著者
増田 達也 小田 卓治 野田 衛
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.64, no.7, pp.527-531, 2015-07-05 (Released:2015-08-05)
参考文献数
5
被引用文献数
2 1

糖化学分野で主に用いられている屈折旋光計について,清酒醸造における発酵工程管理にも応用することができるかについて検討した.実際の市販酒に供する規模(総米2トン)の清酒醸造現場において経時的に清酒もろみのサンプリングを行い,旋光度と屈折率を同時に計測した.屈折旋光計から得られた清酒もろみの旋光度の値は国税庁所定分析法で求められたエキス分(比重エキス分)と良い直線性(r=0.976)を示し,また既定のショ糖濃度換算ではなくグルコース濃度に換算することで,実際の清酒醸造において比重エキス分と近い値が得られた.次に屈折率から求められる清酒もろみのアルコール分を含んだ外観Brix(apparent Brix)値からエキス分を引くことで,清酒もろみに含まれるアルコール分を推定したところ,実際の分析によるアルコール分と良い直線性(r=0.952)が得られ,また特に四段添加前で実際のアルコール分析値に近い値が得られた.以上から,屈折旋光計は清酒醸造の発酵管理工程にも応用でき,迅速かつ簡易な分析方法として有用であることが分かった.
著者
河内 誠 尾崎 隆男 西村 直子 大岩 加奈 岩田 泰 野田 由美子 中根 一匡 舟橋 恵二
出版者
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.64, no.5, pp.569-575, 2015-09-25 (Released:2015-11-10)
参考文献数
14
被引用文献数
1

2012年10月~2014年3月の1年6カ月間に,激しい咳や長引く咳などにより百日咳の鑑別を要した168例を対象に,百日咳の実験室診断法を後方視的に検討した。病原体診断法として全例から後鼻腔ぬぐい液を採取し,百日咳菌分離とloop-mediated isothermal amplification(LAMP)法による百日咳菌DNA検出を行った。126例については,血清診断法としてPT-IgG抗体価を測定した(ペア血清67例,単血清59例)。実験室診断基準は,菌分離またはDNA検出または血清診断基準に該当したものとした。168例中34例(20%)が百日咳と実験室診断され,初診時年齢の中央値は0.9歳(日齢17~12.3歳)であった。DNA検出は16例(47%),菌分離は9例(26%)であり,菌分離例は全てDNA検出例であった。血清診断基準該当例は31例(91%)であり,18例(53%)が血清診断基準のみに該当した。その中の7例のワクチン未接種幼若乳児(日齢17~3カ月)では,6例がペア血清で抗体価の低下を認め,1例は幽門狭窄症による咳込み嘔吐であった。これら7例は母体の経胎盤移行抗体による血清診断基準偽該当例と考えられた。百日咳の実験室診断法として病原体診断がより確実であり,特に簡便・迅速で感度の高いLAMP法は有用と思われた。
著者
宮沢 孝幸 坂口 翔一 小出 りえ 谷利 爵公 入江 崇 古谷 哲也 水谷 哲也 神道 慶子 野田 岳志 桑原 千恵子 酒井 沙知 浅井 健一 川上 和夫
出版者
京都大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2016-04-01

これまで猫の腎炎とウイルスの関係に注目した研究はほとんどなかった。しかし、2012年に香港で尿細管間質性腎炎と関連するネコモルビリウイルス(FeMV)が発見された。FeMVはパラミクソウイルス科モルビリウイルス属に分類されるウイルスで、猫の尿や糞便から検出されている。アジア、ヨーロッパ、アメリカの様々な国でFeMVの検出がなされていることから、同ウイルスは世界中に広まっていると考えられている。しかし、その一方でこのウイルスの病原性発現機構は不明である。そこで本研究においては、FeMV感染時の宿主の免疫応答に着目し、FeMV感染とウイルス性腎炎の関係を明らかにすることを目的として研究を行った。
著者
半澤 晋二 小野田 昇 寺尾 一木 崎尾 秀彰
出版者
THE JAPAN SOCIETY FOR CLINICAL ANESTHESIA
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.116-119, 1997-03-15 (Released:2008-12-11)
参考文献数
5

