著者
木村 逸郎 夏 宗ほあん 包 尚聯 伊藤 秋男 秦 和夫 今西 信嗣 XIA Zonghuang 包 尚聨 張 国輝 趙 子強 王 宇鋼 施 兆民 唐 国有 陳 金象 韋 倫存 今井 誠 神野 郁夫 高木 郁二 金 長文
出版者
京都大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1995

最近粒子ビーム(中性子や荷電粒子のビーム)を用いた材料科学研究の進展は著しい。京都大学と北京大学は、いずれもこれらの先駆的な研究を進めているが、ここに大学間協定に基づいて研究協力を強化推進し、一層の高度化とさらに新しい分野への発展の基礎を築くことができた。本研究を通じ、京都大学から北京大学へ延べ8名の班員を派遣し、最近の研究の紹介を介して討論するとともに、実験の現場でも議論した。一方、北京大学から京都大学へ延べ8名の班員を招へいし、先方の研究成果について紹介してもらい、それについて討論した。さらに一部の班員はやや長く滞在して実験に参加させ、他の班員は京都大学の研究用原子炉や加速器において進行中の関連研究を見せ、現場でいろいろと議論した。やや具体的なテーマについての成果は次のとおりである。1.両大学で進行中の中性子ビーム利用研究では、まず核分裂過程の機構解明に関連し、核分裂即発中性子の測定法と測定結果、解析モデルと解析結果を比較し、共通点を見出した。また、中性子の非弾性散乱や荷電粒子放出の測定に関連し、データを比較検討した。さらに、中性子の新しい利用とくに医療利用についても議論を深めることができ、今後の協力が期待される。2.加速器による重イオンビームの利用については、両大学とも盛んに実験研究が進められているため論議が噛み合う所が多かった。なかでも、クラスターイオンの発生と利用、イオンビームによる表面分析、イオンビームによる新機能性材料の開発において、相互の実験手法を現場で詳しく見た上で議論し、ときには改善法を示唆したりもした。また北京大学の班員を京都大学での実験に直接参加させたことも実質的な協力として有意義であった。これらを通じ、今後のより実質的な協力の芽が育ったといえる。
著者
角 征典 金本 真左也 Antoine Bossard 秋口 忠三
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE)
巻号頁・発行日
vol.2014-CE-125, no.2, pp.1-8, 2014-05-31

本研究では,複数人での共同プログラミングを実現する初心者向けビジュアルプログラミングツール Jointry の開発と評価を行った.近年,プログラミング教育への関心が高まっており,なかでも初心者に優しいビジュアルプログラミングツールに注目が集まっている.しかし,これまでの研究では,初期段階に初心者が独学でプログラミングを学習することは依然として難しく,先生や友達からの支援が必要であることがわかっている.そこで我々は,複数人で共同でプログラミングできるツールを開発し,プログラミング初心者を対象にして,質的な評価を行った.その結果,プログラミング初心者が初期段階に抱える不安は,複数人での共同プログラミングによって解消できる可能性があることがわかった.
著者
安川 緑 藤原 勝夫 金子 周一 坂本 英之 三谷 徹 伊藤 喜久 小山 善子 染井 正徳
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本年度の研究では、06,07年度の研究成果を基にITを活用した園芸療法の効果の詳細を検証した後、総合的見地から、ITの活用による園芸療法を適用した包括的地域ケアモデルを構築する予定であったが、当初の計画の変更を余儀なくされたため、下記の内容で研究を進めた。1)これまでに得られた園芸療法の研究データの分析を行い、園芸療法の知見を広く社会に還元すべく、論文作成及び投稿準備に充当した。現在、Japan journal of Nursing Scienceに「Effects of Horticultural Therapy for Aged Persons Receiving Home Care」を、また、老年社会科学に「サッケード反応様式からみた園芸療法の元気高齢者の前頭葉脳血流量の変化」を投稿するための準備作業に入っている。これらの論文では、在宅療養高齢者及び元気高齢者のそれぞれの課題に対して園芸療法が効果的に作用して、心身機能の維持・向上や老化予防に独自の効果をもたらすことが実証され、今後における地域高齢者ケアへの提言ともなっている。2)世界初の作業療法ハンドブック、「International Handbook of Occupational Therapy Interventions」(2009)に、「Horticultural Therapy for the Cognitive Function of Elderly People with Dementia」が所収された。このことにより、園芸療法が薬物に依拠することなく認知機能の回復をもたらし、認知症ケアとしての優れた側面を有すると共に、日常生活の活性化を促すための多種多様な可能性持ち合わせていることを世界のケア専門家に紹介し、園芸療法の普及に拍車をかける機会となった。なお、認知症者に対する園芸療法の種々のデータについては、引き続き分析を進め、International journal of geriatric Psychiatryをはじめ国際的学術誌への投稿を予定している。
著者
斎藤 清 金子 幸雄
出版者
日本育種学会
雑誌
育種學雜誌 (ISSN:05363683)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.101-108, 1975-04-30
被引用文献数
1

