著者
田中かの子
出版者
埼玉県立大学
雑誌
埼玉県立大学紀要 (ISSN:13458582)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.103-123, 2011

健康被害をきたしやすい自然環境のもとで生きるインドの人々は古来、死すべき生命の定めに順応しながらも、今生においていかに生きるかの実践哲学を種々に考案してきた。現代インドにおけるその実態を観察するうえで、筆者がボランティア活動をしていた病院での生活は、きわめて示唆に富むものであった。入院患者どうしの相互扶助の精神、多人種、多言語、多宗教の日常における他者理解の柔軟性、病室でも充実しうる祈りの時間、素直に本音をぶつけあえる人間関係、延命治療よりも帰郷して余命を生きる幸せを求める態度など、日本の社会では得難い学びの機会を集約した世界である。以上の観察記録を、アメリカ社会で全人的な統合医療を展開した先駆者たちの活動と比較しながら総覧すると、インド社会におけるコミュニティ意識の強さが際立ち、死を生から切り離して身構える欧米人の死生観との相違が明らかになるが、生きようとする意志の崇高さは、普遍的である。
著者
田中 桂子 豊 浩子
出版者
明治学院大学国際学部
雑誌
明治学院大学国際学研究 = Meiji Gakuin review International & regional studies (ISSN:0918984X)
巻号頁・発行日
vol.49, pp.1-23, 2016-03-31

本稿では大学教育におけるクリティカルシンキング(CT)の議論について考察する。CTの概念は、従来の論理主義がフェミニストや批判的リテラシーからの批判を受けて、新たな概念が模索、形成されつつある。日本の大学では昨今、CT教育の必要性が強く言われながら、CTの概念や教育の内容、方法に関する議論が広く共有されているか不明の点も多い。日本の学生がCTを学ぶことは困難ではないかという議論も存在する中、現在、日本のCT教育研究者間では、日本の学生がCTを育成・発揮する際に文化的価値観が抑制要因となるとされ、それを考慮した「協調型CT」や実践方法も提案されている。日本の学生に対するCT教育実践は試行錯誤の段階だが、CT教育には良き学習者・市民としての思考力を鍛え、さらには社会を批判的に見て変える力が育成される可能性がある。また、英語教育における実践からも、社会を問い直す複眼的なCT教育の可能性が示唆される。【論文/Articles】
著者
岩柳 智之 田中 伸治 中村 文彦 有吉 亮 三浦 詩乃
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.74, no.5, pp.I_1069-I_1079, 2018 (Released:2019-01-10)
参考文献数
12

わが国では道路橋の急速な老朽化を迎え,またその損傷が深刻なために修繕・更新費は莫大であり,その全てを予防保全型で維持管理することにも限界がある.そのため廃橋を維持管理の選択肢として取り入れる必要があるが,地域の理解を得るために廃橋の効果や影響を客観的に示す方法が必要となる.そこで本研究では廃橋による費用対効果計算として将来の維持管理・更新費用の縮減効果と地域の効用の低下による損失を比較する方法を提示した.そして実地域を対象とした計算を行い,廃橋が受け入れられる余地を検討し,廃橋を含めた維持管理のあり方を議論した.計算の結果,廃橋の効果がある橋梁はなかった.しかし,他の橋梁と比較し,維持管理・更新を続ける効果の低い橋梁が見られ,廃橋にする場合,しない場合それぞれの望ましい管理方針を示した.
著者
中山 耕至 木下 泉 青海 忠久 中坊 徹次 田中 克
出版者
The Ichthyological Society of Japan
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.13-20, 1996-05-31 (Released:2010-06-28)
参考文献数
21