巨大卵巣嚢腫のため,仰臥位での睡眠が困難な症例の周術期管理を経験した.術前にあらかじめ約35lの嚢腫内容液を排除したところ,仰臥位での睡眠が可能となった.手術を全身麻酔下に開始したが,嚢腫内容液の吸引により血圧は低下し,昇圧薬と急速輸液で対処した.同時に低酸素血症を呈したため,一時的に高濃度酸素吸入を行なった.術前排液量を含めた摘出臓器重量は53kgであった.術後は集中治療部にて管理したが,入室8時間後に血圧低下をきたした以外,呼吸・循環系は安定しており,術後2日目に集中治療部を退室し,後日軽快退院した.
著者
三輪聡子 小野田亮介 秋田喜代美
出版者
日本教育心理学会
雑誌
日本教育心理学会第58回総会
巻号頁・発行日
2016-09-22

問題と目的 学校における教育は,教師と児童・生徒間のみならず,子どもたちの家庭での姿を知る保護者と連携しながら進められる必要がある。その点で,教育は学校に閉じた場ではなく,学外にも開かれた場であるべきだといえるだろう。実際に,小学校学習指導要領(文部科学省,2008) の総則においても,「2(12)学校がその目的を達成するため,地域や学校の実態等に応じ,家庭や地域の人々の協力を得るなど家庭や地域社会との連携を深めること」と明記されており,保護者との連携の重要性が示されている。教師と保護者が有意義な連携をはかっていくには,教師・保護者間での教育観の共有が必要になる。そのため,日々の学校教育を通して,教師が保護者に自身の教育観を伝えることは,学校教育の質を高める上でもきわめて重要な活動となる。 そこで本研究では,教師の「教育指針」に焦点を当て,初任の小学校教師が自身の教育指針を保護者といかに共有していくかについて明らかにする。そのために,本研究では,教師が保護者宛てに発行する「学級通信」に着目した検討を行う。学級通信は保護者に向けた単なるお知らせではなく,児童の様子や教師の教育指針が含まれている(鈴木,2012)。学級通信に示される内容に着目することで,保護者に示される教師の教育指針の変化についてミクロに捉えることが可能となる。方 法対象 小学校1年生の学級(32名)を担任した20代の初任男性教員1名を対象とし,その1年間に発行された学級通信の内容(全72号)を分析対象とした。なお,本研究が焦点をあてた教師は,1ヶ月に平均6通の学級通信を作成していた。分析の枠組み 学級通信から,教師が自身の教育観や信念に言及している箇所を「教育指針の提示部分」として命題単位で抽出した。そして,それらの記述を(1)目指す児童・学級の在り方に関する「児童・学級に関する指針」,(2)保護者への願い・依頼である「保護者に関する指針」,(3)目指す教師自身のあり方に関する「教師に関する指針」の3カテゴリに分類した。結果と考察全体的特徴 カテゴリごとの提示数をTable 1に示す。全体的傾向としては,児童に関する提示数が最も多く,保護者や教師に関する指針の記述は少ない傾向が認められた。教育指針の提示傾向 月ごとの教育指針の提示数から(Figure 1),新学期が始まった翌月の5月と,夏休みが終了した翌月の9月に相対的にみた提示数の頻度が高くなっていることが確認された。すなわち,教師は児童が家庭から学級に移行・参入した時期を一定期間看取り,その翌月に児童・学級に関する教育指針(例:結果だけでなく過程を自分で褒められるようにしたい)を多く打ち出していることが示された。また,少数ではあるが5月と9月は保護者に関する指針(例:授業参観ではなく授業参加してほしい)も確認されることから,家庭から学級への移行に際して,教師は保護者に向けても教育指針を強調する学級通信を刊行していたことが示唆された。 一方,教師の指針に関しては,一年の終盤に提示が確認されるにとどまった。この点について,教師は「はじめから自分の想いは前面に出さなかったと思います。…もっと関係性ができてから出すようになりました。」と述べており,保護者との信頼関係を構築しながら,自身の教師としての在り方を明確化し,それを共有していたことが推察される。以上より,教師は保護者との関係性構築を通して,自身の専門性を深め,共有するようになっていたと考えられる。
著者
宮﨑 達二郎 佐藤 敬介 藤原 敬宏 野田 尚昭 佐野 義一
出版者
一般社団法人エレクトロニクス実装学会
雑誌
エレクトロニクス実装学会誌 (ISSN:13439677)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.155-165, 2020