(1) ボケ類にひろくみられる不結実性を明らかにして今後の育種上の知見をうるために市販品種15点および野生種クサポケを用い,数年にわたってフレーム内で素焼鉢作りとして,花粉および胚のう形成について若干の細胞学的観察をおこなった。 (2)開花時期および茎状のちがいによって供試材料を寒咲型(6点)・春咲型(6点)およびクサボケとその類似型(4)点とに区別し,それぞれの根端における染色体数を調査したが,すべて2n=34の二倍体であることが確認された。 (3)花粉母細胞にあらわれた減数分裂像をみると,IMにおいて17_<II>が規則正しく形成される緋の御旗や東洋錦などがみられた反面,黒光・緋赤寒ぼけ・長寿楽などではかなり混乱した染色体対合が観察され,1価や4価染色体も多く現われていた。つづくIIMにおいても後者のものでは異常な分裂が顕著におこっており,四分子期にも奇形の二〜三分子,さらに五〜九分子にいたるものが散見された。 (4) したがって,開花時の充実花粉粒率も前記の異常分裂の傾向と大むね軌を一にしてあらわれており,黒光や長寿楽ではほとんど健全粒の形成がみられなかった。一方舞妓・浪花錦・長寿梅(白花)のようにきわめて良好な健全粒率を示すものもあったが,それらでも完全な果実の着生がみられなかった。 (5)数点の品種について解剖的に観察された胚のう形成については,一般に開花2日前の完全花で比較的多くの健全な卵装置をもつ胚のうが完成しており,その後受粉受精をうけたか否かは不明であるが,約2週間はそのままの状態で存在し,その後しだいに退化崩壊がはじまり,ついに原胚の発生を示す標本をうることはできなかった。一方,クサポケにおけるわずかの標本では受精によって生じた原胚がしだいに細胞分裂をはじめ,開花後2〜3週間目でようやく小さな棍棒状を呈するものが観察された。 (6) ボケ類に普通にあらわれる不結実の原因として,品種成立の過程にからんでいる雑種性による遺伝的な配偶体および接合体の致死,自家および他家不和合現象の存在,さらに限界的な低温などによる環境的要素などが組みあわされているものと考察された。
著者
鈴木 啓子 大屋 浩美 石村 佳代子 金城 祥教 吉浜 文洋
出版者
静岡県立大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2002

