著者
山内 健生 田原 研司 金森 弘樹 川端 寛樹 新井 智 片山 丘 藤田 博己 矢野 泰弘 高田 伸弘 板垣 朝夫
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.297-304, 2009
被引用文献数
18

島根県で唯一の日本紅斑熱汚染地域である弥山山地(島根半島の西端)とその周辺地域において,マダニ相の調査を実施した.旗ずり法では7,497個体が採集され,次の12種に分類された:タカサゴキララマダニ,タイワンカクマダニ,ツノチマダニ,キチマダニ,タカサゴチマダニ,ヤマアラシチマダニ,ヒゲナガチマダニ,フタトゲチマダニ,オオトゲチマダニ,タネガタマダニ,ヤマトマダニ,アカコッコマダニ.弥山山地ではヒゲナガチマダニとフタトゲチマダニがそれぞれ12〜4月と5〜8月に優占し,両種の採集頻度は弥山山地から離れるにつれておおむね低下した.弥山山地は島根県で唯一のニホンジカ生息地であるため,ニホンジカの体からもマダニ類を採集した.その結果,819個体が採集され,次の4種に分類された:フタトゲチマダニ,オオトゲチマダニ,ヤマトマダニ,タヌキマダニ.ニホンジカから4〜6月に採集された全マダニ個体数の87.6%をフタトゲチマダニが占めていたことから,弥山山地のニホンジカはフタトゲチマダニの主要な宿主であると考えられた.

1 0 0 0 古戦塲夜話

著者
片山秋扇著
出版者
直寄 [写]
巻号頁・発行日
1617
著者
片山 健二
出版者
農林水産省農業研究センター
雑誌
農業研究センター研究報告 (ISSN:02893207)
巻号頁・発行日
no.33, pp.11-71, 2001-01
被引用文献数
2

サツマイモデンプンの用途は水飴,ブドウ糖などの原料が主体で,他にハルサメ,わらび餅などがあるが,その利用範囲は固定化している.しかし,用途拡大につながるデンプンの質的改変についはこれまであまり研究が行われていない.そこでサツマイモのデンプン組成を遺伝的に改変するための基礎的知見を得ることを目的として,サツマイモおよび近縁野生種の遺伝資源についてデンプン組成や糊化特性の変異を調査するとともに,交雑や突然変異誘発処理による変異の拡大を試み,変異体の探索と特性解明を行った. 1.サツマイモ遺伝資源におけるデンプン組成変異体の探索 世界各地から収集したサツマイモおよび二倍体I.trifidaの遺伝資源のアミロース含量を調査し,変異体を探索した. 2.デンプンの理化学的性質の品種間および年次間変動 サツマイモ20品種・系統を1996~1998年の3年間供試してデンプンの理化学的性質を調査し,1998年は21品種を供試して蒸しいもと蒸切干しいもの食味も調査した. 3.交雑および突然変異誘発処理によるデンプン組成の変異拡大 サツマイモの品種間交雑および突然変異誘発処理による変異拡大を試みるとともに,二倍体I.trifidaの突然変異誘発処理による変異拡大を試みた. 4.デンプン組成および糊化特性変異体の特性解明 まず,サツマイモと二倍体I.trifidaとの種間雑種のデンプン特性を解析した.次に,サツマイモおよびI.trifidaのWxタンパク質(アミロースを合成する顆粒性デンプン合成酵素)量を調査した.最後に,サツマイモで初めて発見した糊化特性変異体「関系92(関東116号)」のデンプン特性を解明した.
著者
野村 恭彦 片山 貴嗣 斉藤研一郎 岡田 謙一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌データベース(TOD) (ISSN:18827799)
巻号頁・発行日
vol.46, no.8, pp.72-81, 2005-06-15
参考文献数
28
被引用文献数
1