<p>本論文では,角柱状突合わせ継手の界面端角部および直線部のBad pair条件の違いを考察した。有限要素法(FEM)に基づく固有値解析で突合わせ継手の特異性指数を種々の材料組み合せにおいて求めた。界面端角部でのBad pair条件は,2次元モデルで知られている条件α(α−2β) > 0とかなり近いが,明確に異なる場合がある。ここで,(α, β) はDundursの複合材料パラメータである。すなわち,多くの場合には (α, β) で表現できるが,(α, β) のみでは表現できない場合が存在する。Bad pair条件の違いを明示するため,界面端角部で特異性が出現・消失する材料組み合せを (α, β) マップで比較して示した。さらに,3次元モデルでのGood pair,Equal pairおよびBad pairを判別する簡便式を提案し,その妥当性を解析結果に基づいて議論した。界面端直線部でのBad pair条件は,α(α−2β) > 0で表現できることを示した。</p>
著者
荒井 鷹哉 岡 真一郎 礒部 裕輔 古川 晃大 有岡 大輔 松元 大門 野田 健司 村上 巧一
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.42 Suppl. No.2 (第50回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.1383, 2015 (Released:2015-04-30)

【はじめに,目的】浮き趾とは,立位時に足趾が地面に接していない状態を指す。近年,若年者の浮き趾が増加傾向であり,両側いずれかの趾が接地していない者は若年女性で76%と報告されている(福山ら,2013)。浮き趾発生の原因として,幼児期から学童期における外遊びの頻度や自動車などでの通園による生活様式の変化やハイヒールやサンダルなどの履物による影響が報告されている(福山ら,2013)。浮き趾と足趾把持力に関する先行研究では,浮き趾を有するものは,足趾把持力が低下していること(福山,2009),足趾把持力が歩行速度と下肢筋力が関係するとの報告(金子。2009)がある。しかし,浮き趾と歩行および膝関節筋機能との関係についての報告は少ない。本研究の目的は,浮き趾を含む足趾機能と歩行および膝関節筋機能との関係について調査した。【方法】対象は,一般女子大学生30名(平均年齢21.3±0.6歳)であった。測定項目は浮き趾,足趾把持力,アーチ高率,10m歩行時間(WT)および膝関節等速性筋力の測定を行った。足趾把持力は,T.K.K3000(竹井機器)を用いて左右2回測定し,その最大値を体重で除し代表値とした。アーチ高率は,立位時の足底面から舟状骨粗面までの高さをデジタルノギス(プラタ)で計測し,その値足長で除し,立位アーチ高率(アーチ高率(%)=舟状骨高/足長)を算出した。膝関節等速性筋力測定は,BIODEX SYSTEM3(BIODEX)を使用し,膝関節屈曲,伸展運動を角速度60deg/secで行った。浮き趾の測定は,木製のボックス(R-tec社製)上に設置した厚さ15mmのアクリル板上に被験者を立たせ,静止立位および足趾への荷重移動(動的立位)時の足底面をスキャナーGT-X750(EPSON)で撮影した。被験者には,両足内縁5cm開脚位で2m前方の視標を注視させた。浮き趾の評価は,福山ら(2009)の浮き趾スコアに基づき20点満点の評価法で点数が低いほど足趾の接地状態が悪く,完全接地を2点,不完全接地を1点,不接地を0点として採点し,動的立位時に18点以下で浮き趾と判定した。統計学的分析は,JASTATS3.0を使用し,浮き趾,足趾把持力,アーチ高率,WTおよび等速性筋力との関係はSpearman順位相関分析を用い,有意水準は5%とした。【結果】足趾把持力とWTの関係はr=-0.52と有意な負の相関,足趾把持力と屈曲トルクの関係はr=0.42と有意な正の相関があった。WTと屈曲トルクの関係はr=-0.36と有意な負の相関があった。しかし,足趾把持力と浮き趾の間に有意な相関はなかった。浮き趾と筋機能との関係は,膝伸展トルク60deg/secではr=0.48,膝屈曲パワー60deg/secではr=0.43と有意な正の相関があった。しかし,浮き趾とアーチ高率との間に有意な相関はなかった。【考察】本研究の結果,足趾把持力とWTに有意な負の相関,足趾把持力と膝屈曲トルクに有意な正の相関があった。WTと膝屈曲トルクに有意な負の相関があった。足内在筋は前足部を安定させ,内側縦アーチを上げ,立脚終期と遊脚前の足関節底屈のための強固なてこを作る(Donald,2005)。また,足趾屈曲力と最速歩行速度との間に相関がみられたことは,上肢筋群,体幹筋群,下肢筋群の協調的な働きなどによって生じる推進力を足趾が効率よく床面へと伝達し,筋出力を推進力へと転換するための重要な役割を担うと報告している(太箸ら,2004)。本研究では先行研究と同様の傾向がみられたことから,足趾把持力は歩行において筋出力を推進力へと転換する上で,重要な役割をはたすと推察される。一方,浮き趾は内側縦アーチの指標であるアーチ高率との相関はなく,膝関節筋機能と正の相関があった。長谷川ら(2010)は,足趾の接地は足部全体の剛性を高め,駆動力を効率よく床面に伝達する役割を担っていると述べている。また,加辺(2003)によると足趾屈筋群の活動は,足および膝関節周囲筋の同時収縮を促通し,下肢の機能的連鎖の引き金であると報告している。そのため,足趾の接地は膝関節筋機能を効率よく発揮させ,共同収縮するための土台として重要な役割を果たしていると考えられる。今後の課題としては,浮き趾に関連する生活習慣について調査していきたい。【理学療法学研究としての意義】本研究の結果,足趾把持力は歩行の推進力への転換に寄与し,足趾の接地は膝関節筋機能を発揮するための土台としての重要性が示唆された。女子大学生における足趾把持力および浮き趾ついて調査することは,女性の歩行能力および下肢筋力の維持,向上における運動介入の基礎資料としての意義があると考える。
著者
遠藤 悟 細野 光章 王 戈 岡本 拓士 小野田 敬 桑島 修一郎
出版者
研究・イノベーション学会
雑誌
研究 技術 計画 (ISSN:09147020)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.238-257, 2019-10-25 (Released:2019-10-29)
参考文献数
21

