著者
平川 守彦 日越 博信 及川 卓郎 宮城 悦生 糸満 裕 平山 一浩
出版者
琉球大学
雑誌
琉球大学農学部学術報告 (ISSN:03704246)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.79-84, 1988-12-05
被引用文献数
1

本試験は野草地を蹄耕法で放牧地化し低コスト肉牛生産の可能性と問題点を探ぐることをねらいとした。約5ヘクタールの野草地を3牧区に分け平均体重350kgの黒毛和種去勢牛3頭を輪換放牧し放牧牛の食草行動を観察した。また, 数種野草の化学成分や乾物消化率を測定した。野草地におけるエネルギーの流れも調べた。その結果, 沖縄にはいまだ第2次大戦後の不発弾が数多く残っているため大型機械や火入れによる草地造成はひじょうに危険で牛による蹄耕法のほうが安全性や環境保全, 低コストなどの点でもっとも適した方法であると思われた。放牧牛の食草行動から有用な野草と思われるのはいくつかあったがその中でもハイアワユキセンダングサやノアサガオは他の野草と比べ嗜好性, 栄養価, 乾物消化率が著しく高く有望と思われた。野草の嗜好性順位は粗蛋白含量と正の相関, 粗繊維含量と負の相関関係が認められた。試験期間中の体重1kg当たりの採食量は1.8∿3.9%であった。乾物消化率は著しく低く35∿46%の範囲であった。日増体量は最高値0.88kgを示し, 平均値0.52kgであった。野草地における光エネルギー利用効率は植物蓄積エネルギーと可消化エネルギーの段階で低かった。その結果, 増体蓄積エネルギーはオーチャードグラスやバヒアグラスより低い値であった。以上のことより野草地における光エネルギー利用効率の低い箇所とその原因が推察された。これらの点を改良すれば野草地放牧での低コスト肉牛生産は可能であると思われる。
著者
大橋 正司 平川 裕蔵
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.167-170, 2019-03-15 (Released:2019-06-01)
参考文献数
1

毎日新聞社とフューチャー社グループのフューチャーアーキテクト社は、2018年11月、新聞制作のコンテンツ管理システムを共同で開発し全面的に刷新した。この刷新と同時に、それまで紙面を降版したあとにインターネットなどに配信する「紙面中心・ベルトコンベア型」だった業務フローは、紙面と各媒体向けの記事制作・リアルタイム配信を同時に行っていく「紙とデジタルの同時並行展開・分散型」業務フローへと大きく舵を切った。本発表では新聞社がどのように膨大なコンテンツの制作とデータ管理に取り組んでいるのか、コンテンツ管理システム刷新の過程で検討されたコンテンツ制作、アーカイブ収録管理、利活用における課題と工夫、新しい業務フローと考え方がもたらす変化について、全国紙の大規模なコンテンツ管理・アーカイブシステムの全容をお見せしながら紹介する。
著者
平川 一彦 川口 康 山中 宏治 小宮山 進
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.68, no.9, pp.1027-1033, 1999

シリコンMOS反転層や繁導体ヘテロ構造界衛に蓄積ずる二次元電子系に強磁場を印加することに より発現する量子ホール効果は,その精密なホール抵抗の量子化のため,抵抗標準への応用が進められ てきた.しかし,最近,量子ホール効粟状態における特異な電子状態を積極的に利用することにより, 超高感度の遠赤外光検出が可能であることが明らかになってきた.しかも,その光検出感度は,市販の 遠赤外光検出器であるシソコンボロメーターの100~1000倍にも達する。本解説では,量子ホール効果 を用いた超高感度遠赤外光検出の物理機構とその応用に関するわれわれの最近の概究を紹介する.
著者
平川 雅章 立石 真理 牧野 和隆 千堂 年昭 伊藤 善規 大石 了三
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.20-27, 2003-02-10 (Released:2011-03-04)
参考文献数
10

