著者
平川 純
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.94-97, 1997-04-25 (Released:2011-08-11)

魚眼レンズの射影方式に従うズームレンズを開発した。射影方式を工夫することにより簡単な構成で180度に及ぶ広画角のズームレンズを提供することが出来る。
著者
平川 全機
出版者
環境社会学会
雑誌
環境社会学研究
巻号頁・発行日
no.11, pp.160-173, 2005-10-25

市民参加の自然再生事業においては,人びとが長期間事業に向き合わざるをえないという特質上,時間の経過と公共性の問題を考える必要がある。というのは,討議過程においては意見の多様性を維持できても,管理の段階では,ある1つを採用することはそのプロセスにおいて同時に他にある可能性を排除しそれが累積されるからである。担い手は,時間軸の中で可能性の排除と公共性の確保というジレンマを引き受けざるをない。本稿では札幌市豊平川の堤防の法面で自然再生に取り組むホロヒラみどり会議・ホロヒラみどりづくりの会の6年間の活動を取り上げる。ホロヒラみどりづくりの会では自由参加の議論を経て決まったはずの合意を揺るがす事件が2004年に発生した。これを解決する際合意の拘束性と活動の継続性に基づく可能性の排除と手続き主義的な公共性の確保との間に発生するジレンマの問題に直面した。担い手の活動を検討すると,理念からいえぽ厳密ではなかったり忘れたりという営みが含まれていた。それは,一時的にジレンマの中にあって可能性を保障し,担い手を成立させる営みでもあった。しかし,これは再びジレンマの中に回収されてしまう。最終的に選ばれた解決は,ジレンマを覆い隠すような権力性や知識であった。今後,こうしたジレンマを覆い隠していくものを解明していく必要がある。
著者
森田 哲夫 平川 浩文 坂口 英 七條 宏樹 近藤 祐志
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 Supplement 第29回日本霊長類学会・日本哺乳類学会2013年度合同大会
巻号頁・発行日
pp.52, 2013 (Released:2014-02-14)

消化管共生微生物の活動を通して栄養素の獲得を行う動物は微生物を宿すいわゆる発酵槽の配置により前胃(腸)発酵動物と後腸発酵動物に大別される.消化管の上流に微生物活動の場がある前胃発酵の場合,発酵産物と微生物体タンパク質はその後の消化管を食物とともに通過し通常の消化吸収を受ける.一方,後腸発酵ではその下流に充分に機能する消化管が存在せず,微生物が産生した栄養分は一旦ふりだしに戻り,消化を受ける必要がある.その手段として小型哺乳類の多くが自らの糞を食べる.このシンポジウムでは消化管形態が異なる小型哺乳類を対象にこの食糞の意義について考える. 糞食はウサギ類に不可欠の生活要素で高度な発達がみられる.発酵槽は盲腸で,小腸からの流入物がここで発酵される.盲腸に続く結腸には内容物内の微細片を水分と共に盲腸に戻す仕組みがある.この仕組みが働くと硬糞が,休むと軟糞が形成される.硬糞は水気が少なく硬い扁平球体で,主に食物粗片からなる.一方,軟糞は盲腸内容物に成分が近く,ビタミン類や蛋白などの栄養に富む.軟糞は肛門から直接摂食されてしまうため,通常人の目に触れない.軟糞の形状は分類群によって大きく異なり,Lepus属では不定形,Oryctolagus属では丈夫な粘膜で包まれたカプセル状である.Lepus属の糞食は日中休息時に行われ,軟糞・硬糞共に摂食される. ヌートリア,モルモットの食糞はウサギ類と同様に飼育環境下でも重要な栄養摂取戦略として位置付けられる.摂取する糞(軟糞,盲腸糞)は盲腸内での微生物の定着と増殖が必須であるが,サイズが小さい動物は消化管の長さや容量が,微生物の定着に十分な内容物滞留時間を与えない.そこで,近位結腸には微生物を分離して盲腸に戻す機能が備えられ,盲腸内での微生物の定着と増殖を保証している.ヌートリア,モルモットでは,この結腸の機能は粘液層への微生物の捕捉と,結腸の溝部分の逆蠕動による粘液の逆流によってもたらされるもので,ウサギとは様式が大きく異なる.この違いは動物種間の消化戦略の違いと密接に関わっているようにみえる. ハムスター類は発達した盲腸に加え,腺胃の噴門部に明確に区分された大きな前胃を持つ複胃動物である.ハムスター類の前胃は消化腺をもたない扁平上皮細胞であることや,前胃内には微生物が存在することなどが知られているが,食物の消化や吸収には影響を与えず,その主な機能は明らかとはいえない.一方,ウサギやヌートリアと比較すると食糞回数は少ないが,ハムスター類にとっても食糞は栄養,特にタンパク質栄養に大きな影響を与える.さらに,ハムスター類では食糞により後腸で作られた酵素を前胃へ導入し,これが食物に作用するという,ハムスター類の食糞と前胃の相互作用によって成り立つ,新たな機能が認められている
著者
森脇 喜一 船木 實 平川 一臣 時枝 克安 阿部 博 東 正剛 宮脇 博巳
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.293-319, 1989-07