Research performed at universities and public research institutions are crucial for the creation of new industry and for the enhancement of quality of life of the people. It contributes to improve the scientific literacy of the people and to develop human resources for research by stimulating scientific curiosity of the people. However, it is pointed out that research capability in Japan has been declined in recent years. In this paper, analyses of current situation of research activities at universities and public institutions are presented. The discussions made in this paper include the followings: (1) recognition of situation of research activities, (2) research funding, (3) governance and evaluation of universities and research institutions, (4) research performance, (5) human resources. Several recommendations for the improvement of research capacity in Japan through comparison with major overseas countries and through analyses of current research systems in Japan are presented.
著者
大場 恵史 栗田 典之 栢森 豊 田島 雄二 高橋 良彰 野田 一郎 石田 康行 大谷 肇 柘植 新
出版者
公益社団法人 日本材料学会
雑誌
材料 (ISSN:05145163)
巻号頁・発行日
vol.51, no.12, pp.1335-1340, 2002-12-15 (Released:2009-06-03)
参考文献数
17

Structural information of the styrene-ethylene glycol dimethacrylate (St-EGDM) cross-linked copolymers obtained by Pyrolysis-gas chromatography (Py-GC) was compared with those obtained by conventional dynamic mechanical analysis and swelling measurement. The monomer ratios of St/EGDM in the highly cross-linked polymers determined by Py-GC were in fairly good agreement with the monomer feed ratios, while those estimated indirectly by the conventional methods were considerably higher than the feed ratios. Furthermore, the St contents estimated by Py-GC for the polymer samples obtained in low conversion were found to be extremely lower than the feed ratios suggesting that the cross-linking domains would be formed at the early stage of the polymerization. These observations suggest that the network structures of the cross-linked polymers in this work would be inhomogeneous to a great extent mainly due to the potential presence of the cross-linking domains in which EGDM monomer units are localized.
著者
小田 敦子 野田 明 武田 雅子 藤田 佳子
出版者
三重大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