知識の共有・活用は企業の重要課題となっており,そのための情報の蓄積・検索のメカニズムや,掲示板を活用したQ&A メカニズムが提案されてきた.しかし,多くのナレッジ・マネジメントの実践を通して,知識を必要とする人と,その知識を持つ人の間の相互理解や信頼関係がなければ,知識がうまく流れないことが明らかになってきた.本論文では,今は知らない相手でも,出会ったときに「持ちつ持たれつ」あるいは「尊敬しあえる関係」になれる人同士の関係を「潜在ソシアルネットワーク」と呼び,その探索手法の提案を行う.提案手法は,各ユーザの回答可能な知識領域と,各ユーザの持つ知識ニーズを管理し,状況に応じて互恵関係を検索・提示する.プロトタイプを構築し,「私はあなたを助けられるし,あなたは私を助けられる」という関係を提示することが,パブリックに質問を投げて回答を期待する手法に比べ,回答獲得可能性が高く,質問に回答する人の多様性が増すことを示す.Sharing and utilization of knowledge is an important issue among companies. Mechanisms of information retrieval and Q&A by utilizing bulletin board were proposed for such issue. However, it was discovered through number of knowledge management practices, that successful flow of knowledge is difficult if there are no mutual understanding and relationship of trust between those who need the knowledge and those who have such knowledge. In this report, we call "potential social network" which describes the situation where strangers meet each other for the first time and can have relationship of "give and take" or "mutual trust" and will propose its method to search. This method is to manage each user's possible response of knowledge domain and their knowledge needs and search reciprocal relationship according to the condition. Compared to the method that questions the public and wait for their answers, the method that creates prototype and presents the relationship of "I can help you and you can help me," will i crease the possibility of obtaining the response as well as the diversity of the respondents.
著者
関根 美和 馬場 理 片山 由紀 平松 啓一
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.232-242, 2011-06-30 (Released:2014-11-11)
参考文献数
21

黄色ブドウ球菌の全ゲノム解読は, 同菌のほ乳類主要組織適合遺伝子複合体: Major histocompatibility complex (MHC) 様分子をコードする遺伝子を4つ見い出した. この遺伝子産物 (MHC1-4) はヒト免疫機構に何らかの影響を及ぼしているものと考えられ, MHC3 (extracellular adherence protein: Eap) についてはフィブロネクチンやフィブリノーゲン等血漿タンパクと黄色ブドウ球菌表面の接着に関与することや, 血管内皮細胞上に存在するInter-Cellular Adhesion Molecule-1 (ICAM-1) に結合し, 好中球の遊走を抑制することがよく知られているが, ほかのMHC様分子も含め, それらの生理的機能には不明な点が多い. 本研究ではMHC1-4の生理的機能を網羅的に追求すべく, 市中感染強毒型メチシリン耐性黄色ブドウ球菌 (community-acquired MRSA: CA-MRSA) であるMW2株から, 4つのMHC様分子の遺伝子それぞれの単一-4重遺伝子欠損変異株を作成した. この変異株を用い, 野生株と対比してヒト血球細胞に対する応答性を調べ, さらにマウスに対する感染実験を行った. その結果, MHC1はリンパ球分化増殖および炎症性サイトカイン産生を促進し, また, MHC3はリンパ球分化増殖を抑制し, 樹状細胞上のHLAおよび補助刺激因子であるCD86の発現, およびINF-γ産生を抑制していることが明らかになった. また, 野生株と比較して, 1-4をすべて欠損した株は3倍以上貪食されやすく, ほかの単一欠損株に比べても2倍近く貪食をされやすかった. 一方で好中球による殺菌活性に差はみられなかった. これらの結果から, MHC様分子は貪食からの回避に関与するのに加え, 宿主の獲得免疫系の応答にも影響を与えていることが明らかとなった.
著者
室田 浩之 奥田 英右 片山 一朗
出版者
日本小児アレルギー学会
雑誌
日本小児アレルギー学会誌 (ISSN:09142649)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.157-164, 2017 (Released:2017-06-30)
参考文献数
28

