著者
金井助作 編
出版者
精英堂
巻号頁・発行日
vol.上, 1893
著者
金井 秀夫 野口 俊治 小柳 光 丸橋 恭子 猿谷 真也
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.42, no.11, pp.905-910, 2009-11-28 (Released:2009-12-22)
参考文献数
22
被引用文献数
2 2

クローン病は,比較的若年に好発する腸管全層の炎症を主体とする疾患で,腹痛・下痢・下血などの症状が緩解と再燃を繰り返す慢性非特異性炎症性疾患である.今回われわれはクローン病の初発から40年を経過したのち再燃をおこし,mesalazineおよびprednisoloneの投与にもかかわらず頻回の下血を繰り返した症例に対して,infliximabの投与を試みた透析施行症例を経験した.症例は69歳,男性.25歳時よりクローン病と診断され5~6年の間に計5回の手術歴がある.その後消化器症状はみられず,2005年,慢性腎不全によるうっ血性心不全のため透析導入となった.当院に転院後約3年間著変なく週3回の維持透析を施行していた.今回,配偶者の突然死の4日後に突然の大量下血をおこした.大腸内視鏡所見より縦走潰瘍およびアフタが多発しておりクローン病の再発と診断された.当初mesalazine 1,500mg/日の投与および栄養療法を行ったが効果はみられなかった.次に,prednisolone 30mg/日を併用したが,下痢・下血が連日みられ,頻回の輸血が必要となったことよりinfliximabの投与を行った.初回および2週目と2度のinfliximabの点滴治療を行ったがinfusion reactionはみられなかった.一方,2度目の投与2週間後にニューモシスチス肺炎の合併が認められ,ステロイドパルス療法およびST合剤にての加療を要した.そのため現在,2度のinfliximabの投与にて経過観察しているが,再発後約6か月を経過した後もクローン病の再燃はみられていない.抗ヒトTNF-αモノクローナル抗体infliximabは当初慢性関節リウマチの治療薬として開発されたが,クローン病およびベーチェット病でもその効果が期待されている.今回の症例においては,治療中にニューモシスチス肺炎の合併を認めたが,クローン病に対してのinfliximabの効果は認められており,特に感染症の合併に注意しながら使用することが有効であると考えられた.
著者
竹内 聡史 河野 正司 小林 博 桜井 直樹 細貝 暁子 金城 篤史 甲斐 朝子
出版者
社団法人 日本補綴歯科学会
雑誌
日本補綴歯科学会雑誌 (ISSN:03895386)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.473-481, 2008-10-10 (Released:2009-02-20)
参考文献数
17
被引用文献数
1 1

目的 : 下顎タッピング運動に随伴する体幹動揺が, 座位において観察できるのか, また立位と座位でどのような差を示すか追求することを目的とした.方法 : 被験者は顎口腔系に異常を認めない男性6名 (25-29歳, 平均年齢27.0歳) で, 姿勢は立位, 座位の2種類として, 10秒間の咬頭嵌合位保持, 3Hzの20秒間タッピング, その後10秒間咬頭嵌合位保持を1測定単位として測定を行った. 下顎運動はTRIMETII (東京歯材社製) により上顎座標系にて下顎切歯点を, 頭部は大地座標系で上顎切歯点, 下顎頭点, 頭頂点, 後頭点を, また体幹動揺はProreflex (Qualisys社製) により大地座標系で胸骨点の矢状面内運動を分析した.結果 : 座位において, 下顎タッピング運動に随伴する体幹動揺が認められた. 開口量に対する体幹動揺量を立位と座位でWilcoxonの符号付検定をしたところ, 有意に立位の方が大きくなった. また体幹動揺の周波数分析におけるパワーの平均値を立位と座位でWilcoxonの符号付検定をしたところ, 有意に立位の方が大きくなった. しかし, 原波形解析による検出率をWilcoxonの符号付検定をしたところ, 立位と座位で有意差は認められなかった.結論 : 体幹動揺量は立位の方が大きいが, 原波形による検出率では差がなく, 咀嚼動作として自然な座位での分析も可能であることが明らかとなった.
著者
川合 知二 金井 真樹 田畑 仁 松本 卓也 SZABO Gabor LIBER Charle LIEBER Charl
出版者
大阪大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1994

