著者
梶田 忠 高山 浩司 梶田 結衣 山本 崇 榮村 奈緒子 井村 信弥 石垣 圭一 堤 ひとみ Wee Alison Kim Shan
出版者
琉球大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2015-04-01

汎熱帯海流散布植物のナガミハマナタマメについて、西表研究施設のガラス温室内で7地域19集団から得た植物を栽培し、人工交配実験を実施した。2015年から2017年までの3年間に実施した交配実験と観察実験により、(1) 観察できた全ての地域間の組み合わせで結実と種子形成は正常であること、(2) 種子の発芽も正常であること、(3) F1個体の花粉稔性に受粉後生殖隔離の影響が現れる可能性があること等が示された。F1個体に受粉後生殖隔離が見られた組み合わせのうち1つは、先行研究で遺伝子流動の無いことが示された新大陸東西の集団間であり、このことは、本種が輪状種としての性質を持つことを示すものであった。
著者
山本 一
出版者
一般社団法人 日本画像学会
雑誌
日本画像学会誌 (ISSN:13444425)
巻号頁・発行日
vol.50, no.5, pp.415-421, 2011-10-10 (Released:2011-10-13)
参考文献数
1

特許出願は,企業等における研究開発の結果としてなされ,原則として公開されるものであるから,こうした特許情報を分析することにより,各技術分野におけるプレイヤーとその活動状況,得意分野などを知ることができる.研究開発段階や知財戦略などへの特許情報の活用を図るため,特許庁では例年,特許出願技術動向調査と称して特許出願を基にした技術動向の調査を実施しており,平成22年度のテーマとして「電子写真装置の定着技術」を選択した.本稿では特許出願技術動向調査の概要及びその調査結果を紹介する.
著者
山本 勇麓 熊丸 尚宏 林 康久 木村 繁和 深水 清
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.19, no.9, pp.1168-1174, 1970-09-05 (Released:2010-05-25)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

溶媒抽出に基づくクロム(VI)の新しい吸光光度法を開発した.適量のトリス(1, 10-フェナントロリン)鉄(II)キレート陽イオンが水相に存在するとクロム(VI)が選択的にニトロベンゼンに抽出されることを見いだした. pH 3~4の範囲で金属キレート濃度をクロム(VI)の50倍過剰に保てば一定の抽出が得られた.水相中に存在していたクロム(VI)濃度が62.5μg/25 ml以下の範囲で,抽出相のλmax(516mμ)の吸光度とクロム濃度との間には直線性が成立した.抽出種は微酸性におけるクロム酸イオンの平衡定数から考えて[Fe(phen)32+]・[HCrO4-]2と推定された.抽出相の呈色強度は24時間の放置でもほとんど一定であった. 2.08μg/mlクロムの11試料についての標準偏差は,平均吸光度0.4001に対して0.52%であった.多量の鉄(III)はかなりの負誤差を与えるので,メチルイソブチルケトン-iso酢酸アミル混合溶媒による抽出で鉄(III)を除去する方法を検討した.クロム(III)の酸化には過酸化水素水を用いた.純鉄をマトリックスとしたクロム(III)から得た検量線はやや低いクロムの回収率を示すが,この方法を鉄鋼中のクロムの分析に応用してよい結果を得た.
著者
中山 実 山崎 信雄 山本 徹 恵藤 健二 加藤 真一 清水 康敬
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.29, no.Suppl, pp.221-224, 2006-03-20 (Released:2016-08-02)
参考文献数
3

実習を必要とする学習をe-Learningで行う可能性を検討するために,講義実習一体型のe-Learning教材を開発し,従来型の[講義+実習]の場合と比較した.また,非同時性学習による効果も検討した.その結果,主観評価では従来型が高かったが,学習成績では有意差がなく,利用可能性が示された.
著者
中山 実 六浦 光一 山本 洋雄
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.37, no.Suppl., pp.37-40, 2013-12-20 (Released:2016-08-10)
被引用文献数
1

オンライン教材だけによるフルオンライン学習の条件で学生のノート記述の言語的な特徴を定量的に分析して,テスト得点との関係を調べた.ノート記述は,教材の単語数に対して記述した単語数割合と,教材で提示された単語をノート記述する記録割合で評価した.また,教員によるノート評定との関係を分析し,授業回単位におけるノート評定の2群間では,単語数割合,記録割合に有意差が見られた.期末テスト得点とノートの特徴との関係を調べたところ,スライドの内容および音声説明についての単語数割合,記録割合,ノート評定値と期末テスト得点との間で有意な正の相関が認められた.
著者
山本 杏子 伊丹 弘美 小島 隆矢
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会環境系論文集 (ISSN:13480685)
巻号頁・発行日
vol.81, no.719, pp.19-27, 2016 (Released:2016-01-30)
参考文献数
18
被引用文献数
3

