著者
高田 邦道 橋本 雅隆 塚口 博司 苦瀬 博仁 小早川 悟 黒後 久光
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2000

平成12年度の研究概要は、社会実験の準備を中心として、社会実験対象地区の絞込み、ポケット・ローディング・システムのシステム設計、社会実験対象地区の現況調査、実験装置の設置場所の検討、社会実験対象地区における事前調査、および社会実験対象地区における関係者との折衝を行った。社会実験対象地区の絞込みでは、平成10年度から平成11年度の科学研究補助金によって行われた東京都六本木地区における都心部商業務地区のポケット・ローディング・システム(以下、PLS)社会実験の結果を踏まえ、近隣商業地区におけるPLSの効果を把握するために東京都練馬区江古田地区を社会実験対象地区とした。また、PLSのシステム設計では、今回の対象地区である江古田地区に対応できるシステムの設計および実験装置の改良を行った。平成13年度は、昨年度より検討を行ってきた東京都練馬区江古田地区において、ポケット・ローディング・システムを利用した「貨物車専用荷さばき駐車場」社会実験の実施および実態調査を中心に行った。社会実験は平成13年3月から1年間の予定で実施した。社会実験中のポケット・ローディングの利用状況は、カード保有の会員利用が34台で、カード無しの一般利用が1309台であった。平成14年度は、社会実験対象地区における商店街のアンケートを実施し、社会実験の認知度および荷さばきに関する意識調査を行った。PLSを利用したいと考えているドライバーは82%、管理者は92%とその需要は高い。しかし、今回の社会実験の認知度は、商店街の店舗の47%と約半数であったが、商店街のポケット・ローディングの利用率はわずか3%であった。さらに、今回の社会実験により得られたデータの解析と補足調査の結果を加えて、用地管理、道路管理、交通管理、運輸管理の視点を含めた地区交通対策の方策を検討している。
著者
笹谷 努 高井 伸雄 鏡味 洋史 笠原 稔 安藤 文彦 早川 福利
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

都市部での地震観測において,そこでの人工ノイズを避けるためにボアホール地震観測が必要なことは広く認識されている.しかし,大きな問題は,その設置にはボーリング掘削等に多額の費用を要することである.本研究は,その問題を回避するために,既存の深層井戸(500m以深)を利用したボアホール地震観測システムの開発とその実用化を目指したものである.平成12年度の研究においては,ボアホール地震計を鉛直に設置するために,以下の開発を行なった:(1)二重ケーシングと井戸孔底の特別仕上げ方法,(2)ケーシングを伝わる地表からのノイズの除去方法(免震機能),(3)それに対応した地震計の開発.二重ケーシング構造は,井戸本来の目的を損なうことなく地震観測を行なうために考案された.また,地震計は,既存の井戸の孔底にさらにボーリングした孔に設置される.平成13年度においては,本システムの性能チェックとそれによるデータを基に以下の研究をすすめた.(1)本研究で開発されたシステムが正常に作動していることをチェックするために,本システムによる記録と札幌市が市内に展関している3点のボアホール地震観測による記録とを比較した.微動記録と震度2の記録について比較し,本システムが正常であることを確認した.(2)札幌市と本研究による全部で6点のボアホール地震観測点と郊外2点の地表地震観測点のデータを用いて,札幌都市域直下の最近4年間の微小地震活動について調べた.その結果,北西-南東方向に線状に配列した震央分布を得た.(3)地表とボアホール地震記録との比較から,堆積層による増幅特性について研究した.その際に,PS検層の行なわれていなかった地層についてS波速度を推定した.本研究により,既存の深層井戸を利用したボアホール地震観測システムの開発・実用化に成功したと言える.
著者
スピンドラー ジェラルド 早川 勝 ハヤカワ マサル Spindler Gerald Hayakawa Masaru
出版者
同志社法學會
雑誌
同志社法學 (ISSN:03877612)
巻号頁・発行日
vol.61, no.7, pp.1-10, 2010-03-31

翻訳(Translation)2004年のSE規則は、当初の構想と異なり、枠組み法であって、基本的な骨組みを定めるにすぎず、その肉付けは、EU加盟国の国内法によるため、極端な場合は、加盟国数に相応したSEが存在することになる。当初慎重であったドイツ・オーストリアでは、少しずつSEを創設してきているが、超国家性という特色を生かすというよりも、ヨーロッパブランドという側面を重視している。
著者
早川 芳宏 塚本 眞幸 太田 美智男 山田 景子
出版者
愛知工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

