退いて会長の役仁あるが, 伊豆の来宮で悠々自適。その波乱にみちた生涯は, 自伝『そろばん』(日経刊) で詳細をうかがうことが出来る。会長の事業は二分されて継承され, 辰巳倉庫は筆者が社長となり, 山種証券は兄上が主宰しておられる。<BR>米が筆者を愛酒家たらしめたか, はたまたその逆であるかは, さだかではないが, 酒類業界に対する関心と研究熱心には年季が入っているようである。大企業対中小企業の比較検討をビール業界と清酒業界との次元で行っているのには興味がそそられる。秋の夜に白玉の歯にしみとおる美酒を愛するが故に憂国の惰を洩らしている。
著者
樋口 輝美 眞野 善裕 石川 由美子 山崎 俊男 水野 真理 大川 恵里奈 堀田 直 瀬戸口 晴美 早瀬 美幸 吉沢 美佳 堀之内 那美 榎本 伸一 安藤 英之
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.45, no.10, pp.937-945, 2012-10-28 (Released:2012-11-14)
参考文献数
29
被引用文献数
1

目的:透析患者は低栄養,炎症,動脈硬化を主体としたMIA症候群の危険にさらされている.今回維持透析施行中の患者のgeriatric nutritional risk index(GNRI)を測定し,栄養状態について検討し,血漿CRP,IL-6,Fetuin-A,8-OHdG等の各種パラメーターを測定し,それらとの相関等について検討した.対象:当院で安定した維持血液透析施行中の患者138名.内訳は男性95名,女性43名.平均年齢69±11歳(38から88歳)で平均透析歴58±60か月(3から390か月)である.方法:GNRIはBouillanneらが提唱し,Yamadaらが改変した計算式より求めた.血漿IL-6,Fetuin-A,8-OHdGはenzyme-linked immunosorbent assay(ELISA)法にて求めた.結果:GNRIは加齢により次第に低下し,年齢と有意な負の相関を示した.また男性に比べ女性で有意な低値を示し,原疾患では糖尿病性腎症の有無では有意な差は認められなかった.生化学パラメーターとしては,血清アルブミン(p<0.0001),Fetuin-A(p<0.01)と正の相関を示し,CRP(p<0.0005),IL-6(p<0.0001),8-OHdG(p<0.0001)と負の相関を示した.結論:透析患者の栄養状態を反映する上で,GNRIは簡易に計測できる指標となりえると考えられた.また栄養,炎症,動脈硬化,酸化ストレスとGNRIの間には密接な関連があることが示唆された.
著者
八巻 知香子 山崎 喜比古
出版者
日本保健医療社会学会
雑誌
保健医療社会学論集 (ISSN:13430203)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.13-25, 2008-08-08 (Released:2016-11-16)

今日でも依然として障害者差別や障害者を劣位におく価値観があることは国内外で繰り返し指摘されているが、これらのテーマを扱う研究の多くが、受け手である障害者個人への負の影響という観点からのみの測定が大半を占め、価値観自体の議論や把握はなされてこなかった。本研究は、障害のある人が感じている「障害者への社会のまなざし」それ自体について把握する手法について提案し、是正が望まれている「社会のまなざし」の特徴を明らかにした。結果から、障害者が感じ取る「障害者への社会のまなざし」は、否定的な要素についても、肯定的な要素についても存在を感じている人は非常に多く、否定的な要素については是正を、肯定的な要素については広がりを望んでいた。「障害者への社会のまなざし」の肯定的評価傾向は、対人的な被差別経験および移動・情報入手の不便による日常の不快な経験の多寡と強く関連しており、日常生活の実感に基づくものと考えられた。
著者
阿部 なつ江 金松 敏也 末次 大輔 山崎 俊嗣 岩森 光 安間 了 平野 直人 折橋 裕二 原田 尚美 富士原 敏也
出版者
日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.57, pp.189-189, 2010

海洋研究開発機構・海洋研究船「みらい」によるMR08-06航海(通称:SORA 2009: South Pacific Ocean Research Activity 2009)は、南太平洋および沈み込み帯における地質学・地球物理学的研究ならびにチリ沖における古海洋環境変動復元研究を行う事を目的とし、平成21年1月15日(木)関根浜出港 ~ 平成21年4月8日(水)バルパライソ入港までの計84日間、3レグに渡り実施され,レグ1は、1月15日関根浜出港~3月14日バルパライソ入港までの59日間実施された。そのレグ1における航海実施概要と,太平洋横断中の海底地形・重力の測定結果を発表する。
著者
山崎 直樹
出版者
関西大学外国語学部
雑誌
関西大学外国語学部紀要 = Journal of foreign language studies (ISSN:18839355)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.79-92, 2020-03

The purpose of this paper is to examine the descriptions of can-do statements in standards for foreign language education used in Japan, from the viewpoint of universal design, and to show how they are described by the viewpoint of the majority. The majority here are foreign language learners who are generally assumed to be typical, that is, learners who hardly ever feel physical, sensory, cognitive, psychological or language barriers in classrooms.