著者
濱本 望絵 土屋 薫子 石川 博一 村上 隆史 杉村 博 森 信一郎 一色 正男
雑誌
研究報告デジタルコンテンツクリエーション(DCC) (ISSN:21888868)
巻号頁・発行日
vol.2019-DCC-21, no.36, pp.1-8, 2019-01-17

無線対応端末がルータや中継機に無線接続する際,暗号化 ・ 復号化に必要な鍵を 2 つ取得する. 1 つはユニキャスト通信する際に使用する PTK (Pairwise Transient Key),もう 1 つはブロードキャストおよびマルチキャスト通信する際に使用する GTK (Group Temporal Key) である.家庭用ルータ ・ 中継機の中には,一定時間ごとに GTK を更新し,1 つの GTK を長い期間共有しないことで通信の安全性を高める設定が可能なものもある.しかし,中継機の GTK 更新の実装仕様により,無線 LAN ネットワーク上の端末間で GTK の不一致が発生する場合がある.その結果古い GTK を持つ端末と,新しい GTK を持つ端末との間でブロードキャストやマルチキャスト通信が不能になり,相互接続ができない問題が発生する.本論文では,中継機の GTK 更新に関する実装状況を調査し,その問題が発生する条件を明らかにする.またその問題に対して,端末側の実装で相互接続性を確保するための手法の提案を行うと共に提案手法の評価と考察を述べる.
著者
森 巧
出版者
東洋文庫
雑誌
東洋学報 = The Toyo Gakuho (ISSN:03869067)
巻号頁・発行日
vol.101, no.1, pp.1-30, 2019-06

The present article examines how the Republic of China (Zhonghua Minguo 中華民國; ROC) attempted to reform its foreign affairs sector under its plan to counterattack the mainland during the 1950s, in order to discover the background against which the ROC regime became internationally isolated from the 1970s on. One important factor cited by the research to date as to why the ROC government under the leadership of Chiang Kai-shek was able to represent China on the world scene was the political acumen of the ROC diplomatic corps which continued to serve the regime since its mainland days. Then, as the ROC’s foreign policy tended more and more to stress the One China principle (hanzei buliangli 漢賊不兩立), the influence of those diplomats in policy-making waned, leading to the ROC’s international isolation.Here, the author challenges such an argument by the tracing the process in which the intervention of the Kuomintang Party and the military expanded in foreign affairs within reforms conducted throughout the foreign policy establishment during the 1950s under the implementation of the “Recover Mainland China Plan,” surmising that those reforms were part of a bolstering of what had been loosely termed the area of “oversea struggle affairs” (haiwai gongzuo 海外工作). Given such a state of affairs, the author takes up the specific case of the setting up of the Liaison Committee for Overseas Struggle Affairs (Haiwaiduifei Douzhenggongzuo Tongyizhidao Weiyuanhui 海外對匪闘争工作統一指導委員會) under the reforms.Based the idea of a “united front,” which predated the first Taiwan Strait crisis of 1954-55, oversea struggle affairs were continuously expanded during the post-crisis years aiming at counterattacking the mainland. The Overseas Struggle Operations Team (Haiwai Gongzuo Zhidao Xiaozu 海外工作指導小組) set up around the Kuomintang in 1953 and the Liaison Committee set up in 1957 by military intelligence both formed the leadership in oversea struggle affairs, through which the Kuomintang and the military continued to intervene in diplomatic affairs during the post-crisis era, even after the second Taiwan Strait crisis of 1958. The author’s analysis shows that such intervention, which resulted in two phases of institutional reforms, expanded under the guise of conducting oversea struggle affairs aiming at counterattacking the mainland. Then from the 1960s on, similar intervention by other agencies caused a weakening of the position of professional diplomats in international affairs, leading to the ROC’s political isolation from the world scene during the 1970s.
著者
森 哲也 佐藤(長尾) 清香 岸野 かなえ 難波 豊彦 工藤 由起子
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.60, no.6, pp.183-186, 2019-12-25 (Released:2020-01-23)
参考文献数
10
被引用文献数
1

迅速かつ安価なDNA抽出法であるアルカリ熱DNA抽出法を食品中の腸管出血性大腸菌の検出のためのリアルタイムPCRにおいて評価した.牛レバー,牛ひき肉,豚スライス肉,チーズ,レタス,カイワレ大根,トマトおよびホウレンソウでのstx遺伝子とO抗原遺伝子検出において,アルカリ熱DNA抽出物は高感度の検出(102~104 CFU/mL)を示し,これはプロティナーゼK溶菌とシリカメンブレンによる精製工程を含む市販DNA抽出キットと同等の検出感度であった.アルカリ熱抽出とキットでのDNA濃度と純度には違いがあったが,リアルタイムPCRの感度は同様であった.これらの結果から,アルカリ熱DNA抽出法は,リアルタイムPCRでの食品分析にとって有用な方法であることが示された.
著者
富丸 慶人 後藤 邦仁 小林 省吾 永野 浩昭 森 正樹 土岐 祐一郎 江口 英利 伊藤 壽記 野口 洋文 宮下 和幸 川本 弘一 岩上 佳史 秋田 裕史 野田 剛広
出版者
一般社団法人 日本移植学会
雑誌
移植 (ISSN:05787947)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.217-222, 2019