レーザーアブレーション法は、誘電体、超伝導体など様々な種類の無機積層薄膜が形成でき、有力な機能性無機材料作成法である。レーザーアブレーション法をさらに発展させ、原子分子層制御無機機能性人工格子などの設計、合成に応用していくには、アブレーションのメカニズムを明らかにすることと同時に、レーザーアブレーション特有の特徴を薄膜形成に生かして新しい人工物質を実際に創成していくことが重要である。この様な背景のもとに、無機物質化学、表面界面化学で世界的に活躍しているハーバード大学Prof.Lieberグループと短パルスレーザーの科学で活躍しているハンガリー・ジェイト大学Prof.Szaboグループと川合グループが共同で「レーザーアブレーション薄膜形成のメカニズム解明と人工格子への応用の調査研究」を行った。平成6年度は、主に金属酸化物、特に強誘電体(BaTiO_3,SrTiO_3)と超電導体(Bi_2Sr_2CaCu_2O_8系)を中心にしてレーザーアブレーションのメカニズムと薄膜形成の決定要因の解明について調査研究を行った。既存のエキシマレーザーを用いて、上記物質群のアブレーションメカニズムを調べた。放出粒子の光強度依存性、及び、アブレートされた部分の微視的モルフォロジーなどからアブレーションが、主に光化学的プロセスであり、しかも内殻最高準位電子の多光子励起によって起こることが明らかになった。このメカニズムは、2つのレーザーパルスを遅延させてアブレーションさせる実験によって確認できた。アブレーションによって生成した粒子のエネルギーと薄膜表面と構造との相関を解析し、より良質の薄膜の形成要因を明らかにした。平成7年度は、レーザーアブレーションによる人工格子形成に調査研究の中心をおいた。BaTiO_3,SrTiO_3,Bi_2Sr_2CaCu_2O_8など異なったターゲットを用いて、格子定数の異なる層を積層し、強誘電体及び超伝導体の歪格子を形成した。強誘電性人工格子系では、最も誘電率の大きなBaTiO_3を基本層とし、これより格子定数の小さなSrTiO_3,CaTiO_3の層で挟んだ人工格子を作り、C軸を引き延ばすことにより、さらに大きな誘電率をもつ新物質(歪み誘電体人工格子)を形成した。又、PbTiO_3を基本層とする系でも、同様な歪みを加えることにより、分極の大きな新物質を系統的に形成して、物質の構造と特性との相関を明らかにできた。超伝導人工格子系では、Ba系超伝導体の異種元素の導入とCuO_2層数の調節を主に行った。CuO_2層数をレーザーアブレーションの原子分子層積み上げでコントロールし、その層数と超伝導転移温度との関係を調べた。その結果、金を導入した人工格子を作成できたこと、及び、その系でCuO_22層の系が安定であることを見出した。これらの無機機能性薄膜材料の設計、合成について、前年度に調査したアブレーション放出粒子のサイズ、エネルギーと各原子層分子層形成の温度、表面の平坦性の関連を調べ、高機能酸化物人工格子の形成条件を明らかにすることができた。当初計画した研究目的と研究計画については、大方計画通りに進むことができた。レーザーアブレーションのメカニズムが内殻電子の多光子過程を経ることなど重要な結果を得た。本研究の成果は、論文にまとめて公表する他、米国、及び、日本の物理学会、応用物理学会で発表した。特に、1995年度は、国内だけでなく、米国の物理学会に行き共同研究の成果を発表した。
著者
金丸 智美 無藤 隆
出版者
一般社団法人日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.219-229, 2006-12-20
被引用文献数
4