本研究の目的はわが国の精神科における危険防止のための看護技術を明らかにし、より安全な技術を開発することである。平成15年度の研究成果は下記のとおりである。1.わが国の護身術(柔道および空手)および取り押さえ術(刑務官による)の研修を受け、その内容について精神科看護のエキスパートと検討した。これらは日本の伝統的な武術の技が使用されているが、基本的には関節技を中心に対象者に痛みを与えることにより、行動を封じ込めるものが中心になっていた。その基本には対象者を「正常な判断能力を有しているが故意に問題を起こした者」とする見方があり、一般精神科病棟において精神的健康問題をもち危機状況にある患者に対する看護技術としては適切性が低いといえ、刑法上合法となる緊急避難の場合以外は使用すべきでないと考えられた。また、これらの技術は訓練しなければ誰でも身につけられるものではないことからも、これら攻撃型の技術を習得するよりは、緊急時に身を守る技、逃げる技などの防御型の技術を看護師は習得するほうが合理的であると考えられた。2.平成14年度に引き続き、先進的な精神科医療を提供している8施設において急性期看護経験のある看護師85人を対象としグループインタビューおよび危機状況にある患者モデルを設定した実演によるデータ収集を計12回実施した。継続的比較分析を行った結果、言語的な介入が可能な段階では看護師は患者のもてる力に働きかける言語的介入を積極的に行い、また危機がエスカレートする段階では暗黙の了解により互いの役割を引き受け隔離・拘束にあたる点が、海外の危機介入では見られない特徴だった。また強制的な治療後にも患者の側にいて寄り添い患者をねぎらうなど海外の技術に近い実践があることも明らかになった。抽出された看護技術について、より安全な危険防止のための方法を明らかにすることが、今後の課題である。
著者
金光 滋 熊谷 博 白坂 繁
出版者
鹿児島工業高等専門学校
雑誌
鹿児島工業高等専門学校研究報告 (ISSN:03899314)
巻号頁・発行日
no.45, pp.51-56, 2010

「暗号」とは第三者に知られないように,意志の伝達を行うこと,あるいはその方法であるが,これは,古代のカエサル(シーザー)式暗号から現代の「公開鍵方式」の暗号まで連綿と続く情報と情報伝達の安全性につながる重要な伝達方法である。現代の情報化社会においても,本来の暗号の歴史を学び,暗号がもたらした繁栄と,それが破られたときの崩壊を知る歴史に学ぶ観点は混迷の時代にこそ重要であり,危機管理体制に必要であろう。 本報告では,上記の視座から,有名な暗号の歴史と,その構造について言及した。For those this rhyme is penned who are interested in the cultural and historical aspects of ciphers. Upon the page, enwrapped from every reader, search narrowly the lines ! - they hold a treasure of enlightenment. The words - the syllables! Do not forget the most trivial point, or you may lose your labor! Main contents are written by first author, and other authors added amendment. Especially, last author added his lecture content in Kagoshima National College of Technology, and Kinki University. Developing the network of computer, it is the most important point to defend the information. Therefore it is necessary that we study the ciphers in historical point of view.
著者
福智 佳代子 金澤 直志
出版者
神戸海星女子学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

iPodと電子黒板を組み合わせたデジタルコンテンツの開発プロジェクトを行ってきた。RPGゲームで、Listening内容の理解度を測る診断テストを作成、ICT開発会社ヴォルテックに、ゲームソフトの開発、端末機器(iPod)と電子黒板相互通信システムの開発を依頼、動作確認を行った。診断テスト内容に関しては、テスト内容の検証、ウェブ上の画像、音声・効果音を組み込んだRPGゲーム1ユニット分の試作版の検証を小学校で行った。その結果を参考に、最終編集(出版社ニュートンプレス)を行ったものを、独自のイラスト・動画(村田氏)と共に、ゲームソフトに組み込み、RPGゲームによる評価システムの実証実験を行う。
著者
西澤 奈津子 大隅 清陽 藤森 健太郎 稲田 奈津子 金子 修一 石見 清裕 桑野 栄治 野田 有紀子 安田 次郎 和田 英信 松岡 智之 末松 剛 吉永 匡史 武井 紀子
出版者
お茶の水女子大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