第30次南極地域観測隊(JARE-30)夏隊のセールロンダーネ山地地学・生物学調査は, 1988年12月29日から1989年2月1日にかけて山地西部で, 2月2日から9日にかけてあすか観測拠点をベースに付近の小山塊で実施された。2月になってからの調査活動は, ブリザード等の強風と地吹雪で効率的でなかった。JARE-26-29の地学調査に生物班が初めて加わったが, 調査計画の立案や行動形態に特に従来と変わったところはない。ここでは, 設営面を含む行動の概要と調査の概略, 調査期間の山地近辺の気象と雪氷状況を報告する。調査の成果については別途, 各分野で詳しく報告される。
著者
森脇 喜一 船木 實 平川 一臣 時枝 克安 阿部 博 東 正剛 宮脇 博巳 Kiichi Moriwaki Minoru Funaki Kazuomi Hirakawa Katsuyasu Tokieda Hiroshi Abe Seigo Higashi Hiromi Miyawaki
雑誌
南極資料 = Antarctic Record (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.293-319, 1989-07

第30次南極地域観測隊(JARE-30)夏隊のセールロンダーネ山地地学・生物学調査は, 1988年12月29日から1989年2月1日にかけて山地西部で, 2月2日から9日にかけてあすか観測拠点をベースに付近の小山塊で実施された。2月になってからの調査活動は, ブリザード等の強風と地吹雪で効率的でなかった。JARE-26-29の地学調査に生物班が初めて加わったが, 調査計画の立案や行動形態に特に従来と変わったところはない。ここでは, 設営面を含む行動の概要と調査の概略, 調査期間の山地近辺の気象と雪氷状況を報告する。調査の成果については別途, 各分野で詳しく報告される。The summer party of the 30th Japanese Antarctic Research Expedition (JARE-30) carried out the geomorphological, paleomagnetic, geodetic, zoological and botanical field work in the western part of the Sφr Rondane Mountains for 35 days from December 29,1988 to February 1,1989,and around Asuka Station for 8 days from February 2 to 9,1989. The field work in February was largely hampered by bad weather including blizzard. In addition to earth scientists who have been in charge of the field operation of the Sφr Rondane Mountains since JARE-26 (1985), biologists joined the field party for the first time this season under the similar planning and operating scheme formerly adopted. This is the report describing the results of field operations including logistics, a summary of the field work, and some information on weather and surface conditions of snow and ice around the Mountains during this period.
著者
大倉 忠司 平川 昌紀
出版者
日経BP社
雑誌
日経レストラン (ISSN:09147845)
巻号頁・発行日
no.393, pp.42-45, 2008-01

イターナルサービス社長大倉忠司(おおくら・ただし)1960年2月4日、大阪府生まれ。86年、イターナルサービス設立。280円均一の焼き鳥店「鳥貴族」99店舗(直営38店、FC61店)を経営。年商55億円きちり社長平川昌紀(ひらかわ・まさのり)1969年7月16日、大阪府生まれ。98年、有限会社吉利を設立。2000年、社名を株式会社きちりに変更。2007年、大証ヘラクレス上場。
著者
平川 澄子 仲澤 眞
出版者
鶴見大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

女性スポーツに少なからぬ影響を及ぼしているメディアとジェンダーの関係を中心に研究をすすめた。メディアで醸成される身体や運動・スポーツに関わる言説は、筋肉に象徴される逞しい男性の身体と、無駄な脂肪の少ないしなやかな女性の身体という、性によって異なる理想の身体像をつくりだした。その背景には、スポーツの産業化の進展によるフィットネスクラブの急増、テレビメディアを介してのスポーツの氾濫があった。「フィットネス」は、より積極的に理想の身体を獲得するための営みとなり、改造可能な身体観がもたらされた。1980年以降のBMIの推移をみると若い女性のスリム化傾向は著しく、男性は体格向上ないしは肥満化傾向にある。身体のジェンダー化は着実に浸透している。身体を重要な要素とするスポーツはジェンダー化された身体像の影響を大きく受けている。スポーツを題材としたテレビコマーシャルの映像分析を行った結果、男性が主人公となるCFが64.8%で女性の14.3%を大きく上回っていた。質的にも異なる描写がなされ、男性スポーツ選手はメディアを介してより偉大に描かれていくのに対して、女性スポーツ選手は矮小化されていくことが明らかになった。女性スポーツ発展のためには、ジェンダーにとらわれない個性ある身体を見直すこと、メディアを批判的に読み解き、是正する声をあげることの重要性が示唆された。また継続して考察を進めてきた女子サッカーリーグの運営と観戦者に関する日米比較研究からは、女性ファンの開拓、スター選手のメディア露出、女子サッカーのプレイ環境の整備などの課題が示唆された。
著者
宮原 強 小杉 寿文 仁田 亜由美 濱田 献 日浦 あつ子 森 直美 八谷 由貴 平川 奈緒美 佐藤 英俊 松永 尚
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.9, no.4, pp.125-130, 2014 (Released:2014-11-11)
参考文献数
18

