著者
岸 洋一 平野 美和 井上 滋彦 石塚 英司 濱嵜 公久 鈴木 基文 藤田 喜一郎 山田 徹
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.51, no.9, pp.403-409, 1997

99例の前立腺肥大症に対し, 経尿道的前立腺高温度療法(プロスタトロン)を施行した. 自覚症状としてのI-PSSの変化では治療前には20.1±7.0であったが, 4週後には10.8±6.7と著明に減少し, さらに6ヵ月まで徐々に減少し, 1年後にやや上昇しているが, いずれも有意な変化であった(p<0.0001). 満足度も同様の傾向であった. 他覚所見の推移では最大尿流率の変化が8.9±4.9ml/secから4週~6ヵ月後まで3~4mlの増加がみられ, 1年後にも9.7±3.1ml/secであった(p<0.018). 平均尿流率をみると, 治療前に4.3±2.5ml/secであるが, 8週後には5.8±2.6ml/secまで上昇し, 1年後には4.6±1.6ml/secとやや低下したが, 有意の変化は保たれた. また残尿量も1年後にも有意の減少を示した. 自他覚的所見の改善は少なくとも1年にわたって持続するので, 本療法は前立腺肥大症の治療の有力な選択肢の一つとなりうる.
著者
野村 周平 田淵 貴大 橋爪 真弘 大田 えりか 渋谷 健司 坂元 晴香 鈴木 基 齋藤 英子 米岡 大輔 井上 真奈美 宮田 裕章 西浦 博
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2021-04-01

本研究は、with/postコロナ時代の保健医療政策の課題に対する実証的分析に疾病負荷を活用する我が国で初めての試みである。具体的には、新型コロナウイルス感染症の疾病負荷および関連するリスク要因の寄与割合の推定(将来予測含む)、新型コロナ含む傷病別の疾病負荷の将来シナリオ分析、新型コロナウイルス感染拡大による保健医療ニーズ・保健システムへの影響(健康格差・医療費)の推定を行う。
著者
中川 祥平 鈴木 基之 松本 和幸 北 研二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム = The IEICE transactions on information and systems (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.97, no.3, pp.533-539, 2014-03

本論文では,音声からの感情推定において特徴量を正規化して識別を行う方法を提案する.従来感情識別に用いられている平均パワーやピッチといった韻律的特徴量は,感情による変化だけではなく発話内容そのものによって大きく変化する.そのため,たとえ同じ感情で発話されたとしても発話内容が異なれば異なる韻律となり,感情推定の性能低下を招き得る.そこで本論文では,平静の感情で同じ発話内容を発話した音声からも特徴量を抽出し,それとの差分に注目することで感情による特徴量の変化のみを抽出する方法を提案する.使用している5種類の特徴量(平均パワー,ピッチ等)ごとに減算による正規化,除算による正規化,正規化なし,の三つの方法で正規化し,全ての組み合わせの中で最も性能が向上する組み合わせを探索した.その結果,最適な組み合わせによる識別性能は,正規化を行わない従来法と比較して5.98%向上した.正規化法に関する分析を行ったところ,平均パワーは正規化が必要(演算は減算でも除算でも大きな差はない)であり,一方ピッチとMFCCは正規化なし,残りの二つの特徴量についてはどちらでも性能は大きくは変化しないことがわかった.
著者
鈴木 基史 飯田 敬輔 石黒 馨 岩波 由香里 栗崎 周平 多湖 淳 石田 淳 小浜 祥子 中山 裕美
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2018-04-01