Although the standards for the quality of rubber closures on injectable glass vials were specified in USP 24 in the U.S. and BP 2001 in the U.K., no such guidelines for quality control exist in Japan. In the present study, we investigated the quality of rubber closures on glass vials of frequently-used anti-biotic and anti-viral injections in our hospital, according to the quality control method of rubber closures for aqueous infusion that was standardized in JP14. Sufficiently washed rubber closures were immersed in distilled water, and test solutions were prepared after gently shaking them for 5 min or heating them at 121°C under high-pressure steam for 60 min. The optic transmittance in the resultant solutions was measured at 430nm and 650nm, and the findings were compared with those for the standard values in JP14 for rubber closures on aqueous infusions. Of 23 different rubber closures tested, only one showed a lower transmittance at 430nm when the solution was prepared by gentle shaking. Under the condition of heating with high-pressure steam, 15 products did not reach the criteria at both wavelengths, 3 did not meet the standards set at either of the wavelengths, but 5 had no qualitative problems. We also checked the materials stuffed in 0. 45μm membranes after filtration with an injection by microscopic observations using scanning electron microscopy and by an element analysis with an X-ray energy dispersive microanalyzer. A number of micro-particles were observed and they were found to be composed of silicon, aluminium and titanium.These results indicate that the quality of rubber closures of injectable glass vials varies among products. Therefore, the standards and guidelines for the quality control of rubber closures of injectable glass vials should be established in JP.
著者
平川 浩文 木下 豪太 坂田 大輔 村上 隆広 車田 利夫 浦口 宏二 阿部 豪 佐鹿 万里子
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.155-166, 2015 (Released:2016-01-28)
参考文献数
26
被引用文献数
1

北海道における在来種クロテンMartes zibellinaと外来種ニホンテンM. melampusの分布の現状を明らかにするために,2000年から2015年にかけて生息記録を収集した.その結果,ニホンテンは北海道の南西部,クロテンはそれ以外の地域に広く分布していることが明らかとなった.二つの分布地域の間には石狩低地帯(石狩湾から太平洋にかけて帯状に延びる平野部)があり,クロテンの記録は石狩低地帯内の3地域でも得られた.ただし,この3地域とも石狩低地帯中心部を流れる河川を基準としてすべて低地帯の西側に位置した.今回の結果に数例の古い生息記録を合わせて,次のことが推察された.1)ニホンテンはクロテンを駆逐しながら分布を拡大したこと,2)石狩低地帯の分水嶺より南側では,低地帯の西縁部にニホンテンがまだ到達していない可能性があるが,そうであったとしても到達は間近であること,3)今後,石狩低地帯の分水嶺より南側ではニホンテンが低地帯を超えて,さらに分布拡大が進む可能性があること.
著者
関根 康史 柴崎 宏武 伊藤 聡子 平川 晃洋
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
交通・物流部門大会講演論文集 2017.26 (ISSN:24243175)
巻号頁・発行日
pp.1202, 2017 (Released:2018-06-25)

Traffic accidents caused by the pedal operation error by the elderly drivers have become social problem, for example the collision with structure, vehicle or pedestrian. It is generally known that due to the weakening of the flexibility of the elderly's body, the angle at which the knees are placed inside decreases. As the result, in the sitting posture of elderly drivers, there is a difference in the posture of the legs with non-elderly drivers. This may be the hypothesis that it is one of the major causes of the increase in pedal operation errors by them. In this study, we focused attention on the posture of the leg when parking the vehicle with backward movement, and visually checked the sitting posture of the driver's leg and the behavior of the right foot, the driving in simulating the rearward turning motion experimentally verified by twisting the waist of a person. As this check, it is clarified the relationship between the posture of driver's leg or right foot and the foot location area on the brake pedal, which are assumed making effects of pedal operation error.
著者
宮津 大輔 江田 陽一 今給 黎修 桑名 寿幸 松浦 徹 竹下 龍次 與田 賢作 秋吉 正貴 手嶋 由加 田中 博和 長郷 あかね 平川 雅章 首藤 英樹 片岡 泰文
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.45-52, 2017-01-10 (Released:2018-01-10)
参考文献数
14
被引用文献数
2

