著者
伊藤 理紗 巣山 晴菜 島田 真衣 兼子 唯 伊藤 大輔 横山 仁史 貝谷 久宣 鈴木 伸一
出版者
日本不安症学会
雑誌
不安症研究 (ISSN:21887578)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.63-71, 2015-03-31 (Released:2015-05-29)
参考文献数
17

本研究は,SAD患者の曖昧な場面の中性的・否定的解釈の関連の検討,および曖昧な場面の肯定的・中性的・否定的解釈がSAD症状の重症度に及ぼす影響について検討を行った。SAD患者50名を対象に,(1)Liebowitz Social Anxiety Scale(朝倉ら,2002),(2)曖昧な場面の解釈の質問紙について回答を求めた。相関分析の結果,曖昧な社会的場面の中性的解釈と否定的解釈の間に相関は認められず,曖昧な社会的場面の肯定的解釈と否定的解釈の間のみに負の相関が認められた(r=-.48, p<.001)。重回帰分析の結果,曖昧な社会的場面の否定的解釈(β=.34, p<.05)のSAD症状の重症度への影響が有意であった。本研究の結果から,曖昧な場面の否定的解釈の低減にあたり,肯定的解釈の活性化の有効性が示唆された。
著者
渡邉 正己 児玉 靖司 鈴木 啓司
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

我々は、これまでにX線あるいはγ線照射された哺乳類細胞に室温で20時間程度の寿命を持つ超寿命ラジカル(LLR ; Long Lived Radical)が生ずることをESRによるラジカル解析によって発見した。さらに、LLRは、放射線被曝後数十分から数十時間後に5mM程度のビタミンCで2時間処理することによって完全に消失することがわかった。活性の高いOHやO_2^-ラジカルの革命は200ナノ秒以下であるので、ビタミンC処理で捕捉されるラジカルは、LLRであると考えられる。LLRの消失に伴って細胞突然変異や細胞がん化誘導は抑制されるが、染色体異常や細胞死誘導を抑制することは出来ない。システアミンやDMSO処理でOHやO_2^-ラジカルを消去することで細胞死や染色体異常誘導を抑制することができるが、細胞突然変異や細胞がん化誘導を抑制することはできない。これらのことから、我々は、LLRこそが放射線による細胞の突然変異と細胞がん化の主因であると結論している。さらに、電子スピン共鳴解析法による解析から、LLRは、細胞内の疎水性のバイオポリマー部位で、恐らくDNAや脂質でなく、システインなどのスルフィニル基に年じていることなどが明らかになった。これら一連の結果は、これまで放射線生物学的に信じられてきた"放射線突然変異や発がんの原因は活性が高い酸素ラジカル種(ROS)がDNAや染色体を破壊することである"という予想を覆すものであり、ヒトにおける突然変異や発がんがタンパク質に生じた変異を起源とするという極めて新しく放射線の遺伝影響の本体を知るために極めて重要な知見である。
著者
鈴木 健一 大野 義弘
出版者
一般社団法人 照明学会
雑誌
照明学会誌 (ISSN:00192341)
巻号頁・発行日
vol.77, no.6, pp.317-324, 1993-06-01 (Released:2011-07-19)
参考文献数
16
被引用文献数
1 1

Spectral diffuse reflectance and radiance factors of pressed polytetrafluoroethylene (PTFE) powder produced in Japan have been measured with variation of density, thickness, surface roughness, wavelength and ageing effects of the pressed powder. The 0°/d spectral diffuse reflectance was measured over 250 to 2500nm region. The radiance factors were measured at 0°and 45°incidence and at-80°to 80°viewing angles, on wavelength of 400nm, 550nm, 700nm, using an absolute goniophotometer. It has been found that, although slight ageing effects and weak fluorescence in UV region are recognized, the newly pressed powder has high reproducibility on diffuse reflectance and radiance factors under a certain range of pressing condition, and that the pressed powder will be useful for the radiance factor's standards as well as the diffuse reflectance standards.
著者
石川 卓哉 鈴木 孝 篠田 昌孝 高士 ひとみ 山口 晴雄 鈴木 貴久 三宅 忍幸 神谷 徹
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.103, no.9, pp.1050-1054, 2006 (Released:2006-09-05)
参考文献数
11

症例は43歳,男性.不明熱のため当院入院.腹部超音波検査で,脾臓に多数の低エコー病変,腹部CT検査で肝臓,脾臓に多発結節状の低吸収域を認めた.猫を1匹飼っており,Bartonella henselae抗体を測定したところ高値を示し,ネコひっかき病と診断した.本症はまれな疾患と考えられるが,肝臓,脾臓に多発性腫瘤を認める不明熱をみた場合,鑑別として本症の可能性を念頭において診断をすすめることが重要と考えられた.
著者
岡 真理 宮下 遼 新城 郁夫 山本 薫 藤井 光 石川 清子 岡崎 弘樹 藤元 優子 福田 義昭 久野 量一 鵜戸 聡 田浪 亜央江 細田 和江 鵜飼 哲 細見 和之 阿部 賢一 呉 世宗 鈴木 克己
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2020-04-01