<p>Total pancreatectomy with islet autotransplantation is an ideal surgical procedure used to relieve chronic pain derived from the pancreatitis, while insulin-dependent diabetes is inevitably induced after the surgery. Islet autotransplantation combined with a total pancreatectomy can reduce the risk of severe diabetes by preserving available islet cells. We experienced a case with hereditary pancreatitis, which is a rare inherited condition characterized by recurrent acute pancreatitis and/or chronic pancreatitis. The case was that of a female in her thirties who was introduced to our hospital due to treatment-refractory abdominal pain derived from repeated pancreatitis even after surgical treatments. At the introduction, the pain was uncontrollable even by opioid use, and oral intake was impossible due to increase of the pain after the intake. She was genetically diagnosed with hereditary pancreatitis. For relieving the pancreatitis-derived pain, total remnant pancreatectomy with islet autotransplantation was planned. After the pancreatectomy, islet cells were extracted from the excised remnant pancreas, and injected into the portal vein for liver autotransplantation. The pain was completely relieved for her after the surgery, suggesting improvement of her quality-of-life. A glucose tolerance test and glucagon loading test performed one month after the surgery showed C-peptide secretion as the blood glucose rose. However, the serum c-peptide level and SUIT index had been gradually decreased after the surgery, and she is now treated with insulin. The case suggested that total pancreatectomy with islet autotransplantation is useful for improvement of the patient's quality of life by controlling the pain in cases with hereditary pancreatitis.</p>
著者
大石 圭一 森 一雄 西浦 康雄
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.40, no.12, pp.1241-1250, 1974-12-25 (Released:2008-02-29)
参考文献数
10
被引用文献数
6 8

Larvae of Anisakis type I, Terranova type A and Contracaecum type A were gathered from liver, muscle and caecal pylorus of cod and Alaska pollack, respectively, and their mortalities were examined in a medium containing various spice essential oils and some food preservatives.The results were as follows;Pesticidal effects on Anisakis type I larvae were exhibited by the essential oils of nutmeg, cumin, clove, allspice, mace, coriander, and cinnamon. In addition, the essential oils of cumin, clove, allspice, coriander, cinnamon, thyme, dill and caraway showed a similar effect on Terranova type A larvae. Cumin aldehyde, cinnamic aldehyde, thymol, limonene, and eugenol, which are major components of some spices, exhibited strong pesticidal effects on all the three species of worms. The above results were regarded as significant by variance analysis.On the other hand, the pesticidal effects of the food preservatives on Anisakis type I larvae were observed only in the case of free acids such as sorbic acid, salicylic acid, benzoic acid and dehydroacetic acid.
著者
出口 貴久 近森 邦夫
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会学術講演会講演論文集 2005年度精密工学会秋季大会
巻号頁・発行日
pp.539-540, 2005-09-15 (Released:2006-04-18)

本研究はチタン系を電解研磨法により鏡面仕上げすることを目的としている。これまでに高低2種類の極間電圧による電解工程と電解を休止して皮膜を除去する工程を持つことを特徴とした方法を開発した。しかしこの方法で使用していたアルコール系電解液は引火性があり、また劇物を含むものであった。今回、現場での取り扱いが容易で安全性に優れる電解液エチレングリコール–塩化ナトリウム溶液でチタンの鏡面電解研磨に成功した。
著者
田村 笙 岩本 南美 東森 碧月 田島 晴香 中野 勝太 中野 美玖 尾藤 美樹
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2017
巻号頁・発行日
2017-05-10