Hypertensive emergency is a situation in which uncontrolled hypertension is associated with acute end-organ damage. Nicardipine hydrochloride is a calcium channel blocker indicated for the treatment of hypertensive emergencies. However, nicardipine infusion-related phlebitis is a common and significant problem in clinical practice. The aim of this study was to survey the incidence of nicardipine infusion-related phlebitis and to identify associated risk factors for phlebitis. We conducted a retrospective observational study at Fukuoka Tokushukai medical center. A total of 79 patients who received precision continuous infusion of nicardipine were enrolled in this study. Nicardipine infusion-related phlebitis occurred in 34 (25.7%) of 132 peripheral intravenous catheters. On multivariate logistic analysis, “the dosing period over 24 hours” and “no co-infusion of saline” were significantly associated with an increased risk of nicardipine infusionrelated phlebitis. The odds ratio (OR) and 95% confidence interval (95% CI) for the occurrence of phlebitis with respect to “the dosing period over 24 hours” and “no co-infusion of saline” were 5.04 (2.012 - 12.657) and 3.36 (1.190 - 9.514), respectively. In addition, the optimal cut-off level of the dilution rate of saline was determined to be 4.23 times (sensitivity 73.5%, specificity 58.8%) based on receiver operating characteristic (ROC) analysis for predicting the occurrence of phlebitis. To minimize the risk of peripheral phlebitis, we propose that medical professionals should consider changing the infusion site every 24 hours at least and co-infusing saline diluted more than 4-5 times.
著者
山崎 峰夫 森川 肇 望月 眞人 佐藤 和雄 矢内原 巧 齋藤 良治 平川 舜 蒲田 忠明
出版者
日本産科婦人科学会
雑誌
日本産科婦人科學會雜誌 (ISSN:03009165)
巻号頁・発行日
vol.54, no.7, pp.925-934, 2002-07-01
参考文献数
14

日本人について妊娠末期のBishop scoreと妊娠・分娩経過との関係を初産・経産別に明らかにする共同調査を行った.妊娠期間,分娩所要時間,分娩様式,羊水混濁の有無,新生児アプガースコアに関し,第1報(日産婦誌2000;52:613-622)では実際の統計量成績を,また第2報(日産婦誌2001;53:1809-1818)では,それらと妊娠末期のBishops coreとの間の強い相関性を報告した.そこで,今回はこれらの事象が妊娠末期のBishop scoreにより予測しうるかを検討した.妊娠37~39週におけるBishop scoreの点数別の該当妊婦ののべ人数と受診後1週以内の分娩例数を集計した.また,妊娠37,38あるいは39週のBishop scoreの点数別に41週0日以降の分娩,分娩所要時間延長(初産婦24時間以上,経産婦12時間以上),手術分娩(吸引分娩,鉗子分娩あるいは緊急帝王切開),羊水混濁および低アプガースコア(出生後1分のアプガースコアが7点以下)の症例数を調べた.次いで,各事象を予測するための基準となるBishop scoreを1点から8点の8通りそれぞれにつき感度と特異度を算出し,ROC曲線により予測に最適なBishop score値(main Bishop score値)を求めた.なお,main Bishop score値の予測への有用性はこれを境とした二群間で各事象の頻度に有意差がある場合とした.初産婦・経産婦とも1週間以内に分娩となる頻度は50%を超えるのは妊娠37~39週のBishop scoreが6点以上のときであったが,感度を考慮すると初産婦では4点以上,経産婦では5点以上のとき予測上の有用性があった.他の各事象を予測するのに有用なBishop scoreは,i)41週以降の分娩:初産婦,経産婦とも妊娠37週3点以下,38週3点以下,39週5点以下,髄)分娩所要時間延長:初産婦では妊娠37週2点以下,38週2点以下,39週4点以下,経産婦では妊娠37週2点以下,妊娠38週1点以下,iii)羊水混濁:初産婦では妊娠37週2点以下,38週1点以下,39週2点以下,経産婦ではいずれの週数でも3点以下であった.なお,手術分娩と低アプガースコアについては,初産婦,経産婦ともBishop scoreによる予測は困難と思われた.以上の成績より,一週間以内の分娩,妊娠期間延長,分娩所要時間延長,羊水混濁を予測するうえで妊娠37~39週のBishop scoreが有用であることが窺われた.
著者
野田 諭 松谷 慎治 浅野 有香 倉田 研人 柏木 伸一郎 川尻 成美 高島 勉 小野田 尚佳 大澤 雅彦 平川 弘聖
出版者
日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会
雑誌
日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 (ISSN:21869545)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.139-143, 2014 (Released:2014-08-07)
参考文献数
15