環状ジグアニル酸(c-di-GMP)および人工修修飾体の(1)生理活性探索と(2)生理活性発現機構の解明研究を行い、(1)については、c-di-GMP類は、肺炎双球菌、Ehrlichia chaffeensis菌、Anaplasma phagocytophilum菌、Borrelia brugdoferi菌、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)などの感染力を、主に免疫活性化作用によって低下させることを発見、(2)については、c-di-GMP類が示すいくつかの生理活性の中でも最も重要な免疫活性化の機能発現機構解明の鍵となる、「免疫は、c-di-GMPが哺乳動物に存在する免疫タンパク"stimulator of interferon genes(STING)"と結合する事によって発現される」という証拠を発見した。
著者
若林 隆 仁木 一郎 吉田 松年 早川 哲夫 JERZY Krechn ZDZISLAW Wai MICHAL Wozni
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998

1.培養細胞系によるミトコンドリア(ミト)巨大化実験モデルの確立:従来の動物(マウス、ラット)に代わって培養細胞系による実験モデルを確立し、ミト巨大化の機序解明を可能にした。2.ミト巨大化機序の解明:様々な病的条件下でのミト巨大化の普遍的機序に、フリーラジカルが直接関与することをin vivo,in vitroの実験系で証明した。3.ミト巨大化の細胞病理学的意義の解明:巨大ミト存在下の細胞がやがてアポトーシスに陥る事を培養細胞系で見いだした。フリーラジカルに晒された細胞内ミトは、巨大化により自らの酸素消費量を減少することによって酸素ラジカル産生を減少させ細胞内フリーラジカル量の増加を緩和しようとするのであり、ミト巨大化はオルガネラ・レベルでの適応と考えられる。4.フリーラジカルスカベンジャーによるミト巨大化阻止の成功:coenzyme Q_<10>,α-tocopherol,4-OH-TEMPOにより、in vivo,in vitroでの種々病的条件下でのミト巨大化の阻止に成功した。6.臨床応用を目的としたフリーラジカルスカベンジャーの開発:in vivoの実験系で4-OH-TEMPOの副作用がみられたので、新たに6種の誘導体を合成しスカベンジャー効果を培養細胞系で検討した結果、4-octanoyl-,4-lauroyl-TEMPOに4-OH-TEMPOよりはるかに優れたスカベンジャー効果が見られ、in vivoの系で検討中。
著者
舟橋 整 赤毛 義実 竹山 廣光 毛利 紀章 若杉 健弘 寺西 太 早川 哲史 福井 拓治 田中 守嗣 真辺 忠夫
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.34, no.11, pp.1601-1605, 2001-11-01
参考文献数
9

切除不能進行胃癌に対し腹腔動注併用化学療法が奏功した症例を経験したので報告する.症例は59歳の男性.上腹部痛を主訴に来院し, 上部消化管内視鏡検査にてBorrmann IV型胃癌を指摘された.1999年6月手術施行するもT4, N3, P1, H0, M1, CY1:stage IVのため試験開腹とし, 左右横隔膜下にリザーバーを留置してmodified low doseCDDP+5FU regimenにて化学療法を施行した.9月にTh9/10のレベルでAorta内に動注用リザーバーを留置し, 以後外来通院にて腹腔動注併用化学療法を施行した.2000年4月食思不振にて再入院するまでQOLを損なうことなく外来通院にて腹腔動注併用化学療法が施行できた.
著者
早川 和男 山崎 寿一
出版者
神戸大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2009

