著者
瀬戸崎 典夫 吉冨 諒 岩崎 勤 全 炳徳
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.85-88, 2016

本研究は,遠隔地での学習者に長崎にいるような実感を与え,主体的な学習を促す次世代型平和教育教材の開発を目的とした.そこで,全天球パノラマVR教材を開発し,教育的利用の観点から評価した.その結果,臨場感の高さや印象の強さなどの理由から,実感を高める教材としての有用性が示された.実感を与える効果については,地理的な情報把握や,原爆投下を自分とは切り離した事象として捉える学習者にとって有用であることが示唆された.さらに,本教材のインタフェースが主体的な学習を促す一助となり得ることが示された.一方,コンテンツの充実や発達段階を考慮した授業設計の考案など,改善すべき点が明らかになった.
著者
野中 紀彦 岩崎 富生 守谷 浩志 谷江 尚史 池田 靖
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.81, no.824, pp.15-00018-15-00018, 2015 (Released:2015-04-25)
参考文献数
31

A Kriging-based method for efficiently searching materials was used to select additive elements in lead-free solders that are effective for suppressing the grain-boundary diffusion, which is the cause of smaller breaking elongation than lead-contained solders. By using the idea of the L9-orthogonal-array design methodology, we selected nine combinations of additive elements, and investigated the dependence of diffusion coefficients on four parameters (the atomic radius of the 1st additive, the cohesive energy of the 1st additive, the atomic radius of the 2nd additive, and the cohesive energy of the 2nd additive). The diffusion coefficients were calculated by using molecular-dynamics simulations. The calculation results showed that the diffusion can be suppressed when the atomic radii of the 1st and 2nd additives are close to that of tin (Sn), and when the cohesive energies of the 1st and 2nd additives are smaller than that of tin. According to these conditions, we found that two additives selected from silver (Ag), indium (In), and bismuth (Bi) are effective for suppressing the diffusion and for increasing the breaking elongation. Because these results were confirmed by tensile deformation test, the Kriging-based method is considered to be practical for effectively searching materials.
著者
松林 公蔵 木村 茂昭 岩崎 智子 濱田 富男 奥宮 清人 藤沢 道子 竹内 克介 河本 昭子 小澤 利男
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.29, no.11, pp.811-816, 1992-11-25 (Released:2009-11-24)
参考文献数
10
被引用文献数
12 14

老年者の quality of life (QOL) の一端を, 客観的に評価する目的で, Visual Analogue Scale による (「主観的幸福度スケール」) Visual Analogue Scale of Happiness (“VAS-H”) を考案し, 地域在住の後期老年者を対象に, すでに確立されているうつ評価法との関係を検討した.“VAS-H”は, 同時に施行した標準的 Geriatric Depression Scale ならびに, 同じ被験者に一年前に行った Zung の自己評価抑うつ尺度 (SDS) とも有意の相関を示した. 以上より, 老年者の日常の主観的幸福観を評価する本法は, 情緒やうつ状態を一定程度反映していると考えられた. 本法はQOLの一端を評価するための簡便な方法と考えられる.
著者
那須 守 大塚 芳嵩 高岡 由紀子 金 侑映 岩崎 寛
出版者
JAPANESE SOCIETY OF REVEGETATION TECHNOLOGY
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.96-101, 2014
被引用文献数
2

住区基幹公園の環境価値形成における行動の影響を把握するために,東京区部の 6公園に対して住民意識調査を実施し,利用者の環境価値意識に関する構造化(SEMモデル)および心理的指標と経済的指標を用いた価値評価を実施した。その結果,SEM モデルから住区基幹公園に対する環境価値が行動の影響を強く受けることが明らかになり,利用者を分類した行動クラスターの比較から行動の多様化が環境価値を高めることが心理・経済的評価の両面において示唆された。地区公園と近隣公園を比較すると,この効果は公園の大きさに関係なく見られ,公園の価値を高めるためには,行動を多様化する質的配慮が有効であると考えられた。
著者
福光 正幸 長谷川 真吾 岩崎 淳也 酒井 正夫 高橋 大樹
雑誌
研究報告マルチメディア通信と分散処理(DPS) (ISSN:21888906)
巻号頁・発行日
vol.2016-DPS-166, no.6, pp.1-8, 2016-02-25

