著者
小野 鮎子 川﨑 安都紗 武永 敬明 村上 茂
出版者
国際タウリン研究会
雑誌
タウリンリサーチ (ISSN:21896232)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.12-14, 2017 (Released:2019-11-11)

非アルコール性脂肪性肝疾患(Non-alcoholic fatty liver disease: NAFLD)モデルとして高脂肪食 負荷マウスを用い、タウリンの肝臓への脂肪蓄積に 対する作用を検討した。また、抗酸化作用に注目し、 タウリンの作用メカニズムを調べた。12 週間の高脂 肪食負荷により、肝機能の低下、肝臓への脂肪蓄積 と酸化ストレスの増加が見られたが、これらの変化 はタウリンの 12 週間混餌投与により改善された。 タウリンは NAFLD抑制作用を有し、抑制メカニズ ムの 1つとして抗酸化作用の関与が示唆される。
著者
中埜 拓 村上 雄二 佐藤 則文 川上 浩 井戸田 正 中島 一郎
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.37-42, 1995-02-10 (Released:2010-02-22)
参考文献数
22

カゼイン組成がカード形成状態や消化性に及ぼす影響を調べた。ウシα-カゼインに酸を添加すると粗大なカードが形成されたが, ウシβ-カゼインならびに人乳カゼインではカードが微細であった。乳児の消化管内を想定したpH 4.0のペプシン分解およびそれに引き続くパンクレアチン分解を行うと, ウシβ-カゼインがウシα-カゼインに比べ速やかに消化された。ラットによる消化試験では, ウシβ-カゼインがウシ全カゼインに比べ分解されやすく, 胃内滞留時間が短かった。以上のことから, カードはβ-カゼインのように微細であるほど, 消化されやすいこと, また胃から速やかに小腸に移行することが示唆された。
著者
村上 勝典
出版者
日本時間学会
雑誌
時間学研究 (ISSN:18820093)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.15-26, 2015 (Released:2017-02-28)

本研究の目的は青年期男女の時間評価の相違について探索的に検討することであった。20名の対象者(男性10名,女性10名)は5水準(15秒,30秒,1分,3分,5分)の課題時間に対して各々の評価時間を産出するように求められた。これらの手続きを1回として,日を変えて,1人の被験者につき合計3回実施した。(1)被験者ごとに1回目から3回目の平均値と中央値を表し,これらの平均値と中央値に男女差があるかを検討するために,性別×課題時間の2要因分散分析およびMann-WhitneyのU検定を行った。また,1回目から3回目のそれぞれの評価時間が課題時間よりも長い場合には過大評価,短い場合には過小評価とし,3回のうち2回以上過大評価の場合に「過大評価」,2回以上過小評価の場合に「過小評価」と分類した。課題時間ごとに人数に男女で偏りがあるか否かを検討するために,χ2検定を行った。(2) 1回目から3回目の測定は,別の日に実施しており,実験条件が異なるため,個別のデータとして扱い,同様の分析を行った。その結果,(2)の分析を行った結果でのみ有意な差および偏りが示された。この相違は,被験者内で得られた1回目から3回目の評価時間の日間変動に帰せられた。また,時間評価および過大評価の頻度の男女差が松田の4要因乗法モデルに基づいて討論された。
著者
村上 孝作 吉藤 元 小林 志緒 川端 大介 田中 真生 臼井 崇 藤井 隆夫 三森 経世
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会総会抄録集 第33回日本臨床免疫学会総会抄録集 (ISSN:18803296)
巻号頁・発行日
pp.36, 2005 (Released:2005-10-18)