本研究では、激甚災害の被害を受けた中山間地域の被災集落を対象に、被災後の高齢者の居住継続と転居、被災者の転出と帰還に焦点をあて、「居住福祉」実現のための条件について、石川県輪島市門前地区におけるフィールド調査を行った。また国際居住福祉会議においてこれまでの成果を論文にまとめ、研究発表を行った。具体的に、(1)居住福祉資源調査、集落コミュニティ・環境調査(被災前後の比較)、(2)震災復興における住宅や神社、農地、山林、公民館、集会所、公共施設の果たす役割、(3)被災後の居住動向、家族構造の把握、(4)高齢者居住調査(居住継続と転居の実態)、(5)被災者居住調査(転出と帰還状況の把握)の5項目について検討し、以下の諸点を明らかにした。1)高齢者の居住とコミュニティの持続を支えている居住福祉資源の存在と役割、2)災害を契機とする人口流出が起きなかった原因と被災者が帰還または地域に止まれた要因3)震災を契機に地域外に転出した人々の居住地選定理由、4)母村の住宅・土地財産の管理・活用の実態、母村コミュニティとの関係さらにこれまでの研究成果を再分析し、『日本の居住貧困』(藤原書店)を出版した。
著者
今井 悦子 早川 文代 畑江 敬子 島田 淳子 相内 雅冶
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.45, no.8, pp.697-708, 1994-08-15
被引用文献数
2

5種類の目皿(細孔の直径2.4,3.4,4.8,6.8および9.6mm)を通した挽き肉(牛,豚および鶏の3種類)を用いてハンバーグ様試料を調製し,試料の官能的識別および物性に及ぼす粒度の影響を検討した.生肉粒,加熱後の肉粒の粒度を測定した結果,加熱による肉粒の収縮率は牛肉>豚肉>鶏肉であった.さらに粒度測定から,牛肉は,目皿の直径が異なる試料間の粒度の識別がもっともしやすく,また鶏肉は結着性がもっとも高いことが示唆された.試料中の水分の保ちやすさは,解凍試料では目皿の直径が大きい試料の方,加熱試料では小さい試料の方であり,さらに鶏肉>豚肉>牛肉という肉種による差があった.剪断破断歪みおよび凝集性は,目皿の直径が大きい試料ほど有意に大きく,また牛肉は他の肉種より,目皿の直径が異なる試料間での変化率が大きかった.これより,牛肉の物性は,目皿の直径が異なる試料間で識別しやすいことが示唆された.官能検査の結果,目皿の直径が異なる試料間で,切り口の粗さ,硬さ,弾力性および肉粒感は3種の肉ともにある程度識別できたが,識別のしやすさには肉種により差があり,牛肉≧豚肉≧鶏肉であることが分かった.この結果より,肉粒の粒度測定および物性測定による示唆が裏づけられた.肉の粒度を官能的に捉える指標の1つである肉粒感は,肉汁の流出率および解凍試料の保水力の2つの物性値で98%予測できることが分かった.また,2つの肉粒の体積の比が1.2〜1.5以上になると粒度の識別ができると考えられた.
著者
早川 竜馬
出版者
独立行政法人物質・材料研究機構
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究では、機能性有機分子を量子ドットに用いた多機能単一電子メモリを開発することを目的としている。有機分子へ注入する単一電子トンネル電流を分子軌道によって制御することにより従来の無機材料量子ドットでは実現できない新しい機能を発現できる。初めに有機分子をゲート絶縁膜中に集積化する技術を確立し、分子へ注入するトンネル電流を分子軌道によって制御できることを明らかにした。上記の知見を基に異種分子によるトンネル電流の多値制御および光異性化分子による可逆的なトンネル電流の光制御に成功し、従来の無機材料では実現できない新規機能を発現できることを見出した。
著者
荒牧 正也 小川 修三 小川 修三 廣川 俊吉 沢田 昭二 早川 幸男 小沼 通二 荒牧 正也
出版者
名古屋大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1987

坂田昌一氏は、氏の複合模型の提案にかぎらず夙に研究における方法論の重要性を強調していた。氏はまた湯川秀樹、朝永振一郎両氏の4年後輩として京都大学を卒業し、以来研究上でも両氏と緊密な関係をもっていた。そこで複合模型展開の研究に先立ち、坂田昌一氏の研究開始の時期に遡ってその足跡を辿り、氏の遺作や遺稿の収集・整理から手を付け、それを目録として纏めることとした。この仕事は未だ不十分なところが残っているが一段落し、「坂田記念史料室 資料目録第一集」として出版できた。これによって、坂田昌一氏の研究活動についてその背景を含めて検討する手立てが得られた。この目録作成と平行して、坂田昌一氏の社会的・文化的背景の検討を行ない、京都大学卒業論文から第二次大戦終結までに至る氏の方法論的考察の伸展と具体的研究との関連、とくに湯川博士との研究の進め方に関する考え方の違いが極く初期に遡ること及び武谷三男博士との緊密な関係と微妙な違いなどを追求し、その結果を「坂田昌一氏における『物理学と方法』」なる表題のもとにいくつか発表した。加えて坂田昌一氏とは研究の進め方及びその内容において相補的な朝永振一郎氏を提唱者とする、くりこみ理論、展開の歴史研究「Development of the renormalization Theory in Quantum Electrodynamics」が行なわれたが、これは複合模型の展開に至る坂田昌一氏の方法論に別の面から光を与えるだけでなく、日本の素粒子論発展の解明に大きく寄与すると考えられる。
著者
岡田 信弘 高見 勝利 小早川 光郎 林 知更 常本 照樹 佐々木 雅寿 前田 英昭 岡田 信弘
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