症例は66歳女性。高CEA血症の精査にて甲状腺腫瘍を指摘され当院紹介。右葉に18mm大の腫瘤を認め,穿刺吸引細胞診で濾胞性腫瘍と診断された。濾胞性腫瘍として1年6カ月超音波のみで経過観察され変化を認めなかった。2年6カ月後,他院PET検査で甲状腺への異常集積を指摘され,再受診した。CEAの上昇,腫瘤の増大傾向を認め,カルシトニンが高値であり,手術を施行,術中組織検査にて髄様癌と診断,非機能性の副甲状腺過形成を伴っており,甲状腺全摘術,頸部リンパ節郭清と副甲状腺全摘術および自家移植を施行した。病期はpT2N0M0 StageⅡであった。初診時の画像および細胞診結果から濾胞性腫瘍と診断,長期超音波で経過観察された髄様癌の1例を経験した。初診時診断に反省すべき点は多いが,経過を追えた点で貴重な経験と考え,文献的考察を加えて報告する。
著者
岡本 義信 奥村 豊満 平田 公靖 近藤 寿志 平川 義宏 河内 庸彦
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.41-46, 2001
被引用文献数
1

RCC中国放送三次ラジオ局敷地の有効利用として、複合型スーパーマーケットの建設計画がでた。そのため空中線支線位置の変更や敷地内避雷対策等の工事を行い、近接建物による放送波への影響の検討を行った。また建設中のクレーン作業による送信設備への影響について検証した。本稿ではその状況について報告する。
著者
大久保 直美 近藤 紫 平川 歩
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 Supplement
巻号頁・発行日
vol.34, pp.79, 2018

<p>一部の霊長類では,他個体の生んだアカンボウに接触する行動(infant handling: 以下IH)がみられる。私たちはボリビアリスザルのアカンボウの成長にともなう他個体との関わりの変化,特にIHについて明らかにするため本研究を行った。公益財団法人日本モンキーセンター内「リスザルの島」は広さ1500m2,シイ・カシ類などの常緑高木の森で,ボリビアリスザル(2018年5月現在16頭)が放飼されている。4家系あり,石垣島から来園した20才を超える個体から0才までさまざまな年齢の個体がいる。0才の個体,ハス(2016/7/18出生),オルガ(2017/6/16出生)について個体追跡を行い,接触個体,50cm以内の近接個体,授乳を連続記録,島内の位置(2m格子)を1分毎に記録した(10日間,計340分)。結果,アカンボウが乗っている個体は母から2~5才の個体へ移行していくこと,IHは家系に関わらず行うことがわかった。また,複数の0才個体がいる状況での他個体との関わりを明らかにするため,2017年生まれの3頭目が生まれた秋にハミル(2017/9/6出生)の個体追跡を行った(生後60日目,2017/11/5,計49分間)。結果,近接個体はハニワ(2017/8/13出生)が最も多く[観察時間の42.9%],ハニワとの近接時はハミルもハニワも他個体に乗っていなかったため,自発的に近接したと考えられる。乗っている個体はハロが最多であった[1分毎記録で16/49,他はハル・オメガ各1/49]。ハロはハス生後71日目の調査,オルガ生後59日目の調査でも最多だった個体である。ハロは2014年出生♂,ハミルと兄弟,ハス・ハニワといとこ,オルガとは別家系である。そこで,ハロの社会関係(成長したアカンボウやその母との関係)を明らかにするためハロの個体追跡調査を行っている(2018/5/3~)。5/6の調査の結果は,さまざまな個体と近接し,特に関係の多い個体はなかった。本研究はJST中高生の科学研究実践活動推進プログラム(~2017年度)の支援を受けた。</p>
著者
栗山 逸子 平川 千里 八木 安生 長村 みさほ
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.18, no.9, pp.1027-1036, 1986-09-15 (Released:2013-05-24)
参考文献数
21