【目的】当院ではオキファスト®注(OXJ)の換算比として簡便な 「OXJ:モルヒネ注射剤:フェンタニル注射剤=1:1:1/50」 を用いているが, 妥当性を検討した報告はない. 【方法】OXJに切り替えたがん疼痛患者18例を対象に臨床的検討を行った. 【結果】OXJへの切り替え理由としては, 鎮痛効果不十分11例, 内服困難6例, 傾眠1例であった. 疼痛コントロール達成までの投与量調節に要した日数は平均0.6日であった. 鎮痛効果不十分例ではOXJ変更前後のnumeric rating scaleは3.3から1.1と有意な改善効果が認められ(p=0.007), 内服困難例では変更前後で同等の疼痛管理が得られた. OXJ変更による有害事象の悪化は認められなかった. 【結論】OXJへのオピオイオド・スイッチングに対し, 簡便な換算比を用いても, 臨床での疼痛コントロールや有害事象における問題は特に認められなかった.
著者
平川 幸子・村上 佳菜・義澤 宣明・滝澤 真理・河合 理城・佐藤 理・高木 俊治 中村 尚司 義澤 宣明
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.167-172, 2014

<p>2011 年3 月11 日に発生した東日本大震災に伴う原子力発電所事故直後から環境中及び露地野菜,原乳,水道水等から,ヨウ素131 が検出された.本稿では,主にヨウ素131 による内部被ばく線量の再評価の参考となる,事故直後の福島県住民の避難状況及び避難者の避難中の食生活及び流通実態について調査し,課題を整理した. 調査結果からは,事故直後に避難者が摂取した食品等の多くは事故前からの備蓄品又は被災地外からの支援物資であったことが確認された.さらに,対象野菜の出荷制限,水道水の摂取制限の他,流通施設の被災,小売店舗の閉鎖,等の状況からヨウ素131 で汚染された食品等が大量に消費される状況ではなく,一般に広く流通した可能性は低いことが示唆された.</p>
著者
根立 研介 中村 俊春 平川 佳世 武笠 朗 深谷 訓子 皿井 舞 武笠 朗 田島 達也 深谷 訓子 劔持 あずさ 皿井 舞 宮崎 もも 中尾 優衣
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

平成22年度は、研究代表者の根立は、8月下旬から9月初旬にロンドン・大英博物館、ウィーン・応用美術館、ケルン・東洋美術館を、また12月下旬中国・寧波・寧波市博物館及び蘇州・蘇州市博物館等を訪れ、日本の鎌倉・江戸時代の彫刻及び日本の古代・中世彫刻の規範である中国の南北朝・唐・宋彫刻の調査を実施し、資料収集を行った。また、国内では、霊験仏として名高く、模刻も盛んに行われた奈良・長谷寺十一面観音像の室町時代の模刻像の調査(於鳥取県倉吉市・長谷寺)等を実施した。分担者の中村は、昨年度に引き続き、西洋バロック美術の模倣と創造の問題に関して資料収集を行った。また、21年度から分担者となった平川は、9月にルーブル美術館(パリ)、サバウラ美術館(トリノ)、ドーリア・アンフィーリ美術館(ローマ)を訪れ、ルネサンス以降イタリアの宮殿装飾として定着した古代ローマの表象において北方ヨーロッパにおける伝播を確認する調査を実施した。連携研究者は、個々人のテーマを進展させたが、特に武笠朗は昨年度に引き続き、善光寺式三尊像の模刻を巡る研究を進展させた。なお、研究代表者根立は、本研究のテーマとも密接に関わる霊験仏の問題を『美術フォーラム21』22号(2010年11月発行)で特集として編集するとともに、根立、武笠が論考を発表した。なお、最終年度に入った本研究の成果を検討する研究会を、10月3日に実施し(第二回目は、東日本大震災の影響もあり中止となった)、活発な意見交換を行った。また、3月下旬には、研究代表者・同分担者・連携研究者8人の研究成果の論文を掲載し、この科研を総括する報告書を刊行した。
著者
辻 裕介 平川 慎太郎 百冨 隆二 松尾 政晃 円福 敬二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SCE, 超伝導エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.364, pp.27-32, 2010-01-13
参考文献数
10