2011年に土砂災害が発生した兵庫県加古川市の大藤山や、2014年に土砂災害が発生した広島市安佐北区には花崗岩が分布している。このことから、花崗岩体では土砂災害が発生しやすいと考え、文献調査で確認しようとしたが、花崗岩と土砂災害の関係について確証できる実験データを伴うものはなかった。そこで、全国で2012年~2014年に土砂災害が発生した地域の地質を調査した。その結果、花崗岩の分布面積は全国で12%程であるにも関わらず、地質別の土砂災害発生件数は花崗岩体が最も多くなっていた(図1)。このことから、2015年度は花崗岩の風化が土砂災害に及ぼす影響について研究を行い、花崗岩特有の風化過程によって土砂災害発生の危険性が高まるという結論を得た。ところが、兵庫県の土砂災害ハザードマップには地質的条件が十分考慮されていない。そこで、花崗岩体における土砂災害発生危険度(以下、危険度とする)を新たに設定し、それをハザードマップに反映させることを目的として、昨年度から研究を進めている。危険度の設定には、鉱物の割合と透水係数を用いる。岩体の崩れやすさを鉱物の割合から、土砂層の崩れやすさを透水係数から、それぞれ[1]~[5]の5段階で定める。そして、岩体の崩れやすさと土砂層の崩れやすさの分布表を作成し、[A]~[E]の5段階で危険度を設定する(図2)。 崩れやすさを定めるにあたって大藤山で現地調査を行い、土石流跡付近の土砂を採取した。この地点の岩体・土砂層の崩れやすさを、最大である[5]と定義する。そして、土砂の鉱物の割合と透水係数を測定した。鉱物の割合は、採取した土砂を樹脂で固めて薄片を作成し、偏光顕微鏡で黒雲母・緑泥石・粘土鉱物の観察を行った。そして、3つの鉱物の合計面積に対する、それぞれの鉱物の面積の割合を算出した。黒雲母は風化によって緑泥石、粘土鉱物へと変質していくことから、粘土鉱物の割合が大きいほど風化は進行し、岩体は崩れやすくなると考えている。鉱物の面積は、偏光顕微鏡に設置したカメラで薄片を撮影し、画像加工ツールを用いて対象の鉱物を着色し、「PixelCounter」というソフトを使用して測定した。画像を分析した結果、土石流跡付近の土砂は粘土鉱物が91.5%、黒雲母が8.5%で、緑泥石は見られなかった。この結果から、土石流跡付近では風化が著しく進行していることが分かる。この土石流跡付近の土砂の岩体の崩れやすさを、前述で示した最大の[5]とした。また最小の[1]として、風化していない花崗岩の薄片観察の結果を用いた。次に、土砂層の崩れやすさを求めるために、ユールストローム図を用いた。ユールストローム図とは、土砂の粒径と、土砂が侵食・堆積され始める水の流速の関係を表したグラフである(図3)。流速が小さいほど、土砂が動き始める際に必要なエネルギーは小さい、即ち土砂層は崩れやすいと考えられる。この図を用い、土砂の粒径を測定することで土砂層の崩れやすさを求めようと考えていたが、ユールストローム図における土砂の粒径は均一であることが前提である。しかし、実際に堆積している土砂の粒径は不均一である。そのため、粒径と透水係数の関係を表す表であるクレーガ―表(図4)を用いることで、透水係数から土砂層の崩れやすさを求めることができると考えた。ここでユールストローム図とクレーガ―表から、図3の赤線と図4の赤枠が示すように、土砂層の崩れやすさが最大である[5]となる透水係数は3.80×10-3cm/sとなる。そこで、土石流跡の透水係数を測定し、最も土砂層の崩壊しやすい値(3.80×10-3cm/s)と比較することにした。測定実験は土石流跡の土砂の構造を壊さないように採取したものを持ち帰り、自作した装置(図5)に詰めておこなう、室内変水位透水試験を実施した。実験により得られた土石流跡の透水係数は5.18×10-3cm/sとなり、最も土砂層の崩れやすい値である3.80×10-3cm/s付近となることから、ユールストローム図とクレーガ―表を用いることで透水係数から土砂層の崩れやすさを求めることができるといえる。岩体と土砂層、それぞれの崩れやすさから設定した危険度の分布表をより正確なものにしていくために、土石流跡周辺の崩壊していない土砂層が見られる露頭でも同様の実験をおこない、そのデータを分析中である。今後は大藤山と同様に花崗岩体であり、既に予備調査を終えている六甲山(兵庫県神戸市)の試料も採取するなどさらに多くのデータを得て、危険度の分布表をより正確なものにしていきたいと考えている。
著者
松永 秀典 福森 亮雄 多田 敬典 田中 惠子
出版者
地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪急性期・総合医療センター(臨床研究支援センター)
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

統合失調症や双極性障害の病因は未解明であるが、最近、神経伝達物質であるNMDAの受容体に対する自己抗体が、精神症状を伴う脳炎の原因となっていることが判明した。さらにこの自己抗体は、一部の統合失調症や睡眠障害にも見いだされており、この抗体がどのような疾患にどの程度関与しているかを幅広く調べる必要がある。しかし、現行の測定法は培養細胞を用いるため手間と時間がかかり、多検体を調べるには不向きである。本研究では、感度・特異性の高いラジオリガンドアッセイを用いて、多検体同時に抗NMDA受容体抗体を測定する方法を開発し、本抗体の病的意義の解明を目指している。
著者
岩森 光 中村 仁美 吉田 晶樹 柳 竜之介
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.62, 2015