商用オンラインストレージサービスに保存されたユーザデータは,ターゲット広告配信や犯罪捜査の目的でサービス事業者側で解析されたり,第三者からの攻撃により改変/漏洩される恐れがある.その対策として,ユーザ側でデータを暗号化し,さらに,秘密分散法により分割して,複数のオンラインストレージに分散保存して守る技術が提案されている.しかし,強力な攻撃者から標的にされた場合,この対策だけでは十分ではない.攻撃者は,標的ユーザの通信を傍受することで分散保存先の特定が可能であり,さらに,その全ての攻撃に成功した場合は,保存データを消失させたり,暗号データを奪うことも可能である.また,奪われた暗号データが,オフラインのブルートフォース攻撃により解読される恐れもある.そこで,本稿では,秘密分散法に匿名通信技術を援用した P2P 型ストレージ技術を提案する.提案法では,P2P ノードが相互に匿名通信を用いてデータを送受信して保存し合うことにより,攻撃者の通信傍受による分散保存先の特定が不可能になり,分散保存先への攻撃を困難にできる.ところで,提案法のようにデータを不特定な P2P ノード群に分散保存して秘匿する場合,一般的には,その分散保存先の情報を復元用メタ情報としてユーザ端末などに残す必要がある.しかし,そのメタ情報は格好の標的であり,攻撃者によるユーザ端末の盗難やハッキングを受ける恐れがある.そこで,本稿では,ブロックチェーンの技術を援用することで,メタ情報も P2P ストレージ上に秘匿し,ユーザ端末でのメタ情報の保存を不要にし,復元時にはユーザ名とパスワードのみを用いて,P2P ストレージ上の保存データに安全にアクセスできる仕組みも提案する.
著者
小野 英哲 三上 貴正 岩崎 淑子 横山 裕
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
日本建築学会構造系論文報告集 (ISSN:09108025)
巻号頁・発行日
no.385, pp.1-7, 1988-03-30
被引用文献数
2

This study presents the evaluating method of hardness and slipperiness of aerobic dance floors from a viewpiont of comfortableness, fatigue, and safety. The evaluating indexes and evaluating method are established, based on the correspondence between the judgements of aerpobic dance instrutors and phisical values of aerobic dance floors measured by our original measuring devices.
著者
常徳 千夏 松井 聖 斉藤 篤史 西岡 亜紀 関口 昌弘 東 直人 北野 将康 橋本 尚明 角田 慎一郎 岩崎 剛 佐野 統
出版者
The Japanese Society for Clinical Rheumatology and Related Research
雑誌
臨床リウマチ (ISSN:09148760)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.189-197, 2015

目的:関節リウマチ(RA)の治療は近年大きく変化しており,抗リウマチ薬に加え生物学的製剤が7種類使用できるようになった.このため,相互作用や副作用管理が急務となり.医療師全体で取り組む事が重要となってきている.今回,調剤薬局薬剤師の関わりの実情と問題点を把握し,今後の薬剤師の役割の方向性を考えるためアンケート調査を実施した.<br>対象:兵庫医科大学病院外来通院中RA患者のうち,平成25年3月~5月に当薬局に来局,本調査への参加に同意した70名を対象にアンケート調査を実施した.<br>方法:日常診療実態下における非介入試験 ①日常生活動作 ②関節リウマチ治療状況 ③精神的影響に関する状況のアンケートを実施した.<br>結果:メソトレキサート(MTX)に関しては,効果の理解度は86%と高かったが,用法の不便さを訴える回答がみられた.生物学的製剤については,注射へのストレスを感じないが67%で,効果を実感している回答も62%と半数を超えた.しかしながら,副作用への不安や,高額の医療費の負担の不安もあった.<br>結論:調剤薬局薬剤師として,MTXや生物学的製剤などの積極的な治療が必要な患者さんには,積極的に関わることで,個々の状況を聞き取り不安や問題の解決を目指すことにより,アドヒアランスの向上及び治療成功へのサポートを行って行くことが重要であると考える.
著者
羽鳥 徳太郎 相田 勇 岩崎 伸一 日比谷 紀之
出版者
東京大学地震研究所
雑誌
東京大学地震研究所彙報 (ISSN:00408972)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.245-263, 1981-08-31

Owase located on the east side of Kii Peninsula has been hit by many tsunamis. Sources of most tsunamis were off Tokaido along the Nankai Trough. The 1960 Chile tsunami that propagated across the Pacific Ocean also hit Owase City. There remain even now traces of the inundated level on many houses in Owase caused by the 1944 Tonankai and 1960 Chile tsunamis. Based on these traces, the inundation heights of the two tsunamis run-up on land were surveyed, using the automatic level from Nov. 4 to 7, 1980. The relation between the geographical distribution of the inundation heights and the damage to houses was investigated. The results of the present surveys are as follows: 1) The inundation heights of the 1944 Tonankai tsunami at the harbor were 5.0-5.5 m above M.S.L. Ground about 3.0 m above M.S.L. was inundated. The inundated area stretched along the Kita River. The water level decreased in height as it moved inland. The topography of the ground controls the damage to houses. Fifty percent of the ordinary Japanese wooden type houses were damaged when the water reached 1.5 m above the ground. From the inclination of the water surface along the Kita River, the mean water velocity is calculated as 3.5 m/sec. 2) The inundation heights of the 1960 Chile tsunami at the harbor were 3.0-3.5 m above M.S.L. Although the water reached 1.0-1.5 m above the ground, hardly any houses were washed away. The traces of the inundated level into land are nearly flat, suggesting that the velocity of the incident flow was small. 3) Based on old documents, the inundation height of the Ansei Tokai tsunami (Dec. 23, 1854) is estimated as 6.5 m above M. S. L. The heignt is 0.7-1 m higher than that of the 1944 Tonankai tsunami. Ground above 4 m high was inundated.
著者
林 岳彦 岩崎 雄一 藤井 芳一
出版者
日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.327-336, 2010-11-30
被引用文献数
5