難民や移民など人間の生の経験が地球規模で国境横断的に生起する今日、人間は「祖国」なるものと様々に、痛みに満ちた関係を切り結んでいる。ネイションを所与と見なし、その同一性に収まらぬ者たちを排除する「対テロ戦争パラダイム」が世界を席巻するなか、本研究は、中東を中心に世界の諸地域を専門とする人文学研究者が協働し、文学をはじめとする文化表象における多様な「祖国」表象を通して、人文学的視点から、現代世界において人間が「祖国」をいかなるものとして生き、ネイションや地域を超えて、人間の経験をグローバルに貫く普遍的な課題とは何かを明らかにし、新たな解放の思想を創出するための基盤づくりを目指す。
著者
神野 成治 海野 雅浩 鈴木 長明
出版者
Japanese Society of Psychosomatic Dentistry
雑誌
日本歯科心身医学会雑誌 (ISSN:09136681)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.191-195, 2000-12-25 (Released:2011-09-20)
参考文献数
10

We report a case of psychogenic oro-facial pain with mysophobia and compulsive behaviors related to dental treatment.The patient was a 36-year-old housewife. She complained of spontaneous pain in all teeth of the upper and lower jaws. The pain had appeared suddenly in the upper incisors, around 2 years before her first visit to our hospital. In spite of dental treatment, the pain diffused to all of her teeth and gingiva. She also suffered from oral mysophobia and compulsive behaviors in the form of prolonged teeth brushing.There was no organic disease to cause her pain and no other abnormal findings were noted. The psychological tests showed that she was in a slightly depressive, anxiety state and had a psychosomatic disease type. The Yatabe-Guildford test and egogram showed her personality to be compulsive. We diagnosed her condition as psychogenic oro-facial pain with mysophobia and compulsive behaviors.We treated her with drug therapy and brief psychotherapy. The antidepressant agent (amitriptyline, clomipramine) and antianxiety agent (bromazepam) were effective for pain relief, but not for the compulsive behaviors. We also performed brief psychotherapy. She was alarmed that she had grown old when her dentist diagnosed the pain as being due to periodontal disease and afraid that the periodontal disease would worsen. This led her to clean her mouth very earnestly. The dentist suggested that her excessive brushing was bad for her at every dental examination, but she slipped into mysophobia and compulsive behaviors, avoiding food intake in order to keep her oral cavity clean and engaging in prolonged brushing. These behaviors were related to her compulsive personality. We recommended that she change her lifestyle and work outside her house, because a person of her personality type needed a social activity. Fourteen months later, she began to work again and her compulsive behaviors had diminished.This case suggested that her compulsive personality was a causal factor in her development of psychosomatic oro-facial pain and the dental treatment induced mysophobia and/ or compulsive behaviors. Psychosomatic agents and brief psychotherapy were effective.
著者
鈴木 雅博
出版者
日本教育社会学会
雑誌
教育社会学研究 (ISSN:03873145)
巻号頁・発行日
vol.90, pp.145-167, 2012-06-15 (Released:2013-06-17)
参考文献数
21
被引用文献数
3

本稿は,生活指導事項の意思決定における教師間相互行為を,クレイム申し立てによる〈問題〉の構築過程として捉え,そこで語られる日常言語的資源としての慣用語化したレトリックに着目し,その特質を明らかにすることを目的とする。 ここでは社会問題研究に倣い,クレイム申し立てを生徒の「状態のカテゴライズ」とその「解決法の提示」と位置づけ,各々に関するレトリックを検討した。 観察では,生徒の現状を〈問題〉とカテゴライズする際には,荒れるリスクを強調するレトリックが,解決法である指導事項を提示する際には,〈共同歩調〉のレトリックが用いられる点が確認された。〈共同歩調〉レトリックの効力は〈荒れ〉への有効な処方であったとの〈経験〉に由来する。教師はレトリックの説く因果関係を枠組として〈経験〉を解釈するが,これにより構築された〈経験〉が再帰的にレトリックの効力を強化するという相乗的循環構造が生起している。 〈荒れ〉発生時の責任問題はクレイムへの抵抗を困難にする一方,学年等を特定するクレイムへの反発を引き起こす。他方で,教師はクレイムメイカーによる状態のカテゴライズに必ずしも同意しておらず,また逸脱生徒にはクレイムが説く管理的教育を適用していない。つまり,レトリックを用いたクレイム申し立て活動は「集団としての生徒」を対象とした管理教育的な生活指導の提案・要請に対する,メンバーの沈黙と決議の調達を到達点としている。
著者
陶 慧 鈴木 功
出版者
Japan Association of Food Preservation Scientists
雑誌
日本食品保蔵科学会誌 (ISSN:13441213)
巻号頁・発行日
vol.29, no.6, pp.329-334, 2003-12-30 (Released:2011-05-20)
参考文献数
17