【目的】 抗Ku抗体は日本人の強皮症(SSc)+多発性筋炎(PM)の重複症候群に見出される自己抗体として報告された.しかし,米国ではSLEに最も多く検出されると報告され,人種ごとの遺伝的背景の違いによると考察されてきた.そこで我々は抗Ku抗体陽性の自験例について臨床的特徴を検討した.【方法】 2001年から2004年までに当院で診療した膠原病とその疑い例1185例の保存血清についてRNA免疫沈降法を施行し,高分子核酸スメアを沈降した血清をさらに35S‐メチオニン標識HeLa細胞を用いた蛋白免疫沈降法を行って抗Ku抗体を同定した.【結果】 70kDa / 80kDa蛋白へテロ2量体を免疫沈降する抗Ku抗体は6例(0.51%)に陽性であり,SLEとPMの重複例2例,SLE 2例(1例はCK値上昇あり),PM 1例,未分類膠原病(レイノー現象・手指硬化症・クリオグロブリン血症・CK値上昇)1例であった.抗Ku抗体陽性6例中,PMないし筋病変は5例に,SLEないしSLE様症状は4例に,両者の重複は3例に認められた.また,多発関節炎が5例に,レイノー現象が4例に,手指硬化などの強皮症様症状が2例に認められた.【結語】 少数例の解析ではあるが,抗Ku抗体は筋炎重複症候群と関連し,特徴的な臨床像を示す可能性が示唆された.
著者
吉峯 宗大 瀬山 厚司 菅 淳 村上 雅憲 林 雅規 井上 隆 松並 展輝 守田 知明
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.468-474, 2019 (Released:2019-12-28)
参考文献数
13

マムシ咬傷の治療に関するガイドラインは存在せず,臨床現場においては治療方針に迷うことが少なくないと推測される。そこで,当院で2007年から2016年までの10年間に経験した67例を用いて治療内容や予後について検討した。男女比は35:32,年齢は16歳から86歳(平均68歳)で,60歳以上が79%を占めていた。受傷時期は7月から9月に56例(84%)が集中し,受傷場所は田畑が28例,自宅が26例と多く,受傷部位は全て四肢であった。49例にマムシの目撃があり,目撃のない症例では臨床症状から診断した。受傷直後から著明な血小板減少を呈し重症化した「血小板減少型」の1例を除いた66例について検討した。全例に入院加療が行なわれ,平均入院日数は6.8日であった。腫脹範囲が大きい症例ほど入院日数が有意に長かった。3例が腎機能障害を合併し,そのうち1例が死亡した。腫脹がピ―クに達するのは平均21.8時間後,CPK値が最大となるのは平均2.6日目であり,初診時に軽症であっても数日間の経過観察は必要であると考えられた。マムシ抗毒素は28例に投与されたが,投与の有無では入院日数に差を認めなかった。しかし,より重症の症例にマムシ抗毒素が投与されていること,腎機能障害を合併した3例の中,死亡した1例を含む2例にはマムシ抗毒素が投与されていなかったことから,重症例にはマムシ抗毒素の投与が必要であると考えている。また当院で経験した非常に稀な「血小板減少型」の1例についても報告する。
著者
汐見 稔幸 志村 洋子 村上 博文 松永 静子 保坂 佳一 冨山 大士
出版者
白梅学園大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、乳児保育室の環境構成が子どもの行動に与える影響について、環境条件として空間構成と音に注目し、アクションリサーチ的手法を取り入れて調査した。その結果、部屋を単一空間から仕切られたより小さな空間にしたり、部屋から80dBを超える音を減らしたりすることによって、子どもが落ち着き、集中し、じっくり遊ぶようになることがわかった。
著者
寺谷 清香 紀 雅美 村上 太郎 高取 聡
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.63, no.4, pp.158-162, 2022-08-25 (Released:2022-08-30)
参考文献数
19