坐位から仰臥位,次には受動的下肢挙上の順で体位を変える際に誘発される吸気相後半の不連続性肺ラ音(posturally induced crackles,略してPIC)テストを入院患者601例に計1,616回施行,PICの出現頻度を各疾患群にて比較検討し,以下なる事実関係を明らかにした. この際, ( a ) 呼吸困難に関するNYHA旧分類のclass III,IVの者(左心不全患者)および(b)70歳以上の症例を除外して判定した場合には,その旨を明記した.1)心筋梗塞(n=69)におけるPIC陽性率は,67.6%,本態性高血圧を伴う狭心症(n=13)は58.7%,本態性高血圧を伴わない狭心症(n=22)は60.8%という高頻度であった.また,本態性高血圧症(n=58)のそれは37.5%,拡張型心筋症(n=12)は19.1%であった.2)“その他の心疾患”(n=46)におけるPICの出現頻度は33.0%であった.3)非心疾患である肺疾患(n=24)でのPIC陽性率は57.6%,肝硬変および肝腫瘍(n=10)でのそれは68.4%,糖尿病(n=33)でも48.4%と高率であった.4)“その他の非心疾患”(n=115)におけるPICの陽性率は17.4%と低率であった.すでに学会報告しているごとく,このようなPIC発生の機序を要約するならば,下肢挙上に伴って血液の一部が心肺系内に移動,左房圧が2~3mrnHgだけ上昇し,肺微小血管からの体液漏出が生ずることにより,small airwayに機能的な狭窄が生じ,このことが,PIC発生機序の少なくとも一部である可能性が考えられる.
著者
赤木 勇規 平川 陽
出版者
九州理学療法士・作業療法士合同学会
雑誌
九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 (ISSN:09152032)
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.212, 2008