Two geographical forms of the temperate bass, Lateolabrax japonicus, from the coasts of China and Japan, are described and compared based on early stage morphological characteristics. Both forms were laboratory-reared under the same conditions. Larvae derived from the Chinese population differed from those from the Japanese population in chromatophore patterns and snout length. Melanophores and xanthophores on the body formed vertical bands in the former, but were scattered in the latter. Larvae and juveniles of the former also had a significantly shorter snout length. Such morphological differences in early ontogenetic characters suggested that the Chinese and Japanese temperate bass represent distinct species.
著者
林 京子 田中 昭弘
出版者
日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 = Journal of the Brewing Society of Japan (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.108, no.6, pp.401-412, 2013-06-15
参考文献数
14

マイタケはサルノコシカケ目サルノコシカケ科のキノコであるが,所謂,サルノコシカケとは異なり,食用としても,香り,味および歯応えが良好で,現在は広く食卓に供されている。元来は深山幽谷に発生する希少なキノコであったが,1980年初め頃より栽培技術の開発および量産化に成功して生産販売が開始され,食品としての市場を確立して現在に至っている。量産技術により生み出されるマイタケは,季節を問わずに入手可能かつ品質に差が少ないという利点もあり,1980年後半より,抽出物あるいはその画分の研究が精力的になされた。その結果,抗腫湯化学療法剤による骨髄抑制の回復樹状細胞の成熟化などの免疫に関する薬理効果,あるいは,降圧血糖値低下血中脂質低下等,主に食物繊維が関与する機能と考えられる薬理効果が報告されている。(株)雪国まいたけ(以後当社と表記)は熱風乾燥マイタケ抽出物を健康食品MDフラクション(R)(以下MDと省略)として1997年に日本で,また,2000年に米国で発売を開始しており,この抽出物については,米国スローンーケタリング記念がんセンター(以下,MSKCCと省略)が,2001年から薬理研究を開始し,その後2004年には,手術および化学療法を施して既に治癒している元乳癌患者(治験時点では健常者の範疇)を対象として臨床試験(第一相:P-I/II;乳癌罹患歴があるためP-Iではない)を実施したへその結果,MDは一方的に免疫を尤進するのではなく免疫を制御する可能性が示され,その結果を2008年6月に第44回米国腫蕩学会(ASCO)で発表した。そこで,当社はこの免疫制御作用に着目して2008年に,(独)農業・食品産業技術総合研究機構生物系特定産業技術研究支援センター(生研センター)の平成20年度民間実用化研究促進事業に「まいたけ免疫制御成分の特定と機能性食品としての開発研究」をテーマとして応募し,採択され,3年間を事業期間として研究開発に着手した。研究開発の基本的なコンセプトを,マイタケに含有され,従来から免疫を允進する作用が明らかになっているB-グルカン以外の免疫制御成分を同定することに置いた。その結果,マイタケの貯蔵多糖と考えられるa-(1→6)分岐-a-(1→4)グルカンが意外にもインフルエンザ治療効果を有することを見出した(インフルエンザ治療効果評価は富山大学医学薬学研究部薬用生物資源学研究室が遂行)ので紹介する。しかしながら,マイタケの仕グルカンは生育,保存,抽出等の様々な条件で大きく含有量,分岐構造あるいは分子量が大きく変化し,その変化がインフルエンザ治療効果と密接に関係することが判明したため,先ずは,マイタケに含有されるa-グルカンについて説明する。
著者
田中 浩
出版者
大東文化大学
雑誌
大東法学 (ISSN:02870940)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, 1996-03-30
著者
久米 朋宣 オダイール ジョセ マンフロイ 蔵治 光一郎 田中 延亮 鈴木 雅一
出版者
水文・水資源学会
雑誌
水文・水資源学会研究発表会要旨集
巻号頁・発行日
vol.19, pp.94, 2006