本研究の第1の目的は,不快場面に置かれた3歳児を対象に,快,不快情動の変化から捉えた情動調整プロセスの個人差を明らかにすることである。第2に,同一の子どもについて2歳時点から3歳時点への情動調整プロセスの個人差の変化を示す。第3に,不快場面での情動調整行動を検討し,3歳児の情動調整の自律性を明らかにする。2歳前半に実験的観察を実施した母子41組の中で,3歳後半の時点で32組の母子を対象に実験的観察を実施した。その結果,情動調整プロセスの個人差について,不快情動から捉えた情動調整プロセスタイプの中に,快情動変化から捉えた個人差が存在することが明らかになった。情動調整プロセスの個人差の変化については,2歳時に不快情動を表出した多くの子どもが,3歳時には不快情動を表出しなくなることや,2歳時に快情動を表出しなかった子どもの多くは,3歳時には快情動を表出したことを示した。また,情動調整行動に関しては,他の活動を積極的に行ったり,気紛らわし的行動が増え,より自律的な行動が増えることを示した。以上より,3歳児は2歳児と比較して,より自律的で適応的な情動調整が可能となることを明らかにした。
著者
岩野 真一 長瀬 亮 金山 和則 安東 泰博 加藤 邦治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EMD, 機構デバイス
巻号頁・発行日
vol.94, no.7, pp.27-32, 1994-04-15
被引用文献数
2

装置実装用の光コネクタの小形化・高密度化、および装置内の実装心数の多端子化が要求されている。本報告では光コネクタの小形化を検討する上で重要となるフェルールの細径化について、装置構成条件を考慮して検討した結果を述べる。さらに検討の結果、高密度実装用光コネクタのフェルール径としてφ1.25mmを採用し、φ1.25mm細径フェルールを基本要素とする高密度、多心実装装置用のMU形光コネクタシステムを開発した。本システムはプラグイン光コネクタ、アダプタタイプの装置実装用光コネクタ、治工具類とから構成される。本報告では、このMU形光コネクタシステムの構成、特性等についても述べる。

1 0 0 0 亀船

著者
金在瑾著 桜井健郎訳
出版者
文芸社
巻号頁・発行日
2001
著者
石川 明子 松井 基純 釣賀 一二三 坂元 秀行 高橋 芳幸 金川 弘司
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.60, no.8, pp.965-968, 1998-08-25
被引用文献数
4

性成熟に達した10頭の飼育下の雄エゾヒグマを不動化した後, 電気刺激射精法により, 延べ21回の精液採取試験を行った.運動精子を含む射出精液は, 21回のうち14回から得られ, 採取された精液の量およびpHは, 平均2.7mlおよび7.4であった.また, 精子の濃度, 運動性, 生存率および奇形率は, それぞれ平均471.6×10^6個/ml, 80.2%, 89.7%および21.8%であった.
著者
舩橋 晴俊 壽福 眞美 徳安 彰 佐藤 成基 岡野内 正 津田 正太郎 宮島 喬 吉村 真子 上林 千恵子 石坂 悦男 藤田 真文 奥 武則 須藤 春夫 金井 明人 池田 寛二 田中 充 堀川 三郎 島本 美保子 樋口 明彦 荒井 容子 平塚 眞樹 三井 さよ 鈴木 智之 田嶋 淳子 増田 正人 小林 直毅 土橋 臣吾 宇野 斉 鈴木 宗徳 長谷部 俊治 原田 悦子 羽場 久美子 田中 義久 湯浅 陽一 伊藤 守 上村 泰裕 丹羽 美之 宮本 みち子
出版者
法政大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