1 夏季研究集会における諸報告とその成果の公表(1)2002年8月19日(月)〜21日(水)の日程で、研究分担者と本共同研究への協力を依頼した部外の実務家が北海道大学に参集し、研究会が開催された。部外の実務家からの報告として、橘幸信氏(衆議院憲法調査会事務局)「『実践的立法学』の構築に向けて-法律(案)のつくり方・つくられ方-」と山岡規雄氏(国立国会図書館憲法室)「憲法調査会の活動」とがあった。なお、山岡氏の報告を補完するものとして、橘氏による追加報告(「衆議院憲法調査会の活動」)がなされた。これらの報告をめぐる活発な討論を通して、一方で、「立法過程」の現場体験に基づいた「立法事実」に関する新たな知見が得られるとともに、他方で、現在進行中の「憲法改正」に関わる議会内部の動きを正確に理解することができた。(2)研究分担者からは、岡田信弘「改正内閣法に対する評価」、常本照樹「アイヌ新法の実施状況」、佐々木雅寿「司法制度改革の推進体制」、小野善康「国旗・国歌法制定後の学牧の状況」、高見勝利「政治腐敗と政治倫理-英米独仏等の国会議員の政治倫理に関する制度」の各報告があり、分担者間で意見交換がなされた。(3)以上に概観した夏季研究集会の成果の一部は既に公表もしくは近々公表予定であるが、それらを含む研究分担者の研究成果を、本共同研究グループが従来行ってきたように、1冊の著書にまとめるべく作業を進めている。2 その他の研究会活動2002年10月29日(火)にジャック・ロベール氏(元フランス憲法院裁判官)、12月20日(金)に孝忠延夫氏(関西大学教授)を招いて、ヨーロッパとアジアにおける最近の立法動向についての報告を受けた。
著者
山本 晴彦 早川 誠而 鈴木 義則
出版者
日本自然災害学会
雑誌
自然災害科学 (ISSN:02866021)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.167-178, 1997-11-30
参考文献数
15
被引用文献数
2

The typhoons 9210 and 9612 damaged crops and green houses in western parts of Japan, in the early and the middle of August. For the typhoon 9210,the maximum instantaneous wind speed in Makurazaki city was 57.0 m/s, the maximum wind speed was about 15〜33 m/s in middle and southern parts of Kyushu districts. The loss money in the agriculture of Kyushu district by typhoon 9210 exceeded 19.8 billion yen. For the typhoon 9612,the maximum instantaneous wind speed in Kagoshima city was 58.5 m/s, this value was the maximum record since 1940. The precipitation of the Ebino meteorological station in August 14,1996 was 372 mm and many area in western parts of Japan were suffered by strong wind and heavy rainfall. The loss money in the agriculture of Kyushu district by typhoon 9612 exceeded 13.7 billion yen.
著者
浜田 龍夫 大久保 忠旦 早川 秀輝 亀岡 喧一
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.22-25, 1974-04-25