本研究では,単木の蒸散計測手法である樹液流測定を利用した簡便な遮断蒸発量の推定方法を開発した.本法では遮断蒸発が生じる樹冠濡れ時間を特定することがキーとなる.筆者らは,樹液流測定を利用して樹冠濡れ時間を特定する方法を編み出し,この樹冠濡れ時間を蒸発散量推定モデルの検証データとして利用し,未知パラメーターである最大付着水分量及び空気力学的抵抗を決定した.得られた未知パラメーターより遮断蒸発量を推定し,観測値と比較検討することにより,本研究で開発した手法の実用性を検証した.
著者
マンフロイ オダイル ジョセ 鈴木 雅一 田中 のぶあき 諸岡 利幸 蔵治 こいちろ
出版者
日本森林学会
雑誌
日本林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
vol.115, pp.P4049, 2004

In this analysis, we investigated effects of increase of number of raingauges, spatial variability, extent of zones of intense TF dripping and effect of wind speed on TF measured in a 10 X 10 m plot of a lowland tropical forest in Lambir, Sarawak, Malaysia. Daily TF catches by 20 fixed raingages in a 10 X 10 m plot, called fixed plot, was measured over two years. During this same two years, by using additional 20 relocating raingages, TF was also measured during a period of about one month in each of 23 different plots, of same size as the fixed plot, inside the limits of the 4 ha crane site biological plot. An intense daily TF measurement with 60 raingages for a period of about 2 months duration was carried out in the fixed plot. From this period, 15 single storms separated by 6 hours dry spell could be extracted. Analysis of the TF data were based on the TF ratio which is the percent TF catch of a gauge or gauges in a storm or period of time divided by total open rainfall in the same period. The main results were as follows. 1) General TF characteristics: Mean Total TF in the fixed plot was 82 % of the open rainfall in the first year and 87 % in the second year. Mean TF measured in the 23 relocating plots were in average 9% greater than TF measured in the fixed plot during a same period. 2) Intense TF measurement in the fixed plot:Interpolation of the percent TF ratio caught by the 60 gauges over all the 2 months period of intense measurement in this plot showed that zones of relatively intense dripping occupied less than 10 % of the area of the plot. Analyses of the 15 single rainfall storms selected from this period also showed the occurrence of zones of intense dripping in 11 of the storms but the pattern or place of occurrence of these zones were not constant. Mean catches by the 20 fixed set of TF gauges (gauges used to measure TF during the two years period) in 15 storms differed from 0.2 to 0.6 mm of the mean catches of all 60 gauges in the same storms. In addition, analysis of the TF ratio catches of the 60 gauges in each of the 15 single storms with empirical variograms suggested no spatial autocorrelation between gauges percent catches, and therefore TF catches by individual gauges within this plot can be regarded as independent and the TF process as random within plots of this size. Finally, the distribution of the 60 gauges TF ratio in the fixed plot resembled the distribution of the TF ratio measured in 520 different points in the 23 relocating plots inside the 4 ha plot. 3) Wind speed effect: In the present study site storms occurs both in the night, usually under calm wind condition and afternoon usually in active wind condition that make the separation of the wind speed effect alone in TF difficult. Despite of that, low mean TF in the fixed plot was associated with storms occurred under windy condition or afternoon. An increase in the total stemflow of the fixed plot for storms under windy condition was not found, and therefore rainfall interception loss calculated as the difference of rainfall and TF-plus-stemflow was higher for storms under windy condition.
著者
田中 信壽 高木 英行
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.301-311, 2006-06-30 (Released:2017-02-01)
参考文献数
23

We propose a design method of virtual reality (VR) environment for maximizing VR presence and minimizing VR sickness by controlling angular velocity and visual angle and evaluate this method. The system that materializes the proposed design method has two neural networks. One neural network (NN) learns user's VR sickness characteristics. Another NN learns user's VR presence characteristics. The optimum condition for user is calculated by combining these two NNs. First, we analyze the overall tendency and the individual variation about the VR sickness and presence characteristic of subjects. As a result, it was confirmed that these two characteristics are in the trade-off relationship and that the individual variation is large. Next, we evaluate the effectiveness of our proposed design method. This method had a potential to design VR environment that realize low VR sickness and high VR presence taking account of the difference of user's characteristics. Especially, this method worked effectively for subjects who develop heavy symptom of VR sickness.
著者
田中 耕市
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.271, 2010

