著者
熊木 健二 山村 毅 田中 敏光 大西 昇
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1995, no.108, pp.31-37, 1995-11-16
被引用文献数
5

本研究では,ガラスなどの透明物体に映り込んだ虚像と,その背後にある物体を分離する手法を提案する.一般に,ガラスの表面で反射する光は,ガラスを透過してくる光よりも強く偏光しているので,偏光フィルタを適切な角度(偏光角)で用いることにより,映り込み物体を除去することができる.偏光角は,ガラス及び映り込みを生じさせる物体のカメラに対する位置と姿勢により求めることができるが,これは,容易でない.そこで,偏光フィルタを少しずつ回転させながら取り込んだ複数枚の画像から各画素の最大値・最小値を求めることにより,実物体と映り込み物体の分離を行う.実画像に対して本手法を適用し,その有効性を示す.This paper proposes a method for separating real objects behind glass and virtual ones reflected on it. Generally speaking, light is more polarized when reflected on glass than when transmitted through it. This optical property allows us to eliminate virtual objects by a polarizing filter set to a proper angle, called "polarizing angle". This angle is calculated from the relative orientations of the glass and the virtual objects to a camera. However it is usually difficult to implement such calculation. Therefore, we use a series of images taken by rotating the filter. Obtaining the minimum and maximum images, we can separate real and virtual objects. Experiment with real scenes is presented to demonstrate the effectiveness of the proposed method.
著者
村上 悟 神谷 茂保 濱谷 義弘 長渕 裕 田中 敏 示野 信一
出版者
岡山理科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

時間遅れをもつ方程式の典型例である関数微分方程式,積分微分方程式,ボルテラ差分方程式を中心に研究した.関数微分方程式に対する相空間における定数変化法の公式を利用して,摂動項をもつ関数微分方程式の解の漸近挙動を調べた.また,非線形関数微分方程式に対し,いくつかの不変多様体の存在定理を確立した.さらに,積分微分方程式を中心に,方程式の正値性を調べ,正値方程式に対する安定条件をより明確な形で与えた.
著者
太田 篤史 田中 敏光 大西 昇
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. グラフィクスとCAD研究会報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2000, no.115, pp.61-66, 2000-12-08
参考文献数
6
被引用文献数
2

本研究では、魅力的な3次元CGアニメーションを作り出すために、カメラワークを自動生成する、または、カメラワークの設計を支援する手法を提案する。提案手法では、映像文法に基づいてカットの提案・追加提案・評価を行う仮想的な演出家を定義する。各演出家は、独自のポリシーに基づき、シーンの3次元モデルや負荷情報を考慮していくつかのカットを提案する。また、他の演出家のカットに自己の案を追加したカットも提案する。さらに、提案されたカットの1つ1つに評点を与える。評点の高いカットをつないで仮のカメラワークを複数個構成する。その中から評点の合計が最も高いものを最終的なカメラワークとして採用する。映像生成実験により、提案手法の有効性を示す。
著者
伊福部 達 中邑 賢龍 福島 智 田中 敏明 畑一 一貴
出版者
東京大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2009

本課題の目的は、筋・神経系障害(筋萎縮や失語症・発話失行)により発話が困難になった障害者のために、テキスト情報に加えて、リズム、抑揚、笑い、怒りなどのノンバーバル情報を表出できるような実用的な発話支援機器を開発するところにある。平成22年度は、21年度に提案した実施項目に従って遂行し、以下のような成果が得られた。実施項目:昨年度はウェアラブルPCとポインティング・デバイス(P.D)を用いて、音声を生成するパラメータを直接的に指やペンの動きで制御できる「構音障害者の音声生成器」を試作した。本年度は、これを利用して家庭内やリハビリ現場を想定し、生成された連続音声や感情音がどこまで正確に認識され得るのかを評価し、誰もが利用できるようにios上でプログラムをダウンロードできるようにした。評価結果:(a)昨年度の評価結果から、摩擦音(サ行)が出だしにあるような連続音声の認識率が低かったことから、P.D上に摩擦音を出せる領域を設け、音声の認識率と操作性の複雑さの観点からその有用性を評価した。その結果、操作性はそれほど負担にならないこと、全ての連続音声を認識させえることなどを確認した。(b)イントネーションやアクセントも付加できるように、表面圧センサの付いたRDを用いて、筆圧や指の押圧により非言語音を生成できるようにした。その評価から、「急ぎ」、「笑い」、「怒り」などを表わす抑揚を30分程度の訓練で単語に付加できるようになった。以上から、使用頻度の高い音声ほど何かを緊急にリアルタイムで伝えたいときに有用であることを確認した。(c)本インタフェースを同時に、多くのユーザに利用してもらうために、歌を生成できるような「音声楽器」へ拡張するとともに、本プログラムをウェブ上でダウンロードすることによって、スマートフォンにより誰もが利用できるようにできるようにした。
著者
北 敏郎 田中 敏子
出版者
産業医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

