- 著者
-
佐藤 浩一郎
松岡 由幸
- 出版者
- 一般社団法人 日本デザイン学会
- 雑誌
- 日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第55回研究発表大会
- 巻号頁・発行日
- pp.13, 2008 (Released:2008-06-16)
デザイン過程を,概念デザインや基本デザインが含まれるデザイン上流過程と,詳細デザインなどを含むデザイン下流過程の2つに大別すると,それらは以下の異なる特徴を有している.まず,上流過程においては不明確なデザイン目標や制約条件のもと,デザイナーの経験に基づく知識や直観を用いて,試行錯誤的に広い解空間から多様なデザイン解の探索が行われる.そして,下流過程においては明確化されたデザイン目標や制約条件のもと,合目的に狭い解空間から唯一のデザイン解の探索が行われる.この下流過程は,デザイナーの直観に依存する部分はあるものの,最適化法やCADなどの活用によりデザイン行為に合理化がもたらされている.一方,上流過程は,いまだその多くをデザイナーの直観に依存しており,大域的な解探索を可能とする数理手法や,それを前提とした逆問題の解法を可能とする設計研究の進展が必要とされている.本報では,このようなデザイン上流過程およびデザイン下流過程に適用可能な人工物デザインである「創発デザイン」と「最適デザイン」の概念を示し,それぞれの適用条件や適用可能なデザイン問題について示した.