古代日本においては、律令制の導入に続いて、8世紀になってから礼の本格的な導入が始まり、9世紀には儀式書の成立という形に結実する。その後9世紀から12世紀にかけての古代から中世の変革期において、中国の礼を受容して形成された儀式が支配構造との関係でどのように変容したかを、中国の賓礼や軍礼、凶礼などに該当する儀式を検討することによって明らかにした。また、同時期の中国や朝鮮半島諸国の礼や儀式の変化と比較することによって、日本の儀式の変化の特徴に迫った。その結果、中国において当該期に礼や儀礼が庶民化すること、皇帝権力の伸長により変化があることなどが確認された。
著者
金 志〓
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

本研究は六朝時代から唐代(4 世紀末-9 世紀頃)までの、道教の経典伝授儀礼の成立と、経典伝授と密接な関わりを持って発生した「師」観念について考察する。とくに道教の経典伝授の儀礼化の問題を、三教交渉史・宗教文化史の観点から考え、道教史の展開や六朝隋唐宗教文化史を理解することを目的とする。
著者
三宅 泰雄 猿橋 勝子 葛城 幸雄 金沢 照子
出版者
気象庁気象研究所
雑誌
Papers in Meteorology and Geophysics (ISSN:0031126X)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.180-181, 1961-11-25 (Released:2012-12-11)

東京におけるCs-137及びSr-90の蓄積量はCs-137については,1960年7月までに69,4mC/km2,Sr-90については,同年12月までに24.8mC/km2となり,Cs-137対Sr-90の比の平均は2.9であった。両者の成層圏における平均滞留時間は,1.3乃至2.6年と計算され,また,今後,核実験が行なわれないと仮定した場合の将来の蓄積量が計算された。
著者
延廣 良香 向井 美紀 小倉 由美 藤田 悦則 村田 幸治 亀井 勉 辻 敏夫 金子 成彦 吉栖 正生
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
Dynamics & Design Conference
巻号頁・発行日
vol.2011, pp._207-1_-_207-10_, 2011

For the homeostatic control, there are Ultra Low Frequency (ULF) fluctuations on the backbone of the control. We think we can extrapolate state of human by capturing variation of ULF fluctuations. In this study, a method was conceived for capturing ULF fluctuations by performing the time series of the gradients analysis of the pulse wave taken from the surface of the back, which was defined as an aortic pulse wave (APW) with zero-cross detection method or peak detection method. APW was recorded during an experiment with an induced sleep test in the sitting position. The results indicated that we can find drowsiness, a predictive signal for falling asleep and an impending sleep by catching variability of 0.0017Hz, 0.0035Hz and 0.0053Hz of ULF fluctuations of APW obtained by the analytical method we had invented.
著者
清原 健司 古家 賢一 金田 豊
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.161, pp.39-43, 2000-06-23
被引用文献数
1

反射性の対向壁の間でパルス音等の短音を発生させた場合に、特別な音色の音が室内に残って知覚される現象は、フラッターエコー(鳴き竜)としてよく知られている。しかし、壁面の反射率が極めて高い直方体室内で短音を発生させた場合に、sweep音が知覚されることは、一般にはあまり知られていない。本稿では、この「3次元鳴き竜」とでもいうべきsweep音についての分析をし、その生成機構を解明したので報告する。解析は簡単のため、立方体室について行った。解析の結果、反射パルス音列の大部分が二乗時間軸上で等間隔になっており、これが時間軸上では時間に比例して周波数が上昇しているためにsweep音として知覚されていることを明らかにした。
著者
薮田 雅弘 Noel Scott 金 承華 高尾 美鈴
出版者
中央大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究の目的は、昨今の世界遺産ブームにあって、特にわが国の世界自然遺産地域を対象に、持続可能な観光発展が進展しているか否かを評価する事にある。本研究では、①世界遺産制度のガバナンスについて検討し、②コモンプールの観点から、持続可能な地域観光資源の利用と管理運営のあり方を検討した。さらに、③持続可能な管理運営の仕組みを「エコツーリズム」として把握し、④エコツーリズムの原則に基づいて、わが国の世界自然遺産地域が持続可能な観光発展の状況にあるか否かを具体的に検討した。本研究を通じて、持続可能な地域観光資源の利用にとって必要な幾つかの地域観光政策の在り方が検証され提言可能となった。
著者
関口 由紀 畔越 陽子 河路 かおる 長崎 直美 永井 美江 金子 容子 吉田 実 窪田 吉信
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.64, no.6, pp.340-343, 2013 (Released:2014-05-16)
参考文献数
6