<B>I. 研究目的</B><br> 2010年は,東京国際空港(以下,羽田空港とする)の再国際化などによって,首都圏における空港を取り巻く状況の激変が見込まれている.羽田空港の再国際化は,東京都心から海外都市へのアクセシビリティを飛躍的に向上させると期待されているが,運航される路線や便数は未だに正式決定していない.本研究では,東京大都市圏における国際空港へのアクセシビリティの変化を測定して,海外主要都市へ訪れる国際線利用者が享受しうる利便性の変化を定量的に明らかにする.そして,利用者の利便性の側面からみた羽田空港に就航すべき国際線の配分について検討する.<br><br><B>II. 首都圏空港が抱える問題</B><br> 1978年に新東京国際空港(現・成田国際空港;以下,成田空港とする)が開業して以降,国際定期便は成田空港に移転して,羽田空港は国内線用(一部の国際チャーター便を除く)として運用されてきた.しかし,滑走路の問題から成田空港の離発着数に著しい制限があるため,東京という大都市を背景にした大きな需要を賄うことができていなかった.そのようなボトルネックの状態が続いた結果,近年では香港(Chek Lap Kok)やソウル(Incheon)といった近隣海外都市に東アジアのハブ空港の地位を奪われつつある.加えて,羽田空港においても国内線の需要の増加に対応できていないため,首都圏第三空港の建設がたびたび議論されている.<br><br><B>III.国際空港へのアクセシビリティを変化させる要因</B><br> 2010年の首都圏においては,空港へのアクセシビリティを変化させる以下のようなイベントが予定されている.<br>1) 羽田空港の再拡張に伴う再国際化(10月予定)<br>4本目となるD滑走路および国際線ターミナルの建設される.<br> 2) 新ルート経由の京成電鉄の新特急による成田空港へのアクセス改善(7月予定)<br>日暮里駅から成田空港駅への最短移動時間が36分に短縮される.<br>3) 茨城空港の開業(3月予定)<br>自衛隊百里基地を民間運用する.<br><br> <B>IV.羽田空港の増分スロット(離発着枠)の配分</B><br> D滑走路の運用開始によって新たに増加する年間約10万回のスロットのうち,約3万本が国際線へと割り当てられる.その内容については未だに正式には決定していないが,比較的近距離の国際線への割り振りが予定されている.しかし,2009年12月には,アメリカ合衆国とのオープンスカイ協定の締結によって,一日あたり8往復が同国への便に優先的に割り振られた.<br>
著者
坂口 洋英 山口 真一 彌永 浩太郎 田中 辰雄
出版者
公益財団法人 情報通信学会
雑誌
情報通信学会誌 (ISSN:02894513)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.143-153, 2017

<p>ネットワーク効果は情報通信産業の発展の重要なファクターであり、様々な研究がなされてきた。しかしながら、先行研究ではネットワークの大きさは財・サービスの総ユーザーとされており、ネットワークの構成ユーザーへの注目がない。そこで本研究では、ネットワーク効果がその構成ユーザーにより異なるあり方をする可能性に注目し、モバイルゲームを対象に有料ユーザー数と無料ユーザー数が支払額にそれぞれ別の影響をもたらすモデルを構築し、分析を行った。</p><p>分析の結果、有料ユーザー数が有意に支払額に正の影響をもたらし、有料ユーザーが1%増加すると支払額は0.06%増加することがわかった。一方、無料ユーザー数は影響を与えているとはいえない結果となった。このことから、ネットワーク効果はその構成ユーザーにより異なり、無料ユーザーのもつネットワーク効果は限定的であるという示唆が得られた。</p>
著者
田中 秀夫 千葉 秀雄
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.77, no.11, pp.767-771, 1982
被引用文献数
2