育児用の調製液状乳は,常温で一定期間保存でき,育児負担の軽減や災害時の利便性から平成31年3月に国内での製造・販売が開始された.AFM1は発がん性を有するカビ毒であるアフラトキシンB1 (AFB1)の代謝産物であって,AFB1に汚染した餌を摂食した家畜の乳に含まれる.現在,調製液状乳はもとより乳児用粉ミルク(調製粉乳)では基準値が設定されておらず,乳児では体重あたりの乳製品摂取量が多いため,摂取量には留意が必要である.本研究では,乳幼児の摂取量の多い乳製品についてのAFM1含有量の実態調査を行った.調査の結果,検出された乳製品のAFM1は0.001~0.005 μg/kgとなり,これまでに報告されている乳製品中のAFM1と比較して,極微量であった.乳幼児の栄養は乳製品に依存し,成人より多く摂取する可能性が否めないため,継続して調査を行う必要がある.
著者
兒玉 学 松前 光 木内 豪士 村上 直紀 平井 秀一郎
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌B(電力・エネルギー部門誌) (ISSN:03854213)
巻号頁・発行日
vol.141, no.7, pp.541-546, 2021-07-01 (Released:2021-07-01)
参考文献数
18
被引用文献数
1 3

Three-dimensional large scale magnetohydrodynamic, two-phase flow, and electrochemical reaction coupling numerical simulations of alkaline water electrolysis with magnetic field were conducted to elucidate the bubble-bubble interaction and the influence of that on the overpotential. Numerical results shown that the magnetic field enhances the coalesce of bubbles and the bubble size was increased with the increase in the magnetic flux density. Moreover, the magnetic field suppressed the cell overpotential by suppressing the anode overpotential and ohmic overpotential. This is because, KOH concentration around the anode is increased by mixing of the electrolyte, and the reduction of the shielding effect by coalescing of the bubbles.
著者
村上 宣寛
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
性格心理学研究 (ISSN:13453629)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.35-49, 2002-09-30 (Released:2017-07-24)
被引用文献数
6

本研究の目的は語彙アプローチによる研究の準備作業として,性格表現用語を「広辞苑」から収集し,性格表現用語としての適切さ調査を行い,基本語彙のリストを研究者に提供することである.調査1は,心理学専攻の学生4名が収集ルールに基づき,950語を収集した.調査2では,別の心理学専攻生3名が950語を見直し,不適切な14語を削除し,936語を調査対象とした.一人あたり約300語を割り当て,大学生341名に「性格表現用語の理解度についての調査」を行った.性格表現用語としての抹消率の上限を20%とし,752語を収集した.調査3ではサンプリングに漏れていた辻(2001)の基本用語174語と青木(1971a)の25語を調査2と同様の方法で大学生125名に提示し,不適切な用語を抹消させた.調査1〜3の結果,名詞539語,形容詞142語,動詞103語,副詞37語,複合語113語,計934語を収集した.
著者
村上 正人 松野 俊夫 金 外淑 三浦 勝浩
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.50, no.12, pp.1157-1163, 2010-12-01 (Released:2017-08-01)
参考文献数
21
被引用文献数
1

線維筋痛症(fibromyalgia:FM)は長期にわたる筋骨格系の広汎性疼痛を特徴とする慢性疼痛のモデルともいえる疾患である.FMの発症と臨床経過には多くの心理社会的要因が関与しており,しばしばその症状は天候,環境,社会的出来事,心理社会的ストレス,身体的状況によって悪化する.時にFM患者の痛みや多彩な症状は怒り,恨み,不安,破滅的で抑うつ的な気分に敏感に影響を受ける.そのような情動形成には強い強迫性,熱中性,完全性,神経質さなどのパーソナリティ特性や,いわゆる偏った「人生脚本」に基づいた過剰適応や自己禁止令などのライフスタイルも関与する.否定的感情,それに引き続いて生じる心身の疲弊は全身の筋骨格系や内臓の筋攣縮や虚血,過敏性などを惹起し,痛みを増強させ遷延化させる.これらの情動的ストレスやパーソナリティ上の問題の解決と治療のためには,薬物療法に加え,認知行動療法,交流分析,ブリーフセラピー,その他の専門的心理療法の組み合わせの有効性が期待できる.このようにFMの病態評価や治療のためには心身医学的な視点からの配慮が重要である.
著者
村上 裕一
出版者
一般社団法人 日本計画行政学会
雑誌
計画行政 (ISSN:03872513)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.44-51, 2012-08-15 (Released:2022-04-18)
参考文献数
27
被引用文献数
1
著者
村上 征勝
出版者
日本計算機統計学会
雑誌
計算機統計学 (ISSN:09148930)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.65-74, 1997-05-30 (Released:2017-05-01)
参考文献数
23