腹圧性尿失禁を有する女性患者10名(平均年齢60.7歳)に対して,麻黄附子細辛湯を4週間内服させ,前後の自覚症状,パッド枚数を比較し評価した。50%の患者の尿失禁の自覚症状の改善が認められた。効果があったグループの平均年齢は,73.2歳,効果がなかったグループの平均年齢は,50.2歳であり。両群間には,統計的に有意な年齢差がある傾向が認められた。改善した症例の中には,著明改善例が含まれていた。麻黄附子細辛湯は高齢者の感冒予防に長期内服が可能な薬だが,構成生薬である麻黄は,エフェドリンを含有しているため,尿道内圧を上昇させて腹圧性尿失禁を改善させる可能性がある。さらに附子はアコニチンを含有し,過活動膀胱症状を改善させる可能性がある。このことから麻黄附子細辛湯は,高齢女性の腹圧性尿失禁のみならず混合性尿失禁にも長期に用いることができる漢方方剤であると考えられる。
著者
川口 章 神谷 奈多紗 金谷 寛子 井上 幸次
出版者
近畿中国四国農業研究協議会
雑誌
近畿中国四国農業研究 (ISSN:13476238)
巻号頁・発行日
no.18, pp.69-72, 2011-03

既報のnested-PCR法を改良し,枯死したイチジク樹から1回のPCRで株枯病菌を検出できる方法を開発した.株枯病により枯死させたイチジクにおいて,通常の組織分離法による病原菌の検出が困難であったサンプルから,CFF5/CFR3のプライマーセットを用いた1回のPCRにより株枯病菌の検出が可能であった. また,PCRに用いるDNAを抽出するためのサンプルとして,イチジク木部をノコギリで切った際に得られる木くずが利用可能であった. これらの方法は,株枯病が疑われる,イチジク枯死樹の遺伝子診断として有効である.
著者
田中 厚子 広田 光一 金子 豊久
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.40, no.7, pp.2978-2987, 1999-07-15
被引用文献数
9

本研究では 仮想物体の切断操作における反力を実時間で表現するための計算方法について提案する.計算の中では切断操作にともない物体が微小に変形することが仮定され したがって 操作者が持つ刃物の実際の刃先位置に加えて 物体の変形が解除されたときにこれが物体の上でどこに相当するかという非変形時の刃先位置が定義される.両者の相対変位とその点における変形の柔らかさとから 刃先より物体に作用する力を近似的に求め これに基づいて刃先を移動することで切断の進行を表現する.この中では 刃先に作用する力として粘性抵抗 摩擦力 切断抵抗の3種類についてモデル化を行い これらを操作反力として操作者にフィードバックする.刃先を離散点に分割することで分布力を求める.また 変形の柔らかさを定数または計算の容易な関数として与えることで 実時間での力の表現を可能とする.これを仮想空間に実装することで 切りやすさの異なる物体の表現が可能であることを確認した.また この環境を利用した作業実験を行い 切断操作における力覚情報の提示が作業効率に寄与する1つの例を示した.さらに 変形が大きい場合の処理として 非変形時の刃先と実際の刃先を一致するように物体を視覚的に変形する方法を提案し 切断中の変形表現を実現した.In this paper, a method of calculating force during cutting operation is discussed. To calculate the distribution of force on the cutting edge, we defined the cutting edge as a set of discrete points that represent the infinitesimal part of the cutting edge. We proposed a method of representing forces caused by viscosity, friction, and cutting resistance based on this discrete-edge model. We developed a virtual environment with force feedback and implemented the proposed method in the environment. As an example of cutting tasks where the sensation of force is effectively used, we simulated a 'core extracting' operation and confirmed that the task is more efficiently performed with force sensation.
著者
中井 滋 政金 生人 秋葉 隆 井関 邦敏 渡邊 有三 伊丹 儀友 木全 直樹 重松 隆 篠田 俊雄 勝二 達也 庄司 哲雄 鈴木 一之 土田 健司 中元 秀友 濱野 高行 丸林 誠二 守田 治 両角 國男 山縣 邦弘 山下 明泰 若井 建志 和田 篤志 椿原 美治
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.1-30, 2007-01-28 (Released:2008-11-07)
参考文献数
12
被引用文献数
7 7