平成15年6月に海外共同研究者アニタ・パターソンを交えての第1回の研究会に始まり、毎月の研究会を持ち、15年から16年度はエマスンのエッセイを17年度は詩を中心にテキストの精読と、共同研究者がそれぞれ専門とするエマスンの同時代の作家・詩人の観点からの議論を続けた。共同研究会は難解なエマスンのテキストを読む効果的な方法で、エマスンのテキストの19世紀における受容の実態、同時代人たちはエマスンを「マスター」と感じ、エマスンに批判的であると考えられているホーソーンやあまり関係づけられることのないディキンスンでさえ、彼の言説に注目し影響を受けていたことがわかった。研究代表者の小田は、平成16年度にアメリカのホーソーン学会に採択された研究発表"The Old Manse and the Concord as Emersonian Symbol"や、アメリカ文学会関西支部大会シンポジアムでの発表「エマスンの‘The Master Word'」で、エマスンがホーソーンに与えた影響を指摘した。野田は、エマスンがメルヴィルに与えた影響について、特に、文学の独創性や文学テキストの引用行為に対する両作家の姿勢・考え方に焦点を合わせることで検証しようとした。武田は、紀要に「ディキンスンの捉えたエマスン-伝記的事実に見る」を発表したが、これを踏まえて、エマスンとディキンスンの関係についての先行の研究をまとめることで、エマスンの影響を考察した。藤田は、当時の興味深い問題、科学と文学のかかわりの点からエマスンとソローを考察しエマスンの特性を論じると共に、この面に於いてエマスンがソローに及ぼした影響を明らかにした。パターソンは、ホイットマンとエマスンとの間の両義的な感情に関するこれまでの研究を精査した上で、彼らの相違点にもエマスンがホイットマンに教えたものの影を認めた。

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著者
野田 潤
出版者
日本家族社会学会
雑誌
家族社会学研究 (ISSN:0916328X)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.74-75, 2007-04-30 (Released:2009-08-04)
被引用文献数
1 1
著者
中村 正和 田淵 貴大 尾崎 米厚 大和 浩 欅田 尚樹 吉見 逸郎 片野田 耕太 加治 正行 揚松 龍治
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.3-14, 2020-01-15 (Released:2020-02-04)
参考文献数
45

目的 本報告の目的は,加熱式たばこの使用実態,健康影響,ニコチン供給装置としての製品特性に関わるエビデンスをもとに,本製品の流行がたばこ規制の主要政策に与える影響を検討し,今後の規制のあり方について政策提言を行うことである。方法 加熱式たばこの使用実態,有害化学物質の成分分析,ニコチン供給装置としての製品特性に関する文献検索には医学中央雑誌とPubMedを用い,11編を収集した。そのほか,国内の公的研究班の報告書と海外の公的機関の報告書から8編を収集した。 本製品の流行がたばこ規制に与える影響については,WHOがMPOWERとして提唱する6つの主要政策を取り上げた。本検討にあたっては,上述の19文献に加えて,たばこ規制の現状に関わる計26編の文献や資料を収集して用いた。結果 わが国では2013年12月から加熱式たばこの販売が開始され,2016年から流行が顕著となっている。2016年10月の時点で,日本は国際的に販売されている加熱式たばこ製品の90%以上を消費している。加熱式たばこは,紙巻たばこに比べるとニコチン以外の主要な有害物質の曝露量を減らせる可能性がある。しかし,病気のリスクが減るかどうかについては明らかでなく,紙巻たばこを併用した場合には有害物質の曝露の低減も期待できない。また,ニコチンの曝露ならびに吸収動態は紙巻たばこと類似しており,ニコチン依存症が継続して,その使用中止が困難になる。 加熱式たばこの流行は,WHOが提唱する6つの主要政策のいずれにおいても,現状の日本のたばこ規制の下では悪影響を与える可能性が考えられた。結論 加熱式たばこの流行に対して公衆衛生上の懸念が指摘されているが,その規制のあり方を検討するためのエビデンスが不足している。今後,加熱式たばこの健康影響のほか,紙巻たばこ使用への影響,たばこ政策に与える影響について研究を進める必要がある。健康影響が解明されるまでは,公衆衛生の予防原則の観点から紙巻たばこと同様の規制を行うべきである。
著者
野口 浩介 野田 進治
出版者
佐賀県玄海水産振興センター
巻号頁・発行日
no.6, pp.15-20, 2013 (Released:2014-02-07)

