著者
前田 晴良 上田 直人 西村 智弘 田中 源吾 野村 真一 松岡 廣繁
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.118, no.11, pp.741-747, 2012-11-15 (Released:2013-04-04)
参考文献数
44
被引用文献数
1 2

高知県佐川地域に分布する七良谷層の模式層序周辺の泥質砂岩中から,最上部ジュラ系を示す2種類のアンモノイド化石を発見した.そのうちAspidoceras属は,テチス海地域の最上部ジュラ系から多産し,Hybonoticeras属は同地域のキンメリッジアン−チトニアン階境界付近を示準するタクサである.これらの化石の産出により,七良谷層は最上部ジュラ系(キンメリッジアン−チトニアン階)に対比される可能性が高い.この結論は放散虫化石層序とおおむね調和的である.これまで七良谷層は,上部ジュラ系−下部白亜系鳥巣層群の層序的下位にあたる地層と考えられてきた.しかし七良谷層から産出したアンモノイドの示す時代は,鳥巣層群産アンモノイドのレンジと明らかに重複し,アンモノイド化石からは両岩相層序ユニットの時代差は識別できない.したがって,今後,七良谷層と鳥巣層群の層序関係を再検討する必要がある.
著者
田中 敏博
出版者
日本小児呼吸器疾患学会
雑誌
日本小児呼吸器疾患学会雑誌 = Japanese journal of pediatric pulmonology (ISSN:09183876)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.141-146, 2002-12-01
参考文献数
6
被引用文献数
1

2001/02シーズンに当科では, インフルエンザ・ウイルス感染症に罹患した小児に対して, ザナミビルを生理食塩水に溶解してネブライザー吸入の方式で治療に用いた。原則として, 一律1回5mgを, 入院では1日2回最大5日間, 外来では1日1回2日間, 投与した。有害事象の発生もなく, 安全に施行でき, 全身状態の改善という意味で速やかに効果を発揮した印象であった。しかし, 入院群, 外来群, 対照群の3群間における解析では, 解熱と再発熱を指標とした場合, 統計学的にこの治療法の有効性を示すことはできなかった。各群の背景因子が均一でなかったことや, 投与量の不足などが原因ではないかと思われた。一般にザナミビルは, 効果発現が速やかで, 安全性も高いとされており, インフルエンザの重症化が最も懸念される乳幼児こそよい対象である。この場合でも, ネブライザー吸入であれば, 簡便かつ確実に投与が可能である。今後, 投与方法の改良と平行して, 正確な評価法を用いてその効果を検討していく必要がある。
著者
田中 雅一
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 日本文化人類学会第42回研究大会 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
pp.64, 2008 (Released:2008-05-27)

本報告の目的は、強壮剤(精力剤)から見たヘテロセクシュアルな男性身体の分析である。具体的に考えたいのは勃起不全(ED)の男性身体である。あえて本質主義的な表現を使えば、勃起不全は、ヘテロセクシュアルな男性の否定であり、「死」を意味する。この「死」をいかに克服し、蘇ることができるだろうか。その方法のひとつが強壮剤である。強壮剤の分析を通じて、いままで隠蔽されてきた男性身体にあり方に迫りたい。
著者
標葉 隆馬 田中 幹人
出版者
National Institute of Public Health
雑誌
保健医療科学 (ISSN:13476459)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.103-114, 2018-02-01 (Released:2018-04-14)
参考文献数
77