欧米では「ecological risk assessment」という用語は「化学物質の生態リスク評価」のことを指すことが多い。その理由は、歴史的に「生態リスク」という概念が元々「化学物質のリスク評価」の中から誕生し発展してきたことにある。本稿ではまず前半において、「生態リスク」という概念が生まれてきた歴史的な経緯についての概説を行う。また、その歴史的な経緯から「生態リスク」という概念が帯びている「行政の意思決定に寄与する」「不確実性の存在を前提とする」「人間活動との兼ね合いを調整する過程の一端を担う」という特徴的なニュアンスについての説明を行う。本稿の後半においては、現在実務レベルで行われている「初期リスク評価」および「詳細リスク評価」の解説を行う。さらに、生態リスク評価における現状の取り組みと課題について「生態学的に妥当なリスク評価・管理へ」「漏れのないリスク評価・管理へ」「総合的なリスク評価・管理へ」という3つの観点から整理を試みる。
著者
田代 克也 中野 圭介 岩崎 英哉
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌プログラミング(PRO) (ISSN:18827802)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.51-51, 2013-12-20

Webアプリケーションの開発を支援するための枠組みとして,テストツールと呼ばれる機能が多くの開発フレームワークにおいて提供されている.この機能では,テストに必要な入力値などの組であるテストケースを開発者が設定することで,自動的なテストの実行が可能である.しかしながら,正確なテストを行うには,入力値などを詳細に記述しなければならないため,テストケースの作成自体が開発者側への大きな負担となっている.本発表では,Webアプリケーション開発フレームワークにおける,テストケースの自動生成機能を提案し,実装を行った.対象とする開発フレームワークは,現在主流になっているRuby on Railsとし,Railsのテストツール機能の1つである機能テストにおいて実装した.本システムでは,開発者は全体の入力値の一部を与えることで,不足している入力値を補完しつつテストケースが生成される.また,オープンソースのRailsのWebアプリケーションに対して本システムを適用し,多くのテストケースが自動生成されることを確認した.Many Web application frameworks provide testing tools for supporting development of Web applications. The testing tools automatically test a Web application with a set of test cases given by a developer. However, the developer should carefully designate the set of test cases to achieve precise tests. We propose and implement an automatic test case generation system for a Web application framework. Our system works for the Web application developed with Ruby on Rails which is widely used. It provides a set of test cases for functional tests on Rails from only a part of input values designated by a developer. Furthermore, we demonstrate that our system can automatically generate many test cases for open-sourced Web applications developed with Rails.
著者
岩崎 千晶 村上 正行 山田 嘉徳 山本 良太
出版者
関西大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

研究課題①「正課と学習支援の連環によるディープラーニングを促すデザイン要件の提示」に関しては、日本語ライティングにおいてライティングセンターを活用した学習者の個別傾向を分析し、リピーターへとつなげるための学習支援の手立てを検討した。また学習の深化を目指し、ICTを活用したライティング指導の実践研究を行った。学習支援には、個別指導に加えて、自主学習用の教材開発も含まれるため、英語・日本語ライティング教材を開発し、正課と学習支援の連環による学びの深化に取り組んでいる。「研究課題②多様なアクターが関わるラーニング・コモンズにおける学びのプロセスモデルの提示」では、各大学がどのように学習者の学びを評価しているのかについて調査を行った。具体的にはCiNiiを活用し、ラーニング・コモンズの評価を扱う論文66件を分析した。調査の結果、質問紙調査、観察調査、インタビュー調査の順で調査法が採用され、量的な調査が75%を占めた。今後、学びのプロセスや成果を明らかにするためには、質的な調査やラーニング・コモンズにおける理念(育むべき学習者像)に関する議論の重要性を示した。特に学習成果に関しては汎用的な能力が評価指標となっていたため、本研究で指摘した学習者にとっての学習概念の更新を促す「照射」の概念を取り入れる必要性を確認した。「研究課題③学習支援を提供する組織における学生スタッフを含めた教職員を対象としたSD・FD研修プログラム・eラーニングの開発と評価」では、教育の質保証、授業設計、評価方法、ICT活用、学習環境をテーマに研修プログラムを開発し、運営・評価をした。またライティング研修の中から、ライティングの理念・学習支援の歴史等のプログラムをeラーニング教材として提供するための資料教材を完成させた。またライティングの学習支援に関する指導モデルを提供するため、eラーニング教材を開発した。
著者
岩崎 健史 田中 智美 飯塚 祐輔
出版者
島根大学
雑誌
Laguna : 汽水域研究 (ISSN:13403834)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.13-18, 2009-06