主な実績として以下の3つを挙げる。最も重要な成果は、本研究計画に即して初年度から進めてきた分析をまとめあげるため、代表者・分担者が下記の題目の論文の作成に着手し、進めたことである。その過程として、9月に研究会を開催して代表者が方向性を提示し、その後、調整を経て各論文の題目と構成の決定を行った。いずれの論文も科研題目「国際制度の衰微と再生の政治経済分析」に合致し、研究計画で予定されている方法を駆使して作成されるものである。石黒馨「貿易協定と貿易戦争の緩衝」、石田淳「事前協議制度と同盟ディレンマの緩和」、岩波由香里「国連平和維持活動と部隊派遣」、鈴木基史「国際開発援助制度の危機とポピュリズムの台頭」、栗崎周平「外交使節制度の進化と国際システムの形成」、飯田敬輔「グローバル貿易レジームと米国リーダーシップの言説」、中山裕美(土井翔平との共著)「 国際難民制度の危機のテキスト分析」、鈴木基史(松尾晃隆・宇治梓紗との共著)「国際金融サーベイランス制度の比較テキスト分析」、多湖淳「非核三原則と国民の認識変化」、小濵祥子(大槻一統との共著)「核抑止制度と第二撃」第二の実績として、2019年6月28日に京都大学において日本学術会議の主催、本科研研究共催の学術フォーラム「グローバル政策ネットワークと国際機関」を主導した。同フォーラムは、本研究課題と合致し、代表者の鈴木が責任者として趣旨説明を行い、分担者の飯田敬輔教授が本科研課題に関連する研究報告を行った。第三に、研究協力者の宇治梓紗京都大学講師が、本科研研究の方法として掲げているサーベイ実験を気候変動制度を対象として実施した。これらの研究の進捗状況の確認と関連研究報告を行うことを趣旨とした研究会の開催を2020年3月に予定していたが、感染問題で中止とせざるを得なかった。その後、メール審議によって進捗状況の確認を行った。
著者
鈴木 基史
出版者
公益財団法人 日本学術協力財団
雑誌
学術の動向 (ISSN:13423363)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.1_70-1_73, 2021-01-01 (Released:2021-05-29)
参考文献数
10
著者
酒井 康行 成瀬 勝俊 長島 郁雄 武藤 徹一郎 鈴木 基之
出版者
一般社団法人 日本人工臓器学会
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.18-23, 1995-02-15
参考文献数
11
被引用文献数
2

体重10-15kgの肝不全ブタ用のハイブリッド型人工肝臓モジュールに必要とされる細胞数の1/4(2.5×10<sup>9</sup> cells)に相当する初代培養ブタ肝細胞スフェロイドを, 酸素供給用シリコンチュー・ブを装着した1-Lスケールのスピナーフラスコを用いて, 約1日で形成させることができた. このスフェロイドをディッシュレベルにおいて, さまざまな培養形態で10日まで培養した. スフェロイドをそのまま緩やかに浮遊培養(旋回培養)すると細胞数の減少が起こるが, 細胞当たりの機能発現は単層培養細胞の3-5倍であった. コラーゲンゲル包括スフェロイドは, 浮遊培養と比較して機能発現が低下する傾向にあった. 100%のブタまたはヒト血漿と直接接触させながら浮遊培養しても, スフェロイドのアンモニア除去能は合成培地中と比較しても, 全く低下が見られなかった.
著者
青柳 昌宏 居村 史人 加藤 史樹 菊地 克弥 渡辺 直也 鈴木 基史 仲川 博 岡田 義邦 横島 時彦 山地 泰弘 根本 俊介 TUNG Bui Thanh SAMSON Melamed
出版者
国立研究開発法人 産業技術総合研究所
雑誌
Synthesiology (ISSN:18826229)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.1-14, 2016 (Released:2016-03-19)
参考文献数
38
被引用文献数
2 5

ICデバイスを縦方向に積層して実装集積する3次元IC積層実装技術は、半導体デバイス、MEMSデバイス、パワーデバイス等の集積技術として、従来の基板面内での2次元的な集積化に加えて、基板を積層して3次元的に集積化できるため、近年、期待が高まっている。この論文では、半導体デバイスの3次元IC積層実装に求められる高密度・高集積の電子ハードウエア構築基盤技術を確立させるとともに、企業と連携して量産化技術への開発支援も行いながら、実用化に向けた応用システム開発の流れを作り出すために実施した、初期の応用フェーズの研究開発について、報告する。

1 0 0 0 OA 成膜の基礎

著者
鈴木 基史
出版者
一般社団法人 日本真空学会
雑誌
Journal of the Vacuum Society of Japan (ISSN:18822398)
巻号頁・発行日
vol.57, no.8, pp.303-307, 2014 (Released:2014-08-25)
参考文献数
3
被引用文献数
2