アトピー性皮膚炎の臨床症状は乳幼児期と学童期以降では臨床症状および経過そして治療反応性が異なる. 学童期以降では痒みが先行し, 掻破部位に慢性皮膚炎/苔癬化病変を形成する. よって痒みの制御が治療において重要である. アトピー性皮膚炎では皮膚の感覚過敏が生じており, 疼痛や温感など通常は痒みに感じない感覚を痒みに感じることがある. この痒み過敏の原因として炎症に伴って生じる皮膚知覚神経の異常な伸長, 神経栄養因子アーテミンの作用, そして中枢神経の増感などが考えられる. 温熱など環境因子によって誘導される痒みの管理にはまず皮膚炎の治療が優先されるべきである. 汗による痒みの対策として, かいた汗を適切に処理することと, 適切な量の汗をかけるように皮膚炎を制御することが大切である. 刺激のみならず, 視覚的刺激や聴覚的刺激も新たな痒みを誘発する. この “伝染する痒み” はアトピー性皮膚炎患者で顕著にみられる. 本稿では痒みの悪化要因と, それらに対する対処方法に関する知見を紹介するとともに過去の論文をレビューする.
著者
片山 留美
出版者
日本民俗学会
雑誌
日本民俗学 (ISSN:04288653)
巻号頁・発行日
no.183, pp.p66-87, 1990-08
著者
永山 寛 片山 泰朗
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.101, no.8, pp.2212-2218, 2012 (Released:2013-08-10)
参考文献数
10
被引用文献数
1 1

神経疾患と関連する肝胆膵・消化管疾患として,ここでは肝性脳症に関連した2疾患,Wilson病,IgG4関連神経疾患を取り上げた.前三者は古くから認識されている疾患であるが様々な面で進歩もみられるので,病態や分類,臨床的特徴,治療を最近の知見を含めて改めて把握したい.IgG4関連神経疾患はこれから症例の蓄積や知見の整理が期待されるが,病理学的概念も合わせてその特徴を知っておくべき疾患である.
著者
小林 準 赤星 和人 永田 雅章 名波 美代子 境 哲生 近藤 広陸 片山 英紀 松野 大樹 伊藤 修一 萩原 朋尚 高梨 晃
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2004, pp.A1047, 2005

【目的】近年「健康日本21」の推進が唱えられ、平成15年5月からは健康増進法も施行された。ヘルスプロモーションへの関心が高まる中で、我々、理学療法士の健康増進に対する役割もますます重要性が高まるものと考えられる。今回、日頃の理学療法場面で運動療法を指導する立場にある理学療法士と、日頃はデスクワークが多い事務職員との安静時及び運動時における換気反応について比較検討を行ったので報告する。<BR>【対象および方法】対象は健康な理学療法士の女性10名と事務職員の女性10名の合計20名であった。実験の前には趣旨を説明して同意を得て行った。年齢、体重、身長は理学療法士群はそれぞれ29.6±4.8歳、161.6±4.0 cm、と54.3±5.1 kg であった。一方事務職員群はそれぞれ 32.5±4.1歳、159.5±7.2 cm、と52.6±7.2 kgであった。測定にはコスメデ社製「テレメトリー式呼吸代謝計測装置K4システム」を用いて、呼気ガス中の酸素摂取量(VO2)、炭酸ガス排出量(VCO2)、呼吸商(RQ)、および心拍数(HR)を計測した。測定方法としては、充分な安静時間の後、更に3~4分間程のオルゴールによる安静時間と3~4分間程の132拍/分のワールドベストヒット曲に合わせて、以下に挙げた2種類の体操を立位にて行った。(1)手を頭上に組んで体幹の側屈、(2)全身運動のリズムダンス。そしてエルゴメーター運動負荷テストも行った。データの統計的検討にはt検定を用いて有意水準を5%とした。<BR>【結果】1,事務職と理学療法士における安静時VO2、最大酸素摂取量(maxVO2)、嫌気性代謝閾値(AT)の比較;安静時VO2、maxVO2、ATとも理学療法士群は高い値を示しmaxVO2とATは、42.5±4.9と19.0±3.1 ml/min/kg であった。安静時VO2とATで有意の差を認めた。maxVO2では理学療法士群の方が高い値を示したが、有意差は認めなかった。2,体操(1)(2)におけるVO2の比較;体操(1)(2)で理学療法士群がともに20.3±3.4と21.0±2.3 ml/min/kgでVO2の高い傾向はあったが、統計的には事務職と理学療法士群での有意差を認めなかった。<BR>【考察】一般的に嫌気性代謝閾値(AT)は、日常の運動能力と等価ではないが、自覚症状を伴わず生活の大半で行っている運動を反映する評価指標として適していることが指摘されている。今回の結果も、日頃、体を動かすことの多い理学療法士が、安静時VO2及びATの値が高くなったことにつながったものと考えられた。「法を説く者、その実践者たれ!」という言葉があるように、健康増進に関心の高まってきている昨今、ますます我々理学療法士自身の体力強化の重要性と同時に、デスクワークの多い事務職におけるヘルスプロモーションの必要性が伺われた。
著者
藤橋 健太 奥地 誠 押川 渡 田原 晃 篠原 正 片山 英樹
出版者
公益社団法人 腐食防食学会
雑誌
Zairyo‐to‐Kankyo (ISSN:09170480)
巻号頁・発行日
vol.67, no.5, pp.216-221, 2018
被引用文献数
1