Pacific oyster Crassostrea gigas and Portuguese oyster C. angulata are morphologically13;related species that are sympatrically distributed at nearshore blackish areas in13;the subtropical zone of East Asia. Although these two species have thus far been known as inter-fertilizable under controlled conditions, molecular-based studies on mitochondrial DNA analysis verified obvious genetic differences between them. Huvet et al. (2004) reported a novel microsatellite DNA marker enabling to discriminate allelic sequence variants for C. gigas and C. angulata. In this study, we developed a rapid, reliable, and secure PCR-RFLP analysis of the biallelic microsatellite marker to diagnose hybrid oysters between C. gigas and C. angulata in wild stocks. An array of wild oyster specimens of C. gigas haplotypes and C. angulata haplotypes collected from Japan, Taiwan, and Korea were subjected to PCR amplification of the microsatellite marker and subsequent RFLP assay using FastDigest&reg; Bsp1407I13;restriction enzyme, followed by microchip electrophoretic diagnosis of both PCR and RFLP products. It took about 2 hours for the whole process of our analysis, and the frequencies of biallelic variants observed in C. gigas and C. angulata haplotype stocks were at the equivalent level of those of the previous report. In addition, a high frequency of the allelic variants for C. angulata in C. gigas haplotype stock in Tokyo Bay suggests the occurrence of natural hybrid oysters between C. gigas and C. angulata.
著者
岩崎 由紀夫 山田 芳明
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要. V, 教科教育 (ISSN:03893480)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.135-148, 2000-08
被引用文献数
1

近年, 図画工作科・美術科においてコンピュータを活用した教材の開発が盛んに行われている。コンピュータを用いた教材の実施の分析や傾向についての考察も試みてきたが, 子どもたちの造形表現の発達過程を無視したり, スキルを超えたりしたような教材も多々見受けられる。そこで本稿では, 子どもたちの造形表現の発達を踏まえた図画工作科におけるコンピュータ教材の開発やコンピュータの活用法を探ることにより, 造形表現の発達とコンピュータの有効的な活用法を追究してみることにする。かつて, シルバーマンは『教室の危機』で, オープン・スクールの教育形式は「教師が, 時間の枠組みにではなく, 空間に構成され高度に組織化された環境をつくりだすことから生じてくる。そして教師は, その環境が子どもの興味, 活動, 必要に応じて変わるように処置していくのである。」と述べた。これからの学校のあるべき姿として, 個別化・個性化教育を推進する一方策として, 子どもの造形表現の発達と一人一人の興味・関心に対応するコンピュータ教材の活用の関係を明らかにしたい。We would like to the way of making use of it which is the effective target of the development of the molding expression and the use forthe computer subject in the arts and crafts course and a computer based on the development of the children's molding expression.
著者
浜本 浩 黒崎 秀仁 岩崎 泰永
出版者
日本生物環境工学会
雑誌
植物環境工学 (ISSN:18802028)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.97-101, 2015-06-01 (Released:2015-06-01)
参考文献数
8
被引用文献数
1 2

深度データを面的に収集できるKinect for Windowsを用いて,作物個体群の受光態勢を評価することを試みた.Kinectで撮影した作物の深度デ-タを表計算ソフトで解析し,作物の占有する区画における葉の写っている面積割合(Ra)を算出した.Raは上方からみた水平受光面の大小を示す.また,これを深度別に分け,作物個体群の最高点から1 cmごとに積算し(Ra’),これがRaの80 %の値になるまでの距離を葉の分布している距離で除した割合(Rp)を算出した.Rpは作物個体群への光の浸透性の強弱を示す.模型による疑似作物個体群やポット栽培のトマト個体群を用いた解析では,総葉面積(受光面積)の大きい場合にRaも大きくなり,個体群の光透過率が低い処理ほどRpが小さくなった.また,パプリカ個体群では,Raが早朝増加,薄暮時減少,Rpが早朝減少,薄暮時増加を繰り返したが,これは薄暮時には早朝と比べて葉が下垂したためと考えられた.