This study examines categorizing classification to location of shops which unease of entering or staying. The survey was carried out for place and reason, feeling which unease of entering or staying by recall method. The purpose of this paper is classify variations and consider methodology. The results are as followings: 1) The variation is classify the situation, feelings in seven types and proved variety. 2) Recall method is able to obtain obstructive factors of before entering and predict staying after entering. 3) Evaluation structure of unease entering which consisting of a cognitive process, the concrete situation, feeling was proposed.
著者
磯谷 一枝 山中 学 石川 元直 扇澤 史子 望月 友香 稲葉 百合子 山本 直宗 山中 崇 大塚 邦明
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.48, no.5, pp.570-571, 2011 (Released:2012-02-09)
参考文献数
5
被引用文献数
1 1

入院中の高齢者において抑うつは疾患治療を困難にする重要な問題であるが影響を与える因子については明らかではない.65歳以上の入院高齢患者174名を対象に,Geriatric depression scale(以下,GDS)を実施し,性別,年齢,基礎疾患,居住形態,認知機能との関連を検討したところ,患者の居住形態がGDSに最も強く独立して関連し独居群は家族同居群よりもGDSが高く治療意欲の低下を支持する回答が多く,独居高齢者では入院中に心理的援助がより必要である.
著者
村田 修 板倉 壮太 山本 眞司 服部 亘宏 倉田 道雄 太田 博巳 升間 主計
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.93-95, 2017-03-20 (Released:2018-03-20)
参考文献数
11

In order to breed a faster-growing grouper, the longtooth grouper, Epinephelus bruneus (LG), was hybridized with the giant grouper, E. lanceolatus (GG). Eggs from a female LG that was injected with HCG were inseminated by the fresh sperm of LG and cryopreserved sperm of GG obtained from a fish in Malaysia. Normal hatching rate was 8.8% (LGGG) and 18.6% (LG), respectively. The LGGG and LG larvae were raised for 61 days after hatching; the survival and mean size were 17.5, 42.0% and 63.6±11.3, 36.2±8.7 mm, respectively. This new hybrid grouper would be a promising-breed for aquaculture.
著者
坂元 明子 山本 信子
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.179-188, 2000-09-30 (Released:2011-01-31)
参考文献数
16

It seems tha when people have a meal, their wil gives priority to the traditiona food culture, which is likely to be declining. This is because now is the time when food is so abundant. Therfore, we wanted to know the statusquo in menus, Haizen and arrangement, ment, and examine meals in general. So we conducted a factfinding survey by taking pictures of dinne tables for three days. The research wa given to students of Fukuoka Jogakuin Junior College in Fukuoka area, students of Mukogawa Joshi Junior College in Hyogo area and their families 622. and 606We analyzed the data and got the following results. 84.7% of the staple food for dinner is rice. The position of the rice bowl on the table is traditionally recognized to be in the front on the left, and 74.2% of the dinner tables have the right position. There are more main dishes and side dishes than we expected. The more main dishes and side dishes they have, the more diversity and disorder of the table setting they have. When they have soup in their menu, many of them put the rice bowl at the given position, which is in the front on the lefe, and the main dish in the back on the right, which is the given position.
著者
伊藤 トモ子 牧 ゆかり 藤原 悦子 山本 りえ 下大迫 祐子 井上 悦子 矢部 博樹 永井 謙一 仲西 寿男 神木 照雄
出版者
日本環境感染学会
雑誌
環境感染 (ISSN:09183337)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.83-86, 1988-05-20 (Released:2010-07-21)
参考文献数
16

院内感染予防のための効果的な手指消毒法を石ケンと流水による手洗い, ベースン法および速乾性擦拭消毒剤 (塩化ベンザルコニウム・アルコールローション) で検討した.ICU病棟における排便介助後に手指細菌数が増加し, 日常看護業務で手指が細菌汚染を受けることが示唆された.石ケンと流水による手洗いでは除菌率42.5%であり, ベースン法では除菌効果を認めなかったのに対し, 塩化ベンザルコニウム・アルコールローションによる擦拭消毒では除菌率93.1%と高く, 前二者にくらべ有意に優れた除菌効果が認められた.また本剤は皮膚刺激性が少なく, 皮膚炎をおこさないことが重要である手指消毒薬としても推奨されるべき方法と考えられた.
著者
山本 由徳 池尻 明彦 新田 洋司
出版者
CROP SCIENCE SOCIETY OF JAPAN
雑誌
日本作物学会紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.495-501, 1996-09-05 (Released:2008-02-14)
参考文献数
16
被引用文献数
1