【はじめに】<BR>小脳出血後右片麻痺に加え頚部運動時に眩暈、眼振が出現する症例に対し、認知運動療法を試みたので報告する。<BR>【症例紹介】<BR>49歳女性。小脳出血発症から2週間経過後に理学療法を開始、右片麻痺に加え頚部運動時に眩暈を認め、当初立ち上がり、歩行は監視であったが自立に達し4ヶ月後自宅退院。しかし、退院後も強い眩暈、眼振続き認知運動療法による介入を試みた。<BR>【理学療法評価】<BR>外来治療開始時、感覚検査は異常なし。注意障害、右上下肢の運動単位動員異常、失調症状が認められた。頚部筋緊張が高く、常に固定し動きは乏しく「首の後ろから頭が痺れてアルミ棒がある様で硬い。髪の量が多く頭自体も大きく感じて、後ろに引かれるみたい」等の発言がみられた。頚部運動は非常にぎこちなく動揺やスピードの遅さみられ、眩暈の訴え、眼振が出現し特に坐位から背臥位になる際や後屈、回旋時に顕著であり「無理に曲げないといけない」「後ろに引っ張られる」「首を回す時、雑巾を絞る様に無理に捻る感じ」と発言される。歩行時も方向転換や立ち止まる時にふらつきや眩暈が出現「カーブの時は眩暈が出そうでふらつく」「立ち止まると髪の毛を後ろに引っ張られる感じ」等の発言がみられた。なお眼球運動のみでは眩暈、眼振は見られなかった。<BR>【病態解釈とアプローチ】<BR> (1)小脳出血及び手術侵襲により頚部の表象が変質しているのではないか(2)先の問題により頚部運動時、頚部の動きが予測出来ないことで眼球も協調的な働きが出来ず、眩暈、眼振が出現しているのではないかと考えた。そこで頚部の表象を再構築する目的でスポンジを用いた接触課題、筋感覚的な頚部の運動イメージの再構築を図った。これにより頚部運動の予測が可能となり、眼球運動とも協調的な活動が可能となるのではないかと考えた。介入に際し注意障害の影響が強く直接的に一人称イメージを用いた介入が難しく予測や結果との照合に困難を呈した。そこで視覚的イメージや目的部位以外での運動イメージを用いることで頚部への変換を促した。<BR>【結果】<BR>「頭を引っ張られなく軽くスムーズに動かせる」「眩暈や違和感が出るって思っていたけど今はない」等の記述がみられ、眩暈、眼振は頚部運動のみの場面では消失しその他でも軽減した。<BR>【考察】<BR>小脳は前庭神経核を介し眼球と頚部の協調的な働きに関与すると言われている。今回、眼球運動のみでは眩暈、眼振が見られなかった事から頚部表象の変質によって運動予測が出来ず眩暈、眼振が出現していたものと考えられる。また介入において小脳損傷による注意障害の為、非目的部位や視覚的イメージを目的部位である頚部の一人称イメージへ変換するという観点からアプローチを進めたことで頚部運動の予測が可能となり眼球運動とも協調的な活動が可能となったと考えられる。
著者
平川 善行 原田 清
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.103, no.6, pp.690-695, 1983-06-25 (Released:2008-05-30)
参考文献数
5
被引用文献数
2 2

In the previous paper, a new technique for particle size reduction of oxolinic acid (OA), a slightly soluble model drug having an acidic group in a molecule, by the crystallization through the neutralization of its alkaline solution in the presence of certain surfactant or polymer was described. The wet sieving method by the use of polycarbonate membrane filter for the evaluation of size reduction effect was also described. Various factors affecting the size reduction of OA were investigated in this paper. The results obtained were as follows ; manners of participation in various factors affecting the size reduction varied with OA concentration at crystallization, and in the case of 5 w/v% OA concentration, the influences of addition rate of hydrochloric acid solution, stirring rate, reaction temperature and concentration of hydrochloric acid were relatively low. Size reduction effects of various surfactants and polymers were investigated. All of them were effective, though differences were recognized in the extent of size reduction. It has been found that the establishment of optimal conditions to obtain the finest particles is enabled and moreover, there is a possibility to prepare the particle that have an optional particle size by regulating the various factors.
著者
平川 善行 原田 清
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.102, no.10, pp.951-959, 1982-10-25 (Released:2008-05-30)
参考文献数
26

When slightly soluble medicinal crystals are administered orally, their particle size is one of the important factors affecting the bioavailability. Therefore, it was attempted to develop a new technique of particle size reduction, in which the addition of surfactants or polymers at crystallization was examined. In order to evaluate the size reduction effect for oxolinic acid (OA), the wet sieving method was studied by the use of the polycarbonate memblane filter. This method consists of the following procedures : 1) sonication of suspension more than 10 min, 2) suction filtration of suspension after dilution, 3) measurement of the weight of the residue on each filter by the determination of OA, 4) plots of the cumulative weight of residues on a log-probability paper, followed by calculation of apparent geometric mean diameter on weight basis, 5) regulation of the volume of filtrate according to the particle size of microcrystallines. It was found that the new method studied enabled to evaluate the size reduction effect easily and accurately.