近年のパソコンをはじめとするデータ処理機器の発達と,多変量解析などを中心とする統計手法の進歩に伴い,著者や成立時期などが不明の文献に対し,文の長さ,品詞の使用率,単語の使用率などを計量分析することによって,そのような問題の解決を試みる新しい文献研究の分野が確立されつつある. これまで,『新約聖書』の中の「パウロの書簡」,『源氏物語』,『ジュニアス・レター』,『連邦主義者』,『紅楼夢』など多くの重要な著作物が分析されており,それらの研究を通じて,文献の計量分析における問題点は次第に明らかになってきた.この論文では,まず文献の計量分析の歴史を簡単に紹介し,次にこれらの研究から明らかになった計量分析の課題を,特に日本語文献の計量分析に重点を置き論ずる.
著者
繁桝 江里 村上 史朗
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.52-62, 2008 (Released:2008-11-14)
参考文献数
22

本研究は,安全行動を促進する要因として,仕事のやり方や態度に対して否定的な評価を示す言語コミュニケーションである「職務遂行に対するネガティブ・フィードバック(以後職務NFと表記)」を受けることの効果に着目し,化学プラントの研究員に対する質問紙調査による検討を行った。第1の目的として,職務NFの安全行動促進効果を職務NFの形態間や安全会話など他のコミュニケーションとの比較において検討した結果,安全職務に対するNF,一般職務に対するNFのアドバイス型,指摘型の順に効果があるが,不満型には効果がないことが示された。また,安全職務に対するNFは,安全会話とは独立の最も強い効果を持っていた。さらに,第2の目的として,職務NFは効用を持つ一方で,受け手への脅威というネガティブな効果を持つという議論に基づき,NFがもたらすフェイス脅威度に着目し職務NFが機能する条件を検討した。その結果,送り手が親しいという関係特性や,送り手の不満は含まれないというメッセージ特性の効果に加え,職場の組織風土が,より強くフェイス脅威度を弱めていた。考察では,安全マネジメントにおいてNFという特定のコミュニケーションに着目する意義や,組織風土の重要性を論じた。
著者
村上 聖一
出版者
NHK放送文化研究所
雑誌
放送研究と調査 (ISSN:02880008)
巻号頁・発行日
vol.71, no.4, pp.70-87, 2021

太平洋戦争下、南方の占領地で日本軍が行った放送について検証している本シリーズ、今回は、現在のインドネシアに当たる蘭印で行われた放送の実態を探った。蘭印は、石油などの資源地帯として戦略上、重要だった地域で、日本軍は、占領後、20近くの放送局を開設し、一部を除き、終戦まで放送を続けた。この地域はジャワやスマトラといった島ごとにラジオ放送の発達状況が異なり、また、陸軍、海軍が担当地域を分けて放送を実施した。このため、本稿では、それらの条件に応じて、放送実施体制や番組内容、聴取状況にどのような違いが生じたのかといった点に着目しつつ、検討を進めた。このうち、陸軍担当地区を見ると、戦前からラジオ放送が発達していたジャワでは占領後、速やかに放送が始まったのに対し、スマトラでは開局が遅れ、放送局数も少数にとどまった。また、海軍担当地域のセレベス・ボルネオは、戦前、まったく放送局がなく、軍が放送局を新設する必要があるなど、放送の実施体制は地域によって大きく異なった。しかし、聴取状況を見ると、防諜のために軍が受信機の多くを接収したこともあって、いずれの地域でもラジオの普及はわずかにとどまった。そして、現地住民が放送を聴いたのは主に街頭ラジオを通じてだった。番組も、各地域とも、集団聴取に適した音楽演奏やレコード再生が中心となった。各放送局の担当者は、具体的な宣伝方針が定まらない中、手探り状態で放送を継続する必要に迫られた。放送を通じて占領政策への理解を得るという目標が達成されたか検証できないまま、占領地での放送は終焉を迎えた。