若い玄武岩質溶岩組成の大規模データベースを構築し、多変量統計解析により独立な組成空間基底ベクトルの抽出と化学的解釈を行った。その結果、マントルは、「Dupal anomaly」のような南北分割ではなく、「日付変更線付近を境とする東西半球構造」を持つことが分かった。また、この構造は、2.5~9億年前の間、東半球に分布していた複数の超大陸に向かっての沈み込みと親水成分の集中に関連すること、およびマントル東西半球構造が内核の地震波速度構造と酷似し、マントルの長波長対流パターン・温度分布が、核にまで影響を及ぼしている可能性があることが分かった。大陸の離合集散を含むマントル対流モデルは、大陸集合時の「沈み込み帯のかき集め」が、超大陸下に効率的な親水成分集中と冷却をもたらすことを示している。東半球に濃集する親水成分は、地球ニュートリノの偏在をもたらす可能性があり、これは日本とイタリアの検出器を用いて検証可能である。
著者
大森 重次
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.12, no.6, pp.451-455,427, 1969-12-15 (Released:2011-08-10)
被引用文献数
1

Recurrent aphthous stomatitis encountered frequently in daily practice, often presents difficulties to oto-laryngologists as well as to the patients.The author studied a total of 32 cases with recurrent aphthous stomatitis by meansof various clinical tests.The author discussed in this paper the etiology of the disease and possiblerelation to Bechet's disease of which 40 to 60% were said to be preceeded by recurrent aphthous stomatitis.
著者
松田 春華 小川 智子 塚田 理奈 児玉 友紀 山崎 亜希子 小迫 由佳 宮本 啓代 森本 美智子
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.4_47-4_55, 2012-09-01 (Released:2016-03-05)
参考文献数
47

本研究の目的は,青年期の女子大学生を対象とし,睡眠の質に影響を与える要因とその関連性の強さを明らかにすることであった。分析対象者は,A大学の2~4年生126名である。睡眠の質には,Pittsburgh Sleep Quality Indexの日本語版(PSQI-J)を用いた。PSQI-Jと各因子の関連性を重回帰分析を用いて検討した結果,PSQI-J合計得点に対して“STAI特性不安(A-Trait)合計得点”(β = .230,p < .01),“起床時刻の前進”(β = .221,p < .01),“足先の冷えの程度”(β =.191,p < .05)が関連していた。睡眠の質を高めるためには,これらの要因に焦点をあてて,方策を検討することが必要であることが示された。複数ある因子のなかでも不安傾向が睡眠の質に最も影響しており,睡眠の質を改善するには,メンタルヘルスに重点をおいた方策が必要となる可能性が示唆された。
著者
森井 悠太
出版者
The Malacological Society of Japan
雑誌
Venus (Journal of the Malacological Society of Japan) (ISSN:13482955)
巻号頁・発行日
vol.77, no.1-4, pp.15-26, 2019-05-15 (Released:2019-06-06)
参考文献数
33

森林の皆伐は森林生態系へ壊滅的な損害を与えうる。皆伐によって森林生態系の生物量や種多様性が著しく減少することが知られている。しかしながら,皆伐の長期的な影響を評価した研究は少ない。本研究では,原生林と二次林の林床土壌中の陸産貝類相を定量的に調査し,過去の皆伐の影響の評価を試みた。北海道,黒松内低地帯に位置するブナの優占する原生林と二次林をそれぞれ2箇所ずつ調査地とし,調査地それぞれの林床に50-cm × 50-cmの区画をそれぞれ6箇所,林床に設置した。リター層中の陸産貝類を目視で摘出したのち,双眼実体顕微鏡を用いて種を同定した。原生林と二次林との間で種密度と個体密度を比較したところ,種密度・個体密度共に二次林よりも原生林において有意に高い値が示された。原生林2箇所のうちのひとつ,歌才ブナ林では特に陸産貝類相の多様性が高く,50-cm × 50-cmの区画で平均239.2個体・7.2種もの陸産貝類が採集された。一方,二次林では2箇所の平均で12.3個体・4.8種を記録するのみであった。その中でも,殻長2.0 mm以下の微小貝の個体密度が二次林において有意に低かった。加えて,成長錐を用いて二次林の樹齢を推定した結果から,調査対象とした2箇所の二次林はいずれも100~150年前に伐採されたことが示された。これらの結果は,森林伐採が100年以上にも渡って林床の陸産貝類相に影響を与えることを示している可能性がある。