マナマコ種苗生産では,付着珪藻を繁茂させた付着珪藻板に採苗する生産方式飼育を行っているが,この付着珪藻板上にコペポーダが大量に増殖する問題があるため,炭酸ガス通気海水を用いた除去法の開発を行った。まず,コペポーダ,稚ナマコの活動に与える影響を検討し,次に量産規模でのコペポーダ除去法の検討を行った。pH5.2以下の炭酸ガス通気海水に30分間浸漬することで,コペポーダを除去できたが,2時間浸漬すると稚ナマコも斃死することが判明した。また,量産規模でもコペポーダを除去することができたが,除去後約10日間で再びコペポーダが増殖し,注水海水から侵入することが判明した。そこで,注水口に10μmフィルターを取り付けることで,コペポーダの増殖を約25日間遅延することができた。
著者
野口 浩介 野田 進治
出版者
水産総合研究センター
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.131-135, 2011 (Released:2012-12-06)

ナマコ種苗生産で発生するコペポーダの防除法確立のための基礎試験を行った。種苗生産現場で発生するコペポーダはシオダマリミジンコと判定され,0.2個体/cm2の密度では稚ナマコの初期餌料となる付着珪藻は維持できるが,2.0個体/cm2では約7日間で全て摂餌され,体長0.4~1.0mmの稚ナマコはコペポーダ密度0.2個体/cm2以上で斃死することがわかった。付着珪藻を繁茂させたシャーレに稚ナマコとコペポーダを混在させた場合,コペポーダはまず付着珪藻を摂餌し,付着珪藻が減少するまでの期間,稚ナマコが斃死しないことが判明した。また,UV発光するFITC染色した稚ナマコを斃死させたコペポーダを蛍光顕微鏡で観察したところ,脚部付近は強く発光するが,胃や糞では発光せず,この結果から稚ナマコの斃死要因は食害ではなく,接触ダメージであると推測された。
著者
富丸 慶人 後藤 邦仁 小林 省吾 永野 浩昭 森 正樹 土岐 祐一郎 江口 英利 伊藤 壽記 野口 洋文 宮下 和幸 川本 弘一 岩上 佳史 秋田 裕史 野田 剛広
出版者
一般社団法人 日本移植学会
雑誌
移植 (ISSN:05787947)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.217-222, 2019

<p>Total pancreatectomy with islet autotransplantation is an ideal surgical procedure used to relieve chronic pain derived from the pancreatitis, while insulin-dependent diabetes is inevitably induced after the surgery. Islet autotransplantation combined with a total pancreatectomy can reduce the risk of severe diabetes by preserving available islet cells. We experienced a case with hereditary pancreatitis, which is a rare inherited condition characterized by recurrent acute pancreatitis and/or chronic pancreatitis. The case was that of a female in her thirties who was introduced to our hospital due to treatment-refractory abdominal pain derived from repeated pancreatitis even after surgical treatments. At the introduction, the pain was uncontrollable even by opioid use, and oral intake was impossible due to increase of the pain after the intake. She was genetically diagnosed with hereditary pancreatitis. For relieving the pancreatitis-derived pain, total remnant pancreatectomy with islet autotransplantation was planned. After the pancreatectomy, islet cells were extracted from the excised remnant pancreas, and injected into the portal vein for liver autotransplantation. The pain was completely relieved for her after the surgery, suggesting improvement of her quality-of-life. A glucose tolerance test and glucagon loading test performed one month after the surgery showed C-peptide secretion as the blood glucose rose. However, the serum c-peptide level and SUIT index had been gradually decreased after the surgery, and she is now treated with insulin. The case suggested that total pancreatectomy with islet autotransplantation is useful for improvement of the patient's quality of life by controlling the pain in cases with hereditary pancreatitis.</p>
著者
野田 亜矢子
出版者
日本野生動物医学会
雑誌
日本野生動物医学会誌 (ISSN:13426133)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.105-108, 2019-09-25 (Released:2019-11-25)