東日本大震災は直接的な人的被害のみならず,大きな社会的被害と混乱をもたらした.この東日本大震災を巡る社会的課題の一端について考察するために,本稿では日本の科学コミュニケーションが持つ構造的問題とその歴史的経緯について検討を行う.(特に再生医療分野のリスクコミュニケーションに関する)最近の研究において,科学的コンテンツは重要であるものの,それ以上に潜在的なリスク,事故の際の対応スキーム,責任の所在などへの関心事がより一般の人々の中で優先的であることが見出されている.このことは「信頼」の醸成において,責任体制も含めた事故後の対応スキームの共有が重要であることを含意している.また,コミュニケーションの実践においても利害関係や責任の所在の明示が重要であることを指摘する.同時に,東日本大震災を巡るメディア動向とその含意についても,最近までの研究成果を踏まえながら考察を加える.東日本大震災において,とりわけ全国メディアとソーシャルメディアにおいて福島第一原子力発電所事故がメディア上の関心の中心事となり,東北地方の被災地における地震・津波に関する話題が相対的に背景化したこと,一方で被災現地のメディアでは異なるメディア関心が見出されてきたことを指摘する.
著者
濱野 拓人 小野里 雅彦 田中 文基
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.84, no.859, pp.17-00480, 2018 (Released:2018-03-25)
参考文献数
19

House-collapsing simulation using a physics engine is an effective method for acquiring structural data regarding collapsed houses with the aim of understanding the properties of destroyed or disordered structures for designing and operating rescue-robots. However, the simulation needs a lot of time since a house model consists of a large number of rigid bodies and joints. In order to find an appropriate configuration of computer hardware and software for accelerating house-collapsing simulations, this study evaluates the performances of four major physics engines, namely Open Dynamics Engine, Bullet Physics Library, PhysX 2.8.1 and PhysX 3.4, by comparing the processing time about two sample structures including only rigid bodies or rigid bodies constrained by joints. Results of the experiments show that the use of multi-core CPU and GPU, especially high-speed GPU, on PhysX 3.4 has the best performance since it can process a large number of rigid bodies and joints in parallel. Based on the results, an existing simulation system has been improved and the collapsing process of one-house, which consists of about 7,500 rigid bodies and 15,000 joints, can be simulated in real-time using multi-core CPU and GPU. Moreover, this study estimates the size of GPU memory which is required for simulating the large-scale field on PhysX 3.4 to enlarge the scale of simulation. Consequently, the collapsing process of thirty-houses which includes interactions between collapsed houses can be simulated.
著者
林田 奈々 田中 文也 瀬能 宏 岩槻 幸雄
出版者
日本動物分類学会
雑誌
タクサ:日本動物分類学会誌 (ISSN:13422367)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.13-16, 2012-08-20 (Released:2018-03-30)
参考文献数
10

A single specimen of a lutjanid fish, Lutjanus johnii (445mm in standard length), was collected from the Kuro-shima Island, Nichinan, Miyazaki, Kyushu Island, Japan. The species is distinguished from other members of the genus by the following combination of characters: a black ocellus larger than eye mainly above lateral line and below anterior soft dorsal-fin rays; longitudinal scale rows on back parallel to lateral line; a brownish dark spot on exposed area of each scale on body. This occurrence represents both the first record from the Japanese waters and the northernmost record on the basis of specimen. Morphological features and coloration of the Japanese specimen are described in detail, and the standard Japanese name, Kadogawa-fuedai is given.
著者
田中 眞吾 沖村 孝 田中 茂
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.262-281, 1983-04-01 (Released:2008-12-24)
参考文献数
23
被引用文献数
3 4