生育ステージにともなう草の消化率の推定のために連続消化試験の適用を考え,モデル実験を行なった。その結果,草の生育ステージを追って3日毎に草を刈取って山羊に給与し,給与飼料と排泄糞との間の時間的ずれを考えないで消化率を求めても,消化率におよぼす誤差は無視しうる程度の大きさであるとみなした。つぎにアルファルファ,ペレニアルライグラス,トールフェスクの3草種につき,草高12〜15cmぐらいの時期から刈取給与を始め,連続消化試験法によって,1ヵ月後にいたるまでのエネルギーと粗蛋白質の消化率の変化を示す回帰式を求めた。これより,試験開始日の5月11日以後の経過日数に対して,1日あたりのアルファルファ,ペレニアルライグラス,トールフェスクのエネルギーの消化率の減少度は,0.41,0.54,0.32%となり,また,それらの粗蛋白質の消化率の減少度は,0.35,0.45,0.31%になると推定した。
著者
亀田 貴之 早川 和一 鳥羽 陽 唐 寧
出版者
金沢大学
雑誌
新学術領域研究(研究課題提案型)
巻号頁・発行日
2009

本研究は,黄砂表面における多環芳香族炭化水素(PAH)誘導体の二次生成反応について模擬大気実験系を用いた実験を行い,黄砂表面が関与する大気内PAH誘導体生成反応過程を明らかにするとともに,実大気観測によって,長距離輸送中の黄砂表面における有害PAH誘導体生成を検証し,更にそれらによる生体影響の実態解明を試みた。
著者
吉田 邦彦 早川 和男 亘理 格 人見 剛 遠藤 乾 藤谷 武史
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

第1は、平成大合併の動きとの関連での中山間地の動向調査で、とくに合併を拒否した基礎自治体に留意して、(1)平成大合併の経緯ないし(2)その理由の検討(日米で合併が説かれる際の相違)、(3)居住福祉に及ぼす影響、(4)合併が拒否される場合の根拠、ないしその際の苦境などを含めて、成果報告をした。空洞化する農林業、地方都市の再生のあり方も併せて検討した。また第2に、それと関連して、自治体の財政破綻・貧困地区の再生と「新たな公共」の担い手としての非営利団体の研究を行い、破綻自治体問題の居住福祉に及ぼす影響、今後の対策(その際の各種非営利団体の役割)などにつき、シンポを企画し、労働者協同組合とも連携して、草の根の居住福祉のための非営利団体の活動の調査を通じて、成果も発表し、さらに、「新たな公共」を担う小規模非営利団体の活動を基礎付ける立法化(「協同労働の協同組合法」)に着目して、それを学問理論的・実践的な検討を行った。さらに第3に、財政難の中山間地がこの時期も被災したことに鑑みて(能登震災、中越沖地震)、そこからの再生のあり方を検討した。すなわち、阪神大震災と比較した中山間地の震災の特性、近時の平成大合併の影響、住宅補償の進捗度、コミュニティ維持の確保の検証、商店街の復興の展望など調査しており、今後の課題として残したい。最後に第4として、グローバリズムと地方自治との交錯(補完性原理との関係)を扱い、本研究が注目する補完性原理は、EUの統治システムであり、それに倣う広域行政のシステムの構築をも、本研究は目的とした。そして、グローバリズムの進行とともに、地方自治と国際法ないし国際的取り決めとの交錯現象が、注目されるに至っており、そうした「国際地方自治論」と言われる問題に関する学会に参加して示唆を得ており、その成果をまとめたい。
著者
吉田 邦彦 早川 和男 人見 剛 池田 恒男 今野 正規
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

震災、水害、火山活動などの各災害における被災者の災害復興政策において、住宅補償・生業補償の否定という従来からの負の遺産による居住福祉法学的配慮の手薄さは、比較法的考察からも先進諸国でも群を抜いて目立ち、災害救助法及び被災者生活再建支援法の現状では問題は山積し、さらに原発リスクにおける安全性チェックの制度的陥穽は事態を深刻化させることを、3.11以前に指摘したが、そうした中で東日本大震災が生じ、危惧が的中し、かつその後の災害復興における居住福祉法学的配慮のなさを指摘している。
著者
飯田 文雄 月村 太郎 辻 康夫 網谷 龍介 早川 誠 渋谷 謙次郎 津田 由美子 淺野 博宣 浪岡 新太郎
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、世界各地で展開されつつある多文化共生社会形成のための多様な政策を巡って、2000年代以降に生じた新たな議論の特質について、教育政策・福祉政策・人権政策という具体的な3つの政策類型に即して、北米・西欧・東欧各国の事例を手がかりに詳細な国際比較を行い、多文化共生社会の在り方に関する体系的・総合的な知見を獲得することを目指すものである。