動物園の4つの使命に数えられていながら,なかなか浸透しているとは言えない「調査・研究」であるが,近年少しずつ動物園の業績として表に出すところが増えてきた。しかし,時間を取ることができない,やり方がわからないなどの理由で,積極的に進められていないことも事実である。広島市安佐動物公園では,開園当初から動物園の使命の一つとして「調査・研究」を大々的に掲げ,様々な形で実践してきた。その一つが地元の自然に貢献しようとの思いで始まったオオサンショウウオの調査・研究事業である。また,各職員の調査・研究の成果をまとめる訓練として,園内職員を対象とした「飼育研究会」の開催および「飼育記録集」の編集が行われるようになった。本来,動物園における調査・研究活動は,このように「業務」として行うべきものであるが,実際には様々な面から難しいこともある。ひと昔前の動物園は単に珍しい動物を見て楽しむところだったものが,現在では先人たちの努力により「種の保存」などの言葉が一般にも浸透してきており,動物園の活動の一つとして広く認知されている。今後さらに「調査・研究」が動物園の業務の一つであることを,内外に浸透させていく必要がある。
著者
内田 智也 古川 裕之 松本 晋太朗 小松 稔 野田 優希 石田 美弥 佃 美智留 大久保 吏司 藤田 健司
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.31, no.6, pp.791-794, 2016 (Released:2016-12-22)
参考文献数
15

〔目的〕我々が考案したSingle Leg Up Downテスト(以下SLUDテスト)と体重支持指数(以下WBI)の関連について検討すること.〔対象と方法〕中学野球選手202名にSLUDテストおよびWBI(等尺性最大膝伸展筋力を体重で除した値)を測定した.非投球側のSLUDテスト遂行可能な高さで群分けし,各群間のWBIをKruskal-Wallis検定,多重比較法を用いて比較した.〔結果〕SLUDテスト40 cm,30 cm,20 cm,10 cmのWBIの平均はそれぞれ0.79±0.18,0.87±0.20,1.00±0.19,1.04±0.24であり,40 cmと30 cmの各群に対して,20 cm,10 cmの各群が高値を示した.〔結語〕スポーツ選手に必要な筋力はWBI 1.0以上とされていることからも,20 cm台からのSLUDテスト遂行の可否が下肢筋力のスクリーニングテストとして有用であることが示された.
著者
曽我部 敦 安田 正明 野田 章
出版者
The Society of Cosmetic Chemists of Japan
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.207-216, 2002-09-20 (Released:2010-08-06)
参考文献数
38
被引用文献数
9 10

頭髪上での毛髪のハリ・コシ感は, 毛髪の曲げ硬さやねじり硬さ, 毛髪間の摩擦による影響など複数の物理特性の組合せによるものであるが, 最も基本的な因子の一つには, 毛髪一本の硬さがあげられる。そこで毛髪の硬さについて, 曲げ応力測定と毛髪径測定を行い, 材料力学的見地から, ヤング率による評価を試みた。毛髪の短径および長径を正確に測定するために, レーザー光を利用した毛髪径測定装置を開発した。また, 毛髪をキューティクル, コルテックスより構成される, 異なるヤング率を持った二層構造と仮定し, 毛髪全体のヤング率と物理的にキューティクル層を剥離させたコルテックス部分のみからなる毛髪のヤング率測定を行い, 材料力学的な解析によりキューティクルのヤング率を算出した。その結果, キューティクルはコルテックスの4倍程度硬いことがわかった。また, 毛髪の短径, 長径およびキューティクル層の厚さの測定結果と併せて, 曲げ応力に対するキューティクルとコルテックスの寄与率を算出したところ, キューティクルの曲げ応力への寄与率は, 全体の約6割に達し, 曲げ応力の発生はキューティクルが重要な役割を担っていることを見出した。