神戸市中心部の自然的背景は,1,000m近い起伏をもつ山地が直接,海にのぞみ,低平地を欠くといううらみがあった.第2次大戦後の都市発展のための低平地の確保は,このような自然的背景から,市街地の後背山地の開発と,その土砂による前面の海面の埋立てという2面において行なわれた.すなわち,その両面において大規模地形改変が進行した. 背山における大規模地形改変と土砂採取は, 1960年代より急増し,地域的には市街地に近接した六甲山地南麓から次第に西方の丘陵地・六甲山西部山頂地区を経て,より遠隔地へと移動し,開発規模も大型化した.また,これらの開発の事業主体は,主として公共企業体によっているという特色をもっている.このようにして,すでにポートアイランドを代表とする10km2の低平地が得られ,港湾・公共・工業なちびに住宅の各用途に向けられている. これらの事業は,しばしばの大災害属歴をもつ六甲山地や,既成の大人口密集地や伝統産業地区(たとえば灘の酒造地区)などとの深いかかわりあいをもつゆえに,すでに1950年代後半の時期から,環境アセスメント的配慮がなされ,防災・環境保全・景観保全などの諸点から,土取りや土砂輸送などの具体面において,数多くのユニークな方式がとられてきた.これらは,今後の大規模地形改変に際して,種々の示唆を提示しているものと思われる.
著者
谷合 信一 前新 直志 田中 伸明 栗岡 隆臣 冨藤 雅之 荒木 幸仁 塩谷 彰浩
出版者
日本音声言語医学会
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.192-198, 2015 (Released:2015-05-21)
参考文献数
14

高齢で突発した心因性吃音の症例を経験した.症例は70歳男性,肺炎で他院入院中に突然吃音を発症.当科初診時,口腔・咽喉頭に器質的異常なく,構音障害や失語症も認めなかった.語頭音のくり返しを主症状とする吃音を認め,随伴症状を認めた.訓練は,発話速度低下訓練とカウンセリングを併用した.訓練実施後から吃音症状は徐々に軽減し,訓練開始3ヵ月半でほぼ消失した.本例の特徴は,吃音が獲得性で突然発症している,発話は語頭音のくり返しが多い,随伴症状がある,数ヵ月の訓練で著明に改善している,画像所見で突発した吃音を説明できる病変がない,発症誘因と推察される入院に伴う強いストレスがある,吃音の原因となる他疾患の可能性がないことがある.これらの特徴から,本例は心因性吃音であると考えられた.
著者
大川 清孝 上田 渉 佐野 弘治 有本 雄貴 久保 勇記 井上 健 田中 敏宏 松井 佐織 小谷 晃平 青木 哲哉
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.1103-1108, 2011 (Released:2011-06-14)
参考文献数
10

5日間の便秘後と下剤服用後に発症した一過性型虚血性直腸炎の2例を経験した.腹部大動脈手術,骨盤内手術,膠原病・血管炎,動静脈廔などはなく腸管側因子が主因で発症したと考えられた.いずれも肛門直上にも病変がみられた.著明なCRP上昇がみられたが保存的治療にて速やかに改善した.虚血性直腸炎は血管側因子が主因でおこると考えられていたが,腸管側因子が主因で発症することもあることを示した点で貴重な症例と考えられた.
著者
高橋 道宏 多喜田 保志 市川 宏伸 榎本 哲郎 岡田 俊 齊藤 万比古 澤田 将幸 丹羽 真一 根來 秀樹 松本 英夫 田中 康雄
出版者
医学書院
雑誌
精神医学 (ISSN:04881281)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.23-34, 2011-01-15

抄録 海外で広く使用され,30項目の質問から構成されるConners成人期ADHD評価尺度screening version(CAARS®-SV)の日本語版を作成し,成人期ADHD患者18名および健康被験者21名を対象に信頼性・妥当性を検討した。各要約スコアの級内相関係数の点推定値はいずれも0.90以上であり,また因子分析の結果,ADHDの主症状である不注意と多動性-衝動性を表す因子構造が特定された。内部一貫性,健康成人との判別能力ともに良好であり,他のADHD評価尺度CGI-ADHD-SおよびADHD RS-Ⅳ-Jとの高い相関が認められた。以上により,CAARS-SV日本語版の信頼性および妥当性が確認された。
著者
林田 賢治 田中 誠人 小泉 宏太
出版者
日本肩関節学会
雑誌
肩関節 (ISSN:09104461)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.853-856, 2011 (Released:2011-12-21)
参考文献数
4
被引用文献数
1