本プロジェクトは、グローバル化問題、環境問題、移民・マイノリティ問題、若者問題、メディア公共圏、ユビキタス社会、ケア問題といった具体的な社会問題領域についての実証的研究を通して、社会制御システム論、公共圏論および規範理論に関する理論的研究を発展させた。公共圏の豊富化が現代社会における制御能力向上の鍵であり、それを担う主体形成が重要である。また、社会制御には合理性のみならず道理性の原則が必要である。
著者
金子 哲 牧田 満知子 岡本 洋之 湯瀬 昌文
出版者
兵庫大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

平民が強い土地所有権を有し、定住志向を持つ日本社会は、東アジアの中で特異だ。平安時代の「良き死を支え合う仲間」からこの社会が始まったが、肉親の付き合いが弱くなった。グローバル経済のため、人間関係が弱くなった日本社会では、孤独死の不安が強まっている。インターネットを活用し、「看取り仲間」を増やすことで、死を積極的に受け入れられる社会となり、生の充実と無駄な医療費の削減が可能となる。
著者
金山 尚裕 シャイナロン リンバラパス 成瀬 寛夫 山本 信博 藤城 卓 前原 佳代子 森田 泰嗣 寺尾 俊彦
出版者
社団法人日本産科婦人科学会
雑誌
日本産科婦人科學會雜誌 (ISSN:03009165)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.477-482, 1992-04-01
被引用文献数
4

切迫早産において頚管に浸潤した顆粒球から放出される顆粒球エラスターゼ (エラスターゼ) が頚管の熟化, 開大に密接に関係することが知られている。エラスターゼのインヒビターであるウリナスタチン (UTI) の腟剤が切迫早産の治療に有効であるかを検討した。43例の切迫早産を4群に分類し次の治療法を行った。A群 (N=12): Ritodorine点滴, B群 (N=9): UTI (1,000U) 頚管内投与, C群 (N=14): Ritodorine点滴+UTI頚管内投与, D群 (N=8): Ritodorine点滴+UTI頚管内投与+全身抗生物質療法。これら4群のエラスターゼ値は治療前A群0.76±0.40μg/ml (Mean±SD), B群0.93±0.43μg/ml, C群0.85±0.40μg/ml, D群0.90±0.41μg/mlで各群間で有意差を認めなかった。治療開始後 (3日目から7日目) のエラスターゼ値はA群0.75±0.47μg/ml, B 群0.27±0.35μg/ml, C群0.27±0.33μg/ml, D群0.30±0.19μg/mlとなりB, C, D群は著明に下降した。子宮収縮の改善度を検討すると, 子宮収縮が30分に1回以下になるまでの時間は, A群65±66分, B群375±336分, C群70±64分, D群58±53分で, B群が有意 (p<0.05) に時間を要した。4日以上子宮収縮抑制が得られた時点で上記治療を中止した。その後の子宮収縮の再発率はA群58%, B群11%, C群14%, D群13%でA群の再発率が高かった。以上よりUTI腟剤の頚管内投与は頚管内エラスターゼ量を低下させ子宮収縮抑制の補助療法として極めて有用であることが判明した。
著者
金井 雅之
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.49-64, 2010-03-31 (Released:2010-10-03)
参考文献数
21
被引用文献数
1

個々の行為主体がもつ個別財としての社会関係資本と,ある集団に存在する集合財としての社会関係資本との相互関係は,社会学理論におけるマイクロ-マクロ連関の一例として理解することができる.「機会と制約の構造(マクロな集合的社会関係資本)が合理的行為(マイクロな個別的社会関係資本)に影響する」側面と「合理的行為の集積が社会的な構造を生み出す」側面は,相互に循環して社会的世界を形成しているはずである.本稿では,温泉地の観光まちづくりに関する社会調査データを,観光まちづくりの発展段階という動的な過程の存在を仮定した上で分析し,この2つの側面のどちらがより強くデータから支持されるかを検証した.結果は前者の存在を強く示唆するものであり,後者の側面は支持されなかった.これは,社会的な構造を合理的行為の集積として説明することのむずかしさを改めて示す結果である.