<p>再生可能エネルギー固定買取制度を背景に,太陽光発電設備は急増した.太陽光発電設備の基礎杭は,浅層土壌中に金属表面が接し,地際部より突出している.本研究では,この環境における腐食の把握を目的に,杭状試験体の暴露試験と暴露試験場土壌の分析を行った.浅層土壌中の腐食量は,土壌中の腐食量として一般的に示される年間0.02 mmの腐食量を上回った.それらの腐食量は各土壌を電解質とした分極抵抗測定結果と良い相関を得た.地際部のマクロセル腐食は,土地造成など人為的な作用により土壌の化学組成が大きく変化することが一因であると考えられる.</p>
著者
片山 幹雄
出版者
日経BP社
雑誌
日経エレクトロニクス (ISSN:03851680)
巻号頁・発行日
no.977, pp.30-33, 2008-05-05

片山氏の社長就任から1年たった2008年4月,シャープは大幅な組織変更を実施した。その目玉となるのが,研究開発体制の強化である。いわゆる中央研究所のような役割を果たす部門となる「研究開発本部」を新設した。この組織変更には,技術者として歩んできた片山氏自身の経験に基づく,さまざま思いが見え隠れする。─今回の組織変更で研究開発本部を新設した狙いは。
著者
片山 直美 蜂谷 奈都美
出版者
美味技術学会
雑誌
美味技術研究会誌 (ISSN:13481282)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.11, pp.7-13, 2008

梅の原産地は中国と考えられており, 長江 (揚子江) 沿岸の温暖な地域で, 野生原木として生息していたと推測されている。今から7000年前の新石器時代初期の遺跡の中で, すでに炭化した梅の核 (種) が見つかっており, すでにこの頃から中国では梅の実が食べられていたとされている。このような歴史深い梅干は日本の家庭に深く根づいた伝統食であり, 梅の実自体には多くのビタミンやミネラルは含んでいないが, 梅干しになると食欲を増進させるクエン酸やコハク酸, リンゴ酸, 酒石酸などの有機酸を多く含み, ミネラルも豊かぐある。中でもクエン酸はカルシウムの吸収を良くし疲れの元になるといわれる乳酸の過剰生産を抑え活力増進につながるので, 骨の老化や骨粗しょう病予防のカルシウム摂取にも役立つ。またクエン酸の持つ殺菌効果が腐敗防止に役立っており, 梅干を食べることによって唾液が分泌され, 人間の唾液の中にも食中毒菌を殺菌する効果もあるので, 2重の殺菌効果が期待される。老化の原因は活性酸素の一つである過酸化水素にあるが, 梅干しを食べた時, 見た時に出る唾液にはアミラーゼやカタラーゼなどの酵素が含まれているが, カタラーゼには, 過酸化水素を水と分子状酸素に分解して毒性を消す作用があるため, 老化防止に良いといわれている。疲労回復について, 梅はクエン酸の多く含まれている健康食品である。このクエン酸が乳酸の大量生産を抑制し, 炭酸ガスと水に分解して体外に排出する働きを行うことにより, 疲労が蓄積されにくくなるのである。昔から夏バテに梅が効くと言われるのは梅のクエン酸の働きによるものである。このような有用な梅干は取りすぎると塩分の摂りすぎにつながる危険がある。そこで本研究は市販されている80種類の梅干しについて, 梅の実をつぶし, 塩分計 (タニタ社製) を用いて, 梅一個当りの塩分を測定し, 比較検討した。さらに市販の梅のみ80種類を健康成人10名 (年齢20.43±0.97, 女性) にて官能評価した。評価項目は「味」「見た目」「香り」「色合い」「塩味」「甘味」「酸味」「舌触り」「付属物の味」「総合」の10項目であり, 各項目について10点満点で評価した。結果今回は「南高梅うす塩白」や「南高梅あっさり110g」が各項目において最も高い評価を得た。やはり現在は「塩分の摂りすぎ」に対しての認識が高まっていることが大きく影響していると考えられる。甘みの強い梅干し (蜂蜜など) と, 酸味の強い梅干などは評価に個人差が現れることがわかった。梅干は伝統食品であり, 今後も食卓には欠かせない食品であるが, 塩分には十分に気をつけて摂取する必要がある。薄味の梅干は腐りやすい欠点を補うために様々な防腐剤が混入している可能性があるため, 表示には十分に気をつけて購入する必要がある。今後も, おいしく食べて健康になるために適量の梅干しを摂取することを推奨する。
著者
石塚 譲 川井 裕史 大谷 新太郎 石井 亘 山本 隆彦 八丈 幸太郎 片山 敦司 松下 美郎
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.1-9, 2007 (Released:2007-08-21)
参考文献数
37
被引用文献数
4