The clinical result of arthroscopic triple row suture anchor repair (combined operation of double anchor footprint fixation and single row method) for complete rotator cuff tear is reported in the present study. Twenty-two shoulders (the average age at operation was 69 years old: range 53-78) were involved and followed for more than 6 months (average follow up: 10 months). The clinical results were evaluated with JOA shoulder score and post operative cuff integrity was assessed by MRI and classified with Sugaya's classification. The pre-operative average JOA score, which was 71.5, improved to 92.1 at follow up. Regarding post operative cuff integrity, complete repair (type 1 and 2) was seen in 13 shoulders (59%), repaired with thin tendon (type 3) was seen in 2 shoulders (9%), re-tear (type 4 and 5) was seen in 7 shoulders (32%). In re-tear cases, 6 of 7 were type 4, and type 5 was seen in only 1 case. Comparing this to our previous data of repair integrity of double row suture anchor method, type 4 increased and type 5 decreased. Cutting out tendon by tight bridging sutures could be the cause of increasing type 4, and tension adjustment of bridging sutures could be important to prevent tendon cut out.
著者
田中 英夫 長尾 香織 池田 了
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.130, no.2, pp.147-151, 2007 (Released:2007-08-10)
参考文献数
10

ここ20年の抗HIV薬の開発は目覚しく,現在20種を超える薬剤が上市されている.治療に使用されている逆転写酵素阻害薬,プロテアーゼ阻害薬に加え,新規作用機序を持つ薬剤も開発段階にあり,今後さらに治療の選択肢が増えることが期待される.しかし,薬剤耐性ウイルスの出現,長期服用に伴う副作用,HIV感染症の根本治療の困難さなど課題は残されている.
著者
藤川 正毅 田中 真人 井元 佑介 三目 直登 浦本 武雄 山中 脩也
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.86, no.881, pp.19-00256, 2020 (Released:2020-01-25)
参考文献数
20
被引用文献数
1

A numerical calculation scheme for stress and its consistent tangent moduli with hyper-dual numbers(HDN) for Ogden-type hyperelastic material model was proposed. The main advantage of this scheme is that once the framework is coded, any Ogden-type hyperelastic material model can be implemented by only re-coding the strain energy density function. In this scheme, the new differentiation method for eigenvalue and eigenvector of the symmetric matrices with HDN were proposed. The proposed method can calculate the eigenvalue and eigenvector in non-real part analytically by using the eigenvalue and eigenvector in real part, in case that all eigenvalues in real part are not multiple root. We implemented the Neo-Hookean model and the Ogden model with the proposed scheme, to confirm the effectiveness and robustness of this method, and applied it to some examples. As the results, it was confirmed that the numerical results of the proposed method showed good agreement with analytical ones.
著者
松澤 正 加藤 仁志 飯塚 直貴 久慈 晋也 高橋 宙来 田中 俊輔
出版者
社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
雑誌
関東甲信越ブロック理学療法士学会 第30回関東甲信越ブロック理学療法士学会 (ISSN:09169946)
巻号頁・発行日
pp.271, 2011 (Released:2011-08-03)