2005年末の統計調査は全国の3,985施設を対象に実施され, 3,940施設 (98.87%) から回答を回収した. 2005年末のわが国の透析人口は257,765人であり, 昨年末に比べて9,599名 (3.87%) の増加であった. 人口百万人あたりの患者数は2,017.6人である. 2004年末から2005年末までの1年間の粗死亡率は9.5%であった. 透析導入症例の平均年齢は66.2歳, 透析人口全体の平均年齢は63.9歳であった. 透析導入症例の原疾患毎のパーセンテージでは, 糖尿病性腎症が42.0%, 慢性糸球体腎炎は27.3%であった.透析患者全体の血清フェリチン濃度の平均 (±S.D.) は191 (±329) ng/mLであった. 血液透析患者の各種降圧薬の使用状況では, カルシウム拮抗薬が50.3%に, アンギオテンシン変換酵素阻害薬が11.5%に, アンギオテンシンII受容体拮抗薬が33.9%に投与されていた. 腹膜透析患者の33.4%が自動腹膜灌流装置を使用していた. また7.3%の患者は日中のみ, 15.0%の患者が夜間のみの治療を行っていた. 腹膜透析患者の37.2%がイコデキストリン液を使用していた. 腹膜透析患者の透析液総使用量の平均は7.43 (±2.52) リットル/日, 除水量の平均は0.81 (±0.60) リットル/日であった. 腹膜平衡試験は67%の患者において実施されており, D/P比の平均は0.65 (±0.13) であった. 腹膜透析患者の年間腹膜炎発症率は19.7%であった. 腹膜透析治療状況に回答のあった126,040人中, 676人 (0.7%) に被嚢性腹膜硬化症の既往があり, 66人 (0.1%) は被嚢性腹膜硬化症を現在治療中であった.2003年の透析人口の平均余命を, 男女の各年齢毎に算定した. その結果, 透析人口の平均余命は, 同性同年齢の一般人口平均余命のおよそ4割から6割であることが示された.
著者
金丸 智昭
出版者
京都大学
雑誌
Southeast Asian Studies (ISSN:21867275)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, 2014-04-24

This article analyzes the situation of coffee production in present-day Timor-Leste, in which productivity-oriented recommendations for coffee plantation management and site-specific cultural logic coexist. In effect, this situation can be connected to the problem of the lack of agency in local farmers' reactions to market penetration. A site-specific cultural dimension seems to illustrate agency on the rural farmers' side. However, the agency located only within local mediation is insufficient because the very function of mediating markets must be achieved primarily unintentionally under the logic of market penetration. In my opinion, this clearly suggests that local cultural values and economic rationality are interdependently constituted as guiding principles of composition elements of the situation set by the categorization of local institutional mediation of market penetration. It is therefore critically important to recognize that the categorization of social action such as "local mediation" at the base of a discursive space for political maneuvers constitutes the gap between "local" institutions and generalizable economic activities, and not the other way round. Thus understood, a comparative perspective on the commoditization process may direct our attention to the potential plurality in accomplishing the interdependent constitution of universal market and local institutions, suggesting that market penetration and local institutions should be treated as essentially interlaced social phenomena.