異常環境下により発症する熱中症発生メカニズムを検討した。ラットを用いた熱中症モデルで腸内細菌の侵入(BT)の発生が認められた。次に,熱中症における肝臓障害発生に果たすLPSの役割を検討し,熱中症による臓器障害発生にLPSの関与が示唆された。その結果,熱中症の発生因子のPrimary factorとしてLPSが考えられ,Secondary factorとして蓄熱による直接的障害が発生している可能性が考えられた。
著者
田中 敏光 杉江 昇
出版者
名城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

小学校低学年の児童を対象として,コンピュータ内の仮想空間における三次元造形教育を支援するため,バルーンアートを題材とした子供向けモデリングソフトの開発を行った.このシステムでは,細長い風船にねじる,曲げる,ひねるなどの操作を加えて形状を作成する.子供が理解しやすいように,主要な造形機能はその内容を図示した大型のアイコンで表示している.また,操作ごとに異なる効果音を出すことで,操作の識別を容易にし,かつ,作業に飽きが来ないように工夫している.風船モデリングを造形教育に使うには,作った形を評価してより良い形に導く仕組みが必要である.そこで,児童が作った作品をお手本と比較し,一定の値より差が大きければ修正を示す矢印を表示するモジュールを追加した.この指示に従うことで,作品をバランスのとれた形に整えることが出来る.作成した形状をアニメーション動作させるモジユールも追加した.児童が作った作品各部分の長さに応じてアニメーション用の形状と動作を修正することで,作品に対応したアニメーションを生成する.動作の種類は評価に連動して切り替えることができる.試用実験により,システムの使い方は5分程度の説明と数枚の図解で難なく理解できることが確認できた.また,アニメーションは好評で,動きを見るために形を何度も作り変える様子が観察された.しかし,造形操作で元に戻すことが難しい状況になると,困った挙句,始めから作り直す場面が見受けられた.そこで,undo/redo機能を追加し,任意の時点までモデリング作業を戻すことが出来るように改良した.undoバッファには作業開始からの全ての操作履歴を保存するので,これを利用して,お手本の作成過程をコマ送りで表示する機能も追加した.また,ウインドサイズを大きくし,不要な機能を削ることで,作業領域を約2倍に拡大した.これらの改良により,使い勝手が大幅に向上した.
著者
井上 義之 横山 豊和 山根 賢治 田中 敏嗣 辻 裕
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集. C編 (ISSN:03875024)
巻号頁・発行日
vol.63, no.606, pp.356-363, 1997-02-25
被引用文献数
2

The motion of balls in a tumbling ball mill was simulated numerically using the discrete element method (DEM). Simulations are performed for the two-dimensional and three-dimensional cases. To study the difference between two-dimensional and three-dimensional powder milling analyses, the ball motion was analyzed. It was found that there is no significant difference between the flow patterns for the two-dimensional and three-dimensional cases, but some properties such as the trajectory of the center of the gravity of the balls, the profile of the average velocity vector, the average ball velocity and the fluctuation velocities of the balls show significant differences.
著者
岩本 正和 黒田 泰重 尾中 篤 小松 隆之 犬丸 啓 引地 史郎 岡本 昌樹 山本 孝 石谷 暖郎 板谷 篤司 田中 敏弘
出版者
東京工業大学
雑誌
学術創成研究費
巻号頁・発行日
2005

本研究では「ナノ空間でのみ発現する新機能の開拓」を目標に研究を実施した。研究期間中に、規則性ナノ空間物質を触媒とすると、ニッケル担持体上でエチレンやエタノールが選択的にプロピレンに転換できること、銅イオン交換体あるいはチタンイオン交換体上で固体特有の不斉合成反応を実現できること等を明らかにした。また、細孔内へのアゾベンゼンの担持により細孔径を可変化できること等も究明し、未知の機能の発見や新機能の創成を達成した。
著者
田中 敏郎 平野 亨 比嘉 慎二 有光 潤介 河合 麻理
出版者
日本補完代替医療学会
雑誌
日本補完代替医療学会誌 (ISSN:13487922)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.1-8, 2006 (Released:2006-03-09)
参考文献数
24
被引用文献数
2 2

この数十年間でアレルギー疾患の有病率が増加しているが,種々の環境変化の中で食習慣の変化も有病率の増加に関与しているものと推測されている.果物,野菜やお茶に含まれるフラボノイドは,好塩基球や肥満細胞からのヒスタミンや IL-4, IL-13 などのサイトカインまた CD40 リガンドの発現を抑制する活性を有する.ルテオリン,アピゲニンとフィセチンに強い活性 (IC50=2–5 μM) が認められ,また日常摂取の多いケルセチン,ケンフェロールにも中等度の抑制活性 (IC50=15–18 μM) が観察された.その作用機序として,転写因子 NFAT と AP-1 の活性化を抑制することが示された.フラボノイドをアトピー性皮膚炎のモデルマウスに投与することで,発症や症状軽減が認められる.また,疫学研究において,フラボノイドの高摂取群では喘息の発症率が低かった報告もなされており,適切なフラボノイドの摂取がアレルギー疾患に対する予防や補完代替医療となる可能性が期待される.