【目的】 臨床的にマッサージは,生体に与える影響として,血液リンパ循環の改善,筋緊張の抑制,筋弛緩障害の改善などがあるが,生体に与える生理学的影響に関する科学的な証明がされていないものが多いとされている(松澤ら,2008).先行研究として,3分間の高強度運動後のマッサージによる筋硬度の変化と持続効果に関する研究(小粥ら,2009)によると,筋硬度が急激に低下し,その後30分までは有意に低下したと報告されている.マッサージ前後における筋硬度に関する研究(肥田ら,2010)によると,マッサージ施行後に筋硬度は低下すると報告されている.しかし,この研究は,対象者が7名と少人数であり,またマッサージの手技が不明であったり,持続効果の検討は行われていないなど,不十分な面が考えられた.そこで,本研究では,マッサージ施行直前,直後,15分後の筋硬度を測定することで,マッサージによる筋硬度の変化とその効果の持続を検討することを目的とした. 【方法】 対象者は健常成人20名とした.対象候補者に対して,予め十分に説明し,書面による同意を得た上で本研究の対象者とした.対象者は,下腿を露出できる服装で治療ベッド上に背臥位で10分間安静にした.その後,腹臥位になり,筋硬度を測定したのち,左腓腹筋のマッサージ(軽擦法,揉捏法)を,軽擦法1分間,揉捏法5分間,軽擦法1分間の順で,計7分間施行した.筋硬度はマッサージ直後と15分後に測定した.測定部位は両側の腓腹筋内側頭とし,最大膨隆部にマークし,その部位の筋硬度を5回測定しその平均値を採用した.統計学的分析はマッサージの有無と時間の二要因の二元配置分散分析を用いて,マッサージによる筋硬度の変化を検討した.有意水準は5%とした. 【結果】 マッサージ側と非マッサージ側のマッサージ直前の筋硬度には有意差は認められなかった.二元配置分散分析の結果,マッサージ側と非マッサージ側に有意な変化パターンを示し,マッサージ側の腓腹筋内側頭の筋硬度がマッサージ後に有意に低下し,その効果は15分後まで持続した. 【考察】 揉捏法の手技は指掌を皮膚に密着し,筋肉をつかみ圧し搾るようにして動かす手技(網本,2008)であるため,筋ポンプ作用に近い効果が得られたと考える.この効果により静脈還流量が増加することで,心拍出量が増加し末梢血管の血流が改善したと考える.血流改善することでATPの生産が促進され,筋小胞体上のカルシウムポンプが働くことで,アクチンとミオシンの科学的結合が切れ,筋硬度が低下したと考える.また外力が加わることで,アクチンとミオシンが引き離され弛緩すると言っている(黒川ら,2008).このことから,マッサージにより外力が加わったことで筋硬度が低下したと考える.
著者
岩崎 匠史 金井 理 伊達 宏昭 金子 俊一 谷口 敦史 前田 俊二 宮本 敦 田中 麻紀
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会学術講演会講演論文集 2013年度精密工学会春季大会
巻号頁・発行日
pp.881-882, 2013-02-27 (Released:2013-08-27)

本報告では,産業部品をレーザスキャナ等で計測した多数の計測点群に対する効率的な同時レジストレーション手法を提案する.本手法では,計測機構造を参照したラフレジストレーションを行った後,スクリュー座標による3次元剛体変換の線形近似を活用し,複数計測点群の同時位置合わせを連立1次方程式に帰着させて解く.また信頼性の低い計測点の排除を行い,レジストレーション精度の向上を図った.
著者
木村 妙子 木村 昭一 角井 敬知 波々伯部 夏美 倉持 利明 藤田 敏彦 小川 晟人 小林 格 自見 直人 岡西 政典 山口 悠 広瀬 雅人 吉川 晟弘 福地 順 下村 通誉 柏尾 翔 上野 大輔 藤原 恭司 成瀬 貫 櫛田 優花 喜瀬 浩輝 前川 陽一 中村 亨 奥村 順哉 田中 香月 Kimura Taeko Kimura Shoichi Kakui Keiichi Hookabe Natsumi Kuramochi Toshiaki Fujita Toshihiko Ogawa Akito Kobayashi Itaru Jimi Naoto Okanishi Masanori Yamaguchi Haruka Hirose Masato Yoshikawa Akihiro Fukuchi Jun Shimomura Michitaka Kashio Sho Uyeno Daisuke Fujiwara Kyoji Naruse Tohru Kushida Yuka Kise Hiroki Maekawa Yoichi Nakamura Toru Okumura Junya Tanaka Kazuki
出版者
三重大学大学院生物資源学研究科
雑誌
三重大学フィールド研究・技術年報 = Annals of Field Research and Technology Mie University (ISSN:13496824)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.1-29, 2019-11