Thin films have recently emerged as one of the most important building blocks of nanotechnology and are often prepared under vacuum conditions. For efficient production of high-quality thin films, it is important to understand the impact of the vacuum on each stage of the thin film deposition processes, including decomposition of the starting material, transport of its vapor, and deposition. This article discusses the general key aspects of the thin film deposition process from the viewpoint of vacuum science and technology.
著者
鈴木 基広 永野 柾巨 泰江 輝雄 福島 明 佐藤 功一 小勝 薫 三浦 妙太
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.1103-1106, 1985-09-25

坐骨神経に発生した巨大な孤立性神経鞘腫の一例を経験したので報告した.症例は48歳男性.約10年前,左大腿後面に無自覚性の小結節を生じ,漸次増大した.来院時,腫瘤は24cm×25cm,弾性硬で圧痛があった.術前検査により悪性新生物を考えて手術を行った.腫瘤は大腿二頭筋の深部に存在し,被膜に包まれ,坐骨神経本幹に連続していた.大きさは19cm×13cm×12cm,重さ1,852gと巨大な腫瘍であった.割面は充実性で,肉眼的には黄白色で一部に出血巣が認められた.病理組織はAntoni A型とAntoni B型の混合型の神経鞘腫であった.坐骨神経に発生する腫瘍には悪性のものが多く,神経鞘腫で,本症例のごとく巨大なものは,今日まで報告がなされていない.症例は術後5年間の経過観察をするも,再発の徴候なく,元気に社会生活を送っている.
著者
山本 真紀子 影島 宏紀 志津田 陽平 瀬戸口 明日香 小笠原 茂里人 南 毅生 丸山 奈保 鈴木 基文 安部 茂
出版者
日本獣医皮膚科学会
雑誌
獣医臨床皮膚科 (ISSN:13476416)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.133-141, 2019 (Released:2019-09-20)
参考文献数
23

マラセチア皮膚炎は犬では一般的な皮膚疾患であるが,再発性となりやすい。従来のアゾール系抗真菌薬の内服・外用療法は,耐性菌出現や肝毒性が問題であり,シャンプー療法は簡便とは言えない。そこで今回ヒトの介護現場で用いられているスプレー剤に着目し,犬9頭のマラセチア皮膚炎が疑われる皮膚病変部に1日2回ずつ3週間用いて臨床的な効果を検討した。試験期間を通した有害事象として1頭に軽度の一過性の発赤が認められたが,すぐに自然に消退した。スプレー使用により皮疹の重症度スコアとPVASは統計学的に有意に減少した(P<0.01)。病変部のマラセチア菌数は減少する傾向があるものの統計学的な有意差は認められなかった(P<0.01)。皮疹の重症度スコアとPVASが改善した要因としてスプレー剤の主成分であるD-LYZOXの抗炎症作用が考えられたことから,主成分であるD-LYZOXの抗炎症効果についてin vitroで検討した。抗炎症効果の検討には健康犬の好中球活性の抑制作用を用いた。D-LYZOXは犬由来の好中球の粘着反応を抑制し,抗炎症作用の存在が示唆された。以上よりヒト用のD-LYZOX含有スプレーはマラセチア皮膚炎が疑われた犬の皮膚病変部に対してPVAS,皮疹の重症度スコアを改善することが示唆された。またこれら臨床的な効果と,好中球機能の抑制との関連を明らかにする必要性を考察した。
著者
鈴木 基史
出版者
日本選挙学会
雑誌
選挙研究 (ISSN:09123512)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.30-41,186, 2000

本稿は制度論的な投票行動仮説を提示する。具体的には,選挙制度が政党のとる政策ポジションに影響を与え,そのポジショニング戦略が投票行動における争点と特性の相対的重要性および投票行動モデルの経験的妥当性を規定するという仮説を提示する。たとえば,相対的多数制(小選挙区制)は,諸政党の政策ポジションに中位収斂化圧力を与え,大きな選挙区規模と低い議席獲得のための最低得票率を設定した比例代表制は,そうした圧力をかけない。そのため,前者による選挙では,争点が希薄化し,投票行動は特性志向にならざるをえないが,後者による選挙では,争点は明瞭化し,争点志向の投票が促進される。本稿では,新選挙制度で行われた1996年衆議院総選挙のサーベイ&bull;データを用いて仮説検証を行う。計量分析では,理想点モデルと特性モデルが掲げる投票決定因を兼ね備えた統合モデルを利用して,比例区と小選挙区の評価関数を同時に推定し,争点と特性の重要性を検討する。
著者
立花 潤三 迫田 章義 門脇 亙 山田 強 玉井 博康 稲永 忍 鈴木 基之
出版者
社団法人 環境科学会
雑誌
環境科学会誌 (ISSN:09150048)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.123-133, 2011