季節や時刻による行動圏の変動をみるために, 成雌ニホンジカ2頭にGPS首輪を用いて, 経時的な位置を調査した. 調査期間は, それぞれ, 392日と372日で, シカの位置は0時から3時間毎に計測した. 2頭の年間行動圏面積はともに森林域と水田周囲とを含む43.7 haおよび16.3 haであり, 行動圏の位置に季節による変動はみられなかった. 個体1の季節別コアエリアは, 四季を通して水田周囲に位置し, 個体2でも夏期以外は水田周囲に位置した. 時刻別コアエリアは, 12時および15時では森林域に, 0時および3時では水田周囲に位置した. 以上の結果から, GPS首輪を装着した2頭の成雌ニホンジカは, 大きな季節移動をせず, 日内では, 森林域 (昼) と水田周囲 (深夜) を行き来していると考えられた. また, 行動圏とコアエリアの位置から農耕地への依存度が高いことが推察された.
著者
中村 善行 高田 明子 藏之内 利和 増田 亮一 片山 健二
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.62-69, 2014-02-15 (Released:2014-03-18)
参考文献数
24
被引用文献数
4 6

糊化温度が通常のサツマイモ品種・系統より著しく低いデンプンを含有する品種「クイックスイート」における加熱に伴うマルトース生成の機序を通常のサツマイモ品種「ベニアズマ」と比較検討した.50°Cから100°Cまで10°C毎に変えた温度で加熱した塊根から組織液を採取し,その糖度ならびにマルトースおよびスクロース含量を測定するとともに,同じ塊根から調製した粗酵素液の β-アミラーゼ活性を可溶性デンプンを基質として定量した.また,塊根組織細胞内のデンプン粒の形態を走査型電子顕微鏡で観察し,糊化度を β-アミラーゼ-プルラナーゼ法で調べた.「クイックスイート」では β-アミラーゼが高い活性を示す60°Cから塊根細胞内のデンプンが糊化した.また,デンプンが完全に糊化する80°Cにおいても β-アミラーゼの活性は維持されていた.他方,「ベニアズマ」では加熱温度が80°C以上からデンプン糊化が確認されたが,この温度域では β-アミラーゼ活性は大きく低下していた.両品種の β-アミラーゼに対する温度の直接的影響はほぼ同じであったことから,80°Cで加熱された「クイックスイート」塊根で β-アミラーゼ活性が未加熱塊根なみに維持されたことは当品種のデンプンが温度の低い加熱早期から糊化することと密接に関連すると推察される.すなわち,「クイックスイート」では「ベニアズマ」に比べ,より低い温度約60°Cから80°Cを超える高温に至るまでの広い温度域でマルトース生成が持続するため,「ベニアズマ」より糖度が高くなると考えられた.
著者
松崎 粛統 須磨 健 渋谷 肇 中村 真 平山 晃康 片山 容一
出版者
一般社団法人 日本脳卒中の外科学会
雑誌
脳卒中の外科 = Surgery for cerebral stroke (ISSN:09145508)
巻号頁・発行日
vol.38, no.5, pp.353-357, 2010-09-30
参考文献数
18
被引用文献数
1 1