Preliminary results of the deep-sea faunal survey conducted from the TR/V Seisui-maru of Mie University in April 2019 are presented. A total of 20 taxonomists and ecologists working on a wide variety of animal taxa participated in this survey. Surveyed areas included the Kumano Sea(off Mie Prefecture)and south of the Kii Strait(off Tanabe Bay, Wakayama Prefecture), at depths of 112-775 m. Sampling gears employed were beam trawl and biological dredge. The collection is represented by macrobenthos and meiobenthos from nine animal phyla, including echinoderms, arthropods, molluscans and annelids. The number of phyla occurring in each station varied from seven to eight. The station with most diverse fauna at the phylum level was St. 3B(south of the Kii Strait, 775-661 m depth, mud bottom).Meiofauna includes priapulids, nematodes and small arthropods such as copepods, tanaidaceans, amphipods, isopods and cumaceans. In addition to freeliving species, cnidarians symbiotic on a gastropod and an antipatharian, and crustaceans parasitic on a fi sh and sea urchins were also collected. Preliminary identifi cations are given for Asteroidea, Ophiuroidea, Holothuroidea, Crinoidea, Cyclopoida, Siphonostomatoida, Tanaidacea, Isopoda, Decapoda, Mollusca, polychaetes, Bryozoa, Cnidaria and Nemertea.
著者
山本(前田) 万里 廣澤 孝保 三原 洋一 倉貫 早智 中村 丁次 川本 伸一 大谷 敏郎 田中 俊一 大橋 靖雄
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.23-33, 2017-01-15 (Released:2017-01-24)
参考文献数
26
被引用文献数
3 2

内臓脂肪を減少させメタボリックシンドローム(MetS)を予防する食品は有用であり,MetS改善作用の評価は,農産物単品にとどまってきたため,日常消費される組み合わせ食品としての有用性の検証が必要である.肥満傾向を有する健常な成人の昼食に,機能性農産物を組み合わせた機能性弁当を継続摂取させ,機能性農産物を使用していないプラセボ弁当を摂取した場合と比較して,腹部内臓脂肪の減少効果について検証した.BMIが25以上30未満および内臓脂肪面積が100cm2以上の肥満傾向を有する健常な成人を対象に,ランダム化プラセボ対照試験を行った.被験食品は,機能性農産物を使用した「おかず」,「べにふうき緑茶」および「米飯」(50%大麦ご飯および玄米),プラセボ対照食品は,機能性農産物を使用しない「おかず」,「茶」(麦茶)および「米飯」(白飯)であり,3因子の多因子要因1/2実施デザインを採用して,試験群は機能性の「おかず」「茶」「米飯」それぞれ1要素のみ被験食品とする3群とすべての機能性要素で構成される被験食品1群の計4群とした.平日の昼食時に12週間摂取した.主要評価項目は,内臓脂肪面積,副次評価項目は,ヘモグロビンA1c (HbA1c),グリコアルブミン,1,5-AG(アンヒドログルシトール)などとした.159名が登録され中途脱落はなかった.全期間の80%以上の日で弁当の配布を受けたPPS (Pre Protocol Set)解析対象者は137名であった.試験に入ることによる効果はPPSで-8.98cm2と臨床的にも統計的にも有意であった(p=0.017)).主要評価項目のサブグループ解析の結果,試験開始時の内臓脂肪面積が中央値100∼127cm2の被験者で,被験米飯の効果はPPS で平均-7.9cm2であり,p値は0.053とほぼ有意であった.被験米飯については女性でも有意な(平均値-14.9cm2,p=0.012)減少効果が観察された.副次評価項目では,1,5-AG に関してべにふうき緑茶の飲用で有意差が認められた.また,安全性に関して特筆すべき問題は生じなかった.食生活全体の変化と機能性農産物を使用した機能性弁当の連続摂取により,内臓脂肪面積の低減効果等の可能性が示唆された.