食パンの水分活性値について, パンの水分量, 水分吸脱着履歴, 測定温度を変化させることにより, いくつかの方法で測定した。試料は市場に広く普及している大手製パンメーカー製の一般的な食パンを使用した。水分の吸脱着履歴として, 吸着試料は新鮮なパンを五酸化ニリンで脱水後, 調湿塩により一定の湿度に保持したデシケーター内で水分を吸着させ, また脱着試料は, 試料の構造変化のないよう注意しながら通気乾燥法およりシリカゲル乾燥で緩やかに脱水させた。両試料とも水分の調整後, 暫時密封保持し試料内の水分分布を均一化させてから測定に用いた。水分活性の測定は, 半導体センサーによる測定, 平衡重量測定法, PEC法の3種類の方法を用いた。測定は, 温度10, 20, 30, 40℃, 水分含量0~48%, 水分活性0~1の範囲で行った。その結果, 比較的広範囲で明確な履歴現象 (hysteresis) が得られたのは, 平衡重量測定法であった。また, 高水分活性域ではPEC法がよい結果となった。半導体センサーによる測定は迅速簡便に行えるが, 吸脱着履歴など精密な測定には不向きであった。得られた値を用いて, 吸着理論式の適合性を評価した。用いた式は, GAB式, D-A式である。両者とも比較的よい適合性を示す結果となった。
著者
鈴木 基史
出版者
公益財団法人 日本学術協力財団
雑誌
学術の動向 (ISSN:13423363)
巻号頁・発行日
vol.16, no.6, pp.6_60-6_66, 2011-06-01 (Released:2011-10-14)
参考文献数
12
著者
大和 祐介 鈴木 麗璽 有田 隆也
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回 (2019)
巻号頁・発行日
pp.1D4J104, 2019 (Released:2019-06-01)

人間は,特定の知識が自分の記憶に存在するかどうか,あるいはどれだけ正確に存在するかを認知する事が出来る.このような主観的な記憶に対する認知能力はメタ記憶と呼ばれる.Hamptonは遅延見合わせ課題を用いてサルが回避応答パラダイムにおけるメタ記憶の基準を満たすことを示した.しかし,これらのパラダイムはメタ記憶の判断を被験者の主観による報告ではなく,振舞いによって行っている.回避応答パラダイムにおいては,特定の刺激と回避行動を関連付けて覚えて難しい課題を回避することでメタ記憶判断の基準を満たし得ることが指摘されている.本研究の目的は,構成論的アプローチによって,メタ記憶能力を持つニューラルネットワークを進化させることである. 最初に,回避応答パラダイムにおけるメタ記憶の基準とメタ記憶を持つニューラルネットワークの最小要件の基準を明確にする.次に,遅延見合わせ課題によって進化したニューラルネットワークに対してメタ記憶の基準を軸に分析を行う.メタ記憶の基準を満たすニューラルネットワークの動作メカニズムを追求することで,ネットワークのメタ記憶的判断のメカニズムを明らかにした.
著者
鈴木 真吾
出版者
和光大学現代人間学部
雑誌
和光大学現代人間学部紀要 = Bulletin of the Faculty of Human Studies (ISSN:18827292)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.151-174, 2010-03

本論は『家畜人ヤプー』の作者であり、その全貌がいまなお明かされていない覆面作家沼正三と、1970年頃から沼の代理人として活動し、1983年に自身が沼だと名乗り出て以降も、沼との距離を注意深く保ってきた作家、天野哲夫に関するものである。2008年11月30日に死去した天野が沼の本体だという意見が主流を成す一方、天野が沼の本体ではないという意見は今日においてもなお支配的である。しかし、本論は沼の真の正体を考察するものではない。元来、仮想の人格を持った架空の人物として設定されていた「沼正三」が、何故、現実に存在する一個人であるという前提で語られてきたのかという点を問題にしつつ、『家畜人ヤプー』の作者の正体をめぐる騒動であった1980年代初頭の「『家畜人ヤプー』事件」を中心に、沼という覆面作家を巡る議論がどのように展開されたかを論じると共に、体系的に語られることのなかった天野について、沼としての天野ではなく、沼と対位法を成す存在としての天野を論じていく。
著者
山本 晴彦 早川 誠而 鈴木 義則
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.65, no.9, pp.943-948,a2, 1997-09-01 (Released:2011-08-11)
参考文献数
11

神戸市長田区と須磨区に立地する小規模な7つの都市公園を対象に, 阪神大震災による公園内に植栽された樹木の被災状況と延焼防止機能を調査した。菅原通公園, 御蔵通公園, 大国公園の植栽の被災率は, 38%, 10%, 58%であった。これらの公園における周辺の焼失地域は1~2方位で, 公園の周縁部に植栽されたクスノキなどの常緑性高木樹が火炎を遮断することで公園内部に植栽された樹木の被災率が低くなった。さらに, 公園内に設けられたオープンスペースの存在が相乗効果となり, 後背部への延焼防止「焼け止り」の現象が発揮されたと考えられた。植栽の被災率が比較的低かった公園では, 被害樹の樹勢が徐々に回復していることがわかった。