冷却した銅線または高温超伝導テープで作製した検出コイルと高温超電導SQUIDを結合したマグネトメータの性能評価を行った。この検出コイル分離型の構成は大きなサイズの検出コイルが要求される時に有効である。例として、TEM法を用いた地質探査のためのマグネトメータを設計した。巻数50ターン、コイル直径100mmという比較的大きなサイズの検出コイルを用いたとき、マグネトメータの雑音磁界が周波数10Hzにおいて0.3pT/Hz^<1/2>、100Hz以上の高周波において40fT/Hz^<1/2>以下という結果が期待できることを示した。このシミュレーション結果の感度は実際の応用に対して十分実用的である。また、高温超伝導ビスマステープ線材で検出コイルを作製し、マグネトメータを作製した。予備実験の結果は解析結果とおおよそ良く一致した。
著者
長谷川 信美 西脇 亜也 平田 昌彦 井戸田 幸子 飛佐 学 山本 直之 多炭 雅博 木村 李花子 宋 仁徳 李 国梅 SCHNYDER HANS 福田 明 楊 家華 郭 志宏 李 暁琴 張 涵 李 海珠 孫 軍 宋 維茹 ガマ デチン NAQASH J&K Rashid Y KUMAR Ravi AUERSWALD Karl SCHÄUFELE Rudi WENZEL Richard 梶谷 祐介 小田原 峻吾 平川 澄美 松嶺 仁宏 佐野 仁香 長谷川 岳子 坂本 信介 樫村 敦 石井 康之 森田 哲夫
出版者
宮崎大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-11-18

中国とインドにおいて、放牧方式の違いが高山草原生態系へ及ぼす影響について調査を行った。東チベット高原では、暖季放牧地が寒季放牧地よりも植物種数が多く、種数密度と地上部現存量は低かった。土壌成分は、2012年と2004年間に差はなかった。牧畜経営では、ヤクが財産から収入源への位置づけに移行する動きが見られた。また、クチグロナキウサギの生息密度と植生との関係について調査した。インドの遊牧民調査では、伝統的な放牧地利用方法により植生が保全されていることが示された。衛星画像解析では、植生は日射、気温、積雪日数等に左右され、経年的な劣化も示された。ヤク尾毛の同位体元素組成は地域と放牧方式等で異なった。
著者
香川 考司 富永 浩之 白岩 真一 堀井 達也 池田 秀聴 横山 裕一 韓 根鎖 吉崎 翔 平川 裕弥 長江 明彦 白神 佑典 尾崎 陽一 末友 貴大 鳥原 悠平 藤沢 尚樹 森田 昌樹
出版者
香川大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

Webベースプログラミング学習支援環境のサーバー側プログラムに、Scalaスクリプトによる柔軟なカスタマイズ機能を提供できるプラットフォームを構築することを目的として、教師用システムと学習者用システムの間のファイルシステムを利用した疎結合インターフェイスの設計と、プロトタイプによる基本機能の確認を行った。教師用サーバー側プラットフォームにScalaインタプリターとのインターフェイスを実装した。また、プログラム可視化ツール、スクリプト入力支援ツールなどのクライアント側の補助的なツールを設計・実装した。
著者
平川 久美子
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.12-22, 2014

本研究では,情動表出の制御における主張的側面,とりわけ幼児期から児童期にかけての怒りの主張的表出の発達について検討を行った。調査は年中児,年長児,1年生の計110名を対象として行われ,仮想場面を用いた課題が個別に実施された。まず,主人公が友だちから被害を受ける状況で,主人公が友だちに加害行為をやめてほしいと伝えたいという意図伝達動機をもっているという仮想場面を提示し,そのときの主人公の表情を怒りの表出の程度の異なる3つの表情から選択し,理由づけを行うよう求めた。課題は,怒りを表出する際に言語的主張をせず表情のみで表出する表情課題(2課題),表情表出と併せて言語的主張を行う表情・言語課題(2課題)の計4課題であった。その結果,言語的主張をしない場面では年中児よりも年長児・1年生のほうが表情で怒りをより強く表出すること,1年生では言語的主張をする場合よりもしない場合のほうが表情で怒りをより強く表出することが示された。本研究から,仮想場面における怒りの主張的表出は年中児から年長児にかけて顕著に発達すること,また1年生頃になると表情と言語という情動表出の2つのモードの相補的な関係を理解し,情動表出を行うようになることが示唆された。