A 57-year-old man was referred to our hospital for detailed investigation and therapy of right exophthalmos and chemosis. Cerebral angiography demonstrated a dural arteriovenous fistula (DAVF) involving an anterior part of the right cavernous sinus (CS). The main feeders of the CS-DAVF consisted of the right inferolateral trunk and right middle meningeal artery. The predominant drainage route was the right superior ophthalmic vein (SOV), extending to the right facial vein. The right inferior petrosal sinus (IPS) was not visualized in the arterial phase, but was visualized in the venous phase, indicating that it contributes normal venous drainage. Transvenous embolization (TVE) was performed under general anesthesia through the right facial vein. We advanced a guiding catheter in the right angular vein and passed a microcatheter system through the tortuous vessel to the shunting point under single plane road mapping. The affected anterior part of the CS was occluded with Micrus coils (UltiPaq and Cashmere) (Micrus Endovascular, San Jose, CA, USA). Post-treatment angiography revealed disappearance of the fistula. <br> In general, CS-DAVFs are treated with TVE through the IPS. However, in the present case, IPS was not used for the approach based on the angiographic appearance. Large drainage volume of the right facial vein enabled us to advance the guiding catheter to the angular vein with facility, and to pass the microcatheter system through the tortuous vessel with sufficient support of the guiding catheter. Cashmere, which is a 14 system infinity loop-shaped coil and relatively soft as a framing coil, had a tendency to attach to the anterior part of the CS wall. <br> Because of good packing efficiency, transvenous Micrus coil embolization through the facial vein is an efficient treatment of DAVF involving the anterior part of the CS.<br>
著者
齋藤 司 相澤 仁志 澤田 潤 油川 陽子 片山 隆行 長谷部 直幸 林 恵充 安栄 良悟 佐藤 正夫 程塚 明
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.133-137, 2009-11-25 (Released:2010-03-29)
参考文献数
8
被引用文献数
6 1

【背景・目的】小脳梗塞の臨床的特徴を検討し,初期診療上の問題点を明らかにする.【方法】2006年1月1日から2008年12月31日までの3年間に,旭川医大病院Stroke teamが診療した脳卒中患者514例のうちの小脳梗塞患者22例(4.3%)を対象とした.【結果】典型的な小脳症状を全く呈さない症例,あるいは一つのみ呈する症例が8例(36.4%)見られた.3例が救急車を利用し発症後3時間以内に受診したにもかかわらず,当初小脳梗塞と診断されず神経内科や脳神経外科以外の病棟に入院した.その3例はいずれもめまいを主訴とし,構音障害と歩行障害が見られなかった.その他2例を合わせ全体の22.7% にあたる5例が,Stroke teamによる初期の診察を受けておらず,それが当初小脳梗塞と診断されなかった要因の一つと考えられた.【結論】めまいや嘔吐を主訴とする場合は,常に小脳梗塞である可能性を考慮する必要がある.Stroke teamによる早期の正確な神経学的診察が重要である.
著者
杉本 史惠 片山 順一
出版者
日本生理心理学会
雑誌
生理心理学と精神生理学 (ISSN:02892405)
巻号頁・発行日
pp.1403oa, (Released:2014-10-18)
参考文献数
21
被引用文献数
1

本研究は,体性感覚プローブ刺激と聴覚プローブ刺激に対するP300の振幅がトラッキング課題の難度を反映するか検討し,この難度の効果がプローブ刺激のモダリティによって異なるかを調べた.実験参加者はトラッキング課題中に,体性感覚または聴覚オドボール課題を二次課題として行った.手首と指への電気刺激と,2種類の音刺激を標準(呈示確率.80)または標的 (.20) プローブ刺激として呈示した.参加者は標的プローブ刺激に対してマウスのボタン押し反応を行った.標的刺激に対するP300振幅は体性感覚と聴覚プローブどちらに対しても,トラッキング課題の難度が低い場合に比べて高い場合に減衰した.本研究はプローブ刺激に対して二次課題を行う手続きにおいて,体性感覚プローブ刺激と聴覚プローブ刺激に対するP300が主課題への注意配分量に対して同程度の感度を持つことを示す.