低炭素社会に向けた厳しい目標の達成には産業部門,民生部門等すべての部門における低炭素化の努力が不可欠であり,我が国の燃料消費の約15%を占めるとされる食料生産・輸送も当然にその対象に挙げられる。本研究ではまず,鳥取県において現在生産されている食料によって鳥取県民全員の栄養素を賄えるか(県内食料自給自足)の検討を行った。その結果マンガン,パントテン酸が少量不足する以外,他の19種類の栄養素に関しては県内産食料で賄え,一部栄養素に関しては供給過多であることが分かった。次に,県内食料自給自足の条件下において,移入だけを行わない場合は現状の生産・輸送エネルギーの約1割,生産量を一律1割削減した場合は約2割,現在県内生産量が2000[t/year]を超える食料品のみを生産することを条件とした場合には約3割,そして最もエネルギーが小さくなる食料生産を選択した場合には約5割のエネルギーを削減する事ができることが推算された。
著者
平川 仁 鈴木 基之 西野 宏 佐藤 雄一郎 石木 寛人 篠崎 剛 海老原 充 新橋 渉 上條 朋之 岡本 牧人 別府 武 大堀 純一郎 松浦 一登
出版者
日本頭頸部癌学会
雑誌
頭頸部癌 (ISSN:13495747)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.75-81, 2018

頭頸部癌終末期患者における症状について多施設調査を行った。根治不能頭頸部癌と診断され,癌の進行による状態悪化のために入院となった患者を対象とした。11施設から100人の患者が登録され,そのうち転院した患者などを除く72人が死亡まで観察可能であった。最終観察時における出血や滲出液を伴う自壊腫瘍を持つ症例は36.1%であった。またそれに伴う制御不能な出血を認めた症例は5例であった。1例は頸動脈破裂による急速な転機をたどった。残りの4例は出血および血圧低下による止血を繰り返し最終的に心肺停止となった。栄養経路に関して61.1%で経腸栄養摂取が可能であった。頭頸部浮腫は36.1%に認めた。喉頭発声による意思の伝達は50%で不可能であった。頭頸部癌の終末期症状は決して軽いものではない。しかしその症状・頻度,病態の理解が進み,適切な指針を今後作成できれば,患者は終末期の時間を自宅近くの医療施設もしくは自宅で過ごすことができるようになると期待される。
著者
三木 孝史 斉藤 一功 林 征治 梶川 弘 嶋田 雅生 小川 陸郎 川手 剛雄 池谷 大 木村 則幸 高畠 和男 西澤 節 杉浦 伸裕 鈴木 基文
出版者
CRYOGENICS AND SUPERCONDUCTIVITY SOCIETY OF JAPAN
雑誌
低温工学 (ISSN:03892441)
巻号頁・発行日
vol.31, no.5, pp.258-266, 1996-05-25 (Released:2010-02-26)
参考文献数
14
被引用文献数
1 4

So far, the use of superconducting magnets has been limited to chemical analysis and medical inspection. To develop a new use, we have tried to apply common MRI devices as nondestructive sugar content detector of watermelon. To estimate the sugar content, a new technique using multiple regression analysis of two NMR relaxation times was developed. It was found that the coefficient of multiple regression at the center of the watermelon exceeded 0.9 and the standard error of prediction was around 0.5, and that the over-ripened part of flesh called ‘nieka’ in watermelon could be distinguished because its T2 was much longer than that of the oridinary part. An evaluation rate of sugar content could be below 6s per watermelon. It is concluded that multiple analysis of T1 and T2 on intact watermelon can be applied as a non-invasive, nondestructive indicator of sugar content.