著者
渡部 宏幸 橋本 衛
出版者
日本神経心理学会
雑誌
神経心理学 (ISSN:09111085)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.197-207, 2020-12-25 (Released:2021-01-09)
参考文献数
16

抽象的態度とは,脳損傷患者における失語症をはじめとする様々な症候を理解するために,Kurt Goldsteinによって提唱された概念である.現在では意味記憶に関する先駆的概念として認識されている.本論文では,Goldsteinの抽象的態度に関する知見を外観する.次に筆者がこれまで経験した症例を提示し,抽象的態度の障害を鍵概念として,症候の理解を試みる.
著者
近澤 宏明 西谷 皓次 橋本 浩三
出版者
The Japan Society for Clinical Immunology
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.57-63, 1998-02-28 (Released:2009-02-13)
参考文献数
22
被引用文献数
2 2

症例は46歳女性. 31歳時頃から両眼の異物感,口腔内乾燥感,レイノー現象,多発性関節痛を自覚していた.最近,起立・歩行時のふらつき,発汗異常,顔面や頚部に発作性の紅潮などが出現するため,精査加療目的にて入院となった.入院時検査にて,乾燥性角結膜炎,耳下腺造影にて末梢導管の消失,小唾液腺生検で導管周囲に単核細胞浸潤を認め,抗SS-A抗体が陽性であり,原発性シェーグレン症候群(SjS)と診断した.同時に,感覚優位の多発性単神経炎型の末梢神経障害,起立性低血圧, Adie瞳孔,発汗テストで脊髄髄節に一致する分節性の無汗領域を認めた.本例はSjSに末梢・自律神経障害を伴った稀な一例と考えられた.
著者
森田 純哉 小嶋 暁 金野 武司 橋本 敬
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.557-574, 2022 (Released:2022-12-15)
参考文献数
48

To realize a harmonious society where various groups collaborate, it is essential to understand the characteristics of communication systems generated from the traits of different individuals. This paper describes a study exploring the relationship between the establishment of novel communication systems and autistic traits, which are conventionally viewed as indicative of a communication disorder. The participants engaged in coordination games based on experimental semiotics and completed the Autism-Spectrum Quotient (AQ). Contrary to the traditional view of autistic traits, but consistent with the fact that individuals with these traits have been involved in many societal innovations, the results of this study show that autistic traits can facilitate the establishment of novel communication systems. Furthermore, correlation analysis suggests that various subcategories of autistic traits show differences in their relation to the stages involved in the establishment of communication systems. The findings contribute to our understanding of the process of language evolution and could promote communication among diverse individuals.
著者
橋本 泰典 宮田 章正 大友 教暁 前田 朝平 松木 明知
出版者
日本蘇生学会
雑誌
蘇生 (ISSN:02884348)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.176-178, 2001-07-20 (Released:2010-06-08)
参考文献数
9

51歳の女性が自殺目的にクロルプロマジン, フェノバルビタールなど8種類の薬物を服用後発見され, 本院に搬送された。来院時, 直腸温24℃で意識レベルはJCSで300, 瞳孔散大, 対光反射も消失していた。心電図上, 心室性頻拍と心室細動を繰り返した。ただちに気管挿管後, アドレナリン投与, 15回の電気ショックで除細動を行い成功した。復温を開始し, 中枢温が30℃に回復した頃から呼名開眼, 対光反射を認めた。搬入12時間後には体温も37℃に回復し, 脳波も正常となり抜管した。神経学的に後遺症を残さず回復した理由として, クロルプロマジンなどの神経節遮断薬と睡眠薬を大量に服用していたため, 低体温麻酔と同様の状態になっていたことが関与したと考えられた。
著者
長滝 祥司 三浦 俊彦 浅野 樹里 柴田 正良 金野 武司 柏端 達也 大平 英樹 橋本 敬
出版者
中京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2019-04-01