しょう油の減塩の現状とその方法について沢山の資料データをもとに解説していただいた。減塩しょう油は業界にとって大きな問題である。塩分過多の責任はすべてしょう油と味噌にあるように人々から錯覚されない努力もまた大切であろう。
著者
田中 里穂 日吉 優佳 中村 優里 相原 遥 日向 実佳 平賀 美樹 川合 康央
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第63回研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.195, 2016 (Released:2016-06-30)

本研究は、大学の学部を対象としたデジタルコンテンツの開発を通じて、デジタルコンテンツとその開発手法による大学での学びの新しいプロモーションを行うことを目的とする。本コンテンツは、大学での学びのキーワードを紹介する3Dリズムゲームを作成し、開発チームのプロジェクトの方法をまとめることとする。大学教員をモチーフにした3DCGモデルのキャラクターを作成し、ダンスの動きを追加したものを用いる。ユーザーは、ケミカルライトを模倣した加速度センサを持つデバイスを使用して、リズムアイコンにタイミングを合わせて操作することによってポイントを取得するものとします。
著者
武藤 誠 半田 伊吹 坂井 修一 田中 英彦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2000, no.76, pp.25-30, 2000-08-05
参考文献数
14
被引用文献数
5

楽曲の感性情報抽出の従来研究では主に相関分析の手法が用いられてきたが、有効な特徴量の設定が困難であることなどの問題から十分な抽出精度が得られていない。本研究では人間の音楽認知と情緒反応をモデル化し、そのモデルに適切な計算手法と考えられるニューラルネットワークモデルを用いて感性の計算モデルを得た。その際、音楽の段階的構成構造の特性や人間の知覚特性を考慮してニューロン間の結合に適当な制約を設け、また中間層に適切な競合系を設けた。この計算モデルが通常のニューラルネットワークモデルに比べ、より正確で効率的な学習能力を有することと、感性情報処理一般に有効であることを示す。To detect sentimental-information of musical songs, multivariant analysis or neural network model have been used for analyzing the correlation between musical parameters and music listener's subjective report. But these methods are improper for Sentimental-information detection. So we use a music cognition model for sentimental information detection. The computational model is 3 layer neural network model - input layer represents perception of musical components, output layer represents the sentimental reaction evoked by the musical songs. Network structure is properly organized as to learn more precisely and effectively. In this paper, we discuss the modeling of music cognition and computational model of sentimental reactions.

1 0 0 0 白鯨

著者
メルヴィル [著] 田中西二郎譯
出版者
新潮社
巻号頁・発行日
1952
著者
森上 和哲 田中 茂 橋本 芳一
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌 (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1993, no.1, pp.98-104, 1993
被引用文献数
3

1991年7月-9月にかけて,日本から中東ペルシャ湾までのタンカー航路上において海洋大気中ギ酸および酢酸濃度を測定し,ギ酸および酢酸の海洋における濃度分布およびその挙動について検討を行った。海洋大気中のギ酸濃度は平均1.18ppbv,酢酸濃度は平均0.60ppbvであり,ギ酸濃度が常に酢酸濃度より高かった。ギ酸および酢酸ともに,日中濃度が高く,夜間濃度が低くなるという濃度変化を示した。海洋大気中のギ酸および酢酸の発生源としては,対流圏あるいは陸上からの輸送の影響が大きいことが推測された。ギ酸および酢酸の除去機構としては,OHによる気相分解よりも乾性沈着の方が寄与が大きかった。海表面におけるギ酸および酢酸のフラックスを他のガスと比較したところ,一酸化炭素とほぼ同じレベルとなり,炭素循環においてギ酸および酢酸は重要な役割を果たしている。またギ酸および酢酸は大気中から海表面に取り込まれ,海洋における重要な炭素供給源であると言える。