32℃温度条件下で極短期(4日間)に乳苗を育苗する際に, 蛍光灯により500lux(実験1), 170lux(実験2)の光を育苗全期間, 育苗終了前の2日間および1日間当てる区と光を当てずに暗黒下で育苗する区を設けた. また, 実験2では室内光(昼間最高照度70~80 lux)条件下で4日間育苗する区を設けた. そして, 育苗期間の光条件が乳苗の苗素質と移植後の活着および初期生育に及ぼす影響について検討した. 1)育苗期間の光条件に関わらず, 苗丈7~8cm程度, 胚乳残存割合が40%前後で葉齢2.1~2.3の苗が得られた. 育苗期間に光照射することによって, 暗黒下育苗苗にくらべてやや葉齢の進んだ苗となった. 2)苗の葉緑素含有量は照度が高いほど多くなったが, 光照射期間による差は小さかった. 3)活着の指標とした移植後の初発分げつ日は, 暗黒下育苗苗にくらべて光照射苗で照度, 照射期間に関わらず早かった. その結果, 初期生育は暗黒下育苗苗にくらべて光照射苗で優った. さらに, 胚乳を除去して移植した場合には, 光照射苗と暗黒下育苗苗との活着, 初期生育の差はより一層大きくなった. 4)以上より, 乳苗の育苗期間中に100~500lux程度の光を照射しても苗の伸長生長はほとんど抑制されず, 暗黒下と同様に苗丈7~8cmで胚乳残存割合が約40%の苗が得られ, わずか1日だけ光を照射することによって, 葉緑素が形成されるために活着および初期生育が良好になることが明らかになった.
著者
白井 清兼 西村 崇 山本 淳子 伊藤 興一 加藤 浩徳 城山 英明
出版者
社会技術研究会
雑誌
社会技術研究論文集 (ISSN:13490184)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.93-106, 2009 (Released:2010-05-14)
参考文献数
30
被引用文献数
3

本論文は,地域のアイデンティティ確立を目指すまちづくりに成功した事例として,千葉県香取市(旧佐原市) の先進的な取組を取り上げ,過去の取組経緯をインタビューによって丹念に調査するとともに,関係主体の問題構造認識を分析することによって,成功の要因を抽出することを目的とする.情報収集のため,佐原の観光政策に関係する主要主体に対するインタビュー調査を実施し,また,分析に当たっては,問題構造化手法を適用した.分析の結果,「町並み保存関係者」と「佐原の大祭関係者」による独自活動がもたらした意図せざる相乗効果,市民団体による巧みな行政の活用および行政の巧妙な戦略的なプロセスマネジメントが,佐原の持続的な観光政策ならびにまちづくり型観光地形成を成立させるための成功要因であったことを明らかにした.
著者
庄田 宏文 藤尾 圭志 山本 一彦
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.46-50, 2012 (Released:2012-02-28)
参考文献数
15

Immunoglobulin Binding Protein (BiP)は熱ショック蛋白(HSP)70ファミリーに属するタンパク質で,生理的にはストレス応答蛋白として滑面小胞体に発現し,蛋白のfoldingを行うシャペロン蛋白である.BiPに対する自己免疫応答の報告は,関節リウマチ,全身性エリテマトーデスなどでみられ,主に血清抗BiP抗体が上昇するとの報告がある.我々のグループからは,新たにシトルリン化BiPに対する自己抗体が関節リウマチで出現することを報告した.抗シトルリン化蛋白抗体は関節リウマチの発症機序に密接な関与が推定されており,BiPに対する自己免疫応答の重要性が示唆される.また関節リウマチにおいては,BiPを認識するT細胞の報告もある.一方でBiPそのものには制御性活性があることが知られている.マウスモデルにおいてはBiPを認識するT細胞がIL-4, IL-10を産生し関節炎を抑制することや,BiPで刺激された樹状細胞は制御性活性を持つことが知られている.このようにBiPに対する免疫系の応答は多様であり,そのバランスが崩れることで自己免疫寛容が破綻することが,自己免疫疾患発症に繋がりうると考えられている.
著者
山本 晴彦 岩谷 潔 鈴木 賢士 早川 誠而 鈴木 義則
出版者
CROP SCIENCE SOCIETY OF JAPAN
雑誌
日本作物学会紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.69, no.3, pp.424-430, 2000-09-05 (Released:2008-02-14)
参考文献数
23
被引用文献数
4 3

1999年9月24日早朝, 九州西岸に上陸した台風18号は, 九州を縦断し周防灘から山口県に再上陸し西中国地方を通過した後, 日本海に抜けた.台風の経路上および経路の東側に位置した気象官署では最大瞬間風速40m/s以上の強風が吹き, 最大風速も九州中南部を中心に20m/s以上を観測した.九州や西中国地方では台風の通過と満潮が重なり, 有明海沿岸や周防灘では高潮により堤防が決壊し, 農作物に塩害が発生した.台風に伴う九州7県の農作物および農業用施設の被害総額は914億円, 被害面積20万haにも及んだ.また, 山口県の小野田市や宇部市の消防本部では最大瞬間風速が52.0m/s, 58.9m/sの強風を観測した.宇部港では最高潮位が560cmを観測し, 推算満潮位351cmを209cmも上回る著しい高潮であった.このため, 周防灘に面した山口県内の市町では高潮災害が相次いで発生し, 農林水産被害は高潮に伴う農耕地の冠水と塩害, 強風に伴う農作物の倒伏, ビニールハウスや畜舎の損壊, 林地の倒木など約100億円に及んだ.山口市秋穂二島でも堤防の決壊により収穫直前の水稲や移植直後の野菜苗に約100haにわたり塩害が発生し, 収量が皆無となった.