人間は己の存在形態を正当化するために神話や宗教などを創造してきた。道徳において先鋭化するこれらは、人間を取り巻く自然条件によって偶然に枠組みが定められたものであり、条件が変容すればその内容は根底的に変わりうる。現在、様々な技術が人間の心理的身体的能力を拡張し始めると伴に、人間を凌駕する知的ロボットが創造されつつある。我々はこうした事態を自然条件の大きな変容の始まりと捉え、未来に向けた提言が必要と考える。そこで本研究は、ロボット工学や心理学などの経験的手法を取り入れつつ、ロボットのような新たな存在を道徳的行為者として受容できる社会にむけた新たな道徳理論の主要テーゼを導出することを目的とする。
著者
鈴木 智子 後藤 友美 橋本 英樹 佐藤 繭子 豊岡 公徳
出版者
公益社団法人 日本顕微鏡学会
雑誌
顕微鏡 (ISSN:13490958)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.90-93, 2022-08-30 (Released:2022-09-07)
参考文献数
18

中性水圏に生息する鉄酸化細菌が作る酸化鉄について,特にGallionella ferrugineaが作るらせん状酸化鉄に着目し,HRTEM,STEM-EDX,STEM-EELSによりその結晶構造,構成元素,微細構造について明らかにした.さらに,菌体から酸化鉄が生成される場面について空間的に解析するため,アレイトモグラフィーによる3次元再構築を試みた.
著者
野村 直也 橋本 剛
雑誌
研究報告ゲーム情報学(GI) (ISSN:21888736)
巻号頁・発行日
vol.2018-GI-39, no.4, pp.1-7, 2018-02-23

近年のゲーム AI は AI 自身が評価関数を生成する汎用的な学習法が成果をあげており,代表的なものとして Deep Q Network (DQN) などがある.これらの手法は様々なゲームに適用可能であるが,画面の情報量が多いものや操作が複雑なゲームでは学習が進まないという問題があり,さらに広い範囲のゲームに適用できる手法が必要とされる.本研究では複雑なゲームの一つとして弾幕シューティングゲームを取り上げ,このゲームに適用可能な学習手法を提案することで,更に汎用的な手法について考察する.弾幕シューティングゲームにおける人間のプレイの性質に着目すると,人間は画面全体を見ておらず,初心者は視野が狭く,上達するに連れ視野が広くなっていくという性質があると考えた.ゲーム序盤は観測範囲が狭く,徐々に観測範囲が拡大していくという性質を学習システム内に組み込むことで複雑なゲームに適応させる.本研究では観測範囲を狭くして学習の効率化が図れるか実験を行い確認した.観測範囲を狭めて学習させたところ,従来の手法よりも高いスコアを獲得した.また,観測範囲の変化量の妥当性や,その他のゲームへの適用について考察を行った.
著者
橋本萬太郎著
出版者
弘文堂
巻号頁・発行日
1978
著者
中西 希代子 宮本 文夫 橋本 博之 本郷 猛 林 千恵子 石井 俊靖
出版者
日本食品化学学会
雑誌
日本食品化学学会誌 (ISSN:13412094)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.37-41, 2013-04-22 (Released:2017-01-27)
参考文献数
8

Daily intake of glyphosate in 2010 and 2011 at Chiba prefecture was estimated using total diet samples prepared according to the market basket method. One hundred eighty six and 175 kinds of foods were purchased from supermarket at Chiba in December 2010 and December 2011, respectively. The purchased foods were divided into 14 food groups as total diet samples, and contents of glyphosate in those groups was analysed by high-performance liquid chromatography with fluorescence (HPLC-FL). Glyphosate was detected from second food group (Cereals and potatoes) and 13th food group (Seasonings and spices, other foods) among 14 food groups. Estimated daily intake of glyphosate in all food groups were 24.2μg/day in 2010, and 17.6μg/day in 2011. These estimated daily intake were accounted for 0.064% in 2010, and 0.047% in 2011 of the ADI assuming a body weight of 50 kg. The foods contribute to glyphosate detected from second food group were breads, fu, boiled noodle, macaroni, and that in 13th food group was soy sauce. Glyphosate detected by HPLC-FL method from above two food groups and those foods was identified by liquid chromatography with tandem mass spectrometry. Above these foods were all contained flour. Therefore, it seems to be high possibility that detected glyphosate is originated from flour.